JPH06322364A - 蛍光体及びそれを用いた陰極線管 - Google Patents

蛍光体及びそれを用いた陰極線管

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JPH06322364A
JPH06322364A JP11273893A JP11273893A JPH06322364A JP H06322364 A JPH06322364 A JP H06322364A JP 11273893 A JP11273893 A JP 11273893A JP 11273893 A JP11273893 A JP 11273893A JP H06322364 A JPH06322364 A JP H06322364A
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phosphor
zns
cathode ray
ray tube
hexagonal
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Hisashi Toyama
久 外山
Osamu Kanehisa
修 金久
Hideji Matsukiyo
秀次 松清
Masatoshi Shiiki
正敏 椎木
Yasuhide Kashiwakura
康秀 柏倉
Yasuhiko Uehara
保彦 上原
Yasukazu Morita
安一 森田
Nobuhiro Koseki
悦弘 小関
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Kasei Optonix Ltd
Hitachi Ltd
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Kasei Optonix Ltd
Hitachi Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 発光色調および電流係数を改善できる青色発
光蛍光体を用いた陰極線管を提供する。 【構成】 銀付活立方晶硫化亜鉛蛍光体と銀付活六方晶
硫化亜鉛蛍光体を適当な比率で混合する。また、この蛍
光体を用いて陰極線管を作製する。 【効果】 発光色が深い青色蛍光体を蛍光膜として備え
ることにより陰極線管の色調を改善し、電流係数を向上
することができる。この陰極線管を用いて、カラーTV
受像機の色調再現範囲および解像度の向上が実現でき
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、銀を付活剤とする硫化
亜鉛蛍光体およびその蛍光体を青色発光蛍光膜として用
いた陰極線管に関する。特に高密度励起を必要とする投
射型の陰極線管に関する。
【0002】
【従来の技術】現在、カラーディスプレイは大画面化、
高精細化の要求が高い。それに伴って、画像は元の像を
できるだけ忠実に再現するようにしなければならなくな
ってきている。特に40インチ以上の大画面表示において
有望視されている投射型陰極線管では輝度や解像度の向
上に加えて色調の改良が強く望まれている。
【0003】蛍光体の発光色調は、通常、国際照明委員
会が定めたCIE表色系が用いられ、色度座標のxとy
で表現される。たとえば、現在投射型陰極線管に使用さ
れている赤色発光蛍光体Y23:Euはx=0.649,y=
0.351、また緑色発光蛍光体として用いられている蛍光
体の一種であるY3(Al,Ga)512:Tbはx=0.330,y
=0.581となっている。
【0004】従来の青色発光蛍光体は、立方晶ZnS:A
g,Clあるいは立方晶ZnS:Ag,Alが用いられており、
特開昭55-1003号公報にあるように、CIE色度座標の
x値は0.145〜0.150、y値は0.055〜0.065の範囲が最適
であるとされていた。しかし、最近になって、より自然
に近い色をディスプレイに出す要求が強まっているた
め、蛍光体の色調改善が望まれている。青色発光蛍光体
についていえば、従来品よりy値を小さくする必要がで
てきている。
【0005】色調および電流係数の改善に関して、焼成
温度を上げてZnSの結晶構造を立方晶から六方晶へ一
部変化させた蛍光体が報告されている。例えば特開昭62
-95378号公報には六方晶ZnSの含有率が0.005〜0.12で
あるZnS:Ag,Alの例が開示されている。それによる
と、六方晶ZnSの比率が2.5重量%の場合、x=0.14
7,y=0.063となっている。また、特開平2-255791号公
報には六方晶ZnSの含有率がを0.50以上であるZnS:
Ag,Alの例が開示されている。それによると、六方晶
ZnSの比率が80重量%の場合、x=0.146,y=0.059
となっている。また、上記2例とも立方晶のみの場合に
比べて10μA/cm2以下の低電流領域で電流特性値の若
干の向上がみられる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このように、ZnSの
結晶構造を制御して色調を改善する試みがなされてい
る。しかし、上記2例のいずれも大幅な色調改善には到
っていない。また、上記2例は焼成温度を調節して立方
晶と六方晶の比率を変えた混晶蛍光体であり、焼成温度
で色調が決まるため、色調の調整は容易ではない。
【0007】また、電流係数については青色が他の2色
に比べて悪いため、明るい白色を出そうとして高電流を
照射した場合に青色の強度が相対的に不足し、画面が全
体的に黄色がかって見える色ずれ現象が生じる。従っ
て、青色蛍光体の電流係数向上の要求も大きい。特に照
射電流の大きい投射型陰極線管の画質を改善するため、
照射電流密度10μA/cm2以上での高電流密度領域にお
ける電流係数の向上が大きな課題となっている。しか
し、上記2例の混晶蛍光体では10μA/cm2以下の領域
で電流係数を向上しているが、10μA/cm2以上の領域
での電流係数は考慮されておらず、電流係数の改善は不
十分である。また、電流係数が低いと解像度が低下する
ため、従来の蛍光体では電流密度を上げて使うことがで
きない問題もある。
【0008】本発明の第1の目的は、混晶ではない構造
をもち、発光色調および電流係数の改善が可能な青色発
光蛍光体を提供することにある。本発明の第2の目的
は、その蛍光体を用いた陰極線管を提供することにあ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記第1の目的は、六方
晶ZnS:Ag蛍光体(α)と立方晶ZnS:Ag蛍光体(β)と
を混合した青色発光蛍光体(組成式:αmβ1-m(0<m
<1))を用いることにより達成される。このように、
本発明の蛍光体は、粒径数μmの立方晶の結晶構造をも
つ粒子と、六方晶の結晶構造をもつ粒子が混合された状
態にある。これに対して、従来の混晶状態にある蛍光体
では、1個の粒子の中に双晶として立方晶と六方晶の結
晶構造が混在している。CIE色度座標の制御は混合比
率を調節することにより容易にできる。
【0010】これによりCIE色度座標のy値が0.029
<y<0.055の範囲にある深い青色発光をもつ蛍光体を
得ることができる。また、この蛍光体では混合により電
流係数を向上することができる。
【0011】六方晶の混合比率m≧0.15では電流係数が
向上するが、m>0.48では輝度寿命が低下するため、六
方晶の混合比率mは0.15≦m≦0.48の範囲が最適であ
る。
【0012】融剤を加えずに焼成した六方晶ZnS:Ag
は、従来の六方晶ZnS:Agより電流係数が高くなる。
そのため、この六方晶ZnS:Agを用いることにより、
さらに電流係数を向上することができる。
【0013】また、上記第2の目的は、このような蛍光
体を用いた陰極線管を利用してカラーTV受像機の色調
再現範囲を拡大することにより達成される。
【0014】
【作用】1050〜1200℃の高温で焼成を行なって得られる
六方晶ZnS蛍光体は、CIE色度座標のy値が0.029≦
y≦0.033の範囲の発光色を得ることができるため、こ
れまでにない非常に深い青色発光を実現することができ
る。これによって、カラーTV受像機の色調再現範囲を
拡大することができる。しかし、六方晶ZnS蛍光体を
単独で用いると紫がかった色調になる上に、輝度も低く
なり、塗布性も悪くなる。そこで、六方晶と立方晶の混
合系を利用した特性向上が有効になる。この場合、1000
〜1050℃付近の結晶構造転移点に近い温度で焼成を行な
い一粒子中に六方晶と立方晶が混在する混晶蛍光体を得
る従来法では、焼成温度をかなり厳密に設定しないと立
方晶と六方晶ZnSの比率が定まらず、発光色調の調節
が困難である。これに対して、焼成後に六方晶ZnS蛍
光体と立方晶ZnS蛍光体を任意の比率で混合して得ら
れる本発明の蛍光体では色調の制御が容易になる。
【0015】以下に本発明の蛍光体の製造方法を説明す
る。まずZnS粉末に付活剤Agの原料としてAgの硝酸
塩などAgを含む塩を適量加える。さらに共付活剤とし
てAlあるいはClを加える。Ag付活量は、ZnS母体1
gに対してAgとして100〜2000μgの範囲内にあること
が好ましく、この範囲外では十分な輝度が得られない。
さらに好ましくは300〜1000μgの範囲内が良い。ま
た、AlあるいはClの付活量はAg付活量に対して原子
数比で1〜3倍の範囲内にあることが好ましい。また、
さらに融剤としてハロゲン化アルカリなどの低融点化合
物を加えても良いが、融剤を用いない方が電流係数向上
の効果が高くなり、輝度寿命も良くなる。こうして得ら
れた蛍光体原料混合物を硫化雰囲気で焼成する。硫化剤
としては硫黄粉末や二硫化炭素のような固体あるいは液
体の硫黄原料を用いても良いが、硫化水素などの気体を
用いるのが最も電流係数向上の効果が高くなる。焼成時
間は1〜5時間が適当である。このとき、焼成温度を90
0〜1000℃に設定すれば立方晶ZnS蛍光体、1050〜1200
℃に設定すれば六方晶ZnS蛍光体が得られる。こうし
て得られた立方晶ZnS蛍光体および六方晶ZnS蛍光体
を適当な比率で混合することにより、本発明の青色発光
蛍光体を得る。
【0016】本発明の陰極線管の断面の概略を図1に示
す。この陰極線管は、フェースプレート1、ファンネル
4およびネック5で構成された内部に電子銃6を備えた
もので、フェースプレート1の内側には本発明の蛍光体
を塗布して形成した蛍光膜2およびメタルバック3を有
している。この陰極線管は、蛍光体自体の発光色調が優
れているため、カラーフィルターや色付きレンズ等によ
る色調の改善を必要としない。また、この陰極線管は、
蛍光体の電流係数が高いため、照射電流密度が高い条件
での使用が可能である。そのため、照射電流の増大によ
る高輝度化や電子ビーム径の縮小による高精細化を実現
することができる。
【0017】本発明の蛍光体の混合比率を変えて色度座
標を測定した結果を図2に示す。0.029<y<0.055の範
囲で色調を改善することができる。このyの範囲に対応
する六方晶ZnSの混合比率は0.15以上で1未満であ
る。構成材料である立方晶ZnS:Agと六方晶ZnS:Ag
のy値は各々0.055≦y≦0.065、0.029≦y≦0.033の範
囲にある。
【0018】本発明の蛍光体を投射型カラーTV受像機
に用いた場合の色調再現範囲をCIE色度図を用いて示
した結果が図3である。この図においてRは赤色蛍光体
の発光点、Gは緑色蛍光体の発光点、B0は特開平2-255
791号公報(x=0.146,y=0.059)による発光点、B1
本発明の代表的な青色蛍光体の発光点を示す。また、図
3の青色発光点付近を拡大して示したのが図4である。
この図において、B0は特開平2-255791号公報(x=0.14
6,y=0.059)による発光点、B0'は特開昭62-95378号
公報(x=0.147,y=0.063)による発光点、B1は本発
明の代表的な青色蛍光体の発光点、領域A0は従来のZn
S青色蛍光体の発光領域、領域A1は特に好ましい本発
明の青色蛍光体の発光領域を示す。これらの図から明ら
かなように、本発明の蛍光体を用いることによって色調
再現範囲(図中のR,G,Bを頂点とする三角形の内部)を
拡大することができる。また、このとき六方晶ZnS:A
gの粒径は立方晶ZnS:Agの粒径に対して比べて0.6〜
1.3倍の範囲にあるのが特に好ましい。
【0019】本発明の蛍光体の輝度維持率を測定した結
果を図5に示す。ここで輝度維持率とは、300℃で1×
1cm2の範囲に電流300μAの電子線を30分照射した場
合の、照射前と照射後の発光エネルギー効率の比をとっ
た値であり、1に近いほど電子線照射による輝度劣化が
少ないことを表す。図で明らかなように、六方晶ZnS
の混合比率0.48を超えない範囲で輝度維持率は従来の値
をほぼ保つことができるが、混合比率0.48を超えると輝
度維持率は大幅に低下する。
【0020】また、六方晶ZnS蛍光体の電流係数が立
方晶ZnS蛍光体よりもよいことが知られているが、こ
れに立方晶ZnS蛍光体を混合することにより電流係数
がさらに向上する。図5には本発明の蛍光体を用いた陰
極線管について、発光エネルギー効率の電流係数γを測
定した結果も示してある。ここで電流係数γとは、ある
電流密度領域において発光エネルギー効率が電流密度の
γ乗に比例すると近似したときのγの値を指し、1に近
いほど特性が良いことを表す。ここでは照射電流密度が
15〜75μA/cm2の範囲で測定した結果を両対数プロッ
トで直線近似して得られた値を示している。この値は、
投射型TVでNTSC規格を満足する解像度を得るため
にはγ>0.64である必要がある。この図で明らかなよう
に、立方晶ZnS蛍光体と六方晶ZnS蛍光体の混合によ
り、γ値が向上するという利点を生じる。この結果、10
μA/cm2以上の高電流密度領域でγ値は0.64を超える
値が得られる。このとき、投射型陰極線管のような高電
流照射の条件下では、六方晶ZnS蛍光体の混合による
輝度の低下はγ値の向上である程度補うことができる。
また、このときの六方晶ZnS:Agは合成時に融剤を加
えず硫化水素気流中で焼成を行なったものを用いると電
流係数がさらに向上し、輝度維持率も改善される。
【0021】以上に述べたとおり、六方晶ZnS蛍光体
の混合比率0.15以上でy値が0.029<y<0.055の範囲に
ある蛍光体を得ることができるが、六方晶ZnS蛍光体
の混合比率が0.48を超えると塗布性が悪くなり、その結
果輝度寿命が短くなる。したがって、六方晶ZnSの混
合比率mを0.15≦m≦0.48に限定することによって、蛍
光体の色調および輝度寿命が最適となる。また、この混
合比率の範囲では電流係数向上の効果も高くなる。緑色
蛍光体の電流係数が約0.8であることを考慮すると、電
流係数の点では六方晶ZnSの混合比率mが0.33≦m≦
0.48の範囲で電流係数が0.8を超えるため特に好まし
い。
【0022】
【実施例】以下、本発明を実施例により説明する。
【0023】実施例1 ZnS粉末にAgNO3およびAl(NO3)3を適当量加えた
後、さらに粒子成長および付活剤の拡散促進を目的とす
る融剤を加えて、硫化雰囲気中950℃で焼成して立方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体を得た。また、焼成温度1100℃と
する以外は同様にして六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体を得
た。上記立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体75重量部と、上記
六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体25重量部を蒸留水に分散さ
せたのち十分に撹拌混合して混合蛍光体分散液を得た。
この分散液を用いて、ケイ酸カリウムを用いた凝集沈降
法によりNiメッキ銅基板上への塗布を行ない、約5mg
/cm2の膜厚の蛍光膜を形成した。この蛍光膜を基板温
度300℃に加熱した状態で1×1cm2の範囲に300μAの
電子線を30分照射して、輝度維持率(照射前後の輝度比)
の測定を行なった。このときの輝度維持率は0.876であ
った。
【0024】実施例2 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体60重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体40重量部とする以外は実施例1と
同様にして蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝度維持率
は0.875であった。
【0025】実施例3 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体50重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体50重量部とする以外は実施例1と
同様にして蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝度維持率
は0.866であった。
【0026】実施例4 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体25重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体75重量部とする以外は実施例1と
同様にして蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝度維持率
は0.841であった。
【0027】比較例1 立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体のみを用いたこと以外は実
施例1と同様にして蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝
度維持率は0.879であった。
【0028】比較例2 六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体のみを用いたこと以外は実
施例1と同様にして蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝
度維持率は0.840と悪かった。
【0029】実施例5 ZnS粉末にAgNO3およびAl(NO3)3を適当量加えた
後、粒子成長および付活剤の拡散促進を目的とする融剤
を加えず、硫化水素気流中1100℃で焼成して六方晶Zn
S:Ag,Al蛍光体を得た。この六方晶ZnS:Ag,Al蛍
光体を蒸留水に分散させたのち十分に撹拌して蛍光体分
散液を得た。この分散液を用いて、実施例1と同様にし
て蛍光膜を作製した。この蛍光膜の輝度維持率は0.914
であり、従来の六方晶ZnS:Ag,Al(比較例2)より高
い輝度維持率が得られた。
【0030】実施例6 ZnS粉末にAgNO3およびAl(NO3)3を適当量加えた
後、さらに融剤を加えて硫化雰囲気中950℃で焼成して
立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体を得た。また、焼成温度110
0℃とする以外は同様にして六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体
を得た。上記立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体75重量部と、
上記六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体25重量部を蒸留水に分
散させたのち十分に撹拌混合して混合蛍光体分散液を得
た。この分散液を用いて、ケイ酸カリウムを用いた凝集
沈降法により、ファンネルおよびネックを備えた7イン
チのフェースプレートに塗布して、約5mg/cm2の蛍光
膜を形成した。この蛍光膜の上にメタルバックとしてア
ルミを蒸着したのち、ネック部に電子銃を取り付け、投
射型陰極線管を作製した。ここで用いた電子銃は、照射
電流1mAの場合の発光スポット径が0.2mm(スポット
面積あたりの電流密度30mA/mm2)の性能を持つ。こ
の陰極線管に、加速電圧30kV、照射電流550μA、照射
面積102×76mm2の条件で電子線を照射して、輝度及び
色調の測定を行なった。このときの輝度は立方晶ZnS:
Ag,Al蛍光体に対して96%、発光色度座標はx=0.14
8,y=0.052であった。また、加速電圧及び照射面積は
上記と同様の条件で照射電流1〜6mA(照射電流密度1
5〜75μA/cm2)の範囲での電流係数γは0.68であっ
た。この値は、後述の比較例3で得られる電流係数0.64
より大きく、高電流密度領域での解像度の低下を抑える
ことができるため、実用上有効である。
【0031】実施例7 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体60重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体40重量部とする以外は実施例6と
同様にして投射型陰極線管を作製した。この陰極線管の
輝度は立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体に対して96%、発光
色度座標はx=0.149,y=0.049、電流係数は0.88であ
った。
【0032】実施例8 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体50重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体50重量部とする以外は実施例6と
同様にして投射型陰極線管を作製した。この陰極線管の
輝度は立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体に対して93%、発光
色度座標はx=0.150,y=0.047、電流係数は0.78であ
った。
【0033】実施例9 混合比を立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体25重量部、六方晶
ZnS:Ag,Al蛍光体75重量部とする以外は実施例6と
同様にして投射型陰極線管を作製した。この陰極線管の
輝度は立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体に対して91%、発光
色度座標はx=0.152,y=0.040、電流係数は0.72であ
った。
【0034】比較例3 立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体のみを用いたこと以外は実
施例6と同様にして投射型陰極線管を作製した。この陰
極線管の発光色度座標はx=0.146,y=0.056、電流係
数は0.64であった。この電流係数の値では高電流密度領
域での解像度低下が大きいため、実用上問題がある。
【0035】比較例4 六方晶ZnS:Ag,Al蛍光体のみを用いたこと以外は実
施例6と同様にして投射型陰極線管を作製した。この陰
極線管の輝度は立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体に対して81
%、発光色度座標はx=0.155,y=0.031、電流係数は
0.68と満足できるものであったが、輝度維持率は0.840
と悪かった。
【0036】実施例10 ZnS粉末にAgNO3およびAl(NO3)3を適当量加えた
後、融剤を加えず硫化水素気流中1100℃で焼成して六方
晶ZnS:Ag,Al蛍光体を得た。この六方晶ZnS:Ag,
Al蛍光体を蒸留水に分散させたのち十分に撹拌して蛍
光体分散液を得た。この分散液を用いて、ケイ酸カリウ
ムを用いた凝集沈降法により、ファンネルおよびネック
を備えた7インチのフェースプレートに塗布して、約5
mg/cm2の蛍光膜を形成した。この蛍光膜の上にメタル
バックとしてアルミを蒸着したのち、ネック部に実施例
6と同様の電子銃を取り付け、投射型陰極線管を作製し
た。この陰極線管の輝度は立方晶ZnS:Ag,Al蛍光体
に対して79%、発光色度座標はx=0.155,y=0.033、
電流係数は0.70であり、従来の六方晶ZnS:Ag,Al蛍
光体(比較例4)より高い電流係数を得た。
【0037】以上の実施例及び比較例の発光特性評価結
果を表1及び図2、図5にまとめて示す。
【0038】
【表1】
【0039】以上の実施例より明らかなように、ZnS
青色蛍光体において立方晶と六方晶を混合することによ
り色調を改善し電流係数を向上できる。特に六方晶の混
合比率mが0.15≦m≦0.48の範囲では電流係数向上の効
果が著しい。
【0040】
【発明の効果】本発明によれば、発光色が深い青色蛍光
体を蛍光膜として備えた陰極線管を用いることにより、
色調再現範囲を拡大することができる。その結果、カラ
ーTV受像機の画像をいっそう色鮮やかにすることがで
きる。さらに電流係数を向上できるため、特に投射型陰
極線管のような高電流を照射する陰極線管において画質
が改善される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陰極線管の断面図である。
【図2】蛍光体全体に占める六方晶ZnSの混合比率を
変えた場合の投射型陰極線管の発光色度座標の変化を示
した図である。
【図3】本発明の蛍光体と従来の蛍光体の色調再現範囲
を示す図である。
【図4】図3の拡大図である。
【図5】蛍光体全体に占める六方晶ZnSの混合比率を
変えた場合の蛍光体の輝度維持率及びこの蛍光体を用い
た投射型陰極線管の電流係数の変化を示す図である。
【符号の説明】
1…フェースプレート、2…蛍光膜、3…メタルバッ
ク、4…ファンネル、5…ネック、6…電子銃、R……
赤色蛍光体の発光点、G…緑色蛍光体の発光点、B0,B
0'…従来のZnS青色蛍光体の発光点、B1…本発明の代
表的な青色蛍光体の発光点、A0…従来のZnS青色蛍光
体の発光領域、A1…好ましい本発明の青色蛍光体の発
光領域。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 松清 秀次 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 椎木 正敏 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 柏倉 康秀 東京都国分寺市東恋ケ窪1丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 上原 保彦 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 森田 安一 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内 (72)発明者 小関 悦弘 千葉県茂原市早野3300番地 株式会社日立 製作所電子デバイス事業部内

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】銀付活六方晶硫化亜鉛蛍光体(α)と銀付活
    立方晶硫化亜鉛蛍光体(β)とを混合した、組成式αmβ
    1-m(0<m<1)で表されることを特徴とする蛍光体。
  2. 【請求項2】上記蛍光体のCIE色度座標のy値は、0.
    029<y<0.055である請求項1に記載の蛍光体。
  3. 【請求項3】加速電圧25kV以上の条件で電流密度15〜7
    5μA/cm2の電子線を上記蛍光体に照射して測定したと
    きの発光エネルギー効率の電流係数の値は0.64より大き
    い請求項1に記載の蛍光体。
  4. 【請求項4】上記銀付活六方晶硫化亜鉛蛍光体の混合比
    率mが0.15≦m≦0.48である請求項1乃至3のいずれか
    一項に記載の蛍光体。
  5. 【請求項5】加速電圧25kV以上の条件で電流密度15〜7
    5μA/cm2の電子線を上記銀付活六方晶硫化亜鉛蛍光体
    に照射して測定したときの発光エネルギー効率の電流係
    数は0.70以上である請求項1乃至4のいずれか一項に記
    載の蛍光体。
  6. 【請求項6】フェースプレート、ファンネルおよびネッ
    クの各部で構成され、上記ネック部に電子銃を有し、上
    記フェースプレート部に請求項1乃至5のいずれか一項
    に記載の蛍光体を青色発光の蛍光膜として有することを
    特徴とする陰極線管。
JP11273893A 1993-05-14 1993-05-14 蛍光体及びそれを用いた陰極線管 Pending JPH06322364A (ja)

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Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US6808829B2 (en) 2001-01-30 2004-10-26 Hitachi, Ltd. Image-display device

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