JPH11293406A - 高強度ステンレス鋼の新規な使用 - Google Patents

高強度ステンレス鋼の新規な使用

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JPH11293406A
JPH11293406A JP11038468A JP3846899A JPH11293406A JP H11293406 A JPH11293406 A JP H11293406A JP 11038468 A JP11038468 A JP 11038468A JP 3846899 A JP3846899 A JP 3846899A JP H11293406 A JPH11293406 A JP H11293406A
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デルブランク−バウアー アンナ
Pasi Kangas
カンガス パジ
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】苛性ソーダの製造設備において、NaOH処理溶液
に対して良好な耐食性を有するフェライト−オーステナ
イト系ステンレス鋼を提供する。 【解決手段】フェライト含有量は30〜70体積%であ
り、重量%において、C:最大0.05,Si:最大
0.8,Mn:0.3〜4,Cr:28〜35,Ni:
3〜10,Mo:1.0〜4.0,N:0.2〜0.
6,Cu:最大1.0,W:最大2.0,S:最大0.
010,Ce:最大0.2,残部鉄と通常発生する不純
物を含有するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、処理工業用の構成
要素、特に苛性ソーダに暴露することを意図した構成要
素を成す高強度ステンレス構造用鋼の使用に関する。こ
れらの材料は苛性ソーダへの暴露が起きる用途に使用さ
れる様々な形態の装置に適用でき、今後「構造用材料」
と呼び、管、薄板、棒、若しくはそのような環境に取り
込まれるあらゆる形態の材料を意味することを理解すべ
きである。
【0002】
【従来の技術】フェライト−オーステナイト系(2相)
ステンレス鋼は今日、多くの工業的用途において構造用
材料として広く使用されている。スウェーデン特許出願
第9302139-2 号(その内容を本願開示内容の一部とす
る)に記載され、28〜35%Cr、 3〜10%Ni、 1.0〜4.0
%Mo、及び 0.2〜0.6 %N であることを特徴としている
2相鋼は、特に好ましく、ある場合には特定の用途での
構造用材料として驚くほど良好な特性を示すことが明ら
かになった。本発明は水酸化ナトリウム(NaOH)とその
溶液を使用する、若しくは作成する分野、及び特に好ま
しい特性を達成した分野での構造用材料としての鋼種の
使用に関する。SE-9302139-2に従った合金は更にSAF 29
06と表示され、好ましくは29〜33%Cr、 3〜7 %Ni、 1
〜3 %Moを含む。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】鋼や、チタンのような
他の金属がNaOHに暴露する際に、高い腐食速度が生じう
る。30〜48%NaOHで温度が 100〜200 ℃の溶液におい
て、クロム鋼の腐食速度は24%及びそれ以上でのクロム
含有量の増加に伴い減少する。クロム鋼の腐食速度は塩
素酸ナトリウム(NaClO3)の添加によっても減少する。
このことは、例えば48%NaOHとクロム含有量 5%以上の
クロム鋼との組合せの場合に、 0〜1 %のNaClO3を添加
することで実証されている。
【0004】NaOHを含む溶液中でオーステナイト系ステ
ンレス鋼を使用する際、高い腐食速度だけでなく、応力
腐食割れの著しい危険性もあり、その危険性は材料中の
ニッケル量の増加に伴い減少する。苛性ソーダを、特に
塩化ナトリウム溶液の電気分解により生産する場合、塩
素ガスも生じる。隔膜法(diaphragm method)を使用す
る際、電気分解後の水酸化ナトリウムの濃度は約12%で
あり、塩化物と場合によっては塩素酸塩をも含む。溶液
の濃度はいわゆるNaOH蒸発器において数工程に渡り蒸発
させることで増加する。溶液を圧力下のこの中で加熱
し、蒸気が蒸発し塩化物を除去する(結晶化後)。NaOH
の濃度は最終蒸発工程において47%まで及びそれ以上に
達する。塩化物を数工程で除去したという事実に反し
て、固体( 8%まで)と溶解した塩化物(7%まで)の
両方の残存する量が明らかになった。最も高濃度のNaOH
を有するNaOH蒸発器の温度は 160〜170 ℃である。
【0005】NaOH蒸発器中での腐食速度は特に温度と流
量に依存して激しく変化しうる。温度に関しては、例え
ば蒸発管若しくは当板のような装置の同じ部分での変化
が局部的に高い腐食速度を生じ、許容できないほどの短
い耐用期間となるが、その一方で材料の大部分において
はわずかな腐食を示すにすぎない。例えばNaOH蒸発管内
部等で普通に発生する温度差、若しくは処理の変更と関
連した温度変化により、先に良好な耐用期間を示した材
料でも高い腐食速度を示し、その結果、材料の耐用期間
が本質的に減少することがある。
【0006】特に高い流量速度が、蒸発管の内部だけで
なく、循環ポンプのプロペラ及び空気拡散器においても
存在する。そのため、これらの部品はエロージョン腐食
にさらされる恐れがあり、その状況は溶液中の溶解して
いない塩の量の増加に伴い更に悪化し、結局高い腐食速
度を示す。NaOH蒸発器の構造物に使用される材料のいく
つかは、これらの暴露した部品において多くの場合許容
できないほどの短い耐用期間となる。
【0007】NaOH蒸発器の構造物において今日優位を占
める材料は26-1(UNS S44626)、ニッケル 200(UNS N0
2200)及びSanicro 28(UNS N08028)である。しかしな
がら高い腐食速度及びエロージョン腐食に関するある種
の問題が存在し、構造物の耐用期間を短いものとする。
ニッケル 200は、本質的に 0.15C(最大)、99Ni、0.10
Cu(最大)、0.20Mg(最大)を含み、NaOH蒸発での処理
溶液による腐食の耐性が高いため、今日材料の選択にお
いて優位を占めている。Sanicro 28でのテストを行った
が、腐食のため材料の耐用期間は限られたものであっ
た。
【0008】しかしながらニッケル 200は、エロージョ
ン耐性がSanicro 28のようなステンレス鋼と比較して減
少しているという制限を持つ。従って高いエロージョン
耐性と同時にNaOH蒸発での処理溶液に対する高い耐性と
が組み合わされば最適である。本発明の目的は先行技術
における問題を回避する若しくは軽減することである。
【0009】本発明の更なる目的は処理工業用の構成部
材用材料としての高強度構造用ステンレス鋼を提供する
ことである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の態様は苛性ソー
ダのある環境で使用される処理化学構成要素としての構
造用材料の用途を提供し、改良は構成要素の少なくとも
一部分が、フェライト−オーステナイト系ステンレス鋼
合金で成り、上記合金は本質的に以下のものから成り、
重量%で: C 最大0.05 Si 最大0.8 Mn 0.3 〜4 Cr 28〜35 Ni 3 〜10 Mo 1.0 〜4.0 N 0.2 〜0.6 Cu 最大1.0 W 最大2.0 S 最大0.010 Ce 最大0.2 及び残部鉄と通常発生する不純物及び添加物を含み、こ
こでフェライト含有量は30〜70体積%で残部オーステナ
イトである。
【0011】
【実施例】様々な苛性ソーダ環境に暴露した際のフェラ
イト−オーステナイト系材料の耐性及び特性を見いだす
ために、多くのテストを行った。SAF 2906と表示した本
発明の新規な材料と平行して、多数の他の市販されてい
る材料を含めた。他の比較材料と同様に本発明の新規な
材料SAF 2906の主な分析結果を以下の表1に示す。
【0012】テストには様々な濃度の沸騰したNaOHでの
腐食テストを含めた。結果を図1に示す。2相ステンレ
ス鋼は公知の応力腐食割れに対する良好な耐性を有す
る。50%NaOHまでの環境はNaOH蒸発で達し、ここで例え
ば2相鋼SAF 2205、SAF 2304、及びSAF 2507は高い腐食
速度を示した。Sanicro 28はこれらの鋼種より良好な耐
性を示した。特許9302139-2 の新規な鋼種を種々の濃度
の沸騰したNaOH中で腐食テストした。著しく低い腐食速
度を達成し、従来2相鋼として知られているものより良
好な耐性を達成し、Sanicro 28より良好であるというこ
とを意外にも示している。
【0013】これと平行して2種類の異なる濃度のNaOH
/NaCl/NaClO3溶液で、本発明の新規な材料SAF 2906を更
にテストした。1種類は10%NaOH及び 2%NaClを含み、
他方は50%NaOH及び 7%NaClを含む。すべて溶液は800p
pmのClO3を含んでいた。結果を材料の腐食量として mm/
年で表し、以下の表2に示す。表より理解できるよう
に、SAF 2906と表示した新規な材料は、従来最良であっ
た材料のSanicro 28及びニッケル 200より著しく良好で
あることを意外にも示している。オーステナイト−フェ
ライト系鋼はそれに加えて公知のエロージョン腐食に対
する良好な耐性を持つ。説明した結果は理解できるよう
に、NaOH蒸発器用の材料の選択においてかなりの耐用期
間を増加させる可能性を示している。耐用期間の増加は
材料(SAF 2906)の使用において、管、薄板、棒、溶接
材料、及び鋳造用として可能であることが予見される。
【0014】本発明の原理、好ましい実施態様、及び実
施例を上記明細書に記述した。しかしながらここで保護
することを意図した発明は、開示した特定の形態に限定
するものとして解釈すべきでなく、それはこれらが限定
的なものとしてよりも実例としてみなすべきであるから
である。当業者にとって変種及び変更を本発明の精神を
逸脱することなく行うことは可能である。
【0015】
【表1】
【0016】
【表2】
【図面の簡単な説明】
【図1】沸騰したNaOHで腐食テストをした結果を示す
図。
フロントページの続き (72)発明者 マグヌス ニューストローム スウェーデン国,エス−802 70 ゲーブ ル,ムルメースタルガタン 33ベー

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェライト−オーステナイト系ステンレ
    ス鋼合金の使用において、上記合金は本質的に以下のも
    の、重量%において: C 最大0.05 Si 最大0.8 Mn 0.3 〜4 Cr 28〜35 Ni 3 〜10 Mo 1.0 〜4.0 N 0.2 〜0.6 Cu 最大1.0 W 最大2.0 S 最大0.010 Ce 最大0.2 及び残部鉄と通常発生する不純物と添加物を有したもの
    から成り、ここでフェライト含有量は30〜70体積%であ
    って、苛性ソーダの製造におけるNaOH処理溶液に対する
    良好なエロージョン及び腐食の耐性への要求を満足して
    いる装置製造用の材料としてのフェライト−オーステナ
    イト系ステンレス鋼合金の使用。
  2. 【請求項2】 上記合金が29〜33重量%Cr及び 3〜7 重
    量%Niを含むことを特徴とする請求項1記載のフェライ
    ト−オーステナイト系鋼の使用。
  3. 【請求項3】 上記合金が 1〜3 重量%Moを含むことを
    特徴とする請求項1若しくは2記載のフェライト−オー
    ステナイト系鋼の使用。
  4. 【請求項4】 上記材料を、管、薄板、棒、溶接材料、
    若しくは鋳物の形態でNaOH蒸発器に使用することを特徴
    とする請求項1から3のいずれかに記載のフェライト−
    オーステナイト系鋼の使用。
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