JP3399231B2 - イットリウムシリケート蛍光体の製造方法 - Google Patents
イットリウムシリケート蛍光体の製造方法Info
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Description
ト蛍光体の製造方法に係り、特に、投写管用緑色発光蛍
光体として使用される、γ特性及び温度特性が良好で、
かつ長寿命なイットリウムシリケート蛍光体の製造方法
に関する。
赤のモノクロームCRT3個を用いてスクリーン上に拡
大投写し、カラー映像を写し出す投写型ディスプレイが
使用されている。大画面であって、しかも高輝度の映像
を実現するには、モノクロームCRT(投写管)の蛍光
面には高電圧、高電流が印加して使用される。その為に
蛍光面を構成する蛍光体には次のような特性が要求され
る。
は、高電流を流しても輝度が飽和しない輝度−電流特性
(γ特性)の良好な蛍光体が望まれる。これは、大画面
上にしかも高輝度に拡大投写する必要からの条件であ
る。
る蛍光体である。(温度特性)投写管用蛍光体には上述
したように極めて大きな電力が投入される。これは通常
のCRTに比べ、およそ1000倍程度にも達する。そ
の為に、発光に使用されなかったエネルギーは全て熱を
発生する。その結果、投写管内部の蛍光体は100℃以
上にも加熱されることとなり、高温でも輝度低下の起こ
りにくい蛍光体であることが要求される。
寿命である。さらに、このような大電流が流されて使用
される為に、結晶の破壊の起こり難くい安定した結晶構
造の蛍光体であることが要求される。
成される希土類蛍光体は、一般的にこれらの(1)〜
(3)の特性に優れているため投写管用に適しており、
投写管用緑色発光蛍光体としてテルビウムで付活された
高温度下での使用に比較的強いシリケート系蛍光体であ
る組成式がY2SiO5:Tbとして表現されるイットリ
ウムシリケート蛍光体が用いらる。
体は上述した(1)〜(3)の特性を満たし、現在投写
管用緑色蛍光体として最も実用的な蛍光体の一つである
が、本発明の課題は、これらの特性を更に改善できるイ
ットリウムシリケート蛍光体を提供することにある。す
なわち、輝度−電流特性(γ特性)、温度特性、寿命特
性が更に良好であるイットリウムシリケート蛍光体を提
供することを目的とする。
解決するには蛍光体そのものの結晶安定性を改善するこ
とがポイントであると考えた。そして、特に、希土類酸
化物原料の粒子的性質に着目して、これが最終の蛍光体
の上述した発光性能に大きく影響すると考え、多くの希
土類酸化物の粒子について鋭意検討した結果、蛍光体原
料として最適な粒子形状、粒径、粒度分布が存在し、最
適な焼成温度と組み合わせることで、上述した課題を解
決できることを見いだし本発明を完成させるに至った。
ト蛍光体の製造方法は、希土類酸化物と二酸化ケイ素か
らなる混合原料を焼成するイットリウムシリケート蛍光
体の製造方法において、前記希土類酸化物は、次の条件
を満たし、粒子形状が球状で粒のそろった粒度分布を持
ち、前記混合原料を1400℃〜1650℃の範囲でフ
ラックスを添加せずに焼成することを特徴とする。 Dl/Ds≦1.5 2.0≦Da≦6.0 2.0≦Dm≦12.0 1.0≦Dm/Da≦2.0 0≦σlog≦0.30 ここで、Dlは粒子の長径(μm)、Dsは短径(μ
m)、Daは平均粒径(μm)、Dmは中央粒径(μ
m)、σlogは粒度分布の広がりを示す指標である。
(Y)と、テルビウム(Tb)、またはCe(セリウ
ム)から選ばれる少なくとも1種の共沈酸化物である場
合、Tb付活のイットリウムシリケート(Y2SiO5:
Tb蛍光体)、Ce付活イットリウムシリケート蛍光体
(Y2SiO5:Ce蛍光体)とすることができる。
化物の粒子の特徴は、粒子形状が球形であり、粒子の大
きさが2.0〜6.0μm程度であり、粒のそろった粒
度分布を持つことが特徴である。このような粒子の特徴
を持つ希土類酸化物は、特開平3−271117号、特
開平3−271118号、及び特開平8−59233号
公報に開示される方法により得ることができる。
は、希土類イオンと蓚酸イオンとの反応において、反応
開始から濾別、水洗までの間、−5℃以上20℃以下に
保つとともに有機塩基の共存下に希土類蓚酸塩を沈殿さ
せ、濾別水洗後−5℃以上20℃以下の水蒸気未飽和の
空気流中におくこと、または、−20℃以上20℃以下
での真空乾燥あるいは凍結真空乾燥によって付着水を除
去した後、焼成する方法が開示されている。本発明にお
いて、これらの方法により得られる球状希土類酸化物を
そのまま利用することはできるが、この方法に限るもの
ではない。また、この酸化物を分級することによりさら
に粒度分布のシャープな希土類酸化物粒子を得ることが
できる。
シリカと化学量論比で混合し、フラックス(融剤)を使
用せず、1400℃〜1650℃の高温で、電気炉、坩
堝、或いは焼成量等の条件にもよるが、2〜10時間焼
成することで、本発明の蛍光体を得ることができる。
とにより、焼成時のSiO2(シリカ)との反応が均一
となり、イットリウムシリケート蛍光体の異常成長が起
こり難く、高温度であるに関わらずフラックスを使用せ
ずに均質な製品を焼成することができる。また、球状で
あるためにSiO2との乾式混合が均一に行われ、その
結果、焼成品の組成のばらつきが小さくなる。球状であ
ることは、粒子を顕微鏡でみると分かるが、形状を客観
的な指標で評価するには、希土類酸化物粒子の顕微鏡写
真の代表的な複数個の粒子の長径Dlと、短径Dsを測定
して、Dl/Dsの値を計算し、Dl/Ds≦1.5の関係
を満たす範囲であることが球状の範囲であり、焼成反応
に良好に作用する。
γ特性)の関係をプロットする。ここで、相対γ特性と
は次のように定義する。測定サンプル蛍光面をデマンタ
ブル装置に装着し、0.05μA/cm2の電流密度の
電子線で蛍光面を走査したときの基準蛍光体に対する相
対発光輝度L0.05を測定し、50μA/cm2の電流密
度の電子線で蛍光面を走査したときの基準蛍光体に対す
る相対発光輝度L50を測定した場合、γ=L50/L0.05
×100%を相対γ特性として定義する。図1より、D
l/Dsの値が1に近づくに従い、すなわち真球に近づく
ほどγ特性が向上していることが分かる。Dl/Dsの値
は1.5以下で相対γ特性は101%を越えて効果が確
認できるようになる。
は、蛍光体の目標粒径に依存する。蛍光体を大きくする
場合は希土類酸化物の粒径を大きくすることで可能とな
る。希土類酸化物の粒径は下式の範囲が適当である。 2.0≦Da≦6.0 2.0≦Dm≦12.0 ここでDaは空気透過法であるFisher Sub−S
ieve Sizerを用いて測定される平均径であ
り、Daは酸化物の比表面積から測定され、顕微鏡写真
でみる大小関係に近い粒子径に相当し、基本粒径という
ことができる。これに対しDmは電気抵抗法の粒度分布
測定装置であるELZONE80xyを用いて測定され
る中央粒径である。これは測定原理から分散状態にある
か凝集状態にあるかの知見を含んだ粒径ということがで
きる。
くなり、このことは凝集傾向にあることを示している。
それで、Dm/Daの値は1に近いほど高い分散状態にあ
ることを意味する。希土類酸化物はSiO2と理想的に
混合される為には分散性が高い方が望ましい。凝集すれ
ば、SiO2との均一な混合は行われない。Dm/Daの
値はγ特性にも影響を与えるが、特に温度特性を改善す
るのに効果がある。
ットする。ここで、温度特性は常温での発光輝度に対す
る、110℃の温度下の相対発光輝度であり、測定セル
を加熱しながら輝度を測定する。図2はこれを各Dm/
Daの値に対し測定した。図2より、Dm/Daの値が1
に近づくに従い、すなわち分散性が良いほど温度特性が
向上していることが分かる。Dm/Daの値は温度特性が
95%以上となる範囲、すなわち、1.0≦Dm/Da≦
2.0の範囲であることが好ましい。
要件の一つに粒度分布がシャープであることがある。す
なわち、希土類酸化物の粒子の粒がそろっていることが
重要である。そのことでSiO2との均一な混合が成さ
れ、焼成されるイットリウムシリケートの発光性能を向
上することができる。粒度分布がシャープであることを
示す指標としてσlogを用いて表現することができる。
ここで、σlogは次式で定義された値である。
値、Piは相対頻度、logはeを底とする自然対数で
ある。
濁液として、電気抵抗式の粒度分布測定装置であるEL
ZONE80xyを用いて希土類酸化物の重量基準分布
を測定して、コンピューターにより上記式を計算して求
める。
値の標準偏差値であり、これが小さいほど粒度分布はシ
ャープである。本発明において、希土類酸化物粒子のσ
logの値は上述した発光性能の全てにおいて向上するこ
とができるが、特に温度特性の向上に効果がある。
トする。Dm/Daの値が1に近づくに従い、すなわち粒
度分布がシャープなほど分散性が良いほど温度特性が向
上している。σlogの値は温度特性が90%以上の値を
示す範囲、すなわち、0≦σl og≦0.3の範囲である
ことが好ましい。
蛍光体は、1400℃〜1650℃の高温度で焼成しす
る。しかも焼成時にフラックス(融剤)を一切使用しな
い。もし、多量のフラックスを使用する蛍光体の場合、
反応が比較的均質に起こり、しかも、もっと低温で焼成
できるが、この蛍光体では、フラックス成分の残留が蛍
光体の発光性能を低下することからフラックスを使用し
ない。それで、特に蛍光体原料混合物が高度に均一に混
合されたものでなければ異常反応が起こりやすくなる。
この異常反応を防ぐには、希土類酸化物はより均一に混
合され易いことが重要である。そのことで、発光性能の
優れたイットリウムシリケート蛍光体を得ることができ
る。
装着し、30kvの電圧、8.6μA/cm2の電流密
度の電子線で250時間走査した場合の輝度維持率
(%)で定義する。
ートである蛍光体ならば、効果があり、例えば、付活剤
がTbであるY2SiO5:Tb蛍光体だけでなく、付活
剤がCeであるY2SiO5:Ce蛍光体の発光性能を向
上することができる。Tb、Ce以外の付活剤であって
も同様である。
子特性を持つ希土類酸化物を100gに対し、 Dl/Ds=1.1 Da=3.4 Dm=5.7 Dm/Da=1.68 σlog=0.244 SiO2(シリカ)(Da=0.5、Dm=0.8)を2
7gをボールミルにより混合して、坩堝に詰め、還元雰
囲気で1580℃で4時間焼成した。得られた蛍光体を
通常行う分散、水洗、乾燥し、篩いを通して、Y1.84T
b0.14SiO5蛍光体を得た。電流特性、温度特性、寿
命特性を測定し結果を表1にまとめる。
成で、次の粒子特性を持つ希土類酸化物を、 Dl/Ds=1.1 Da=2.3 Dm=4.2 Dm/Da=1.83 σlog=0.271 とすること以外、実施例1と同様にしてイットリウムシ
リケート蛍光体を得た。電流特性、温度特性、寿命特性
を測定し結果を表1にまとめる。
成で、次の粒子特性を持つ希土類酸化物を、 Dl/Ds=1.1 Da=5.4 Dm=8.4 Dm/Da=1.75 σlog=0.250 とすること以外、実施例1と同様にしてイットリウムシ
リケート蛍光体を得た。電流特性、温度特性、寿命特性
を測定し結果を表1にまとめる。
成で、次の粒子特性を持つ希土類酸化物を、 Dl/Ds=1.8 Da=3.4 Dm=11.1 Dm/Da=3.26 σlog=0.386 とすること以外、実施例1と同様にしてイットリウムシ
リケート蛍光体を得た。電流特性、温度特性、寿命特性
を測定し結果を表1にまとめる。
光体の結晶の結晶性を向上することで、高電流を流して
も輝度飽和の少ないγ特性の良好な、高温でも輝度低下
の起こりにくい、温度特性が良好で高付加の条件で励起
発光されても長寿命であるイットリウムシリケート蛍光
体が得られる。
いはそれ以外の高電流密度で使用される用途の蛍光膜に
用いられた場合、高性能な陰極線管を提供することがで
きる。
酸化物である場合、投写管用に適したY2SiO5:Tb
蛍光体を得ることができる。
図。
Claims (3)
- 【請求項1】 希土類酸化物と二酸化ケイ素からなる混
合原料を焼成するイットリウムシリケート蛍光体の製造
方法において、 前記希土類酸化物は、次の条件を満たし、粒子形状が球
状で粒のそろった粒度分布を持ち、前記混合原料を14
00℃〜1650℃の範囲でフラックスを添加せずに焼
成することを特徴とするイットリウムシリケート蛍光体
の製造方法。 Dl/Ds≦1.5 2.0≦Da≦6.0 2.0≦Dm≦12.0 1.0≦Dm/Da≦2.0 0≦σlog≦0.30 ここで、Dlは粒子の長径(μm)、Dsは短径(μ
m)、Daは平均粒径(μm)、Dmは中央粒径(μ
m)、σlogは粒度分布の広がりを示す指標である。 - 【請求項2】 前記希土類酸化物は、イットリウム
(Y)と、テルビウム(Tb)、またはCe(セリウ
ム)から選ばれる少なくとも1種の共沈酸化物であるこ
とを特徴とする請求項1に記載のイットリウムシリケー
ト蛍光体の製造方法。 - 【請求項3】 請求項1に記載のイットリウムシリケー
ト蛍光体の製造方法により得られるイットリウムシリケ
ート蛍光体において、そのγ特性が93.8%以上、温
度特性が94.2%以上、寿命特性が89.1%以上で
あることを特徴とするイットリウムシリケート蛍光体。
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