JP3585967B2 - 蛍光体の製造方法 - Google Patents

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は蛍光体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管や蛍光ランプに用いられる蛍光体は、電子線や紫外線によって励起したときの発光効率の観点から数μmの粒径が必要とされている。この程度の粒径を有する結晶粒を得るために、蛍光体は通常、フラックスを用いた固相反応によって合成される。しかし、フラックスを用いて合成された形状は完全な球形ではなく、原料粒子の形状や結晶構造を反映して多面体に近い形となる。
【0003】
こうした蛍光体を用いて例えば陰極線管の蛍光面を形成した場合、電子線励起によって生じる発光が蛍光面からの光出力としては必ずしも十分に利用されないという欠点がある。すなわち、蛍光体粒子の形状が多面体に近いと、緻密な蛍光膜が得られず空隙が生じるうえ、光反射膜としてのアルミバックの平滑度も劣り凹凸が生じる。このため、発光した光の乱反射が大きくなり、これが光の損失の原因となる。同様に前記のような蛍光体を蛍光ランプに用いた場合にも、緻密な蛍光膜が得られないため、紫外線励起による発光が十分有効に利用されない。
【0004】
例えば、カラー陰極線管は次のような方法により製造される。ガラス内面に蛍光体および感光性樹脂からなる懸濁液(スラリー)を全面塗布して蛍光膜を形成し、紫外線を照射して所望の領域だけを重合させる。この後、紫外線が照射されなかった領域の蛍光膜を洗い流す。このとき、蛍光膜の光散乱が大きいと紫外線が蛍光膜の内部にまで侵入しないので内部が重合しにくい。このため、蛍光膜の輝度が最大になる十分厚い膜が形成されにくい。また、光散乱が大きいと、所望の領域以外の領域まで感光して重合するため、設計通りの蛍光膜パターンを得ることが困難になる。
【0005】
一方、これらの蛍光体を焼結体にして、透光性蛍光体薄片として用いることもある。この場合、室温で成形した後、高圧下で1200〜1500℃に加熱する方法が知られている。このとき成形体の充填密度が低いと焼結時に変形しやすく、焼結体内部の発光特性にむらが生じやすい。
【0006】
さらに、例えばMWO(ただし、MはCaおよびMgのうち少なくとも1種)またはCaWO:Pbのいずれの蛍光体も、400〜500nmにピーク波長を持つ発光スペクトルを有し、短波長の発光であるために視感度的に不利であるという問題があった。また、CaWO:Pbの励起スペクトルのピークは254nmよりもかなり長波長側にずれており、254nmの紫外線で励起する場合には励起効率が低下するという問題があった。
【0007】
光の散乱は蛍光膜に含まれる粒子の全表面積が大きいほど大きいから粒子の形状が球状であることが望ましい。また、最密充填を得るためにも分散性の良好な球状粒子が望ましい。そこで、球形にできるだけ近い形状を有する蛍光体粒子を得る試みとして、B.C.Grabmaier et al.;Phys.Stat.Sol.(a)130,K183(1992)に示されるようなエマルジョンを用いる方法が知られている。しかし、この方法で得られる蛍光体は微粒子の集まりであって不透明であり、また結晶性が不良なため再焼成が必要となる。この結果得られる蛍光体粒子の形状は必ずしも完全な球形ではなく、また粒径も小さいため陰極線管に用いる蛍光体としては好ましくない。この方法で得られる蛍光体を焼結体原料とするときには、粒子自身の内部に空隙があるため、成形体の充填密度が低く、焼結に伴う変形が大きい。
【0008】
球状蛍光体を得る他の試みとして特開昭62−201989号公報には、高温プラズマ中において、造粒した蛍光体原料を加熱する方法が開示され、希土類オキシ硫化物もこの蛍光体のなかに含まれている。しかし、この方法で得られる蛍光体には、全体が強く着色するため著しく発光効率が低いこと、また発光色と発光効率の点で実用蛍光体として望ましい付活剤濃度が得られないことなどの欠点があった。また、通常好ましい粒径0.5〜20μmの蛍光体の場合、大部分が蒸発して超微粒子が生成してしまい、溶融して生成する球状粒子の量の割合が少なくなることが多く、かつこの割合を制御するのが困難であった。
【0009】
さらに、上記のような用途に適用される個々の蛍光体の問題点について述べる。R.C.Ropp:J.Electrochem.Soc.,112巻、181頁(1965年)に示されるように、Gd:Euは単斜晶の結晶系に属する。ところが、R.S.Roth et al.:J.Res.National Bureau of Standards,64A巻、309頁(1960年)に示されるように、Gdは室温では立方晶が安定であり、高温安定相である単斜晶を得るには1200℃以上の高温にした後、急冷することが必要であり、通常のるつぼ中の蛍光体焼成法では製造が困難である。一方、Araiet al.:J.Alloys and Compounds,192巻、45頁(1993年)に示されるように、プラセオジムを付活した単斜晶Gdは、立方晶Gdでは得られない緑色の発光バンドを有するため短残光緑色発光が必要な用途に使用できる可能性があるが、上記と同様に高温安定相である単斜晶を得るための製造上の問題点を解決することが要求される。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記問題点を解決するためになされたものであり、粒径が小さく真球に近い形状を有する蛍光体を製造できる方法を提供し、緻密で均質な蛍光面を形成して輝度の高い陰極線管や蛍光ランプを得ることを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段と作用】
本発明の蛍光体の製造方法は、Ln:RもしくはLnS:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)、MWO(ただし、MはCaおよびMgのうち少なくとも1種)またはCaWO:Pbの組成式で表される蛍光体を製造するに際し、プラズマの平均温度が1600℃以上6500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜20μm、個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5の範囲の球状にすることを特徴とするものである。
【0012】
また、本発明の蛍光体の製造方法は、Ln:RもしくはLnS:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)、MWO(ただし、MはCaおよびMgのうち少なくとも1種)またはCaWO:Pbの組成式で表される蛍光体を製造するに際し、高周波電源出力が5〜100kW、プラズマガス流量が20〜150l/分、キャリアガス流量が5〜50l/分、プラズマ発生部外囲円筒の内径が30〜100mmの条件で発生させた高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜20μm、個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5の範囲の球状にすることを特徴とするものである。
【0013】
なお、Rはランタニド族元素を表すが、このなかでも特に蛍光体として有用な元素はCe,Pr,Nd,Sm,Eu,Tb,Dy,Ho,Er,Tm,Ybである。本発明の方法で製造された蛍光体は、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜5重量%含んでいることが好ましい。
【0014】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
【0015】
本発明の蛍光体の製造方法は、原料蛍光体粒子をキャリアガスとともに熱プラズマフレームの適当な位置に投入し、一部の原料蛍光体粒子あるいは原料蛍光体粒子の表面の一部を蒸発させて短時間のうちに熱プラズマ外部に取り出して急冷し超微粒子となり、他の大部分の粒子あるいは表面が蒸発した残りの粒子部分を溶解させて表面張力による液状球となしこれを急冷して球状粒子を得るという原理に基づく。この際、冷却ガスを流さなくとも急冷されるが、プラズマの尾炎部に冷却ガスを流すことによりさらに急冷することもできる。図1に製造装置の概念図を示す。ここで、10はプラズマガス、11は電磁フィーダを改良した粉体供給器、12はキャリアガス供給ボンベ、13は粉体供給口(ノズル構造は略す)、14は高周波発振器、15はコイル、16はプラズマフレーム、17は反応容器、18はサイクロン、19はプラズマ発生部外囲円筒、20は冷却ガス源を示す。
【0016】
従来プラズマ分野においては入力を大きくする工夫が多くなされ、例えば特開昭63−85007号に示されているように、プラズマの高温部に原料粉末を投入し、蒸発させて超微粒子を製造する熱源として用いられることが多かった。この場合、図2の21で示す渦流高温部の温度Tは1万℃にも達する。しかし、逆にプラズマを低温度にする工夫は、原料投入時にフレームが消滅しやすく、かりにプラズマを維持しても不安定になるなどの問題があり、あまりなされていなかった。本発明は高周波入力とガス流量と種類を最適に選ぶことにより従来よりも低温度で安定なプラズマを発生させることができたことに基づく。
【0017】
本発明では超微粒子と球状粒子の割合を制御するために、ガス流量と種類を適当に選び主に高周波入力を変え、蛍光体の材料特性に合わせて粉体供給位置の温度を制御する。球状蛍光体を作製するには従来のような高温プラズマは不適であった。この理由を以下に示す。一つの原料粒子をある温度のプラズマ中に導入すると粒子内の温度分布はプラズマ温度より低いが、端部が高く中心部が低い。中心部が融点以上の温度になると全体が溶融し端部が蒸発する傾向にある。球状蛍光体を得るには蛍光体の融点以上の温度が必要である。一方、主に球状粒子からなり0.001〜5重量%の超微粒子を含むためには沸点より大きくはずれた高い温度は不適である。粒径0.5〜20程度の大きさの本発明の蛍光体を得るには、蛍光体は1万℃のような高温でなく1600〜2500℃の融点以上6500℃程度までの温度のプラズマに供給されることが望ましい。
【0018】
プラズマフレームは図2に示すような温度分布を持つ。原料粉末の供給位置を図2の22のような低温部分に持ってくることもできるが、本発明者らはこの方法では超微粒子と球状粒子の量の割合を制御するのが困難であり、電源からの入力、ガスの流量およびガスの種類を制御して渦流部と粉体供給口の平均温度を低くし、かつこの位置での温度勾配を緩やかにした場合に好都合な結果が得られることを見出した。すなわち、図3の模式図に示すように、図2の2つの渦流中心の中央位置からプラズマ軸流方向に対して温度をプロットすると、渦流域の温度が高いT42の場合と低いT41の場合で最低温度Tの得られる位置aは大きく変わらない。すなわち最低温度を低くすればプラズマ内の温度勾配を緩やかにできた。この図でTは投入された粉体が短時間の滞留時間に溶融するプラズマ温度を示し、Tは粉体が蒸発する温度を示す。粉体供給口から投入された粉体はΔxの位置幅を持ってプラズマ内に侵入する。このときTとTの中間の平均温度が同一であるとすると温度勾配の緩やかな場合には全体の粒子を溶融できる温度以上にできかつ適当な割合の粒子を蒸発させることができる。一方温度勾配が急な場合、蒸発する温度以上の温度と溶融する温度以下の温度にさらされる粒子が共存する傾向にある。このとき溶融する温度以上になるような位置に粉体供給口をもってきても蒸発する温度以上の温度になる粒子量の割合が多くなり、蛍光体として好ましい範囲以上の超微粒子が生成されてしまう。図3から容易に推測されるように、温度勾配の緩やかな場合にはたとえ粉体供給口から投入される粉体の位置分布幅が小さくなっても球状粒子と超微粒子の割合の制御は温度勾配の緩やかな方が容易であり、これが粉体処理量の向上に結びつく。
【0019】
このプロセスを蛍光体材料に当てはめると、Ln:Rの組成式で表される場合には原料粉体が投入される部分の平均プラズマ温度は2500〜6500℃が望ましい。2500℃以下では原料が完全には溶融せず球状化が不十分である。また6500℃以上では蒸発量が多く超微粒子が多くなってしまう。同様にしてLnS:Rでは2000〜6000℃、MgWO、CaWOおよびCaWO:Pbでは1600〜5500℃が球状化条件に適している。
【0020】
上記好ましい温度勾配は図1の19のプラズマ発生部外囲円筒の径が30〜100mmのとき、1〜28MHzの高周波電源への入力が10〜200kW、高周波電源からの出力が5〜100kW、ガスの種類によっても変わるがプラズマガス流量が20〜150l/分、キャリアガス流量が5〜50l/分のときに得られた。上記外囲円筒の径の下限の30mmのときには、電源入力10〜30kW、電源出力約5〜15kW、プラズマガス流量20〜100l/分、キャリアガス流量5〜40l/分、高周波周波数2〜28MHzが好ましい。また、上記外囲円筒の径の上限の100mmのときには、電源入力80〜200kW、電源出力40〜100kW、プラズマガス流量100〜150l/分、キャリアガス流量10〜50l/分、高周波周波数1〜5MHzが好ましい。なお、上記の条件のうち、プラズマ発生部外囲円筒の径の限定理由に関しては、30mm未満の場合には工業的な処理量が得られず、100mmを超える装置では大きな電力が必要となり現実的ではない。これらの条件のとき、フレームが消滅しないで安定したプラズマを維持でき、球状粒子および適当な割合の超微粒子が得られる。
【0021】
プラズマの雰囲気は好ましいプラズマ温度を得るためと原料蛍光体の変質を避ける方向で選ばれる。例えば、Ln:RでR=Euの場合、プラズマの発生のしやすさと母体の変質を避けるために酸素を含んだ雰囲気が望ましい。一方R=PrあるいはTbの場合、酸素の含有は極力避ける。LnS系蛍光体の場合、母体の変質を避けるために酸素の含有は極力避ける必要がある。また熱プラズマによるこの系の蛍光体に特有な着色は原料に硫黄を混合すると軽減される。
【0022】
原料粉体の熱プラズマへの投入量は適当な粉体供給装置と粉体の流動性の組み合わせにより原料粒径が0.5〜20μmの場合に一台で50g/分程度に供給可能であり、上記の温度で十分処理できた。
【0023】
原料蛍光体としては、Ln:RもしくはLnS:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)、MWO(ただし、MはCaおよびMgのうち少なくとも1種)またはCaWO:Pbの組成式で表されるものが用いられる。
【0024】
本発明においては、特開昭62−201989号公報の製造方法とは異なり、得られる蛍光体の付活剤濃度とは異なる付活剤濃度を持ち、かつ造粒しない蛍光体を原料として用いる。このような原料蛍光体はフラックスを用いて製造される。原料蛍光体の粒子表面を酸処理するかまたは微量の有機物界面活性剤を付与して、その分散性と流動性を改善することにより、原料蛍光体と得られる球状蛍光体との平均粒径の差を50%以内に収めることができる。原料として用いられる蛍光体の一次粒子の粒径は約2μm以上であることが好ましい。これは、一次粒子の粒径が小さい場合には、たとえ一次粒子が凝集した二次粒子の径が2μm以上であったとしても、全体が溶融して蒸発してしまい、これを急冷して得られる粒子は0.2μm以下になることが多いためである。原料として用いた蛍光体の分散性が良好な場合には、得られる蛍光体の粒径は原料蛍光体の粒径とほぼ同じになる。したがって、得られる蛍光体の粒径は、原料蛍光体の粒径および凝集度合によって制御することができる。また、真球に近い形状を有する蛍光体を得るには、原料となる粒子全体が蒸発することなく、かつ粒子の表面が完全に溶融するような条件を設定する。このような条件は、プラズマのパワーとプラズマ中に供給する原料蛍光体の量を調整することにより達成できる。この条件で原料粒子を溶融させ、表面張力によって球形の形状を保った状態で急冷凝固させることにより、本発明に係る蛍光体粒子を得ることができる。
【0025】
本発明の方法により製造される蛍光体粒子の平均粒径を0.5〜20μmと規定したのは、平均粒径が0.5μmよりも小さい場合または20μmよりも大きい場合には、蛍光面の輝度が低くなってしまうためである。
【0026】
また、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜5重量%含むことが好ましいとしたのは以下のような理由による。すなわち、5重量%を超えて超微粒子が含まれていると、光散乱が増加するために、この蛍光体から作製した蛍光膜の光透過率が低下し、実用性に乏しくなる。一方、上記範囲内の超微粒子を含んでいると、蛍光体の流動性と分散性が向上する。このため、液中での蛍光体の沈降や蛍光体スラリーの塗布によって蛍光膜を形成したとき、この蛍光膜は最密充填に近くなる。したがって、蛍光膜内の乱反射が少なくなって膜の透過率が向上し、蛍光面からの光出力として利用される発光の割合が大きくなり、蛍光面の輝度が向上する。一方、カラー陰極線管などの熱処理時に、超微粒子が球状粒子間のバインダーの役目を果たし、蛍光膜の付着力が強化される。なお、製造直後の蛍光体が0.2μm以下の超微粒子を多く含んでいる場合には、超音波洗浄を行い、上澄み液を捨てることによって、0.2μm以下の超微粒子の含有量が上記範囲となるように調整する。
【0027】
本発明の方法により製造される蛍光体は、個々の蛍光体粒子の長径と短径との比(アスペクト比)、すなわち個々の蛍光体粒子において径が最大の部分と最小の部分との比が1.0〜1.5の範囲にあり、エッジなどの突起がなく球形に近い形状をもつものである。蛍光体粒子の長径と短径との比は、1.0〜1.2であることがより好ましい。このようにほぼ球形に近い粒子形状を有する蛍光体を用いて液中での沈降またはスラリーの塗布によって蛍光膜を形成すると、最密充填に近い蛍光膜が得られる。また、球状の蛍光体粒子を用いて形成された蛍光膜では粒子の全表面積が小さいので、同じ塗布量でも従来の蛍光体を用いた場合よりも光散乱が少なくなり、光透過量が大きくなる。したがって、例えばカラー陰極線管の蛍光面を光印刷法により形成した場合には、蛍光面の光透過率が大きいことから蛍光膜の深い部分まで感光するので、従来の蛍光体を用いた場合よりも、膜厚を厚くすることができ、膜厚の制御も容易になる。しかも、光透過率が大きくかつ緻密な膜であることから、光散乱に起因する端部の凹凸やむらのない良質な蛍光膜パターンが得られる。さらに、カラー陰極線管でも単色陰極線管でも、蛍光膜が最密充填に近いために、蛍光面の上に形成される光反射金属膜の平滑性が良好になる。このため、蛍光面で発光した光のうち電子線励起側に進行した部分の光を効率よく反射でき、輝度を向上させることができる。これに加えて、蛍光膜の光透過率が大きいため、蛍光面で発光した光のうち電子線励起側とは反対の方向(人間が観測する側)に進行する光の割合が大きくなり、輝度向上に寄与する。
【0028】
本発明においては、目的とする蛍光体に応じて製造条件を適宜変更し、好適な粒径および微粒子の含有量を調整することが好ましい。例えば、Ln:Rの組成式で表される蛍光体を製造する際には、プラズマの平均温度が2500℃以上6500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜15μmの球状とし、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜1重量%含むように調整することが好ましい。
【0029】
また、LnS:Rの組成式で表される希土類オキシ硫化物蛍光体を製造する際には、プラズマの平均温度が2000℃以上5500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜15μmの球状とし、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜0.5重量%含むように調整することが好ましい。
【0030】
また、MWOまたはCaWO:Pbの組成式で表される蛍光体を製造する際には、プラズマの平均温度が1600℃以上5500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜20μmの球状とし、粒径0.2μm以下の超微粒子を0.001〜5重量%含むように調整することが好ましい。
【0031】
上記のような超微粒子を含む蛍光体は、高周波電源出力が5〜100kW、プラズマガス流量が20〜150l/分、キャリアガス流量が5〜50l/分、プラズマ発生部外囲円筒の内径が30〜100mmの条件で発生させた高温プラズマ中で処理することにより製造することができる。
【0032】
本発明においては、原料蛍光体の付活剤濃度を熱プラズマ処理後の付活剤濃度と異なるように設定することが望ましい。また、高温プラズマ中処理した後に600〜1300℃で再焼成することにより蛍光体の発光効率を向上させることができる。
【0033】
さらに、個々の蛍光体について好適な製造条件、平均粒径、用途などをより詳細に説明する。
【0034】
例えば、Gd:R(ただし、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表され、少なくとも一部の結晶系が単斜晶系であり、平均粒径が0.5〜15μmでありかつ長径と短径との比が1.0〜1.5である球状粒子からなり、赤色または緑色の発光色を呈する蛍光体は、陰極線管に好適に用いられる。陰極線管に用いられるGd:R蛍光体の平均粒径は1〜10μmであることがより好ましい。平均粒径に関するこのような最適な範囲は経験的に知られている。陰極線管に用いられる単斜晶系のGd:R蛍光体はRの種類によって発光色が異なるため、好適な用途も異なる。すなわち、単斜晶Gd:Euの場合、その発光色は低温安定型である立方晶の場合よりも深みのある赤色であり、カラー陰極線管や投射型陰極線管あるいは高演色型蛍光ランプの赤色成分に適している。単斜晶Gd:Prの場合、その発光色は低温安定型である立方晶の赤色から緑色発光バンドを含む黄緑色に変化する。この発光は残光時間が10μs程度と非常に短いため、短残光が必要な特殊陰極線管に適している。単斜晶Gd:Tbは、効率の高い緑色発光を示すため、投射型CRTの緑色成分に適している。
【0035】
LnS:Rの組成式で表される希土類オキシ硫化物蛍光体では、蛍光体原料をそのまま熱プラズマ処理して得られる球状蛍光体は強く着色する。例えば、GdS蛍光体の場合、強い肌色の体色を呈し可視光反射率は30%程度となる。また、YS蛍光体の場合、強い灰紫色の体色を呈し可視光反射率は10%以下となる。このため、発光が蛍光体自身に吸収されて発光効率が著しく低下する。この体色はオキシ硫化物固有の現象によるものと考えられ、粒子表面だけではなく内部にまで及ぶ着色である。この体色は得られた球状蛍光体をさらに硫黄雰囲気中において800〜1200℃で熱処理を施すことによって消すことができる。また、熱プラズマ処理する前の原料に硫黄を加えることによって体色の強さの程度を低減することができる。
【0036】
Ln:Rで表される蛍光体の場合、熱プラズマ処理によって結晶系が変化し、これにともなって発光色が変化する場合がある。例えば、Ln=Y、R=Euでは通常立方晶が安定であるが、熱プラズマ処理すると単斜晶系の粒子を一部含むことがある。この粒子の発光スペクトルは波長623nmを中心とし、発光色は深い赤色を呈し、発光効率が低下する。これを1000℃で再焼成すると全体が低温安定相の立方晶に変化し、発光スペクトルは623nmのピークを含まず611nmを中心とした赤色に変化し、発光効率が向上する。Ln=Gdの場合、熱プラズマ処理した蛍光体はほぼ完全に単斜晶の粒子の集合体となる。この場合、目的によってはこのままの状態で使用できる。一方で、目的によっては、これをさらに800〜1200℃の温度で焼成することにより球状の形を保ったままで立方晶の蛍光体を得ることができる。
【0037】
また、熱プラズマ処理して得られる球状の希土類オキシ硫化物蛍光体の付活剤濃度は原料蛍光体とは異なる。例えば、YS:EuにおけるEu/Yの原子比は、原料で4.0%であっても、熱プラズマ処理した球状蛍光体では1.8%と1/2以下に低下する。一方、超微粒子の部分ではEu/Yは約40%にも達する。この結果、球状蛍光体の発光色は赤色からずれて実用蛍光体としては好ましくない橙色を呈する。また、Ln=YまたはGdでTb付活の蛍光体の場合、Tb濃度が減少すると発光スペクトル中で544nmの発光線に代表される緑色成分に対して415nmの発光線に代表される青色成分が強くなる。緑色発光蛍光体を得るためには、Tb/Lnの原子比を2〜6%とする必要があるが、この範囲の付活剤濃度の原料蛍光体を用いると熱プラズマ処理によってTb/Ln原子比が低下するために所望の発光色からずれてしまう。同様の現象の他の例について説明すると、例えばランプ用赤色蛍光体のY:Euを原料とした場合、Eu/Y原子比は原料で4.4%であったも、熱プラズマ処理した球状蛍光体では3.5%程度に低下する。一方、超微粒子の部分ではEu/Y比は約20%に達する。この結果、球状蛍光体の発光色は望みの赤色からずれて橙色にシフトした色を呈し、また発光効率が20%程度低下する。付活剤濃度の変化の程度は熱プラズマ処理条件、例えば原料蛍光体の供給量などによって異なるが、付活剤濃度の変化を全くなくすことはできない。したがって、所望の発光色が得られる球状蛍光体中の付活剤濃度を得るためには、原料蛍光体の付活剤濃度を調整する。
【0038】
MWOまたはCaWO:Pbの組成式を有する球状蛍光体に関しては、発光スペクトルが長波長側にずれることから、視感度的に明るくなる。一方、励起スペクトルは254nmからのずれが小さくなるため、254nmの紫外線で励起したときに従来より励起光率が向上し蛍光膜の輝度向上につながる。
【0039】
【実施例】
以下、本発明の実施例を説明する。
【0040】
(実施例1)
原料としてY:Eu蛍光体を用いた。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ4.5μmであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン52l/min、酸素27l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はプレート電圧E=10.0kV、Iプレート電流P =1.9Aであり、プラズマの平均温度は3800℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ4.8μmであった。得られた蛍光体の電子顕微鏡写真を図4に示す。この電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲にあった。また、この蛍光体のX線回折パターンはYのものと同一であり、その組成もY:Euであることが確かめられた。この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度1μA/cmの電子線で励起して粉体輝度を測定したところ、原料蛍光体の98%の値であった。
【0041】
次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によりコーティングウェイト7mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について電圧30kV、ビーム電流200μAの条件で輝度を測定したところ790ft−Lであった。この値は、原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度750ft−Lに比べて5%高い値であった。
【0042】
(実施例2)
シュウ酸塩共沈生成物を900℃で分解焼成した後、フラックスとしてアルカリ土類ハロゲン化物を用いて1100℃で焼成することにより、Pr濃度が0.1モル%のLa:Pr蛍光体を得た。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ6.8μmであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン60l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.8Aであり、プラズマの平均温度は3600℃であった。また原料供給速度は15g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ7.3μmであった。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.15の範囲にあり、0.2μm以下の超微粒子を0.3重量%含んでいた。この蛍光体の粉体輝度を実施例1と同様の条件で測定したところ、原料蛍光体の78%の値であった。このように粉体輝度がかなり低下しているのは、Prがいくぶん酸化されたことによるものと考えられる。また、このときの発光色は緑色であり、510nm付近と670nm付近にピークを有するスペクトルを示した。この発光色は原料蛍光体と同一であり組成も同一であった。
【0043】
次に、得られた蛍光体を用いて沈降法によりコーティングウェイト11mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、電圧30kV、ビーム電流200μAの条件で輝度を測定したところ300ft−Lであった。この値は、原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度250ft−Lに比べて20%高い値であった。このように本実施例の蛍光体は、原料蛍光体と比較して、粉体輝度が低いにもかかわらず、陰極線管としての輝度は高くなっている。これは、本実施例の蛍光体の粒子形状が真球に近い形状であることによる。
【0044】
(実施例3)
シュウ酸塩共沈生成物を900℃で分解焼成した後、フラックスを用いずに1400℃で焼成することにより、Eu濃度が5モル%Gd:Eu蛍光体を得た。この原料蛍光体のX線回折を測定したところ、大部分は単斜晶系のGdであったが、最強ピーク比で5%の立方晶系のGdのパターンも観測された。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.5μmであったが、やや凝集ぎみであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン52l/min、酸素27l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.7Aであり、プラズマの平均温度は3500℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ4.2μmであった。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.18の範囲にあった。得られた蛍光体のX線回折を測定したところ、単斜晶系のGdと一致し、立方晶系のGdのパターンは見られず、ほぼ完全に単斜晶系のGd:Eu蛍光体になっていることが確かめられた。得られた蛍光体を波長254nmの紫外線で励起して粉体輝度を測定したところ、原料蛍光体の95%の値であった。
【0045】
次に、得られた蛍光体をニトロセルロースバインダを用いてガラス管内面に塗布することにより、定格40Wの蛍光ランプを作製した。また、原料蛍光体を用いて同様の蛍光ランプを作製した。定格入力下で両者の蛍光ランプの光束を測定したところ、実施例3の蛍光ランプは原料蛍光体の蛍光ランプに比べ3%高い値を示した。
【0046】
(実施例4)
原料として立方晶の結晶系に属するGd:Eu蛍光体を用いた。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.4μmであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷して粉体試料を得た。この蛍光体を水中に懸濁し、超音波洗浄して静置し、上層部分を除去し、吸引ろ過の後に100℃で乾燥して本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン52l/min、酸素27l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.7Aであり、プラズマの平均温度は3500℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.6μmであった。得られた蛍光体の電子顕微鏡写真を図5に示す。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲にあった。この蛍光体は0.2μm以下の超微粒子を0.2重量%含んでいた。この蛍光体のX線回折パターンは原料蛍光体と全く異なり、単斜晶系であることを示していた。この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度1μA/cmの電子線または波長254nmの紫外線で励起して発光スペクトルを測定したところ、主発光波長は623nmであり、発光色度値はx=0.63、y=0.35であった。これらの値は原料蛍光体の主発光波長611nmおよび発光色度値x=0.62、y=0.36から変化していた。
【0047】
次に、得られた蛍光体を用いて沈降法により塗布量7mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を測定したところ、3500ft−Lであった。この値は、1300℃で焼成し急冷して得た単斜晶Gd:Eu蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度2700ft−Lに比べて30%高い値であった。
【0048】
(実施例5)
原料として立方晶の結晶系に属するY:Eu蛍光体を用いた。Eu/Y原子比は4.4%であった。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.2μmであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷しサイクロンで回収することによって真球に近い粒子からなる蛍光体を得た。この蛍光体を水中に懸濁し、超音波洗浄して静置し、上層部分を除去し、吸引ろ過・乾燥した。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン52l/min、酸素27l/min、キャリアガスはアルゴン8l/min、酸素2l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.9Aであり、プラズマの平均温度は3800℃であった。また原料供給速度は15g/minであった。この蛍光体には立方晶の結晶系のほかに、わずかに単斜晶の結晶系の粒子が含まれていた。また、粒径0.2μm以下の超微粒子が0.1重量%含まれていた。この蛍光体を空気中、1100℃で2時間焼成して得られた蛍光体は立方晶の結晶系の粒子のみからなっていた。この蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.8μmであった。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲にあった。超微粒子はいくぶん溶融・結晶成長して粒子表面に付着したが、その量は約0.1%であった。Eu/Y原子比は3.5%であった。
【0049】
この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度1μA/cmの電子線または波長254nmの紫外線で励起して発光スペクトルを測定したところ、主発光波長は611nmであり、原料蛍光体と同一であった。ただし、その発光効率は原料蛍光体に比べ電子線励起で110%、紫外線励起で80%であった。
【0050】
次に、得られた蛍光体を用いて沈降法により塗布量7mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を測定したところ、5300ft−Lであった。この値は、熱プラズマ処理する前の原料蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度4700ft−Lに比べて13%高い値であった。
【0051】
(実施例6)
熱プラズマ処理の原料として立方晶の結晶系に属するGd:Pr蛍光体を用いた。この原料蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.2μmであった。この原料蛍光体を高周波熱プラズマ中に供給して溶融し急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン60l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.7Aであり、プラズマの平均温度は3500℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.8μmであった。電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲にあった。また、この蛍光体のX線回折パターンは原料蛍光体と全く異なり、単斜晶系であることを示していた。この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度1μA/cmの電子線または波長254nmの紫外線で励起して発光スペクトルを測定したところ、緑色の発光色を示し、発光色度値はx=0.31、y=0.51であった。この発光特性は、原料蛍光体が赤色の発光色を示し、発光色度値x=0.64、y=0.28であったのと比較して大幅に変化していた。
【0052】
次に、得られた蛍光体を用いて沈降法により塗布量7mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチ投射型陰極線管を作製した。この陰極線管について、電圧29kV、ビーム電流1500μAの条件で輝度を測定したところ、580ft−Lであった。この値は、1300℃で焼成し急冷して得た単斜晶Gd:Pr蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管の輝度500ft−Lに比べて16%高い値であった。
【0053】
(実施例7)
ガドリニウムとユーロピウムのシュウ酸塩共沈を1000℃で分解焼成してGd:Eu粉末を得た。この粉末のX線回折を測定したところ、立方晶の回折パターンが得られた。次に、この粉末を高周波熱プラズマ中に供給し、溶融急冷することによって本発明に係る蛍光体を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン52l/min、酸素27l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.6Aであり、プラズマの平均温度は3300℃であった。また原料供給速度は15g/minであった。この蛍光体のブレーン法により測定した平均粒径は1.5μmであった。得られた蛍光体の電子顕微鏡写真を図6に示す。電子顕微鏡写真より求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.15の範囲にあった。また、この蛍光体のX線回折ピークの比から立方晶と単斜晶との比を計算すると、単斜晶がほぼ80%含まれていることがわかった。
【0054】
(実施例8)
カラーTV用赤色蛍光体と同じフラックス法で作製したYS:Euを原料として用いた。ただし、Eu/Y原子比は8.0%とした。この原料蛍光体の平均粒径は4.1μmであった。この原料蛍光体を1/40希釈硝酸溶液中で20分間撹拌し水洗した後、吸引ろ過しアルコール置換して乾燥した。この試料に2重量%の硫黄を加え、アルゴン雰囲気の高周波熱プラズマ中に導入し、急冷してサイクロンで回収した。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン60l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.5Aであり、プラズマの平均温度は3000℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた試料に水中で超音波を印加し、静置した後、上層部分を除去して球状粒子を得た。この試料の粒子表面には0.2μm以下の超微粒子が0.5%含まれていた。この試料は灰紫色の体色を呈し、可視光反射率は40%であった。さらに、この試料を硫黄雰囲気中、900℃で1時間焼成して本発明に係る蛍光体を得た。図7にこの蛍光体の電子顕微鏡写真を示す。この蛍光体は平均粒径4.5μmの球状粒子からなっていた。この電子顕微鏡写真から求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.10の範囲にあった。この蛍光体の体色は白色で可視光反射率は94%であった。この蛍光体のX線回折を測定したところ、オキシ硫化物の回折パターンを示していた。この蛍光体のEu/Y原子比は3.7%であった。加速電圧10kV,電流密度0.5μA/cmの条件での電子線励起による発光色はカラーTV用として好適な赤色であった。
【0055】
(比較例1)
カラーTV用赤色蛍光体YS:Euを原料として用いた。Eu/Y原子比は4.1%であった。この原料蛍光体の平均粒径は4.3μmであった。この原料蛍光体を1/40希釈硝酸溶液中で20分間撹拌し水洗した後、吸引ろ過しアルコール置換して乾燥した。この試料を高周波熱プラズマ中に導入し、急冷した。プラズマの条件は実施例8と同一である。得られた試料に水中で超音波を印加し、静置した後、上層部分を除去して球状粒子を得た。この試料は灰紫色の体色を呈し、可視光反射率は8%であった。さらに、この試料を実施例8と同様に硫黄雰囲気中、900℃で1時間焼成した。この蛍光体の体色は白色であったが、Eu/Y原子比は1.8であり、電子線励起による発光色はカラーTV用として不適な橙色であった。
【0056】
(実施例9)
フラックス法で作製した平均粒径5.2μmのGdS:Prを原料として用いた。Pr/Gd原子比は0.06%であった。この原料蛍光体に1/100希釈タモール水溶液を加え、吸引ろ過しアルコール置換して乾燥した。この試料を高周波熱プラズマ中に導入して急冷した。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン60l/min、窒素5l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.4Aであり、プラズマの平均温度は2800℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた試料は超微粒子を1%含んでいた。この試料に水中で超音波を印加し、静置した後、上層部分を除去して超微粒子を0.1%含む球状粒子を得た。この試料は肌色の体色を呈し、可視光反射率は32%であった。さらに、この試料を実施例8と同様に硫黄雰囲気中、900℃で1時間焼成して本発明に係る蛍光体を得た。この蛍光体の表面の一部には約0.1%の超微粒子が融着して残っていた。この蛍光体は平均粒径6.1μmの白色の球状粒子からなり、可視光反射率は93%であった。この蛍光体のX線回折を測定したところ、オキシ硫化物の回折パターンを示していた。Pr/Gd原子比は0.05%であった。電子線励起による発光色は原料と同等の緑色を示した。
【0057】
(実施例10)
フラックス法で作製した平均粒径4.3μmのYS:Tbを原料として用いた。Tb/Y原子比は6.5%であった。この原料蛍光体に1/100希釈タモール水溶液を加え、吸引ろ過しアルコール置換して乾燥した。この試料に3重量%の硫黄を加え、高周波熱プラズマ中に導入して急冷してサイクロンで回収した。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン60l/min、水素2l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.4Aであり、プラズマの平均温度は2800℃であった。また原料供給速度は15g/minであった。得られた試料に水中で超音波を印加し、静置した後、上層部分を除去して球状粒子を得た。この蛍光体には超微粒子が0.05%含まれていた。この試料は肌色の体色を呈し、可視光反射率は50%であった。さらに、この試料を実施例8と同様に硫黄雰囲気中、900℃で1時間焼成して本発明に係る蛍光体を得た。この蛍光体は判別できる超微粒子を0.02%含む平均粒径5.5μmの白色の球状粒子からなり、可視光反射率は91%であった。Tb/Y原子比は3.5%であった。電子線励起による発光スペクトルは544nmnバンドが415nmのバンドより10倍以上強く、投射型陰極線管用蛍光体として好適な緑色を示した。
【0058】
(比較例2)
通常の湿式沈澱・焼成法によりCaWO蛍光体(比較例2)を調製した。ブレーン法により測定したこの蛍光体の平均粒径は4.3μmであった。紫外線または電子線励起したとき、この蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は411nmにあった。色度値はx=0.165、y=0.120であった。
【0059】
(実施例11)
比較例2のCaWO蛍光体を原料とし、高周波熱プラズマ中に供給し、溶融急冷することによって蛍光体(実施例11)を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン55l/min、酸素20l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.2Aであり、プラズマの平均温度は2500℃であった。また原料供給速度は25g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ3.9μmであった。得られた蛍光体の電子顕微鏡写真を図8に示す。この電子顕微鏡写真より求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.08の範囲にあった。得られた蛍光体の粒子表面には原料粒子の部分的な蒸発によって生じた0.2μm以下の同種蛍光体が付着しているが、超音波洗浄を行った後、上澄み液を捨てることによって0.2μm以下の超微粒子を0.1重量%含んだ蛍光体を得た。また、この蛍光体のX線回析パターンは、CaWOのものであることが確かめられた。
【0060】
この蛍光体について紫外線または電子線励起による発光スペクトルを測定したところ、ピーク波長は433nmであり、比較例2の蛍光体のスペクトルに比べて20nm以上も長波長側にずれていた。このため色度値はx=0.173、y=1.44となった。この蛍光体を254nmの紫外線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例2の蛍光体に対して78%であった。また、この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度0.5μA/cmの電子線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例2の蛍光体に対して約102%であった。
【0061】
次に、この蛍光体を用いて沈澱法により、塗布量10mg/cmの蛍光膜を形成して透過率を測定したところ、比較例2の蛍光体を用いて形成した蛍光膜に対して1.7倍の光透過率が得られた。
【0062】
得られた蛍光体を用いて沈降法により塗布量6mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチの陰極線管を作製した。この陰極線管について、加速電圧30kV、ビーム電流500μAの条件で輝度を測定したところ、比較例2の蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管に対して118%であった。
【0063】
(比較例3)
通常の湿式沈澱・焼成法によりCaWO:Pbの蛍光体(比較例3)を製造した。ブレーン法により測定したこの蛍光体の平均粒径は3.6μmであった。紫外線または電子励起によるこの蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は435nmであった。色度値はx=0.172、y=1.169であった。また、励起スペクトルのピーク波長は270nmに位置していた。
【0064】
(実施例12)
比較例3のCaWO:Pb蛍光体を原料とし、高周波熱プラズマ中に供給し、溶融急冷することによって蛍光体(実施例12)を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン55l/min、酸素20l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.2Aであり、プラズマの平均温度は2500℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ、3.1μmであった。また、電子顕微鏡写真より求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.11の範囲にあった。得られた蛍光体を超音波洗浄して上澄み液を捨てることによって0.2μm以下の超微粒子を0.05重量%含んだ蛍光体を得た。また、この蛍光体のX線回析パターンは、CaWO:Pbのものであることが確かめられた。
【0065】
この蛍光体について紫外線または電子線励起による発光スペクトルを測定したところ、ピーク波長は458nmであり、色度値はx=0.180、y=0.186であった。また、励起スペクトルは259nmであり、254nmからのずれはわずかであった。この蛍光体を254nmの紫外線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例3の蛍光体に対して105%であった。また、この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度0.5μA/cmの電子線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例2の蛍光体に対して約103%であった。
【0066】
次に、この蛍光体を用いて沈降法により、塗布量9mg/cmの蛍光膜を形成して透過率を測定したところ、比較例3の蛍光体を用いて形成した蛍光膜に対して1.8倍の光透過率が得られた。
【0067】
(比較例4)
通常の湿式沈澱・焼成法によりMgWO蛍光体(比較例4)を製造した。ブレーン法により測定したこの蛍光体の平均粒径は4.2μmであった。紫外線または電子線励起によるこの蛍光体の発光スペクトルのピーク波長は498nmであった。色度値はx=0.225、y=0.418であった。
【0068】
(実施例13)
比較例4のMgWO蛍光体を原料とし、高周波熱プラズマ中に供給し、溶融急冷することによって蛍光体(実施例13)を得た。プラズマ発生部外囲円筒の径は40mm、プラズマガスはアルゴン55l/min、酸素20l/min、キャリアガスはアルゴン10l/min、冷却ガスはアルゴン30l/min、電源出力はE=10.0kV、I=1.3Aであり、プラズマの平均温度は2700℃であった。また原料供給速度は20g/minであった。得られた蛍光体の平均粒径をブレーン法により測定したところ、4.0μmであった。また、電子顕微鏡写真より求めた個々の蛍光体粒子の長径と短径との比は1.00〜1.07の範囲にあった。得られた蛍光体を超音波洗浄して上澄み液を捨てることによって0.2μm以下の超微粒子を0.2重量%含んだ蛍光体を得た。また、この蛍光体のX線回析パターンは、MgWOのものであることが確かめられた。
【0069】
この蛍光体について紫外線または電子線励起による発光スペクトルを測定したところ、ピーク波長は512nmであり、色度値はx=0.233、y=0.441であった。また、励起スペクトルは254nmよりも短波長側へずれていた。この蛍光体を254nmの紫外線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例4の蛍光体に対して114%であった。また、この蛍光体を加速電圧10kV、電流密度0.5μA/cmの電子線で励起して粉体輝度を測定したところ、比較例4の蛍光体に対して約109%であった。このように、実施例13の蛍光体は比較例4の蛍光体に比べ、励起スペクトルが短波長側にずれることから紫外線励起した場合の吸収が多くなり、発光効率も高くなる。
【0070】
次に、この蛍光体を用いて沈降法により、塗布量12mg/cmの蛍光膜を形成して透過率を測定したところ、比較例4の蛍光体を用いて形成した蛍光膜に対して1.5倍の光透過率が得られた。
【0071】
得られた蛍光体を用いて沈殿法により塗布量6mg/cmの蛍光面を形成し、アルミバックを施した後、電子銃を装着し、排気・封止して7インチの陰極線管を作製した。この陰極線管について、加速電圧30kV、ビーム電流500μAの条件で輝度を測定したところ、比較例4の蛍光体を用いて同様に作製した陰極線管に対して115%であった。
【0072】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明の方法により製造された蛍光体は、粒径が小さく真球に近い形状を有するので、緻密で均質な蛍光面を形成することができ、ひいては輝度の高い陰極線管や蛍光ランプを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の方法を実施するために用いられた製造装置の概念図。
【図2】熱プラズマフレームの温度分布を示す概念図。
【図3】熱プラズマ温度と軸方向の位置を示す概念図。
【図4】本発明の実施例1における蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図5】本発明の実施例4における蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図6】本発明の実施例7における蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図7】本発明の実施例8における蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【図8】本発明の実施例11の蛍光体の粒子構造を示す電子顕微鏡写真。
【符号の説明】
10…プラズマガス、11…粉体供給器、12…キャリアガス供給ボンベ、13…粉体供給口、14…高周波発振器、15…コイル、16…プラズマフレーム、17…反応容器、18…サイクロン、19…プラズマ発生部外囲円筒、20…冷却ガス源。

Claims (4)

  1. Ln23:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表される蛍光体を製造するに際し、プラズマの平均温度が2500℃以上6500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜15μm、個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5の範囲の球状粒子と、球状粒子の表面に0.001〜1重量%の割合で付着した粒径0.2μm以下の超微粒子とを含む蛍光体粒子を形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  2. Ln22S:R(ただし、LnはLa,Gd,LuおよびYからなる群より選択される少なくとも1種の元素、Rはランタニド族より選択される少なくとも1種の元素)の組成式で表される蛍光体を製造するに際し、プラズマの平均温度が2000℃以上6500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜15μm、個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5の範囲の球状粒子と、球状粒子の表面に0.001〜0.5重量%の割合で付着した粒径0.2μm以下の超微粒子とを含む蛍光体粒子を形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  3. MWO4(ただし、MはCaおよびMgのうち少なくとも1種)またはCaWO4:Pbの組成式で表される蛍光体を製造するに際し、プラズマの平均温度が1600℃以上5500℃以下となるようにアルゴン、ヘリウム、クリプトン、ネオン、キセノン、酸素、窒素、水素またはこれらの2種以上の混合ガスを用いて、雰囲気および高周波エネルギーを所定の如く制御した高温プラズマ中で処理し、平均粒径が0.5〜20μm、個々の粒子の長径と短径との比が1.0〜1.5の範囲の球状粒子と、球状粒子の表面に0.001〜5重量%の割合で付着した粒径0.2μm以下の超微粒子とを含む蛍光体粒子を形成することを特徴とする蛍光体の製造方法。
  4. 高温プラズマ中で処理した後に600〜1300℃で再焼成することを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
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