JP2003050200A - 光学的成分測定方法および装置 - Google Patents
光学的成分測定方法および装置Info
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Abstract
成分の濃度による検出光のスペクトルへの影響を正確に
計算することができ、正確な測定結果を得ることのでき
る光学的成分測定方法および装置を提供する。 【解決手段】散乱体を含む被測定媒体内の測定対象成分
の濃度を測定する方法であって、被測定媒体の光学特性
値を求め、確率統計的なシミュレーションにより被測定
媒体内の光の光路を求め、シミュレーションにより求め
た光路群から光学特性値に対応した光の検出強度に関連
するデータテーブルを作成し、データテーブルを回帰分
析により平滑化した補正データテーブル422を作成
し、補正データテーブルから光の各波長に対応する検出
強度を求めて参照スペクトルとし、被測定媒体に実際に
光を入射させて検出光の実測スペクトルを求め、参照ス
ペクトルと実測スペクトルとを比較して被測定媒体内の
測定対象成分の濃度を演算する。
Description
測定媒体中の測定対象成分、例えば、血液中の血糖の濃
度等を、光学的に測定する光学的成分測定方法および装
置に関し、詳しくは、確率統計的なシミュレーションに
より測定対象成分の濃度による検出光のスペクトルへの
影響を正確に計算することができ、正確な測定結果を得
ることのできる光学的成分測定方法および装置に関する
ものである。
るには、生体から血液を採取して、その血液試料中の糖
(例えば、グルコース等)の濃度を化学分析等により直
接測定することが最も一般的であった。しかし、生体か
ら血液を採取するには、そのための専門技術を習得した
人員が必要となり、誰にでも簡単に行えるものではな
い。また、血液を採取される側にとっても、血液採取に
は痛みや不安が伴うため、できれば血液を採取すること
なく測定できることが望ましい。このため、生体を傷付
けることなく血糖値の測定を行う測定器の実現が待ち望
まれていた。
料を採取しての化学分析等による血糖値等の測定では、
生体に対する負担が大きいばかりでなく、化学分析等の
反応時間により測定時間が長くなるという問題点もあっ
た。また、このような従来技術では、例えば食後の血糖
値変動パターンの監視などの連続測定を行うことは実質
的に不可能であった。そこで、血液中の血糖値等を測定
するのに、光学的成分測定法を利用することが考えられ
る。これは、血液等の試料に光を入射し、試料を通過し
た光の検出スペクトルを解析することにより、試料中の
測定対象成分の濃度を測定する方法である。
(例えば、グルコース等)以外にも様々な化学成分の物
質が含まれており、また、光の散乱体となる種々の血球
等も含まれている。この他の散乱体としては、皮膚・筋
肉などの組織、血液中の血球の細胞核、ミトコンドリア
などがある。このような複雑な混合物試料において、特
定成分の濃度を測定することには、以下のような問題点
がある。
象成分が種々の値に変化した場合に、検出光のスペクト
ルがどのように変化するかという、測定対象成分の各濃
度に対応する基準となるスペクトルを得ることが困難で
ある。また、測定対象成分以外の成分濃度による検出ス
ペクトルへの影響を予め調べておくことも困難である。
これは、このような生体内の試料中の各成分濃度を任意
の値に変化させることは、生体に深刻な影響を与えてし
まうことが多いからである。この他にも、温度による影
響や、散乱体による影響を考慮して、すべての状況での
検出光のスペクトル変化を予め測定しておくことは極め
て困難である。
分の濃度、温度、散乱体の濃度等の種々の要因による検
出光スペクトルの変化が予めわかっていれば、実際に検
出光スペクトルを測定して、その結果から多変量解析に
より測定対象成分の濃度を求めることができる。しか
し、前述のように、これらの種々の要因による検出光ス
ペクトルの変化を予め測定しておくことは極めて困難で
ある。
ーションにより測定対象成分の濃度による検出光のスペ
クトルへの影響を正確に計算することができ、正確な測
定結果を得ることのできる光学的成分測定方法および装
置を提供することを目的とする。
に、本発明の光学的成分測定方法は、散乱体を含む被測
定媒体に光を入射させ、前記被測定媒体を通過した検出
光のスペクトルにより、前記被測定媒体内の測定対象成
分の濃度を測定する方法であって、前記被測定媒体の光
学特性値を求める手順と、確率統計的なシミュレーショ
ンにより、前記被測定媒体内の光の光路を求める手順
と、前記シミュレーションにより求めた光路群から、前
記光学特性値に対応した光の検出強度に関連するデータ
テーブルを作成する手順と、前記データテーブルを回帰
分析により平滑化した補正データテーブルを作成する手
順と、前記補正データテーブルから光の各波長に対応す
る検出強度を求め、検出光の計算上のスペクトルである
参照スペクトルを求める手順と、前記被測定媒体に実際
に光を入射させ、検出光の実測スペクトルを求める手順
と、前記参照スペクトルと前記実測スペクトルとを比較
して、前記被測定媒体内の測定対象成分の濃度を演算す
る手順とを有するものである。
て、前記光学的特性値は、吸収係数および等価散乱係数
を含むものであることが好ましい。
て、前記補正データテーブルは、吸収係数および等価散
乱係数の多項式として求めるものであることが好まし
い。
て、前記シミュレーションは、モンテカルロ法を利用し
たものであることが好ましい。
て、前記検出光として、前記入射光が前記被測定媒体に
よって散乱された拡散反射光を検出するものであること
が好ましい。
て、前記被測定媒体を血液とし、測定対象成分を糖とす
ることができる。
て、前記被測定媒体に入射させる光は、波長1000〜
2500nmの近赤外光であることが好ましい。
乱体を含む被測定媒体に光を入射させる手段と、前記被
測定媒体を通過した検出光のスペクトルを実測スペクト
ルとして検出する検出器と、確率統計的なシミュレーシ
ョンにより求めた、前記被測定媒体の前記光学的特性値
に対応した光の検出強度に関連するデータテーブルを、
回帰分析により平滑化した補正データテーブルを記憶す
る手段と、前記補正データテーブルから光の各波長に対
応する検出強度を求めることにより、検出光の計算上の
スペクトルである参照スペクトルを求め、前記実測スペ
クトルと前記参照スペクトルとを比較して、前記被測定
媒体内の測定対象成分の濃度を演算する手段とを有する
ものである。
て、前記シミュレーションは、モンテカルロ法を利用し
たものであることが好ましい。
て、前記検出器は、前記被測定媒体によって散乱された
拡散反射光を検出するものであることが好ましい。
て、前記被測定媒体を血液とし、測定対象成分を糖とす
ることができる。
て、前記被測定媒体に入射させる光は、波長1000〜
2500nmの近赤外光であることが好ましい。
を参照して説明する。まず、光学的成分測定方法の測定
原理について説明する。図1は、光学的成分測定を行う
試料に、強度Iinの入射光を入射した場合の入射光と射
出光との関係を示す図である。図1(a)は、試料が散
乱体を含まない場合である。入射光は、試料により一部
が吸収され、強度Iout の射出光として検出される。こ
の場合の吸光度Aは、次式で示される。 A = log(Iin/Iout)= εcd ・・・式1
数を表し、εは単位距離・単位濃度あたりの吸光係数で
あり、cは成分の濃度であり、dは試料の厚さすなわち
光路長である。式1は、ベール−ランバート(Beer-Lam
bert)の法則として知られているものである。試料中に
散乱体を含んでいない場合には、式1により、入射光の
各波長についての吸光度が求められるから、射出光のス
ペクトルによって、試料に含まれる成分の濃度を求める
ことは比較的容易である。
る場合である。実際の測定試料における散乱体として
は、皮膚・筋肉などの組織および/または血液中の血
球、細胞核、ミトコンドリアなどがある。この場合、入
射光の強度Iinに対する射出光(検出光)の強度Iout
は、式1のように簡単に表すことはできない。これは、
光の入射点から検出点に至る経路が図示のように種々の
経路が存在し、その各経路での光路長も互いに異なるか
らである。検出光の強度は、光路長の異なる種々の経路
を通る光をそれぞれ足し合わせて求める必要がある。
含む試料に対して、入射光の強度I inに対する射出光の
強度Iout を、確率統計的なシミュレーションによって
求めるものである。このようにして、成分の濃度変化に
対する検出光の参照スペクトルを求めておき、この参照
スペクトルと実際の測定における実測スペクトルとを比
較して、試料中の測定対象成分の濃度を算出する。な
お、散乱体を含む試料では、図1(c)のように、入射
光が試料によって散乱された拡散反射光を検出するよう
にして、入射光が入射する面と同じ表面で射出光を検出
することができる。この場合でも、図1(b)の場合と
同様に確率統計的なシミュレーションによって、入射光
の強度Iinに対する射出光の強度Iout を求めることが
できる。
モンテカルロ法を使用することができる。図2は、モン
テカルロ法による光路追跡を示す図である。まず、エネ
ルギーW0 の入射光が試料に入射するものとする。入射
方向をz軸とする、図示のような直交3軸xyz座標系
を考える。この光束は、xyz座標系の原点で散乱さ
れ、その散乱光はエネルギーW1 の光束で示される。天
頂角θはz軸と散乱光のなす角度であり、方位角φは散
乱光のxy平面への投影とx軸とのなす角度である。ま
た、散乱光が次の散乱を受けるまでの行程長をLとす
る。散乱光の各パラメータは次式で表される。
数を表す。また、R1 ,R2 ,R3は、それぞれが、区
間[0,1]での一様乱数である。また、μa は測定試
料の吸収係数、μs は測定試料の散乱係数、gは散乱の
非等方性を示すパラメータである。このパラメータg
は、散乱の指向性を表す位相角関数(例えば、Henyey-G
reenstein 関数等)を記述するために用いられるパラメ
ータである。上記の式中の関数fは、この位相角関数を
用いて表される公知の関数である。
θ,φ)で示される点で次の散乱を受ける。この第2次
散乱光は、エネルギーW2 の光束で示される。そして、
第2次散乱光は、x’y’z’座標系の極座標(r’,
θ’,φ’)で示される点で次の散乱を受ける。このよ
うにして、次々と散乱光の光路を追跡していく。散乱光
のエネルギーは、次式により表される。
の回数を示す。すなわち、W0 は各1回のシミュレーシ
ョンにおける入射光束のエネルギーであり、全入射エネ
ルギーIinをNで割ったものとなる。上記のWm はm回
の散乱を受けた後の光束のエネルギーを示すものであ
る。そして、1回のシミュレーションにおける検出光束
のエネルギーiout は、光束が検出領域に到達した場合
にはm回の散乱を受けた後の光束のエネルギーWm とし
て表され、光束が検出領域に到達しなかった場合には0
となる。検出光の全エネルギーIout は、N回のシミュ
レーションの各回ごとの検出光束のエネルギーiout を
全て足し合わせたものとなる。
検出位置に到達する光束の光路およびエネルギーをコン
ピュータによるシミュレーションで求めることができ
る。モンテカルロ法シミュレーションにおいては、試料
の厚さ、生体の皮膚層に相当する試料表面層の厚さ、検
出器の形状・寸法等のパラメータが設定される。このシ
ミュレーションを例えば1万回繰り返し、検出位置に到
達する光束のエネルギーを足し合わせれば、光伝搬特性
を統計的に求めることができる。なお、本発明の実施の
形態では、モンテカルロ法による光路追跡を行っている
が、モンテカルロ法以外のランダムウォーク法等の他の
確率統計的手法を用いて検出光の強度を求めるようにし
てもよい。
ションによって、光路追跡を行った結果を図3から図8
に示す。計算方法は前述のモンテカルロ法を使い、光学
特性値の特定の値に対してそれぞれ1万回の光路追跡シ
ミュレーションを行った。光路追跡の終了条件は、光が
最初の入射エネルギーの10-4倍のエネルギーにまで減
衰した場合、または、光が測定試料の表面に到達した場
合とした。なお、このシミュレーションは、厚さが2m
mの平板状の測定試料を対象として計算を行ったもので
ある。
係数μa と等価散乱係数μs’ を所定範囲内で変化させ
た場合の拡散反射率Rdの変化を示す図である。図3の
三次元表示された曲面が、拡散反射率Rdの変化を示す
ものである。拡散反射率Rdを示す垂直軸は、 log(1
/Rd)によって目盛り付けされている。また、曲面は
この垂直軸の値に対応して白黒階調分けされている。こ
こで、拡散反射率Rdは、図1(c)に示すように、入
射光の強度Iinに対する、入射光と同じ表面での散乱光
の検出強度Iout の割合である。また、等価散乱係数μ
s’ は、散乱係数μs と非等方散乱パラメータgとによ
り、次式で示されるものである。 μs’=(1−g)μs
01〜150[cm-1]の範囲で変化させ、等価散乱係
数μs’ を0.5〜12.0[cm-1]の範囲で変化さ
せて計算したものである。測定試料の光学特性値として
は、この他に屈折率等がある。しかし、この場合には、
測定対象成分であるグルコースの濃度変化による測定試
料媒体の屈折率の変化量が小さく、シミュレーション結
果に対する影響も少ないため、屈折率の変化を無視する
ことができる。図3から図8の計算結果は、グルコース
の濃度変化による測定試料媒体の屈折率の変化を無視
し、屈折率を固定して計算したものである。
変化するが、各波長に対応する光学特性値は次のように
して求めることができる。各波長に対して、測定試料に
含まれる各溶質成分の純粋成分溶液の吸光度から、前述
の式1で示されるベール−ランバートの法則により各成
分の吸光係数を求め、その吸光係数と測定試料媒体内の
成分濃度比とから吸収係数μa を求めることができる。
そして、各波長に対する等価散乱係数μs’ は、測定試
料媒体の散乱体特性値(散乱体サイズ、体積分率等)か
ら算出することができるが、それ以外にも、拡散反射吸
光度、透過吸光度から算出することもできる。また、こ
れらの光学特性値としては、標準濃度の溶液の光学特性
値を文献値や実験値から求め、その光学特性値に基づい
て任意の濃度の溶液の光学特性値を求めることもでき
る。
る測定試料の吸収係数μa と等価散乱係数μs’ が1組
定まるから、図3の拡散反射率Rdのデータテーブルを
使用すれば、必要な波長範囲での検出光スペクトルを原
理的には求めることができるはずである。しかし、図3
のデータテーブルは、モンテカルロ法による光路追跡を
行っているため、乱数の使用によるばらつきにより、拡
散反射率Rdの変化を示す曲面が小刻みに急峻な変化を
示している。したがって、図3のデータテーブルをその
まま利用しても、後に詳しく説明するように正確な検出
光スペクトルを求めることができない。
せることにより、このような小刻みで急峻な変化が徐々
に平滑化されるものと考えられる。しかし、この曲面が
十分に平滑になるまで、シミュレーション回数を増大さ
せることは、計算時間の増大を招き、コンピュータ等の
能力による限界もある。
ーブルを使用して求めた検出光のスペクトルを示す図で
ある。すなわち、特定の波長の光に対しては、その波長
に対応する測定試料の光学特性値である吸収係数μa と
等価散乱係数μs’ が定まるので、その光学特性値に対
する拡散反射率Rdは図3のデータテーブルから即座に
求まる。図5は必要な波長範囲での各波長に対する拡散
反射率Rdを求めて検出光スペクトルとして表示したも
のである。図5には散乱体が浮遊した純水中のグルコー
ス濃度を100〜10000[mg/dL]の範囲で5
段階に変化させた5種類のスペクトル(図7参照)が表
示されているが、濃度変化による検出スペクトルへの影
響がはっきりしない。これは、図3の拡散反射率Rdの
ばらつきが、検出スペクトルにも影響しているためであ
る。
コース濃度の増分0.001[mol/L]に対して、
等価散乱係数が−0.03%変化するものとして計算し
ている。この等価散乱係数のグルコース濃度に対する依
存性は、次の文献、Jianan Qu.他,「MONTE CARLO MODE
LING STUDIES OF THE EFFECT OF PHYSIOLOGICAL FACTOR
S AND OTHER ANALYTES ON THE DETERMINATION OF GLUCO
SE CONCENTRATION INVIVO BY NEAR INFRARED OPTICAL A
BSORPTION AND SCATTERING MEASUREMENTS」,Journal o
f Biomedical Optics Vol.2,No.3,p.319-325 に記載
されたものである。
dをそのまま使用するのではなく、回帰分析により拡散
反射率Rdの平滑化処理を行った補正データテーブルを
求め、その補正データテーブルを使用するようにした。
図4が、補正後の拡散反射率Rdを表す図である。図4
の補正データテーブルは、図3のデータテーブルに比較
して滑らかな曲面となっており、小刻みな変化がなくな
っていることがわかる。なお、補正データテーブルを求
めるにあたり、吸収係数μa と等価散乱係数μ s’ の5
次以下の項と定数項とを有する回帰多項式を使用し、多
重線形回帰分析法により補正データテーブルを計算し
た。すなわち、図4の補正データテーブルは、吸収係数
μa と等価散乱係数μs’ の多項式で表される。
タテーブルを使用して求めた検出光のスペクトルを示す
図である。すなわち、特定の波長の光に対しては、その
波長に対応する測定試料の光学特性値である吸収係数μ
a と等価散乱係数μs’ が定まるので、その光学特性値
に対する拡散反射率Rdは図4の補正データテーブルか
ら即座に求まる。図6は、このようにして必要な波長範
囲での各波長に対する拡散反射率Rdを求めて検出光ス
ペクトルとして表示したものである。図6には、散乱体
浮遊液中のグルコース濃度を100〜10000[mg
/dL]の範囲で5段階に変化させた5種類のスペクト
ル(図8参照)が表示されている。このスペクトルは、
グルコース濃度に対して、矢印で示すようなはっきりし
た変化を示す。このように、補正データテーブルから
は、濃度変化に応じて安定したスペクトルが得られる。
m近傍の拡大図であり、同じく、図8は図6のスペクト
ルの波長1940nm近傍の拡大図である。図3のデー
タテーブルをそのまま使用して求めた図7のスペクトル
では、シミュレーションによるばらつきのために、濃度
変化による検出スペクトルへの影響がはっきりしない。
これに対して、図4の補正データテーブルを使用して求
めた図8のスペクトルでは、グルコース濃度に対して、
矢印で示すようなはっきりした変化を示す。
跡シミュレーションによって求めた図3のような拡散反
射率Rdのデータテーブルから、回帰分析によって、図
4に示すような補正データテーブルを求めて、その補正
データテーブルにより検出光のスペクトルを精度良く演
算することができる。さらに、このようにして演算した
スペクトルを参照スペクトルとして、測定試料を実際に
実測して得られた実測スペクトルから測定対象成分の濃
度を求めることができる。
れ以外の各成分の濃度変化に対する検出光のスペクトル
変化を補正データテーブルから演算すれば、多変量解析
により実測スペクトルから測定対象成分の濃度を求める
ことができる。この多変量解析の手法としては、PCR
(主成分回帰分析)、MLR(重回帰分析)、PLS
(Partial Least Squares Regression)等が使用でき
る。また、補正データテーブルから、温度による影響
や、散乱体による影響も考慮して、様々な状況での検出
光のスペクトル変化を演算することができる。
す図である。プローブ1には、照射用光ファイバ2と受
光用光ファイバ3の2本の光ファイバが接続されてお
り、図1(c)に示すような、生体試料による拡散反射
光を検出する。このプローブ1を、生体表面に押し付け
て測定を行う。照射用光ファイバ2には、光源6からの
所定の波長域の光(近赤外光、例えば、グルコースの測
定においては波長1000〜2500nmの光が使用さ
れる。)がプローブ1とは反対側の光ファイバ端部から
入射される。この光が照射用光ファイバ2内を伝送され
て、プローブ1側の先端部から生体に向けて照射され
る。
生体組織によって散乱され、生体内の化学成分により一
部が吸収されて、受光用光ファイバ3の先端部に入射す
る。受光用光ファイバ3に入射した光は、プローブ1と
は反対側の光ファイバ端部から出射され、検出器7によ
りそのスペクトルが検出される。検出されたスペクトル
から、演算処理部4によって血糖値等の算出が行われ、
表示部44(図10参照)にその値が表示される。
演算処理部4の構成を示すブロック図である。演算処理
部4には、種々のデータ処理を行うためのCPU40が
設けられており、CPU40にはバス41を介してRO
MやRAM等からなるメモリ42が接続されている。C
PU40は、メモリ42に記憶されているプログラムお
よびデータに従って動作する。メモリ42には、基本プ
ログラムであるOS(オペレーティング・システム)
や、検出器7によって検出されたスペクトルから血糖値
等の測定対象成分の濃度を演算するための血糖値演算プ
ログラム421や、表示部44に対して文字や画像の表
示を行う表示制御プログラム等が記憶されている。
れ以外の各成分の濃度変化に対する検出光のスペクトル
変化を演算するための補正データテーブル422が記憶
されている。補正データテーブル422は、例えば図4
で示されるようなものであり、確率統計的なシミュレー
ションにより測定試料の光学的特性値に対応した光の検
出強度に関連するデータテーブルを求め、そのデータテ
ーブルを回帰分析により平滑化したものである。
装置43が設けられている。固定ディスク装置43に
は、メモリ42にロードするための各種プログラムおよ
び補正データテーブル等のデータ、血糖値の測定データ
等が記憶されている。
を表示する表示部44がインターフェース回路441を
介して接続されているとともに、操作者がデータ等を入
力するための入力部45がインターフェース回路451
を介して接続されている。表示部44としてはCRTや
液晶表示板等が使用でき、入力部45としてはキーボー
ドやポインティングディバイス等が使用できる。表示部
44には、血糖値等の測定データが数値やグラフ等によ
って表示される。入力部45は、例えば血液の温度、散
乱体である血球の密度等の血糖値の演算に必要なデータ
の入力に使用される。
46が接続されている。測定制御回路46は、検出器7
に接続されており、検出器7を制御するとともに、検出
器7によって検出された検出光の実測スペクトルを演算
処理部4に入力する。
タテーブル422を利用して、測定対象成分やそれ以外
の各成分の濃度変化に対する検出光のスペクトル変化を
参照スペクトルとして演算し、これらの参照スペクトル
と実測スペクトルを比較して多変量解析により血糖値を
求める。検出光のスペクトル全体から多変量解析により
目的成分の濃度を求めることにより、不要成分による影
響を除去することができる。算出した血糖値は、表示部
44に表示するとともに、固定ディスク装置43に保存
する。
法および装置によれば、散乱体を含む被測定媒体に光を
入射し、光学的に被測定媒体内の測定対象成分の濃度を
算出するようにしたので、化学反応等のための時間も不
要であり、迅速かつ正確な濃度測定が可能となる。この
ため、人工透析中の血液の血糖値を連続的にリアルタイ
ムでモニターしたりすることも可能となる。さらに、拡
散反射光を検出するようにしたものでは、プローブを生
体に押し付けるだけで、生体を全く傷付けることなく生
体内の成分濃度の測定を行うことができる。このよう
に、本発明による測定形態としては、生体から血液試料
を採取して測定したり、体外の人工腎臓や人工心肺装置
等の中を流れる血液をリアルタイムで測定したり、体外
から皮膚や生体組織等を通して測定することが可能であ
る。
光を入射しその拡散反射光を入射面において検出するよ
うにしているが、測定試料を透過した透過光を透過面に
おいて検出するようにしてもよい。さらには、入射光の
光軸に対して所定の角度で交差する平面または入射光の
光軸と平行な平面を検出面とすることもできる。すなわ
ち、任意の面を検出面として測定を行うことができる。
また、本発明は血糖値の測定に限定されることなく、他
の任意の成分の濃度測定に応用することができる。さら
に、測定に使用する光の波長域は、波長1000〜25
00nmの近赤外光を例に挙げたが、この波長域だけで
なく、波長がおよそ400〜700nmの可視光、波長
700〜4000nmの近赤外光、波長700nm以上
の赤外光全域なども使用することができる。
れているので、以下のような効果を奏する。
たデータテーブルを回帰分析により平滑化した補正デー
タテーブルにより、検出光の参照スペクトルを演算し、
光学的に被測定媒体内の測定対象成分の濃度を算出する
ようにしたので、化学反応等のための時間も不要であ
り、迅速かつ正確な濃度測定が可能となる。
ンテカルロ法を利用したので、短時間で多数回の正確な
光路追跡を繰り返すことが可能となり、迅速かつ正確な
濃度測定を行うことができる。
ローブを生体に押し付けるだけで、生体を全く傷付ける
ことなく生体内の化学成分の測定を行うことができる。
と射出光との関係を示す図である。
図である。
変化による拡散反射率の変化を表すデータテーブルを示
す図である。
り補正した補正データテーブルを示す図である。
ペクトルを示す図である。
のスペクトルを示す図である。
図である。
図である。
である。
図である。
Claims (12)
- 【請求項1】散乱体を含む被測定媒体に光を入射させ、
前記被測定媒体を通過した検出光のスペクトルにより、
前記被測定媒体内の測定対象成分の濃度を測定する方法
であって、 前記被測定媒体の光学特性値(μa,μs’)を求める手
順と、 確率統計的なシミュレーションにより、前記被測定媒体
内の光の光路を求める手順と、 前記シミュレーションにより求めた光路群から、前記光
学特性値(μa,μs’)に対応した光の検出強度に関連
するデータテーブルを作成する手順と、 前記データテーブルを回帰分析により平滑化した補正デ
ータテーブルを作成する手順と、 前記補正データテーブルから光の各波長に対応する検出
強度を求め、検出光の計算上のスペクトルである参照ス
ペクトルを求める手順と、 前記被測定媒体に実際に光を入射させ、検出光の実測ス
ペクトルを求める手順と、 前記参照スペクトルと前記実測スペクトルとを比較し
て、前記被測定媒体内の測定対象成分の濃度を演算する
手順とを有する光学的成分測定方法。 - 【請求項2】請求項1に記載した光学的成分測定方法で
あって、 前記光学的特性値は、吸収係数(μa)および等価散乱
係数(μs’)を含むものである光学的成分測定方法。 - 【請求項3】請求項2に記載した光学的成分測定方法で
あって、 前記補正データテーブルは、吸収係数(μa)および等
価散乱係数(μs’)の多項式として求めるものである
光学的成分測定方法。 - 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載した光
学的成分測定方法であって、 前記シミュレーションは、モンテカルロ法を利用したも
のである光学的成分測定方法。 - 【請求項5】請求項1〜4のいずれか1項に記載した光
学的成分測定方法であって、 前記検出光として、前記入射光が前記被測定媒体によっ
て散乱された拡散反射光を検出するものである光学的成
分測定方法。 - 【請求項6】請求項1〜5のいずれか1項に記載した光
学的成分測定方法であって、 前記被測定媒体は血液であり、測定対象成分は糖である
光学的成分測定方法。 - 【請求項7】請求項6に記載した光学的成分測定方法で
あって、 前記被測定媒体に入射させる光は、波長1000〜25
00nmの近赤外光である光学的成分測定方法。 - 【請求項8】散乱体を含む被測定媒体に光を入射させる
手段(1)と、 前記被測定媒体を通過した検出光のスペクトルを実測ス
ペクトルとして検出する検出器(7)と、 確率統計的なシミュレーションにより求めた、前記被測
定媒体の前記光学的特性値(μa,μs’)に対応した光
の検出強度に関連するデータテーブルを、回帰分析によ
り平滑化した補正データテーブル(422)を記憶する
手段(42)と、 前記補正データテーブルから光の各波長に対応する検出
強度を求めることにより、検出光の計算上のスペクトル
である参照スペクトルを求め、前記実測スペクトルと前
記参照スペクトルとを比較して、前記被測定媒体内の測
定対象成分の濃度を演算する手段(421)とを有する
光学的成分測定装置。 - 【請求項9】請求項8に記載した光学的成分測定装置で
あって、 前記シミュレーションは、モンテカルロ法を利用したも
のである光学的成分測定装置。 - 【請求項10】請求項8,9のいずれか1項に記載した
光学的成分測定装置であって、 前記検出器(7)は、前記被測定媒体によって散乱され
た拡散反射光を検出するものである光学的成分測定装
置。 - 【請求項11】請求項8〜10のいずれか1項に記載し
た光学的成分測定装置であって、 前記被測定媒体は血液であり、測定対象成分は糖である
光学的成分測定装置。 - 【請求項12】請求項11に記載した光学的成分測定装
置であって、 前記被測定媒体に入射させる光は、波長1000〜25
00nmの近赤外光である光学的成分測定装置。
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