JPH11321528A - サイドエアバッグ装置のエアバッグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 広範囲に乗員を拘束可能なサイドエアバッグ
装置のエアバッグを提供すること。 【解決手段】 エアバッグ４１は、車内側の開口Ｗ０の
周縁におけるフロントピラー部ＰＦ、ルーフサイドレー
ル部Ｒ、及び、リアピラー部ＰＲにわたって、折り畳ま
れて収納される。エアバッグ４１は、膨張用ガスの流入
時、フロントピラー部ＰＦの近傍とリアピラー部ＰＲの
近傍との前後に膨張室４３ｃ・４３ｄを配置させて、フ
ロントピラー部ＰＦの近傍とリアピラー部ＰＲの近傍と
の開口Ｗ０を覆うように、前部・後部膨張室４３ｃ・４
３ｄが展開膨張する。エアバッグ４１は、前部・後部膨
張室４３ｃ・４３ｄが、相互の前後方向の間における上
下方向の全域にわたって配置される連結部４８により、
連結されている。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、自動車に装着され
るサイドエアバッグ装置のエアバッグに関し、詳しく
は、車内側の開口周縁におけるフロントピラー部、ルー
フサイドレール部、及び、リアピラー部にわたって、折
り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、開口を覆う
ように展開膨張するサイドエアバッグ装置のエアバッグ
に関する。

【０００２】

【従来の技術とその課題】従来、この種のサイドエアバ
ッグ装置のエアバッグでは、車内側の開口周縁における
フロントピラー部、ルーフサイドレール部、及び、リア
ピラー部にわたって、折り畳まれて収納され、膨張用ガ
スの流入時、フロントピラー部近傍とリアピラー部近傍
との前後に膨張室を配置させるものがあった。

【０００３】しかし、このエアバッグでは、前部膨張室
と後部膨張室との間に、下方からルーフサイドレール部
付近まで延びる空間が空いており、広範囲に乗員を拘束
し難かった。

【０００４】本発明は、上述の課題を解決するもので、
広範囲に乗員を拘束可能なサイドエアバッグ装置のエア
バッグを提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明に係るエアバッグ
は、車内側の開口周縁におけるフロントピラー部、ルー
フサイドレール部、及び、リアピラー部にわたって、折
り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、前記フロン
トピラー部近傍と前記リアピラー部近傍との前後に膨張
室を配置させて、前記フロントピラー部近傍と前記リア
ピラー部近傍との前記開口を覆うように、前記前部・後
部膨張室が展開膨張するサイドエアバッグ装置のエアバ
ッグであって、前記前部・後部膨張室が、相互の前後方
向の間における上下方向の全域にわたって配置される連
結部により、連結されていることを特徴とする。

【０００６】そして、前記エアバッグは、展開膨張完了
時の前記前部・後部膨張室の周縁が、前記開口周縁及び
／又はドアフレームと接触するように、前記フロントピ
ラー部、ルーフサイドレール部、及び、リアピラー部の
ボディ側に取り付けることが望ましい。

【０００７】

【発明の効果】本発明に係るエアバッグでは、前部・後
部膨張室が、相互の前後方向の間における上下方向の全
域にわたって配置される連結部により、連結されている
ことから、展開膨張時、前部膨張室、連結部、及び、後
部膨張室が、フロントピラー部、ルーフサイドレール
部、及び、リアピラー部に囲まれる全域に、配置される
こととなる。そして、前部膨張室・後部膨張室は、クッ
ションのような作用によって乗員を適切に拘束でき、ま
た、連結部に膨張室が形成されていない場合でも、前後
の両側に前部・後部膨張室が配置されているため、連結
部で乗員を拘束した際、それらの前・後の前部・後部膨
張室の弾力によって、クッション作用が発揮され、乗員
を適切に拘束できる。

【０００８】したがって、本発明に係るエアバッグで
は、広範囲に乗員を適切に拘束することができる。

【０００９】そして、展開膨張完了時の前部・後部膨張
室の周縁を、開口周縁及び／又はドアフレームと接触す
るように、フロントピラー部、ルーフサイドレール部、
及び、リアピラー部のボディ側に取り付けるようにすれ
ば、展開膨張完了後において、前部・後部膨張室の周縁
が、車内側の開口の周縁及び／又はドアフレームと接触
して、摩擦抵抗を生じさせるため、乗員拘束後でも、上
下左右のずれが抑えられ、広範囲の乗員拘束性能を維持
することができる。

【００１０】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態を図面
に基づいて説明すると、図１〜７に示す実施形態のエア
バッグ４１は、車内側のドア用の開口Ｗ０の周縁におけ
るフロントピラー部ＰＦ、ルーフサイドレール部Ｒ、及
び、リアピラー部ＰＲにわたって配設されるサイドエア
バッグ装置Ｍに、使用されるものである。

【００１１】サイドエアバッグ装置Ｍは、エアバッグ４
１と、折り畳まれたエアバッグ４１に膨張用ガスを供給
するインフレーター３９と、エアバッグ４１とインフレ
ーター３９とを連結させるとともに、インフレーター３
９をボディ１のサイドパネル２に取付固定する取付ブラ
ケット３６と、折り畳まれたエアバッグ４１を覆うエア
バッグカバー７０と、を備えて構成されている。エアバ
ッグカバー７０は、実施形態の場合、フロントピラー部
ＰＦに配置されたガーニッシュ１１と、ルーフサイドレ
ール部Ｒとリアピラー部ＲＰとにわたって配置されたル
ーフ内装材３１と、で構成されている。

【００１２】また、実施形態のサイドエアバッグ装置Ｍ
は、ボディ１におけるフロントピラー本体４・ルーフサ
イドレール本体９・リアピラー本体１０に取り付けられ
るまでは、図８に示すように、エアバッグ組付体Ａとし
て、取り扱われている。

【００１３】フロントピラー部ＰＦについて説明する
と、このピラー部ＰＦは、図２〜５に示すように、折り
畳まれたエアバッグ４１の他、鋼板からそれぞれ形成さ
れるリーンフォースパネル５・インナパネル７・アウタ
パネル６を備えてなるボディ１側のフロントピラー本体
４と、インナパネル７に組み付けられるガーニッシュ１
１と、から構成されている。

【００１４】インナパネル７の所定位置には、ガーニッ
シュ１１を組み付けるための取付孔７ａ（図５参照）、
係止孔７ｃ（図３参照）、フロントピラー部ＰＦに沿っ
て形成された係止孔７ｄ（図２・１４参照）、及び、折
り畳まれたエアバッグ４１を取り付ける取付孔７ｇ（図
４参照）が形成されている。取付孔７ａには、ナット７
ｂが固着されて、ガーニッシュ１１を取り付けるボルト
２９が挿入され、係止孔７ｃには、ガーニッシュ１１の
係止脚部１７が挿入係止されている。また、係止孔７ｄ
には、ガーニッシュ１１にインサート成形された金属製
の係止ピン２１が挿入係止されている。取付孔７ｇは、
インナパネル７の裏面側（車外側）の周縁にナット７ｈ
が固着されて構成されている。さらに、ピラー本体４の
端部には、ウェザストリップＳが取り付けられている。
なお、図１〜７に示す符号ＤＦは、ドア窓部Ｗ１の周縁
のドアフレームである。

【００１５】ガーニッシュ１１は、オレフィン系熱可塑
性エラストマー等の合成樹脂から形成されるガーニッシ
ュ本体１２と、ガーニッシュ本体１２にインサート成形
される係止ピン２１と、ガーニッシュ本体１２に嵌め込
まれるキャップ２５と、から構成されている。

【００１６】ガーニッシュ本体１２は、射出成形により
形成される長尺状の成形部１２ａと、ガーニッシュ本体
１２の意匠面側に貼着されるファブリック等の表皮１２
ｅと、から形成され、成形部１２ａは、開口Ｗ０側の縁
に、薄肉のヒンジ部１２ｃを介在させて、扉部１２ｄを
配設させており、エアバッグ４１の展開膨張時に、成形
部１２ａの一般部１２ｂに対し、扉部１２ｄを、ヒンジ
部１２ｃを回転中心として、開かせることができるよう
に構成されている。なお、一般部１２ｂには、後述する
取付ボス部１３、係止脚部１７、埋設部１９が配設され
ている。

【００１７】ガーニッシュ本体１２の上部には、図５に
示すように、取付ボルト２９を挿通させる取付孔１３ａ
を有した取付ボス部１３が形成されている。取付孔１３
ａの内周面には、ガーニッシュ１１をインナパネル７に
取り付ける際の取付ボルト２９の締付力を確保できるよ
うに、金属製のスリーブ１５が嵌挿されている。また、
ガーニッシュ本体１２の正面側（車内側）における取付
ボス部１３の周囲には、キャップ２５を嵌める収納凹部
１４が形成されている。このキャップ２５は、取付ボル
ト２９を隠すものであり、ポリアミド等の合成樹脂から
射出成形により形成される成形部２５ａと、成形部２５
ａに貼着される表皮１２ｅと同質の表皮２５ｃと、を備
えて構成されている。成形部２５ａには、取付ボルト２
９の頭部２９ａに設けられた係止溝２９ｂに係止される
係止爪２５ｂが形成されている。なお、キャップ２５に
は、ボルト２９から外れても、ガーニッシュ本体１２か
らのキャップ２５の外れを防止するため、収納凹部１４
に設けられた図示しない貫通孔を経て、その貫通孔周縁
に係止可能な抜け止め部材が、設けられている。

【００１８】ガーニッシュ本体１２の裏面側（車外側）
における下部には、図２に示すように、係止ピン２１を
埋設させた埋設部１９が形成されている。係止ピン２１
は、埋設部１９内に埋設された円板状の埋込部２１ａ
と、軸部２１ｂと、円板状の係止部２１ｃと、を備えて
構成され、図２・１４に示すように、インナパネル７に
形成された広幅部７ｅと狭幅部７ｆとを備えてなる係止
孔７ｄの狭幅部７ｆの周縁に、係止部２１ｃを係止させ
ている。広幅部７ｅは、係止部２１ｃを正面側（車内
側）から挿入可能な寸法形状として、狭幅部７ｆは、軸
部２１ｂを挿通可能として係止部２１ｃを抜け不能とす
る幅寸法で開口されている。なお、埋設部１９の正面側
（車内側）には、ヒケの影響を抑えるために、多数の肉
盗み孔１９ａが形成されている。

【００１９】ガーニッシュ本体１２の裏面側における上
下方向の略中間部位には、図３に示すように、インナパ
ネル７の係止孔７ｃに挿入係止される係止脚部１７が形
成されている。

【００２０】なお、ガーニッシュ１１のピラー本体４へ
の取付時には、広幅部７ｅから係止部２１ｃを挿入（図
１４の二点鎖線の２１ｃＰの位置に挿入）させた後、狭
幅部７ｆ側に係止部２１ｃを移行（図１４の実線の位置
に移行）させるとともに、係止脚部１７を係止孔７ｃに
挿入係止させ、さらに、取付ボス部１３の取付孔１３ａ
に嵌装されたスリーブ１５を経て、取付ボルト２９を取
付孔７ａに設けたナット７ｂに螺合させ、ついで、キャ
ップ２５を収納凹部１４に嵌めれば、取付作業を完了さ
せることができる。

【００２１】また、ガーニッシュ１１は、エアバッグ４
１の展開膨張時、エアバッグ４１に押されて、係止脚部
１７が係止孔７ｃから外れるとともに、係止ピン２１の
係止部２１ｃが図１４の二点鎖線の２１ｃＢの位置にス
ライドして、ガーニッシュ１１における略上下方向の中
間部位がインナパネル７から離れるように車内側に移動
し、さらに、扉部１２ｄが開かれて、エアバッグ４１を
大きく突出させることとなる。

【００２２】つぎに、ルーフサイドレール部Ｒについて
説明すると、このルーフサイドレール部Ｒは、図６に示
すように、折り畳まれたエアバッグ４１の他、鋼板から
なるボディ１側のルーフサイドレール本体９と、ボディ
１に対して図示しない所定部位で組み付けられるルーフ
内装材３１と、から構成されている。

【００２３】ルーフサイドレール本体９には、所定位置
に、折り畳まれたエアバッグ４１を取り付ける取付孔９
ａが形成されている。取付孔９ａは、ルーフサイドレー
ル本体９の裏面側（車外側）の周縁にナット９ｂが固着
されて構成されている。また、ルーフサイドレール本体
９の端部には、ウェザストリップＳが取り付けられてい
る。

【００２４】また、リアピラー部ＰＲについて説明する
と、このリアピラー部ＰＲも、図７に示すように、折り
畳まれたエアバッグ４１の他、鋼板からなるボディ１側
のリアピラー本体１０と、ルーフサイドレール部Ｒから
延びるルーフ内装材３１と、から構成されている。

【００２５】リアピラー本体１０には、所定位置に、折
り畳まれたエアバッグ４１を取り付ける取付孔１０ａが
形成されている。取付孔１０ａは、リアピラー本体１０
の裏面側（車外側）の周縁にナット１０ｂが固着されて
構成されている。また、リアピラー本体１０の端部に
は、ウェザストリップＳが取り付けられている。

【００２６】ルーフ内装材３１は、エアバッグ４１の膨
張時、開口Ｗ０側の縁３１ａをエアバッグ４１に押され
てルーフサイドレール本体９やリアピラー本体１０から
容易に離れるような、柔軟性を有した合成樹脂材から形
成されている。

【００２７】そして、実施形態のサイドエアバッグ装置
Ｍにおけるエアバッグ組付体Ａは、図８に示すように、
エアバッグ４１と、インフレーター３９と、エアバッグ
４１とインフレーター３９とを連結させる取付ブラケッ
ト３６と、エアバッグ４１に組み付けられて、エアバッ
グ４１をボディ１に取り付ける取付ブラケット５４と、
折り畳んだエアバッグ本体４２をくるむテープ材５７
と、から構成されている。なお、テープ材５７には、車
内側の面に、エアバッグ本体４２がねじれてボディ１に
取り付けられることを防止するために、ねじれ識別用の
印５９が付されている。

【００２８】エアバッグ４１は、図９〜１１に示すよう
に、インフレーター３９からの膨張用ガスを流入させ
て、折り畳み状態から展開して、厚さを増すように膨張
するエアバッグ本体４２と、インフレーター３９に連結
される連結筒部５０と、エアバッグ本体４２の上縁側に
設けられる複数の取付片部５２と、を備えて構成されて
いる。

【００２９】また、実施形態の場合、エアバッグ４１
は、ポリアミド糸等を使用した袋織りによって形成され
ている。そして、エアバッグ４１は袋織りされた後、耐
熱性を高めるとともに膨張用ガスの漏れを防止するよう
に、シリコンゴム等のコーティング剤を塗布したコーテ
ィング層が形成されている。ちなみに、このコーティン
グ層は、織成後には、内周面側にコーティング剤Ｌを塗
布できないことから、外周面側に形成されている。

【００３０】エアバッグ本体４２は、車内側壁部４３ａ
と車外側壁部４３ｂとを備えた袋部４３と、袋部４３の
周囲や中央付近で、袋部４３を密封等するように密に織
成された非膨張部位の結合部４４と、結合部４４の周囲
で、薄く板状に織成された非膨張部位の板状部４５と、
を備えて形成されている。

【００３１】袋部４３は、膨張用ガスの流入時に、フロ
ントピラー部ＰＦの近傍で厚さを増加させるように展開
膨張する前部膨張室４３ｃと、リアピラー部ＰＲの近傍
で厚さを増加させるように展開膨張する後部膨張室４３
ｄと、インフレーター３９側に配置されて、前部膨張室
４３ｃに膨張用ガスを流入させるガス流入部４３ｅと、
ルーフサイドレール部Ｒ側の上縁に配置されて、前部膨
張室４３ｃから後部膨張室４３ｄに膨張用ガスを導く連
通部４３ｆと、を備えて構成されている。

【００３２】そして、実施形態の場合、前部膨張室４３
ｃは、展開膨張時の後部側４３ｃｂがセンタピラー部Ｐ
Ｃを越えて配置される形状に、設定されている（図１参
照）。さらに、エアバッグ４１は、フロントピラー部Ｐ
Ｆ、ルーフサイドレール部Ｒ、及び、リアピラー部ＰＲ
のボディ１側に取付固定された後のエアバッグ本体４２
の展開膨張完了時、袋部４３の前部膨張室４３ｃ・後部
膨張室４３ｄ・ガス流入部４３ｅ・連通部４３ｆの周縁
がドア用の開口Ｗ０の周縁（実施形態の場合にはセンタ
ーピラー部ＰＣ）やドアフレームＤＦと接触する形状
に、周縁結合部４４ａが設定されている。

【００３３】結合部４４は、袋部４３の周囲で袋部４３
を密封するように密に織成された周縁結合部４４ａと、
袋部４３における前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄのそ
れぞれ中央付近で、車内側壁部４３ａと車外側壁部４３
ｂとを結合させるように密に織成された中央結合部４４
ｂ・４４ｃと、から構成されている。中央結合部４４ｂ
・４４ｃは、展開膨張時のそれぞれの前部・後部膨張室
４３ｃ・４３ｄを、所定厚さの板状にするために配設さ
れている。

【００３４】板状部４５は、エアバッグ４１の全体形状
を確保するとともに、袋部４３の容積を小さくして、膨
張完了までの時間を短くするために設定されており、ガ
ス流入部４３ｅと前部膨張室４３ｃとを連結する前板状
部４５ａと、前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄを連結す
る後板状部４５ｂと、から構成されている。

【００３５】そして、この後板状部４５ｂと既述の連通
部４３ｆとが、実施形態の場合、前部・後部膨張室４３
ｃ・４３ｄの相互の前後方向における間を上下方向の全
域にわたって連結する連結部４８、を構成している。

【００３６】連結筒部５０は、インフレーター３９に外
装されて、取付ブラケット３６によって締め付けられる
ことにより、インフレーター３９に連結される部位であ
り、ガス流入部４３ｅの先端に配置されている（図１２
参照）。

【００３７】そして、連結筒部５０には、ガス流入部４
３ｅの内周側に、インフレーター３９からの高温の膨張
用ガスに対する耐熱性を確保するため、筒状の長短のイ
ンナチューブ４６・４７が配設されている。インナチュ
ーブ４６・４７も、それぞれ、ポリアミド糸等を使用し
た袋織りにより形成されている。なお、これらのインナ
チューブ４６・４７も、織成後、耐熱性を高めるため、
シリコン等を塗布したコーティング層が形成され、さら
に、それらのコーティング層が内周面側に配置されるよ
うに、裏返されて、ガス流入部４３ｅ内に、順次挿入さ
れている。そして、インナチューブ４６は、エアバッグ
本体４２の袋部４３におけるガス流入部４３ｅの内周面
側に配置されて、前部膨張室４３ｃまで延びるように配
設され、インナチューブ４７は、インナチューブ４６の
内周面側に配置されて、ガス流入部４３ｅの中間部位付
近まで延びるように配設されている。

【００３８】各取付片部５２には、図４・６〜９に示す
ように、ボディ１におけるフロントピラー本体４・ルー
フサイドレール本体９・リアピラー本体１０に、取付ボ
ルト５５を利用して取り付けることができるように、取
付孔５２ａが貫通されているとともに、取付ブラケット
５４が固着されている。各取付ブラケット５４は、各取
付片部５２の車内側部位と車外側部位とに配置されて取
付孔５２ａと連通する取付孔５４ｃを備えた板金製の内
・外プレート５４ａ・５４ｂから構成され、内・外プレ
ート５４ａ・５４ｂの間に、各取付片部５２を介在させ
て、部分的に屈曲させる屈曲部をかしめて形成すること
により、内・外プレート５４ａ・５４ｂを各取付片部５
２に取り付けている。なお、ルーフサイドレール部Ｒ側
におけるセンターピラー部ＰＣの近傍に配置される２つ
の取付ブラケット５４は、図６・８の二点鎖線で示すよ
うに、相互を連結させて下方へ延びる延設部５４ｅを備
えている。この延設部５４ｅは、エアバッグ本体４２の
膨張時に、前部膨張室４３ｃが、センタピラー部ＰＣに
おける車内側の内装材とピラー本体との間に入り込まな
いように、車内側に案内するガイド部としての役目を果
たす。

【００３９】インフレーター３９は、図１２に示すよう
に、シリンダタイプとして、膨張用ガスをガス吐出口３
９ｂから吐出可能なインフレーター本体３９ａと、イン
フレーター本体３９ａに固定されて膨張用ガスを軸方向
に案内する略円筒状で板金製としたディフューザー３９
ｅと、を備えて構成されている。インフレーター本体３
９ａには、膨張用ガスを吐出させるための信号を入力さ
せるリード線３９ｄが結線されている。そして、インフ
レーター本体３９ａの端部側には、雄ねじ部３９ｃが形
成され、ディフューザー３９ｅには、対応する雌ねじ部
３９ｆが形成され、相互のねじ部３９ｃ・３９ｆを噛合
させることにより、ディフューザー３９ｅがインフレー
ター本体３９ａに固定されている。

【００４０】取付ブラケット３６は、図１２・１３に示
すように、板金から形成されて、インフレーター３９に
外装されたエアバッグ４１の連結筒部５０の周囲に配置
される円筒状の筒部３６ａと、筒部３６ａから延びて、
ボディ１のサイドパネル２に取付ボルト３７で取り付け
られるブラケット本体３６ｃと、から構成されている。
筒部３６ａの両端には、かしめて縮径可能な円筒状のか
しめ部３６ｂが形成され、ブラケット本体３６ｃには、
取付ボルト３７を挿通させる２つの取付孔３６ｄが形成
されている。

【００４１】テープ材５７は、布や紙等に粘着剤が塗布
された粘着テープから形成されている。そして、テープ
材５７は、折り畳んだエアバッグ本体４２に巻き付け、
図７に示すように、車内側の面に、ペン等を利用して、
エアバッグ本体４２やテープ材５７と異なった色を塗り
つけた印５９が付されている。

【００４２】つぎに、エアバッグ組付体Ａを形成して、
エアバッグ組付体Ａをボディ１に取り付ける作業につい
て説明する。まず、予め、エアバッグ４１を製造してお
く。このエアバッグ４１の製造は、エアバッグ本体４２
のガス流入部４３ｅにインナチューブ４６・４７を挿入
し、超音波溶着等で、ガス流入部４３ｅ・インナチュー
ブ４６・４７を相互に固着させて行なう。

【００４３】そして、まず、エアバッグ本体４２を所定
の折り機で折り畳み、適宜、テープ材５７でくるんで、
車内側の面に印５９を付しておく。なお、この折り畳み
状態は、図１５の二点鎖線で示す部位に、順次、山折り
と谷折りとの折目Ｃを入れて折り畳む蛇腹折りとしてい
る。

【００４４】その後、取付孔５２ａ・５４ｃを一致させ
つつ、各取付片部５２の両側に内・外プレート５４ａ・
５４ｂを配置させ、所定部位をかしめて、各取付片部５
２に所定の取付ブラケット５４を取り付ける。なお、折
り込まれた状態の取付片部５２は、引っ張り出して、そ
の部位に取付ブラケット５４を取り付けることとなる。

【００４５】また、折り畳まれた連結筒部５０も折りを
解消させて、その連結筒部５０のインナチューブ４７内
にインフレーター３９を挿入する。

【００４６】ついで、取付ブラケット３６の筒部３６ａ
を、エアバッグ４１の連結筒部５０に外装し、かしめ部
３６ｂ・３６ｂをかしめて縮径させ、インフレーター３
９と連結筒部５０とを連結させるとともに、その連結部
位に取付ブラケット３６を取り付ける。

【００４７】そして、適宜、所定の取付ブラケット５４
に、取付ボルト５５を仮組付けすれば、エアバッグ組立
体Ａを組み立てることができる。

【００４８】その後、エアバッグ組付体Ａのボディ１へ
の取り付けは、図１・４・６・７に示すように、取付ブ
ラケット３６のブラケット本体３６ｃをサイドパネル２
の所定位置に配置させて、各取付ボルト３７を、取付孔
３６ｄを経て、サイドパネル２に締結するとともに、取
付孔５４ｃ・５２ａ・７ｇ・９ａ・１０ａ相互を一致さ
せるように、各取付ブラケット５４をフロントピラー部
ＰＦのピラー本体４におけるインナパネル７・ルーフサ
イドレール部Ｒのルーフサイドレール本体９・リアピラ
ー部ＰＲのピラー本体１０に配置させて、それぞれ、取
付ボルト５５を、取付孔５２ａ・５４ｃを経て、ナット
７ｈ・９ｂ・１０ｂに螺合させて行なう。

【００４９】そして、エアバッグ組付体Ａをボディ１に
取り付けた後には、リード線３９ｄを所定のエアバッグ
作動回路に接続させるとともに、図１〜７に示すよう
に、ピラー部ＰＦでは、インナパネル７にガーニッシュ
１１を取付固定し、ルーフサイドレール部Ｒやリアピラ
ー部ＰＲでは、ボディ１の所定部位に組み付けられるル
ーフ内装材３１で覆うようにする。

【００５０】その後、インフレーター３９が作動されれ
ば、エアバッグ４１のエアバッグ本体４２の袋部４３に
膨張用ガスが流入され、袋部４３のガス流入部４３ｅと
前部膨張室４３ｃ、さらに、連通部４３ｆを介して前部
膨張室４３ｃと連通する後部膨張室４３ｄ、が、膨張し
てテープ材５７を破断させる。また、フロントピラー部
ＰＦのガーニッシュ１１がガス流入部４３ｅ等に押され
て、図２〜５の二点鎖線で示すように、係止脚部１７が
係止孔７ｃから外れるとともに、係止ピン２１の係止部
２１ｃが、フロントピラー部ＰＦに沿うように、図１４
の二点鎖線の２１ｃＢの位置にスライドして、ガーニッ
シュ１１における略上下方向の中間部位がインナパネル
７から離れるように車内側に移動し、さらに、扉部１２
ｄが開かれ、さらにまた、ルーフサイドレール部Ｒやリ
アピラー部ＰＲのルーフ内装材３１が前部・後部膨張室
４３ｃ・４３ｄに押されて、図６・７の二点鎖線で示す
ように、ルーフ内装材３１の縁３１ａが開かれ、その結
果、図１の二点鎖線で示すように、エアバッグ本体４２
が、車内側の開口Ｗ０・Ｗ０を覆うように、大きく展開
膨張することとなる。

【００５１】このエアバッグ本体４２の展開膨張時、実
施形態のエアバッグ４１では、前部・後部膨張室４３ｃ
・４３ｄが、相互の前後方向の間における上下方向の全
域にわたって配置される連結部４８により、連結されて
いることから、前部膨張室４３ｃ、連結部４８、及び、
後部膨張室４３ｄが、フロントピラー部ＰＦ、ルーフサ
イドレール部Ｒ、及び、リアピラー部ＰＲに囲まれる全
域に、配置されることとなる。そして、前部・後部膨張
室４３ｃ・４３ｄは、クッションのような作用によって
乗員を適切に拘束でき、また、連結部４８においても、
前後の両側に前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄが配置さ
れているため、膨張室でない連結部４８の後板状部４５
ｂで乗員を拘束しても、それらの前・後の前部・後部膨
張室４３ｃ・４３ｄの弾力によって、クッション作用が
発揮され、乗員を適切に拘束できる。

【００５２】したがって、実施形態のエアバッグ４１で
は、広範囲に乗員を適切に拘束することができる。

【００５３】また、実施形態のエアバッグ４１では、前
部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄを連結する連結部４８の
下部側の２／３のエリアで、袋状に膨張しない後板状部
４５ｂを配置させているため、袋部４３の容積を小さく
することができて、膨張完了までの時間を短縮すること
ができる。

【００５４】さらに、実施形態のエアバッグ４１では、
展開膨張完了時の前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄの周
縁、さらには、ガス流入部４３ｅ・連通部４３ｆの周縁
が、ドア用の開口Ｗ０の周縁やドアフレームＤＦと接触
するように、フロントピラー部ＰＦ、ルーフサイドレー
ル部Ｒ、及び、リアピラー部ＰＲのボディ１側に取り付
けられているため、展開膨張完了後において、前部・後
部膨張室４３ｃ・４３ｄの周縁が、開口Ｗ０の周縁やド
アフレームＤＦと接触して、摩擦抵抗を生じさせるた
め、乗員拘束後でも、上下左右のずれが抑えられ、広範
囲の乗員拘束性能を維持することができる。

【００５５】なお、実施形態では、連結部４８として、
ルーフサイドレール部Ｒ側の連通部４３ｆと、下部側の
非膨張部位としての後板状部４５ｂと、から構成する場
合を示したが、図１６・１７に示すエアバッグ８１のよ
うに、前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄとの前後方向の
間を上下方向の全域にわたって連結する連結部８８とし
て、上縁側連通部４３ｆと後板状部４５ａの他に、後板
状部４５ｂの下縁側に、前部膨張室４３ｃと後部膨張室
４３ｄとを連通する袋部４３としての下縁側連通部４３
ｇを設けるように、構成しても良い。

【００５６】このエアバッグ８１では、袋状に膨らんで
クッション効果のある下縁側連通部４３ｇでも、乗員を
拘束できることから、膨張完了までの時間の短縮化を著
しく阻害することなく、乗員拘束性能を向上させること
ができる。

【００５７】また、実施形態では、袋状のエアバッグ４
１を形成する際、袋織りして形成した場合を示したが、
他に、通常の平織り等の織布を縫合したり、縫合する代
わりに織布を接着剤で接着して袋状に形成し、その表面
や裏面等にコーティング層を塗布して形成しても良い。
ただし、実施形態のように、袋織りで形成すれば、縫合
や接着工程が不要であるため、製造工数を短縮すること
ができる。

【００５８】さらに、実施形態では、展開膨張完了時
に、前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄの周縁が接触する
部位として、車内側の開口Ｗ０の周縁としてのセンタピ
ラー部ＰＣ及びドアフレームＤＦを例示したが、ドアフ
レームＤＦの幅寸法が狭い場合には、ドアフレームに接
触させることなく、車内側の開口Ｗ０の周縁、すなわ
ち、センターピラー部ＰＣを含めたドア用の開口Ｗ０の
周縁や、あるいは、ドアの無い窓部の部位では、その開
口である窓部の周縁等に、前部・後部膨張室４３ｃ・４
３ｄの周縁を接触させて、展開膨張完了時のエアバッグ
のずれを防止するように構成しても良い。勿論、ドアフ
レームＤＦの幅が大きいような場合には、ドアフレーム
ＤＦだけに、前部・後部膨張室４３ｃ・４３ｄの周縁を
接触させるように構成しても良い。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る一実施形態のエアバッグが使用さ
れるサイドエアバッグ装置の使用状態を示す正面図であ
る。

【図２】図１のII−II部位の拡大概略断面図である。

【図３】図１の III− III部位の拡大概略断面図であ
る。

【図４】図１のIV−IV部位の拡大概略断面図である。

【図５】図１のＶ−Ｖ部位の拡大概略断面図である。

【図６】図１のVI−VI部位の拡大概略断面図である。

【図７】図１の VII− VII部位の拡大概略断面図であ
る。

【図８】同実施形態で使用するエアバッグ組付体を示す
正面図である。

【図９】同実施形態のエアバッグの展開状態の正面図で
ある。

【図１０】図９のＸ−Ｘ部位の拡大断面図である。

【図１１】図９のXI−XI部位の拡大断面図である。

【図１２】同実施形態のエアバッグとインフレーターと
の連結部位を示す縦断面図である。

【図１３】同実施形態のエアバッグとインフレーターと
の連結に使用する取付ブラケットの斜視図である。

【図１４】同実施形態のフロントピラー部におけるイン
ナパネルの一つの係止孔を示す図であり、図２の XIV方
向から見た図である。

【図１５】同実施形態のエアバッグ本体における折り畳
み時の折目を示す図である。

【図１６】他の同実施形態のエアバッグの展開状態の正
面図である。

【図１７】図１６のXVII−XVII部位の拡大断面図であ
る。

【符号の説明】

４１・８１…エアバッグ、 ４３ｃ…前部膨張室、 ４３ｄ…後部膨張室、 ４８・８８…連結部、 ＰＦ…フロントピラー部、 Ｒ…ルーフサイドレール部、 ＰＲ…リアピラー部、 ＤＦ…ドアフレーム、 Ｗ０…開口、 Ｍ…サイドエアバッグ装置。

Claims (2)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車内側の開口周縁におけるフロントピラ
   ー部、ルーフサイドレール部、及び、リアピラー部にわ
   たって、折り畳まれて収納され、膨張用ガスの流入時、
   前記フロントピラー部近傍と前記リアピラー部近傍との
   前後に膨張室を配置させて、前記フロントピラー部近傍
   と前記リアピラー部近傍との前記開口を覆うように、前
   記前部・後部膨張室が展開膨張するサイドエアバッグ装
   置のエアバッグであって、 前記前部・後部膨張室が、相互の前後方向の間における
   上下方向の全域にわたって配置される連結部により、連
   結されていることを特徴とするサイドエアバッグ装置の
   エアバッグ。
2. 【請求項２】 展開膨張完了時の前記前部・後部膨張室
   の周縁が、前記開口周縁及び／又はドアフレームと接触
   するように、前記フロントピラー部、ルーフサイドレー
   ル部、及び、リアピラー部のボディ側に取り付けられて
   いることを特徴とする請求項１に記載のサイドエアバッ
   グ装置のエアバッグ。