JPH11352019A - 光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置、および、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法 - Google Patents

光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置、および、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法

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JPH11352019A
JPH11352019A JP10158069A JP15806998A JPH11352019A JP H11352019 A JPH11352019 A JP H11352019A JP 10158069 A JP10158069 A JP 10158069A JP 15806998 A JP15806998 A JP 15806998A JP H11352019 A JPH11352019 A JP H11352019A
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film
reflectance
optical function
reflection
light
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Shinobu Mihashi
忍 三橋
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    • C03GLASS; MINERAL OR SLAG WOOL
    • C03CCHEMICAL COMPOSITION OF GLASSES, GLAZES OR VITREOUS ENAMELS; SURFACE TREATMENT OF GLASS; SURFACE TREATMENT OF FIBRES OR FILAMENTS MADE FROM GLASS, MINERALS OR SLAGS; JOINING GLASS TO GLASS OR OTHER MATERIALS
    • C03C17/00Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating
    • C03C17/34Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions
    • C03C17/3411Surface treatment of glass, not in the form of fibres or filaments, by coating with at least two coatings having different compositions with at least two coatings of inorganic materials
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    • G02OPTICS
    • G02BOPTICAL ELEMENTS, SYSTEMS OR APPARATUS
    • G02B1/00Optical elements characterised by the material of which they are made; Optical coatings for optical elements
    • G02B1/10Optical coatings produced by application to, or surface treatment of, optical elements
    • G02B1/11Anti-reflection coatings

Abstract

(57)【要約】 【課題】 CRT表示パネルなどに被着される光透過型
反射防止用光学機能フィルムの表面反射率を、実時間で
正確に算出可能な方法と装置を提供する。 【解決手段】 本発明の光透過型反射防止用光学機能フ
ィルムの表面反射率測定方法とその装置においては、光
透過型反射防止用光学機能フィルムの裏面反射率RIb
と、全反射率RIと、透過率TIとから、下記演算式に
従って、無反射多層膜20の表面反射率を算出する。 RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
2 〕 全反射率RIおよび透過率TIは実際に測定できる。裏
面反射率RIb は回帰式を用いて算出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は光透過型反射防止用
光学機能フィルムの表面反射率を測定する方法と装置、
および、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の表示装置において、表示装置の周
囲からの光、たとえば、室内の蛍光灯による光の反射に
よる表示内容の見えにくさを改善することが種々試みら
れている。改善方法の1つは、たとえば、事務所内にお
ける照明方法の改善であり、他の方法は表示装置におけ
る反射防止対策である。特に、後者は、普通の家庭に設
置する表示装置、たとえば、テレビジョン表示装置にお
いて特別の照明装置の改善を図ることが難しいときに必
要となる。もちろん、後者の反射防止対策は、事務所用
の表示装置、たとえば、種々のコンピュータ用表示装置
においても有効である。
【0003】そのような反射防止対策が必要とされる表
示装置としては、たとえば、陰極線管(CRT)表示装
置、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、ELデ
ィスプレイ装置、REディスプレイ装置などが対象とな
るが、以下、CRT表示装置を代表して述べる。
【0004】CRT表示装置のCRT表示パネルを通し
て目視できる表示情報はCRT表示装置の周囲からの光
の反射によって目視しにくくなることがあり、CRT表
示パネルに対する外光反射防止対策が種々講じられてい
る。そのような外光反射防止対策として、光透過型反射
防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フィルムと略
す)をCRT表示パネルの表面に被着している。
【0005】本願発明者は、そのような用途に適した光
学機能フィルムの表面を形成する無反射多層膜の1例と
して、たとえば、平成10年1月16日に出願した「低
反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネル」、特願
平10−6999号を提案している。
【0006】光学機能フィルムの品質管理および生産工
程の効率化の観点から、光学機能フィルムの製造工程に
おいて、光学機能フィルムの表面反射率を実時間で正確
に測定し、その結果を製造工程に反映させること(負帰
還させること)が要望されている。
【0007】しかしながら、これまで、光学機能フィル
ムを単体でその表面反射率のみを測定することは、光学
機能フィルムの裏面からの反射の影響があり、困難であ
った。
【0008】そのため、光学機能フィルムの表面反射率
の測定はこれまで、光学機能フィルムの生産工程から抜
き取りによって切り出された光学機能フィルムの裏面に
光を吸収する、たとえば、黒色塗料を塗布して光学機能
フィルムの裏面からの反射がない状態で、光学機能フィ
ルム単体の表面反射率を測定していた。しかしながら、
このような方法は、生産工程から表面反射率を測定すべ
き対象とする全ての光学機能フィルムを抜き取るから、
1種の光学機能フィルムの破壊試験である。加えて、表
面反射率を測定する対象の光学機能フィルムについてそ
の裏面に黒色塗料をその都度塗布するから、手間がかか
る。さらにそのような表面反射率測定は手作業であり、
連続的に光学機能フィルムが生産されている状態におい
て実時間で光学機能フィルムの表面反射率を測定して、
不良の光学機能フィルムが生産される傾向にあるときは
事前に光学機能フィルムの製造装置に通報して製造条件
を改善するなどには適用できない。そこで、光学機能フ
ィルムの生産工程において、実時間で測定した全反射率
から反射率補正量を減じて、実際の光学機能フィルムの
表面反射率を推定する方法も知られている。
【0009】また実際に測定した全反射率から変換式を
用いて光学機能フィルムの表面反射率を算出する方法も
提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た方法では、光学機能フィルムの生産工程における補正
計算による反射率の結果と、実際に抜き取り検査による
光学機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布して測定した
表面反射率とが食い違うことがあり、光学機能フィルム
の正確な表面反射率が測定できないという問題に遭遇し
ていた。
【0011】抜き取り検査などにおいて、光学機能フィ
ルムの裏面からの反射を防止するため、抜き取った光学
機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布しなければなら
ず、表面反射率測定のために、光学機能フィルムが破損
して使用できなくなる。
【0012】さらに抜き取り検査では全ての光学機能フ
ィルムの検査ではないから、部分的な光学機能フィルム
の不良を検出できない。したがって、全ての光学機能フ
ィルムについて実時間で連続的に正確な表面反射率の測
定が要望されている。
【0013】また従来の方法では、光学機能フィルムの
生産工程における実時間で正確な光学機能フィルムの表
面反射率の測定を生産工程に反映させる(負帰還させ)
ことが出来なかったから、生産された光学機能フィルム
の歩留まりが低いという問題に遭遇している。
【0014】上述した諸問題は、図面に関連づけて詳細
を後述する。
【0015】以上、表示パネルとしてCRT表示パネル
に被着する光学機能フィルムの表面反射率の測定につい
て述べたが、CRT表示パネルに限らず、液晶、プラズ
マディスプレイ、ELディスプレイ、REディスプレイ
などに被着する光学機能フィルムも上記同様の問題に遭
遇している。
【0016】本発明の目的は、種々の表示装置に用いる
反射防止用光学機能フィルム(光学機能フィルム)の表
面反射率を、非破壊方式で、正確に測定可能な光透過型
反射防止用光学機能フィルムの表面反射率測定方法とそ
の装置を提供することにある。
【0017】また本発明の目的は種々の表示装置に用い
る光透過型反射防止用光学機能フィルムの生産工程にお
いて、実時間で、光透過型反射防止用光学機能フィルム
の表面反射率を正確に測定可能な光透過型反射防止用光
学機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置を提供
することにある。
【0018】さらに本発明の目的は種々の表示装置に用
いる光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率
を、簡便に、測定可能な光透過型反射防止用光学機能フ
ィルムの表面反射率測定方法とその装置を提供すること
にある。
【0019】また本発明は生産される光透過型反射防止
用光学機能フィルムの歩留まりを向上させる光透過型反
射防止用光学機能フィルムの製造方法を提供することに
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本願発明者が、上述した
光透過型反射防止用光学機能フィルム(光学機能フィル
ム)の反射率の不一致を調査したところ、裏面反射成分
を含む全反射率に占める裏面反射成分の比率が、透過率
と表面反射率とに依存して変化することが原因であるこ
とを究明した。たとえば、本来測定したい光学機能フィ
ルムの表面反射率が小さくなると、光学機能フィルムの
表面から入射した光束が光学機能フィルムの裏面に到達
する比率が増加し、裏面から反射して表面に到達する裏
面反射光束が増加することになり、全反射率に対する裏
面反射成分の比率が増加する。その結果として、従来の
一定の補正計算を行う方法では、表面反射率を精度よく
求めることが出来なかった。変換式を用いる方法も同様
である。上述した事項の詳細については、図面を参照し
て詳細について後述する。
【0021】さらに本願発明者は、本発明の方法によっ
て求めた光学機能フィルムの裏面反射率は、ハードコー
ト層による干渉波形が重畳するため、その干渉波形を除
去する方法として、光学機能フィルムに入射する入射光
束の波長と、各波長ごとの裏面反射率との多項式を用い
た回帰演算によって精度良く干渉波形の除去が可能なこ
とを見いだした。
【0022】本発明は上述した知見に基づいてなされた
ものである。本発明の第1の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムの裏面反射率と、全反射率
と、透過率とから、当該光透過型反射防止用光学機能フ
ィルムの表面反射率を算出する光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率測定方法が提供される。すな
わち、本発明においては、光透過型反射防止用光学機能
フィルムの表面反射率は、裏面反射率と、全反射率と、
透過率とから算出できる。
【0023】特定的には、前記光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率の演算式は下記式で規定され
る。 RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
2 〕 ただし、RIs は光透過型反射防止用光学機能フィルム
の表面反射率であり、RIは光透過型反射防止用光学機
能フィルムの全反射率であり、TIは光透過型反射防止
用光学機能フィルムの透過率であり、RIb は光透過型
反射防止用光学機能フィルムの裏面反射率である。
【0024】特定的には、代表的な光透過型反射防止用
光学機能フィルムについて事前にその裏面反射率を算出
しておき、測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィ
ルムについて実際の全反射率および透過率を実時間で測
定し、前記裏面反射率と、前記測定対象の光学機能フィ
ルムについて算出した前記全反射率と前記透過率を前記
演算式に代入して前記表面反射率を算出する。
【0025】また特定的には、前記裏面反射率RI
b は、代表的な光透過型反射防止用光学機能フィルムに
ついて事前に抜き取りによって測定した表面反射率RI
s 、全反射率RI、透過率TIとから上記測定した表面
反射率RIs を求める演算式にこれらの測定値を代入し
て計算して求め、ここで求められた各波長ごとの裏面反
射率RIb と前記光透過型反射防止用光学機能フィルム
に入射する入射光束の波長との多項式による回帰演算を
行って、スムージング処理して算出する。
【0026】上記算出について述べる。各波長ごとの裏
面反射率RIb は、事前に抜き取したものについて測定
した各波長における表面反射率RIs 、全反射率RI、
透過率TIとから下記式で計算できる。
【0027】RIb =(1/2k)×〔2k+1−
((2k+1)2 −4k2 1/2
【0028】ここで用いた式は表面反射率RIs を求め
るのに用いた下記式を裏面反射率RIb で解いたもので
ある。
【0029】 RIs =RI−TI2 〔RIb /(1−RIb )2
【0030】また特定的には、前記全反射率RIは、所
定の波長の入射光束(φi )が前記光透過型反射防止用
光学機能フィルムに入射されたとき、前記光透過型反射
防止用光学機能フィルムの表面および裏面から反射した
光を検出した全反射光束(φR )を検出し、RI=φR
/φi の演算により算出される。さらに特定的には、前
記透過率TIは所定の波長の入射光束(φi )を前記光
透過型反射防止用光学機能フィルムに垂直方向に照射し
たとき、前記光透過型反射防止用光学機能フィルムを透
過した透過光束(φt )を検出して、TI=φt/φi
の演算により算出される。
【0031】好ましくは、前記透過率は、前記代表的な
光透過型反射防止用光学機能フィルムについて抜き取り
して事前に求めておき、その値を用いて前記表面反射率
の演算を行う。
【0032】好ましくは、前記光透過型反射防止用光学
機能フィルムは、屈折率が近似している、無反射多層
膜、密着層、ハードコートおよびPETフィルムが積層
されて構成されている。
【0033】本発明の第2の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムを連続的に生産する装置から
連続的に生産された光透過型反射防止用光学機能フィル
ムについて代表的な光透過型反射防止用光学機能フィル
ムを抜き出してその光透過型反射防止用光学機能フィル
ムについて事前に裏面反射率を測定しておき、実時間で
測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィルムの透過
率の測定および全反射率の測定を行い、これらの透過率
および全反射率と事前に算出した裏面反射率とを用いて
前記光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率
を実時間で算出し、算出した表面反射率を前記光透過型
反射防止用光学機能フィルムの製造工程における生産に
負帰還する、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製
造方法が提供される。前記光透過型反射防止用光学機能
フィルムの表面反射率は上述した式1−1によって演算
できる。
【0034】本発明の第3の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムを連続的に生産する装置から
連続的に生産される光透過型反射防止用光学機能フィル
ムについて、実時間で表面反射率を算出する装置であっ
て、前記光透過型反射防止用光学機能フィルムに所定の
入射角度で所定の波長の入射光束を入射させる第1の光
源手段と、該入射光束が前記光透過型反射防止用光学機
能フィルムの表面および裏面で反射した反射光束を検出
する第1の受光手段と、前記入射光束と前記検出した反
射光束の比率を演算して全反射率を算出する全反射率算
出手段とを有する全反射率算出装置と、前記光透過型反
射防止用光学機能フィルムに直角に所定の波長の入射光
束を入射させる第2の光源手段と、該入射光束が前記光
透過型反射防止用光学機能フィルムを透過した透過光束
を検出する第2の受光手段と、前記入射光束と前記検出
した透過光束の比率を演算して透過率を算出する透過率
算出手段とを有する透過率算出装置と、事前に代表的な
光透過型反射防止用光学機能フィルムの裏面反射率を算
出する裏面反射率算出手段と、測定対象の光透過型反射
防止用光学機能フィルムについて前記全反射率算出装置
において算出した全反射率と、前記透過率算出装置にお
いて算出した透過率と、前記裏面反射率算出手段で算出
した裏面反射率とから前記光透過型反射防止用光学機能
フィルムの表面反射率を演算する表面反射率演算手段と
を有する光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反
射率測定装置が提供される。
【0035】前記表面反射率演算手段は、上述した式
(1−1)に基づいて前記光透過型反射防止用光学機能
フィルムの表面反射率を演算する。
【0036】好ましくは、前記全反射率算出装置におけ
る前記全反射率算出手段と、前記透過率算出装置におけ
る前記透過率算出手段と、前記表面反射率演算手段とが
1つの演算手段によって構成される。
【0037】本発明においては、光透過型反射防止用光
学機能フィルムの表面反射率RIsのみを測定すること
ができず、表面反射率RIs と裏面反射率RIb とを合
成した反射光を検出することを前提にし、かつ、裏面反
射率RIb を直接測定できないことを前提にして、測定
可能な全反射率RI(表面反射率RIs と裏面反射率R
b との合計)と、測定可能な透過率TIと、直接測定
出来ない裏面反射率RIb を事前に抜き取したものにつ
いて事前に測定した表面反射率、全反射率、透過率とか
ら計算で求め、多項式による回帰演算によってスムージ
ング処理したものとを用いて、式(1−1)に従って、
光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率RI
s を算出する。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置、およ
び、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法の
実施の形態を述べる。
【0039】まず、本発明の実施の形態の対象となる光
透過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フ
ィルム)について述べる。なお、本実施の形態において
は、表示装置としてCRT表示装置を例示し、表示パネ
ルとしてCRT表示パネルを例示する。
【0040】図1は光学機能フィルムをCRT表示装置
のCRT表示パネルに被着した断面構成を示す図であ
る。
【0041】図1において、CRT表示装置のCRT表
示パネル(ガラスパネル)1の外側の表面上に、接着剤
層3によって光学機能フィルム100が被着されてい
る。光学機能フィルム100は、無反射多層膜20、密
着層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積
層して構成したものである。密着層10は無反射多層膜
20とハードコート7との密着性を高めるために設けら
れている。無反射多層膜20、密着層10、ハードコー
ト7およびPETフィルム5を一体化したものを、光透
過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フィ
ルムとも略す)単体と言う。光学機能フィルム100と
対向するCRT表示パネル1の内面には、電子ビームが
走査光として照射される蛍光膜9が形成されている。
【0042】CRT表示パネル1の厚さは、たとえば、
15mmである。無反射多層膜20、密着層10、ハー
ドコート7およびPETフィルム5を積層させた光学機
能フィルム100の厚さは、たとえば、0.2mmであ
る。
【0043】光学機能フィルムにおけるPETフィルム
5は無反射多層膜20のベースフィルムとして機能す
る。光学機能フィルムにおけるハードコート7はPET
フィルム5と無反射多層膜20との間にフィルムの耐久
性を向上させるために被着されている。光学機能フィル
ムにおける密着層10はハードコート7と無反射多層膜
20との間に無反射多層膜20の密着性を向上させるた
めに設けられている。光学機能フィルムにおける無反射
多層膜20の詳細は図2を参照して後述する。
【0044】光学機能フィルムの一部を構成する無反射
多層膜20としては、たとえば、本願発明者による、
「低反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネル」、
特願平10−6999号において提案した無反射多層膜
を用いることができる。そのような無反射多層膜20を
図2に例示する。図2は「低反射膜、および、低反射膜
を用いた表示パネル」、特願平10−6999号に開示
された無反射多層膜の断面構造図である。図2に図解し
た無反射多層膜20は、図1に図解したように、密着層
10を介してハードコート7の上に被着されている。無
反射多層膜20は、第1の透明(ITO)薄膜22、第
1の二酸化シリコン薄膜24、第2のITO薄膜26、
第2の二酸化シリコン薄膜28を積層した構造を有して
いる。無反射多層膜20は光線の反射を低減する低反射
膜であり、所定の反射率以下になるように、前記低反射
膜の各層の厚さを調整して形成されている。
【0045】無反射多層膜20のそれぞれの膜の厚さと
しては、たとえば、光線の入射角度10°について、入
射光線の波長範囲が490nmから640nmの波長範
囲で低反射膜に入射したとき分光反射率が1%以下とな
るように、前記低反射膜の各層の厚さを調整して形成し
ている。あるいは、無反射多層膜20のそれぞれの膜の
厚さとしては、光線の入射角度10°について、入射光
線の波長650nmでの反射率が1%以下、波長700
nmでの反射率が1.6%以下、かつ、波長750nm
での反射率が2.7%以下となるような長波長側の分光
反射率特性を示すように、前記低反射膜の各層の厚さを
調整して形成している。また、無反射多層膜20のそれ
ぞれの膜の厚さとしては、光線の入射角度10°につい
て、入射光線の波長範囲が380nmから780nmの
光線が前記低反射膜に入反射したとき、反射光色度のy
値が0.10以上でかつ0.25以下となる分光反射率
特性となるように、前記低反射膜の各層の厚さを調整し
て形成している。上述した膜厚と光線の関係について
は、「低反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネ
ル」、特願平10−6999号に詳述している。
【0046】上述した所定の分光反射率特性になるよう
に、無反射多層膜20を表面に形成した光学機能フィル
ムの生産工程において無反射多層膜20の各層の厚さな
どの制御が行われる。本発明の実施の形態において、無
反射多層膜20の全体の厚さは約0.2μmである。
【0047】図3(a)は図1に図解したCRT表示パ
ネル1に被着された光学機能フィルムの表面に入射した
入射光束φi が光学機能フィルムの各膜においていかに
反射され、光学機能フィルムにおいていかに屈折し、光
学機能フィルムをいかに透過するかを図解した図であ
る。図3(b)は図3(a)のようにCRT表示パネル
1の表面に光学機能フィルム単体を被着しない状態で、
光学機能フィルム単体の表面に入射した入射光束φi
光学機能フィルムの各膜においていかに反射され、いか
に屈折し、いかに透過するかを図解した図である。図3
(a)および図3(b)における光学機能フィルムは、
図1に図解したものを用いている。
【0048】図3(a)および図3(b)において、C
RT表示パネル1に被着された光学機能フィルムの最外
面の無反射多層膜20の表面に対して入射角度θで入射
した入射光束φi は無反射多層膜20の表面において一
部が反射する。この反射光線を表面反射光束φRsと呼
ぶ。
【0049】無反射多層膜20の表面で反射しなかった
光は、無反射多層膜20の内部を透過してハードコート
7を透過し、PETフィルム5を透過する。図3(b)
においてはPETフィルム5を透過した光は光学機能フ
ィルムの裏面から出ていくが、図3(a)においては、
PETフィルム5を透過した光はさらにCRT表示パネ
ル1に進入する。
【0050】図3(b)において、無反射多層膜20を
透過した光の一部が無反射多層膜20とハードコート7
との屈折率の差によって、無反射多層膜20の表面に向
かって反射する。ハードコート7を透過した光はハード
コート7とPETフィルム5との屈折率の差によってハ
ードコート7とPETフィルム5の境界面からハードコ
ート7を通って無反射多層膜20の表面に向かって反射
する。PETフィルム5から外部(通常は空気)に出る
光はPETフィルム5と外部の空気との屈折率との差に
応じてその境界面で反射し、PETフィルム5、ハード
コート7を通って無反射多層膜20の表面に向かって反
射する。
【0051】光学機能フィルムを構成する各膜の境界面
から反射した光の合計を裏面反射光束φb と言う。な
お、PETフィルム5の外部の空気に入射光束φi の8
0〜90%程度は透過してゆき、10%程度が裏面反射
光束として表面に戻る。
【0052】図3(a)において、無反射多層膜20か
らPETフィルム5までの光線軌跡は図3(b)と同様
である。PETフィルム5とCRT表示パネル1との境
界面でもそれらの屈折率の差に起因して反射が起こり、
その反射光はPETフィルム5、ハードコート7を通っ
て、無反射多層膜20の表面に向かって反射していく。
この場合も、各境界面から反射した光の合計を裏面反射
光束φb と言う。なお、PETフィルム5とハードコー
ト7の屈折率を適切に選択すると、無反射多層膜20、
ハードコート7、PETフィルム5を積層させて構成し
た光学機能フィルムをCRT表示パネル1に被着した場
合の裏面反射光束φb を無視できる程度まで小さくでき
る。
【0053】図3(a)および図3(b)において、無
反射多層膜20のベースフィルムとしてのPETフィル
ム5と、密着層10と、CRT表示パネル1とのそれぞ
れの屈折率の値が接近しているため、実際は、それぞれ
の境界面における反射は非常に少ない。したがって、無
反射多層膜20の内側のPETフィルム5などからの反
射は事実上無視してもよい。
【0054】図1に図解したように、光学機能フィルム
100がCRT表示パネル1の表面に被着されている場
合は、光学機能フィルム100からCRT表示パネル1
に向かって透過した光は接着剤層3を経由してCRT表
示パネル1の内部に進入する。CRT表示パネル1の内
部に透過してきた光の多くはガラス製のCRT表示パネ
ル1における吸収と、CRT表示パネル1の内面に形成
されている蛍光膜9に吸収される。このように、光学機
能フィルム100の反射率としての性能は、CRT表示
パネル1の表面に光学機能フィルム100を被着したと
きの実際の反射率によって評価されるべきであり、その
時の反射率を光学機能フィルム100の表面反射率と等
価であると定義する。
【0055】光学機能フィルム100の反射率は通常、
分光光度計を用いて測定する。その測定方法の1例を図
4に図解する。図4に図解した分光光度計は、図1に図
解した、無反射多層膜20、密着層10、ハードコート
7およびPETフィルム5を積層した構成した光学機能
フィルムが被着されたCRT表示パネル1に向かって光
を当てる光源102と、この光源102の前面に設けら
れ光源102からの光を所定の形状に絞って光学機能フ
ィルム100の表面に形成された無反射多層膜20の表
面に照射するスリット104と、無反射多層膜20の表
面から反射した光を検出する受光素子106と、受光素
子106で検出した信号を信号処理して光学機能フィル
ム100の表面反射率を演算する演算処理装置108を
有する。
【0056】スリット104は光学機能フィルム100
の表面に形成された無反射多層膜20の表面に所定の入
射角度θで光源102からの光を入射光束φi として照
射する。図3(a)を参照して述べたように、CRT表
示パネル1の表面に光学機能フィルムを被着させて場合
は、裏面反射光束は無視できる程度に小さく、また、C
RT表示パネル1の厚さが十分厚いために受光素子10
6への入射光束は殆どない。したがって、この状態にお
いては、受光素子106は、表面反射光束φRsのみを受
光し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0057】演算処理装置108としては、たとえば、
マイクロコンピュータを用いて構成することができ、受
光素子106の検出信号から光学機能フィルム100の
表面反射率を計算する。その詳細は後述する。
【0058】図4において、光学機能フィルム100の
反射率を測定するとき、光源102から放射される光の
波長λを変化させながら順次その波長における反射率を
測定し、波長と反射率との関係を示したものを分光反射
率という。分光反射率の1例を図5に図解した。本発明
における反射率とは、この分光反射率をも含む広い意味
である。
【0059】図3(a)を参照して述べたように、無反
射多層膜20のベースフィルムとしてのPETフィルム
5と、密着層10と、CRT表示パネル1とのそれぞれ
の屈折率の値が接近しているため、それぞれの境界面に
おける反射は非常に少ない。したがって、光学機能フィ
ルム100の内側の各膜の境界面からの反射は無視して
もよい。
【0060】しかしながら、本発明の実施の形態におい
ては光学機能フィルムの製造段階での光学機能フィルム
の性能評価を行うため、図3(a)および図4に図解し
たように、光学機能フィルムをCRT表示パネル1に被
着させない図3(b)に図解した状態での光学機能フィ
ルム単体での評価を意図している。
【0061】図6(a)は光学機能フィルム単体での評
価を行う分光光度計の概略構成を図解している。図6
(a)に図解した分光光度計は、無反射多層膜20、密
着層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積
層して構成した光学機能フィルム100に向かって光を
当てる光源102と、この光源102の前面に設けられ
光源102からの光を所定の形状に絞って光学機能フィ
ルム100の表面に照射するスリット104と、光学機
能フィルム100の表面から反射した光を検出する受光
素子106と、受光素子106で検出した信号を信号処
理して光学機能フィルム100の表面反射率を演算する
演算処理装置108を有する。
【0062】ところで、無反射多層膜20、密着層1
0、ハードコート7およびPETフィルム5を積層した
光学機能フィルムの厚さは、約0.2mm程度であり、
薄い。しかも、PETフィルム5の裏面(内面)が屈折
率の相当異なる空気と接している。したがって、PET
フィルム5の裏面と空気との境界面における反射光束は
無視できない。したがって、図6(a)に図解した分光
光度計において、光源102からスリット104を通し
て光学機能フィルム100の表面に入射光束φi を当て
ると、光学機能フィルム100の裏面部分のPETフィ
ルム5の裏面と空気との境界面で反射した裏面反射光束
φb も表面反射光束φRsとともに反射されて受光素子1
06で検出されてしまい、この状態では正確に光学機能
フィルム100の表面反射率を測定することができな
い。
【0063】そこで、簡便な方法として、図6(b)に
図解したように、光学機能フィルム100のPETフィ
ルム5の裏面に黒色塗料30を塗布して光学機能フィル
ム100の裏面からの反射がない状態にして光学機能フ
ィルム100の表面反射率を測定する方法が採用されて
いた。図6(b)に図解した分光光度計は、図6(a)
に図解した分光光度計において光学機能フィルム100
の裏面に黒色塗料30を塗布した状態を示す。すなわ
ち、図6(b)に図解した反射率測定方法は、光学機能
フィルム100の裏面に黒色塗料30を塗布し、光源1
02からの光をスリット104を通して光学機能フィル
ム100に当て、光学機能フィルム100の裏面反射の
ない反射光、すなわち、表面反射光束φRsのみを受光素
子106で検出し、検出結果を演算処理装置108で信
号処理して表面反射率を算出する方法である。図6
(b)に図解した光学機能フィルム100の裏面に黒色
塗料30を塗布した反射率測定方法によれば、光学機能
フィルム100の表面反射率を非常に精度が高く、再現
性よく、測定することができる。
【0064】しかしながら、図6(b)を参照して述べ
た黒色塗料を用いた光学機能フィルム100の反射率の
測定方法は、製造ラインから光学機能フィルム100を
その都度抜き取って、抜き取った光学機能フィルム10
0の裏面に黒色塗料30を塗布するから、一種の破壊試
験である上、手間がかかるという問題がある。したがっ
て、このような方法は、光学機能フィルムの生産工程内
で実時間で反射率を測定してその結果を実時間で光学機
能フィルムの製造工程に反映して(負帰還して)次に生
産される光学機能フィルムの品質を維持する方法には適
さない。たとえば、幅1m、長さ1000m程度の光学
機能フィルムの表面反射率を1m間隔で測定することを
想定すれば、現実的な方法とは言えないことが理解され
よう。
【0065】本発明の好適な実施の形態 したがって、無反射多層膜とハードコートとPETフィ
ルムとを積層させた構造の光透過型反射防止用光学機能
フィルム(以下、光学機能フィルムと略す)をその都
度、生産工程から抜き取り、抜き取った光学機能フィル
ムの裏面に黒色塗料を塗布する必要がなく、光学機能フ
ィルムの生産工程において実時間で精度高くかつ再現性
よく光学機能フィルムの表面反射率を測定可能な方法と
その装置が要望されている。以下、本発明の光学機能フ
ィルムの表面反射率測定方法とその装置の好ましい実施
の形態について述べる。
【0066】光学機能フィルムの表面反射率の算出原理
の説明 まず、図1に図解したように、無反射多層膜20、密着
層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積層
させた構成した光学機能フィルムの表面反射率の測定原
理について述べる。本願発明者は、図2に詳細を図解し
た無反射多層膜20を表面に形成させた図3(b)に図
解した光学機能フィルム100に光を入射したとき、光
学機能フィルムの表面から反射し、光学機能フィルムを
透過し、さらに光学機能フィルムの内部で吸収される光
束の関係を理論的に解析した。その解析結果を下記に述
べる。
【0067】図7は図3(b)に図解したものと同等の
光学機能フィルムの断面図である。上述したように、無
反射多層膜20、密着層10、ハードコート7およびP
ETフィルム5の屈折率は近似しており、これらの境界
面からの反射は無視できると仮定している。したがっ
て、図7の図解の光学機能フィルム100は1枚のフィ
ルムとして簡略化して図解している。下記に図7におけ
る光束(光線)追跡を行う。
【0068】入射光束φi が角度θで光学機能フィルム
100の表面に形成されている無反射多層膜(20)の
表面20aに入射したとき、その表面で一部が反射され
る。その反射光束を表面反射光束φRsという。無反射多
層膜(20)の表面20aの反射率をRIs とする。無
反射多層膜(20)の表面20aにおいて反射しなかっ
た光束:φi (1−RIs )が光学機能フィルムの内部
の密着層(10)、ハードコート(7)およびPETフ
ィルム(5)に透過していく。無反射多層膜(20)、
密着層(10)、ハードコート(7)およびPETフィ
ルム(5)の光の吸収率、すなわち、光学機能フィルム
100全体の光の吸収率をAf とすると、φi ・(1−
RIs )・(1−Af )の光束が光学機能フィルム10
0の裏面のPETフィルム(5)裏面部分5bに到達す
る。PETフィルム(5)の裏面5bに到達した光束
は、一部がPETフィルム(5)と空気との境界面で反
射し、残りがPETフィルム(5)の外部に出る。PE
Tフィルム(5)の外部に出た光束を透過光束φt と呼
ぶ。
【0069】PETフィルム(5)の裏面5bの反射率
をRIb とすると、φi ・(1−RIs )・(1−
f )RIb の光束がPETフィルム(5)の裏面5b
で反射して光学機能フィルム100の内面に向かう。光
学機能フィルム100の内面に向かって反射した光束の
一部は無反射多層膜(20)の表面20a側の外部(通
常は外気側)に出る。この光学機能フィルム(表面に無
反射多層膜(20)が形成されている)の内面から出た
光束を裏面反射光束φb と呼ぶ。光学機能フィルムの内
面(無反射多層膜20の内面)の反射率をRIisとする
と、光学機能フィルムの内面でも反射する。以下、無反
射多層膜(20)の内面で反射した光束がPETフィル
ム(5)の裏面5bに向かうが、その光束は無視できる
程度に小さくなっている。本明細書においては、表面反
射光束φRsと裏面反射光束φb とを合わせて全反射光束
φR という。すなわち、φR =φRs+φb である。PE
Tフィルム(5)の裏面5bから透過した光束を透過光
束φt と呼ぶ。無反射多層膜(20)、密着層(1
0)、ハードコート(7)およびPETフィルム(5)
からなる光学機能フィルム100全体の透過率をTIで
表す。
【0070】以上の光線の追跡から透過光束φt 、裏面
反射率RIb 、全反射光束φR について下記の関係式が
成立する。
【0071】
【数1】
【0072】ただし、φi は入射光束であり、φRsは表
面反射光束であり、φb は裏面反射光束であり、φR
全反射光束であり、φt は透過光束であり、RIs は光
学機能フィルム100の表面における反射率(表面反射
率)であり、Af は光学機能フィルム100の内部にお
ける吸収率であり、RIb は光学機能フィルム100の
裏面反射率であり、RIisは光学機能フィルム100の
内面反射率である。
【0073】光学機能フィルム100の透過率TIと全
反射率RIについて下記式が成立する。
【0074】
【数2】
【0075】光学機能フィルム100の表面反射率RI
s と内面反射率RIisとがほぼ等しいこと(RIs ≒R
is)を利用して式6を整理すると下記式が得られる。
【0076】
【数3】
【0077】式5を変形すると下記式が得られる。
【0078】
【数4】
【0079】式7および式8から下記式が得られる。
【0080】
【数5】
【0081】以上の式を整理すると、光学機能フィルム
100の表面反射率RIs を表す下記式が得られる。
【0082】
【数6】
【0083】式10および式11から明らかなように、
本願発明者は、光学機能フィルム100の表面反射率R
s は、光学機能フィルム100の全反射率RIと、光
学機能フィルム100の透過率TIと、光学機能フィル
ム100の裏面反射率RIbとの3つの値を用いて計算
から求められることを見いだした。換言すれば、光学機
能フィルム100について測定可能な全反射率RIと、
測定可能な透過率TIと、直接測定出来ないが本実施の
形態に基づいて算出する裏面反射率RIb とを式10お
よび式11に代入して表面反射率RIs を求めることが
できることを見いだした。
【0084】以下、全反射率RI、透過率TI、およ
び、裏面反射率RIb の算出方法について述べる。
【0085】光学機能フィルムの全反射率RIの測定方
光学機能フィルム100の全反射率RIは、図6(a)
に図解した測定方法によって、光学機能フィルム100
単体の状態で、光源102から放射されスリット104
を通って絞られた入射光束φi を光学機能フィルム10
0の表面に照射し、光学機能フィルム100の表面から
の全反射光束φR (表面反射光束φRsと裏面反射光束φ
b とを合計したもの)を受光素子106で検出し、演算
処理装置108において、式6に基づいて全反射率(R
I)=全反射光束の量(φR )/入射光束の量(φi
の演算を行って求めることができる。なお、入射光束φ
i の量は、光源102およびスリット104の条件およ
び入射角度θから算出されているものとする。たとえ
ば、上記全反射光束φR の測定の前に、受光素子106
を光学機能フィルム100の表面において、そのときの
入射光束φi を測定してもよい。
【0086】光学機能フィルムの透過率TIの測定方法 透過率TIは図8に図解した方法で求めることができ
る。図8は、光源102からの光をスリット104で絞
り、絞った入射光束φi を光学機能フィルム100の単
体に入射角度=0で照射し、光学機能フィルム100の
裏面から透過してきた透過光束φt を受光素子106で
検出し、演算処理装置108において、式5に基づい
て、透過率TI=透過光束φt /入射光束φiを演算し
て求める装置構成を示している。スリット104を通過
して光学機能フィルム100の表面に入射した光の量
(φi )と、受光素子106で受光した光の量(φt
を測定してその比率=φt/φi を計算すれば、光学機
能フィルム100の透過率TIが得られる。
【0087】以上の方法で測定された光学機能フィルム
100の全反射率RIおよび透過率TIと、裏面に黒色
塗料を塗布して測定した光学機能フィルム100の表面
反射率RIs の例を図9に図解する。図9において、破
線の曲線CRIs (0)は図6(a)に図解したよう
に、光学機能フィルム100の裏面に黒色塗料30など
何も塗布しないときのそれぞれの波長λにおける表面反
射率RIs0を示す。実線の曲線CRIs は図6(b)に
図解したように、光学機能フィルム100の裏面に黒色
塗料30を塗布したときのそれぞれの波長λにおける表
面反射率RIs を示す。一点鎖線の曲線CTIはそれぞ
れの波長λにおける透過率TIを示す。
【0088】光学機能フィルム100の表面反射率RI
s 、全反射率RIs(0) 、透過率TIのいずれも光線の
波長λに応じて変化するが、光学機能フィルム100の
裏面に黒色塗料30を塗布したときの表面反射率RIs
のほうが(曲線CRIs )、光学機能フィルム100の
裏面に黒色塗料30を塗布しないときの表面反射率RI
s (0) より低い。その理由は、光学機能フィルム100
の裏面に塗布された黒色塗料30が光線を吸収し、光学
機能フィルム100の裏面から光を反射させないからで
ある。このときの表面反射率RIs が、光学機能フィル
ム100をCRT表示パネル1に被着させたときの表面
反射率と実質的に等価と考えることができる。
【0089】光学機能フィルムの裏面反射率RI b の算
出方法 光学機能フィルム100の裏面反射率RIb を直接測定
する方法は知られていない。そこで、本願発明者は,式
10および式11を変形して裏面反射率RIbを算出す
る方法を考案した。その詳細を下記に述べる。
【0090】まず、事前に、光学機能フィルムの生産工
程から光学機能フィルムの一部を抜き取って、抜き取っ
た光学機能フィルムについて下記の測定を行う。なお、
この光学機能フィルムの抜き取りは、たとえば、光学機
能フィルムの生産ロットの代表として生産ロットについ
て1回だけ行うものであり、表面反射率測定の度に測定
対象の光学機能フィルムを抜き取る従来の方法とは異な
る。 (1)図6(a)に図解した方法で、光学機能フィルム
単体そのままの全反射率RIを測定する。 (2)図8に図解した方法で、光学機能フィルム単体の
透過率TIを測定する。 (3)図6(b)に図解した方法で、光学機能フィルム
の裏面に黒色塗料を塗布して、そのときの表面反射率R
S を測定する。
【0091】ある波長λの光束における表面反射率RI
s (λ)は、その波長λの全反射率RI(λ)、その波
長λの透過率TI(λ)、および、その波長λの裏面反
射率RIb (λ)を用いて、式10および式11のよう
に表すことができる。したがって、式10および式11
を裏面反射率RIb (λ)について解けば、裏面反射率
RIb (λ)を求めることができる。式10において係
数kについて解くと式12が得られる。
【0092】
【数7】
【0093】生産工程から抜き取った光学機能フィルム
について、上記のごとく測定した、表面反射率RI
s (λ)は、全反射率RI(λ)、および、透過率TI
(λ)を式12に代入すれば、係数kが求められる。換
言すれば、係数kは上記のごとく抜き取った光学機能フ
ィルムなど、代表的な光学機能フィルムについて算出す
る。係数kが求められたから、式11を展開して下記式
13を得る。
【0094】
【数8】
【0095】式13を裏面反射率RIb (λ)について
解くと、下記式14が得られる。
【0096】
【数9】
【0097】図10は、式14を用いて光学機能フィル
ムの全反射率RI、透過率TI、表面反射率RIs の3
特性値から裏面反射率RIb を求めた例を示すグラフで
ある。
【0098】光学機能フィルム100においては、無反
射多層膜20のベースフィルムとしてのPETフィルム
5との間にハードコート7が介在しているため、図10
に破線で図解した曲線CRIb Bに図解されるように、
ハードコート7の干渉波形が裏面反射率RIb に重畳さ
れる。すなわち、ある波長λにおける光学機能フィルム
100の全反射率RI、表面反射率RIs 、透過率TI
のスペクトルにはハードコート7の干渉波形が含まれ
る。その結果として、各スペクトル測定の時の干渉波形
の微妙なずれから計算した光学機能フィルムの裏面反射
率RIb のスペクトルにもハードコート7の干渉波形が
重畳されている。この干渉波形は周期が長く、一般的な
スムージング処理ではその影響を除去できない。
【0099】そこで、本願発明者は、物質の反射率がそ
の物質の屈折率によって規定されることを利用して、屈
折率と波長との関係を示す実験式を用いて、干渉波形が
重畳した裏面反射率RIb と波長との回帰演算を行い、
求められた回帰多項式からハードコート7に起因する干
渉波形の影響を受けない正確な光学機能フィルムの裏面
反射率RIb を求めることにした。本実施の形態におい
て使用する回帰演算の実験式(多項式)の例を下記に記
す。
【0100】
【数10】
【0101】式15における係数xは通常1/2〜1/
3の範囲であり、数値計算におけるカーブフィッティン
グ(曲線近似方法)の収束状態に応じて修正する。この
演算は演算処理装置108において行う。
【0102】上述した方法によって補正計算した光学機
能フィルムの裏面反射率RIb の例を図10における実
線および図11に示す。このとき、係数x=0.5、A
=1.87362、B=1652.37、C=−554
593であった。
【0103】光学機能フィルムの表面反射率RI s の計
以上のようにして、生産工程から抜き取った光学機能フ
ィルムについて算出した裏面反射率RIb は、通常、ベ
ースフィルムとしてのPETフィルム5の特性が変化し
ない限り一定であるから、生産工程から生産ロットの抜
き取り試験として抜き取った光学機能フィルムについて
求めた裏面反射率RIb をその他の光学機能フィルムの
反射率測定に用いることができる。したがって、このよ
うにしてロット単位で算出した裏面反射率RIb を演算
処理装置108に予め記憶しておき、生産工程において
実時間でそのロットの光学機能フィルムの反射率を測定
する際、記憶させた裏面反射率RIb を読みだして、式
11に代入した係数kを算出するのに使用する。
【0104】図12は図10および図11に図解した回
帰演算に基づいて補正計算した光学機能フィルムの種々
の波長における裏面反射率(四角のドットで結んだグラ
フ)と透過率(三角のドットで結んだグラフ)とを図解
するグラフであり、これらの裏面反射率と透過率を波長
ごとに演算処理装置108に記憶しておく。演算処理装
置108は記憶した隣接する波長、たとえば、400μ
mと420μmとの間の410μmの裏面反射率と透過
率が必要な場合は、たとえば、直線補間して410μm
における裏面反射率と透過率とを算出する。
【0105】このような条件を整えた状態において、演
算処理装置108は、式10に、求めた係数kと、全反
射率RIと、透過率TIを代入して、表面反射率RIs
を計算する。
【0106】以上が本発明の実施の形態における光学機
能フィルム100の表面反射率RIs の算出方法の基本
である。以上述べたように、本実施の形態によれば、黒
色塗料を光学機能フィルムの下部に塗布することなく、
光学機能フィルムの表面反射率RIs が測定できる。ま
た、本実施の形態による光学機能フィルムの表面反射率
RIs の算出方法は、上述した従来の方法のように、裏
面反射率RIb を算出するための補正量を加減算した
り、変換式を用いないので、正確に光学機能フィルムの
表面反射率RIs を求めることができる。
【0107】さらに上述した実施の形態によれば、簡便
な方法で生産工程における光学機能フィルムの表面反射
率RIs を求めることができる。また本実施の形態によ
れば、実時間で連続的に生産工程における光学機能フィ
ルムの表面反射率RIs を算出することができる。した
がって、このようにして算出した光学機能フィルムの表
面反射率RIs を演算処理装置108などにおいて評価
して、表面反射率RIs が規定範囲を逸脱する傾向があ
る場合、あるいは規定範囲を逸脱した場合、演算処理装
置108が生産工程にその結果を負帰還して、その後に
生産される光学機能フィルムに不良品が発生しないよう
に用いることができる。
【0108】第2実施の形態 次いで、実際の生産工程に上述した本発明の実施の形態
の、光透過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学
機能フィルムと略す)の表面反射率測定方法とその装
置、および、その方法および装置を適用した光学機能フ
ィルムの製造方法の実施の形態について述べる。
【0109】図13は、図3(b)に図解したように、
無反射多層膜20と密着層10とハードコート7とPE
Tフィルム5とが積層された光学機能フィルム100を
生産している工程において光学機能フィルム100の表
面反射率RIs を実時間で測定する装置の構成図であ
る。光学機能フィルム100は一般的には、連続した長
尺のフィルム、たとえば、1000m程度の長さのフィ
ルムとして連続的に製造されていく。第2実施の形態に
おいては、このような光学機能フィルム100の走行状
態において、実時間で光学機能フィルム100の全反射
率RIと透過率TIとを測定する。
【0110】図13において、光学機能フィルム100
は、製造装置400から連続して長尺物として連続的に
排出されてくる。図13に図解の光学機能フィルム10
0の表面反射率の測定装置は、全反射率RIを測定する
部分と透過率TIを測定する部分から構成されている。
光学機能フィルム100の全反射率RIを測定する部分
は、第1の光源202と、第1のスリット204と、第
1の受光素子206と、演算処理装置208とから構成
されている。第1の光源202、第1のスリット20
4、第1の受光素子206および演算処理装置208は
基本的には、図6(a)に図解した装置における、光源
102、スリット104、受光素子106および演算処
理装置108と同様である。光学機能フィルム100の
透過率TIを測定する部分は、第2の光源302と、第
2のスリット304と、第2の受光素子306と演算処
理装置208とから構成されている。この光学機能フィ
ルム100の透過率TIを測定する部分は、図8を参照
して述べた光学機能フィルム100の透過率TIを測定
する部分と実質的に同じである。図13において、演算
処理装置208は、光学機能フィルム100の全反射率
RIの計算と、透過率TIの計算の両者に共通して使用
する。
【0111】光学機能フィルム100の全反射率RIの
測定について述べる。第1の光源202からの光をスリ
ット204を通して入射光束φi として走行している光
学機能フィルム100の表面に所定の入射角度θで当
て、その表面から表面反射光束φRsと光学機能フィルム
100の裏面からの裏面反射率RIb との合計の全反射
光束φR と第1の受光素子206で検出して演算処理装
置208において、式6に基づいて、入射光束φi と全
反射光束φR との比率から全反射率RIを計算する。
【0112】なお、「低反射膜、および、低反射膜を用
いた表示パネル」、特願平10−6999号に開示され
ているように、光学機能フィルム100の表面に形成さ
れた無反射多層膜20の表面反射率RIs は、入射光束
φi の入射角度θおよび入射光束φi の波長λによって
も異なる。したがって、光学機能フィルム100の表面
反射率RIs の測定に際しては、入射光束φi の波長λ
を変化させ、さらに、入射角θを種々の変化させて行う
ことが好ましい。その場合、通常の方法で光源202の
光源からの入射光束φi の波長を変化させ、スリット2
04から光学機能フィルム100に向かう入射光束φi
の角度を変化させる。
【0113】光学機能フィルム100の透過率TIの測
定方法について述べる。第2の光源302からの光を第
2のスリット304を通して入射光束φi として走行し
ている光学機能フィルム100に入射角度0°で当て、
光学機能フィルム100を透過した透過光束φt を第2
の受光素子306で検出して、演算処理装置208にお
いて、式5に基づいて、入射光束φi と透過光束φt
の比率として光学機能フィルム100の透過率TIを算
出する。
【0114】光学機能フィルム100の裏面反射率RI
b は、図1(b)に図解した光学機能フィルム100の
ベースフィルム、すなわち、PETフィルム5の反射特
性によって決定されるが、上述したように、その値は比
較的安定しており、事前にロットごと抜き取り検査をし
て測定した裏面反射率RIb をそのロットの光学機能フ
ィルムの表面反射率測定に利用することができる。この
ように事前準備した状態で、連続的に生産されている光
学機能フィルム100の走行に伴って、所定の周期で、
たとえば、1分ごとに、あるいは所定の走行距離のたび
に、たとえば、1mの走行のたびに、図12に図解した
全反射率RIの測定部と透過率TIの測定部は、光学機
能フィルム100の全反射率RIと透過率TIとを測定
し(演算処理装置208において、全反射率RIと透過
率TIとを計算し)、さらに演算処理装置208は、式
10に従って、事前に測定しておいた裏面反射率RIb
とを用いて表面反射率RIs を計算する。
【0115】このように実時間で測定し、計算した、裏
面に黒色塗料を塗布してない光学機能フィルム100の
表面反射率RIs と、光学機能フィルムの裏面に黒色塗
料を塗布した光学機能フィルムの表面反射率RIs とを
比較して、実時間測定の精度を検討した結果を図9に示
す。図9の結果は、光学機能フィルム100の裏面に黒
色塗料を塗布しない本実施の形態による方法によっても
表面反射率RIs が精度よく得られたことを示してい
る。
【0116】演算処理装置208は、上述した方法で得
られた光学機能フィルム100の表面反射率RIs を光
学機能フィルムの製造装置400に負帰還する。その負
帰還結果は、たとえば、光学機能フィルム100の表面
に形成される無反射多層膜20の生産に反映される。
「低反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネル」、
特願平10−6999号に開示したように、また、図1
(a)に詳細を図解した無反射多層膜20のそれぞれの
膜の厚さとしては、たとえば、光線の入射角度10°に
ついて、入射光線の波長範囲が490nmから640n
mの波長範囲で低反射膜に入射したとき分光反射率が1
%以下となるように、前記低反射膜の各層の厚さを調整
して形成している。あるいは、無反射多層膜20のそれ
ぞれの膜の厚さとしては、光線の入射角度10°につい
て、入射光線の波長650nmでの反射率が1%以下、
波長700nmでの反射率が1.6%以下、かつ、波長
750nmでの反射率が2.7%以下となるような長波
長側の分光反射率特性を示すように、前記低反射膜の各
層の厚さを調整して形成している。または、無反射多層
膜20のそれぞれの膜の厚さとしては、光線の入射角度
10°について、入射光線の波長範囲が380nmから
780nmの光線が前記低反射膜に入反射したとき、反
射光色度のy値が0.10以上でかつ0.25以下とな
る分光反射率特性となるように、前記低反射膜の各層の
厚さを調整して形成している。上述した膜厚と光線の関
係については、「低反射膜、および、低反射膜を用いた
表示パネル」、特願平10−6999号に詳述されてい
る。
【0117】以上のように、製造装置400において
は、上述した条件において、たとえば、上述した厚さに
なるように制御する。その結果として、所望の表面反射
率RIs を満足する光学機能フィルム100が製造でき
る。
【0118】なお、光学機能フィルム100の透過率T
Iが安定しているときは、上述したように、所定周期で
透過率TIを測定することなく、透過率TIを、裏面反
射率RIb と同様、事前にロット抜き取り検査をしてお
き、その結果を用いて表面反射率RIs を計算する。こ
の場合は、図10に図解した全反射率RIの測定部分は
残るが、透過率TIの測定部分は不要となり、装置構成
が簡単になる。
【0119】実験例 従来の方法による光学機能フィルムの歩止まりは約10
%程度であった。本実施の形態による光学機能フィルム
の歩止まりは約90%にまで向上した。
【0120】以上、本発明の光学機能フィルムが被着さ
れる表示パネルとして陰極線管表示装置の表示パネルを
代表し、光学機能フィルムの表面の無反射多層膜20と
して「低反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネ
ル」、特願平10−6999号に開示した無反射多層膜
を例示して述べたが、本発明の光学機能フィルムの表面
反射率測定方法とその装置の実施に際しては、陰極線管
表示装置に限らず、種々の表示装置について適用できる
ことは言うまでもない。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、光透過型反射防止用光
学機能フィルム(光学機能フィルム)の裏面に黒色塗料
を塗布することなく、換言すれば、光透過型反射防止用
光学機能フィルムを破壊することなく、光学機能フィル
ムの表面反射率を正確に算出できる。
【0122】また本発明によれば、上述した光学機能フ
ィルムの表面反射率を光学機能フィルムの生産工程にお
いて実時間で迅速かつ自動的にその表面反射率を求める
ことができる。その結果として、本発明によれば、求め
た表面反射率を光学機能フィルムの製造工程に負帰還す
ることができ、連続的に製造される光学機能フィルムの
品質を維持し、さらに高めることができる。その結果と
して、光学機能フィルムの歩止まりを高めることができ
た。
【0123】本発明の光学機能フィルムの表面反射率測
定装置は簡単な構成であり、低価格で容易に実施でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は無反射多層膜、密着層、ハードコートお
よびPETフィルムを積層した構成した光学機能フィル
ムをCRT表示装置のCRT表示パネルに被着した断面
構成を示す図である。
【図2】図2は図1に図解した光学機能フィルムの表面
に形成された無反射多層膜の断面構造図である。
【図3】図3(a)は図1に図解した光学機能フィルム
が被着されたCRT表示パネルの表面に入射した入射光
束が光学機能フィルムの表面においていかに反射され、
光学機能フィルムの内部に進入した光がいかに屈折し、
いかに透過するかを図解した図であり、図3(b)は光
学機能フィルム単体の表面に入射した入射光束が光学機
能フィルムの表面においていかに直接反射され、光学機
能フィルムの内部に進入した光がいかに屈折し、いかに
光学機能フィルムを透過するかを説明した図である。
【図4】図4は分光光度計の構成例を示す図である。
【図5】図5は分光反射率を示すグラフである。
【図6】図6(a)は光学機能フィルムの裏面に黒色塗
料を塗布しない状態で光学機能フィルム単体の表面反射
率を測定する装置構成を図解した図であり、図6(b)
は光学機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布した状態で
光学機能フィルムの表面反射率を測定する装置構成を図
解した図である。
【図7】図7は無反射多層膜、密着層、ハードコートお
よびPETフィルムを積層させて構成した光学機能フィ
ルムにおける光線軌跡を説明する光学機能フィルムの断
面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態としての無反射多層
膜、密着層、ハードコートおよびPETフィルムを積層
させて構成した光学機能フィルムの透過率を求める装置
構成を示す図である。
【図9】図9は本実施の形態において光学機能フィルム
の裏面に黒色塗料を塗布しないときの光学機能フィルム
について測定した全反射率と透過率と、光学機能フィル
ムの裏面に黒色塗料を塗布して測定した光学機能フィル
ムの表面反射率の例を図解するグラフである。
【図10】図10は図7に図解した光学機能フィルムの
全反射率、透過率、表面反射率の3特性値から光学機能
フィルムの裏面反射率を求めた例を示すグラフである。
【図11】図11は光学機能フィルムの全反射率、透過
率、表面反射率の3特性値から裏面反射率を求めた例を
示すグラフである。
【図12】図12は図10および図11に図解した例に
ついて求めた裏面反射率と透過率の結果を示すグラフで
ある。
【図13】図13は本発明の第2実施の形態としての無
反射多層膜、密着層、ハードコートおよびPETフィル
ムが積層されて構成されている光学機能フィルムを生産
している工程において光学機能フィルムの表面反射率を
実時間で測定する装置の構成図である。
【符号の説明】
1・・CRT表示パネル 100・・光学機能フィルム 20・・無反射多層膜 22・・第1のITO薄膜 24・・第1の二酸化シリコン薄膜 26・・第2のITO薄膜 28・・第2の二酸化シリコン薄膜 3・・接着剤層 5・・PETフィルム 7・・ハードコート 9・・蛍光膜 10・・密着層 30・・黒色塗料 102,202,302・・光源 104,204,304・・スリット 106,206,306・・受光素子 108,208・・演算処理装置 400・・光学機能フィルムの製造装置 φi ・・入射光束 φR ・・全反射光束 φRs・・表面反射光束 φb ・・裏面反射光束 φt ・・透過光束 RI・・・全反射率 RIs ・・表面反射率 RIb ・・裏面反射率 RIis・・内面反射率 Af ・・吸収率 TI ・・透過率
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年6月9日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 光透過型反射防止用光学機能フィルム
の表面反射率測定方法とその装置、および、光透過型反
射防止用光学機能フィルムの製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は実時間で光透過型反
射防止用光学機能フィルムの表面反射率を測定する方法
と装置、および、光透過型反射防止用光学機能フィルム
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】種々の表示装置において、表示装置の周
囲からの光、たとえば、室内の蛍光灯による光の反射に
よる表示内容の見えにくさを改善することが種々試みら
れている。改善方法の1つは、たとえば、事務所内にお
ける照明方法の改善であり、他の方法は表示装置におけ
る反射防止対策である。特に、後者は、普通の家庭に設
置する表示装置、たとえば、テレビジョン表示装置にお
いて特別の照明装置の改善を図ることが難しいときに必
要となる。もちろん、後者の反射防止対策は、事務所用
の表示装置、たとえば、種々のコンピュータ用表示装置
においても有効である。
【0003】そのような反射防止対策が必要とされる表
示装置としては、たとえば、陰極線管(CRT)表示装
置、液晶表示装置、プラズマディスプレイ装置、ELデ
ィスプレイ装置、REディスプレイ装置などが対象とな
るが、以下、CRT表示装置を代表して述べる。
【0004】CRT表示装置のCRT表示パネルを通し
て目視できる表示情報はCRT表示装置の周囲からの光
の反射によって目視しにくくなることがあり、CRT表
示パネルに対する外光反射防止対策が種々講じられてい
る。そのような外光反射防止対策として、光透過型反射
防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フィルムと略
す)をCRT表示パネルの表面に被着している。
【0005】本願発明者は、そのような用途に適した光
学機能フィルムの表面を形成する無反射多層膜の1例と
して、たとえば、平成10年1月16日に出願した「低
反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネル」、特願
平10−6999号を提案している。
【0006】光学機能フィルムの品質管理および生産工
程の効率化の観点から、光学機能フィルムの製造工程に
おいて、光学機能フィルムの表面反射率を実時間で正確
に測定し、その結果を製造工程に反映させること(負帰
還させること)が要望されている。
【0007】しかしながら、これまで、光学機能フィル
ムを単体でその表面反射率のみを測定することは、光学
機能フィルムの裏面からの反射の影響があり、困難であ
った。
【0008】そのため、光学機能フィルムの表面反射率
の測定はこれまで、光学機能フィルムの生産工程から抜
き取りによって切り出された光学機能フィルムの一部の
裏面に光を吸収する、たとえば、黒色塗料を塗布して光
学機能フィルムの裏面からの反射がない状態で、光学機
能フィルム単体の表面反射率を測定していた。しかしな
がら、このような方法は、生産工程から表面反射率を測
定すべき対象とする全ての光学機能フィルムを抜き取る
から、1種の光学機能フィルムの破壊試験である。加え
て、表面反射率を測定する対象の光学機能フィルムにつ
いてその裏面に黒色塗料をその都度塗布するから、手間
がかかる。さらにそのような表面反射率測定は手作業で
あり、連続的に光学機能フィルムが生産されている状態
において実時間で光学機能フィルムの表面反射率を測定
して、不良の光学機能フィルムが生産される傾向にある
ときは事前に光学機能フィルムの製造装置に通報して製
造条件を改善するなどには適用できない。そこで、光学
機能フィルムの生産工程において、実時間で測定した全
反射率から反射率補正量を減じて、実際の光学機能フィ
ルムの表面反射率を推定する方法も知られている。
【0009】また実際に測定した全反射率から変換式を
用いて光学機能フィルムの表面反射率を算出する方法も
提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た方法では、光学機能フィルムの生産工程における補正
計算による表面反射率の結果と、実際に抜き取り検査に
よる光学機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布して測定
した表面反射率とが食い違うことがあり、光学機能フィ
ルムの正確な表面反射率が測定できないという問題に遭
遇していた。
【0011】抜き取り検査などにおいて、光学機能フィ
ルムの裏面からの反射を防止するため、抜き取った光学
機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布しなければならず
手間が掛かる上、表面反射率測定のために抜き取った
学機能フィルムが使用できなくなる。
【0012】さらに抜き取り検査では全ての光学機能フ
ィルムの検査ではないから、部分的な検査に過ぎず、被
検査部分の不良を検出できない。したがって、全ての光
学機能フィルムについて実時間で連続的に正確な表面反
射率の測定が要望されている。
【0013】また従来の方法では、光学機能フィルムの
生産工程における実時間で正確な光学機能フィルムの表
面反射率の測定を生産工程に反映させる(負帰還させ)
ことが出来なかったので、生産された光学機能フィルム
の歩留まりが低いという問題に遭遇している。
【0014】上述した諸問題は、図面に関連づけて詳細
を後述する。
【0015】以上、表示パネルとしてCRT表示パネル
に被着する光学機能フィルムの表面反射率の測定につい
て述べたが、CRT表示パネルに限らず、液晶、プラズ
マディスプレイ、ELディスプレイ、REディスプレイ
などに被着する光学機能フィルムも上記同様の問題に遭
遇している。
【0016】本発明の目的は、種々の表示装置に用いる
反射防止用光学機能フィルム(光学機能フィルム)の表
面反射率を、非破壊方式で、正確に測定可能な光透過型
反射防止用光学機能フィルムの表面反射率測定方法とそ
の装置を提供することにある。
【0017】また本発明の目的は種々の表示装置に用い
る光透過型反射防止用光学機能フィルムの生産工程にお
いて、実時間で、光透過型反射防止用光学機能フィルム
の表面反射率を正確に測定可能な光透過型反射防止用光
学機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置を提供
することにある。
【0018】さらに本発明の目的は種々の表示装置に用
いる光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率
を、簡便に、測定可能な光透過型反射防止用光学機能フ
ィルムの表面反射率測定方法とその装置を提供すること
にある。
【0019】また本発明の目的は生産される光透過型反
射防止用光学機能フィルムの歩留まりを向上させる光透
過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法を提供する
ことにある。
【0020】
【課題を解決するための手段】本願発明者が、上述した
光透過型反射防止用光学機能フィルム(光学機能フィル
ム)の反射率の不一致を調査したところ、裏面反射成分
を含む全反射率に対する裏面反射成分の比率が、透過率
と表面反射率とに依存して変化することが原因であるこ
とを究明した。たとえば、本来測定したい光学機能フィ
ルムの表面反射率が小さくなると、光学機能フィルムの
表面から入射した光束が光学機能フィルムの裏面に到達
する光量が増加し、 学機能フィルムの裏面から反射し
て表面に到達する裏面反射光束の量が増加することにな
り、全反射率に対する裏面反射成分の比率が増加する。
その結果として、従来の一定の反射率の補正計算を行う
方法では、光学機能フィルムの表面反射率を精度よく求
めることが出来なかった。変換式を用いる方法も同様で
ある。上述した事項の詳細については、図面を参照して
詳細について後述する。
【0021】さらに本願発明者は、本発明の方法によっ
て求めた光学機能フィルムの裏面反射率の測定に際し
光学機能フィルムにおけるハードコート層による干
渉波形が重畳して測定誤差になるので、その干渉波形を
除去する方法として、光学機能フィルムに入射する入射
光束の波長と、各波長ごとの 裏面反射率との多項式を
用いた回帰演算によって精度良く干渉波形の除去が可能
なことを見いだした。
【0022】本発明は上述した知見に基づいてなされた
ものである。本発明の第1の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムの裏面反射率と、全反射率
と、透過率とを用いて測定対象の光透過型反射防止用光
学機能フィルムの表面反射率を算出する光透過型反射防
止用光学機能フィルムの表面反射率測定方法が提供され
る。すなわち、本発明においては、光透過型反射防止用
光学機能フィルムの表面反射率は、裏面反射率と、全反
射率と、透過率とから算出できる。
【0023】特定的には、上記測定対象の光透過型反射
防止用光学機能フィルムの表面反射率の演算式は下記式
で規定される。 RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
2 〕 ただし、RIs は光透過型反射防止用光学機能フィルム
の表面反射率であり、RIは光透過型反射防止用光学機
能フィルムの全反射率であり、TIは光透過型反射防止
用光学機能フィルムの透過率であり、RIb は光透過型
反射防止用光学機能フィルムの裏面反射率である。
【0024】特定的には、代表的な光透過型反射防止用
光学機能フィルムについて事前に基準の裏面反射率を算
する段階と 測定対象の光透過型反射防止用光学機能
フィルムについて実際の全反射率および透過率を実時間
で測定する段階と、上記事前に求めた基準の裏面反射率
と、上記測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィル
について測定した上記全反射率と前記透過率を上記
算式に代入して上記測定対象の光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率を算出する段階を有する。
【0025】また特定的には、上記裏面反射率RI
b は、代表的な光透過型反射防止用光学機能フィルムに
ついて事前に測定した表面反射率RIs 、全反射率RI
および透過率TIを上記表面反射率RIs を求める演算
に代入して仮の裏面反射率を求め、ここで求められた
各波長ごとの仮の裏面反射率RIb 上記基準の裏面反
射率を測定したとき前記代表的な光透過型反射防止用光
学機能フィルムに入射させた入射光束の波長との多項式
による回帰演算を行い、さらにスムージング処理して
記基準の裏面反射率 RI b 算出する。
【0026】上記算出について述べる。各波長ごとの裏
面反射率RIb は、事前に測定した各波長における表面
反射率RIs 、全反射率RI、透過率TIとから下記式
で計算できる。
【0027】RIb =(1/2k)×〔2k+1−
((2k+1)2 −4k2 1/2
【0028】ここで用いた式は表面反射率RIs を求め
るのに用いた下記式を裏面反射率RIb で解いたもので
ある。
【0029】 RIs =RI−TI2 〔RIb /(1−RIb )2
【0030】また特定的には、上記測定対象の光学機能
フィルムの全反射率RIは、所定の波長(λ)の入射光
束(φi )が上記測定対象の光透過型反射防止用光学機
能フィルムに入射されたとき、上記測定対象の光透過型
反射防止用光学機能フィルムの表面および裏面から反射
した光の和としての全反射光束(φR )を検出し、上記
検出した全反射光束を用いたRI=φR /φi の演算に
より算出される。さらに特定的には、上記透過率TIは
所定の波長の入射光束(φi )を上記測定対象の光透過
型反射防止用光学機能フィルムに垂直方向に照射したと
き、上記測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィル
ムを透過した透過光束(φt )を検出し、上記検出した
透過光束を用いたTI=φt /φi の演算により算出さ
れる。
【0031】好ましくは、上記透過率は、上記代表的な
光透過型反射防止用光学機能フィルムについて事前に求
めておき、その値を用いて上記 測定対象の光透過型反射
防止用光学機能フィルムの表面反射率の演算を行う。
【0032】好ましくは、上記代表的な光透 過型反射防
止用光学機能フ ィルムおよび前記測定対象の光透過型反
射防止用光学機能フィルムは、屈折率が近似している、
無反射多層膜、密着層、ハードコートおよびPETフィ
ルムが積層されて構成されている。
【0033】本発明の第2の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムを連続的に生産する装置から
連続的に生産された光透過型反射防止用光学機能フィル
ムについて代表的な光透過型反射防止用光学機能フィル
となる部分を抜き出してその部分的な光透過型反射防
止用光学機能フィルムについて事前に裏面反射率を測定
する段階と、実時間で測定対象の光透過型反射防止用光
学機能フィルムの透過率の測定および全反射率の測定を
行う段階と、これらの透過率および全反射率と上記事前
に算出した裏面反射率とを用いて上記生産された光透過
型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率を実時間で
算出する段階と、上記算出した表面反射率を上記光透過
型反射防止用光学機能フィルムの製造工程における生産
に負帰還し、所望の表面反射率を有する光透過型反射防
止用光学機能フィルムを連続的に生産する段階とを有す
光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法が提
供される。前記光透過型反射防止用光学機能フィルムの
表面反射率は上述した式1−1によって演算できる。
【0034】本発明の第3の観点によれば、光透過型反
射防止用光学機能フィルムを連続的に生産する装置から
連続的に生産される光透過型反射防止用光学機能フィル
ムについて、実時間で表面反射率を算出する装置であっ
て、上記 生産された光透過型反射防止用光学機能フィル
ムに第1の入射角度で第1の波長の入射光束を入射させ
る第1の光源手段と、該第1の入射光束が上記生産され
光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面および裏
面で反射した反射光束を検出する第1の受光手段と、
記第1の入射光束と前記検出した反射光束の比率を演算
して全反射率を算出する全反射率算出手段とを有する全
反射率算出装置と、上記生産された光透過型反射防止用
光学機能フィルムに直角に第2の波長の第2の入射光束
を入射させる第2の光源手段と、該第2の入射光束が
記生産された光透過型反射防止用光学機能フィルムを透
過した透過光束を検出する第2の受光手段と、上記第2
入射光束と前記検出した透過光束の比率を演算して
透過率を算出する透過率算出手段とを有する透過率算出
装置と、事前に代表的な光透過型反射防止用光学機能フ
ィルムの裏面反射率を算出する裏面反射率算出手段と、
上記全反射率算出装置において上記生産された光透過型
反射防止用光学機能フィルムについて算出した全反射率
と、上記透過率算出装置において 記生産された光透過
型反射防止用光学機能フィルムについて算出した透過率
と、上記裏面反射率算出手段において事前に代表的な光
透過型反射防止用光学機能フィルムについて算出した
面反射率とから上記測定対象の光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率を演算する表面反射率演算手
段とを有する光透過型反射防止用光学機能フィルムの表
面反射率測定装置が提供される。
【0035】上記表面反射率演算手段は、上述した式
(1−1)に基づいて上記生産された光透過型反射防止
用光学機能フィルムの表面反射率を演算する。
【0036】好ましくは、上記全反射率算出装置におけ
上記全反射率算出手段と、上記透過率算出装置におけ
上記透過率算出手段と、上記表面反射率演算手段とが
1つの演算手段によって構成される。
【0037】本発明においては、光透過型反射防止用光
学機能フィルムの表面反射率RIsのみを測定すること
ができず、表面反射率RIs と裏面反射率RIb とを合
成した反射光を検出することを前提にし、かつ、裏面反
射率RIb を直接測定できないことを前提にして、測定
可能な全反射率RI(表面反射率RIs と裏面反射率R
b との合計)と、測定可能な透過率TIと、直接測定
出来ない裏面反射率RIb を事前に抜き取したものにつ
いて事前に測定した表面反射率、全反射率、透過率とか
ら計算で求め、多項式による回帰演算によってスムージ
ング処理したものとを用いて、式(1−1)に従って、
光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率RI
s を算出する。
【0038】
【発明の実施の形態】本発明の光透過型反射防止用光学
機能フィルムの表面反射率測定方法とその装置、およ
び、光透過型反射防止用光学機能フィルムの製造方法の
実施の形態を述べる。
【0039】まず、本発明の実施の形態の対象となる光
透過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フ
ィルム)について述べる。なお、本実施の形態において
は、表示装置としてCRT表示装置を例示し、本発明の
実施の形態の光学機能フィルムが被着される表示パネル
としてCRT表示パネルを例示する。
【0040】図1は光学機能フィルムをCRT表示装置
のCRT表示パネルに被着した断面構成を示す図であ
る。
【0041】図1において、CRT表示装置のCRT表
示パネル(ガラスパネル)1の外側の表面上に、接着剤
層3によって光学機能フィルム100が被着されてい
る。光学機能フィルム100は、無反射多層膜20、密
着層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積
層して構成したものである。密着層10は無反射多層膜
20とハードコート7との密着性を高めるために設けら
れている。無反射多層膜20、密着層10、ハードコー
ト7およびPETフィルム5を一体化したものを、光透
過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学機能フィ
ルムとも略す)単体と言う。光学機能フィルム100と
対向するCRT表示パネル1の内面には、電子ビームが
走査光として照射される蛍光膜9が形成されている。
【0042】CRT表示パネル1の厚さは、たとえば、
15mmである。無反射多層膜20、密着層10、ハー
ドコート7およびPETフィルム5を積層させた光学機
能フィルム100の厚さは、たとえば、0.2mmであ
る。
【0043】光学機能フィルム100におけるPETフ
ィルム5は無反射多層膜20のベースフィルムとして機
能する。光学機能フィルムにおけるハードコート7はP
ETフィルム5と無反射多層膜20との間に設けられ、
PETフィルム5の耐久性を向上させるために被着され
ている。光学機能フィルムにおける密着層10はハード
コート7と無反射多層膜20との間に設けられ、ハード
コート7への無反射多層膜20の密着性を向上させるた
めに設けられている。光学機能フィルムにおける無反射
多層膜20の詳細は図2を参照して後述する。
【0044】光学機能フィルムの一部を構成する無反射
多層膜20としては、たとえば、本願発明者による、
「低反射膜、および、低反射膜を用いた表示パネル」、
特願平10−6999号において提案した無反射多層膜
を用いることができる。そのような無反射多層膜20を
図2に例示する。図2は特願平10−6999号に開示
された無反射多層膜の断面構造図である。図2に図解し
た無反射多層膜20は、図1に図解したように、密着層
10を介してハードコート7の上に被着されている。無
反射多層膜20は、第1の透明(ITO)薄膜22、第
1の二酸化シリコン薄膜24、第2のITO薄膜26、
第2の二酸化シリコン薄膜28を積層した構造を有して
いる。無反射多層膜20は光線の反射を低減する低反射
膜であり、所定の反射率以下になるように、前記低反射
膜の各層の厚さを調整して形成されている。
【0045】無反射多層膜20のそれぞれの膜の厚さと
しては、たとえば、光線の入射角度10°について、入
射光線の波長範囲が490nmから640nmの波長範
囲で低反射膜に入射したとき分光反射率が1%以下とな
るように、前記低反射膜の各層の厚さを調整して形成し
ている。あるいは、無反射多層膜20のそれぞれの膜の
厚さとしては、光線の入射角度10°について、入射光
線の波長650nmでの分光反射率が1%以下、波長7
00nmでの分光反射率が1.6%以下、かつ、波長7
50nmでの分光反射率が2.7%以下となるような長
波長側の分光反射率特性を示すように、前記低反射膜の
各層の厚さを調整して形成している。また、無反射多層
膜20のそれぞれの膜の厚さとしては、光線の入射角度
10°について、入射光線の波長範囲が380nmから
780nmの光線が前記低反射膜に入反射したとき、反
射光色度のy値が0.10以上でかつ0.25以下とな
る分光反射率特性となるように、前記低反射膜の各層の
厚さを調整して形成している。上述した膜厚と光線の関
係については特願平10−6999号に詳述している。
【0046】上述した所定の分光反射率特性になるよう
に、無反射多層膜20を表面に形成した光学機能フィル
ムの生産工程において無反射多層膜20の各層の厚さな
どの制御が行われる。本発明の実施の形態において、無
反射多層膜20の全体の厚さは約0.2μmである。
【0047】図3(a)は図1に図解したCRT表示パ
ネル1に被着された光学機能フィルムの表面に入射した
入射光束φi が光学機能フィルムの各膜においていかに
反射され、光学機能フィルムにおいていかに屈折し、光
学機能フィルムをいかに透過するかを図解した図であ
る。図3(b)は図3(a)のようにCRT表示パネル
1の表面に光学機能フィルム単体を被着しない状態で、
光学機能フィルム単体の表面に入射した入射光束φi
光学機能フィルムの各膜においていかに反射され、いか
に屈折し、いかに透過するかを図解した図である。図3
(a)および図3(b)における光学機能フィルムは、
図1に図解したものを用いている。
【0048】図3(a)および図3(b)において、C
RT表示パネル1に被着された光学機能フィルムの最外
面の無反射多層膜20の表面に対して入射角度θで入射
した入射光束φi は無反射多層膜20の表面において一
部が反射する。この反射光線を表面反射光束φRsと呼
ぶ。
【0049】無反射多層膜20の表面で反射しなかった
光は、無反射多層膜20の内部を透過してハードコート
7を透過し、さらにPETフィルム5を透過する。図3
(b)においてはPETフィルム5を透過した光は光学
機能フィルムの裏面から出ていくが、図3(a)におい
ては、PETフィルム5を透過した光はさらにCRT表
示パネル1に進入する。
【0050】図3(b)において、無反射多層膜20を
透過した光の一部が無反射多層膜20とハードコート7
との屈折率の差によって、無反射多層膜20の表面に向
かって反射する。ハードコート7を透過した光はハード
コート7とPETフィルム5との屈折率の差によってハ
ードコート7とPETフィルム5の境界面からハードコ
ート7を通って無反射多層膜20の表面に向かって反射
する。PETフィルム5から外部(通常は空気)に出る
光はPETフィルム5と外部の空気との屈折率との差に
応じてその境界面で反射し、PETフィルム5、ハード
コート7を通って無反射多層膜20の表面に向かって反
射する。
【0051】光学機能フィルムを構成する各膜の境界面
から反射した光の合計を裏面反射光束φb と言う。なお
通常、入射光束φi の80〜90%程度はPETフィル
ム5からCRT表示パネル1に透過してゆき、10%程
度が裏面反射光束φb として無反射多層膜20の表面に
戻る。
【0052】図3(a)において、無反射多層膜20か
らPETフィルム5までの光線軌跡は図3(b)と同様
である。PETフィルム5とCRT表示パネル1との境
界面でもそれらの屈折率の差に起因して反射が起こり、
その反射光はPETフィルム5、ハードコート7を通っ
て、無反射多層膜20の表面に向かって反射していく。
この場合も、各境界面から反射した光の合計を裏面反射
光束φb と言う。なお、PETフィルム5とハードコー
ト7の屈折率を適切に選択すると、無反射多層膜20、
ハードコート7、PETフィルム5を積層させて構成し
た光学機能フィルムをCRT表示パネル1に被着した場
合の裏面反射光束φb を無視できる程度まで小さくでき
る。
【0053】図3(a)および図3(b)において、無
反射多層膜20のベースフィルムとしてのPETフィル
ム5と、密着層10と、CRT表示パネル1とのそれぞ
れの屈折率の値が接近しているため、実際は、それぞれ
の境界面における反射は非常に少ない。したがって、無
反射多層膜20の内側のPETフィルム5などからの反
射は事実上無視してもよい。
【0054】図1に図解したように、光学機能フィルム
100がCRT表示パネル1の表面に被着されている場
合は、光学機能フィルム100からCRT表示パネル1
に向かって透過した光は接着剤層3を経由してCRT表
示パネル1の内部に進入する。CRT表示パネル1の内
部に透過してきた光の多くはガラス製のCRT表示パネ
1と、CRT表示パネル1の内面に形成されている蛍
光膜9に吸収される。このように、光学機能フィルム1
00の反射率は、CRT表示パネル1の表面に光学機能
フィルム100を被着したときの実際の反射率によって
評価されるべきであり、その時の反射率を光学機能フィ
ルム100の表面反射率と等価であると定義する。
【0055】光学機能フィルム100の反射率は通常、
分光光度計を用いて測定する。その測定方法の1例を図
4に図解する。図4に図解した分光光度計は、図1に図
解した、無反射多層膜20、密着層10、ハードコート
7およびPETフィルム5を積層した構成した光学機能
フィルム100が被着されたCRT表示パネル1に向か
って光を当てる光源102と、この光源102の前面に
設けられ光源102からの光を所定の形状に絞って光学
機能フィルム100の表面に形成された無反射多層膜2
0の表面に照射するスリット104と、無反射多層膜2
0の表面から反射した光を検出する受光素子106と、
受光素子106で検出した信号を信号処理して光学機能
フィルム100の表面反射率RIs を演算する演算処理
装置108を有する。
【0056】スリット104は光学機能フィルム100
の表面に形成された無反射多層膜20の表面に所定の入
射角度θで光源102からの光を入射光束φi として照
射する。図3(a)を参照して述べたように、CRT表
示パネル1の表面に光学機能フィルム100を被着させ
場合は、裏面反射光束は無視できる程度に小さく、ま
た、CRT表示パネル1の厚さが十分厚いために受光素
子106への入射光束は殆どない。したがって、この状
態においては、受光素子106は表面反射光束φRsのみ
を受光し、受光量に応じた電気信号を出力する。
【0057】演算処理装置108としては、たとえば、
マイクロコンピュータを用いて構成することができ、受
光素子106の検出信号から光学機能フィルム100の
表面反射率を計算する。その詳細は後述する。
【0058】図4において、光学機能フィルム100の
反射率を測定するとき、光源102から放射される光の
波長λを変化させながら順次その波長における反射率を
測定する。波長と反射率との関係を示したものを分光反
射率という。分光反射率の1例を図5に図解した。図5
の横軸は波長を示し、縦軸は正の反射率を示す。曲線C
p は正の反射率を示し、曲線CVs は平滑した正の反
射率を示す。本明細書における反射率とは、この分光反
射率をも含む広い意味である。
【0059】図3(a)を参照して述べたように、無反
射多層膜20のベースフィルムとしてのPETフィルム
5と、密着層10と、CRT表示パネル1とのそれぞれ
の屈折率の値が接近しているため、それぞれの境界面に
おける反射は非常に少ない。したがって、光学機能フィ
ルム100の内側の各膜の境界面からの反射は無視して
もよい。
【0060】しかしながら、本発明の実施の形態におい
ては光学機能フィルムの製造段階での光学機能フィルム
の性能評価を行うため、光学機能フィルムをCRT表示
パネル1に被着させない図3(b)に図解した状態での
光学機能フィルム単体での評価を意図している。
【0061】図6(a)は光学機能フィルム単体での評
価を行う分光光度計の概略構成を図解している。図6
(a)に図解した分光光度計は、無反射多層膜20、密
着層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積
層して構成した光学機能フィルム100に向かって光を
当てる光源102と、この光源102の前面に設けられ
光源102からの光を所定の形状に絞って光学機能フィ
ルム100の表面に照射するスリット104と、光学機
能フィルム100の表面から反射した光を検出する受光
素子106と、受光素子106で検出した信号を信号処
理して光学機能フィルム100の表面反射率を演算する
演算処理装置108を有する。
【0062】ところで、無反射多層膜20、密着層1
0、ハードコート7およびPETフィルム5を積層した
光学機能フィルムの厚さは、約0.2mm程度であり、
薄い。しかも、PETフィルム5の裏面(内面)が屈折
率の相当異なる空気と接している。したがって、PET
フィルム5の裏面と空気との境界面における反射光束は
無視できない。したがって、図6(a)に図解した分光
光度計において、光源102からスリット104を通し
て光学機能フィルム100の表面に入射光束φi を当て
ると、光学機能フィルム100の裏面部分のPETフィ
ルム5の裏面と空気との境界面で反射した裏面反射光束
φb も表面反射光束φRsとともに反射されて受光素子1
06で検出されてしまい、この状態では正確に光学機能
フィルム100の表面反射率を測定することができな
い。
【0063】そこで、簡便な方法として、図6(b)に
図解したように、光学機能フィルム100のPETフィ
ルム5の裏面に黒色塗料30を塗布して光学機能フィル
ム100の裏面からの反射がない状態にして光学機能フ
ィルム100の表面反射率を測定する方法を採用した
6(b)に図解した反射率測定方法は、光学機能フィ
ルム100の裏面に黒色塗料30を塗布し、光源102
からの光をスリット104を通して光学機能フィルム1
00に当て、光学機能フィルム100の裏面反射のない
反射光、すなわち、表面反射光束φRsのみを受光素子1
06で検出し、検出結果を演算処理装置108で信号処
理して表面反射率を算出する方法である。図6(b)に
図解した光学機能フィルム100の裏面に黒色塗料30
を塗布した反射率測定方法によれば、光学機能フィルム
100の表面反射率を非常に精度が高く、再現性よく、
測定することができる。
【0064】しかしながら、図6(b)を参照して述べ
た黒色塗料を用いた光学機能フィルム100の反射率の
測定方法は、製造ラインから光学機能フィルム100を
その都度抜き取って、抜き取った光学機能フィルム10
0の裏面に黒色塗料30を塗布するから、一種の破壊試
験である上、手間がかかるという問題がある。したがっ
て、このような方法は、光学機能フィルムの生産工程内
で実時間で反射率を測定してその結果を実時間で光学機
能フィルムの製造工程に反映して(負帰還して)次に生
産される光学機能フィルムの品質を維持する方法には適
さない
【0065】本発明の好適な実施の形態 したがって、光学機能フィルムをその都度、生産工程か
ら抜き取り、抜き取った光学機能フィルムの裏面に黒色
塗料を塗布する必要がなく、光学機能フィルムの生産工
程において実時間で精度高くかつ再現性よく光学機能フ
ィルムの表面反射率を測定可能な方法とその装置が要望
されている。以下、本発明の光学機能フィルムの表面反
射率測定方法とその装置の好ましい実施の形態について
述べる。
【0066】光学機能フィルムの表面反射率の算出原理
の説明 まず、図1に図解したように、無反射多層膜20、密着
層10、ハードコート7およびPETフィルム5を積層
させた構成した光学機能フィルム100の表面反射率の
測定原理について述べる。本願発明者は、図2に詳細を
図解した無反射多層膜20を表面に形成させた図3
(b)に図解した光学機能フィルム100に光を入射し
たとき、光学機能フィルムの表面から反射し、光学機能
フィルムを透過し、さらに光学機能フィルムの内部で吸
収される光束の関係を理論的に解析した。その解析結果
を下記に述べる。
【0067】図7は図3(b)に図解したものと同等の
光学機能フィルム100の断面図である。上述したよう
に、無反射多層膜20、密着層10、ハードコート7お
よびPETフィルム5の屈折率は近似しており、これら
の境界面からの反射は無視できると仮定している。した
がって、図7の図解の光学機能フィルム100は1枚の
フィルムとして簡略化して図解している。下記に図7
参照して光束(光線)追跡を行う。
【0068】入射光束φi が角度θで光学機能フィルム
100の表面に形成されている無反射多層膜(20)の
表面20aに入射したとき、その表面で一部が反射され
る。その反射光束を表面反射光束φRsという。無反射多
層膜(20)の表面20aの反射率をRIs とする。無
反射多層膜(20)の表面20aにおいて反射しなかっ
た光束:φi (1−RIs )が光学機能フィルムの内部
の密着層(10)、ハードコート(7)およびPETフ
ィルム(5)に透過していく。無反射多層膜(20)、
密着層(10)、ハードコート(7)およびPETフィ
ルム(5)の光の吸収率、すなわち、光学機能フィルム
100全体の光の吸収率をAf とすると、φi ・(1−
RIs )・(1−Af )の光束が光学機能フィルム10
0の裏面のPETフィルム(5)裏面部分5bに到達
する。PETフィルム(5)の裏面5bに到達した光束
は、一部がPETフィルム(5)と空気との境界面で反
射し、残りがPETフィルム(5)の外部に出る。PE
Tフィルム(5)の外部に出た光束を透過光束φt と呼
ぶ。
【0069】PETフィルム(5)の裏面5bの反射率
をRIb とすると、φi ・(1−RIs )・(1−
f )RIb の光束がPETフィルム(5)の裏面5b
で反射して光学機能フィルム100の内面に向かう。光
学機能フィルム100の内面に向かって反射した光束の
一部は無反射多層膜(20)の表面20a側の外部(通
常は外気側)に出る。この光学機能フィルム(表面に無
反射多層膜(20)が形成されている)の内面から出た
光束を裏面反射光束φb と呼ぶ。光学機能フィルムの内
面(無反射多層膜20の内面)の反射率をRIisとす
光学機能フィルムの内面でも反射する。反射多層
膜(20)の内面で反射した光束がPETフィルム
(5)の裏面5bに向かうが、その光束は無視できる程
度に小さくなっている。本明細書においては、表面反射
光束φRsと裏面反射光束φb とを合わせて全反射光束φ
R という。すなわち、φR =φRs+φb である。PET
フィルム(5)の裏面5bから透過した光束を透過光束
φt と呼び、無反射多層膜(20)、密着層(10)、
ハードコート(7)およびPETフィルム(5)からな
る光学機能フィルム100全体の透過率をTIで表す。
【0070】以上の光線の追跡から透過光束φt 、裏面
反射率RIb 、全反射光束φR について下記の関係式が
成立する。
【0071】
【数1】
【0072】ただし、φi は入射光束であり、φRsは表
面反射光束であり、φb は裏面反射光束であり、φR
全反射光束であり、φt は透過光束であり、RIs は光
学機能フィルム100の表面における反射率(表面反射
率)であり、Af は光学機能フィルム100の内部にお
ける吸収率であり、RIb は光学機能フィルム100の
裏面反射率であり、RIisは光学機能フィルム100の
内面反射率である。
【0073】光学機能フィルム100の透過率TIと全
反射率RIについて下記式が成立する。
【0074】
【数2】
【0075】光学機能フィルム100の表面反射率RI
s と内面反射率RIisとがほぼ等しいこと(RIs ≒R
is)を利用して式6を整理すると下記式が得られる。
【0076】
【数3】
【0077】式5を変形すると下記式が得られる。
【0078】
【数4】
【0079】式7および式8から下記式が得られる。
【0080】
【数5】
【0081】以上の式を整理すると、光学機能フィルム
100の表面反射率RIs を表す下記式が得られる。
【0082】
【数6】
【0083】式10および式11から明らかなように、
本願発明者は、光学機能フィルム100の表面反射率R
s は、光学機能フィルム100の全反射率RIと、光
学機能フィルム100の透過率TIと、光学機能フィル
ム100の裏面反射率RIbとの3つの値を用いて計算
から求められることを見いだした。換言すれば、本願発
明者は、光学機能フィルム100について測定可能な全
反射率RIと、測定可能な透過率TIと、直接測定出来
ないが本実施の形態に基づいて算出する裏面反射率RI
b とを式10および式11に代入して表面反射率RIs
を求めることができることを見いだした。
【0084】以下、全反射率RI、透過率TI、およ
び、裏面反射率RIb の算出方法について述べる。
【0085】光学機能フィルムの全反射率RIの測定方
光学機能フィルム100の全反射率RIは、図6(a)
に図解した測定方法によって、光学機能フィルム100
単体の状態で、光源102から放射されスリット104
を通って絞られた入射光束φi を光学機能フィルム10
0の表面に照射し、光学機能フィルム100の表面から
の全反射光束φR (表面反射光束φRsと裏面反射光束φ
b とを合計したもの)を受光素子106で検出し、演算
処理装置108において、式6に基づいて全反射率(R
I)=全反射光束の量(φR )/入射光束の量(φi
の演算を行って求めることができる。なお、入射光束φ
i の量は事前に、光源102およびスリット104の条
件および入射角度θから算出されているものとする。
【0086】光学機能フィルムの透過率TIの測定方法 透過率TIは図8に図解した方法で求めることができ
る。図8は、光源102からの光をスリット104で絞
り、絞った入射光束φi を光学機能フィルム100の単
体に入射角度=0で照射し、光学機能フィルム100の
裏面から透過してきた透過光束φt を受光素子106で
検出し、演算処理装置108において、式5に基づい
て、透過率TI=透過光束φt /入射光束φiを演算し
て求める装置構成を示している。
【0087】以上の方法で測定された光学機能フィルム
100の黒色塗料を塗布しない場合の全反射率RI(0)
と、光学機能フィルム100の透過率TIと、裏面に黒
色塗料を塗布して測定した光学機能フィルム100の表
面反射率RIs の例を図9に図解する。図9において、
破線の曲線CRI(0) は図6(a)に図解したように、
光学機能フィルム100の裏面に黒色塗料30など何も
塗布しないときのそれぞれの波長λにおける全反射率
0 を示す。実線の曲線CRIs は図6(b)に図解し
たように、光学機能フィルム100の裏面に黒色塗料3
0を塗布したときのそれぞれの波長λにおける表面反射
率RIs を示す。一点鎖線の曲線CTIはそれぞれの波
長λにおける光学機能フィルム100の透過率TIを示
す。
【0088】光学機能フィルム100の表面反射率RI
s 、全反射率RI(0) 、透過率TIのいずれも光線の波
長λに応じて変化するが、光学機能フィルム100の裏
面に黒色塗料30を塗布したときの表面反射率RIs
ほうが(曲線CRIs )、光学機能フィルム100の裏
面に黒色塗料30を塗布しないときの全反射率RI(0)
より低い。その理由は、光学機能フィルム100の裏面
に塗布された黒色塗料30が光線を吸収し、光学機能フ
ィルム100の裏面から光を反射させないからである。
このときの表面反射率RIs が、光学機能フィルム10
0をCRT表示パネル1に被着させたときの表面反射率
と実質的に等価と考えることができる。
【0089】光学機能フィルムの裏面反射率RIb の算
出方法 光学機能フィルム100の裏面反射率RIb を直接測定
する方法は知られていない。そこで、本願発明者は,式
10および式11を変形して裏面反射率RIbを算出す
る方法を考案した。その詳細を下記に述べる。
【0090】まず、事前に、光学機能フィルムの生産工
程から光学機能フィルムの一部を抜き取って、抜き取っ
た光学機能フィルムについて下記の測定を行う。なお、
この光学機能フィルムの抜き取りは、たとえば、光学機
能フィルムの生産ロットの代表として生産ロットについ
初期状態において1回だけ行うものであり、表面反射
率測定の度に測定対象の光学機能フィルムを抜き取る従
来の方法とは異なる。その結果、本発明の実施の形態に
よれば、生産過程における光学機能フィルムの抜き取り
は不要であり、光学機能フィルムを破損しないし、光学
機能フィルムの生産を停止させない。 (1)図6(a)に図解した方法で、光学機能フィルム
単体そのままの全反射率RIを測定する。 (2)図8に図解した方法で、光学機能フィルム単体の
透過率TIを測定する。 (3)図6(b)に図解した方法で、光学機能フィルム
の裏面に黒色塗料を塗布して、そのときの表面反射率R
S を測定する。
【0091】ある波長λの光束における表面反射率RI
s (λ)は、その波長λの全反射率RI(λ)、その波
長λの透過率TI(λ)、および、その波長λの裏面反
射率RIb (λ)を用いて、式10および式11のよう
に表すことができる。したがって、式10および式11
を裏面反射率RIb (λ)について解けば、ある波長λ
における裏面反射率RIb (λ)を求めることができ
る。式10において係数kについて解くと式12が得ら
れる。
【0092】
【数7】
【0093】初期状態において、生産工程から抜き取っ
た光学機能フィルム(これを代表的な光学機能フィルム
という)について、上記のごとく測定した、表面反射率
RIs (λ)、全反射率RI(λ)、および、透過率T
I(λ)を式12に代入すれば、係数kが求められる。
換言すれば、係数kは上記のごとく抜き取った光学機能
フィルムなど、代表的な光学機能フィルムについて算出
する。係数kが求められたから、式11を展開して下記
式13を得る。
【0094】
【数8】
【0095】式13を裏面反射率RIb (λ)について
解くと、下記式14が得られる。
【0096】
【数9】
【0097】図10は、式14を用いて光学機能フィル
ムの全反射率RI、透過率TI、表面反射率RIs の3
特性値から裏面反射率RIb を求めた例を示すグラフで
ある。破線で示した曲線CRIb Bは式14を用いた演
算により求めた生の(平滑処理していない)裏面反射率
を示し、実線で示した曲線CRIb Aは生の裏面反射率
について回帰演算を行って平滑処理した裏面反射率を示
す。
【0098】光学機能フィルム100においては、無反
射多層膜20と無反射多層膜20のベースフィルムとし
てのPETフィルム5との間にハードコート7が介在し
ているため、図10に破線で図解した曲線CRIb Bに
図解されるように、ハードコート7の干渉波形が裏面反
射率RIb に重畳される。すなわち、ある波長λにおけ
る光学機能フィルム100の全反射率RI、表面反射率
RIs 、透過率TIのスペクトルにはハードコート7の
干渉波形のスペクトルが含まれる。その結果として、各
スペクトル測定の時の干渉波形の微妙なずれから計算し
た光学機能フィルムの裏面反射率RIb のスペクトルに
もハードコート7の干渉波形のスペクトルが重畳されて
いる。この干渉波形は周期が長く、一般的なスムージン
グ処理ではその影響を除去できない。
【0099】そこで、本願発明者は、物質の反射率がそ
の物質の屈折率によって規定されることを利用して、屈
折率と波長との関係を示す実験式を用いて、干渉波形が
重畳した裏面反射率RIb と波長との回帰演算を行い、
求められた回帰多項式からハードコート7に起因する干
渉波形の影響を受けない正確な光学機能フィルムの裏面
反射率RIb を求めることにした。本実施の形態におい
て使用する回帰演算の実験式(多項式)の例を下記に記
す。
【0100】
【数10】
【0101】式15における係数xは通常1/2〜1/
3の範囲であり、数値計算におけるカーブフィッティン
グ(曲線近似方法)の収束状態に応じて修正する。この
演算は演算処理装置108において行う。
【0102】上述した回帰演算方法によって補正計算し
た光学機能フィルムの裏面反射率RIb の例を図10に
おける実線で示した曲線CRIb および図11に示
す。このとき、係数x=0.5、A=1.87362、
B=1652.37、C=−554593であった。
11は光学機能フィルムの全反射率、透過率、表面反射
率から求めた裏面反射率と、それを用いて計算により求
めた表面反射率と、光学機能フィルムの裏面に黒色塗料
を塗布して測定した表面反射率とを示すグラフである。
図11において、実線で示した曲線CVA は裏面反射率
から求めた表面反射率を示し、破線で示した曲線CVB
は黒色塗料を光学機能フィルムの裏面に塗布したときの
表面反射率を示し、2点鎖線で示した曲線CVC は黒色
塗料を光学機能フィルムの裏面に塗布しないときの全反
射率を示し、一点鎖線で示した曲線CVD は回帰演算処
理をして平滑化した裏面反射率を示す。
【0103】光学機能フィルムの表面反射率RIs の計
以上のようにして、生産工程から抜き取った代表的な
学機能フィルムについて算出した裏面反射率RIb は、
通常、無反射多層膜20のベースフィルムとしてのPE
Tフィルム5の特性が変化しない限り一定であるから、
生産ロットの初期状態などにおいて、生産工程から生産
ロットの抜き取り試験として抜き取った代表的な光学機
能フィルムについて求めた裏面反射率RIb 同じ生産
ロットにおけるその他の光学機能フィルムの反射率測定
に用いることができる。したがって、このようにして
ロット単位で算出した裏面反射率RIb を演算処理装
置108に予め記憶しておき、生産工程において実時間
でそのロットの光学機能フィルムの反射率を測定する
際、記憶させた裏面反射率RIb を読みだして、式11
に代入して係数kを算出するのに使用する。
【0104】図12は図10および図11に図解した回
帰演算に基づいて補正計算した光学機能フィルムの種々
の波長における裏面反射率(四角のドットで結んだグラ
フ)と透過率(三角のドットで結んだグラフ)とを図解
するグラフであり、これらの裏面反射率と透過率を波長
ごとに演算処理装置108に記憶しておく。演算処理装
置108は記憶した隣接する波長、たとえば、400
と420nmとの間の410nmの裏面反射率と透過
率が必要な場合は、たとえば、直線補間して410nm
における裏面反射率と透過率とを算出する。
【0105】このような条件を整えた状態において、演
算処理装置108は、式10に、求めた係数kと、全反
射率RIと、透過率TIを代入して、表面反射率RIs
を計算する。
【0106】以上が本発明の実施の形態における光学機
能フィルム100の表面反射率RIs の算出方法の基本
である。以上述べたように、本実施の形態によれば、黒
色塗料を光学機能フィルムの下部に塗布することなく、
光学機能フィルムの表面反射率RIs が測定できる。ま
た、本実施の形態による光学機能フィルムの表面反射率
RIs の算出方法は、上述した従来の方法のように、裏
面反射率RIb を算出するための補正量を加減算した
り、変換式を用いないので、正確に光学機能フィルムの
表面反射率RIs を求めることができる。
【0107】さらに上述した実施の形態によれば、簡便
な方法で生産工程における光学機能フィルムの表面反射
率RIs を求めることができる。また本実施の形態によ
れば、実時間で連続的に生産工程における光学機能フィ
ルムの表面反射率RIs を算出することができる。した
がって、その結果を生産ラインに負帰還して次の光学機
能フィルムの生産に反映させると、高品質の光学機能フ
ィルムを生産でき、歩留りも向上する。たとえば、この
ようにして算出した光学機能フィルムの表面反射率RI
s を演算処理装置108などにおいて評価して、表面反
射率RIs が規定範囲を逸脱する傾向がある場合、ある
いは規定範囲を逸脱した場合、演算処理装置108が生
産工程にその結果を負帰還して、その後に生産される光
学機能フィルムに不良品が発生しないように製造に反映
させることができる。
【0108】第2実施の形態 次いで、実際の生産工程に上述した本発明の実施の形態
の、光透過型反射防止用光学機能フィルム(以下、光学
機能フィルムと略す)の表面反射率測定方法とその装
置、および、その方法および装置を適用した光学機能フ
ィルムの製造方法の実施の形態について述べる。
【0109】図13は、図3(b)に図解したように、
無反射多層膜20と密着層10とハードコート7とPE
Tフィルム5とが積層された光学機能フィルム100を
生産している工程において光学機能フィルム100の表
面反射率RIs を実時間で測定する装置の構成図であ
る。光学機能フィルム100は一般的には、連続した長
尺のフィルム、たとえば、1000m程度の長さのフィ
ルムとして連続的に製造されていく。第2実施の形態に
おいては、このような光学機能フィルム100の走行状
態において、実時間で光学機能フィルム100の全反射
率RIと透過率TIとを測定する。
【0110】図13において、光学機能フィルム100
は、製造装置400から連続して長尺物として連続的に
排出されてくる。図13に図解の光学機能フィルム10
0の表面反射率の測定装置は、全反射率RIを測定する
部分と透過率TIを測定する部分から構成されている。
光学機能フィルム100の全反射率RIを測定する部分
は、第1の光源202と、第1のスリット204と、第
1の受光素子206と、演算処理装置208とから構成
されている。第1の光源202、第1のスリット20
4、第1の受光素子206および演算処理装置208は
基本的には、図6(a)に図解した装置における、光源
102、スリット104、受光素子106および演算処
理装置108と同様である。光学機能フィルム100の
透過率TIを測定する部分は、第2の光源302と、第
2のスリット304と、第2の受光素子306と演算処
理装置208とから構成されている。この光学機能フィ
ルム100の透過率TIを測定する部分は、図8を参照
して述べた光学機能フィルム100の透過率TIを測定
する部分と実質的に同じである。図13において、演算
処理装置208は、光学機能フィルム100の全反射率
RIの計算と、透過率TIの計算の両者に共通して使用
する。
【0111】光学機能フィルム100の全反射率RIの
測定について述べる。第1の光源202からの光をスリ
ット204を通して入射光束φi として走行している光
学機能フィルム100の表面に所定の入射角度θで当
て、その表面から表面反射光束φRsと光学機能フィルム
100の裏面からの裏面反射光束φb との合計の全反射
光束φR と第1の受光素子206で検出して演算処理装
置208において、式6に基づいて、入射光束φi と全
反射光束φR との比率から全反射率RIを計算する。
【0112】なお、特願平10−6999号に開示され
ているように、光学機能フィルム100の表面に位置す
無反射多層膜20の表面反射率RIs は、入射光束φ
i の入射角度θおよび入射光束φi の波長λによっても
異なる。したがって、光学機能フィルム100の表面反
射率RIs の測定に際しては、入射光束φi の波長λを
変化させ、さらに、入射角θを種々の変化させて行うこ
とが好ましい。
【0113】光学機能フィルム100の透過率TIの測
定方法について述べる。第2の光源302からの光を第
2のスリット304を通して入射光束φi として走行し
ている光学機能フィルム100に入射角度0°で当て、
光学機能フィルム100を透過した透過光束φt を第2
の受光素子306で検出して、演算処理装置208にお
いて、式5に基づいて、入射光束φi と透過光束φt
の比率として光学機能フィルム100の透過率TIを算
出する。
【0114】光学機能フィルム100の裏面反射率RI
b は、図1(b)に図解したPETフィルム5の反射特
性によって決定されるが、上述したように、その値は比
較的安定しており、事前にロットごと抜き取り検査をし
て測定した裏面反射率RIbをそのロットの光学機能フ
ィルムの表面反射率測定に利用することができる。この
ように代表的な光学機能フィルムについての裏面反射率
を生産ロットごと事前準備した状態で、連続的に生産さ
れている光学機能フィルム100の走行に伴って、所定
の周期で、たとえば、1分ごとに、あるいは所定の走行
距離のたびに、たとえば、1mの走行のたびに、図13
に図解した全反射率RIの測定部と透過率TIの測定部
は、光学機能フィルム100の全反射率RIと透過率T
Iとを測定し(演算処理装置208において、全反射率
RIと透過率TIとを計算し)、さらに演算処理装置2
08は、式10に従って、事前に測定しておいた裏面反
射率RI b 用いて表面反射率RIs を計算する。
【0115】このように実時間で測定し、計算した、裏
面に黒色塗料を塗布してない光学機能フィルム100の
表面反射率RIs と、光学機能フィルムの裏面に黒色塗
料を塗布した光学機能フィルムの表面反射率RIs とを
比較して、実時間測定の精度を検討した結果を図11
示す。上述したように、図11は光学機能フィルムの全
反射率、透過率、表面反射率から求めた裏面反射率と、
それを用いて計算により求めた表面反射率と、光学機能
フィルムの裏面に黒色塗料を塗布して測定した表面反射
率とを示すグラフである。図11において、実線で示し
た曲線CVA は裏面反射率から求めた表面反射率を示
し、破線で示した曲線CVB は黒色塗料を光学機能フィ
ルムの裏面に塗布したときの表面反射率を示し、2点鎖
線で示した曲線CVC は黒色塗料を光学機能フィルムの
裏面に塗布しないときの全反射率を示し、一点鎖線で示
した曲線CVD は回帰演算処理をして平滑化した裏面反
射率を示す。図11の結果は、光学機能フィルム100
の裏面に黒色塗料を塗布しない本実施の形態による方法
によっても表面反射率RIs が精度よく得られたことを
示している。
【0116】演算処理装置208は、上述した方法で得
られた光学機能フィルム100の表面反射率RIs を光
学機能フィルムの製造装置400に負帰還する。その負
帰還結果は、たとえば、光学機能フィルム100の表面
に形成される無反射多層膜20の生産に反映される。
願平10−6999号に開示したように、図1(a)に
詳細を図解した無反射多層膜20のそれぞれの膜の厚さ
としては、たとえば、光線の入射角度10°について、
入射光線の波長範囲が490nmから640nmの波長
範囲で低反射膜に入射したとき分光反射率が1%以下と
なるように、前記低反射膜の各層の厚さを調整して形成
している。あるいは、無反射多層膜20のそれぞれの膜
の厚さとしては、光線の入射角度10°について、入射
光線の波長650nmでの反射率が1%以下、波長70
0nmでの反射率が1.6%以下、かつ、波長750n
mでの反射率が2.7%以下となるような長波長側の分
光反射率特性を示すように、前記低反射膜の各層の厚さ
を調整して形成している。または、無反射多層膜20の
それぞれの膜の厚さとしては、光線の入射角度10°に
ついて、入射光線の波長範囲が380nmから780n
mの光線が前記低反射膜に入射したとき、反射光色度の
y値が0.10以上でかつ0.25以下となる分光反射
率特性となるように、前記低反射膜の各層の厚さを調整
して形成している。上述した膜厚と光線の関係について
、特願平10−6999号に詳述されている。
【0117】以上のように、製造装置400において
は、光学機能フィルム100を上述した条件において、
たとえば、上述した厚さになるように制御する。その結
果として、所望の表面反射率RIs を満足する光学機能
フィルム100が製造できる。
【0118】なお、ある生産ロットについて光学機能フ
ィルム100の透過率TIが安定しているときは、上述
したように、所定周期で透過率TIを測定することな
く、代表的な光学機能フィルムについて求めた裏面反射
率RIb と同様、事前に代表的な光学機能フィルムにつ
いてロットごと透過率TIを抜き取り検査をしておき、
その結果を用いて表面反射率RIs を計算する。この場
合は、図13に図解した全反射率RIの測定部分は残る
が、透過率TIの測定部分は不要となり、装置構成が簡
単になる。
【0119】実験例 従来の方法による光学機能フィルムの歩止まりは約10
%程度であった。本実施の形態による光学機能フィルム
の歩止まりは約90%にまで向上した。
【0120】以上、本発明の光学機能フィルムが被着さ
れる表示パネルとして陰極線管表示装置の表示パネルを
代表し、光学機能フィルムの表面の無反射多層膜20と
て特願平10−6999号に開示した無反射多層膜を
例示して述べたが、本発明の光学機能フィルムの表面反
射率測定方法とその装置の実施に際しては、陰極線管表
示装置に限らず、種々の表示装置について適用できるこ
とは言うまでもない。
【0121】
【発明の効果】本発明によれば、光透過型反射防止用光
学機能フィルム(光学機能フィルム)の裏面に黒色塗料
を塗布することなく、換言すれば、光透過型反射防止用
光学機能フィルムを破壊することなく、光学機能フィル
ムの表面反射率を正確に算出できる。
【0122】また本発明によれば、上述した光学機能フ
ィルムの表面反射率を光学機能フィルムの生産工程にお
いて実時間で迅速かつ自動的にその表面反射率を求める
ことができる。その結果として、本発明によれば、求め
た表面反射率を光学機能フィルムの製造工程に負帰還す
ることができ、連続的に製造される光学機能フィルムの
品質を維持し、さらに高めることができる。その結果と
して、光学機能フィルムの歩止まりを高めることができ
た。
【0123】本発明の光学機能フィルムの表面反射率測
定装置は簡単な構成であり、低価格で容易に実施でき
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は無反射多層膜、密着層、ハードコートお
よびPETフィルムを積層した構成した光学機能フィル
ムをCRT表示装置のCRT表示パネルに被着した断面
構成を示す図である。
【図2】図2は図1に図解した光学機能フィルムの表面
に形成された無反射多層膜の断面構造図である。
【図3】図3(a)は図1に図解した光学機能フィルム
が被着されたCRT表示パネルの表面に入射した入射光
束が光学機能フィルムの表面においていかに反射され、
光学機能フィルムの内部に進入した光がいかに屈折し、
いかに透過するかを図解した図であり、図3(b)は光
学機能フィルム単体の表面に入射した入射光束が光学機
能フィルムの表面においていかに直接反射され、光学機
能フィルムの内部に進入した光がいかに屈折し、いかに
光学機能フィルムを透過するかを説明した図である。
【図4】図4は分光光度計の構成例を示す図である。
【図5】図5は分光反射率を示すグラフである。
【図6】図6(a)は光学機能フィルムの裏面に黒色塗
料を塗布しない状態で光学機能フィルム単体の表面反射
率を測定する装置構成を図解した図であり、図6(b)
は光学機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布した状態で
光学機能フィルムの表面反射率を測定する装置構成を図
解した図である。
【図7】図7は無反射多層膜、密着層、ハードコートお
よびPETフィルムを積層させて構成した光学機能フィ
ルムにおける光線軌跡を説明する光学機能フィルムの断
面図である。
【図8】図8は本発明の実施の形態としての無反射多層
膜、密着層、ハードコートおよびPETフィルムを積層
させて構成した光学機能フィルムの透過率を求める装置
構成を示す図である。
【図9】図9は本実施の形態において光学機能フィルム
の裏面に黒色塗料を塗布しないときの光学機能フィルム
について測定した全反射率と透過率と、光学機能フィル
ムの裏面に黒色塗料を塗布して測定した光学機能フィル
ムの表面反射率の例を図解するグラフである。
【図10】図10は図7に図解した光学機能フィルムの
全反射率、透過率、表面反射率の3特性値から光学機能
フィルムの裏面反射率を求めた例を示すグラフである。
【図11】図11は光学機能フィルムの全反射率、透過
率、表面反射率の3特性値から求めた裏面反射率と、そ
の裏面反射率を用いて計算により求めた表面反射率と、
光学機能フィルムの裏面に黒色塗料を塗布して測定した
表面反射率を図解したグラフである。
【図12】図12は図10および図11に図解した例に
ついて求めた裏面反射率と透過率の結果を示すグラフで
ある。
【図13】図13は本発明の第2実施の形態としての無
反射多層膜、密着層、ハードコートおよびPETフィル
ムが積層されて構成されている光学機能フィルムを生産
している工程において光学機能フィルムの表面反射率を
実時間で測定する装置の構成図である。
【符号の説明】 1・・CRT表示パネル 100・・光学機能フィルム 20・・無反射多層膜 22・・第1のITO薄膜 24・・第1の二酸化シリコン薄膜 26・・第2のITO薄膜 28・・第2の二酸化シリコン薄膜 3・・接着剤層 5・・PETフィルム 7・・ハードコート 9・・蛍光膜 10・・密着層 30・・黒色塗料 102,202,302・・光源 104,204,304・・スリット 106,206,306・・受光素子 108,208・・演算処理装置 400・・光学機能フィルムの製造装置 φi ・・入射光束 φR ・・全反射光束 φRs・・表面反射光束 φb ・・裏面反射光束 φt ・・透過光束 RI・・・全反射率 RIs ・・表面反射率 RIb ・・裏面反射率 RIis・・内面反射率 Af ・・吸収率 TI ・・透過率
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】

Claims (15)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】光透過型反射防止用光学機能フィルムの裏
    面反射率と、全反射率と、透過率とから、当該光透過型
    反射防止用光学機能フィルムの表面反射率を算出する光
    透過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率測定方
    法。
  2. 【請求項2】前記光透過型反射防止用光学機能フィルム
    の表面反射率の演算式は下記式で規定される RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
    2 〕 ただし、RIs は光透過型反射防止用光学機能フィルム
    の表面反射率であり、 RIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの全反射率
    であり、 TIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの透過率で
    あり、 RIb は光透過型反射防止用光学機能フィルムの裏面反
    射率である。請求項1記載の表面反射率測定方法。
  3. 【請求項3】代表的な光透過型反射防止用光学機能フィ
    ルムについて事前にその裏面反射率を算出しておき、 測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィルムについ
    て実際の全反射率および透過率を実時間で測定し、 前記裏面反射率と、前記測定対象の光学機能フィルムに
    ついて測定した前記全反射率と前記透過率を前記演算式
    に代入して前記表面反射率を算出する請求項2記載の表
    面反射率測定方法。
  4. 【請求項4】前記裏面反射率RIb は、代表的な光透過
    型反射防止用光学機能フィルムについて事前に抜き取り
    によって測定した表面反射率RIs 、全反射率RI、透
    過率TIとから上記測定した表面反射率RIs を求める
    演算式にこれらの測定値を代入して計算して求め、ここ
    で求められた各波長ごとの裏面反射率RIb と前記光透
    過型反射防止用光学機能フィルムに入射する入射光束の
    波長との多項式による回帰演算を行って、スムージング
    処理して算出する請求項3記載の表面反射率測定方法。
  5. 【請求項5】前記全反射率RIは、所定の波長の入射光
    束(φi )が前記光透過型反射防止用光学機能フィルム
    に入射されたとき、前記光透過型反射防止用光学機能フ
    ィルムの表面および裏面から反射した光を検出した全反
    射光束(φR )を検出し、 RI=φR /φi の演算により算出される請求項3記載の表面反射率測定
    方法。
  6. 【請求項6】前記透過率TIは所定の波長の入射光束
    (φi )を前記光透過型反射防止用光学機能フィルムに
    垂直方向に照射したとき、前記光透過型反射防止用光学
    機能フィルムを透過した透過光束(φt )を検出して、 TI=φt /φi の演算により算出される請求項3記載の表面反射率測定
    方法。
  7. 【請求項7】前記透過率は、前記代表的な光透過型反射
    防止用光学機能フィルムについて抜き取りして事前に求
    めておき、その値を用いて前記表面反射率の演算を行う
    請求項3記載の表面反射率測定方法。
  8. 【請求項8】前記光透過型反射防止用光学機能フィルム
    は、屈折率が近似している、無反射多層膜、密着層、ハ
    ードコートおよびPETフィルムが積層されて構成され
    ている請求項1記載の表面反射率測定方法。
  9. 【請求項9】光透過型反射防止用光学機能フィルムを連
    続的に生産する装置から連続的に生産された光透過型反
    射防止用光学機能フィルムについて代表的な光透過型反
    射防止用光学機能フィルムを抜き出してその光透過型反
    射防止用光学機能フィルムについて事前に裏面反射率を
    測定しておき、 前記の連続的に生産された測定対象の光透過型反射防止
    用光学機能フィルムの透過率の測定および全反射率の測
    定を実時間で行い、 これらの透過率および全反射率と事前に算出した裏面反
    射率とを用いて前記光透過型反射防止用光学機能フィル
    ムの表面反射率を実時間で算出し、 算出した表面反射率を前記光透過型反射防止用光学機能
    フィルムの製造工程における生産に負帰還する光透過型
    反射防止用光学機能フィルムの製造方法。
  10. 【請求項10】前記光透過型反射防止用光学機能フィル
    ムの表面反射率の演算式は下記式で規定される RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
    2 〕 ただし、RIs は光透過型反射防止用光学機能フィルム
    の表面反射率であり、 RIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの全反射率
    であり、 TIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの透過率で
    あり、 RIb は光透過型反射防止用光学機能フィルムの裏面反
    射率である。請求項9記載の光透過型反射防止用光学機
    能フィルムの製造方法。
  11. 【請求項11】前記光透過型反射防止用光学機能フィル
    ムは、屈折率が近似している、無反射多層膜、密着層、
    ハードコートおよびPETフィルムが積層されて構成さ
    れている請求項9記載の光透過型反射防止用光学機能フ
    ィルムの製造方法。
  12. 【請求項12】光透過型反射防止用光学機能フィルムを
    連続的に生産する装置から連続的に生産される光透過型
    反射防止用光学機能フィルムについて、実時間で表面反
    射率を算出する装置であって、 前記光透過型反射防止用光学機能フィルムに所定の入射
    角度で所定の波長の入射光束を入射させる第1の光源手
    段と、該入射光束が前記光透過型反射防止用光学機能フ
    ィルムの表面および裏面で反射した反射光束を検出する
    第1の受光手段と、前記入射光束と前記検出した反射光
    束の比率を演算して全反射率を算出する全反射率算出手
    段とを有する全反射率算出装置と、 前記光透過型反射防止用光学機能フィルムに直角に所定
    の波長の入射光束を入射させる第2の光源手段と、該入
    射光束が前記光透過型反射防止用光学機能フィルムを透
    過した透過光束を検出する第2の受光手段と、前記入射
    光束と前記検出した透過光束その比率を演算して透過率
    を算出する透過率算出手段とを有する透過率算出装置
    と、 事前に代表的な光透過型反射防止用光学機能フィルムの
    裏面反射率を算出する裏面反射率算出手段と、 測定対象の光透過型反射防止用光学機能フィルムについ
    て前記全反射率算出装置において算出した全反射率と、
    前記透過率算出装置において算出した透過率と、前記裏
    面反射率算出手段で算出した裏面反射率とから前記光透
    過型反射防止用光学機能フィルムの表面反射率を演算す
    る表面反射率演算手段とを有する光透過型反射防止用光
    学機能フィルムの表面反射率測定装置。
  13. 【請求項13】前記表面反射率演算手段は、下記式に基
    づいて前記光透過型反射防止用光学機能フィルムの表面
    反射率を演算する請求項12記載の表面反射率測定装
    置。 RIs =RI−(TI)2 ×〔RIb /(1−RIb
    2 〕 ただし、RIs は光透過型反射防止用光学機能フィルム
    の表面反射率であり、 RIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの全反射率
    であり、 TIは光透過型反射防止用光学機能フィルムの透過率で
    あり、 RIb は光透過型反射防止用光学機能フィルムの裏面反
    射率である。
  14. 【請求項14】前記全反射率算出装置における前記全反
    射率算出手段と、前記透過率算出装置における前記透過
    率算出手段と、前記表面反射率演算手段とが1つの演算
    手段によって構成される請求項13記載の表面反射率測
    定装置。
  15. 【請求項15】前記光透過型反射防止用光学機能フィル
    ムは、屈折率が近似している、無反射多層膜、密着層、
    ハードコートおよびPETフィルムが積層されて構成さ
    れている請求項12記載の表面反射率測定装置。
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