JPH11319017A - リクライニング式入浴椅子 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】浅い浴槽でも十分に湯に浸ることができ，しか
もリクライニング時の恐怖感を無くすことができる，簡
便なリクライニング式入浴車椅子を提供する。 【構成】リクライニング可能な座席と，入浴者の頭部近
傍を支持する頭部支持部を有し，座席をリクライニング
させたとき，そのリクライニング角度よりも頭部支持部
の角度変化が小さくなるようにしたことを特長とする，
リクライニング式入浴車椅子。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は介護用のリクライニング
式入浴椅子の改良に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】入浴椅子は，入浴者を座らせて入浴させ
る椅子であり，一般浴槽用，車椅子入浴装置用，シャワ
ー入浴装置用，リフト入浴用等がある。一般浴槽は多数
の人が同時に入浴できる通常の大型浴槽であり，浴槽に
スロープが設けられているときは，図２や図３のような
車椅子型の入浴椅子が，スロープが無い場合は，図４や
図５のようなリフトを用いる入浴椅子が，それぞれ用い
られる。

【０００３】図２はリクライニング式入浴椅子の例であ
る。図の２１はキャスタの付いた台車，２２はリクライ
ニングできる座席，２３は椅子を押したり座席をリクラ
イニングさせたりする操作竿である。入浴させるとき
は，図２（Ａ）のように，入浴者を座席２２に載せ，ス
ロープを経由して浴槽に連れて行き，操作竿２３を操作
して図２（Ｂ）のように入浴椅子をリクライニングさせ
て，入浴させる。通常，一般浴槽の水深は５０〜６０ｃ
ｍ程度しかないので，入浴椅子をリクライニングさせ，
しかも座席を下げることで，体全体が湯に浸かるように
している。この種の入浴椅子は，特開平６−１２１８１
４その他に開示されている。

【０００４】図３は座席を昇降させる入浴椅子の例であ
る。図３の３１はキャスタの付いた台車，３２は座席，
３３は操作部である。入浴させる場合は，入浴者を座席
３２に座らせ，スロープを経由して浴槽に連れて行き，
操作部３３を操作して座席３２を浴槽の底まで降ろして
入浴させる。この入浴椅子は，特開平７−２０４２４
６，特開平８−３２２９００等で開示されている。

【０００５】スロープが付いていない一般浴槽に入浴椅
子を用いて入浴させる場合は，図４や図５に示すよう
な，リフトを用いて入浴させるリフト入浴装置が使用さ
れる。図４は，アーム状のリフト４３で，座席４２を入
浴者ごと持ち上げて浴槽に入れるものである。湯の汚れ
防止その他の理由から，入浴時には台車４１を切り離し
て使用する方式のものが多い。図の４４は浴槽である。
図５は，台車５１から座席５２を切り離し，装置のガイ
ド５３に沿って移動させ，座席ごと浴槽に入れて入浴さ
せるものである。図の５４は浴槽である。リフト入浴用
入浴椅子には，背もたれを倒すだけの通常のリクライニ
ング方式が用いられている。

【０００６】図６は車椅子入浴装置の例であり，開閉式
の扉から入浴者を車椅子６１ごと専用の浴槽６２に入
れ，浴槽に湯を満たして入浴させるものである。図７は
シャワー入浴装置の例であり，開閉式の扉から入浴者を
車椅子７１ごと浴槽７２に入れ，シャワー入浴させるも
のである。図６と図７で用いる入浴椅子はほぼ同様なも
ので，背もたれを倒す通常のリクライニング式が多い。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】図２の入浴椅子は，入
浴椅子をリクライニングしてしかも座席を低くし，十分
に湯に浸かるようにしている。しかし最近，リクライニ
ングするとき恐怖を覚える人が少なからず存在するた
め，単純なリクライニングでは問題があることが判明し
てきた。この恐怖感の問題を解決するために考案された
ものが図３の昇降式入浴椅子である。しかし特開平７−
２０４２４６の装置は背もたれ部の角度は固定であるた
め，座席を浴槽底面まで降ろすと，足を投げ出して座る
長座位で入浴することになり，窮屈であるという問題が
ある。一方，特開平８−３２２９００の装置は，台車の
上で昇降するので，台車よりも低くは降ろすことはでき
ない。しかも座席を昇降させるには大きな力が必要であ
るため，大きな動力源が必要となり，装置は大きく，コ
ストアップになる。

【０００８】図４と５に示す入浴椅子はほぼ同様のもの
で，背もたれを倒すだけの通常のリクライニングをおこ
なうため，図２の入浴椅子と同様に，リクライニング時
の恐怖感がある。図６と７に示す入浴椅子はほぼ同様の
もので，背もたれを倒すだけの通常のリクライニングを
おこなうため，やはり図２の入浴椅子同様，リクライニ
ング時の恐怖感がある。しかもこのタイプの入浴椅子は
装置専用のものであるので，水深の浅い一般浴には応用
が困難である。

【０００９】そこで本発明は，これらの問題を解決し，
入浴時の恐怖感を無くし，しかも十分に湯に入れて，安
心して，満足のいく入浴を可能にすること，しかも簡便
で安価な入浴椅子を提供することを目的とした。

【００１０】

【課題を解決するための手段】そこで本発明では，座席
と頭部支持部を回転自在に結合し，座席をリクライニン
グさせても頭部はあまり倒れないようにする簡単なリン
ク機能を付けた。

【００１１】

【作用】座席をリクライニングすることで，座面自体も
低くすることができ，水深の浅い浴槽でも十分に肩口ま
で湯に浸すことができる。また，リンク機構により，座
席をリクライニングさせても頭部はあまり傾かないの
で，リクライニング時の恐怖感をなくすことができる。
さらに，構造が簡単でコンパクトあるため，組立も，取
扱いも簡単で，安価にすることができる。このため，本
発明の入浴椅子を，車椅子入浴装置やシャワー入浴装置
に応用すると，浴槽もコンパクトに設計できる。また，
リフト入浴装置に応用すると，装置をコンパクトに，ま
た駆動力を低く押さえることができる。その結果，装置
の価格を低減でき，省スペース化，使用水量の削減，さ
らには取扱いも簡便になるので，介助者の省力化も可能
になる。

【００１２】

【実施例】図１（Ａ）は，本発明による一般浴槽用の入
浴車椅子の実施例であり，１はキャスタを付けた台車，
２は入浴者が座る座席，３は入浴者の頭部付近を支える
頭部支持部，４はリンク竿である。台車１と座席２は結
合部５で，座席２と頭部支持部３は結合部６で，それぞ
れ回転できるように結合されている。また，リンク竿４
は結合部８で頭部支持部３と，台車１とは結合部７で，
それぞれ回転できるように結合されている。操作竿９
は，台車１と座席２に，回転できるように結合されてい
る。

【００１３】操作竿９を後ろに倒すと，結合部５を中心
に座面２をリクライニングさせることができる。座席を
いっぱいにリクライニングさせたときの様子を，図１
（Ｂ）に示す。座面２をリクライニングさせると，頭部
支持部３も傾こうとするが，リンク竿４によりその傾斜
角は制限を受け，頭部支持部３の傾き角度は座席２のリ
クライニング角度よりも小さくなる。つまり，入浴者の
体は大きく後ろに倒れるが，頭部は少ししか倒れない。
頭部支持部３の傾きは，リンク機構の設計によって変え
ることができるが，恐怖感やリラックス感等を勘案して
決定すればよい。本発明は，座席をリクライニングして
も，頭部はリクライニング角よりも少なく傾くようにし
たことがポイントであるので，リンク機構の構造は図１
に示すものと異なってもよい。図１の入浴椅子は台車１
と座席２を一体化したタイプのものであるが，台車の部
分と座席の部分とを分離できるようにしてもよい。

【００１４】本発明とは直接関係ないので図面には記載
していないが，操作竿９にリクライニング動作を補助す
る動力源を入れると，介助の労力を省力化できる。補助
動力源としては，ガススプリングや電動モータ等が考え
られる。また，リクライニング時に急激に後ろに倒れな
いように，操作竿９にダンパを入れると，安全性を向上
させることができる。さらに，ある角度でリクライニン
グ角度を保持するストッパーを付けると，好みの角度で
リクライニングを保持できるため，必要な深さまで湯に
入れることができ，よりきめの細かな介助が可能にな
る。このストッパーは，無段階式が望ましい。

【００１５】

【発明の効果】本発明による入浴用椅子を用いると，浅
い一般浴槽でも十分に湯に浸かることができ，しかもリ
クライニング時の恐怖感は無いので，リラックスして，
満足のいく入浴を楽しむことができる。また，装置はコ
ンパクトで簡単な構造であるため，軽量で操作し易く，
介助者の労力を省力化できる。このため，入浴時間を短
縮でき，入浴回数を増やすこともできる。さらに，安価
であるので，医療機関等の使用者の経済的負担も少なく
てすむ。み，総合的なコスト削減にもなる。そのうえ，
一般浴を含めて全ての入浴に対応できるので汎用性に富
み，しかも，リフト入浴，車椅子入浴，シャワー入浴等
に応用すると，専用の浴槽をコンパクト化することがで
きるので，省スペース化と装置全体のコストダウンが可
能となる。

【００１６】

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の入浴椅子の例であり，（Ａ）はリクラ
イニングする前の，（Ｂ）はリクライニングさせたとき
の様子を示す。

【図２】従来の，一般浴用のリクライニング式入浴椅子
の例であり，（Ａ）と（Ｂ）はそれぞれリクライニング
させる前後の様子を示す。

【図３】従来の，一般浴用の昇降式入浴椅子の例であ
り，（Ａ）と（Ｂ）はそれぞれ昇降させる前後の様子を
示す。

【図４】従来の，アームを用いて入浴させるリフト式入
浴装置の例である。

【図５】従来の，ガイドに沿って入浴椅子を移動させて
入浴させるタイプのリフト式入浴装置の例である。

【図６】従来の車椅子入浴装置の例である。

【図７】従来のシャワー入浴装置の例である。

【００１７】

【符号の説明】

１・・・・台車 ２・・・・座席 ３・・・・頭部支持部 ４・・・・リンク竿 ５・・・・台車１と座席２の結合部 ６・・・・座席２と頭部支
持部３の結合部 ７・・・・台車１とリンク竿４の結合部 ８・・・・頭部支持部
３とリンク竿４の結合部 ９・・・・・操作竿 ２１・・・台車 ２２・・・座席 ２３・・・操作竿 ３１・・・台車 ３２・・・座席 ３３・・・操作部 ４１・・・台車 ４２・・・座席 ４３・・・リフト ４４・・・浴槽 ５１・・・台車 ５２・・・座席 ５３・・・リフト ５４・・・浴槽 ６１・・・入浴用椅子 ６２・・・車椅子入浴装置の浴槽 ７１・・・入浴用椅子 ７２・・・シャワー入浴装置の浴槽

Claims (1)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】リクライニング可能な座席２と，入浴者の
   頭部近傍を支持する頭部支持部３をを有し，座席２をリ
   クライニングさせたとき，座席２のリクライニング角度
   よりも頭部支持部３の角度変化が小さくなるように連動
   させるようにしたことを特長とする，リクライニング式
   入浴椅子。