JPH11332463A - 油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品 - Google Patents

油溶性物質可溶化組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品

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JPH11332463A
JPH11332463A JP10147771A JP14777198A JPH11332463A JP H11332463 A JPH11332463 A JP H11332463A JP 10147771 A JP10147771 A JP 10147771A JP 14777198 A JP14777198 A JP 14777198A JP H11332463 A JPH11332463 A JP H11332463A
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俊樹 梶島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、かつ長期間保
存してもクリーミングを生じたり、油脂が分離しないで
均一な可溶化状態を保つことができる上、油溶性物質の
酸化安定性に優れる油溶性物質可溶化組成物、及びそれ
を含有する飲食品を提供する。 【解決手段】(A)油溶性物質0.05〜30重量%、
(B)平均重合度6〜15のポリグリセリンと炭素数1
2〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得ら
れたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0.003〜5
0重量%、(C)レシチン0.0001〜1重量%及び
水を含有する油溶性物質可溶化組成物、及びそれを含有
する飲食品である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油溶性物質可溶化
組成物、その製造方法及びそれを含有する飲食品に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、油溶性物質の酸化安定
性を向上させうるとともに、それを水中に透明に可溶化
させることのできる油溶性物質可溶化組成物、このもの
を効率よく製造する方法及び該油溶性物質可溶化組成物
を含有する飲食品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】飲食品、医薬品、化粧品などでは、油溶
性物質を添加配合する場合、様々な添加物を配合し熱殺
菌処理をするため、耐酸性、他塩性、耐熱性に優れ、か
つ、長期間保存してもクリーミングを生じたり、油溶性
物質が分離することなく、均一な乳化若しくは可溶化状
態を保つことが望まれている。また飲食品、特に飲料や
ゼリー等の高い透明性が望まれる飲食品、化粧水等の高
い透明性が望まれる化粧料に油溶性物質を配合する場
合、油溶性物質が乳化するため、通常白濁し、見た目が
悪くなる。このため、このような飲食品、化粧料への油
溶性物質の添加量は制限されるのを免れない。このよう
に、油溶性物質を透明に飲食品や化粧料に配合し、耐酸
性、耐塩性、耐熱性がともに優れる上、これらの条件下
で、十分満足しうる安定な可溶化状態を保つことが望ま
れている。したがって、このような要望にこたえるため
に、これまで種々の検討がなされてきた。例えば(1)
タンパク質及び糖を含有する水相に油脂を可溶化させる
方法(特開昭56−144053号公報)、(2)ポリ
グリセリン不飽和脂肪酸エステルと糖類又は糖アルコー
ルを用いて油溶性物質を水に可溶化する方法(特公平6
−36862号公報)、(3)平均重合度6〜10のポ
リグリセリンと炭素数12〜14の飽和脂肪酸とのモノ
エステルの中から選ばれるポリグリセリン脂肪酸エステ
ルを用いて油溶性物質を水に可溶化する方法(特開平9
−168369号公報)などが提案されている。しかし
ながら、上記(1)の方法は耐酸性、耐塩性条件下では
安定な可溶化状態を保持することができないし、(2)
の方法は組成物の保存安定性が悪く、しかも両法共に、
耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、安定な可溶化状
態を保つ組成物として十分に満足しうるものではなかっ
た。一方、(3)の方法で得られた組成物は、耐酸性、
耐塩性、耐熱性、保存安定性ともに優れているが、油溶
性物質の酸化安定性は満足できるものではなかった。そ
のため、耐酸性、耐塩性、耐熱性がともに優れ、かつ、
長期間保存してもクリーミングを生じたり油脂が分離し
ないで均一な可溶化状態を保つことができる上、油溶性
物質の酸化安定性に優れ、種々の飲食品、医薬品、化粧
料などに広く適応できる油溶性物質可溶化組成物の開発
が要望されていた。油溶性物質を添加配合した飲食品、
医薬品、化粧料などを長時間保存した場合、油溶性物質
の酸化安定性を保つことが望まれている。また、飲食
品、医薬品、化粧料などに油溶性物質を配合する場合、
油溶性物質の酸化によって、通常臭いが悪くなる。さら
に脂溶性ビタミンなどでは酸化によって、その効力が減
少する。このように、油溶性物質を飲食品、医薬品、化
粧料などに配合し、酸化安定性に優れた油溶性物質を含
有する組成物が望まれている。このような飲食品を開発
するために、これまでに脂溶性ビタミン、ビタミンCナ
トリウム、アラビアガム、デキストリン等の食品素材か
らなる粉末品が検討されてきた。しかしながら、粉末品
そのものでは酸化安定性に優れているが、飲食品特に飲
料に添加した場合、酸化安定性が悪く、十分満足しうる
ものではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
事情のもとで、耐酸性、耐塩性及び耐熱性が共に優れ、
かつ長期間保存してもクリーミングを生じたり、油脂が
分離しないで均一な可溶化状態を保つことができる上、
油溶性物質の酸化安定性に優れる油溶性物質可溶化組成
物、その製造方法及びそれを含有する飲食品を提供する
ことを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記の優
れた機能を有する油溶性物質可溶化組成物を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、特定のポリグリセリン脂肪酸モ
ノエステルとレシチンを用い、油溶性物質を可溶化させ
てなる組成物が、その目的に適合しうること、そして、
該組成物は、油溶性物質、ポリグリセリン脂肪酸モノエ
ステル、レシチン及び水を含有する混合物を、ある圧力
以上で均質化処理することにより、容易に得られること
を見い出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至
った。すなわち、本発明は、(1)(A)油溶性物質
0.05〜30重量%、(B)平均重合度6〜15のポ
リグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ
不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノ
エステル0.003〜50重量%、(C)レシチン0.0
001〜1重量%及び水を含有することを特徴とする油
溶性物質可溶化組成物、(2)油溶性物質、平均重合度
6〜15のポリグリセリンと炭素数12〜18の飽和脂
肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られたポリグリセリ
ン脂肪酸モノエステル、レシチン及び水を含有する混合
物を、500kg/cm2以上の圧力で均質化処理すること
を特徴とする第(1)項記載の油溶性物質可溶化組成物
の製造方法、(3)第(1)項記載の油溶性物質可溶化
組成物を含有してなる飲食品、及び(4)第(2)項記
載の製造方法で得られた油溶性物質可溶化組成物を含有
してなる飲食品、を提供するものである。また、本発明
の好ましい態様は、(5)(A)成分の含有量が0.1
〜20重量%、(B)成分の含有量が0.005〜30
重量%及び(C)成分の含有量が0.001〜0.5重量
%である第(1)項記載の油溶性物質可溶化組成物、及
び(6)(A)成分、(B)成分及び(C)成分と共
に、多価アルコール及び/又は他の添加物を含有する第
(1)、(5)項記載の油溶性物質可溶化組成物、であ
る。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明の油溶性物質可溶化組成物
において、(A)成分として用いられる油溶性物質は、
それ自体油溶性であって、実質的に水溶性でないものを
いい、後述のポリグリセリン脂肪酸モノエステル及びレ
シチンによって、水性媒体に可溶化させられるものであ
る。この油溶性物質としては、上記性質を有するもので
あればよく、特に制限されず、例えば油脂類、脂溶性ビ
タミン類、酸化防止剤、着色料、着香料、保存料、殺菌
料などを挙げることができる。油脂類の具体例として
は、一般に食用油である動物、植物、又は微生物を原料
とする油脂が挙げられる。例えば、豚脂、牛脂、鶏油、
鯨脂、マグロ油、イワシ油、サバ油、サンマ油、カツオ
油、ニシン油、肝油、大豆油、綿実油、サフラワー油、
米油、コーン油、ナタネ油、パーム油、シソ油、エゴマ
油、カカオ油、落花生油、ヤシ油、月見草油、ボラージ
油などが挙げられる。さらには、中鎖脂肪酸ジグリセリ
ド、トリグリセリドなどの合成ジグリセリド、トリグリ
セリドなどが挙げられる。脂溶性ビタミン類の具体例と
しては、いずれの脂溶性ビタミンも使用でき、一般にビ
タミンA、ビタミンD、ビタミンE、ビタミンKなどが
挙げられる。酸化防止剤の具体例としては、ミックスト
コフェロール、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、
γ−オリザノール等が挙げられる。着色料の具体例とし
ては、β−カロチン、アナトー色素、ウコン色素等が挙
げられ、着香料の具体例としては、柑橘系オイル、メン
トール等が挙げられる。保存料及び殺菌料の具体例とし
ては、デヒドロ酢酸等が挙げられる。本発明の組成物に
おいては、この(A)成分の油溶性物質は、1種用いて
もよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよく、ま
た、その含有量は0.05〜30重量%の範囲である。
この含有量が0.05重量%未満では生理作用上の効果
が期待できないし、30重量%を超えると油溶性物質を
容易にかつ安定に可溶化することが困難となる。生理作
用上の効果及び可溶化などを考慮すると、この油溶性物
質の好ましい含有量は、0.1〜20重量%であり、特
に0.3〜10重量%の範囲が好適である。
【0006】本発明の油溶性物質可溶化組成物における
(B)成分のポリグリセリン脂肪酸モノエステルとして
は、平均重合度6〜15のポリグリセリンと炭素数12
〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得られ
たものが用いられる。ポリグリセリンの平均重合度が6
未満では透明な可溶化物が得られないし、また15を超
えるものは入手が困難である。好ましいポリグリセリン
脂肪酸モノエステルは、平均重合度6〜15のポリグリ
セリンとラウリン酸、ミリスチン酸、ステアリン酸又は
オレイン酸とから得られたものである。これらのポリグ
リセリン脂肪酸モノエステルは1種用いてもよいし、2
種以上を組み合わせて用いてもよい。本発明の組成物に
おいては、この(B)成分のポリグリセリン脂肪酸モノ
エステルの含有量は0.003〜50重量%の範囲であ
る。この含有量が0.003重量%未満では油溶性物質
を容易に、かつ安定に可溶化することができないし、5
0重量%を超えるとその量の割りには効果の向上はあま
り認められず、むしろ油溶性物質の含有量が少なくなる
という不都合が生じる。可溶化効果及び油溶性物質の含
有量などを考慮すると、このポリグリセリン脂肪酸モノ
エステルの好ましい含有量は0.005〜30重量%の
範囲であり、特に0.01〜20重量%の範囲が好適で
ある。本発明の油溶性物質可溶化組成物における(C)
成分のレシチンとしては特に制限はなく、大豆レシチ
ン、卵黄レシチン及びこれらの酵素分解処理レシチンな
ど、いずれも用いることができる。これらのレシチンは
単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いて
もよいが、特に酵素分解処理レシチンが好適である。本
発明の組成物においては、この(C)成分のレシチンの
含有量は0.0001〜1重量%の範囲である。この含
有量が0.0001重量%未満では油溶性物質を容易
に、かつ安定に可溶化することができないし、1重量%
を超えるとその量の割には効果の向上があまり認められ
ず、むしろこの組成物を添加配合した飲食品の味を悪く
するおそれがある。可溶化及び食味などを考慮すると、
このレシチンの好ましい含有量は0.001〜0.5重量
%の範囲であり、特に0.01〜0.3重量%の範囲が好
適である。
【0007】本発明の油溶性物質可溶化組成物において
は、前記(A)成分、(B)成分及び(C)成分と共
に、水が含有されており、上記水としては、飲食品に配
合できる水であればよく、特に制限はない。組成物中の
水の含有量は、通常10重量%以下である。本発明の油
溶性物質可溶化組成物には、本発明の目的が損なわれな
い範囲で、所望により多価アルコールや他の各種添加物
を含有させることができる。上記多価アルコールとして
は、例えばプロピレングリコール、エチレングリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、
ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、
1,3−ブチレングリコール、ジグリセリン、ポリグリ
セリン、グリセリン、さらには、マルチトール、還元水
あめ、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール、
ソルビトール、マンニトールなどの糖アルコールなどが
挙げられる。これらの中でグリセリン、プロピレングリ
コール及び糖アルコールが好適である。この多価アルコ
ールは単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて
用いてもよい。また、他の各種添加物としては、例えば
界面活性剤、安定剤、調味料、酸及び塩などが挙げられ
る。ここで、界面活性剤としては、例えばソルビタン脂
肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレン
グリコール脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポ
リオキシエチレンソルビタンエステル、ポリオキシエチ
レン硬化ひまし油及び天然界面活性剤であるサポニン、
ステロール、コール酸、デソキシコール酸、さらにはユ
ッカ抽出物などが挙げられる。これらの界面活性剤は単
独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いても
よい。
【0008】また、安定剤としては、例えばアラビアガ
ム、キサンタンガム、トラガントガム、グアガム、ジェ
ランガム、ローカストビーンガムなどのガム質が挙げら
れる。これらの安定剤は単独で用いてもよいし、2種以
上を組み合わせて用いてもよい。また、酸及び塩として
は、飲食品、医薬品、化粧料、食品添加物などとして使
用されているものが用いられる。酸としては、例えばア
ジピン酸、アスコルビン酸、クエン酸、グルコン酸、コ
ハク酸、酢酸、酒石酸、炭酸、乳酸、フマル酸、リンゴ
酸、リン酸などを挙げることができる。塩として、例え
ばアルコルビン酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化カル
シウム、塩化ナトリウム、クエン酸カルシウム、クエン
酸三ナトリウム、グルコン酸カルシウム、コハク酸−ナ
トリウム、コハク酸二ナトリウム、酢酸ナトリウム、酒
石酸水素カリウム、酒石酸ナトリウム、乳酸カルシウ
ム、乳酸ナトリウム、フマル酸−ナトリウム、リンゴ酸
ナトリウム、リン酸三カリウム、リン酸水素二カリウ
ム、リン酸二水素カリウム、リン酸三ナトリウム、リン
酸水素二ナトリウム、リン酸二水素ナトリウムなどを挙
げることができる。本発明の油溶性物質可溶化組成物
は、油溶性物質、ポリグリセリン脂肪酸モノエステル、
レシチン、水及び所望により用いられる多価アルコール
や各種添加物を混合した際に、油溶性物質の粒子が微細
に分散し、透明に可溶化したものである。本発明におけ
る可溶化とは、系が均一で透明性を有し、かつ粒度分布
計で測定した分散粒子の平均粒径が約200nm以下であ
ることを指す。本発明の油溶性物質可溶化組成物の製造
方法としては特に制限はないが、以下に示す本発明の方
法によれば、効率よく製造することができる。まず、水
にポリグリセリン脂肪酸モノエステルを溶解して水相部
を調製し、この水相部と油溶性物質とを、プロペラ式撹
拌機やホモミキサーなどの撹拌機を用いてよく混合した
のち、レシチン及び所望成分を添加しプロペラ式撹拌機
やホモミキサーなどの撹拌機を用いてよく混合し、次い
で、高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザー、マイ
クロフルイダイザー、ナノマイザー、超高圧ジェット流
乳化・分散システムオーガナイザーなどの均質化処理機
により500kg/cm2以上の圧力で均質化処理を行うこ
とで、均一な液状としての油溶性物質可溶化組成物が得
られる。また、500kg/cm2以上の圧力の均質化処理
機以外にも、超音波乳化機などの均質化処理機を用いる
ことができるが、安定性の面で制限を受ける場合もあ
る。
【0009】このようにして得られた、本発明の油溶性
物質可溶化組成物は、60〜100℃程度の温度で殺菌
処理又は必要に応じて100〜130℃程度の高温殺菌
若しくは滅菌処理を行うことができる。本発明の油溶性
物質可溶化組成物は、長期間保存しても、クリーミング
を生じたり、油溶性物質が分離することなく、均一な可
溶化状態を保つことができる上、酸化安定性に優れ、異
臭の発生や脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制すること
ができる。本発明の油溶性物質可溶化組成物は、飲食
品、医薬品、化粧料などの製造に際して配合することに
より、耐酸性、耐塩性、耐熱性に優れ、かつ、長期間保
存しても、クリーミングを生じたり、油溶性物質が分離
しないで均一な可溶化状態を保つことができる油溶性物
質を含有した飲食品、医薬品、化粧料などを提供するこ
とができる。飲食品に適用する場合の具体例としては、
食塩などのミネラル、酸味料、甘味料、アルコール、ビ
タミン、フレーバーおよび果汁の中から選ばれた少なく
とも1種を含む飲料、例えば、スポーツ飲料、果汁飲
料、乳酸菌飲料、アルコール飲料、ビタミン・ミネラル
飲料、炭酸飲料、栄養飲料、加工乳、豆乳などの飲料;
パン、ビスケット、キャンディ、ゼリーなどのパン・菓
子類;ヨーグルト、ハムなどの乳肉加工食品;味噌、ソ
ース、たれ、スープ、ドレッシングなどの調味料;豆
腐、麺類などの加工食品;マーガリン、ファットスプレ
ッド、ショートニングなどの油脂加工食品、栄養補助食
品、医療栄養食品、濃厚流動食品、漬け物などの飲食品
に油溶性物質を添加するための配合原料として使用する
ことができ、その範囲は、特に制限はなく、あらゆる種
類の飲食品に適用することができる。医薬品に適用する
場合の具体例としては、飲料、毛髪料、クリーム、皮膚
外用剤などに油溶性物質を添加するための配合原料とし
て使用することができ、その範囲は、特に制限はなく、
あらゆる種類の医薬品に適用することができる。化粧料
に適用する場合の具体例としては、化粧水、ハンドクリ
ーム、口紅、浴用化粧料、ボディーローション、ヘアリ
キッド、ヘアトニック、育毛剤、浴用剤等に油溶性物質
を添加するための配合原料として使用することができ、
その範囲は、特に制限はなく、あらゆる種類の化粧料に
適用することができる。本発明の油溶性物質可溶化組成
物を食品、医薬品、化粧料などに用いた場合には、その
飲食品、医薬品、化粧料などは長期間保存しても、クリ
ーミングを生じたり、油脂が分離することなく、均一な
可溶化状態を保つことができる。また、その飲食品、医
薬品、化粧料などは長期間保存しても、異臭を生じた
り、脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制することができ
る。本発明の油溶性物質可溶化組成物を含有する飲食
品、医薬品、化粧料などは、60〜100℃程度の温度
で殺菌処理又は必要に応じて100〜130℃程度の高
温殺菌若しくは滅菌処理を行うことができる。
【0010】
【実施例】次に、本発明を実施例によりさらに詳細に説
明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定さ
れるものではない。 実施例1 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]10g及び水86.9gを入れ、完全に
溶解した。 2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチン
A、太陽化学(株)製]0.1g、精製魚油3gを湯煎で
溶解混合した。2液を1液に併せ、撹拌により混合し、
次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E
/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/
cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油可溶化組
成物を得た。魚油可溶化組成物は透明性を有し、60℃
に1ケ月間保存してもその状態は変化しなかった。ま
た、85℃、加熱時間120分の殺菌処理においてもそ
の状態は変化しなかった。調製直後の魚油可溶化組成物
の平均粒径を粒度分布計[型式:コールターN4SD、
コールター製]により測定した。また、魚油可溶化液組
成物0.1gを精製水(pH5.38)9.9gに加え、混
合した後、85℃で120分間加熱した後の平均粒径を
粒度分布計[型式:コールターN4SD、コールター
製]により測定した。第1表にその結果を示す。 実施例2、3 実施例1に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂肪
酸エステルを用いて魚油可溶化組成物を得た。それぞれ
に配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、実施例2
はデカグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリス
ターML−750、阪本薬品工業(株)製]、実施例3は
デカグリセリンモノオレート[商品名:SYグリスター
MO−750、阪本薬品工業(株)製]である。これらの
魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第1表に示す。
【0011】比較例1〜3 500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂
肪酸エステル10g及び水87gを入れ、完全に溶解し
た。その溶解液に精製魚油3gを混合し、次いで、マイ
クロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ
工業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回
数1回で均質化処理を行い、均質な魚油含有組成物を得
た。それぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステル
は、比較例1はデカグリセリンモノミリステート[商品
名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業(株)
製]、比較例2はデカグリセリンモノラウレート[商品
名:SYグリスターML−750、阪本薬品工業(株)
製]、比較例3はデカグリセリンモノオレート[商品
名:SYグリスターMO−750、阪本薬品工業(株)
製]である。これらの魚油含有組成物を実施例1と同様
の方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。 比較例4〜6 実施例1に準じて、第2表に示したポリグリセリン脂肪
酸エステルを用いて魚油含有組成物を得た。それぞれに
配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、比較例4は
テトラグリセリンモノラウレート[商品名:SYグリス
ターML−310、阪本薬品工業(株)製]、比較例5は
テトラグリセリンモノミリステート[商品名:SYグリ
スターMM−310、阪本薬品工業(株)製]、比較例6
はテトラグリセリンモノオレート[商品名:SYグリス
ターMO−310、阪本薬品工業(株)製]である。これ
らの魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第2表に示す。
【0012】比較例7 実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにH
LB値15のショ糖モノオレート[商品名:リョートー
シュガーエステルO−1570、三菱化成食品(株)製]
を用いた以外は、実施例1と同様に操作を行ったが、
水、精製魚油及び界面活性剤を混合・撹拌した時点でゲ
ル状になり、均質化処理を行うことができなかった。 比較例8 実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにH
LB値16のショ糖モノラウレート[商品名:リョート
ーシュガーエステルL−1695、三菱化成食品(株)
製]を用いた以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返し
て魚油含有組成物を得た。評価結果を第2表に示す。調
製した魚油含有組成物は白濁した。 比較例9 実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルを添加せず、
代わりに酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチン
A、太陽化学(株)製]10gに変更した以外は、実施例
1と同様に操作を行ったが、水、精製魚油及び界面活性
剤を混合・撹拌した時点で分離したため、均質化処理を
行うことができなかった。 比較例10 実施例1のポリグリセリン脂肪酸エステルの代わりにデ
カグリセリンジステアレート[商品名:サンソフトQ−
182S、太陽化学(株)製]を用いた以外は実施例1と
全く同じ操作を繰り返して魚油含有組成物を得た。調製
した魚油含有組成物は水、精製魚油および界面活性剤を
混合・撹拌した時点でゲル状になり、均質化処理を行う
ことができなかった。
【0013】実施例4〜7 実施例1に準じて行った。 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、第1表に示
すポリグリセリン脂肪酸エステル、水を仕込み、完全に
溶解した。用いたポリグリセリン脂肪酸エステルはいず
れもデカグリセリンモノミリステート[商品名:SYグ
リスターMM−750、阪本薬品工業(株)製]である。 2液:第1表に示すレシチン0.1g、精製魚油3gを
湯煎で溶解混合した。用いたレシチンはいずれも酵素分
解大豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学
(株)製]である。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、魚油可溶化組成物を得た。魚
油可溶化組成物は透明性を有し、60℃に1ケ月間保存
してもその状態は変化しなかった。また、85℃、加熱
時間120分の殺菌処理においてもその状態は変化しな
かった。これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の
方法で評価を行い、その結果を第1表に示す。 実施例8〜10 第1表に示したレシチンを用いて実施例1に準じて、魚
油可溶化組成物を得た。それぞれに配合するレシチン
は、実施例8は酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレ
シチンW−1、太陽化学(株)製]、実施例9は大豆レシ
チン[商品名:サンレシチンL−6、太陽化学(株)
製]、実施例10は、卵黄レシチン[商品名:卵黄レシ
チンLPL−20、キューピー(株)製]である。これら
の魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第1表に示す。
【0014】比較例11 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]10g及び水87gを入れ、完全に溶解
した。 2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチン
A、太陽化学(株)製]0.00005g、精製魚油3g
を湯煎で溶解混合た。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。得ら
れた魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第2表に示す。 比較例12 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]10g及び水84gを入れ、完全に溶解
した。 2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチン
A、太陽化学(株)製]3g、精製魚油3gを湯煎で溶解
混合した。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。評価
結果を第2表に示す。調製した魚油含有組成物は白濁し
た。
【0015】実施例11 実施例1の均質化圧1000kg/cm2を500kg/cm2
した以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して均質な
魚油可溶化組成物を得た。魚油可溶化組成物は透明性を
有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化しな
かった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理に
おいてもその状態は変化しなかった。これらの魚油可溶
化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その結
果を第1表に示す。 実施例12 実施例1の均質化圧1000kg/cm2を1500kg/cm2
にした以外は実施例1と全く同じ操作を繰り返して均質
な魚油可溶化組成物を得た。魚油可溶化組成物は透明性
を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変化し
なかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌処理
においてもその状態は変化しなかった。これらの魚油可
溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行い、その
結果を第1表に示す。
【0016】比較例13 実施例8の均質化圧1000kg/cm2を200kg/cm2
した以外は実施例8と全く同じ操作を繰り返して魚油含
有組成物を得た。評価結果を第2表に示す。魚油含有組
成物は白濁し、60℃に1ケ月間保存するとクリーミン
グを生じた。 実施例13〜15 実施例1に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂肪
酸エステルを用いて魚油可溶化組成物を得た。それぞれ
に配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、実施例1
3はヘキサグリセリンモノラウレート[商品名:SYグ
リスターML−500、阪本薬品工業(株)製]、実施例
14はヘキサグリセリンモノミリステート[商品名:S
YグリスターMM−500、阪本薬品工業(株)製]、実
施例15はヘキサグリセリンモノオレート[商品名:S
YグリスターMO−500、阪本薬品工業(株)製]であ
る。これらの魚油可溶化組成物を実施例1と同様の方法
で評価を行い、その結果を第1表に示す。
【0017】比較例14 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]0.5g、ショ糖脂肪酸エステル[商品
名:DKエステルF−160、第一工業製薬(株)製]
0.2g及び水90.7gを入れ、加熱溶解した。 2液:モノグリセリン脂肪酸エステル[商品名:エマル
ジーMU、理研ビタミン(株)製]0.2g、酵素分解大
豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)
製]0.2g、精製魚油3gを湯煎で溶解混合した。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、魚油含有組成物を得た。得ら
れた魚油含有組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第2表に示す。 比較例15 500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂
肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート
[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業
(株)製]10g、クエン酸エステル[商品名:ポエムK
−37、理研ビタミン(株)製]1g、ソルビトール[商
品名:ソルビット粉、東和化成工業(株)製]23.1g
及び水62.9gを入れ、加熱溶解した。1液を室温に
冷却した後、精製魚油3gを併せ、撹拌により溶解し、
次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−110E
/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧1000kg/
cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、魚油含有組成
物を得た。得られた魚油含有組成物を実施例1と同様の
方法で評価を行い、その結果を第2表に示す。 実施例16 500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂
肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート
[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業
(株)製]10g、酵素分解大豆レシチン[商品名:サン
レシチンA、太陽化学(株)製]0.1g及び水86.9g
を入れ、完全に溶解した。その溶解液にナタネ油3gを
混合し、次いで、マイクロフルイダイザー[型式:M−
110E/H、みずほ工業(株)製]により均質化圧10
00kg/cm2、パス回数1回で均質化処理を行い、均質
な菜種油可溶化組成物を得た。菜種油可溶化組成物は透
明性を有し、60℃に1ケ月間保存してもその状態は変
化しなかった。また、85℃、加熱時間120分の殺菌
処理においてもその状態は変化しなかった。これらの菜
種油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で評価を行
い、その結果を第1表に示す。 実施例17、18 実施例16に準じて、第1表に示したポリグリセリン脂
肪酸エステルを用いて菜種油可溶化組成物を得た。それ
ぞれに配合するポリグリセリン脂肪酸エステルは、実施
例17はデカグリセリンモノラウレート[商品名:SY
グリスターML−750、阪本薬品工業(株)製]、実施
例18はデカグリセリンモノオレート[商品名:SYグ
リスターMO−750、阪本薬品工業(株)製]である。
これらの菜種油可溶化組成物を実施例1と同様の方法で
評価を行い、その結果を第1表に示す。 <酸化度評価>実施例1〜15で得られた魚油可溶化組
成物及び実施例16〜18で得られた菜種油可溶化組成
物それぞれ40gを精製水60gに加え、撹拌した。高
さ20cm、直径1cmの試験管に、それぞれ得られた水溶
液5gをとり、テフロン栓をし、37℃に保存した。保
存42日目、100日目に、試験管内の空気をガスタイ
トシリンジで採取し、電気化学検出器付ガスクロマトグ
ラフィーを用いて、酸素濃度を測定した。第1表に結果
を示す。比較例1〜15で得られた魚油含有組成物も同
様に評価した。第2表に結果を示す。第1表、第2表か
ら明らかなように、本発明の可溶化組成物は、酸化安定
性に極めて優れていることが分かる。 <官能評価>実施例1〜15で得られた魚油可溶化組成
物及び実施例16〜18で得られた菜種油可溶化組成物
それぞれ40gを精製水60gに加え、撹拌した。それ
ぞれ得られた水溶液を20ml容共栓付褐色瓶に5gと
り、栓をした後、30℃に保存し、保存42日目の風味
を官能評価した。官能評価は、5名のパネラーから「風
味良好である」3点、「異臭が僅かにある」2点、「異
臭がある」1点の3段階で評価を得、平均点を算出し
た。結果を第1表に示す。比較例1〜15で得られた魚
油含有組成物も同様に評価した。第2表に結果を示す。
第1表、第2表から明らかなように、本発明の可溶化組
成物は、経時による風味の変化が極めて少ないことが分
かる。
【0018】
【表1】
【0019】
【表2】
【0020】注1)評価:均一化直後の目視による魚
油、菜種油可溶化組成物の観察結果を、次の基準で評価
した。 ◎:透明性良好 ○:僅かに曇りあり ×:白濁する *:加熱後に分離 **:調製中にゲル化または調製できず
【0021】
【表3】
【0022】
【表4】
【0023】注1)評価:均一化直後の目視による魚油
含有組成物の観察結果を、次の基準で評価した。 ◎:透明性良好 ○:僅かに曇りあり ×:白濁する *:加熱後に分離 **:調製中にゲル化または調製できず 実施例19 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]10g及び水86.9gを入れ、完全に
溶解した。 2液:酵素分解大豆レシチン[商品名:サンレシチン
A、太陽化学(株)製]0.1g、ビタミンA油[商品
名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]3gを湯煎で溶解
混合した。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、3万IU/gのビタミンA油
可溶化組成物を得た。 比較例16 500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセリン脂
肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリステート
[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬品工業
(株)製]10g及び水87gを入れ、完全に溶解した。
その溶解液にビタミンA油[商品名:ビタミンA油、兼
松食品(株)製]3gを混合し、次いで、マイクロフルイ
ダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工業(株)
製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数1回で
均質化処理を行い、3万IU/gの均質なビタミンA油
組成物を得た。 比較例17 1液:500ml容ステンレス製ビーカーに、ポリグリセ
リン脂肪酸エステルとして、デカグリセリンモノミリス
テート[商品名:SYグリスターMM−750、阪本薬
品工業(株)製]0.5g、ショ糖脂肪酸エステル[商品
名:DKエステルF−160、第一工業製薬(株)製]
0.2g及び水90.7gを入れ、加熱溶解した。 2液:モノグリセリン脂肪酸エステル[商品名:エマル
ジーMU、理研ビタミン(株)製]0.2g、酵素分解大
豆レシチン[商品名:サンレシチンA、太陽化学(株)
製]0.2g、ビタミンA油[商品名:ビタミンA油、
兼松食品(株)製]3gを湯煎で溶解混合した。 2液を1液に併せ、撹拌により混合し、次いで、マイク
ロフルイダイザー[型式:M−110E/H、みずほ工
業(株)製]により均質化圧1000kg/cm2、パス回数
1回で均質化処理を行い、3万IU/gのビタミンA油
組成物を得た。 比較例18 マルトース100gと還元粉末水飴(DE17)190
0gに水850gを加えたのち、105℃、20分加熱
して得られた糖液を70℃まで冷却し、水を加えて糖固
形分濃度を70重量%に調整した。これにビタミンA油
[商品名:ビタミンA油、兼松食品(株)製]320g、
大豆レシチン[商品名:サンレシチンL−6、太陽化学
(株)製]60gを予め60℃で混合溶解したものを加
え、高速回転撹拌式乳化装置により乳化混合した。得ら
れた乳化液を60℃で真空乾燥し、乾燥後粉砕して、1
3万IU/gのビタミンA油粉末を得た。
【0024】<評価>実施例19で得られたビタミンA
油可溶化組成物1g、比較例16、比較例17で得られ
たビタミンA油組成物それぞれ1g、比較例18で得ら
れたビタミンA油粉末0.23gを精製水99.8gに加
え、撹拌溶解した。それぞれ得られた水溶液5gを30
ml容共栓付褐色瓶にとり、栓をしたのち、85℃で加熱
し経時的にビタミンA含量を測定した。図1に加熱時間
とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。ゼラチン
パウダー[商品名:ゼラチンパウダー、(株)ダイエー
製]10g、精製水300g、上白糖45gを混合し、
60℃で撹拌溶解したのち、それぞれ実施例19で得ら
れたビタミンA油可溶化組成物3g、比較例16で得ら
れたビタミンA油組成物3g、比較例17で得られたビ
タミンA油組成物3g、比較例18で得られたビタミン
A油粉末0.7gを加え、10分間撹拌したのち、70
g容プラスチックカップに充填し、密封した。このゼリ
ーを85℃で30分間加熱殺菌し、ゼリーを得た。この
ように得られたゼリーを20℃に保管して、経時的にビ
タミンA含量を測定した。図2に、保存期間とビタミン
A残存率との関係をグラフで示す。実施例19で得られ
たビタミンA油可溶化組成物18g、比較例16、比較
例17で得られたビタミンA油組成物それぞれ18g、
比較例18で得られたビタミンA油粉末4.14gを5
重量%水酸化ナトリウム水溶液1782gに加え、撹拌
溶解した。それぞれ得られた水溶液200gを200ml
容スチール缶にとり、栓をしたのち、121℃で20分
間加熱後、30℃で保存し経時的にビタミンA含量を測
定した。図3に保存期間とビタミンA残存率との関係を
グラフで示す。クエン酸あるいはリン酸カリウムでpH
3、pH4、pH5、pH7に調整された水それぞれ99gに
実施例19で得られたビタミンA油可溶化組成物1gを
加え、撹拌溶解した。それぞれ得られた水溶液5gを3
0ml容共栓付褐色瓶にとり、栓をしたのち、85℃で加
熱し経時的にビタミンA含量を測定した。図4に、加熱
時間とビタミンA残存率との関係をグラフで示す。
【0025】
【発明の効果】本発明の油溶性物質可溶化組成物を各種
飲食品、医薬品、化粧料の製造に際して添加配合するこ
とにより、耐酸、耐塩及び耐熱性に優れ、かつ、長期間
保存しても、クリーミングを生じたり、油溶性物質が分
離しないで透明で均一な可溶化状態を保つことができる
油溶性物質を含有する飲食品、医薬品、化粧料を提供す
ることができる。また、油溶性物質の酸化を抑制し、異
臭を生じたり、脂溶性ビタミンの効力の減少を抑制する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例19及び比較例16〜18で得
られた組成物における加熱時間とビタミンA残存率との
関係を示すグラフである。
【図2】図2は、実施例19及び比較例16〜18で得
られた組成物を添加してなるゼリーにおける保存期間と
ビタミンA残存率との関係を示すグラフである。
【図3】図3は、実施例19及び比較例16〜18で得
られた組成物のアルカリ水溶液中における保存期間とビ
タミンA残存率との関係を示すグラフである。
【図4】図4は、実施例19で得られたビタミンA油可
溶化組成物のpHの異なる水溶液中における加熱時間とビ
タミンA残存率との関係を示すグラフである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI A23L 2/70 A23L 2/00 K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)油溶性物質0.05〜30重量%、
    (B)平均重合度6〜15のポリグリセリンと炭素数1
    2〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽和脂肪酸とから得ら
    れたポリグリセリン脂肪酸モノエステル0.003〜5
    0重量%、(C)レシチン0.0001〜1重量%及び
    水を含有することを特徴とする油溶性物質可溶化組成
    物。
  2. 【請求項2】油溶性物質、平均重合度6〜15のポリグ
    リセリンと炭素数12〜18の飽和脂肪酸又はモノ不飽
    和脂肪酸とから得られたポリグリセリン脂肪酸モノエス
    テル、レシチン及び水を含有する混合物を、500kg/
    cm2以上の圧力で均質化処理することを特徴とする請求
    項1記載の油溶性物質可溶化組成物の製造方法。
  3. 【請求項3】請求項1記載の油溶性物質可溶化組成物を
    含有してなる飲食品。
  4. 【請求項4】請求項2記載の製造方法で得られた油溶性
    物質可溶化組成物を含有してなる飲食品。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
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JP2014018086A (ja) * 2012-07-12 2014-02-03 Kikkoman Corp 食用油脂含有可溶化醤油及びその製造法
US9345250B2 (en) 2006-09-20 2016-05-24 Tsuji Oil Mill Co., Ltd. Method for preparing solubilized composition containing oil-soluble substance

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