JP2010005047A - 光学式生体成分測定用の検量モデルの作成方法及び非侵襲血糖値測定装置 - Google Patents

光学式生体成分測定用の検量モデルの作成方法及び非侵襲血糖値測定装置 Download PDF

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Abstract

【課題】推定精度の向上を図る。
【解決手段】光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルと被験者から得た実測スペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップと、得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成するステップと、前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得るステップとからなる。
【選択図】図1

Description

本発明は、近赤外光を用いた生体成分濃度の測定、特に、生体成分の濃度変化に起因する真皮組織の信号変化を計測することで、その生体成分濃度の計測を行なう光学式生体成分測定用の検量モデルの作成方法及び非侵襲血糖値測定装置に関するものであり、特に、数値シミュレーションを用いてスペクトルを合成することで、実験によるスペクトル測定を行う必要を無くすとともに、外乱の種類と大きさを適切に設定することで測定精度を向上させることができるようにしたものである。生体成分濃度とは主に血糖値を意図している。
生体組織に近赤外光を照射し、生体組織内を拡散反射した光を測定し得られる信号やスペクトルから生体組織を定性・定量分析する近赤外分光法による生体成分センシングは、生体内の種々の情報を非侵襲的に且つ試薬なしにその場で即時に得ることができることから医療分野における多くの用途で注目されており、既に血中酸素濃度測定については広く利用されている。そして筋赤外分光法の血糖値測定への応用についても、以前より糖尿病患者の血糖値管理への要望が高く、特に集中治療室(ICU)で血糖値を適切な範囲に管理するなどの要望も含め、広い分野で血糖値の管理への有効性が検討されている。
このような近赤外領域のグルコース特異吸収波長を用いて分光分析手法で血糖値を推定するものとして、特開2006−87913号公報に開示されたものがある。図2は上記公報に開示された非侵襲式の光学式血糖値測定システムを示すもので、ハロゲンランプ1から発光された近赤外光は熱遮蔽板2、ピンホール3、レンズ4、光ファイババンドル5を介して生体組織6に入射される。光ファイババンドル5には測定用光ファイバ7の一端とリファレンス用光ファイバ8の一端が接続されており、測定用光ファイバ7の他端は測定プローブ9に接続され、リファレンス用光ファイバ8の他端はリファレンスプローブ10に接続されている。さらに、測定プローブ9及びリファレンスプローブ10は光ファイバを介して測定側出射体11とリファレンス側出射体12とにそれぞれ接続されている。
人体の前腕部など生体組織6の表面に測定プローブ9の先端面を所定圧力で接触させた時、光源1から光ファイババンドル5に入射した近赤外光は、測定用光ファイバ7内を伝達し、図1(b)に示すような測定用プローブ9の先端から同心円周上に配置された12本の発光ファイバ20より生体組織6の表面に照射される。生体組織6に照射されたこの測定光は生体組織内で拡散反射した後に、拡散反射光の一部が測定プローブ9の先端に配置されている受光ファイバ19で受光され、受光された光はこの受光側光ファイバ19を介して、測定側出射体11から出射される。測定側出射体11から出射された光は、レンズ13を通して回折格子14に入射し、分光された後、受光素子15において検出される。受光素子15で検出された光信号はA/Dコンバーター16でAD変換された後、パーソナルコンピュータなどの演算装置17に入力される。血糖値はこのスペクトルデータを解析することによって算出される。
リファレンス測定はセラミック板など基準板18を反射した光を測定し、これを基準光として行う。すなわち、光源1から光ファイババンドル5に入射した近赤外光はリファレンス用光ファイバ8を通して、リファレンス用プローブ10の先端から基準板18の表面に照射される。基準板に照射された光の反射光はリファレンスプローブ10の先端に配置された受光光ファイバ19を介してリファンレス側出射体12から出射される。上記の測定側出射体11とレンズ13の間、及びこのリファンレス側出射体12とレンズ13の間にはそれぞれシャッター22が配置してあり、シャッター22の開閉によって測定側出射体11からの光とリファンレス側出射体12からの光のいずれか一方が選択的に通過するようになっている。
測定プローブ9とリファレンスプローブ10の端面は図1(b)のように円上に配置された12本の発光ファイバ20と中心に配置された1本の受光ファイバ19で構成されている。発光ファイバ20と受光ファイバ19の中心間距離Lは0.65mmである。測定側出射体11とリファレンス側出射体12の端面は出射ファイバ21(受光ファイバ19の他端)が中心に配置されている。
ここで、測定プローブにおいて中心間距離0.65mmに光ファイバを配置しているのは、表面より表皮、真皮、皮下組織の層状構造を有する皮膚組織における真皮部分のスペクトルを選択的に測定するためである。この測定プローブを皮膚表面に接触させた時、入射光ファイバより照射された近赤外光は、皮膚組織内を拡散反射して入射された光の一部が検出用光ファイバに到達するが、その光の伝播経路は"バナナ・シェイプ"と呼ばれる経路をとるが、上記中心間距離に設定することで、真皮部分を中心に伝播するものとなり、この時、吸光信号のSN比が向上し、精度よく生体成分濃度の測定ができる。
ところで、測定する生体成分が血糖値である場合、検量モデルに実測スペクトルの各波長の吸光度を代入することで行うことになり、この場合、検量モデルがどのようなものであるかがきわめて重要となるが、上記の特開2006−87913号公報においては、シミュレーションによって求めた吸光度スペクトルと基準吸光度スペクトルの間の差分である差分吸光度スペクトルを求め、この差分吸光度スペクトルに測定した被験者から吸光度スペクトルを合成して、合成吸光度スペクトルを求め、この合成吸光度スペクトルを多変量解析することで検量モデルを作成する手法が開示されている。
また、シミュレーションを検量モデルの作成に利用する従来例としては、特開2004−138454号公報に、散乱体の濃度測定に際し、前記散乱体のマーカー成分を代用特性として散乱体の濃度測定を行う方法が開示されている。本例では、散乱体濃度が標準値から所定量だけ変化した場合のマーカー成分濃度の偏差をシミュレーションによって求めておき、実際の偏差に対応する散乱体濃度を求めている。
生体成分濃度を推定するための検量モデルをモンテカルロ法やランダムウォーク法等の確率統計的手法を用いたシミュレーションや光拡散方程式から近赤外スペクトルを演算して作成する場合、
1 通常の近赤外分光法のように検量モデル作成のための予備実験を必要としないので、実験に伴う被験者の負担や、実験のための労力や費用を削減できる。
2 外乱因子及びその変化量を任意に設定できる。外乱因子及びその変化量をうまく設定すれば、実験で得たデータを解析することで発生すると指摘されている「偶然の相関」が起こらない。
3 目的変量(グルコース濃度)の誤差が少ない。組織中のグルコース濃度は血糖値との相関は高いが、血管から組織に拡散していくため多少の時間遅れが生じるといわれている。シミュレーションで検討する場合は血糖値に対する時間遅れのような不確定要素がない。
といったメリットを有している。従ってシミュレーションで検量モデルを作成する技術及び装置の価値は非常に大きいものがある。
しかし、現状では
1 設定した数種類の外乱要因で吸収スペクトルの変化を完全に表現することはできない可能性がある。
2 想定外の外乱が生じた場合、作成した検量モデルでは対応できない。
3 生体のような散乱系での光学シミュレーション技術がまだ開発段階にある。
といったデメリットも有しており、これらの問題を解決しなくては実用に供することができない。
特開2004−138454 特開2006−87913
上述したところから明らかなように、数値演算で得たシミュレーションスペクトルが実測した生体の近赤外スペクトルをより正確に再現できていることが推定精度の良い検量モデルを作成する鍵となるわけであるが、本発明はこのような点に鑑みなされたもので、生体成分濃度の測定を行う被験者から測定した近赤外スペクトルと数値演算で得たシミュレーションスペクトルの一致性を合理的に向上させることで、推定精度の向上を図ることができる光学式生体成分測定用の検量モデルの作成方法及び非侵襲血糖値測定装置を提供することを課題とするものである。
本発明に係る検量モデルの作成方法は、生体のスペクトルを用いた非侵襲血糖値測定に用いる検量モデルの作成方法であって、数値計算を行う演算手段と、生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算するための回帰モデル及び光学特性値ベクトルを記憶する記憶手段とを用い、
前記記憶手段に記憶された光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルと被験者から得た実測スペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップと、
得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成するステップと、
前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得るステップ
とを上記演算手段で行うことに特徴を有している。
生体を測定して得られる近赤外スペクトルは個体差、測定部位差が大きい。個体差は被験者の個体毎の特性に起因することによって生じる近赤外スペクトル形状差であり、部位差はスペクトルの測定を行う生体部位の特性に起因することによって生じる近赤外スペクトル形状差である。生体での近赤外スペクトル測定の例として、皮膚組織の近赤外スペクトルを測定する場合、近赤外スペクトル形状の差異は角質水分量、表皮組織の肌理の細かさ、皮膚組織の厚さ等の皮膚性状特性によって生じる。これらの皮膚性状特性は、光学的には表皮、真皮、皮下組織を含む皮膚組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータのような光学特性値の変化として表され、吸光度スペクトルの変化が生じる。
一方、シミュレーションスペクトルの演算には一般にモンテカルロ法やランダムウォーク法等の確率統計的手法を用いたシミュレーションや光拡散方程式から近赤外スペクトルを演算する手法を用いることができる。
モンテカルロ法を例にとると、媒体中(生体組織)の近赤外光の伝播は吸収と散乱の確率分布に基づく関数でシミュレーションを行うことができる。実際の演算では、光を数多くの光束として、それぞれの光束の伝播経路を媒体の光学特性に基づき追跡することで、所定の受発光条件における近赤外スペクトルを再現することができる。実際に皮膚組織の近赤外スペクトルのシミュレーションを行なう手順としては、測定対象とする皮膚組織の構造、吸収係数、散乱係数、屈折率、異方散乱パラメータの光学特性値と演算を行うフォトン数を決定し、コンピュータ演算することにより行う。
皮膚組織のシミュレーションを行なう場合は、皮膚構造が表皮組織、真皮組織及び皮下組織層で構成されているので、皮下組織層より下の層を含めた層状構造として単純にモデル化し、各層の厚さ、吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータとフォトン数を決定する。フォトン数は通常、数十万から数百万程度の数が用いられている。
従って表皮組織、真皮組織及び皮下組織の厚さ、各組織の吸収係数、散乱係数、屈折率、異方散乱パラメータが決まれば、被験者の皮膚組織の近赤外スペクトルの再現が数値シミュレーションで可能となる。
ここにおいて、被験者の実測スペクトルに対して再現性の良い近赤外スペクトルを合成するには、前記の皮膚構造と光学特性値を適切に決定する必要があるが、各組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータを生体で非侵襲的に、かつ、正確に測定することは非常に難しい。
このために本発明においては、被験者の光学特性値を適切に決定するために、被験者から得た実測スペクトルと、記憶手段に記憶された光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入演算して得たシミュレーションスペクトルとを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトル(各組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータ)を定めることで、実測スペクトルに対して再現性の高いシミュレーションスペクトルを合成できるようになったものであり、さらに、得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成し、前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得るために、生体成分濃度の測定を行う被験者から測定した近赤外スペクトルと数値演算で得たシミュレーションスペクトルの一致性を合理的に向上させて推定精度の良い検量モデルを得ることができたものである。
上記演算手段としては、実測スペクトルと記憶手段に記憶された複数の光学特性値ベクトルを逐次代入して得たシミュレーションスペクトルとの差の2乗和を算出し、その2乗和が最小となる光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして定めるものや、実測スペクトルと記憶手段に記憶された複数の光学特性値ベクトルを逐次代入して得たシミュレーションスペクトルとを定性分析し、実測スペクトルに最も近いシミュレーションスペクトルの光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして定めるものを好適に用いることができる。
また、スペクトル測定を行う生体組織が皮膚組織であり、生体の光学特性値からシミュレーションスペクトルを演算する上記回帰モデルが、表皮、真皮、皮下組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータの全部あるいはその一部を説明変数とし、吸光度を目的変数とすることが好ましい。
基準ベクトルに付与する上記外乱変動が、血糖値測定期間内に予想される生体組織の変化に伴い変化する血糖値、水分量、蛋白質濃度、脂質濃度、温度変化、温度、散乱係数変化、異方散乱パラメータの全部または一部に対応する光学特性値を変化させた複数の光学特性値ベクトルであることが好ましく、また、基準ベクトルに付与する上記外乱変動は、血糖値予測期間内に予想される生体組織の変化であり、少なくとも皮膚組織中の血糖値変化及び皮膚組織の水分量、散乱係数、異方散乱パラメータの全部あるいはその一部の変化に対応する光学特性値ベクトルであってもよい。
検量モデルの作成のためのデータセットを構成するシミュレーションスペクトルが、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱を付与して得た新たな光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入して得られる複数のスペクトルと基準となるスペクトルの差を演算し、実測スペクトルに加算して得たスペクトルであることが好ましい。
また、皮膚組織の厚さに応じた複数の回帰モデルを有することも好ましい。
測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを複数回有して、1回目の基準ベクトルを第1基準ベクトルとし、一定時間後に得られる2回目の基準ベクトルを第2基準ベクトルとし、第1基準ベクトルと第2基準ベクトルとを比較することで、変化の大きい光学特性値を外乱として変化させる光学特性値ベクトルを作成し、得られたシュミレーションスペクトルデータセットから検量モデルを作成してもよい。
この時、第1基準ベクトルと第2基準ベクトルを比較することで、変化の大きい光学特性値を外乱として変化させるために、予め準備した光学特性値変化に応じた外乱パターンから、変化の大きい光学特性値のパターンを選択し、外乱として変化させる複数の光学特性値ベクトルを作成してもよい。
測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを複数回有して、前回の基準ベクトルとの光学特性値の差が予め設定した光学特性値変化基準量より小さくなった時点で検量モデルを求めるものも好適に用いることができる。
そして本発明にかかる非侵襲血糖値測定装置は、生体のスペクトルを用いた非侵襲血糖値測定装置であって、数値計算を行う演算手段と、生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算する回帰モデル及び光学特性値ベクトルを記憶する記憶手段を備え、上記演算手段は、被験者から得た実測スペクトルと前記記憶手段に記憶された光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較演算部と、得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成するデータセット作成部と、前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行い、検量モデルを得る多変量解析部とを有することに特徴を有している。
本発明に係る光学式生体成分測定用の検量モデルの作成方法においては、実測スペクトルに対して再現性の高いシミュレーションスペクトルを合成することができるものであり、また、得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成し、前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得ることから、生体成分濃度の測定を行う被験者から測定した近赤外スペクトルと数値演算で得たシミュレーションスペクトルとの一致性を合理的に向上させて推定精度の良い検量モデルを得ることができる。
そして本発明に係る非侵襲血糖値測定装置においては、生体成分濃度の測定を行う被験者から測定した近赤外スペクトルと数値演算で得たシミュレーションスペクトルとの一致性が向上した推定精度の良い検量モデルを用いた血糖値測定を行うことができるために、推定精度の高い血糖値測定を行うことができる。
本発明において作成する検量モデルは、皮膚組織を対象とした近赤外スペクトル測定のためのものである。生体の皮膚組織は、前述のように大きく表皮、真皮、皮下組織の3層の組織で構成される。表皮組織は角質層を含む組織で、組織内に毛細血管はあまり発達していない。皮下組織は主に脂肪組織で構成されている。従ってこの二つの組織内に含まれる水溶性の生体成分濃度、特に、グルコース濃度と血中グルコース濃度(血糖値)との相関は低いと考えられる。
一方、真皮組織については毛細血管が発達していることと、水溶性の高い生体成分濃度、特に、グルコースが組織内で高い浸透性を有することから組織内生体成分濃度、特に、グルコース濃度は間質液(ISF:Interstitial Fluid)と同様に血糖値に追随して変化すると考えられる。従って真皮組織を標的としたスペクトル測定を行えば、生体成分濃度、特に、血糖値変動と相関するスペクトル信号の測定が可能となる。
波長が1300nm以上2500nm以下の近赤外光を用いる場合、発光部と受光部を中心間距離0.65mmに離して構成される近赤外スペクトル測定プローブを皮膚に接触させて近赤外スペクトル測定を行うと、発光部から照射された近赤外光は照射面より皮膚組織に照射され、皮膚組織内を拡散反射し、その一部が受光部に到達する。この際の光の伝播経路は、上記中心間距離の場合、真皮層を中心として皮膚組織内を伝播するバナナ・シェイプと呼ばれる形状をとるので精度良い測定ができる。
本発明は血糖値測定を強く意識するものではあるが、それに限定されるものではなく、血糖値以外に測定される生体成分としては、尿酸値、コレステロール量、中性脂肪量、アルブミン量、グロブリン量、酸素飽和度、ヘモグロビン量、ミオグロビン量などの生理指標がある。
本発明の下記実施例においては、数値シミュレーションにモンテカルロ法を用いたが、このシミュレーションに用いた発光・受光系のモデルは、図3に示すように、発光用光ファイバを外半径0.7375mm、内半径0.5625mmのリング状、受光用光ファイバを外径0.175mmの円形として、実際の光ファイバの構造を模擬している。
数値シミュレーションでは、実験に用いた光ファイバのNA(Numerical Aperture)が0.2であることから、検出用光ファイバに到達したフォトンのうち、最終的な角度が11.50以下のフォトンのみを検出している。また、入力フォトン数は100万個とした。
モンテカルロ法に用いた皮膚構造は表皮組織(0.1mm)、真皮組織(0.9mm)及び皮下組織層(2.0mm)で構成され、皮下組織層より下の層は完全な吸収体とした。
図4び図5にシミュレーションに用いた各皮膚組織の光学特性値を示す。図4において真皮組織の吸収係数は水分60%とたんぱく質15%を重ね合わせた。また、表皮組織の吸収係数は水20%として、皮下組織層の吸収係数はコレステロール(cholesterol)の吸収係数を用いている。図4の真皮組織及び皮下組織層の散乱係数は、Troyらの文献(T.L.Troy and S.N.Thennadil, J.Biomedical Optics,6,167(2001))とSimpsonらの文献(C.R Simpson, M.Kohl, M.Essenpreis, M.Cope, Phys.Med.Biol., 43,2465(1998))を参考にして、表皮層と真皮層の散乱係数は同じとし、各組織の異方散乱パラメータは0.9、屈折率は1.37で波長に対して一定としている。
本発明の実施例を具体的に記述する。
[実施例1] 本実施例は真皮組織中のグルコース濃度変化を代用特性として血糖値を非侵襲的に測定するもので、特に、血糖測定に用いる検量モデル作成方法に関するものである。基本的に前述の特開2006−87913号公報に用いられた装置及び手法で測定した近赤外スペクトルから血糖値を推定するのであるが、検量モデルは次のようにして得ている。また、定量に用いた近赤外光の波長範囲は1430nmから1850nmである。
本実施例においては、図1のフローチャートに示すように、被験者から得た実測スペクトルと、記憶手段に記憶された生体の光学特性値ベクトルを同じく記憶手段に記憶された回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトル(表皮、真皮、皮下組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータ)を定める。これにより、実測スペクトルに対して再現性の高いシミュレーションスペクトルを合成することができる。
数値計算のための演算手段には通常のパーソナルコンピュータを用い、記憶手段については該パーソナルコンピュータに内蔵されたメモリを用いている。そして前記記憶手段には、ここでは表皮組織の異方散乱パラメータ3水準、吸収係数6水準、散乱係数6水準、真皮組織の異方散乱パラメータ3水準、吸収係数6水準、散乱係数6水準、皮下組織の異方散乱パラメータ1水準、吸収係数3水準、散乱係数3水準を組み合わせた104,976個(3×6×6×3×6×6×1×3×3)の光学特性値ベクトルを記憶させており、この光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入してシミュレーションスペクトルを得ている。
ここにおける回帰モデルは、光学特性値ベクトルに対して前述のモンテカルロ法による数値シミュレーションを行って得た吸光度を目的変量とし、前記光学特性値ベクトルの値を説明変量として重回帰分析、PLS回帰分析、主成分回帰分析、ニューラルネット等の多変量解析を用いて作成したもので、本実施例においては、3次の回帰モデルとしてPLS回帰分析を用いて回帰モデル化した。
また、シミュレーションを行なった皮膚組織の構造は、表皮組織(0.1mm)、真皮組織(0.9mm)、皮下組織層(2.0mm)、その下層を完全吸収体として単純にモデル化している。皮膚厚さに対しては定数となっているが、皮膚厚さをパラメータに入れて同様の操作で回帰モデルを算出してもよい。
基準スペクトルの選定は、前記回帰モデルに前記の104,976個の光学特性値ベクトルを代入して得たシミュレーションスペクトルと実測スペクトルとの差の2乗和を算出し、その2乗和を最小となる光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして定めた。また、シミュレーションスペクトルと実測スペクトルに生じるバイアスについては、測定対象とした1430nmから1850nmの波長範囲の両者の吸光度の平均値を一致させることで補正している。
そして本発明においては、上述のようにして得た基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成する。
上記外乱変動は、血糖値測定期間内に予想される生体組織の変化に伴い変化する血糖値、水分量、蛋白質濃度、脂質濃度、温度、散乱係数、異方散乱パラメータの全部または一部に対応する光学特牲値を変化させたもので、これらの内、血糖値、水分量、蛋白質濃度、脂質濃度については、濃度変化に伴う吸光度変化とその濃度変化に伴う体積分率の変化が水に置き換わることを仮定して吸光係数、散乱係数を変化させている。温度変化については水のピークシフトとして付与している。散乱係数と異方散乱パラメータについては独立して変化させた。ただし、外乱の付与の方法はこれに限るものではない。
作成したシミュレーションスペクトルからなるデータセットを基に、血糖値を目的変量、シミュレーションスペクトルを説明変量とし、多変量解析により検量モデルを得た。多変量解析には重回帰分析、PLS回帰分析、主成分回帰分析、ニューラルネット等を用いることが可能であるが、本実施例においてはPLS回帰分析を用いた。
血糖値の推定は、得られた検量モデルに実測スペクトルの各波長の吸光度を代入することで行う。
[実施例2] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、基準特性値ベクトルに対して付与する外乱の項目である。集中治療室での血糖値モニタリングや、糖尿病の採血での血糖値管理の間の血糖値をモニタリングする場合のように、同一被験者の同一測定部位に対して数時間程度の測定を行う場合、血糖値測定期間内に予想される生体組織の変化は、個体差、測定部位差、季節変動等の大きな外乱要因を考慮する必要がなく、外乱変動は比較的小さいと予想される。この場合、基準特性値ベクトルに対して付与する外乱付与を絞り込むことで、推定精度を向上させることが可能である。
このような観点に基づき、本実施例の場合、皮膚組織の水分量、散乱係数、異方散乱パラメータの内、表皮組織の水分量と散乱係数の変化に対応する光学特性値を基準特性値ベクトルに対して付与するようにした。絞り込む外乱としては、皮膚組織の水分量、散乱係数、異方散乱パラメータの全部あるいはその一部の変化に対応する光学特性値を変化させることの効果が特に大きい。
[実施例3] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、基準光学特性値ベクトルを定める際の実測スペクトルとシミュレーションスペクトルの差を最小にする手法として、実測スペクトルと、記憶手段に記憶された複数の光学特性値ベクトルを逐次代入して得たシミュレーションスペクトルとに対し、判別分析やクラスタ分析のような定性分析を用いた点にある。
本実施例においては、定性分析手法として判別分析を用いた。判別分析ではマハラノビスの汎距離を用いてスペクトルの類似性を評価するが、本実施例においても、実測スペクトルとシミュレーションスペクトルのマハラノビスの汎距離を算出し、最も近いシミュレーションスペクトルの光学特性値ベクトルを基準ベクトルとした。
[実施例4] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、検量モデルの作成のためのデータセットを構成するスペクトルが、シミュレーションスペクトルをそのまま用いるのではなく、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱を付与して得た新たな光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入して得られる複数のスペクトルと基準となるスペクトルの差を演算し、実測スペクトルに加算して得たスペクトルをデータセットとした。基準となるスペクトルとしては基準光学特性値ベクトルを代入して得られるシミュレーションスペクトルが適しているが、これに限る必要はなく、たとえば、全てのシミュレーションスペクトルの平均したスペクトルを用いてもかまわない。実測スペクトルにシミュレーションで得られた変化量を加算することでデータセットを構成したので、検量モデルと実測スペクトルの相性が向上し、よりロバストで精度が高い血糖値推定が可能となった。
[実施例5] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、皮膚組織の厚さに応じて生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算する回帰モデルを用意する点にある。
回帰モデルは、皮膚組織の構造を表皮組織(0.1mm)、真皮組織(0.7mm)、皮下組織層(2.Omm)、その下層を完全吸収体としてモデル化した場合と、皮膚組織の構造を表皮組織(0.1mm)、真皮組織(0.9mm)、皮下組織層(2.Omm)、その下層を完全吸収体としてモデル化した場合の2種類を作成した。回帰モデルの作成手法は実施例1と同じで、準備した光学特性値ベクトルに対して前述したモンテカルロ法による数値シミュレーションを行って得た吸光度を目的変量とし、前記光学特性値ベクトルの値を説明変量としてPLS回帰分析析を用いて作成した。
いずれの回帰モデルを利用するかの判断については、超音波断層測定装置で測定部位の皮膚断面を測定したデータから適切な方を選ぶ方法と、実測スペクトルの特徴的な形状から適切な方を選ぶ方法がある。実測スペクトルの特徴的な形状から選ぶ場合は、皮下組織の主要成分である脂肪の特異吸収波長である1720nmの吸光度に閾値を設けて判断する。すなわち、設定した閾値より吸光度が大きい場合は真皮組織が薄いと判断し、真皮組織厚さ0.7mmの回帰モデルを使用し、設定した閾値以下の場合は真皮組織が厚いと判断し、真皮組織厚さ0.9mmの回帰モデルを使用する。
1720nmの吸光度については、吸光度スペクトルでべ一スラインとなる1650nm付近の吸光度からの高さとして閾値をもうけることで、より正確な評価も可能である。皮膚厚さに応じて回帰モデルを作成するために、シミュレーションモデルの再現性を向上させることができるので、血糖値推定の精度向上を図ることができる。
[実施例6] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを経時的に複数回行って、1回目の基準ベクトルを第1基準ベクトルとし、一定時間後に得られる2回目の基準ベクトルを第2基準ベクトルとし、第1基準ベクトルと第2基準ベクトルを比較することで、変化の大きい光学特性値を外乱として変化させる光学特性値ベクトルを作成し、得られたシュミレーションスペクトルデータセットから検量モデルを作成する点にある。
比較ステップは測定開始時と開始後1時間目に設定した。また、1時間後の測定に生じるシミュレーションスペクトルと実測スペクトルとのバイアスについては、その間に散乱係数等の光学特性値によるスペクトル変化であるので補正は行わない。測定開始時と開始後1時間目に行う比較ステップにおける比較手法は実施例1と同じで、得られた第1基準ベクトルと第2基準ベクトルの差に応じて与える外乱の種類と大きさを設定する。本実施例においては、ベクトル差の各値に閾値を設け、閾値以上に変化した光学特性値の変化を外乱として付与し、開始後1時間目に検量モデルを作成しなおすようにした。
シミュレーションによる検量モデル作成は実験による実測スペクトルを必要としないため、いつでも準備できる利点がある。従って複数のタイミングで検量モデルを作成し、かつ、2回目以降の検量モデル作成時には変化の大きい光学特性値をモデルに組み込めることになるので、血糖値の測定精度を向上させることができる。
[実施例7] 本実施例の検量モデル作成手順は実施例1とほぼ同じである。相違点は、測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを複数回有し、前回の基準ベクトルとの光学特性値の差が予め設定した光学特性値変化基準量より小さくなった時点で得られる検量モデルを用いるようにした点にある。
本実施例では比較ステップを10分毎に行い、前回の基準光学特性値ベクトルとその時の光学特性値ベクトルの比較を行う。得られた2つの基準ベクトルルの差に閾値を設け、閾値以上に光学特性値が変化した場合は測定開始を見合すようにする。光学特性値の変化が閾値未満になった時に、実施例1と同様な手法で検量モデルを作成し、検量モデルの作成を行う。このように、スペクトル変化が安定した時点で検量モデルを作成し血糖値推定を開始することで、精度の高い血糖値推定が可能となる。
[実施例8] 本実施例は、生体のスペクトルを用いた非侵襲血糖値測定装置であり、少なくとも数値計算を行う演算手段と、生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算する回帰モデル及び光学特性値ベクトルを記憶する記億手段から構成され、他の構成については、前述の特開2006−87913号公報に用いられてるものと同様である。
被験者から得た実測スペクトルは、比較手段により前記記憶手段に記憶された光学特牲値ベクトルを前記回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルと比較され、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める。こうして得た光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、データセット作成手段により基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成する。多変量解析手段により前記データセットに対して血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行い、検量モデルを得る。血糖値の推定は、前記検量モデルに被験者の前腕内側部の皮膚組織で測定した実測スペクトルの吸光度を代入することにより行われる。
本発明に係る検量モデルの作成及び血糖値推定についてのフローチャートである。 測定システムの概略図である。 本発明に用いたシミュレーションの発光・受光系のモデルの概略図である。 本発明のシミュレーションに用いた各皮膚組織の吸光係数の説明図である。 本発明のシミュレーションに用いた各皮膚組織の散乱係数の説明図である。
符号の説明
1 光源
5 光ファイババンドル
6 生体組織
9 測定プローブ
15 受光素子
17 演算装置

Claims (12)

  1. 生体のスペクトルを用いた非侵襲血糖値測定に用いる検量モデルの作成方法であって、数値計算を行う演算手段と、生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算するための回帰モデル及び光学特性値ベクトルを記憶する記憶手段とを用い、
    前記記憶手段に記憶された光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルと被験者から得た実測スペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップと、
    得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとし、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成するステップと、
    前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得るステップ
    とを上記演算手段で行うことを特徴とする検量モデルの作成方法。
  2. 上記演算手段は、実測スペクトルと記憶手段に記憶された複数の光学特性値ベクトルを逐次代入して得たシミュレーションスペクトルとの差の2乗和を算出し、その2乗和が最小となる光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして定めることを特徴とする請求項1記載の検量モデルの作成方法。
  3. 上記演算手段は、実測スペクトルと記憶手段に記憶された複数の光学特性値ベクトルを逐次代入して得たシミュレーションスペクトルとを定性分析し、実測スペクトルに最も近いシミュレーションスペクトルの光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして定めることを特徴とする請求項1記載の検量モデルの作成方法。
  4. スペクトル測定を行う生体組織が皮膚組織であり、生体の光学特性値からシミュレーションスペクトルを演算する上記回帰モデルが、表皮、真皮、皮下組織の吸収係数、散乱係数、異方散乱パラメータの全部あるいはその一部を説明変数とし、吸光度を目的変数とするものである特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  5. 基準ベクトルに付与する上記外乱変動が、血糖値測定期間内に予想される生体組織の変化に伴い変化する血糖値、水分量、蛋白質濃度、脂質濃度、温度変化、温度、散乱係数変化、異方散乱パラメータの全部または一部に対応する光学特性値を変化させた複数の光学特性値ベクトルである請求項1から4のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  6. 基準ベクトルに付与する上記外乱変動が、血糖値予測期間内に予想される生体組織の変化であり、少なくとも皮膚組織中の血糖値変化及び皮膚組織の水分量、散乱係数、異方散乱パラメータの全部あるいはその一部の変化に対応する光学特性値ベクトルであることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  7. 検量モデルの作成のためのデータセットを構成するシミュレーションスペクトルが、基準ベクトルに血糖値変動及び外乱を付与して得た新たな光学特性値ベクトルを回帰モデルに代入して得られる複数のスペクトルと基準となるスペクトルの差を演算し、実測スペクトルに加算して得たスペクトルであることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  8. 皮膚組織の厚さに応じた複数の回帰モデルを有することを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  9. 測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを複数回有して、1回目の基準ベクトルを第1基準ベクトルとし、一定時間後に得られる2回目の基準ベクトルを第2基準ベクトルとし、第1基準ベクトルと第2基準ベクトルとを比較することで、変化の大きい光学特性値を外乱として変化させる光学特性値ベクトルを作成し、得られたシュミレーションスペクトルデータセットから検量モデルを作成することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  10. 第1基準ベクトルと第2基準ベクトルを比較することで、変化の大きい光学特性値を外乱として変化させるために、予め準備した光学特性値変化に応じた外乱パターンから、変化の大きい光学特性値のパターンを選択し、外乱として変化させる複数の光学特性値ベクトルを作成することを特徴とする請求項9記載の検量モデルの作成方法。
  11. 測定期間中に被験者から得た実測スペクトルと複数の光学特性値ベクトルを代入して演算したシミュレーションスペクトルを比較し、両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較ステップを複数回有して、前回の基準ベクトルとの光学特性値の差が予め設定した光学特性値変化基準量より小さくなった時点で検量モデルを求めることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の検量モデルの作成方法。
  12. 生体のスペクトルを用いた非侵襲血糖値測定装置であって、数値計算を行う演算手段と、生体の光学特性値ベクトルからシミュレーションスペクトルを演算する回帰モデル及び光学特性値ベクトルを記憶する記憶手段を備え、上記演算手段は、被験者から得た実測スペクトルと前記記憶手段に記憶された光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して演算したシミュレーションスペクトルとを比較して両者の差が最小となるように光学特性値ベクトルを定める比較演算部と、得られた光学特性値ベクトルを基準ベクトルとして基準ベクトルに血糖値変動及び外乱変動を付与した新たな光学特性値ベクトルを作成し、新たな光学特性値ベクトルを前記回帰モデルに代入して得られるシミュレーションスペクトルからなるデータセットを作成するデータセット作成部と、前記データセットを基に血糖値変動を目的変量とした多変量解析を行って検量モデルを得る多変量解析部とを有することをことを特徴とする非侵襲血糖値測定装置。
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