JP4622219B2 - カラーレジスト膜厚測定装置 - Google Patents

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Description

本発明は分光干渉法によりカラーフィルタのカラーレジスト膜厚を非接触でインライン測定する装置に関する。
カラーフィルタのRGBパターン製造工程の概要は以下の通りである。ガラス基板にクロムや黒色樹脂などでブラックマトリクスと呼ばれるストライプ、あるいは格子状のパターンを形成する。これにR(赤)、G(緑)、B(青)のパターンを形成していく。パターンの形成はRをまず行う。ガラス基板全面にRのカラーレジストを塗布し、減圧乾燥、プレベーク後、アライメントしてRのマスクで露光する。レジストは光硬化性を有するので、マスクパターンの光透過部と遮光部で硬化部と非硬化部が形成され、その後の、現像、洗浄、ポストベークを経てRのパターンが形成される。同様にGとBを繰り返し行って、RGBのパターンが完成される。
ここで、カラーレジストの膜厚はカラーフィルタの色特性に多大な影響を与えるため、非常に重要である。従って、塗布後速やかに塗布したカラーレジストの膜厚測定を行うことが、塗布工程起因不良によるロスを減らすために必要である。
その測定方法であるが、従来、透明膜に対しては分光干渉式による非接触膜厚測定が実用化され、カラーフィルタの製造工程でも透明なレジスト膜の塗布膜厚インライン測定で使用されている。これらの装置は使用する波長範囲が400〜1000nm程度である。カラーレジスト膜にこれを適用しようとすると、カラーレジストに含まれる顔料による吸収の影響で干渉による極大、極小が部分的に欠落してしまう。欠落する波長域はRed、Green、Blueでそれぞれ異なる。また、短波長側はレジストが感光してしまうので、パターン露光前のレジスト膜厚測定では使用できない。そのため、GreenやBlueレジストでは実際に使用できるのは800nm以上に限定される。カラーレジストの一般的な膜厚範囲の1〜3μmの内、膜厚が薄い時にGreenやBlueレジストでは極大、極小数が少なく分光干渉方式でうまく測定できず、分光干渉式による非接触膜厚測定は使われていない。
そのため、膜の一部を鋭利な刃物で掻き取り、膜表面部とガラス基板部の段差を作り、そこを触針式の段差計で測定して膜厚を測っている。この場合、測定の準備や測定に時間が掛かる上に、破壊計測となり、ロスが生じるという問題があった。そのため、測定頻度はロットの開始時だけに限られ、途中で膜厚が変動してもそれを検知できず、不良品が多量に生じてしまうという問題がある。
以下に公知文献を示す。
特開平10−303262号公報
本発明は上記の問題に鑑みなされたものであり、その課題とするところはカラーレジストに含まれる顔料による吸収の影響を避けた波長で、分光干渉式測定により膜厚測定を行い、短時間で非破壊計測可能なカラーレジスト膜厚測定装置を提供することにある。そして、このカラーレジスト膜厚測定装置をカラーレジスト塗布工程の後に取り付けることにより、膜厚測定作業を自動化し、測定頻度も上げることで、膜厚変動による不良品の発生によるロスを大幅に低減することが可能となる。
この目的を達成するため、本発明は、
透明基板上に設けられた着色フォトレジストの膜厚を測定する装置であって、
上記透明基板を載置する測定ステージと、
測定対象の透明基板を上記測定ステージ上に載せ、測定済みの透明基板を上記測定ステージ上から除去して下流工程に受け渡す基板搬送手段と、
上記着色フォトレジスト表面に800nm以上の波長の光を照射する光照射装置と、
上記着色フォトレジストの表面及び裏面の反射光同士の干渉光を受光すると共に、その分光反射率を求める受光手段と、
上記光照射装置からの光を導光する光ファイバー束と、上記受光手段に上記干渉光を導光する光ファイバー束とを束ねた2分岐ファイバーと、
上記2分岐ファイバーの透明基板側の先端部に接続された対物レンズと、
上記2分岐ファイバーの透明基板側の先端部が接続された状態の上記対物レンズを組み込んだ測定ヘッドと、
上記透明基板の任意の位置に、上記測定ヘッドを移動可能なXY移動ロボットと、
上記分光反射率を縦軸、波長を横軸とした場合の分光反射率の極大値と極小値を算出する極大値・極小値算出手段と、
仮の干渉次数mを複数定め、上記着色フォトレジストの既知の屈折率n、極大値及び極小値を示す波長λ及び次の式に基づいて仮の膜厚dを仮の干渉次数m毎に算出する仮膜厚算出手段と、
2nd=mλ (但し、極小値の場合)
2nd=(m+0.5)λ(但し、極大値の場合)
上記仮の干渉次数mを一定とした場合、算出された仮の膜厚の値のばらつきの一番小さいものの干渉次数を真の干渉次数と定める干渉次数算出手段と、
真の干渉次数に基づく膜厚の平均値を算出して膜厚とする膜厚算出手段と、
を備えることを特徴とするカラーレジスト膜厚測定装置を提供する。
本発明において測定に使用する波長範囲を可視光域で吸収のある顔料の影響が少ない800nm以上にすることにより、分光干渉式膜厚測定を可能し、測定に使用する白色光から800nm以下の波長をカットすることにより、パターン露光前の膜厚測定を可能とすると同時に分光器の高次光が受光素子に入るのを防ぐ。
次に、カラーレジスト(着色フォトレジスト)膜厚の測定方法について述べる。分光干渉法では垂直入射時に以下の式で膜厚を算出する。
ここでλ1、λ2は隣り合う極大値、または極小値を示す波長、n1、n2はそれぞれ波長λ1、λ2でのカラーレジスト膜の屈折率である。図3はBlueレジストをガラス板に塗布したサンプルの分光反射率グラフである。図3でわかるように干渉により生じる波は長波長側に行くに従い、周期が伸びていくので極大、極小点の誤差が生じ易い。(1)式ではλ1、λ2という2つの測定誤差を含むので誤差が大きくなりやすい。また、本発明では800nm以上の波長を使用する場合、受光素子も分光感度特性から可視光用で一般的なシリコンフォトダイオードリニアアレイは使用できず、InGaAs(インジウムガリウム砒素)などを使用するので、素子数が限られる。また、温度変化の影響を受け易いという問題がある。以上から単純に(1)式を用いたのでは正確に膜厚を求められない。そこで、分光反射率から干渉による極大、極小波長を全て求め、極大、極小値を与える波長に対応した仮の干渉次数を変えて膜厚を複数計算し、計算された複数の膜厚値のばらつきが一番小さい場合の干渉次数を真の干渉次数として、その干渉次数により算出された膜厚値の平均値を以って膜厚とすることが特徴である。本発明のカラーレジスト膜厚測定装置をカラーフィルタ製造ラインの塗布工程後に取り付けることで、塗布工程の異常を早期に検知して塗布工程起因不良によるロスを減らすことが可能となる。
以上のように本発明によれば、可視光域で吸収のあるカラーフィルタ用カラーレジスト膜厚を近赤外光を用いることで、分光干渉法により測定できる。また、測定に使用する白色光から800nm以下の波長をカットすることで露光前のカラーレジストに照射しても感光することなく、受光部での2次光の影響も除去できる。更に、膜厚計算方法を工夫することで、一般的な分光干渉法の極大、極小波長を2つ用いる計算法による波長誤差の問題を1つの波長を用いて計算することで小さくして、触針式の測定値との一致度が向上した。これを塗布工程の後に取り付けることにより、膜厚測定作業を非破壊化、自動化し、測定頻度も上げることで、膜厚変動による不良品の発生によるロスを大幅に低減することができる。
以下、本発明の実施形態について図を参照しながら説明する。図1は本発明の装置の概略構成を示している。上流工程からカラーレジスト膜が設けられた透明基板(ガラス基板)が到着すると基板搬送ロボット106が測定ステージ105に載せる。ここで、測定ステージ105は測定時にガラス裏面側からの反射の影響を最小にしながら、ガラス基板のたわみを防止するため、格子状にピンで支える構造を採っている。対物レンズ3を組み込んだ測定ヘッド101はXY移動ロボット104に取り付けられて、測定対象ガラス基板102の任意の位置に測定ヘッドを移動できる。測定制御部5にて予め指定した測定位置に測定ヘッド101を移動させ、膜厚測定を行う。測定済みのガラス基板は搬送ロボット106が下流工程に受け渡す。これを繰り返して膜厚測定を行い、制御部5にてトレンドグラフを表示したり、予め設定した範囲外の膜厚を検知した場合には、アラームを発することができる。尚、本装置を設置するのは塗布直後ではレジストの溶剤成分が蒸発中で、膜の項学特性が安定せず、正確な測定が行えない。プレベーク後は安定しているが、異常の検知が遅くなる。従って、減圧乾燥工程後が望ましい。
次に、膜厚測定部の詳細について説明を行う。膜厚測定部は光源部1、2分岐ファイバー2、対物レンズ3、分光器4、演算部5から成る。
光源部1は電球10とカットフィルタ9を備える。電球10は近赤外域の光を効率よく放出するハロゲン電球を使用し、更に効率を高めるため、金コーティングリフレクタを使用するのが望ましい。カットフィルタ9は800nm以下の波長をカットし、感光性のあるカラーレジストに対してパターン露光前の膜厚測定を可能とすると同時に分光器の高次光が受光素子に入るのを防ぐ。
2分岐ファイバー2は光源部1に接続している部分が投光用で分光器4に接続している部分が受光用である。それぞれ光ファイバー数100本を束ねたもので、途中でそれらが1本にまとめられている。この束の中で投光用と受光用の光ファイバー1本1本は入り交じって束ねられ、対物レンズ3に接続している面では均等に両方の光ファイバーが配置されるようになっている。また、光ファイバーは近赤外光を透過するようにGe(ゲルマニウム)ドープしたものなどを使用する。
対物レンズ3により入射光が被測定物であるカラーレジストを塗布したガラス板8に集光される。対物レンズ3により、焦点深度以内のカラーレジストを塗布したガラス板8までの距離変動を吸収する。
カラーレジストを塗布したガラス板8からの反射光は対物レンズ3、2分岐ファイバー2を経由して分光器4に入る。分光器4は回折格子、リニアアレイ等から成る分光器部6と分光器部6の制御と信号をデジタル変換する制御部7から成る。回折格子とリニアアレイ素子の組み合わせで使用する波長が決まるが、900〜1600nm程度の波長範囲を使用すれば、一般的なカラーレジスト膜厚1〜3μm程度の測定には十分である。
分光器4はパーソナルコンピュータ、キーボード、マウス、ディスプレイモニタ等から構成される演算部5に接続され、ここで、演算を行い膜厚値を算出する。また、分光器4の制御やユーザーインターフェイス処理を受け持つ。
次に実際に膜厚を算出する手順を説明する。まず、分光反射率を計算する。反射率が既知の光学ガラスBK7等を予め本装置でリファレンスとして測定し、その分光反射強度を得る。続いて被測定物を測定しその分光反射強度から以下の(2)式で分光反射率Rを計算する。
ここで、r(λ)とrS(λ)はリファレンスと被測定物の分光反射強度、R(λ)はリファレンスの分光反射率である。
反射光は膜の表面で反射した光R1と、膜を透過して基板との境界面で反射して戻ってくる光R2が互いに干渉した干渉光である。R2は膜内を往復して戻ってくるのでR1との間に行路差がある。この行路差により生ずるR1とR2間の位相差がちょうど2πだと、強められ、ちょうどπだと、弱められる。また、光は光学的に疎な媒質を進行してきて密な媒質との境界面で反射を受けた時、位相がπ変化する。屈折率が空気1.0、膜1.6、基板1.5程度であるので、R1で位相はπ変化する。従って、垂直入射の場合、膜厚d、膜屈折率nで、光学的行路差2ndが波長λの整数倍の時、その波長の光は弱められて極小値が現れ、(整数+0.5)倍の時には極大値が現れる。
つまり、干渉次数mを整数としてλが極小波長のとき、
2nd=mλ ――――(3)
λが極大波長のとき、
2nd=(m+0.5)λ ――――(4)
が成り立つ。従って、分光反射率波形から極大値又は極小値を与える波長を求めて、mとnを与えれば膜厚dが計算できる。
ここで、mを求めるためには以下の手順を取る。
第1工程;分光反射率波形から全ての極大値と極小値を取る波長(λ1、λ2、λ3、…)を求める。λ1、λ2、λ3、…の算出は分光反射率データを微分処理して得られるデータの符号が変わる部分が極値となる。更に具体的には符号が−から+に変わるのが極小値を与える波長で、+から−に変わるのが極大値を与える波長である。
第2工程;第1工程で得られた極大、極小値を与える波長リストに対して、一番短い波長に対して極小値なら仮の干渉次数を任意の整数、極大値なら(整数+0.5)として与える。次の波長は最初の波長が極小値なら、極大値、最初の波長が極大値なら極小値を取るので、(最初の次数−0.5)となる。極大、極小値を与える波長リストは波長の短い順に並べると、極大、極小が交互に現れるので、一番短い波長から干渉次数は0.5ずつ減少する。このようにして波長リスト全ての波長で(5)式と(6)式を使ってd1、d2、d3、…を求める。
第3工程;次に、最初に与える干渉次数を1増やして2と同様の計算を行う。これを3から9回程度行う。尚これは測定しようとする膜の光学特性やと膜厚により変わるが、1〜3μm厚のカラーフィルタ用カラーレジスト膜の場合は3〜9程度で十分である。これにより、極大、極小値波長リストに対する複数の干渉次数のセットとその干渉次数を用いて計算した膜厚の表が得られる。
第4工程;各干渉次数セットで計算したd1、d2、d3、…の最大値と最小値の差を求め、これを最小とするときの干渉次数セットを求める。
第5工程;次に、この干渉次数セットを用いてdを計算する。極大、極小波長リストに対して得られたmとその波長における膜の屈折率nを(5)式、もしくは(6)式に与えて、複数の膜厚が算出されている。この平均値を計算して膜厚とする。
なお、以上の第1工程から第5工程は、コンピュータにより実行することができる。
実施例としてBlueレジストをガラスに塗布したサンプルのケースを示す。このサンプルの膜厚を触針式で測定したところ、膜厚1690nmであった。図3はその分光反射率グラフである。このデータより極大、極小波長リストを求めると、表1のようになる。
この極大、極小波長リストの最初の極小波長926nmにおける仮の干渉次数を5(ケース1)、6(ケース2)、7(ケース3)と変えて膜厚値を(5)式、(6)式で計算する。次に極大、極小波長リスト2番目の996nmでは極大値なので926nmに比べて干渉次数は0.5ずつ小さくして、4.5、5.5、6.5と変えて膜厚値を計算する。同様にして全ての極大、極小波長リスト波長に対して膜厚値を計算すると表2のようになる。
尚、ここでは仮の干渉次数セットを3種類計算したが、想定される膜厚範囲により適宜増やせば良い。
次にケース毎に計算した膜厚の最大値−最小値を計算するとケース2の場合が58と一番小さくなるのでこの時の仮の干渉次数を選択する。そしてこの時の各極大、極小波長で計算した膜厚1722,1701,1686,1675,1669,1664の平均値を取って、1686nmを最終的な膜厚値とする。この値と触針式にて測定した1690nmとの差は-4nmで十分一致している。
一方、従来の(1)式を用いて計算すると表3のようになり平均値を取って1807nmとなり、触針式にて測定した1690nmとの差は117nmと大きな差がある。
本発明の実施例を示す装置概略図である。 膜厚測定部を示す図である。 Blueレジストをガラスに塗布したサンプルを本発明の装置で測定した分光反射率グラフである。
符号の説明
1 光源部
2 2分岐ファイバー
3 対物レンズ
4 分光器
5 演算部
6 分光器部
7 制御部
8 カラーレジストを塗布したガラス板(被測定物)
9 カットフィルタ
10 電球
101 測定ヘッド
102 測定中のカラーレジスト塗布後ガラス基板
103 測定待ちのカラーレジスト塗布後ガラス基板
104 XY移動ロボット
105 測定ステージ
106 搬送ロボット

Claims (1)

  1. 透明基板上に設けられた着色フォトレジストの膜厚を測定する装置であって、
    上記透明基板を載置する測定ステージと、
    測定対象の透明基板を上記測定ステージ上に載せ、測定済みの透明基板を上記測定ステージ上から除去して下流工程に受け渡す基板搬送手段と、
    上記着色フォトレジスト表面に800nm以上の波長の光を照射する光照射装置と、
    上記着色フォトレジストの表面及び裏面の反射光同士の干渉光を受光すると共に、その分光反射率を求める受光手段と、
    上記光照射装置からの光を導光する光ファイバー束と、上記受光手段に上記干渉光を導光する光ファイバー束とを束ねた2分岐ファイバーと、
    上記2分岐ファイバーの透明基板側の先端部に接続された対物レンズと、
    上記2分岐ファイバーの透明基板側の先端部が接続された状態の上記対物レンズを組み込んだ測定ヘッドと、
    上記透明基板の任意の位置に、上記測定ヘッドを移動可能なXY移動ロボットと、
    上記分光反射率を縦軸、波長を横軸とした場合の分光反射率の極大値と極小値を算出する極大値・極小値算出手段と、
    仮の干渉次数mを複数定め、上記着色フォトレジストの既知の屈折率n、極大値及び極小値を示す波長λ及び次の式に基づいて仮の膜厚dを仮の干渉次数m毎に算出する仮膜厚算出手段と、
    2nd=mλ (但し、極小値の場合)
    2nd=(m+0.5)λ(但し、極大値の場合)
    上記仮の干渉次数mを一定とした場合、算出された仮の膜厚の値のばらつきの一番小さいものの干渉次数を真の干渉次数と定める干渉次数算出手段と、
    真の干渉次数に基づく膜厚の平均値を算出して膜厚とする膜厚算出手段と、
    を備えることを特徴とするカラーレジスト膜厚測定装置。
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