JPH11318986A - 担 架 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 寝台および担架本体間で患者を乗り移す際
に、患者の乗り移しを楽に行える担架を提供することを
課題とする。 【解決手段】 寝台Ｆに伏した患者Ｃを受け入れて移動
させる担架Ｅであって、患者Ｃを乗せる担架本体１０
と、担架本体１０の側縁部１０ａ、１０ｂに設けられた
サイドフェンス１３、１４とを備えてなり、サイドフェ
ンス１３は、その基端部側１３ａが側縁部１０ａに回転
継手１１を介在させて担架本体１０の長手方向の回動軸
線を中心として回動自在に取り付けられると共に、側縁
部１０ａから起立状態、垂下状態に姿勢変更可能とさ
れ、かつその回動先端部１０ｃには、前記寝台Ｆに係合
可能な係合部５５が設けられ、該係合部５５を寝台Ｆに
係合させたときの上面が、患者Ｃの移動面６０とされて
いることを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、患者を運搬するた
めの担架に関するものである。

【０００２】

【従来の技術】周知のように、患者を目的位置まで移動
させる運搬装置として、担架が利用されている。この担
架は用途に合わせていくつかの種類があり、例えば図
６、７に示される入浴用担架Ａがある。この入浴用担架
Ａは、寝台Ｂに伏している患者Ｃを受け入れて、図示さ
れない浴槽まで運搬し、患者Ｃを乗せたまま前記浴槽内
で患者Ｃを入浴させた後、再び寝台Ｂまで患者を運搬す
るためのものである。この入浴用担架Ａは、図示されな
い走行台車と、該走行台車の上面に固定された担架本体
１と、該担架本体１の長手方向に交差する方向の両側に
回転継手２を介在させて回動自在に連結されたサイドフ
ェンス３、４と、担架本体１の長手方向両端に固定され
た保持部５とから構成されている。

【０００３】上記の構成からなる入浴用担架Ａにより、
寝台Ｂの上面に位置した患者Ｃを前記浴槽に運搬するに
は、まず入浴用担架Ａを寝台Ｂに一定の間隔６をおいて
並列配置させることから開始する。そして患者Ｃを移動
させるための図示されない作業者を二名、間隔６の間に
配置し、寝台Ｂに隣接した側のサイドフェンス３を回転
させて下方に下げる。一方の作業者が患者Ｃの上半身
を、また他方の作業者が患者Ｃの下半身を保持した状態
で、両作業者が同時に患者Ｃを寝台Ｂの上方に持ち上
げ、そのまま間隔６の上方を越えて水平移動させる。患
者Ｃが入浴用担架Ａの上方に到った後、前記作業者が患
者Ｃを同時に下ろして入浴用担架Ａの上面に乗せる。吊
り下がっているサイドフェンス４を回転して垂直起立さ
せた後、これを固定する。

【０００４】次に、前記作業者がそれぞれ保持部５を保
持して入浴用担架Ａを牽引し、前記浴槽の近傍まで入浴
用担架Ａを走行移動させる。そして患者Ｃを入浴用担架
Ａに乗せたまま前記浴槽内に入れ、入浴させる。入浴が
済んだ後、入浴用担架Ａと患者Ｃを再び寝台Ｂまで前記
作業者が運搬する。入浴用担架Ａを寝台Ｂに間隔６をお
いて並列配置させた後、サイドフェンス３を回転して下
げる。そして間隔６の間に前記作業者を配置させ、患者
Ｃを入浴用担架Ａから持ち上げ、そのまま間隔６の上方
を通って寝台Ｂの上方まで水平移動させる。患者Ｃが寝
台Ｂの上方に到った後、患者Ｃを下ろして寝台Ｂの上面
に乗せることで、運搬作業が完了する。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】ところで、上記の入浴
用担架Ａは、患者Ｃを寝台Ｂから入浴用担架Ａへ、また
はその逆に乗り移す際に、作業者には、患者Ｃの体重を
支持するための労力が要求されるので、これが負担とな
っているという問題を有していた。

【０００６】本発明は、上記事情を鑑みてなされたもの
であって、下記をその目的としている。すなわち、寝台
および担架本体間で患者を乗り移す際に、患者の乗り移
しを楽に行える担架を提供することを目的とする。

【０００７】

【課題を解決するための手段】本発明の担架は、上記課
題を解決するために以下の手段を採用した。すなわち、
請求項１記載の担架は、寝台に伏した患者を受け入れて
該患者を移動させる担架であって、患者を乗せる担架本
体と、該担架本体の側縁部に設けられたサイドフェンス
とを備えてなり、前記サイドフェンスが、その基端部側
が前記側縁部に回転継手を介在させて該担架本体の長手
方向の回動軸線を中心として回動自在に取り付けられる
と共に、該側縁部から起立状態、垂下状態に姿勢変更可
能とされ、かつその回動先端部には、前記寝台に係合可
能な係合部が設けられ、該係合部を前記寝台に係合させ
たときの上面が、患者の移動面とされていることを特徴
とする。

【０００８】上記請求項１記載の担架によれば、サイド
フェンスの係合部を寝台に固定することで、寝台に対す
る担架の配置が固定される。さらに、患者は寝台と担架
との間に設けられた移動面上に支持された状態で、これ
らの間を乗り移る。

【０００９】請求項２記載の担架は、請求項１記載の担
架において、前記サイドフェンスには、それぞれ前記基
端部側、回動先端部側に位置し、前記回動軸線と平行に
延在する第１、第２のベルト巻回部が形成され、これら
第１、第２のベルト巻回部には無端ベルトが巻回されて
いることを特徴とする。上記請求項２記載の担架によれ
ば、無端ベルトの上面に乗せられた患者を水平方向に押
すことで、無端ベルトが第１、第２のベルト巻回部を軸
として回転し、患者が水平移動される。

【００１０】請求項３記載の担架は、請求項１または２
記載の担架において、前記回転継手が、担架本体とサイ
ドフェンスとのいずれか一方に固定された凸型継手と同
他方に固定された凹型継手とからなり、前記凹型継手が
円形孔の周縁部に矩形溝を連続して形成した貫通部を有
し、前記凸型継手が前記貫通部内に位置し、前記円形孔
内にて前記凹型継手に対して相対的回動可能かつ前記矩
形溝に係合可能な突起部を有してなることを特徴とす
る。上記請求項３記載の担架によれば、凸型継手の突起
部を凹型継手の矩形溝に係合にさせることで、サイドフ
ェンスの位置が固定される。また、凸型継手の突起部を
凹型継手の円形孔内に位置させることで、サイドフェン
スが回動される。

【００１１】

【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態につい
て以下に説明する。図１において、符号Ｅは入浴用担架
であり、図示されない走行台車と、該走行台車の上面に
固定され、寝台Ｆに伏した患者Ｃを受け入れる担架本体
１０と、該担架本体１０の側縁部１０ａ、１０ｂに設け
られたサイドフェンス１３、１４とを備えている。サイ
ドフェンス１３は、その基端部側１３ａが側縁部１０ａ
に回転継手１１を介在させて担架本体１０の長手方向の
図示されない回動軸線を中心として回動自在に取り付け
られている。サイドフェンス１４もサイドフェンス１３
と同様に、側縁部１０ｂ側に回動自在に取り付けられて
いる。そして、これらサイドフェンス１３、１４は、側
縁部１０ａ、１０ｂから起立状態、垂下状態に姿勢変更
可能とされている。また、担架本体１０には、担架Ｅを
牽引するための保持部１５が取り付けられている。

【００１２】図２、３に示すように、サイドフェンス１
３は、サイドフェンス本体１６と該サイドフェンス本体
１６に巻回された無端ベルト１７とからなっている。サ
イドフェンス本体１６は、内部が中空で軽量化されてお
り、摩擦係数が低くなるように表面加工されたＦＲＰ製
である。このサイドフェンス本体１６には、前記側縁部
１０ａ側、回動先端部１０ｃ側に位置し、前記回動軸線
と平行に延在する第１、第２のベルト巻回部５０、５１
が形成され、また、回動先端部１０ｃ側でかつその長手
方向の両端側に係合部５５が設けられている。該係合部
５５には、これらを被覆するゴムキャップ１８がそれぞ
れ装着されている。そして、ベルト巻回部５０、５１に
は、無端ベルト１７が回動自在に巻回されている。一
方、図１のサイドフェンス１４は、スチールパイプ製と
なっている。

【００１３】図２、４に示すように、回転継手１１は、
サイドフェンス１３のベルト巻回部５０側に固定された
凹型継手１９と、担架本体１０の基端部１３ａ側に固定
された凸型継手２０とからなっている。凹型継手１９
は、円形孔２１と該円形孔２１の周縁部に矩形溝２２が
連続して形成された貫通部２３を有している。一方、凸
型継手２０は、貫通部２３内に位置し、円形孔２１内に
て凹型継手１９に対して相対的回動可能かつ前記矩形溝
２０に係合可能な突起部２４を有している。図５は、サ
イドフェンス１３が垂直起立した際の突起部２４と矩形
溝２０との係合状態を示す図である。そして、図２に示
すように、突起部２４の先端には、凹型継手１９が凸型
継手２０より脱落するのを止めるための係止部２５が設
けられている。一方、サイドフェンス１４と担架本体１
０との間にも、同様の構成の回転継手１１が取り付けら
れている。

【００１４】上記の構成からなる担架Ｅにより、患者Ｃ
を図示されない浴槽まで運搬する方法について説明す
る。まず、サイドフェンス１３、１４が垂直起立した状
態で、担架Ｅを、寝台Ｆ側にサイドフェンス１３が向
き、かつ寝台Ｆとの間に図１に示す間隔２６を配した状
態で並列配置させる。そして、図５の状態から、サイド
フェンス１３を真上に持ち上げることで突起部２４と係
合していた矩形溝２２を上方に移動させ、続いて、に円
形孔２１を突起部２４の外周囲に位置させる。そして、
図４に示すように、サイドフェンス１３を前記回動軸線
を中心として回動させる。寝台Ｆの上面に係合部５５を
載置すると、ゴムキャップ１８と寝台Ｆの上面との間で
摩擦が生じて、担架Ｅが寝台Ｆに対して水平方向に移動
しないように固定される。図１、３に示すように、この
状態のサイドフェンス１３の上面は、寝台Ｆから担架Ｅ
へと患者が乗り移るための移動面６０となる。

【００１５】図１の状態において、患者Ｃを移動させる
ための図示されない作業者を二名、間隔２６の間に配置
し、一方の作業者が患者Ｃの上半身を、また他方の作業
者が患者Ｃの下半身を保持した状態で、両作業者が同時
に患者Ｃを担架Ｅに向かって横滑りさせる。患者Ｃをサ
イドフェンス１３の回動先端部１０ｃまで到らせた後、
引き続き患者Ｃに担架Ｅに向かう水平方向の力を付与す
ると、この力は患者Ｃを水平方向に向かわせると共に、
この患者Ｃと無端ベルト１７との間に摩擦力を生むの
で、この力は無端ベルト１７を回動させる力となる。サ
イドフェンス本体１６の表面は摩擦係数が低いので、無
端ベルト１７は、ベルト巻回部５０、５１を軸心として
回動する。そして図３に示されるように、患者Ｃは移動
面６０の上面に支持されたまま、担架Ｅの上面まで平行
移動される。

【００１６】患者Ｃが担架本体１０の上面に到った後、
サイドフェンス１３を図４の状態から回動して垂直起立
させ、これを真下に下ろして図５のように、矩形溝２２
に突起部２４を係合させ、サイドフェンス１３を垂直起
立状態のまま固定する。

【００１７】次に、前記作業者がそれぞれ保持部１５を
保持して入浴用担架Ｅを牽引し、前記浴槽の近傍まで入
浴用担架Ｅを走行移動させる。そして患者Ｃを入浴用担
架Ｅに乗せたまま前記浴槽内に入れ、入浴させる。入浴
が済んだ後、患者Ｃを前記浴槽から出して再び寝台Ｆま
で前記作業者が運搬する。

【００１８】再び、図１に示すように、入浴用担架Ｅを
寝台Ｆに間隔２６をおいて並列配置させた後、サイドフ
ェンス１３を垂直上方に持ち上げて矩形溝２２と突起部
２４の係合を解き、さらにこれを回動させて係合部５５
を寝台Ｆの上面に載置する。これで入浴用担架Ｅが寝台
Ｆに対して相対的な配置が固定される。この状態で、前
記作業者が患者Ｃを担架本体１０の上面から、移動面６
０、そして寝台Ｆの上面まで横滑りさせることで、運搬
作業が完了する。

【００１９】したがって、患者Ｃを寝台Ｆおよび担架Ｅ
との間で乗り移らせる際に、患者Ｃは、これらの間に介
在する移動面６０上に支持されているので、少ない労力
で患者Ｃを移動させることが可能となる。

【００２０】なお、上記の実施の形態においては、サイ
ドフェンス１４はスチールパイプ製としたが、サイドフ
ェンス１３と同様のものを装着することで、サイドフェ
ンス１３、１４のどちら側からでも患者Ｃを乗り移すこ
とが可能な構成としても良い。

【００２１】また、上記の実施形態において、サイドフ
ェンス１３と寝台Ｆとの結合は、係合部５５に装着され
たゴムキャップ１８と寝台Ｆの上面との間に生じる摩擦
力によるものとしたが、担架Ｅに凹型もしくは凸型のい
ずれか一方の固定部材を設け、また寝台Ｆにこれと係合
する他方の固定部材を設けて、これらが係合することで
連結される構造としても良い。

【００２２】また、上記の実施形態において、無端ベル
ト１７は摩擦係数の低いサイドフェンス本体１６に巻帯
させて回動させる構成としたが、サイドフェンス１３に
複数本のローラーを平行かつ回動自在に装備し、このロ
ーラーに無端ベルト１７を巻回して回動自在としても良
い。

【００２３】

【発明の効果】本発明によれば、寝台と担架間で患者を
移動させる際に、これらの間に設けられた移動面に支持
されるので、作業者は楽に患者を移動させることができ
る。

【図面の簡単な説明】

【図１】 本発明の一実施形態を示す図であって、担架
の平面図である。

【図２】 同担架のサイドフェンスの要部拡大図であ
る。

【図３】 同担架の図２におけるＧ−Ｇ断面図である。

【図４】 同担架の図２におけるＨ−Ｈ断面図である。

【図５】 同担架の図２におけるＨ−Ｈ断面において、
構成要素の係合状態を変更した図である。

【図６】 従来の担架の平面図である。

【図７】 従来の担架の側面図である。

【符号の説明】

１０・・・担架本体 １０ａ・・・側縁部 １０ｃ・・・回動先端部 １１・・・回転継手 １３・・・サイドフェンス １３ａ・・・基端部側 １７・・・無端ベルト １９・・・凹型継手 ２０・・・凸型継手 ２１・・・円形孔 ２２・・・矩形溝 ２３・・・貫通部 ２４・・・突起部 ５０、５１・・・第１、第２のベルト巻回部 ５５・・・係合面 ６０・・・移動面 Ｃ・・・患者 Ｅ・・・入浴用担架（担架） Ｆ・・・寝台

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 寝台に伏した患者を受け入れて該患者を
   移動させる担架であって、患者を乗せる担架本体と、該
   担架本体の側縁部に設けられたサイドフェンスとを備え
   てなり、前記サイドフェンスは、その基端部側が前記側
   縁部に回転継手を介在させて該担架本体の長手方向の回
   動軸線を中心として回動自在に取り付けられると共に、
   該側縁部から起立状態、垂下状態に姿勢変更可能とさ
   れ、かつその回動先端部には、前記寝台に係合可能な係
   合部が設けられ、該係合部を前記寝台に係合させたとき
   の上面が、患者の移動面とされていることを特徴とする
   担架。
2. 【請求項２】 請求項１記載の担架において、 前記サイドフェンスには、それぞれ前記基端部側、回動
   先端部側に位置し、前記回動軸線と平行に延在する第
   １、第２のベルト巻回部が形成され、これら第１、第２
   のベルト巻回部には無端ベルトが巻回されていることを
   特徴とする担架。
3. 【請求項３】 請求項１または２記載の担架において、 前記回転継手は、担架本体とサイドフェンスとのいずれ
   か一方に固定された凸型継手と同他方に固定された凹型
   継手とからなり、前記凹型継手は円形孔の周縁部に矩形
   溝を連続して形成した貫通部を有し、前記凸型継手は前
   記貫通部内に位置し、前記円形孔内にて前記凹型継手に
   対して相対的回動可能かつ前記矩形溝に係合可能な突起
   部を有してなることを特徴とする担架。