JPH1136612A - コンクリート構造物の補強用成形板 - Google Patents

コンクリート構造物の補強用成形板

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JPH1136612A
JPH1136612A JP21133297A JP21133297A JPH1136612A JP H1136612 A JPH1136612 A JP H1136612A JP 21133297 A JP21133297 A JP 21133297A JP 21133297 A JP21133297 A JP 21133297A JP H1136612 A JPH1136612 A JP H1136612A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】既設のコンクリート構造物の補強すべき部分を
被うための補強用成形板であって、取り扱い性が容易で
且つ接合用部分の接着性が高く維持された補強用成形板
を提供する。 【解決手段】当該補強用成形板は、繊維強化樹脂複合材
から成り、2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより
前記補強すべき部分を被うことが可能な形状を予め備え
ており、少なくとも、補強用成形板同士の接合用部分に
離型性保護シートを積層する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の補強用成形板に関するものであり、詳しくは、取り
扱い性が容易で且つ補強用成形板同士の接合用部分の接
着性が高く維持された補強用成形板に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】コンクリート構造物の補強方法として、
特開昭52−123524号公報および特公昭53−4
3259号公報には、柱が被われる様に横断面がコの字
型や半円型の鋼板製補強用板を配置し、溶接またはボル
ト・ナットにて補強用板の端縁部を接合して筒状にし、
形成された補強用成形板の内側の空間部へモルタル又は
コンクリートを充填する方法が提案されている。
【0003】しかしながら、上記の補強方法では、補強
用成形板の配置の際に数多くの固定部材などが必要があ
り、また、多くの工数や手間が掛かるだけでなく、鋼板
製補強用板の運搬・設置に重機が必要であるという欠点
がある。さらに、溶接による場合は、火花対策が必要で
ある。
【0004】本出願人らは、上記の種々の欠点を解消す
るため、例えば、特願平9−116124号により、既
設のコンクリート構造物の新規な補強方法を提案した。
この方法は、基本的には繊維強化樹脂複合材から成り、
既設のコンクリート構造物の補強すべき部分を被うこと
が可能な形状を備えた補強用成形板を使用する方法であ
る。
【0005】ところで、上記の補強方法では、輸送中ま
たは工事現場での取り扱い中に補強用成形板同士の接合
用部分に油脂やゴミや充填用モルタル等が付着して接合
用部分の接着性が損なわれるため、接合に際しては、接
合用部分の清浄化処理が必要である。そして、表面が平
滑な場合には、接着剤に対するアンカー効果を発揮さ
せ、接合強度の向上を図るため、通常、サンドペーパー
による研磨が行われる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、取り扱い性が容
易で且つ補強用成形板同士の接合用部分の接着性が高く
維持された補強用成形板を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の要旨
は、既設のコンクリート構造物の補強すべき部分を被う
ための補強用成形板であって、当該補強用成形板は、繊
維強化樹脂複合材から成り、2つ以上の補強用成形板の
組み合わせにより前記補強すべき部分を被うことが可能
な形状を予め備えており、少なくとも、補強用成形板同
士の接合用部分に離型性保護シートが積層されているこ
とを特徴とするコンクリート構造物の補強用成形板に存
する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の補強用成形板は、特願平9−116124号に
より提案された既設のコンクリート構造物の新規な補強
方法において好適に使用される。したがって、先ず、本
発明の補強用成形板を使用するコンクリート構造物の補
強方法の概要について説明する。本発明における補強方
法は、具体的には次の2つの態様が挙げられる。
【0009】(1)既設のコンクリート構造物の補強す
べき部分を2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより
密着状態で被い、補強用成形板同士の接合用部分に接合
部補強用樹脂強化繊維シートを接合する操作を含む補強
方法。
【0010】(2)既設のコンクリート構造物の補強す
べき部分を2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより
補強すべき部分の表面から所定の間隔となる位置で被
い、補強用成形板同士の接合用部分に接合部補強用樹脂
強化繊維シートを接合し、形成された内側空間部にモル
タル又はコンクリートを充填する操作を含む補強方法。
なお、以下、接合部補強用樹脂強化繊維シートは、樹脂
強化繊維シートと略記する。
【0011】上記(1)及び(2)の方法において、補
強すべき部分は、通常、コンクリート構造物の補強すべ
き部分が全周面露出している柱、桁または梁である。そ
して、例えば、上記の柱は、通常、鉄筋コンクリート造
であり、柱の下端と一体である下部躯体と、柱の上端と
一体である梁と、梁と一体である上階の床とを備えてい
る。
【0012】上記の(1)及び(2)の方法で使用する
樹脂強化繊維シートは、繊維シートに上記のマトリック
ス樹脂を含浸させて得られ、硬化後の強度が強化された
一種の複合材であり、補強用成形板同士の接続に使用さ
れる。マトリックス樹脂の含浸量は、繊維シートの目付
け及びその空隙含有率を考慮して適宜決定されるが、通
常、補強用成形板の強化繊維含有率が10〜80重量
%、好ましくは20〜70重量%になる量とされる。
【0013】上記の繊維としては、通常、炭素繊維、ガ
ラス繊維、アラミド繊維などが使用されるが、引張強度
や弾性係数および実用性の観点から炭素繊維が好まし
い。そして、これらの繊維は、強度の観点から、通常、
引き揃えられた長繊維から成る一方向材の繊維シートが
使用される。そして、上記の繊維シートは、通常、複数
枚重ねて使用され、その合計の目付は、通常100〜2
000g/m2とされるが、実用的には200〜120
0g/m2が好ましい。
【0014】上記のマトリックス樹脂としては、通常、
常温硬化型エポキシ樹脂、加熱硬化エポキシ樹脂、ポリ
エステル樹脂、ビニルエステル樹脂、アクリル樹脂、フ
ェノール樹脂などが挙げられるが、中でも、常温硬化型
エポキシ樹脂およびアクリル樹脂が好適に使用される。
なお、後述の様に、樹脂強化繊維シートを硬化する前の
状態で使用する場合は、上記の樹脂としては接着性を有
する樹脂が好ましい。また、上記のマトリックス樹脂に
は、通常、遮蔽用充填材や顔料などが添加される。
【0015】以下、コンクリート構造物の補強すべき部
分を横断面が四角形の柱とし、断面がコの字型の樋状の
補強用成形板を2つ組み合わせて上記の柱を被うことに
よりコンクリート構造物を補強する場合を代表として説
明する。
【0016】上記(1)の補強方法においては、通常、
次の様な前処理が行われる。すなわち、補強用成形板で
柱を被うに先立って、柱表面のレイタンス等の除去や柱
の角部の面取りが行なわれる。また、レイタンス等の除
去や面取り後には、パテによる不陸の補正やプライマー
による下地処理が行われる。
【0017】そして、2つのコの字型の補強用成形板の
開口部が相互に向き合い、かつ、補強用成形板の裏側面
が柱の表面に密着する状態で上記の柱を被った状態で、
補強用成形板同士の接合用部分に樹脂強化繊維シートを
架け渡す様に配置して接合する。その際、補強用成形板
と柱との間は、通常、接着剤を介して接合される。
【0018】上記の樹脂強化繊維シートは、樹脂が硬化
する前の状態および硬化した後の状態の何れの状態にて
も使用することが出来る。しかしながら、硬化する前の
状態で使用する場合は、変形が容易なため補強用成形板
の接合用表面への密着性が良いばかりでなく、含浸樹脂
(マトリックス樹脂)による接着性があるため、接合に
際しては別に接着剤が不要であるため好ましい。
【0019】また、上記(2)の方法は、上記(1)の
方法における前処理の際の粉塵や騒音の発生やシンナー
等の臭気の問題がなく、従って、オフィスビルや住宅に
おいて居住者が居住している状態で行なう補強方法とし
て優れており、本発明において推奨される方法である。
上記(2)の方法は、具体的には、次の様に行われる。
なお、以下の説明においては、モルタルの用語を以てモ
ルタル又はコンクリートを代表する。
【0020】上記(2)の方法においては、既設のコン
クリート構造物の補強すべき部分の少なくとも1箇所、
通常、柱の中心に対して略対向する2箇所の表面から所
定の間隔となる位置に接合板を配設して使用するのが好
ましい。この場合、補強すべき部分の表面から所定の間
隔となる位置に、それぞれ補強すべき部分の長さに実質
的に等しい長さの接合板を補強すべき部分の長手方向に
沿って配設し、次いで、当該接合板に補強用成形板の裏
面端部を接着剤により接合して補強用成形板で補強すべ
き部分を被い、形成された内側空間部にモルタル又はコ
ンクリートを充填する。
【0021】上記の接合板としては、通常、金属板が使
用され、特に鋼板が好適に使用される。接合板の長手方
向に延びる中心線上には、後述の植設ボルトの間隔に合
わせて、植設ボルトと同数のボルト孔が穿設されてい
る。接合板には、柱に取付けた際に下方に位置する部分
にモルタル圧入用貫通孔や、かつ、接合板の下端部分お
よび上端部分に後述の補強用成形板の取付用ねじ孔を設
置することも出来る。上記の様に、接合板を使用するこ
とにより、補強用成形板を補強すべき部分の表面から所
定の間隔となる位置で被うことが容易となる。
【0022】上記の接合板を使用した場合、補強用成形
板と柱との間に形成される空間部の厚さは、柱の全周に
亙って実質的に一定に調整するのが容易である。その
際、柱と補強用成形板との間隔は、通常0.5〜10c
m、好ましくは1〜5cmとされる。上記の接合板の配
設方法としては、以下の二つの方法を例示することが出
来る。
【0023】(i)植設ボルト及びナットで接合板を固
定する方法、すなわち、先ず、接合板の配設位置に対応
する補強すべき面上に複数の植設ボルトの基部を機械加
工により埋め込んで植設する。具体的には、ボルト植設
用の穴を穿設し、ボルトの基部を上記の穴に挿入し、ボ
ルトの基部と穴との隙間にモルタルや樹脂などから成る
アンカーを入れて柱にボルトの基部を固定し、植設ボル
トとする。次いで、植設ボルトに、受けナット、ボルト
孔が穿孔された接合板および締めナットを順次に嵌め、
締めナットを緊結して接合板を固定する。その際、受け
ナットの位置の調節により、補強すべき部分の表面と接
合板との間隔を調節することが出来る。
【0024】(ii)上記のボルトの植設の際、予めボル
トが溶接された金属製基板を補強すべき部分の表面に接
着剤にて接合する方法。斯かる方法は、上記のボルトの
植設の際、発生する騒音を抑えたい場合に有効である。
【0025】上記の接合板表面に接着剤で補強用成形板
を接合した際、補強用成形板同士の接合用部分の外側面
上に押え板を載置し、ボルト及びナットで押え板を緊結
するのが好ましい。具体的には次の様に行なう。先ず、
両補強用成形板の端部裏側面に接着剤を塗布した後、接
合板の固定に使用していた締めナットを外し、ボルト孔
が穿孔された金属製の押え板および締めナットを順次に
嵌め、補強用成形板同士の接合用部分を接合板と押え板
とで挟んだ後、締めナットにより押え板を緊結して挟圧
する。斯かる操作により、柱と補強用成形板との間の空
間部にモルタルを充填する際に補強用成形板と接合板と
の接合部の強度を一層高めることが出来る。
【0026】また、柱と補強用成形板との間の空間部に
モルタルを充填する際、補強用成形板の変形(膨らむこ
と)を防止するため、補強用成形板の外側には、木製の
角材が井桁状に結合されたバタ材や平板などを配設する
のが好ましい。
【0027】モルタルの充填は、接合板の下方のモルタ
ル圧入用貫通孔にモルタル圧入用管を接続して行っても
よいし、また、モルタル圧入用管から上部の空隙部分を
経由して直接充填してもよい。なお、モルタル圧入用管
はモルタル圧送装置を介してモルタル供給源に接続され
ている。
【0028】そして、モルタルが硬化した後、バタ材、
締めナット及び押え板を外し、必要に応じて接合板から
突出した植設ボルトを切断する。その後、先ず、接合板
上の2つの補強用成形板の両端間に形成されている窪み
部をパテにて埋めてパテの外側面を補強用成形板の外側
面と面一にする。次いで、補強用成形板同士の接合用部
分を覆う程度の比較的短い樹脂強化繊維シート(A)を
当該接合用部分に架け渡す様に配置して接合する。この
際、樹脂強化繊維シートが硬化する前の状態で使用され
る場合は、密着性がよく、含浸樹脂による接着性がある
ため、別に接着剤は不要である。
【0029】さらに、必要に応じ、上記の比較的短い樹
脂強化繊維シート(A)の接合部分の上から更に覆う様
に、より広い面積の樹脂強化繊維シート(B)を接合す
ることが出来る。この際、上記の接合の範囲を柱表面の
内の補強用成形板の接合部が形成された平面全体を被う
ことが出来る範囲とする場合は、柱表面の継ぎ目が目立
ち難くすることが出来る。斯かる場合にも使用される樹
脂強化繊維シートは上記の様に硬化する前の状態で使用
するのが好ましい。
【0030】前述した補強用成形板と接合板との接合、
および、補強用成形板と補強すべき部分の表面との接合
に使用する接着剤としては、通常、エポキシ樹脂または
アクリル樹脂系の接着剤が使用される。
【0031】次に、本発明の補強用成形板について説明
する。本発明の補強用成形板は、繊維強化樹脂複合材か
ら成り、2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより上
記の様な(1)及び(2)の補強方法で補強すべき部分
を被うことが可能な形状を予め備えており、少なくと
も、補強用成形板同士の接合用部分に離型性保護シート
が積層されていることを特徴とする。
【0032】上記の繊維強化樹脂複合材とは、マトリッ
クス樹脂中に繊維を配合して硬化後の強度が強化された
複合材である。上記の繊維としては、通常、炭素繊維、
ガラス繊維、アラミド繊維などが使用されるが、引張強
度や弾性係数および実用性の観点から炭素繊維が好まし
い。
【0033】上記の繊維は、通常、引き揃えられた繊維
から成る繊維シートの形状で使用される。斯かる繊維シ
ートは、一方向材、織布、不織布などであってもよい。
また、上記の繊維シートは、通常、複数枚重ねて使用さ
れ、その合計の目付は、通常100〜2000g/m2
とされるが、実用的には200〜1200g/m2以上
が好ましい。
【0034】上記の繊維強化樹脂複合材に使用されるマ
トリックス樹脂としては、通常、常温硬化型エポキシ樹
脂、加熱硬化エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ビニル
エステル樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂などの硬
化性樹脂が挙げられるが、常温硬化型エポキシ樹脂また
はアクリル樹脂が好適に使用される。斯かるマトリック
ス樹脂には、通常、遮蔽用充填材や顔料などが添加され
る。
【0035】繊維強化樹脂複合材は、通常、上記の繊維
シートにマトリックス樹脂を含浸させて製造される。そ
の含浸量は、繊維シートの目付け及びその空隙含有率を
考慮して適宜決定されるが、通常、補強用成形板の強化
繊維含有率が10〜80重量%、好ましくは20〜70
重量%になる量とされる。
【0036】上記の補強用成形板の具体的な形状は、例
えば、コンクリート構造物の補強すべき部分が角形の
柱、桁または梁の場合は、コの字型、L字型などの樋状
とされ、円形の柱、桁または梁の場合は、円弧型、U字
型などの樋状とされる。
【0037】補強用成形板は、その断面形状に応じた成
形型を使用した公知のハンドレイアップ法により繊維強
化樹脂複合材を製造することが出来る。すなわち、成形
型上に上記の繊維シートを配置し、この繊維シートにマ
トリックス樹脂を含浸させて硬化させる方法、または、
予め熱硬化性の樹脂を繊維シートに含浸させて半硬化状
態のシート状とした材料(プリプレグ)を成形型上に配
置し加熱硬化させる方法により製造される。
【0038】上記のハンドレイアップ法による成型の際
に、少なくとも、補強用成形板同士の接合用部分に離型
性保護シートが積層され、補強用成形板と一体化され
る。補強用成形板同士の接合用部分とは、補強用成形板
に樹脂強化繊維シートが接合される部分であり、補強用
成形板の端部の外側表面である。そして、2つの補強用
成形板は、その接合用部分に樹脂強化繊維シートを架け
渡す様に接合することにより接続される。上記の接合用
部分の長さは、成形板の厚さにもよるが、通常5〜40
cm、実用的には5〜30cm程度である。
【0039】なお、離型性保護シートは、補強用成形板
同士の接合用部分(各補強用成形板の端部の外側表面)
の他に次の様な接合用部分にも積層するのが好ましい。
すなわち、前記(1)の補強方法において補強用成形板
を補強すべき部分の表面と接合する場合は補強用成形板
の裏面全面、前記(2)の補強方法においては、上記の
接合板に対する補強用成形板の接合用部分(各補強用成
形板の端部の内側表面)、および、補強用成形板同士を
樹脂強化繊維シート(A)で接合したその上に更に樹脂
強化繊維シート(B)を接合する場合は樹脂強化繊維シ
ート(B)に対する補強用成形板の表面にも離型性保護
シートを積層するのが好ましい。
【0040】上記の離型性保護シートとしては、補強用
成形板に積層された後、通常の取扱中に剥がれない程度
の適度な接着性を有し、しかも、剥離する際に一体的な
剥離が容易なシート状材料が使用される。そして、具体
的には、表面に離型処理を施したいわゆる離型紙の他、
ポリアミド、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピ
レン等のフイルム、これらの繊維を使用した織物や編物
などが挙げられる。
【0041】特に、離型性保護シートとして織物や編物
を使用した場合は、剥離後の表面にシボ面や梨子地面が
形成され、その結果、その表面形状により接着剤に対す
るアンカー効果が生じるので好ましい。また、フイルム
を使用する場合は、離型性のコントロールのため、コロ
ナ放電処理やエンボス加工などの表面処理を施してもよ
い。上記の離型性保護シートは、剥離の際、切断しない
程度の強度を有することが必要であり、その厚さとして
は、通常50〜500μm、好ましくは100〜300
μmである。
【0042】しかしながら、上記の補強用成形板には、
前述した各種の接合用部分以外の範囲に離型性保護シー
トを積層してもよい。例えば、外側の全表面に樹脂強化
繊維シートを接合しない場合でも離型性保護シートを積
層することが出来る。この場合、離型性保護シートとし
て織物や編物を使用することにより、剥離後の表面にシ
ボ面や梨子地面が形成され、塗料の塗装の際にアンカー
効果が発揮される。
【0043】以上の様に、本発明の補強用成形板は、既
設のコンクリート構造物の補強の際の少なくとも補強用
成形板同士の接合用部分に離型性保護シートが積層され
て成り、接合の直前に離型性保護シートを剥離して清浄
な面が接合に供される。したがって、上記の補強用成形
板は、輸送中または工事現場での取り扱い中に補強用成
形板同士の接合用部分に油脂、ゴミ、充填用モルタル等
が付着しないため、使用に際して接合用部分の清浄化処
理が全く不要である。また、離型性保護シートとして織
物や編物を使用した場合は、剥離後の表面にシボ面や梨
子地面が形成され、接着剤に対するアンカー効果が発揮
されるため、サンドペーパーによる研磨も不要となる。
【0044】
【発明の効果】以上説明した本発明によれば、補強用成
形板同士の接合用部分に離型性保護シートを積層してお
くことにより、輸送時および取り扱い時における接合用
部分の汚損が防止される。したがって、本発明によれ
ば、取り扱い性が容易で且つ接合用部分の接着性が高く
維持された補強用成形板が提供され、本発明の工業的価
値は大きい。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 既設のコンクリート構造物の補強すべき
    部分を被うための補強用成形板であって、当該補強用成
    形板は、繊維強化樹脂複合材から成り、2つ以上の補強
    用成形板の組み合わせにより前記補強すべき部分を被う
    ことが可能な形状を予め備えており、少なくとも、補強
    用成形板同士の接合用部分に離型性保護シートが積層さ
    れていることを特徴とするコンクリート構造物の補強用
    成形板。
  2. 【請求項2】 既設のコンクリート構造物の補強すべき
    部分を2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより密着
    状態で被い、補強用成形板同士の接合用部分に接合部補
    強用樹脂強化繊維シートを接合する操作を含む補強方法
    に使用する請求項1に記載の補強用成形板。
  3. 【請求項3】 既設のコンクリート構造物の補強すべき
    部分を2つ以上の補強用成形板の組み合わせにより補強
    すべき部分の表面から所定の間隔となる位置で被い、補
    強用成形板同士の接合用部分に接合部補強用樹脂強化繊
    維シートを接合する操作、および、補強用成形板で被っ
    て形成された内側空間部にモルタル又はコンクリートを
    充填する操作を含むコンクリート構造物の補強方法に使
    用される請求項1に記載の補強用成形板。
  4. 【請求項4】 既設のコンクリート構造物の補強すべき
    部分の少なくとも1箇所の表面から所定の間隔となる位
    置に、補強すべき部分の長さに実質的に等しい長さの接
    合板を補強すべき部分の長手方向に沿って配設し、次い
    で、当該接合板に補強用成形板の内側表面端部を接着剤
    により接合することにより補強すべき部分を被う操作を
    含むコンクリート構造物の補強方法に使用される請求項
    3に記載の補強用成形板。
  5. 【請求項5】 接合板との接合用部分に離型性保護シー
    トを積層して成る請求項3又は4に記載の補強用成形
    板。
  6. 【請求項6】 離型性保護シートが、繊維を使用した織
    物シートである請求項1〜5の何れかに記載の補強用成
    形板。
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