JP3578620B2 - 光学定数測定方法及び光学定数測定装置 - Google Patents

光学定数測定方法及び光学定数測定装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質の光学定数である複素屈折率や膜厚を測定する光学定数測定方法及び光学定数測定装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば基板上に作成した色素薄膜の膜面反射率,基板面反射率,透過率と、前記反射率,透過率測定後に色素上に金反射膜を設けたときの基板面反射率とから、色素の複素屈折率、及び波長分散性を計算によって評価する方法が知られている(例えば“Unique reflection properties of thin films of organic soluble naphthalocyanines” J. Chem. Soc., Perkin Trans. 2, 1996 p. 1219)。
【0003】
この方法は、R−T法と称されており、R−T法では、図67に示すような基板1/記録層2という構成サンプルで、記録層側(空気側)から波長λの光を入射させ、そのときの記録層側からの反射率をRexpとして測定し、また、基板1からの透過率をTexpとして測定する。また、図68に示すような基板1/記録層2/金属反射層3という構成サンプルで、基板1側から波長λの光を入射させ、そのときの基板1側からの反射率をRmexpとして測定する。いま、色素を含む記録層2(記録材料)の複素屈折率Nをn−ik、基板1の複素屈折率Nをn−ik、空気の複素屈折率Nをnair−ikair、色素を含む記録層2(記録材料)の膜厚をdとし、図67の基板1/記録層2という構成サンプルで、記録層側(空気側)からの反射率の計算値をRcal、基板側からの透過率の計算値をTcalとし、また、図68の基板1/記録層2/金属反射層3という構成サンプルで、基板側からの反射率の計算値をRmcalとすると、各測定値に対し次式をそれぞれ満足するようなn、kの値(曲線)Rcal,Tcal,Rmcalが求められる。
【0004】
【数1】
Figure 0003578620
【0005】
今の場合は、Rcal−Rexp,Tcal−Texp,Rmcal−Rmexpの交点が、記録層2の複素屈折率n、kとなる(図69を参照)。すなわち、nが複素屈折率の実数部分,kが複素屈折率の虚数部分として求められる。
【0006】
また、記録層2の複素屈折率n、kを求める他の方法として、垂直入射反射率から複素屈折率を求める方法もある。この方法は、垂直入射反射率法(クラマース・クローニッヒ法)と称され、この方法では、垂直入射反射光に対する平面研磨試料のエネルギー反射率をR(ω)、反射による位相とび(遅れ)をφ(ω)とすると、複素屈折率r(ω)は次式で与えられる。
【0007】
【数2】
Figure 0003578620
【0008】
数2を変形すると(数2の対数をとると)、次式が得られる。
【0009】
【数3】
Figure 0003578620
【0010】
この関係をクラマース・クローニッヒの関係式に代入すると次式が得られる。
【0011】
【数4】
Figure 0003578620
【0012】
この結果から、垂直入射光に対する強度反射率R(ω)を理想的にはω=0から∞まで測定できれば、上式によって反射による位相とびφ(ω)を計算でき、次式によって複素屈折率を求めることができる。
【0013】
【数5】
Figure 0003578620
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した各方法には、次のような問題があった。
【0015】
すなわち、R−T法では、物質の複素屈折率を測定するときに、この物質の膜厚が予め測定されている必要があるため、膜厚測定精度で複素屈折率の評価精度が決まってしまう。
【0016】
また、複素屈折率と膜厚を未知とすることも可能であるが、収束する解が複数存在する可能性が非常に多いため、評価結果の信頼性が低下する。そして、解が複数存在した場合に、意味のある解を選択させることがプログラム上では困難である。
【0017】
さらに、複素屈折率と膜厚を未知とした場合で、複素屈折率の波長依存性を評価する場合は、各波長で得られた最適膜厚がほぼ一致することは非常に希であると考えられる。
【0018】
また、反射率や透過率のデータを複数用いるため、それぞれの測定精度の影響を受けやすいという問題がある。
【0019】
一方、垂直入射反射率法(クラマース・クローニッヒ法)は、基本的には薄膜の測定には不向きである。すなわち、薄膜の場合は多重反射の効果を取り入れなければならないため、正確な膜厚を知る必要があるが、膜厚をも未知とした場合はR−T法と同様に収束する解の信用性が低下するという問題がある。
【0020】
このように、従来の方法では、透明基板上に成膜した光透過性物質の光学定数である複素屈折率や膜厚を精度良く(信頼性良く)測定することができないという問題があった。
【0021】
本発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率や膜厚などの光学定数を信頼性良く測定することの可能な光学定数測定方法及び光学定数測定装置を提供することを目的としている。
【0022】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなして、クラマース・クローニッヒの関係式から光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴としている。
【0023】
また、請求項2記載の発明は、請求項1記載の光学定数測定方法において、光透過性物質の複素屈折率の虚部の波長依存性曲線が吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなしてクラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率を決定するときに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を、測定領域の全波長域で均一に補償することを特徴としている。
【0024】
また、請求項3記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率虚部の波長依存性曲線が吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなしてクラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率を決定するときに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を、測定領域において波長に関する一次関数で補償することを特徴としている。
【0025】
また、請求項4記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、
光透過性物質の膜厚とを測定し、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、
測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴としている。
【0026】
また、請求項5記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、
測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率及び膜厚を決定することを特徴としている。
【0027】
また、請求項6記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、
光透過性物質の膜厚とを測定し、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部において、吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、
測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴としている。
【0028】
また、請求項7記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この一次関数による各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、
測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性の物質の膜厚を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率及び膜厚を決定することを特徴としている。
【0029】
また、請求項8記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、
少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、
光透過性物質の膜厚を測定する膜厚測定手段と、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値とを求める定数決定手段とを有していることを特徴としている。
【0030】
また、請求項9記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、
少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴としている。
【0031】
また、請求項10記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、
吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、
少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、
光透過性物質の膜厚を測定する膜厚測定手段と、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この一次関数による各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴としている。
【0032】
また、請求項11記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数により近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴としている。
【0034】
また、請求項12記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚dKKを求める第1の工程と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の工程で計算された膜厚dKKとを比較する第2の工程と、第1の工程で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第3の工程とを、第2の工程でdKKとdRTとが略等しくなるまで繰り返し行ない、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性物質の膜厚とすることを特徴としている。
【0035】
また、請求項13記載の発明は、請求項12に記載の光学定数測定方法において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を計算することを特徴としている。
【0036】
また、請求項14記載の発明は、請求項12に記載の光学定数測定方法において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴としている。
また、請求項15の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める光学定数測定方法において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、前記複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における前記複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における前記複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を計算することを特徴としている。
また、請求項16の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める光学定数測定方法において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴としている。
【0037】
また、請求項17記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段と、透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで複数波長における複素屈折率の実部を求める定数決定手段52とを有していることを特徴としている。
【0038】
また、請求項18記載の発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段と、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚を求める第1の定数決定手段と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の定数決定手段で求められた膜厚dKKとを比較する比較手段と、第1の定数決定手段で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第2の定数決定手段とを有し、比較手段でdKKとdRTが略等しくなるまで第1の定数決定手段および第2の定数決定手段により複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚と複素屈折率の虚部を繰り返し求め、比較手段においてdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性の物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性の物質の膜厚とする最終決定手段とを備えたことを特徴としている。
【0039】
また、請求項19記載の発明は、請求項17または請求項18に記載の光学定数測定装置において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を算出することを特徴としている。
【0040】
また、請求項20記載の発明は、請求項18または請求項19に記載の光学定数測定装置において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴としている。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明では、透明基板上に成膜した光透過性物質の光学定数である複素屈折率や膜厚の測定を、次のようにして行なうようにしている。
【0042】
図1には、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率N=(n−ik)の実部nと虚部kとが示されている。すなわち、光透過性物質の複素屈折率の実部nと虚部kとの波長依存性が示されている。また、図2には、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線(吸収スペクトルデータ)が示されている。なお、この吸収スペクトル曲線(データ)は、光透過性物質に対する入射光強度をI,透過光強度をIとするとき、(I/I)の対数log(I/I)として求められる。
【0043】
このとき、本発明の第1の実施形態では、先ず、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとする。すなわち、本発明は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍Cと仮定する。図3にはこの様子が示されている。
【0044】
また、本発明の第1の実施形態では、第2の近似として、限られた波長域の吸収スペクトル曲線から複素屈折率を精度良く評価するために、波長領域を3分割するようにしている。すなわち、第1の分割領域は、∞〜λ (非測定領域、測定不能領域)とし、また、第2の分割領域は、λ〜λ (測定可能領域)とし、また、第3の分割領域は、λ〜0 (非測定領域、測定不能領域)となるように、分割するようにしている。
【0045】
次式は、クラマース・クローニッヒの関係式を用いて、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の実部nを求めるための式であり、次式において、kは上記第1の近似で仮定された複素屈折率の虚部(吸収スペクトル曲線の定数倍C)である。
【0046】
【数6】
Figure 0003578620
【0047】
なお、数6では、波長領域を第1の分割領域(∞〜λ),第2の分割領域(λ〜λ),第3の分割領域(λ〜0)に3分割したものとして表わされており、数6において、特に第2の分割領域,すなわち測定領域(λ〜λ)に着目するとき、複素屈折率の実部nは、次式のようになる。
【0048】
【数7】
Figure 0003578620
【0049】
数7において、第1の分割領域(∞〜λ),第3の分割領域(λ〜0)の積分寄与は定数C’に置き換えられている。すなわち、複素屈折率の実部nは、測定領域(λ〜λ)の実部nに定数(積分寄与分)C’を加算したものとして求める。図4にはこの様子が示されている。
【0050】
このように、本発明では、先ず、吸収スペクトル曲線(吸収スペクトルデータ)を測定し、光透過性物質の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍Cと仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データkからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分C’を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部nを求め、複素屈折率n,kを未知の定数C,C’を含んだ形で求めるようになっている。
【0051】
なお、上記第1の近似は、ナフタロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィン誘導体等のように吸収曲線が可視域近傍に存在し、長波長側には吸収がない場合は妥当と考えられる。
【0052】
また、上記第2の近似においては、第1の分割領域(長波長領域)でほぼ吸収が0となり、この第1の分割領域での積分寄与分は無視できるため、第3の分割領域の吸収の取り扱いを検討する必要がある。
【0053】
そこで、第2の近似において、測定領域以外からの吸収による積分の寄与を定数化することの妥当性を検討した。
【0054】
いま、波長200nm〜900nmが実測データであるとし、0〜200nmのデータは任意に仮定したデータ(仮想データ)であるとする。
【0055】
なお、0〜200nmの仮想データは定数倍(a)により可変とし、200nm〜900nmの実測データに連結させた。
【0056】
図5には、aが1.0のときの吸収スペクトルデータ(実測データとこれに連結された仮想データ)の様子が示されている。また、図6には、aが2.0のときの吸収スペクトルデータ(実測データとこれに連結された仮想データ)の様子が示されている。
【0057】
上記吸収スペクトルデータを用いてnを計算するが、その際に、0〜200nmのデータ欠損が、計算されるnに与える影響を調べた。
【0058】
図7は0〜200nmの吸収スペクトルデータを計算に取り入れた場合(但し、a=2.0)の複素屈折率の実部nの計算結果であり、図8は0〜200nmの吸収スペクトルデータを無視した場合の複素屈折率の実部nの計算結果である。また、図9は図7,図8の吸収スペクトルデータを同一図上に表示したものである。
【0059】
また、図10には、図7の0〜200nmの吸収スペクトルデータを計算に取り入れた場合の複素屈折率の実部nの計算結果と図8の0〜200nmの吸収スペクトルデータを無視した場合の複素屈折率の実部nの計算結果との差が示されている。すなわち、図10の縦軸は0〜200nmの吸収スペクトルデータを取り入れた場合と無視した場合のnの値差となっている。図10から、短波長側の方が0〜200nmの吸収スペクトルデータ無視の影響は大きく出ることがわかるが、400nmと800nmの差は0.1程度で、定数加算と近似してもそれほど大きな影響がないと思われる。
【0060】
また、図9からも0〜200nmの吸収帯の影響は複素屈折率の実部nの形には影響をほとんど与えないことが確認できる。
【0061】
次いで、0〜200nmの吸収の大きさの影響を検討した。つまり、0〜200nmの吸収の大きさにかかわらず、限られた波長域のデータから計算されるnの値に定数加算する妥当性があるかを検証した。
【0062】
図11は0〜200nmの吸収の大きさ(図11の横軸)に対し、451nmにおける0〜200nmの吸収スペクトルデータを取り入れた場合と無視した場合の計算されるnの値差(図11の縦軸)をプロットしたものであり、図12は0〜200nmの吸収の大きさ(図12の横軸)に対し、800nmにおける0〜200nmの吸収スペクトルデータを取り入れた場合と無視した場合の計算されるnの値差(図12の縦軸)をプロットしたものであり、図13は図11,図12の両者を同一図上に示したものである。
【0063】
この結果から、0〜200nmの吸収帯の大きさいかんにかかわらず、限られた波長域から得られた吸収スペクトルデータで計算されるn値に、各波長均一に定数を加算することで、ある程度正確な複素屈折率が得られることが確かめられた。
【0064】
以上の考察から、本発明における複素屈折率の測定方法では、非測定、あるいは、測定不能領域のデータ(すなわち、第1の分割領域,第3の分割領域のデータ)を定数として取り扱うことの妥当性がある程度保証された。
【0065】
すなわち、第2の近似として、限られた波長域の吸収曲線(アブソーバンスデータ)から複素屈折率を精度良く評価するために、波長領域を3分割することで、透明基板上に成膜した光透過性の物質の複素屈折率を信頼性良く評価することが可能となる。
【0066】
このように、複素屈折率n,kを決定するが、この複素屈折率n,kには未知の定数C,C’が含まれており、この未知の定数C,C’を決定しなければ、複素屈折率n,kは最終的には定まらない。
【0067】
このため、例えば図14の構成において、先ず、例えば、光透過性物質(薄膜)2からの膜面入射反射率rを測定し、さらに、光透過性物質2の膜厚dを測定する。
【0068】
一方、図14の構成例において、例えば膜面入射反射率rを、未知の定数C,C’を含む前述の複素屈折率n,kと、測定した膜厚dとを用いて、計算により求める。すなわち、図14の構成において、基板1の複素屈折率をN(=n−ik)とし、光透過性物質2の複素屈折率をN(=n−ik)とし、空気の複素屈折率をN(=nair−ikair)とするとき、膜面入射反射率rは、次式により求められる。
【0069】
【数8】
Figure 0003578620
【0070】
ここで、位相φには、光透過性物質の膜厚dが含まれており、従って、膜面入射反射率rの計算には、光透過性物質の膜厚dが必要である。光透過性物質の膜厚dは、実際には、図15のようにして繰り返し干渉法により測定される。この測定法では、ガラスの片面にAg膜を300〜500Å蒸着した半透鏡をその鏡面が試料(光透過性物質)に接するように置く。半透鏡を試料に対してわずかに傾けて(〜10−3rad)、等高干渉縞を得る。試料の膜厚ステップに対して半透鏡の傾きを合わせれば、等高干渉縞のステップが干渉縞と直交して測定しやすい。干渉縞を低倍率の顕微鏡で観察し、顕微鏡の接眼レンズに取り付けた測微計で縞間隔aと縞のステップbを測定する。膜厚dは、用いる光の波長をλとすれば、次式で与えられる。
【0071】
【数9】
Figure 0003578620
【0072】
この方法では縞が十分鋭ければ、b/aを1/100程度の精度で読み取ることが可能であるから、膜厚dを20〜30Åの精度で測定することができる。
【0073】
また、数8において、空気の複素屈折率N(=nair−ikair)は、既知である(nairは1,kairは0である)。また、光透過性物質の複素屈折率N(=n−ik)には、前述の第1,第2の近似で求めたn,kを用いる。すなわち、kとしては、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍Cを用い、nとしては、数7のように測定領域(λ〜λ)の実部nに定数(積分寄与分)C’を加算したものを用いる。
【0074】
上記のようにして計算により求まる膜面入射反射率rには、未知の定数C,C’が含まれており、この未知の定数C,C’は、測定により求めた膜面入射反射率rと計算により求めた膜面入射反射率rとの誤差を最小にするような仕方で(より正確には、測定により求めた膜面入射反射率rと計算により求めた膜面入射反射率rとの誤差を最小にするような仕方で)求めることができる。
【0075】
例えば、数8の計算式において、C,C’をパラメータとしてそれぞれ変化させて膜面入射反射率r(エネルギー反射率|r)を計算するとき、計算された膜面入射反射率rが測定された膜面入射反射率r(実際には、エネルギー反射率|rが測定される)に最も近くなるときのC,C’を定数として最終的に決定し、これにより、光透過性物質2の複素屈折率n,kを最終的に決定することができる。
【0076】
すなわち、測定された膜面入射反射率と、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値Cと複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値C’を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率との誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値Cと複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値C’とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を測定することができる。
【0077】
具体的な計算方法は以下のようである。すなわち、吸収スペクトルデータから任意定数倍(C倍)した曲線を作り、これを複素屈折率の虚部k(C)とする。このk(C)をもとにクラマース・クローニッヒの分散関係式中の積分を実行し、複素屈折率の実部n(C)を計算する。
【0078】
実部n(C)には、非測定領域からの積分寄与分として定数C’を加算し、繰り返し干渉法によって測定された膜厚dから計算される膜面入射反射率と測定値の差が最小となるC’値とC値を決め、最終的に膜の複素屈折率N(=n(λ)−ik(λ))を得ることができる。
【0079】
なお、上述の測定方法例では、光透過性物質2の膜厚dを予め測定して求めたが、膜厚dは未知でも構わなく、CとC’と膜厚dを未知のパラメータとして、最小誤差法により、これらを決定し、光透過性物質(膜)2の複素屈折率n(λ)−ik(λ)を得ることもできる。
【0080】
また、上述の構成例では、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、光透過性物質2の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなしてクラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率を決定するときに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を全波長域で均一に補償しているが、これのかわりに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を波長に関する一次関数で補償することもできる。
【0081】
この方法(仮定)は、図10や図13に見られるように、短波長側の非測定領域からの積分寄与分は複素屈折率を知りたい波長域での短波長ほど大きく、波長が長くなるにつれてほぼリニアに減少すること、また短波長側の非測定領域の吸収成分が大きくなるほどこの短波長側の非測定領域からの積分寄与分は複素屈折率を知りたい波長域での短波長ほど大きくなり、波長が長くなるにつれてほぼリニアに減少することにより、その妥当性が保証されている。
【0082】
この場合の具体的な計算方法は以下のようである。すなわち、吸収スペクトルデータから任意定数倍(C)した曲線を作り、これを複素屈折率の虚部k(C)とする。このk(C)をもとにクラマース・クローニッヒの分散関係式中の積分を実行し、複素屈折率の実部n(C)を計算する。
【0083】
n(C)には非測定領域からの積分寄与分として一次関数C’=fλ+gを加算し、例えば図15に示したような繰り返し干渉法によって測定された膜厚dから計算される膜面入射反射率rと測定された膜面入射反射率rとの差が最小となるf,g値とC値を決め、最終的に光透過性物質(膜)2の複素屈折率N(=n(λ)−ik(λ))を得る。
【0084】
但し、この場合にも、前述したと同様に、光透過性物質2の膜厚dは未知でもかまわなく、この場合、Cとf,gと膜厚dをパラメータとしても、最小誤差法により光透過性物質(膜)2の複素屈折率N=n(λ)−ik(λ)を得ることができる。
【0085】
また、上述の各例では、光透過性物質2の複素屈折率Nおよび/または膜厚dを求めるために、図14の構成において膜面入射反射率rを求めたが、これのかわりに、図14の構成例において、図16のように基板面入射反射率rを求めることもできるし、あるいは、図17のように透過率tを求めることもできる。あるいは、図18の構成のように、光透過性物質2上にさらに反射層3を設けた構成での基板面入射反射率rmbを求め、用いることもできる。
【0086】
すなわち、基板面入射反射率rは、次式によって求められる。
【0087】
【数10】
Figure 0003578620
【0088】
また、透過率tは、次式によって求められる。
【0089】
【数11】
Figure 0003578620
【0090】
また、光透過性物質2上にさらに反射層3を設けた構成での基板面入射反射率rmbは、次式によって求められる。なお、次式において、Nは反射層3の複素屈折率である。
【0091】
【数12】
Figure 0003578620
【0092】
なお、これらの場合においても、実際に測定されるのは、エネルギー反射率,エネルギー透過率であり、r,rmbは、実際には、次式のようなエネルギー反射R,Rmbとして測定される。
【0093】
【数13】
=|r
mb=|rmb
【0094】
また、tは、実際には、次式のようなエネルギー透過率Tとして測定される。
【0095】
【数14】
T=(N/N)×|t|
【0096】
このように、本発明では、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを求め、用いることができる。
【0097】
換言すれば、本発明の第1の実施形態では、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、
光透過性物質2の膜厚dとを測定し、
光透過性物質2の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部nを求め、
前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率を決定することができる。
【0098】
あるいは、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、
光透過性物質2の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部nを求め、
前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値dとを求めることで、光透過性物質の複素屈折率及び膜厚を測定することができる。
【0099】
あるいは、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、
光透過性物質2の膜厚dとを測定し、
光透過性物質2の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、
前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を測定することができる。
【0100】
あるいは、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、
吸収スペクトルと、
少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、
光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、
前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性物質の膜厚を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値dとを求めることで、光透過性の物質の複素屈折率、及び膜厚を測定することができる。
【0101】
また、図19は本発明に係る光学定数測定装置の第1の構成例を示す図であり、図19の光学定数測定装置は、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段11と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段12と、光透過性物質2の膜厚dを測定する膜厚測定手段13と、光透過性物質2の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を求める定数決定手段14とを有している。
【0102】
また、図20は本発明に係る光学定数測定装置の第2の構成例を示す図であり、図20の光学定数測定装置は、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段21と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段22と、光透過性物質2の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値とを求める定数決定手段24とを有している。
【0103】
また、図21は本発明に係る光学定数測定装置の第3の構成例を示す図であり、図21の光学定数測定装置は、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段31と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段32と、光透過性物質の膜厚dを測定する膜厚測定手段33と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数により近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求める定数決定手段34とを有している。
【0104】
また、図22は本発明に係る光学定数測定装置の第4の構成例を示す図であり、図22の光学定数測定装置は、透明基板1上に成膜した光透過性物質2に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段41と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質2上に反射層3を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段42と、光透過性物質2の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値とを求める定数決定手段44とを有している。
【0105】
図19〜図22の各構成例の光学定数測定装置を用いることによって、前述したように、光透過性物質2の複素屈折率および/または膜厚dを決定することができる。
【0106】
なお、図19〜図22の各構成例において、吸収スペクトル測定手段11,21,31,41及びデータ測定手段には、分光光度計(例えば、島津製作所製の自記分光光度計UV−3100PC)を用いることができる。
【0107】
また、上記各構成例において、光透過性物質2上に反射層3を設ける構成のとき、反射層3には、金,銀,アルミなどを用いることができる。また、この反射層3の膜厚は任意であるが、反射率を計算するため、各波長での複素屈折率と膜厚値が既知である必要がある。
【0108】
また、前述のようにして得られた反射率,透過率の計算式は、基板1が無限に厚いと仮定した式(すなわち、空気と基板1との界面での反射等を無視した式)である。従って、測定される反射率や透過率は、基板が有限で空気と基板1との界面での効果が入っているから、測定値は補正しなければならない(測定値を補正する場合には、反射率や透過率の測定値から、空気と基板1との界面での効果(例えば反射率)を減算しなければならない)。
【0109】
あるいは、測定値の方を補正するかわりに、計算値の方を補正しても良い(計算値を補正する場合には、反射率や透過率の計算値に、空気と基板1との界面での効果(反射率)を加算しても良い)。
【0110】
上述の第1の実施形態では、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとし、この近似は、ナフタロシアニン誘導体、フタロシアニン誘導体、ポルフィン誘導体等のように吸収曲線が可視域近傍に存在し、長波長側には吸収がない場合は妥当と考えられる。しかしながら、ある種の光透過性物質では、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形ではないこともあり、この場合には、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとする仮定ができないことがある。
【0111】
本発明は、さらに、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとする仮定ができない場合にも対処可能な光学定数測定方法及び光学定数測定装置を提供することを目的としている。
【0112】
このため、本発明の第2の実施形態では、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすという仮定を用いるかわりに、前述したようなR−T法により複素屈折率の虚部kを求め、クラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率の実部nを求めるようにしている。すなわち、本願の発明者等は、R−T法では複素屈折率の虚部kが光透過性物質の膜厚dにあまり依存せず、また複数存在する最適解の間で、解の値差が小さく、一定した値が得られることを見い出し、従って、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kを求めることに関しては、R−T法を積極的に利用すれば良いことを見い出した。
【0113】
なお、R−T法では、複素屈折率の実部nは膜厚依存性が大きく、また複数存在する最適解間での値差が大きいため、大きくバラツキやすく、膜厚や各測定データの正確さが非常に要求され(特に膜厚は基板の平行度や成膜方法・条件により、かなりのバラツキが生じていると考えられ)、正確な値を求めることが非常に困難である。そのためR−T法は複素屈折率の実部nを決定するときには不向きであると考えられる。
【0114】
他方、クラマース・クローニッヒの関係式を利用する複素屈折率の決定方法は、理論的に正確であり、複素屈折率の実部n,虚部kのいずれか一方の値が既知であれば、他方の値は一義的に正確に求められるという利点がある。
【0115】
そこで、本発明の第2の実施形態では、複素屈折率の実部評価と虚部評価とを独立させ、R−T法により複素屈折率の虚部kを求め、クラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率の実部nを求めるようにしている。
【0116】
すなわち、本発明の第2の実施形態では、R−T法では正確な複素屈折率の実部nが計算できず、クラマース・クローニッヒの関係式を利用する複素屈折率の決定方法では複素屈折率の実部か虚部kのどちらか一方がわからなければ他方も計算することができないという欠点を互いに補うようにしている。
【0117】
なお、クラマース・クローニッヒの関係式を利用する複素屈折率の決定方法は、理論的に正確であり、複素屈折率の実部n,虚部kのいずれか一方の値が既知であれば、他方の値は一義的に正確に求められるという利点があるものの、既知でなければならない複素屈折率の実部nまたは虚部kは測定波長範囲として0〜∞が要求され、測定波長範囲が限定されてしまうと、計算される値の精度も低下するという欠点があった。
【0118】
そこで、本発明の第2の実施形態では、クラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率の実部nを求める場合にも、限られた波長範囲の複素屈折率の虚部kのデータから比較的正確な複素屈折率の実部nを求めることをさらに意図している。
【0119】
また、本発明の第2の実施形態では、R−T法で複素屈折率の虚部kを求めるのに用いた膜厚値dRTと、クラマース・クローニッヒの関係式を用いて複素屈折率の実部nを決定すると同時に得られる膜厚値dKKとが同一となるときに正確な複素屈折率が計算されると仮定するようにしており、これにより、膜厚を測定するのにも応用できる。
【0120】
なお、R−T法で複素屈折率の虚部を求めるのに用いた膜厚値と、クラマース・クローニッヒの関係式を用いて複素屈折率の実部を決定すると同時に得られる膜厚値とが同一となるときに正確な複素屈折率が計算されると仮定できる根拠は、後の実施例等で示すように本発明で計算された複素屈折率と膜厚値を用いることで、膜面入射反射率等の実測値と計算値がほとんど一致すること、本発明のクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複素屈折率の実部を決定させる方法で取り入れられた近似が、精度的に信用できる検証結果が得られているため、さらには最終的に得られた膜厚値でのみR−T法により得られた複素屈折率の実部,虚部の値とクラマース・クローニッヒの関係式を用いて求められた複素屈折率の実部,虚部の値が、ともにほぼ一致するためである。
【0121】
以下、本発明の第2の実施形態についてより詳細に説明する。本発明の第2の実施形態では、先ず、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kをR−T法により求める。このとき、測定物質(光透過性物質)の膜厚d(dRT)を知る必要があるが、この膜厚dRTについてはある程度任意に設定して構わない。
【0122】
また、本発明の第2の実施形態では、第2の近似として、限られた波長域の複素屈折率虚部kのデータから複素屈折率の実部nを精度よく評価するために、第1の実施形態の第2の近似と全く同様にして波長領域を3分割し、第1の実施形態の第2の近似と全く同様にして、数6、数7に従って、複素屈折率の実部nを求めるするようにしている。
【0123】
第2の実施形態における上記第1の近似は、最も重要な事項の1つであり、R−T法で計算される複素屈折率のうち、実部nは膜厚値の影響を大きくうけるが、虚部kはその影響を非常に小さくできることを利用したものである。つまり、複数最適解が存在した場合でも、実部nは広範囲な値をとりやすいが、虚部kはほとんど一定値とすることができる。このような複素屈折率の虚部kを得るためには、R−T法において透過率データを用いることが好ましい。なぜなら、透過率は反射の影響も存在するが、基本的に膜の吸収,すなわち複素屈折率の虚部kの大きさで決まってしまうからであり、そのため、ある膜厚dを仮定したとき、測定透過率データと一致するような複素屈折率の実部nと虚部kの解の組を計算すると、測定データと一致する解の虚部依存性が非常に小さいからである。
【0124】
具体的に、R−T法により求められた複素屈折率の虚部kの解をみると、図23,図24のようになる。ここで、図23は波長λが500nmであり、膜材料Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)の膜厚が87nmであると仮定したときの複素屈折率の計算結果を示す図である。また、図24は波長λが600nmであり膜材料Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)の膜厚が87nmであると仮定したときの複素屈折率の計算結果を示す図である。図23,図24において、横軸は複素屈折率の実部n、縦軸は複素屈折率の虚部kである。また、図23,図24において、Rは測定データと一致する膜面入射反射率の解曲線、Gは基板面入射反射率解曲線、Bは透過率解曲線である。
【0125】
図23,図24からわかるように実測透過率データと一致するための複素屈折率の透過率解曲線Bは複素屈折率の虚部kにあまり依存せず、例えば波長が500nmである場合、この材料の複素屈折率n−ikは、図23から、0.5−i×0近傍の解と3.2−i×0近傍の解とが得られるが、どちらの解を選択しても虚部kはあまり影響がない。
【0126】
膜面入射反射率と基板面入射反射率を用いても同じように得られる複数の解は、虚部kについてはほぼ同じような値となるが、透過率を用いることで、より一層虚部の膜厚依存性,複数解間の虚部値の差を低減させることが可能である(膜面入射反射率と基板面入射反射率だけを用いると、その誤差は虚部kに大きく影響するが、透過率を用いることで、誤差が虚部kに与える影響を低減できる)。
【0127】
また、この第2の実施形態でも、第2の近似においては、第1の分割領域(長波長領域)でほぼ吸収が0となり、この第1の分割領域での積分寄与分は無視できる。また、第3の分割領域の吸収の取り扱いについても、前述した第1の実施形態と全く同様に(図5乃至図13を用いて説明したように)、測定領域以外からの吸収による積分の寄与を定数化することができる。
【0128】
第2の実施形態において、複素屈折率の実部n,虚部kの具体的な計算方法は以下のようである。すなわち、先ず、第1の工程として、R−T法により複素屈折率の虚部を求め、これをk(C)とする。この時、光透過性物質の膜厚dRTは任意に設定できる(すなわち、高い精度で正確に知る必要がない)。
【0129】
次いで、第2の工程として、このk(C)をもとにクラマース・クローニッヒの分散関係式中の積分を実行し、複素屈折率の実部n(C)を計算する。
【0130】
次いで、第3の工程として、実部n(C)には、非測定領域からの積分寄与分として定数C’を加算し、光透過性物質の膜厚dRTにおいて計算される膜面入射反射率と測定値の差が最小となるC’値とC値、膜厚dKKを決める。dKKとdRTがほぼ同じであれば、これにより、膜の複素屈折率(n(λ)−ik(λ))を得ることができる。
【0131】
この時、膜の複素屈折率n(λ)−ik(λ)の実部はR−T法の結果を用いても、クラマース・クローニッヒの関係式による値を用いても良い(但しR−T法の結果が異常値を有する場合はクラマース・クローニッヒの関係式による値を用いる)。
【0132】
これに対し、dKKとdRTが大きく異なる場合は、dKKを用いてR−T法により、複素屈折率の虚部を求め、これをk(C)とし、dKKとdRTがほぼ同じになるまで上記工程2と工程3を繰り返し行ない、最終的に膜の複素屈折率n(λ)−ik(λ)を得る。この時、膜の複素屈折率n(λ)−ik(λ)の実部はR−T法の結果を用いても、クラマース・クローニッヒの関係式による値を用いても良い(但しR−T法の結果が異常値を有する場合はクラマース・クローニッヒの関係式による値を用いる)。
【0133】
また、上述の例では、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を全波長域で均一に補償しているが、第1の実施形態で説明したのと同様に、これのかわりに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を波長に関する一次関数で補償することもできる。
【0134】
本発明の第2の実施形態を要約すると、本発明の第2の実施形態では、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで複数波長における複素屈折率の実部を求めるようなっている。
【0135】
あるいは、透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚dKKを求める第1の工程と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の工程で計算された膜厚dKKとを比較する第2の工程と、第1の工程で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第3の工程とを、第2の工程でdKKとdRTとが略等しくなるまで繰り返し行ない、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性物質の膜厚とするようなっている。
【0136】
このように、第2の実施形態では、第1の近似として、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすという仮定を用いるかわりに、前述したようなR−T法により複素屈折率の虚部kを求め、クラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率の実部nを求めるようにしているので、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとする仮定ができない場合にも対処することができる。
【0137】
また、この第2の実施形態では、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を計算するようなっている。
【0138】
なお、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるのに、少なくとも透過率データを用いるのが良い。
【0139】
また、図25は、本発明に係る光学定数測定装置の第5の構成例を示す図であり、図25の光学定数測定装置は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段51と、透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで複数波長における複素屈折率の実部を求める定数決定手段52とを有している。
【0140】
また、図26は、本発明に係る光学定数測定装置の第6の構成例を示す図であり、図26の光学定数測定装置は、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段61と、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚dKKを求める第1の定数決定手段62と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の定数決定手段62で求められた膜厚dKKとを比較する比較手段63と、第1の定数決定手段62で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第2の定数決定手段64とを有し、比較手段62でdKKとdRTが略等しくなるまで第1の定数決定手段62および第2の定数決定手段64により複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚と複素屈折率の虚部を繰り返し求め、比較手段63においてdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性の物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性の物質の膜厚とする最終決定手段65とを備えている。
【0141】
【実施例】
次に、本発明の実施例について説明する。
【0142】
先ず、本発明の第1の実施形態における実施例(実施例1,実施例2)について説明する。
実施例1
実施例1では、5,10,15,20−Tetrakis(4−methoxyphenyl)−21H,23H−porphine cobalt(II)をクロロホルムに溶解させ、スピンコーティング法により合成石英基板上に光透過性物質(ポルフィン誘導体)の薄膜を形成させた。
【0143】
このサンプルに対し、吸収スペクトルデータ(吸光度)と膜面入射垂直反射率とを測定した。図27,図28には、吸収スペクトルデータ(吸光度),膜面入射垂直反射率の測定結果が示されている。このようにして、吸光度,膜面入射垂直反射率を測定した後、複素屈折率の計算を行なった。図29には、計算した複素屈折率の実部nと虚部kとが示されている。
【0144】
この計算により得られた複素屈折率を用いて膜面入射垂直反射率を計算し、このように計算した膜面入射垂直反射率と図28の測定結果である膜面入射垂直反射率との差を求めた。図30には、この差が示されている。
【0145】
実施例2
実施例2では、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)をクロロホルムに溶解させ、スピンコーティング法により合成石英基板上に光透過性物質(ポルフィン誘導体)の薄膜を形成させた。このサンプルに対し、吸収スペクトルデータ(吸光度)と膜面入射垂直反射率とを測定した。図31,図32には、吸収スペクトルデータ(吸光度)と膜面入射垂直反射率の測定結果がそれぞれ示されている。このようにして、吸光度と膜面入射垂直反射率を測定した後、複素屈折率の計算を行なった。図33には、計算した複素屈折率の実部nと虚部kとが示されている。
【0146】
この計算により得られた複素屈折率を用いて膜面入射垂直反射率を計算し、このように計算した膜面入射垂直反射率と図32の測定結果である膜面入射垂直反射率との差を求めた。図34には、この差が示されている。
【0147】
比較例
この比較例(従来例)では、前述したようなR−T法によって複素屈折率を測定した。すなわち、基板上に光透過性物質を成膜したサンプル
(構成)に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,膜面入射透過率を測定し、さらに、光透過性物質の膜上に金等の反射層を設けた場合(他の構成)の反射率を測定し、それぞれの測定形態での測定値と一致するためのn,kを計算し、全ての測定形態から得られたn,k曲線の交点(最小誤差となる点)からnおよびkを求めた。
【0148】
例えばOxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)のn,kを、膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および金積層型膜面入射から求めた結果の一部を図35,図36,図37,図38に示す。なお、図35,図36,図37,図38は、λがそれぞれ450nm,500nm,550nm,600nmである場合のn,k曲線を示している。
【0149】
図35乃至図38からわかるように、従来方法では必ずしも各測定形態からの解であるn,k曲線が交わらなかったり、複数の解が存在してしまう(測定精度,測定方法の問題は考えないとして)。そこで、n,kを明瞭に決定させるために膜面入射反射率と膜面入射透過率からn,kを決定した。その結果を図39に示す。
【0150】
この従来方法では、各波長ごとにn,kを全く独立に決定させなければならないため、図39のようにnの決定が不安定である(nのバラツキが大きい)。
【0151】
また、従来方法では、プログラム上で複数解から正確な解を選択させることや、解曲線が交わらなかった場合の処理(最小二乗誤差で決定させてもその解が正確な範囲に収束するという確証がない)等の問題があり、適正なプログラムを作ることが困難であった。
【0152】
さらに、この従来方法では、nとkを独立に決定させるために、膜厚を未知とすることがほとんど不可能である。なぜなら、ある波長においては、測定値と計算値の差が最小となるn,k,膜厚の組合わせは決まるとしても、全波長域に拡張した場合、意味のあるn,k曲線(n,kの波長依存性)、およびほぼ一定値として得られるはずの膜厚が大きく変動する恐れが非常に大きいからである。
【0153】
それに比べ、本発明では、各波長ごとに独立にn,kを決める必要がなく、波長分散性が正しく評価される。すなわち、各波長ごとのn,kの解が単独に得られるのではなく、波長分散曲線としての結果が得られる。また、解の良否判定をする必要がなく、プログラムの作成が容易であり、動作の高信頼性が保証される。さらに、定数C(kの値を決める定数)と定数C’(非測定領域の積分値を補償する定数)を決定させるだけなので、膜厚を未知定数として取り扱うことも可能である。すなわち、薄膜の膜厚を予め測定する必要がないので、薄膜の膜厚測定時の膜厚精度が問題とされることなく、複素屈折率を極めて容易に、かつ信頼性良く評価することが可能となる。
【0154】
このように、本発明の第1の実施形態では、従来に比べて、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率を極めて容易に、かつ信頼性良く測定することが可能となる。
【0155】
次に、本発明の第2の実施形態における実施例(実施例3,実施例4)について説明する。
【0156】
実施例3
実施例3では、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)をクロロホルムに溶解させ、スピンコーティング法により合成石英基板上に薄膜を形成させた。この薄膜の膜厚を繰り返し干渉法により測定したところ、平均で87nmであった。
【0157】
このサンプルに対し、吸光度(図40)と膜面入射垂直反射率(図41)、基板面入射反射率(図42)、透過率(図43)を測定し、膜面入射垂直反射率、基板面入射反射率、透過率の測定値を用いてR−T法により、薄膜の膜厚を87nmとして複素屈折率の計算を行なった。
【0158】
なお、図40〜図43中、横軸は波長λ(nm)であり、縦軸はそれぞれ吸光度、膜面入射垂直反射率、基板面入射反射率、透過率である。
【0159】
また、R−T法の計算プログラム中、膜面入射垂直反射率、基板面入射反射率、透過率のデータに対し、基板の影響を補正した。図41〜図43には、補正前,補正後の膜面入射垂直反射率、基板面入射反射率、透過率のデータがそれぞれ示されている。なお、図41〜図43において、補正前のデータは符号BFを付し、補正後のデータは、符号AFを付している。図44には上記のように計算された複素屈折率の実部nと虚部kとが示されている。
【0160】
また、図45には、図44で得られた複素屈折率の虚部kを用いて、K−K変換法(クラマース・クローニッヒ法)によって複素屈折率の実部nと最適膜厚を計算した結果が示されている。すなわち、図45は薄膜の膜厚を87nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)と、このR−T法による複素屈折率の虚部を用いて、本発明のK−K変換法により得られた複素屈折率n(KK),k(KK)を示すものである。このK−K変換法において最適膜厚は81nmと計算された。
【0161】
但し、K−K変換法により複素屈折率の実部nと最適膜厚を計算させる方法としては、本発明のR−T法により得られた複素屈折率の虚部kを補正する定数倍値と、R−T法により得られた複素屈折率の虚部kの非計算波長領域からの積分寄与分を補償するための定数,さらに膜厚を変化させ、補正された実測膜面入射反射率(図41)と膜面入射反射率の計算値との二乗誤差が最小となるような方法を用いている。すなわち、R−T法により得られた複素屈折率の虚部を補正する定数倍値と、R−T法により得られた複素屈折率の虚部の非計算波長領域からの積分寄与分を補償するための定数および膜厚を求める方法を用いている。
【0162】
図46は図45に示したK−K変換法による複素屈折率n(KK),k(KK)と膜厚を81nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)を示す図である。
【0163】
図46の結果から膜厚が同一であれば(dRT=dKKであれば)、本発明のK−K変換法とR−T法の複素屈折率,すなわち、n(KK)とn(RT)、k(KK)とk(RT)がほぼ一致することから、本発明のK−K変換法の近似が非常に有効であることを示している。
【0164】
薄膜の膜厚が87nmに比べて81nmと仮定した場合、R−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)に異常値がみられなくなり、正確な膜厚と複素屈折率が同時に得られていると推定される。
【0165】
次いで、薄膜の膜厚を81nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部k(RT)を用いてK−K変換法により複素屈折率と膜厚を計算した結果、図47のようになり、最適膜厚は79nmとなった。
【0166】
図48は図47に示したK−K変換法による複素屈折率n(KK),k(KK)と、膜厚を79nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)とを示す図である。図48の結果からほぼR−T法で仮定した膜厚dRTとこの膜厚dRTと仮定したときにR−T法から得られる複素屈折率の虚部k(RT)を用いてK−K変換法により計算された最適膜厚dKKがほぼ一致することから、最終的な複素屈折率と膜厚が得られたと判断できる。
【0167】
この結果から膜厚が同一であれば(dRT=dKKであれば)、本発明のK−K変換法とR−T法の複素屈折率がほぼ一致することから、本発明のK−K変換法の近似が非常に有効であることを示している。
【0168】
念のため、さらに薄膜の膜厚を79nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により複素屈折率と膜厚を計算させた結果、図49のようになった。この場合、最適膜厚は80nmとなり、R−T法で仮定した膜厚dRTとこの膜厚dRTとこの膜厚dRTと仮定したときにR−T法から得られる複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により計算された最適膜厚dKKがほぼ一致しており、最終的な複素屈折率と膜厚が得られたと判断できる。
【0169】
図50は薄膜の膜厚を79nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部k(RT)を用いてK−K変換法により得られた複素屈折率と膜厚80nmという値を用いて計算された膜面入射反射率の計算値と膜面入射反射率の実測値とを比較した結果を示す図である。図50から、ほぼ完全に実測値と計算値が一致しており、正しい膜厚、複素屈折率の評価が行なわれていることを示す結果となっていることがわかる。
【0170】
次に、本発明の第2の実施形態で重要な仮定である次の事項の検証を行なった。すなわち、第1の事項として、R−T法によって得られる複素屈折率の虚部k(RT)は、膜厚や複数存在する解の中からの最適解の選択方法によっては、あまり変化しないという事実の検証と、R−T法によって得られる複素屈折率の実部は膜厚や複数存在する解の中からの最適解の選択方法によって大きく変化するため,R−T法のみによる複素屈折率評価方法は不確定さが伴なうという事実の検証を行なった。
【0171】
図51〜図56は上記検証結果を示す図である。すなわち、図51,図52,図53,図54,図55,図56は、膜厚をそれぞれ、92nm,87nm,82nm,81nm,77nm,70nmとしたときの第2の実施形態における複素屈折率の結果を示している。図51乃至図56から、膜厚が変化しても、R−T法によって得られる複素屈折率の虚部kはほとんど変化せず、一定な解が得られていることがわかる。
【0172】
図57は、膜厚が変化しても、R−T法によって得られる複素屈折率の虚部kはほとんど変化しない様子を示す図である。すなわち、図57は、92nm,87nm,82nm,81nm,77nm,70nmの各膜厚時にR−T法から計算された複素屈折率の虚部kを同一図上に示したものであり(図57では、互いに重なり合って示されている)、膜厚が変化しても複素屈折率の虚部kは、ほとんど変化しないことが確認された。一方、複素屈折率の実部nは、膜厚によって、あるいは複数存在する解の中からの最適解の選択方法によって、大きく左右され、R−T法は複素屈折率実部の評価にはあまり適しない。
【0173】
実施例4
実施例4では、化1で示されるポルフィラジン誘導体をクロロホルムに溶解させ、スピンコーティング法により合成石英基板上に薄膜を形成させた。
【0174】
【化1】
Figure 0003578620
【0175】
このサンプルに対し、吸光度(図58)と膜面入射垂直反射率(図59),基板面入射反射率(図60),透過率(図61)を測定し、膜面入射垂直反射率,基板面入射反射率,透過率の測定値を用いて、R−T法により、薄膜の膜厚を24nmとして複素屈折率の計算を行なった。
【0176】
なお、図58〜図61において、横軸は波長λ(nm)、縦軸は、それぞれ、吸光度,膜面入射垂直反射率,基板面入射反射率,透過率である。
【0177】
また、R−T法の計算プログラム中、膜面入射垂直反射率,基板面入射反射率,透過率のデータに対し、基板の影響を補正した。図59〜図61には、補正前,補正後の膜面入射垂直反射率,基板面入射反射率,透過率のデータがそれぞれ示されている。なお、図59〜図61において、補正前のデータは符号BFを付し、補正後のデータは、符号AFを付している。
【0178】
図62には、膜厚が24nmのときに上記のように計算された複素屈折率の実部nと虚部kとが示されている。また、図63には、図62で得られた複素屈折率の虚部kを用いて、K−K変換法により複素屈折率と膜厚を計算した結果が示されている。すなわち、図62で得られた複素屈折率の虚部kを用いることにより、図63のような複素屈折率が得られ、最適膜厚は11nmとなった。但し、K−K変換法により複素屈折率の実部と最適膜厚を計算させる方法としては、本発明のR−T法により得られた複素屈折率の虚部の非計算波長領域からの積分寄与分を補償するための定数,さらには膜厚を変化させ、補正された膜面入射反射率の測定値(図59のAF)と膜面入射反射率の計算値との二乗誤差が最小となるような方法を用いている。すなわち、R−T法により得られた複素屈折率の虚部を補正する定数倍値と、R−T法により得られた複素屈折率の虚部の非計算波長領域からの積分寄与分を補償するための定数、および膜厚を求める方法を用いている。
【0179】
図64は、図63に示したK−K変換法により得られた複素屈折率と、膜厚を11nmと仮定したときに得られたR−T法による複素屈折率とを示したものである。この結果から膜厚が同一であれば、本発明のK−K変換法とR−T法の複素屈折率がほぼ一致することがわかり、本発明のK−K変換法の近似が非常に有効であることがわかる。
【0180】
図65は、膜厚を11nmと仮定したときにR−T法により得られた複素屈折率と、この計算で得られた複素屈折率の虚部を用いて本発明のK−K変換法により得られた複素屈折率とを示すものであり、このとき最適膜厚11nmが得られ、R−T法で仮定した膜厚dRTとこの膜厚dRTと仮定したときにR−T法から得られる複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により計算された最適膜厚dKKがほぼ一致することから、最終的な複素屈折率と膜厚が得られたと判断できる。
【0181】
図66は膜厚を11nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により得られた複素屈折率と膜厚11nmという値を用いて計算された膜面入射反射率の計算値と膜面入射反射率の測定値とを比較した結果を示す図である。図66から、ほぼ完全に実測値と計算値が一致しており、正しい膜厚,複素屈折率の評価が行なわれていることが確認された。
【0182】
比較例
従来は基板上に成膜したサンプルに対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,膜面入射透過率,さらに膜上に金等の反射層を設けた場合の反射率を測定し、それぞれの測定形態での測定値と一致するためのn,kを計算し、全ての測定形態から得られたn,k曲線の交点(最小誤差となる点)からnおよびkを求めていた。
【0183】
例えば膜材料Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)の複素屈折率n,kを膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および透過率から求めた結果は図51〜図56のとおりである。この図51〜図56のように従来方法では必ずしも各測定形態からの解であるn,k曲線が交わらなかったり、複数の解が存在してしまうため解の選択によって複素屈折率の実部は大きく変動する。また、膜厚によっても複素屈折率の実部は大きく変動する。すなわち、測定誤差や計算誤差等で複素屈折率の実部が大きく変化してしまうことを意味する。
【0184】
図51〜図56の結果はR−T法により、膜厚を変化させ、各膜厚で複素屈折率を計算すると、適正膜厚時に複素屈折率の実部が異常値をとらなくなること、逆に言えば、複素屈折率が異常値をとらなくなる膜厚が実膜厚であると判断できることを暗示している。従って、R−T法単独でも複素屈折率と膜厚をパラメータとして複素屈折率と膜厚を同時に決定することが可能である。
【0185】
しかしながら、膜厚をも未知としてR−T法を用いた場合、計算時間の手間がかかり(計算効率が悪く)、また、測定誤差や計算誤差により複素屈折率の実部が大きく左右され、また、膜厚の収束点(最適解、すなわち複素屈折率の実部が異常値をとらなくなる膜厚)が定量的に判断できない(プログラム化が容易でない)という問題点が生じる。
【0186】
それに比べ本発明の第2の実施形態の方法では、K−K変換に用いられる複素屈折率虚部の信頼性がある程度保証でき、また、複素屈折率の実部はR−T法のように各波長ごとに独立にn,kを決める必要がなく、波長分散性が正しく評価され、また、R−T法のように複素屈折率の実部が異常値をとることがない。また、解の収束判定が定量的に行なえるため(K−K変換に用いたR−T法により求められた複素屈折率虚部データ計算時の膜厚と、K−K変換により求められた膜厚とが一致したときに正しい複素屈折率が評価されたと判断する)、プログラムの作成が容易であり、動作の高信頼性が保証される。また、定数C(kの値を決める定数)と定数C’(非測定領域の積分値を補償する定数)を決定させるだけなので、プログラム構成も簡単である。そして、膜厚測定用としても利用できるという利点がある。
【0187】
【発明の効果】
以上に説明したように、請求項1乃至請求項11記載の発明によれば、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなして、クラマース・クローニッヒの関係式から光透過性物質の複素屈折率を決定するので、複素屈折率を極めて容易に、かつ信頼性良く測定することが可能となる。
【0188】
また、請求項12乃至請求項20記載の発明によれば、R−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求めるので、透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとする仮定ができない場合にも対処することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率の実部nと虚部kとを示す図である。
【図2】透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線(吸収スペクトルデータ)を示す図である。
【図3】透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率の虚部kを、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍Cと仮定することを示す図である。
【図4】複素屈折率の実部nは、測定領域(λ〜λ)の実部nに定数(積分寄与分)C’を加算したものとして求めることを示す図である。
【図5】吸収スペクトルデータ(C=1.0のときの)の様子を示す図である。
【図6】吸収スペクトルデータ(C=2.0のときの)の様子を示す図である。
【図7】0〜200nmの吸収スペクトルデータを計算に取り入れた場合の複素屈折率の実部nの計算結果を示す図である。
【図8】0〜200nmの吸収スペクトルデータを無視した場合の複素屈折率の実部nの計算結果を示す図である。
【図9】図7,図8の吸収スペクトルデータを同一図上に表示した図である。
【図10】図7の吸収スペクトルデータと図8の吸収スペクトルデータとの計算結果の差を示す図である。
【図11】0〜200nmの吸収の大きさに対し、451nmにおける0〜200nmの吸収スペクトルデータを無視した場合と取り入れた場合の計算されるnの値差をプロットした図である。
【図12】0〜200nmの吸収の大きさに対し、800nmにおける0〜200nmの吸収スペクトルデータを無視した場合と取り入れた場合の計算されるnの値差をプロットした図である。
【図13】図11,図12のnの値差を同一図上に示した図である。
【図14】透明基板上に光透過性物質を成膜した構成を示す図である。
【図15】繰り返し干渉法によって膜厚dを測定する仕方を説明するための図である。
【図16】図14の構成例において、基板面入射反射率rを求めることを説明するための図である。
【図17】図14の構成例において、透過率tを求めることを説明するための図である。
【図18】光透過性物質2上にさらに反射層3を設けた構成での基板面入射反射率rmbを求めることを説明するための図である。
【図19】本発明に係る光学定数測定装置の第1の構成例を示す図である。
【図20】本発明に係る光学定数測定装置の第2の構成例を示す図である。
【図21】本発明に係る光学定数測定装置の第3の構成例を示す図である。
【図22】本発明に係る光学定数測定装置の第4の構成例を示す図である。
【図23】波長λが500nmであり、膜材料Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)の膜厚が87nmであると仮定したときの複素屈折率の計算結果を示す図である。
【図24】波長λが600nmであり膜材料Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)の膜厚が87nmであると仮定したときの複素屈折率の計算結果を示す図である。
【図25】本発明に係る光学定数測定装置の第5の構成例を示す図である。
【図26】本発明に係る光学定数測定装置の第6の構成例を示す図である。
【図27】実施例1における吸光度の測定結果を示す図である。
【図28】実施例1における膜面入射垂直反射率の測定結果を示す図である。
【図29】計算した複素屈折率の実部nと虚部kとを示す図である。
【図30】図29のように計算により得られた複素屈折率を用いて計算した膜面入射垂直反射率と図28の測定結果である膜面入射垂直反射率との差を示す図である。
【図31】実施例2における吸光度の測定結果を示す図である。
【図32】実施例2における膜面入射垂直反射率の測定結果を示す図である。
【図33】計算した複素屈折率の実部nと虚部kとを示す図である。
【図34】図33のように計算により得られた複素屈折率を用いて計算した膜面入射垂直反射率と図32の測定結果である膜面入射垂直反射率との差を示す図である。
【図35】λが450nmであるときに、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)のn,kを、膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および金積層型膜面入射から求めた結果の一部を示す図である。
【図36】λが500nmであるときに、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)のn,kを、膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および金積層型膜面入射から求めた結果の一部を示す図である。
【図37】λが550nmであるときに、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)のn,kを、膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および金積層型膜面入射から求めた結果の一部を示す図である。
【図38】λが600nmであるときに、Oxo[5,10,15,20−Tetra(4−pyridyl)porphinato]titanium(IV)のn,kを、膜面入射反射率と、膜面入射透過率、および金積層型膜面入射から求めた結果の一部を示す図である。
【図39】n,kを明瞭に決定させるために膜面入射反射率と膜面入射透過率からn,kを決定した結果を示す図である。
【図40】実施例3における吸光度の測定結果を示す図である。
【図41】実施例3における膜面入射反射率の測定結果を示す図である。
【図42】実施例3における基板面入射反射率の測定結果を示す図である。
【図43】実施例3における透過率の測定結果を示す図である。
【図44】計算した複素屈折率の実部nと虚部kとを示す図である。
【図45】薄膜の膜厚を87nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)と、このR−T法による複素屈折率の虚部を用いて、本発明のK−K変換法により得られた複素屈折率n(KK),k(KK)を示す図である。
【図46】図45に示したK−K変換法による複素屈折率n(KK),k(KK)と膜厚を81nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)を示す図である。
【図47】薄膜の膜厚を81nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部k(RT)を用いてK−K変換法により複素屈折率と膜厚を計算した結果を示す図である。
【図48】図47に示したK−K変換法による複素屈折率n(KK),k(KK)と、膜厚を79nmとしたときのR−T法による複素屈折率n(RT),k(RT)とを示す図である。
【図49】薄膜の膜厚を79nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により複素屈折率と膜厚を計算させた結果を示す図である。
【図50】薄膜の膜厚を79nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部k(RT)を用いてK−K変換法により得られた複素屈折率と膜厚80nmという値を用いて計算された膜面入射反射率の計算値と膜面入射反射率の実測値とを比較した結果を示す図である。
【図51】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図52】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図53】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図54】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図55】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図56】第2の実施形態で重要な仮定である事項の検証を行なった結果を示す図である。
【図57】膜厚が変化しても、R−T法によって得られる複素屈折率の虚部kはほとんど変化しない様子を示す図である。
【図58】実施例4における吸光度の測定結果を示す図である。
【図59】実施例4における膜面入射反射率の測定結果を示す図である。
【図60】実施例4における基板面入射反射率の測定結果を示す図である。
【図61】実施例4における透過率の測定結果を示す図である。
【図62】膜厚が24nmのときに計算された複素屈折率の実部nと虚部kとを示す図である。
【図63】図62で得られた複素屈折率の虚部kを用いることにより得られる複素屈折率を示す図である。
【図64】図63に示したK−K変換法により得られた複素屈折率と、膜厚を11nmと仮定したときに得られたR−T法による複素屈折率とを示す図である。
【図65】膜厚を11nmと仮定したときにR−T法により得られた複素屈折率と、この計算で得られた複素屈折率の虚部を用いて本発明のK−K変換法により得られた複素屈折率とを示す図である。
【図66】膜厚を11nmと仮定したときにR−T法で得られた複素屈折率の虚部を用いてK−K変換法により得られた複素屈折率と膜厚11nmという値を用いて計算された膜面入射反射率の計算値と膜面入射反射率の測定値とを比較した結果を示す図である。
【図67】R−T法を説明するための図である。
【図68】R−T法を説明するための図である。
【図69】R−T法を説明するための図である。
【符号の説明】
1 透明基板
2 光透過性物質
3 反射層
11,21,31,41 吸収スペクトル測定手段
12,22,32,42,51,61 データ測定手段
13,33 膜厚測定手段
14,24,34,44,52 定数決定手段
62 第1の定数決定手段
63 比較手段
64 第2の定数決定手段
65 最終決定手段
n 複素屈折率の実部
k 複素屈折率の虚部
d,dRT,dKK 膜厚

Claims (20)

  1. 透明基板上に成膜した光透過性物質の複素屈折率の虚部kの波長依存性曲線が、透明基板上に成膜した光透過性物質の吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなして、クラマース・クローニッヒの関係式から光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴とする光学定数測定方法。
  2. 請求項1記載の光学定数測定方法において、光透過性物質の複素屈折率の虚部の波長依存性曲線が吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなしてクラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率を決定するときに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を、測定領域の全波長域で均一に補償することを特徴とする光学定数測定方法。
  3. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、光透過性物質の複素屈折率虚部の波長依存性曲線が吸収スペクトル曲線と相似形をなすとみなしてクラマース・クローニッヒの関係式から複素屈折率を決定するときに、クラマース・クローニッヒの関係式中で現われる吸収スペクトルの非測定領域からの寄与分を、測定領域において波長に関する一次関数で補償することを特徴とする光学定数測定方法。
  4. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルと、少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、光透過性物質の膜厚とを測定し、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴とする光学定数測定方法。
  5. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルと、少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率及び膜厚を決定することを特徴とする光学定数測定方法。
  6. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルと、少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、光透過性物質の膜厚とを測定し、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部において、吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率を決定することを特徴とする光学定数測定方法。
  7. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルと、少なくとも、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとを測定し、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この一次関数による各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性の物質の膜厚を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値とを求めることで、光透過性物質の複素屈折率及び膜厚を決定することを特徴とする光学定数測定方法。
  8. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、光透過性物質の膜厚を測定する膜厚測定手段と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値とを求める定数決定手段とを有していることを特徴とする光学定数測定装置。
  9. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複素屈折率の実部を求め、前記測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する定数加算値と光透過性物質の膜厚値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴とする光学定数測定装置。
  10. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、光透過性物質の膜厚を測定する膜厚測定手段と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数で近似し、この一次関数による各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴とする光学定数測定装置。
  11. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、吸収スペクトルを測定する吸収スペクトル測定手段と、少なくとも膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータを測定するデータ測定手段と、光透過性物質の複素屈折率の虚部を、測定した吸収スペクトル曲線の定数倍と仮定し、吸収スペクトル曲線の定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて暫定的な複素屈折率の実部を求め、この暫定的な複素屈折率の実部に吸収スペクトルの非測定範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式の積分寄与分を波長に関する一次関数により近似し、この各波長での補償値加算により複素屈折率の実部を求め、測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する吸収スペクトル曲線の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と光透過性物質の膜厚とを任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータとの誤差が最小となる吸収スペクトル曲線の定数倍値と、複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定範囲のデータを補償する一次関数のパラメータ値と、光透過性物質の膜厚値とを求める定数測定手段とを有していることを特徴とする光学定数測定装置。
  12. 透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚dKKを求める第1の工程と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の工程で計算された膜厚dKKとを比較する第2の工程と、第1の工程で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第3の工程とを、第2の工程でdKKとdRTとが略等しくなるまで繰り返し行ない、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性物質の膜厚とすることを特徴とする光学定数測定方法。
  13. 請求項12に記載の光学定数測定方法において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、前記複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における前記複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における前記複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を計算することを特徴とする光学定数測定方法。
  14. 請求項12に記載の光学定数測定方法において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴とする光学定数測定方法。
  15. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める光学定数測定方法において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、前記複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における前記複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における前記複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を計算することを特徴とする光学定数測定方法。
  16. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める光学定数測定方法において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴とする光学定数測定方法。
  17. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段と、透明基板上に成膜した光透過性の物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、次いで、該複素屈折率の複数波長における虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで複数波長における複素屈折率の実部を求める定数決定手段とを有していることを特徴とする光学定数測定装置。
  18. 透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、反射率と透過率をある波長範囲で測定するデータ測定手段と、透明基板上に成膜した光透過性物質に対し、膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の4種類の光学定数のうち、2つ以上の光学定数の複数波長での測定値と、複素屈折率を任意に仮定した該2つ以上の光学定数の測定値に対応した膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率の計算値との二乗誤差の和が最小になる解の組み合わせを決定するR−T法により、任意に仮定した光透過性物質の膜厚dRTを用いて光透過性の物質の複数波長における複素屈折率の虚部を求め、先に求められた複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いることで、複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚を求める第1の定数決定手段と、先にR−T法により求められた複素屈折率の虚部データを計算したときに仮定した膜厚値dRTと第1の定数決定手段で求められた膜厚dKKとを比較する比較手段と、第1の定数決定手段で求められた光透過性物質の膜厚dKKをdRTとし、このdRTを用いてR−T法により複数波長における複素屈折率の虚部を求める第2の定数決定手段とを有し、前記比較手段でdKKとdRTが略等しくなるまで第1の定数決定手段および第2の定数決定手段により複数波長における複素屈折率の実部と光透過性物質の膜厚と複素屈折率の虚部を繰り返し求め、比較手段においてdKKとdRTが略等しくなったときに得られる複素屈折率を光透過性の物質の複素屈折率とし、および/または、このdKKとdRTが略等しくなったときに得られる膜厚値を光透過性の物質の膜厚とする最終決定手段とを備えたことを特徴とする光学定数測定装置。
  19. 請求項17または請求項18に記載の光学定数測定装置において、複数波長における複素屈折率の虚部データからクラマース・クローニッヒの関係式を用いて複数波長における複素屈折率の実部を求める場合に、複数波長における複素屈折率の虚部データの定数倍データからクラマース・クローニッヒの関係式により求められた複数波長における複素屈折率の実部に、前記複数波長における複素屈折率の虚部データの非測定波長範囲のデータからのクラマース・クローニッヒの関係式中の積分寄与分を定数加算により補償し、この定数加算により複数波長における複素屈折率の実部を求め、複数波長において測定された膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかのデータと、それと対応する複数波長における前記複素屈折率虚部の定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を任意に仮定することで計算される膜面入射反射率,基板面入射反射率,透過率,光透過性物質上に反射層を設けた構成での基板面入射反射率のいずれかとの誤差が最小となる複数波長における前記複素屈折率の虚部データの定数倍値と複素屈折率の実部に適用される吸収スペクトルの非測定波長範囲のデータを補償する定数加算値を求めることで、光透過性の物質の複素屈折率の実部を算出することを特徴とする光学定数測定装置。
  20. 請求項18または請求項19に記載の光学定数測定装置において、R−T法により複素屈折率の虚部を求めるために少なくとも透過率データを用いることを特徴とする光学定数測定装置。
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