JP2004123786A - 表示装置用蛍光体とその製造方法、およびそれを用いたカラー表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】CRTなどのカラー表示装置に用いられる蛍光体、特に青色発光や緑色発光の硫化亜鉛蛍光体において、散乱などにより生じる低電圧側の電子線による不要な発光を抑え、カラー表示装置のコントラスト特性を高める。
【解決手段】表示装置用蛍光体1は、例えば硫化亜鉛からなる蛍光体母体中に、第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた硫化亜鉛蛍光体からなる。このような蛍光体1において、第2の付活剤は蛍光体母体粒子2中に均一に分散しており、かつ第1の付活剤3は蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在している。粒子表層部2aに過剰に存在する第1の付活剤3によって、低電圧側の電子線は濃度消光を起こして輝度が低下する。
【選択図】 図1
【解決手段】表示装置用蛍光体1は、例えば硫化亜鉛からなる蛍光体母体中に、第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた硫化亜鉛蛍光体からなる。このような蛍光体1において、第2の付活剤は蛍光体母体粒子2中に均一に分散しており、かつ第1の付活剤3は蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在している。粒子表層部2aに過剰に存在する第1の付活剤3によって、低電圧側の電子線は濃度消光を起こして輝度が低下する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー陰極線管などに用いられる表示装置用蛍光体とその製造方法、およびそれを用いたカラー表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア時代の到来に伴って、デジタルネットワークのコア機器となるディスプレイ装置には、大画面化や高精細化などが求められている。ディスプレイ装置としては陰極線管(CRT)を使用した装置が広く使用されている。CRTに関してはハイビジョン用テレビや高精細ディスプレイ管などが開発されており、画像の大画面・高品質化や高精細化などが進められている。また、CRTに代わる薄型のディスプレイ装置として、電界放出型冷陰極などの電子放出素子を用いた電界放出型表示装置(FED)の研究、開発が進められている。FEDは基本的な表示原理がCRTと同じであり、明るさ、コントラスト、色再現性などの基本的な表示性能に加えて、視野角が広い、応答速度が速い、消費電力が小さいなどの特徴を有する。
【0003】
上述したCRTやFEDなどのディスプレス装置は、フルカラー表示を可能とするために、青色発光、緑色発光および赤色発光の各蛍光体を含む蛍光膜を有している。ディスプレス装置用の青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体としては、一般に硫化亜鉛(ZnS)を蛍光体母体とする硫化亜鉛蛍光体が用いられている。例えば、青色発光蛍光体には硫化亜鉛に第1の付活剤としてAgを含有させると共に、第2の付活剤としてAlやClを含有させた硫化亜鉛蛍光体が、また緑色発光蛍光体には硫化亜鉛に第1の付活剤としてCuやAuを含有させると共に、第2の付活剤としてAlを含有させた硫化亜鉛蛍光体が使用されている。
【0004】
ところで、CRTでは大画面・高品質化や高精細化などが進められており、さらに表示性能を高めるために高コントラスト化することが求められている。このような点に対して、従来は硫化亜鉛蛍光体の残渣特性(蛍光膜形成時に生じる残渣の抑制)を高めたり(例えば、特許文献1参照)、また硫化亜鉛蛍光体の電流飽和特性を改善する(例えば、特許文献2参照)などによって、CRTの大画面・高品質化や高精細化への対応を図っているものの、蛍光膜自体によるコントラスト特性の改善については十分な対応がなされていないのが現状である。
【0005】
すなわち、例えば高精細化したCRTでは電子線の散乱などによって、目的以外の蛍光体(例えば隣接した蛍光体)が発光しやすい傾向が強まっている。散乱などによって生じる低エネルギーの電子線(低電圧の電子線)で、目的以外の蛍光体まで発光すると、微弱な光であってもコントラスト特性に対しては悪影響を及ぼすことになる。低電圧の電子線による不要な発光は、特に硫化亜鉛蛍光体を用いた青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体で問題になっている。
【0006】
このようなことから、低電圧の電子線による蛍光体、特に青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体の不要な発光を抑えることによって、CRTなどのディスプレス装置のコントラスト特性を高めることが強く望まれている。なお、CRTのコントラスト特性の改善については、蛍光体に顔料を付着させる方法やパネル前面の反射率を下げる方法などが実用化されているものの、このような方法ではCRTの高精細化などに起因するコントラスト特性の低下に対しては十分に対処することができない。
【0007】
一方、FEDなどの加速電圧が低い電子線で蛍光膜を励起する表示装置に使用される蛍光体(低電圧用蛍光体)に関しては、蛍光体母体(ZnS)の表面に金属塩や金属酸化物をコーティングした後に400〜800℃の温度で熱処理することによって、蛍光体母体の表面に付活剤をドーピングする技術が知られている(特許文献3参照)。ここでは、蛍光体母体(ZnS)の表面に付活剤としてMn、Cu、Au、Agなどをドープしている。この付活剤のドーピング技術は、あくまでも浸透深さが浅い低電圧の電子線による発光効率を高めるものであり、硫化亜鉛蛍光体の低電圧の電子線による不要な発光を抑えるものではない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−212475号公報
【特許文献2】
特開平7−188653号公報
【特許文献3】
特許第2914631号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、CRTなどのディスプレス装置の高精細化や高品質化などに伴って、例えば散乱による低電圧側の電子線が目的以外の蛍光体まで発光させ、このような不要な発光がディスプレス装置のコントラスト特性の低下要因となっている。このようなことから、低電圧側の電子線による青色発光もしくは緑色発光蛍光体の不要な発光を抑え、これによってCRTなどのディスプレス装置のコントラスト特性を高めることが求められている。さらに、高コントラスト化には蛍光体の発光輝度自体の向上も有効であることから、高電圧側の電子線(本来の設定電圧の電子線)による蛍光体の輝度特性の改善が望まれている。
【0010】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、CRTなどのカラー表示装置に用いられる蛍光体、特に青色発光もしくは緑色発光蛍光体の低電圧の電子線による不要な発光を抑えることを可能にした表示装置用蛍光体を提供することを目的としており、またそのような表示装置用蛍光体を用いることによって、コントラスト特性などの表示特性を向上させたカラー表示装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、CRTなどの表示装置に使用される蛍光体、特に青色および緑色発光蛍光体の低電圧側の電子線による不要な発光を抑制するために、蛍光体母体(例えば硫化亜鉛)に対する付活剤濃度やその濃度分布などについて検討した結果、電子線により直接的に励起される第2の付活剤を蛍光体母体中に均一に分散させた上で、この第2の付活剤の励起エネルギーに基づいて発光する第1の付活剤を蛍光体母体の表層部に偏在させることによって、浸透深さが浅い低電圧側の電子線による発光効率を低下させることができ、さらには高電圧側の電子線では発光効率を高めることが可能であることを見出した。
【0012】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。本発明の表示装置用蛍光体は、請求項1に記載したように、蛍光体母体中に第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた表示装置用蛍光体において、前記第2の付活剤は前記蛍光体母体粒子中に均一に分散されており、かつ前記第1の付活剤は前記蛍光体母体粒子の表層部に偏在していることを特徴としている。本発明の表示装置用蛍光体において、蛍光体母体には例えば立方晶を主体とする結晶構造を有する硫化亜鉛が用いられる。また、このような蛍光体母体に添加する第1の付活剤には、例えばAg、CuおよびAuから選ばれる少なくとも1種が用いられ、かつ第2の付活剤にはAlおよびClから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0013】
また、本発明のカラー表示装置は、請求項8に記載したように、青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体とを含む蛍光膜と、前記蛍光膜に電子線を照射して発光させる電子源と、前記電子源と蛍光膜を真空封止する外囲器とを具備するカラー表示装置において、前記蛍光膜は上述した本発明の表示装置用蛍光体を、前記青色発光蛍光体および前記緑色発光蛍光体の少なくとも一方として含むことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の表示装置用蛍光体の概略構成を説明するための図である。図1(a)に示す表示装置用蛍光体1は、例えば硫化亜鉛からなる蛍光体母体粒子2を有し、蛍光体母体粒子2中には図示を省略した第2の付活剤が均一に分散されている。さらに、蛍光体母体粒子2の表層部2aには、第1の付活剤3が局所的にドープされており、これらによって表示装置用蛍光体1が構成されている。
【0016】
表示装置用蛍光体1には、加速電圧が例えば5〜35kVの電子線を照射した際に、例えば青色や緑色に発光する硫化亜鉛蛍光体が用いられる。このような硫化亜鉛を母体とする硫化亜鉛蛍光体は、蛍光体母体としての硫化亜鉛中に含有させる付活剤の種類や量に基づいて所望の発光色が得られる。例えば、第1の付活剤としてAgを含有させると共に、第2の付活剤としてAlやClを含有させることによって、青色の発光色を得ることができる。また、第1の付活剤としてCuやAuを含有させると共に、第2の付活剤としてAlを含有させることによって、緑色の発光色を得ることができる。
【0017】
また、蛍光体母体としての硫化亜鉛は、発光輝度や発光色度の点から立方晶を主体する結晶構造を有することが好ましい。ここで、立方晶を主体する結晶構造とは、硫化亜鉛の結晶構造中における立方晶の比率が50%以上であることを意味する。結晶構造中の立方晶の比率は80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%以上である。特に、硫化亜鉛の実質的に全ての結晶構造を立方晶とすることが望ましい。硫化亜鉛蛍光体の結晶構造は、一般的に使用されているX線回折により測定することができる。すなわち、X線回折ピークにおいて、立方晶系は(111)面にピークが現れるのに対し、それ以外の例えば六方晶系では(100)面および(002)面のピークが現れるため、このピークが現れる方位によって、本発明で意図する立方晶の結晶構造を有していることが確認できる。
【0018】
青色発光の硫化亜鉛蛍光体の具体例としては、
一般式:ZnS:Aga,Mb
(式中、MはAlおよびClから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦a≦2×10−3g、1×10−5≦b≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する蛍光体が挙げられる。
【0019】
ここで、Agは発光中心(Luminescence center)を形成する第1の付活剤(主付活剤)であり、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜2×10−3gの範囲で含有させることが好ましい。第1の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また2×10−3gを超えても発光輝度や発光色度が低下する。第1の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して3×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは5×10−5〜1×10−3gの範囲である。
【0020】
また、AlやClは電子線により直接的に励起される第2の付活剤(共付活剤)であり、このような第2の付活剤の励起エネルギーで第1の付活剤を発光させることによって、硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:Ag)の発光輝度を高めることができる。第2の付活剤の含有量は、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜5×10−3gの範囲とすることが好ましい。第2の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また5×10−3gを超えても発光輝度が低下し、また発光色度も劣化する。第2の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜2×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0021】
緑色発光の硫化亜鉛蛍光体の具体例としては、
一般式:ZnS:Cuc,Aud,Ale
(式中、c、dおよびeは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦c≦1×10−3g、0≦d≦2×10−3g、1×10−5≦c+d≦2×10−3g、1×10−5≦e≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する蛍光体が挙げられる。
【0022】
CuやAuは発光中心(Luminescence center)を形成する第1の付活剤(主付活剤)であり、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対してCuは1×10−5〜1×10−3gの範囲、またAuは0〜2×10−3gの範囲で含有させることが好ましい。これら第1の付活剤の含有量が上記した範囲を外れると、発光輝度や発光色度が低下する。なお、第1の付活剤はCuまたはCuとAuの組合せのいずれかとし、CuとAuの組合せを適用する場合にはこれらの合計量が1×10−5〜2×10−3gの範囲となるように調整する。
【0023】
第1の付活剤としてのCuの含有量は、硫化亜鉛1gに対して3×10−5〜5×10−4gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは5×10−5〜3×10−4gの範囲である。また、第1の付活剤としてのAuの含有量は、硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−5gの範囲である。さらに、これらCuとAuの合計量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0024】
また、Alは電子線により直接的に励起される第2の付活剤(共付活剤)であり、このような第2の付活剤の励起エネルギーで第1の付活剤を発光させることによって、硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:CuやZnS:Cu,Au)の発光輝度を高めることができる。第2の付活剤の含有量は、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜5×10−3gの範囲とすることが好ましい。第2の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また5×10−3gを超えても発光輝度が低下し、また発光色度も劣化する。第2の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜2×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0025】
上述した硫化亜鉛蛍光体などからなる表示装置用蛍光体1において、硫化亜鉛などからなる蛍光体母体粒子2中には、例えばAlやClなどの第2の付活剤が均一に分散されている。ここで、第2の付活剤を蛍光体母体粒子2中に均一に分散させた状態とは、蛍光体母体粒子2の内部における第2の付活剤濃度(表面から深さ方向の濃度分布)を測定した際に、おおよそ一定の濃度分布を示すものであり、蛍光体母体としての硫化亜鉛を形成する材料と第2の付活剤を形成する材料とを均一に混合して焼成するなどにより得られるものである。
【0026】
そして、Ag、Cu、Auなどの第1の付加剤3は、蛍光体母体粒子2の表層部2aに選択的にドープされており、これによって図1(a)に示したように第1の付加剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させている。ここで、第1の付活剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させた状態(表層部2aに局所的に過剰に存在させた状態)とは、図1(b)に示すように、第1の付活剤3の濃度が蛍光体母体粒子(例えば硫化亜鉛粒子)2の内部2bに比べて表層部2aで高い状態を示すものとする。第1の付活剤3を偏在させる表層部2aの厚さは特に規定されるものではないが、例えば表面から蛍光体母体粒子2の深さ方向に2μmまでの範囲とすることが好ましい。なお、上記した第1の付活剤の含有量は、このような粒子表層部2aに偏在させた第1の付活剤3の量を、蛍光体母体粒子2の全質量で平均化した値を示すものである。
【0027】
上述したように、電子線により励起される第2の付活剤については蛍光体母体粒子2中に均一に分散させ、その上で発光中心を形成する第1の付活剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させることによって、低電圧側の電子線による不要な発光を抑えることができる。すなわち、散乱などによって生じる低電圧の電子線は、蛍光体粒子に対する侵入深さが浅いため、第1の付活剤3が偏在する粒子表層部2aでエネルギーを放出する。従って、過剰に存在する第1の付活剤3によって濃度消光を起こすため、発光輝度を低下させることができる。
【0028】
電子線の電圧を上げていくにつれて、蛍光体粒子に対する電子線の侵入深さが深くなることから、電子線のエネルギーは蛍光体の粒子内部で放出されるようになる。従って、本来の設定電圧を有する電子線(高電圧側の電子線)が照射された場合には、濃度消光の影響が減って発光輝度が向上する。さらに、本発明では電子線により励起される第2の付活剤を蛍光体母体粒子2中に均一に分散させ、この第2の付活剤の励起エネルギーで粒子表層部2aに過剰に存在する第1の付活剤3を発光させているため、設定電圧の電子線による発光効率を高めることができる。これは第1の付活剤の含有量にも影響されるため、低電圧側の電子線による発光効率を抑えた上で、本来の高電圧側の電子線による発光効率が向上するように、第1の付活剤の含有量を調整することが好ましい。
【0029】
このように、本発明の表示装置用蛍光体によれば、散乱などによって生じる低電圧側の電子線による不要な発光が抑制され、さらに本来の高電圧側の電子線による発光効率を向上させることができる。低電圧側の電子線による不要な発光の抑制はカラー表示装置の高コントラスト化に大きく寄与するものである。また、高電圧側の電子線による発光効率の向上は、カラー表示装置の高コントラスト化、高精細化、高品質化などに寄与する。すなわち、本発明の表示装置用蛍光体によれば、例えば青色発光または緑色発光の硫化亜鉛蛍光体の高コントラスト化と高輝度化を両立させることが可能となる。
【0030】
上述したような本発明の表示装置用蛍光体は、例えば以下のようにして製造される。まず、蛍光体母体である硫化亜鉛原料に対して、所定量の第2の付活剤原料を添加し、さらに塩化カリウムや塩化マグネシウムなどのフラックスを必要に応じて添加し、これらを湿式混合する。具体的には、イオン交換水に蛍光体原料を分散させてスラリー状とし、これに第2の付活剤原料およびフラックスを添加し、常法の撹拌機で混合する。混合時間は第2の付活剤が均一に分散するように設定する。次いで、蛍光体原料と第2の付活剤などを含むスラリーをパットなどの乾燥容器に移し、常法の乾燥機で乾燥させて蛍光体原料とする。
【0031】
このような蛍光体原料を適当量の硫黄と活性炭素と共に、石英るつぼなどの耐熱容器に充填する。この際、硫黄は乾燥された蛍光体原料とブレンダなどを使用して例えば30〜180分程度混合し、この混合材料を耐熱容器に充填した後、その表面を覆うようにすることが好ましい。これを硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気などの硫化性雰囲気中、あるいは還元性雰囲気(例えば3〜5%水素−残部窒素の雰囲気)中で焼成する。
【0032】
焼成条件は蛍光体母体(ZnS)の結晶構造を制御する上で重要であり、目的とする立方晶を主体とする結晶構造を得る上で焼成温度は800〜1020℃の範囲とすることが好ましい。焼成温度が800℃未満であると、硫化亜鉛の結晶粒を十分に成長させることができない。一方、焼成温度が1020℃を超えると例えば六方晶が生成し、相対的に立方晶の比率が低下してしまう。焼成時間は設定した焼成温度にもよるが、30〜360分とすることが好ましい。
【0033】
次に、得られた焼成物をイオン交換水などで水洗し、これを乾燥した後に、さらに必要に応じて粗大粒子を除去するための篩別などを実施することによって、第2の付活剤を均一に分散させた硫化亜鉛(例えばZnS:Al)粉末を得る。次いで、この硫化亜鉛粒子の表層部に第1の付活剤をドープする。第1の付活剤のドープ工程は、例えば以下のようにして実施される。
【0034】
すなわち、第2の付活剤を均一に分散させた硫化亜鉛粉末を、イオン交換水中に分散させてスラリー状とし、これに所定量の第1の付活剤原料を添加し、常法の撹拌機で混合する。混合時間は第1の付活剤原料が十分に分散し、硫化亜鉛粒子の表面に良好に付着すればよく、例えば10〜30分程度行えばよい。このように、硫化亜鉛粒子と第1の付活剤の原料とを湿式混合した後、スラリーをパットなどの乾燥容器に移し、常法の乾燥機で例えば130℃で20hr程度乾燥する。
【0035】
そして、上記した第1の付活剤原料を表面に付着させた硫化亜鉛(第2の付活剤を含有する硫化亜鉛)粉末を、例えば硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気などの硫化性雰囲気、あるいは還元性雰囲気中で焼成することによって、第1の付活剤を硫化亜鉛粒子の表層部にドープする。この際の焼成条件は、蛍光体母体である硫化亜鉛の結晶構造が立方晶を維持するように、上述した蛍光体原料(硫化亜鉛と第2の付活剤との混合物)の焼成条件と同様とする。
【0036】
この後、得られた焼成物を十分にイオン交換水などで水洗し、これを乾燥(例えば120℃で20hr)し、さらに必要に応じて粗大粒子を除去するための篩別などを実施することによって、目的とする硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:Ag,Al蛍光体やZnS:Cu,Al蛍光体など)が得られる。そして、上述したような焼成工程を経ることによって、第2の付活剤を蛍光体粒子中に均一に分散させ、かつ第1の付活剤を蛍光体粒子の表層部に偏在させることができる。
【0037】
本発明の表示装置用蛍光体は、蛍光体の励起源として加速電圧が5〜35kVの範囲の電子線を用いるカラー表示装置、例えばカラー陰極線管(カラーCRT)に用いられる。特に、本発明の表示装置用蛍光体は低電圧側の発光効率を低下させているため、加速電圧が8kV以上の電子線を用いたカラー表示装置、さらには加速電圧が10kV以上の電子線を用いたカラー表示装置に好適である。本発明の表示装置用蛍光体をCRTなどに使用することによって、高コントラスト化を図った上で、高精細化や高品質化を図ることが可能となる。
【0038】
本発明のカラー表示装置は、上述したような本発明の表示装置用蛍光体を青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の少なくとも一方に用いると共に、蛍光体の励起源として上述したような加速電圧を有する電子線を用いたものであり、例えばカラーCRTが挙げられる。図2は本発明のカラー表示装置をカラーCRTに適用した一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【0039】
同図に示すカラーCRT(カラーブラウン管)10は、フェイスプレートとして軟質ガラスなどからなるガラスパネル11を有している。ガラスパネル11の内面には蛍光膜12が形成されている。蛍光膜12は赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体をそれぞれドット状またはストライプ状に配置した形状を有する。ドット状の蛍光膜はコンピュータディスプレイ用のカラーCRT(CDT)に対して有効である。ストライプ状の蛍光膜はカラーテレビジョン用のカラーCRT(CPT)に対して有効である。
【0040】
ガラスパネル11の内側には、その内面に形成された蛍光膜12に対して所定の間隙をもってシャドウマスク13が対向配置されている。シャドウマスク13には、図示を省略した細孔またはスリットが多数形成されている。シャドウマスク13は、マスクフレーム14やフレームホルダ15を介して、ガラスパネル11の開口部近傍に封着固定されたパネルピン16により支持されている。
【0041】
さらに、ガラスパネル11にはファンネル部17を介してネック部18が接続されており、これらにより外囲器としてのガラスバルブが構成されている。ネック部18内には電子源として電子銃19が配置されており、この電子銃19から出射された電子ビームは偏向ヨーク20などにより走査され、その状態でシャドウマスク13の細孔やスリットを通過した後に蛍光膜12に照射される。
【0042】
図2に示すカラーCRT10においては、電子線照射により発光する蛍光膜12の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の少なくとも一方として、本発明の蛍光体(例えば硫化亜鉛蛍光体)が用いられている。なお、赤色発光蛍光体には各種公知の蛍光体を使用することができる。カラーCRT10は青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体に高コントラスト化と高輝度化を両立させた本発明の蛍光体を適用しているため、これに基づいて表示特性の向上(大画面・高品質化、高精細化、高コントラスト化など)を図ることができる。
【0043】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0044】
実施例1
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0045】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硝酸銀(AgNO3)0.95gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硝酸銀を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0046】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Ag,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Ag,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してAgが6×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0047】
さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMA(X線マイクロアナライザー)により測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0048】
実施例2
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硝酸銀(AgNO3)の量を0.64gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Ag,Al蛍光体を作製した。このZnS:Ag,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してAgが4×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0049】
実施例3
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硝酸銀(AgNO3)の量を0.32gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Ag,Al蛍光体を作製した。このZnS:Ag,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してAgが2×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0050】
比較例1
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸銀(AgNO3)0.95gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、青色発光のZnS:Ag,Al蛍光体を得た。
【0051】
得られたZnS:Ag,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Ag,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してAgが6×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0052】
上記した実施例1〜3および比較例1の各青色発光蛍光体を用いて蛍光体膜をそれぞれ形成し、得られた各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化を測定、評価した。その結果を図3に示す。なお、各蛍光体膜はポリビニルアルコールを含む水溶液中に各蛍光体を分散させてスラリーとし、これらのスラリーを回転塗布機でガラス基板上に塗布することにより形成した。回転塗布機の回転数とスラリー粘度を調整することによって、各蛍光体膜の膜厚は3×10−3mg/mm3とした。発光輝度は、各蛍光体膜に加速電圧25kV、電流密度1×10−3A/mm2の電子線を基準とし、加速電圧を変化させた電子線を順に照射して測定した。各輝度は比較例1による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求めた。
【0053】
図3から明らかなように、実施例1〜3による青色発光蛍光体(硫化亜鉛蛍光体)は、低電圧側の電子線励起では比較例1の青色発光蛍光体に比べて輝度が低いことが分かる。これは前述したように蛍光体粒子の表層部に偏在させているAg(第1の付活剤)に基づく濃度消光によるものである。一方、電子線の励起電圧を上げていくと、実施例1〜3による青色発光蛍光体の発光輝度は上昇する。そして、Ag含有量を適切に設定することによって、高電圧側での電子線励起時には高輝度化を達成することが可能となる。
【0054】
実施例4
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0055】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硫酸銅を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0056】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Cu,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0057】
さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0058】
実施例5
上記した実施例4において、ZnS:Al粉末に付着させる硫酸銅(CuSO4・5H2O)の量を0.40gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Cu,Al蛍光体を作製した。このZnS:Cu,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してCuが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0059】
実施例6
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硫酸銅(CuSO4・5H2O)の量を1.00gとする以外は、実施例4と同様にしてZnS:Cu,Al蛍光体を作製した。このZnS:Cu,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してCuが2.5×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0060】
比較例2
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×60分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、緑色発光のZnS:Cu,Al蛍光体を得た。
【0061】
得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0062】
実施例7
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0063】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.40gと塩化金酸(H[AuCl4]・4H2O)0.21gとを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硫酸銅と塩化金酸を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0064】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Cu,Au,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Au,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Au,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1×10−4g、Auが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0065】
さらに、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体中のCuとAuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、CuとAuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Au,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0066】
比較例3
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gと塩化金酸(H[AuCl4]・4H2O)0.21gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×60分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、緑色発光のZnS:Cu,Au,Al蛍光体を得た。
【0067】
得られたZnS:Cu,Au,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Au,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Auが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体中のCuとAuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Cu,Au,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0068】
上記した実施例4〜6および比較例2の各緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)、さらに実施例7および比較例3の各緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Au,Al蛍光体)を用いて蛍光体膜をそれぞれ形成し、得られた各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化を測定、評価した。その結果を図4および図5に示す。なお、各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化は、上述した青色発光蛍光体と同様にして測定した。実施例4〜6の輝度は比較例2による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求め、実施例7の輝度は比較例3による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求めた。
【0069】
図4および図5から明らかなように、実施例4〜7による緑色発光蛍光体(硫化亜鉛蛍光体)は、低電圧側での電子線励起では比較例2および比較例3の緑色発光蛍光体に比べて輝度が低いことが分かる。これは前述したように蛍光体粒子の表層部に偏在させているCu(第1の付活剤)に基づく濃度消光によるものである。一方、電子線の励起電圧を上げていくと、実施例4〜7による緑色発光蛍光体の発光輝度は上昇する。そして、Cu含有量を適切に設定することによって、高電圧側での電子線励起時には高輝度化を達成することが可能となる。
【0070】
実施例8
実施例1による青色発光蛍光体(ZnS:Ag,Al蛍光体)と、実施例4による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)と、赤色発光蛍光体(Y2O2S:Eu,Tb蛍光体(Eu付活量=6%,Tb付活量=20ppm))をそれぞれ用いて、蛍光膜形成用の蛍光体スラリーを調製した。これら各蛍光体スラリーを使用して、14インチのガラスパネルの内面に蛍光膜を形成し、さらに常法によりカラー陰極線管を作製した。このようなカラー陰極線管を後述する特性評価に供した。
【0071】
比較例4
比較例1による青色発光蛍光体(ZnS:Ag,Al蛍光体)と、比較例2による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)と、赤色発光蛍光体(Y2O2S:Eu,Tb蛍光体(Eu付活量=6%,Tb付活量=20ppm))をそれぞれ用いて、蛍光膜形成用の蛍光体スラリーを調製した。これら各蛍光体スラリーを使用して、14インチのガラスパネルの内面に蛍光膜を形成し、さらに常法によりカラー陰極線管を作製した。このようなカラー陰極線管を後述する特性評価に供した。
【0072】
上述した実施例8および比較例4による各カラー陰極線管を用いて、それぞれ以下のようにして画像のコントラストを測定、評価した。まず、各カラー陰極線管の白色輝度((9300K+27MPCD)の明るさに必要なカソードの合計電流=Wib)と暗部輝度を測定した。各測定は図6に示すように、電子ビームの白色バーを映出する走査幅を、蛍光面の垂直軸(Y)を中心として水平軸(X)方向に23.8mmとし、中心点(O)で白色輝度を測定した。また、カソードの合計電流を300μAとした際に、蛍光面の中心点(O)から水平軸(X)方向に35mm離れた点(A)と70mm離れた点(B)で、黒レベル輝度を暗部輝度として測定した。白色輝度および暗部輝度は比較例を基準として相対的に求めた。これらの値を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の暗部輝度の値(実施例は比較例に対して低下)から明らかなように、本発明の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体を用いた実施例8のカラー陰極線管は、従来の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体を用いた比較例4に比べて、高コントラスト化されていることが分かる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の表示装置用蛍光体によれば、低電圧の電子線による不要な発光を抑えることができる。このような本発明の表示装置用蛍光体を例えば青色もしくは緑色発光蛍光体として用いたCRTなどのカラー表示装置によれば、例えば高精細化や高品質化などを図った上で、コントラスト特性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置用蛍光体の構成および第1の付活剤の分布状態を示す図である。
【図2】本発明のカラー表示装置をカラー陰極線管に適用した一実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例による青色発光蛍光体の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Au,Al蛍光体)の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図6】カラー陰極線管のコントラスト特性の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1……表示装置用蛍光体,2……蛍光体母体粒子,2a……表層部,3……第1の付活剤,10……カラーCRT,11……ガラスパネル,12……蛍光膜,17……ファンネル部,18……ネック部,19……電子銃
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー陰極線管などに用いられる表示装置用蛍光体とその製造方法、およびそれを用いたカラー表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
マルチメディア時代の到来に伴って、デジタルネットワークのコア機器となるディスプレイ装置には、大画面化や高精細化などが求められている。ディスプレイ装置としては陰極線管(CRT)を使用した装置が広く使用されている。CRTに関してはハイビジョン用テレビや高精細ディスプレイ管などが開発されており、画像の大画面・高品質化や高精細化などが進められている。また、CRTに代わる薄型のディスプレイ装置として、電界放出型冷陰極などの電子放出素子を用いた電界放出型表示装置(FED)の研究、開発が進められている。FEDは基本的な表示原理がCRTと同じであり、明るさ、コントラスト、色再現性などの基本的な表示性能に加えて、視野角が広い、応答速度が速い、消費電力が小さいなどの特徴を有する。
【0003】
上述したCRTやFEDなどのディスプレス装置は、フルカラー表示を可能とするために、青色発光、緑色発光および赤色発光の各蛍光体を含む蛍光膜を有している。ディスプレス装置用の青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体としては、一般に硫化亜鉛(ZnS)を蛍光体母体とする硫化亜鉛蛍光体が用いられている。例えば、青色発光蛍光体には硫化亜鉛に第1の付活剤としてAgを含有させると共に、第2の付活剤としてAlやClを含有させた硫化亜鉛蛍光体が、また緑色発光蛍光体には硫化亜鉛に第1の付活剤としてCuやAuを含有させると共に、第2の付活剤としてAlを含有させた硫化亜鉛蛍光体が使用されている。
【0004】
ところで、CRTでは大画面・高品質化や高精細化などが進められており、さらに表示性能を高めるために高コントラスト化することが求められている。このような点に対して、従来は硫化亜鉛蛍光体の残渣特性(蛍光膜形成時に生じる残渣の抑制)を高めたり(例えば、特許文献1参照)、また硫化亜鉛蛍光体の電流飽和特性を改善する(例えば、特許文献2参照)などによって、CRTの大画面・高品質化や高精細化への対応を図っているものの、蛍光膜自体によるコントラスト特性の改善については十分な対応がなされていないのが現状である。
【0005】
すなわち、例えば高精細化したCRTでは電子線の散乱などによって、目的以外の蛍光体(例えば隣接した蛍光体)が発光しやすい傾向が強まっている。散乱などによって生じる低エネルギーの電子線(低電圧の電子線)で、目的以外の蛍光体まで発光すると、微弱な光であってもコントラスト特性に対しては悪影響を及ぼすことになる。低電圧の電子線による不要な発光は、特に硫化亜鉛蛍光体を用いた青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体で問題になっている。
【0006】
このようなことから、低電圧の電子線による蛍光体、特に青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体の不要な発光を抑えることによって、CRTなどのディスプレス装置のコントラスト特性を高めることが強く望まれている。なお、CRTのコントラスト特性の改善については、蛍光体に顔料を付着させる方法やパネル前面の反射率を下げる方法などが実用化されているものの、このような方法ではCRTの高精細化などに起因するコントラスト特性の低下に対しては十分に対処することができない。
【0007】
一方、FEDなどの加速電圧が低い電子線で蛍光膜を励起する表示装置に使用される蛍光体(低電圧用蛍光体)に関しては、蛍光体母体(ZnS)の表面に金属塩や金属酸化物をコーティングした後に400〜800℃の温度で熱処理することによって、蛍光体母体の表面に付活剤をドーピングする技術が知られている(特許文献3参照)。ここでは、蛍光体母体(ZnS)の表面に付活剤としてMn、Cu、Au、Agなどをドープしている。この付活剤のドーピング技術は、あくまでも浸透深さが浅い低電圧の電子線による発光効率を高めるものであり、硫化亜鉛蛍光体の低電圧の電子線による不要な発光を抑えるものではない。
【0008】
【特許文献1】
特開平10−212475号公報
【特許文献2】
特開平7−188653号公報
【特許文献3】
特許第2914631号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、CRTなどのディスプレス装置の高精細化や高品質化などに伴って、例えば散乱による低電圧側の電子線が目的以外の蛍光体まで発光させ、このような不要な発光がディスプレス装置のコントラスト特性の低下要因となっている。このようなことから、低電圧側の電子線による青色発光もしくは緑色発光蛍光体の不要な発光を抑え、これによってCRTなどのディスプレス装置のコントラスト特性を高めることが求められている。さらに、高コントラスト化には蛍光体の発光輝度自体の向上も有効であることから、高電圧側の電子線(本来の設定電圧の電子線)による蛍光体の輝度特性の改善が望まれている。
【0010】
本発明はこのような課題に対処するためになされたもので、CRTなどのカラー表示装置に用いられる蛍光体、特に青色発光もしくは緑色発光蛍光体の低電圧の電子線による不要な発光を抑えることを可能にした表示装置用蛍光体を提供することを目的としており、またそのような表示装置用蛍光体を用いることによって、コントラスト特性などの表示特性を向上させたカラー表示装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、CRTなどの表示装置に使用される蛍光体、特に青色および緑色発光蛍光体の低電圧側の電子線による不要な発光を抑制するために、蛍光体母体(例えば硫化亜鉛)に対する付活剤濃度やその濃度分布などについて検討した結果、電子線により直接的に励起される第2の付活剤を蛍光体母体中に均一に分散させた上で、この第2の付活剤の励起エネルギーに基づいて発光する第1の付活剤を蛍光体母体の表層部に偏在させることによって、浸透深さが浅い低電圧側の電子線による発光効率を低下させることができ、さらには高電圧側の電子線では発光効率を高めることが可能であることを見出した。
【0012】
本発明はこのような知見に基づいてなされたものである。本発明の表示装置用蛍光体は、請求項1に記載したように、蛍光体母体中に第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた表示装置用蛍光体において、前記第2の付活剤は前記蛍光体母体粒子中に均一に分散されており、かつ前記第1の付活剤は前記蛍光体母体粒子の表層部に偏在していることを特徴としている。本発明の表示装置用蛍光体において、蛍光体母体には例えば立方晶を主体とする結晶構造を有する硫化亜鉛が用いられる。また、このような蛍光体母体に添加する第1の付活剤には、例えばAg、CuおよびAuから選ばれる少なくとも1種が用いられ、かつ第2の付活剤にはAlおよびClから選ばれる少なくとも1種が用いられる。
【0013】
また、本発明のカラー表示装置は、請求項8に記載したように、青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体とを含む蛍光膜と、前記蛍光膜に電子線を照射して発光させる電子源と、前記電子源と蛍光膜を真空封止する外囲器とを具備するカラー表示装置において、前記蛍光膜は上述した本発明の表示装置用蛍光体を、前記青色発光蛍光体および前記緑色発光蛍光体の少なくとも一方として含むことを特徴としている。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
【0015】
図1は本発明の表示装置用蛍光体の概略構成を説明するための図である。図1(a)に示す表示装置用蛍光体1は、例えば硫化亜鉛からなる蛍光体母体粒子2を有し、蛍光体母体粒子2中には図示を省略した第2の付活剤が均一に分散されている。さらに、蛍光体母体粒子2の表層部2aには、第1の付活剤3が局所的にドープされており、これらによって表示装置用蛍光体1が構成されている。
【0016】
表示装置用蛍光体1には、加速電圧が例えば5〜35kVの電子線を照射した際に、例えば青色や緑色に発光する硫化亜鉛蛍光体が用いられる。このような硫化亜鉛を母体とする硫化亜鉛蛍光体は、蛍光体母体としての硫化亜鉛中に含有させる付活剤の種類や量に基づいて所望の発光色が得られる。例えば、第1の付活剤としてAgを含有させると共に、第2の付活剤としてAlやClを含有させることによって、青色の発光色を得ることができる。また、第1の付活剤としてCuやAuを含有させると共に、第2の付活剤としてAlを含有させることによって、緑色の発光色を得ることができる。
【0017】
また、蛍光体母体としての硫化亜鉛は、発光輝度や発光色度の点から立方晶を主体する結晶構造を有することが好ましい。ここで、立方晶を主体する結晶構造とは、硫化亜鉛の結晶構造中における立方晶の比率が50%以上であることを意味する。結晶構造中の立方晶の比率は80%以上であることが好ましく、さらに好ましくは95%以上である。特に、硫化亜鉛の実質的に全ての結晶構造を立方晶とすることが望ましい。硫化亜鉛蛍光体の結晶構造は、一般的に使用されているX線回折により測定することができる。すなわち、X線回折ピークにおいて、立方晶系は(111)面にピークが現れるのに対し、それ以外の例えば六方晶系では(100)面および(002)面のピークが現れるため、このピークが現れる方位によって、本発明で意図する立方晶の結晶構造を有していることが確認できる。
【0018】
青色発光の硫化亜鉛蛍光体の具体例としては、
一般式:ZnS:Aga,Mb
(式中、MはAlおよびClから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦a≦2×10−3g、1×10−5≦b≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する蛍光体が挙げられる。
【0019】
ここで、Agは発光中心(Luminescence center)を形成する第1の付活剤(主付活剤)であり、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜2×10−3gの範囲で含有させることが好ましい。第1の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また2×10−3gを超えても発光輝度や発光色度が低下する。第1の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して3×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは5×10−5〜1×10−3gの範囲である。
【0020】
また、AlやClは電子線により直接的に励起される第2の付活剤(共付活剤)であり、このような第2の付活剤の励起エネルギーで第1の付活剤を発光させることによって、硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:Ag)の発光輝度を高めることができる。第2の付活剤の含有量は、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜5×10−3gの範囲とすることが好ましい。第2の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また5×10−3gを超えても発光輝度が低下し、また発光色度も劣化する。第2の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜2×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0021】
緑色発光の硫化亜鉛蛍光体の具体例としては、
一般式:ZnS:Cuc,Aud,Ale
(式中、c、dおよびeは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦c≦1×10−3g、0≦d≦2×10−3g、1×10−5≦c+d≦2×10−3g、1×10−5≦e≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する蛍光体が挙げられる。
【0022】
CuやAuは発光中心(Luminescence center)を形成する第1の付活剤(主付活剤)であり、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対してCuは1×10−5〜1×10−3gの範囲、またAuは0〜2×10−3gの範囲で含有させることが好ましい。これら第1の付活剤の含有量が上記した範囲を外れると、発光輝度や発光色度が低下する。なお、第1の付活剤はCuまたはCuとAuの組合せのいずれかとし、CuとAuの組合せを適用する場合にはこれらの合計量が1×10−5〜2×10−3gの範囲となるように調整する。
【0023】
第1の付活剤としてのCuの含有量は、硫化亜鉛1gに対して3×10−5〜5×10−4gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは5×10−5〜3×10−4gの範囲である。また、第1の付活剤としてのAuの含有量は、硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−5gの範囲である。さらに、これらCuとAuの合計量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜1.5×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0024】
また、Alは電子線により直接的に励起される第2の付活剤(共付活剤)であり、このような第2の付活剤の励起エネルギーで第1の付活剤を発光させることによって、硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:CuやZnS:Cu,Au)の発光輝度を高めることができる。第2の付活剤の含有量は、蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して1×10−5〜5×10−3gの範囲とすることが好ましい。第2の付活剤の含有量が硫化亜鉛1gに対して1×10−5g未満であっても、また5×10−3gを超えても発光輝度が低下し、また発光色度も劣化する。第2の付活剤の含有量は硫化亜鉛1gに対して5×10−5〜2×10−3gの範囲とすることがより好ましく、さらに好ましくは1×10−4〜1×10−3gの範囲である。
【0025】
上述した硫化亜鉛蛍光体などからなる表示装置用蛍光体1において、硫化亜鉛などからなる蛍光体母体粒子2中には、例えばAlやClなどの第2の付活剤が均一に分散されている。ここで、第2の付活剤を蛍光体母体粒子2中に均一に分散させた状態とは、蛍光体母体粒子2の内部における第2の付活剤濃度(表面から深さ方向の濃度分布)を測定した際に、おおよそ一定の濃度分布を示すものであり、蛍光体母体としての硫化亜鉛を形成する材料と第2の付活剤を形成する材料とを均一に混合して焼成するなどにより得られるものである。
【0026】
そして、Ag、Cu、Auなどの第1の付加剤3は、蛍光体母体粒子2の表層部2aに選択的にドープされており、これによって図1(a)に示したように第1の付加剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させている。ここで、第1の付活剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させた状態(表層部2aに局所的に過剰に存在させた状態)とは、図1(b)に示すように、第1の付活剤3の濃度が蛍光体母体粒子(例えば硫化亜鉛粒子)2の内部2bに比べて表層部2aで高い状態を示すものとする。第1の付活剤3を偏在させる表層部2aの厚さは特に規定されるものではないが、例えば表面から蛍光体母体粒子2の深さ方向に2μmまでの範囲とすることが好ましい。なお、上記した第1の付活剤の含有量は、このような粒子表層部2aに偏在させた第1の付活剤3の量を、蛍光体母体粒子2の全質量で平均化した値を示すものである。
【0027】
上述したように、電子線により励起される第2の付活剤については蛍光体母体粒子2中に均一に分散させ、その上で発光中心を形成する第1の付活剤3を蛍光体母体粒子2の表層部2aに偏在させることによって、低電圧側の電子線による不要な発光を抑えることができる。すなわち、散乱などによって生じる低電圧の電子線は、蛍光体粒子に対する侵入深さが浅いため、第1の付活剤3が偏在する粒子表層部2aでエネルギーを放出する。従って、過剰に存在する第1の付活剤3によって濃度消光を起こすため、発光輝度を低下させることができる。
【0028】
電子線の電圧を上げていくにつれて、蛍光体粒子に対する電子線の侵入深さが深くなることから、電子線のエネルギーは蛍光体の粒子内部で放出されるようになる。従って、本来の設定電圧を有する電子線(高電圧側の電子線)が照射された場合には、濃度消光の影響が減って発光輝度が向上する。さらに、本発明では電子線により励起される第2の付活剤を蛍光体母体粒子2中に均一に分散させ、この第2の付活剤の励起エネルギーで粒子表層部2aに過剰に存在する第1の付活剤3を発光させているため、設定電圧の電子線による発光効率を高めることができる。これは第1の付活剤の含有量にも影響されるため、低電圧側の電子線による発光効率を抑えた上で、本来の高電圧側の電子線による発光効率が向上するように、第1の付活剤の含有量を調整することが好ましい。
【0029】
このように、本発明の表示装置用蛍光体によれば、散乱などによって生じる低電圧側の電子線による不要な発光が抑制され、さらに本来の高電圧側の電子線による発光効率を向上させることができる。低電圧側の電子線による不要な発光の抑制はカラー表示装置の高コントラスト化に大きく寄与するものである。また、高電圧側の電子線による発光効率の向上は、カラー表示装置の高コントラスト化、高精細化、高品質化などに寄与する。すなわち、本発明の表示装置用蛍光体によれば、例えば青色発光または緑色発光の硫化亜鉛蛍光体の高コントラスト化と高輝度化を両立させることが可能となる。
【0030】
上述したような本発明の表示装置用蛍光体は、例えば以下のようにして製造される。まず、蛍光体母体である硫化亜鉛原料に対して、所定量の第2の付活剤原料を添加し、さらに塩化カリウムや塩化マグネシウムなどのフラックスを必要に応じて添加し、これらを湿式混合する。具体的には、イオン交換水に蛍光体原料を分散させてスラリー状とし、これに第2の付活剤原料およびフラックスを添加し、常法の撹拌機で混合する。混合時間は第2の付活剤が均一に分散するように設定する。次いで、蛍光体原料と第2の付活剤などを含むスラリーをパットなどの乾燥容器に移し、常法の乾燥機で乾燥させて蛍光体原料とする。
【0031】
このような蛍光体原料を適当量の硫黄と活性炭素と共に、石英るつぼなどの耐熱容器に充填する。この際、硫黄は乾燥された蛍光体原料とブレンダなどを使用して例えば30〜180分程度混合し、この混合材料を耐熱容器に充填した後、その表面を覆うようにすることが好ましい。これを硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気などの硫化性雰囲気中、あるいは還元性雰囲気(例えば3〜5%水素−残部窒素の雰囲気)中で焼成する。
【0032】
焼成条件は蛍光体母体(ZnS)の結晶構造を制御する上で重要であり、目的とする立方晶を主体とする結晶構造を得る上で焼成温度は800〜1020℃の範囲とすることが好ましい。焼成温度が800℃未満であると、硫化亜鉛の結晶粒を十分に成長させることができない。一方、焼成温度が1020℃を超えると例えば六方晶が生成し、相対的に立方晶の比率が低下してしまう。焼成時間は設定した焼成温度にもよるが、30〜360分とすることが好ましい。
【0033】
次に、得られた焼成物をイオン交換水などで水洗し、これを乾燥した後に、さらに必要に応じて粗大粒子を除去するための篩別などを実施することによって、第2の付活剤を均一に分散させた硫化亜鉛(例えばZnS:Al)粉末を得る。次いで、この硫化亜鉛粒子の表層部に第1の付活剤をドープする。第1の付活剤のドープ工程は、例えば以下のようにして実施される。
【0034】
すなわち、第2の付活剤を均一に分散させた硫化亜鉛粉末を、イオン交換水中に分散させてスラリー状とし、これに所定量の第1の付活剤原料を添加し、常法の撹拌機で混合する。混合時間は第1の付活剤原料が十分に分散し、硫化亜鉛粒子の表面に良好に付着すればよく、例えば10〜30分程度行えばよい。このように、硫化亜鉛粒子と第1の付活剤の原料とを湿式混合した後、スラリーをパットなどの乾燥容器に移し、常法の乾燥機で例えば130℃で20hr程度乾燥する。
【0035】
そして、上記した第1の付活剤原料を表面に付着させた硫化亜鉛(第2の付活剤を含有する硫化亜鉛)粉末を、例えば硫化水素雰囲気、硫黄蒸気雰囲気などの硫化性雰囲気、あるいは還元性雰囲気中で焼成することによって、第1の付活剤を硫化亜鉛粒子の表層部にドープする。この際の焼成条件は、蛍光体母体である硫化亜鉛の結晶構造が立方晶を維持するように、上述した蛍光体原料(硫化亜鉛と第2の付活剤との混合物)の焼成条件と同様とする。
【0036】
この後、得られた焼成物を十分にイオン交換水などで水洗し、これを乾燥(例えば120℃で20hr)し、さらに必要に応じて粗大粒子を除去するための篩別などを実施することによって、目的とする硫化亜鉛蛍光体(例えばZnS:Ag,Al蛍光体やZnS:Cu,Al蛍光体など)が得られる。そして、上述したような焼成工程を経ることによって、第2の付活剤を蛍光体粒子中に均一に分散させ、かつ第1の付活剤を蛍光体粒子の表層部に偏在させることができる。
【0037】
本発明の表示装置用蛍光体は、蛍光体の励起源として加速電圧が5〜35kVの範囲の電子線を用いるカラー表示装置、例えばカラー陰極線管(カラーCRT)に用いられる。特に、本発明の表示装置用蛍光体は低電圧側の発光効率を低下させているため、加速電圧が8kV以上の電子線を用いたカラー表示装置、さらには加速電圧が10kV以上の電子線を用いたカラー表示装置に好適である。本発明の表示装置用蛍光体をCRTなどに使用することによって、高コントラスト化を図った上で、高精細化や高品質化を図ることが可能となる。
【0038】
本発明のカラー表示装置は、上述したような本発明の表示装置用蛍光体を青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の少なくとも一方に用いると共に、蛍光体の励起源として上述したような加速電圧を有する電子線を用いたものであり、例えばカラーCRTが挙げられる。図2は本発明のカラー表示装置をカラーCRTに適用した一実施形態の要部構成を示す断面図である。
【0039】
同図に示すカラーCRT(カラーブラウン管)10は、フェイスプレートとして軟質ガラスなどからなるガラスパネル11を有している。ガラスパネル11の内面には蛍光膜12が形成されている。蛍光膜12は赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体および青色発光蛍光体をそれぞれドット状またはストライプ状に配置した形状を有する。ドット状の蛍光膜はコンピュータディスプレイ用のカラーCRT(CDT)に対して有効である。ストライプ状の蛍光膜はカラーテレビジョン用のカラーCRT(CPT)に対して有効である。
【0040】
ガラスパネル11の内側には、その内面に形成された蛍光膜12に対して所定の間隙をもってシャドウマスク13が対向配置されている。シャドウマスク13には、図示を省略した細孔またはスリットが多数形成されている。シャドウマスク13は、マスクフレーム14やフレームホルダ15を介して、ガラスパネル11の開口部近傍に封着固定されたパネルピン16により支持されている。
【0041】
さらに、ガラスパネル11にはファンネル部17を介してネック部18が接続されており、これらにより外囲器としてのガラスバルブが構成されている。ネック部18内には電子源として電子銃19が配置されており、この電子銃19から出射された電子ビームは偏向ヨーク20などにより走査され、その状態でシャドウマスク13の細孔やスリットを通過した後に蛍光膜12に照射される。
【0042】
図2に示すカラーCRT10においては、電子線照射により発光する蛍光膜12の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の少なくとも一方として、本発明の蛍光体(例えば硫化亜鉛蛍光体)が用いられている。なお、赤色発光蛍光体には各種公知の蛍光体を使用することができる。カラーCRT10は青色発光蛍光体や緑色発光蛍光体に高コントラスト化と高輝度化を両立させた本発明の蛍光体を適用しているため、これに基づいて表示特性の向上(大画面・高品質化、高精細化、高コントラスト化など)を図ることができる。
【0043】
【実施例】
次に、本発明の具体的な実施例について説明する。
【0044】
実施例1
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0045】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硝酸銀(AgNO3)0.95gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硝酸銀を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0046】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Ag,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Ag,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してAgが6×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0047】
さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMA(X線マイクロアナライザー)により測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0048】
実施例2
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硝酸銀(AgNO3)の量を0.64gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Ag,Al蛍光体を作製した。このZnS:Ag,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してAgが4×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0049】
実施例3
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硝酸銀(AgNO3)の量を0.32gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Ag,Al蛍光体を作製した。このZnS:Ag,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してAgが2×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Agは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0050】
比較例1
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸銀(AgNO3)0.95gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、青色発光のZnS:Ag,Al蛍光体を得た。
【0051】
得られたZnS:Ag,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Ag,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してAgが6×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Ag,Al蛍光体中のAgとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Ag,Al蛍光体(青色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0052】
上記した実施例1〜3および比較例1の各青色発光蛍光体を用いて蛍光体膜をそれぞれ形成し、得られた各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化を測定、評価した。その結果を図3に示す。なお、各蛍光体膜はポリビニルアルコールを含む水溶液中に各蛍光体を分散させてスラリーとし、これらのスラリーを回転塗布機でガラス基板上に塗布することにより形成した。回転塗布機の回転数とスラリー粘度を調整することによって、各蛍光体膜の膜厚は3×10−3mg/mm3とした。発光輝度は、各蛍光体膜に加速電圧25kV、電流密度1×10−3A/mm2の電子線を基準とし、加速電圧を変化させた電子線を順に照射して測定した。各輝度は比較例1による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求めた。
【0053】
図3から明らかなように、実施例1〜3による青色発光蛍光体(硫化亜鉛蛍光体)は、低電圧側の電子線励起では比較例1の青色発光蛍光体に比べて輝度が低いことが分かる。これは前述したように蛍光体粒子の表層部に偏在させているAg(第1の付活剤)に基づく濃度消光によるものである。一方、電子線の励起電圧を上げていくと、実施例1〜3による青色発光蛍光体の発光輝度は上昇する。そして、Ag含有量を適切に設定することによって、高電圧側での電子線励起時には高輝度化を達成することが可能となる。
【0054】
実施例4
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0055】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硫酸銅を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0056】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Cu,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0057】
さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0058】
実施例5
上記した実施例4において、ZnS:Al粉末に付着させる硫酸銅(CuSO4・5H2O)の量を0.40gとする以外は、実施例1と同様にしてZnS:Cu,Al蛍光体を作製した。このZnS:Cu,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してCuが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0059】
実施例6
上記した実施例1において、ZnS:Al粉末に付着させる硫酸銅(CuSO4・5H2O)の量を1.00gとする以外は、実施例4と同様にしてZnS:Cu,Al蛍光体を作製した。このZnS:Cu,Al蛍光体も立方晶の結晶構造を有していることが確認された。また、各付活剤の含有量はZnS1gに対してCuが2.5×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子の全体に均一に分布しているのに対して、Cuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0060】
比較例2
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×60分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、緑色発光のZnS:Cu,Al蛍光体を得た。
【0061】
得られたZnS:Cu,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Al蛍光体中のCuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Cu,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0062】
実施例7
まず、硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×90分とした。
【0063】
次いで、上記した焼成物を水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、ZnS:Al粉末を得た。得られたZnS:Al粉末に対して、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.40gと塩化金酸(H[AuCl4]・4H2O)0.21gとを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。このようにして硫酸銅と塩化金酸を付着させた化合物(ZnS:Al)粉末に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×30分とした。
【0064】
この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、目的とする緑色発光のZnS:Cu,Au,Al蛍光体を得た。得られたZnS:Cu,Au,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Au,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1×10−4g、Auが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。
【0065】
さらに、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体中のCuとAuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、Alは蛍光体粒子中に均一に分布しているのに対して、CuとAuは蛍光体粒子の表層部に偏在していることが確認された。このようなZnS:Cu,Au,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0066】
比較例3
硫化亜鉛(ZnS)1000gに、硫酸銅(CuSO4・5H2O)0.68gと塩化金酸(H[AuCl4]・4H2O)0.21gと硝酸アルミニウム(Al(NO3)3・9H2O)13.5gを適当量の水と共に添加し、十分に混合した後に乾燥した。得られた蛍光体原料に、硫黄および活性炭素を適当量添加して石英るつぼに充填し、これを還元性雰囲気中で焼成した。焼成条件は970℃×60分とした。この後、上記した焼成物を十分に水洗および乾燥し、さらに篩別することによって、緑色発光のZnS:Cu,Au,Al蛍光体を得た。
【0067】
得られたZnS:Cu,Au,Al蛍光体のX線回折を実施したところ、立方晶の結晶構造を有していることが確認された。このZnS:Cu,Au,Al蛍光体の各付活剤の含有量は、ZnS1gに対してCuが1.7×10−4g、Auが1×10−4g、Alが9×10−4gであった。さらに、ZnS:Cu,Au,Al蛍光体中のCuとAuとAlの分布をEPMAにより測定、評価したところ、いずれも蛍光体粒子中に均一に分布していることが確認された。このようなZnS:Cu,Au,Al蛍光体(緑色発光蛍光体)を後述する特性評価に供した。
【0068】
上記した実施例4〜6および比較例2の各緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)、さらに実施例7および比較例3の各緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Au,Al蛍光体)を用いて蛍光体膜をそれぞれ形成し、得られた各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化を測定、評価した。その結果を図4および図5に示す。なお、各蛍光体膜の励起電圧による発光輝度の変化は、上述した青色発光蛍光体と同様にして測定した。実施例4〜6の輝度は比較例2による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求め、実施例7の輝度は比較例3による蛍光体膜の輝度を100としたときの相対値として求めた。
【0069】
図4および図5から明らかなように、実施例4〜7による緑色発光蛍光体(硫化亜鉛蛍光体)は、低電圧側での電子線励起では比較例2および比較例3の緑色発光蛍光体に比べて輝度が低いことが分かる。これは前述したように蛍光体粒子の表層部に偏在させているCu(第1の付活剤)に基づく濃度消光によるものである。一方、電子線の励起電圧を上げていくと、実施例4〜7による緑色発光蛍光体の発光輝度は上昇する。そして、Cu含有量を適切に設定することによって、高電圧側での電子線励起時には高輝度化を達成することが可能となる。
【0070】
実施例8
実施例1による青色発光蛍光体(ZnS:Ag,Al蛍光体)と、実施例4による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)と、赤色発光蛍光体(Y2O2S:Eu,Tb蛍光体(Eu付活量=6%,Tb付活量=20ppm))をそれぞれ用いて、蛍光膜形成用の蛍光体スラリーを調製した。これら各蛍光体スラリーを使用して、14インチのガラスパネルの内面に蛍光膜を形成し、さらに常法によりカラー陰極線管を作製した。このようなカラー陰極線管を後述する特性評価に供した。
【0071】
比較例4
比較例1による青色発光蛍光体(ZnS:Ag,Al蛍光体)と、比較例2による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)と、赤色発光蛍光体(Y2O2S:Eu,Tb蛍光体(Eu付活量=6%,Tb付活量=20ppm))をそれぞれ用いて、蛍光膜形成用の蛍光体スラリーを調製した。これら各蛍光体スラリーを使用して、14インチのガラスパネルの内面に蛍光膜を形成し、さらに常法によりカラー陰極線管を作製した。このようなカラー陰極線管を後述する特性評価に供した。
【0072】
上述した実施例8および比較例4による各カラー陰極線管を用いて、それぞれ以下のようにして画像のコントラストを測定、評価した。まず、各カラー陰極線管の白色輝度((9300K+27MPCD)の明るさに必要なカソードの合計電流=Wib)と暗部輝度を測定した。各測定は図6に示すように、電子ビームの白色バーを映出する走査幅を、蛍光面の垂直軸(Y)を中心として水平軸(X)方向に23.8mmとし、中心点(O)で白色輝度を測定した。また、カソードの合計電流を300μAとした際に、蛍光面の中心点(O)から水平軸(X)方向に35mm離れた点(A)と70mm離れた点(B)で、黒レベル輝度を暗部輝度として測定した。白色輝度および暗部輝度は比較例を基準として相対的に求めた。これらの値を表1に示す。
【0073】
【表1】
【0074】
表1の暗部輝度の値(実施例は比較例に対して低下)から明らかなように、本発明の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体を用いた実施例8のカラー陰極線管は、従来の青色発光蛍光体および緑色発光蛍光体を用いた比較例4に比べて、高コントラスト化されていることが分かる。
【0075】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の表示装置用蛍光体によれば、低電圧の電子線による不要な発光を抑えることができる。このような本発明の表示装置用蛍光体を例えば青色もしくは緑色発光蛍光体として用いたCRTなどのカラー表示装置によれば、例えば高精細化や高品質化などを図った上で、コントラスト特性を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態による表示装置用蛍光体の構成および第1の付活剤の分布状態を示す図である。
【図2】本発明のカラー表示装置をカラー陰極線管に適用した一実施形態の概略構成を示す断面図である。
【図3】本発明の実施例による青色発光蛍光体の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図4】本発明の実施例による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Al蛍光体)の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施例による緑色発光蛍光体(ZnS:Cu,Au,Al蛍光体)の励起電圧と発光輝度との関係を示す図である。
【図6】カラー陰極線管のコントラスト特性の測定方法を説明するための図である。
【符号の説明】
1……表示装置用蛍光体,2……蛍光体母体粒子,2a……表層部,3……第1の付活剤,10……カラーCRT,11……ガラスパネル,12……蛍光膜,17……ファンネル部,18……ネック部,19……電子銃
Claims (9)
- 蛍光体母体中に第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた表示装置用蛍光体において、
前記第2の付活剤は前記蛍光体母体粒子中に均一に分散されており、かつ前記第1の付活剤は前記蛍光体母体粒子の表層部に偏在していることを特徴とする表示装置用蛍光体。 - 請求項1記載の表示装置用蛍光体において、
前記蛍光体母体は立方晶を主体とする結晶構造を有する硫化亜鉛からなり、かつ前記第1の付活剤はAg、CuおよびAuから選ばれる少なくとも1種からなると共に、前記第2の付活剤はAlおよびClから選ばれる少なくとも1種からなることを特徴とする表示装置用蛍光体。 - 請求項1または請求項2記載の表示装置用蛍光体において、
一般式:ZnS:Aga,Mb
(式中、MはAlおよびClから選ばれる少なくとも1種の元素を示し、aおよびbは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦a≦2×10−3g、1×10−5≦b≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する青色発光蛍光体であることを特徴とする表示装置用蛍光体。 - 請求項1または請求項2記載の表示装置用蛍光体において、
一般式:ZnS:Cuc,Aud,Ale
(式中、c、dおよびeは蛍光体母体である硫化亜鉛1gに対して、1×10−5≦c≦1×10−3g、0≦d≦2×10−3g、1×10−5≦c+d≦2×10−3g、1×10−5≦e≦5×10−3gの範囲の量をそれぞれ示す)
で実質的に表される組成を有する緑色発光蛍光体であることを特徴とする表示装置用蛍光体。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の表示装置用蛍光体において、
カラー陰極線管用蛍光体であることを特徴とする表示装置用蛍光体。 - 蛍光体母体中に第1の付活剤および第2の付活剤を含有させた表示装置用蛍光体の製造方法であって、
前記蛍光体母体粒子中に前記第2の付活剤を均一に含有させる工程と、
前記第2の付活剤を含有する前記蛍光体母体粒子の表層部に、前記第1の付活剤をドープする工程と
を具備することを特徴とする表示装置用蛍光体の製造方法。 - 請求項6記載の表示装置用蛍光体の製造方法において、
前記第1の付活剤のドープ工程は、前記第1の付活剤を構成する金属元素、または前記金属元素を含む化合物を前記蛍光体母体粒子の表面に付着させ、この状態で焼成する工程を有することを特徴とする表示装置用蛍光体の製造方法。 - 青色発光蛍光体と緑色発光蛍光体と赤色発光蛍光体とを含む蛍光膜と、前記蛍光膜に電子線を照射して発光させる電子源と、前記電子源と蛍光膜を真空封止する外囲器とを具備するカラー表示装置において、
前記蛍光膜は、請求項1ないし請求項4のいずれか1項記載の表示装置用蛍光体を、前記青色発光蛍光体および前記緑色発光蛍光体の少なくとも一方として含むことを特徴とするカラー表示装置。 - 請求項8記載のカラー表示装置において、
カラー陰極線管であることを特徴とするカラー表示装置。
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