JPS625975B2 - - Google Patents
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- JPS625975B2 JPS625975B2 JP56020332A JP2033281A JPS625975B2 JP S625975 B2 JPS625975 B2 JP S625975B2 JP 56020332 A JP56020332 A JP 56020332A JP 2033281 A JP2033281 A JP 2033281A JP S625975 B2 JPS625975 B2 JP S625975B2
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Landscapes
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- Heat Treatment Of Steel (AREA)
Description
この発明は、耐食性、なかんずく耐応力腐食割
れ性に優れた油井管用合金に関する。 近年、油井・天然ガス井は深井戸化の傾向著し
く、産出ガス中に湿潤な硫化水素をはじめ、炭酸
ガスや塩素イオン等腐食性物質が含まれることが
多くなつてきている。このような傾向とともに油
井管の使用条件が苛酷化すると、安定操業上その
腐食対策がより一層重要なこととなる。油井管の
腐食対策としては、インヒビターと呼ばれる腐食
抑制剤を油と共に管に注入し、管表面に皮膜を形
成させる方法が最も一般的なものであるが、この
方法は海上油井のときなど、場合によつては、有
効に活用できないことも多い。このような事態に
対処するため最近では、より高級な耐食性材料が
用いられる傾向があり、ステンレス鋼をはじめ、
インコロイやハステロイ(いずれも商品名)とい
つた高合金鋼の採用も検討されはじめている。 しかしながらいまのところ、H2S―CO2―Cl-
の油井環境については、その腐食挙動など詳細な
ところは十分な解明に至つておらず、この環境下
での腐食と鋼成分の関連についても、僅かに既存
の高合金鋼に適性を実地テストなどによつて調査
確認するといつたレベルの研究がなされているに
過ぎない。 本発明は、このきわめて腐食性のつよい、H2S
―CO2―Cl-の油井環境下、特に200℃以上の悪環
境においても優れた耐久性を発揮する油井管用合
金の提供を目的とするものである。 すなわち本発明の要旨とするところは、C0.1
%以下、Si1.0%以下、Mn2.0%以下、P0.030%以
下、S0.005%以下、A0.5%以下、Cr15〜30
%、Ni30〜60%に、MoとWの何れか一方または
双方を下式、を満足する範囲で含有し、Cu1
%以下または更にCo2%以下を含みまたは含ま
ず、更に場合によつては希土類元素0.10%以下、
Y0.20%以下、Mg0.10%以下、Ca0.10%以下、
Ti0.5%以下のうち1種または2種以上を含有
し、残部は実質的にFeよりなることを特徴とす
る耐応力腐食割れ性に優れた油井管用合金 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧110% …… 8%≦Mo(%)+1/2W(%)≦12%…… にある。 本発明者らの詳細な実験、研究によれば、H2S
―CO2―Cl-環境下における腐食の主たるものは
応力腐食割れであるが、この場合の応力腐食割れ
は、一般の場合のステンレス鋼のそれとは挙動を
全く異にするものであり、一般の応力腐食割れが
Cl-の存在と深く係わるものであるのに対し、上
記油井環境によるものではCl-もさることなが
ら、それ以上にH2Sの影響が大きいという事実が
明らかとなつた。一方、油井管として実用に供さ
れる鋼管は一般に、強度上の必要から冷間加工が
実施されるが、冷間加工は上記応力腐食割れに対
する抵抗性を著しく阻害するということもまた、
本発明者らの研究から判明した。 かかる研究結果を基に本発明者らは、冷間加工
材としてH2S存在下での応力腐食割れに対する高
い抵抗性が得られる材料の開発を意図して実験、
研究を更に進め、その結果、高濃度H2Sを含み、
とくに使用温度200℃をこえる腐食環境でも著し
く優れた耐久性を発揮する冷間加工材が得られる
合金材料の開発に至つたものである。 H2S―CO2―Cl-環境での合金の溶出(腐食)
は、Cr,Ni,MoおよびW量に依存する。すなわ
ち、耐食性はこれらの元素からなる表面皮膜によ
つて確保されるものであり、この表面皮膜中のこ
れら元素の含有バランスが耐食性を左右する最も
重要な因子となる。上記の油井環境下での応力腐
食割れに対しては、MoはCrの10倍の効果があ
り、またWはCrの5倍の効果をもつており、こ
のMoおよびWが前記、式を満たすととも
に、Crが15〜30%、Niが30〜60%の範囲にあれ
ば、応力腐食割れに対し優れた抵抗性を有する耐
食性皮膜の得られることが、本発明者らの実験に
より明らかとなつた。またNiについては、組織
的にも耐食性を高める効果があり、上記Niの範
囲は、この点をも考慮したものである。 第1図は、上記油井環境下での耐応力腐食割れ
抵抗性とCr(%)+10Mo(%)+5W(%)、Ni量
との関係を示す。このデータは、成分元素の添加
量を種々変化させたCr―Ni―Mo系またはCr―Ni
―Mo―W系の合金を溶製し、鍛伸、そして7mm
厚まで熱延した後、1050℃で30分保持、水冷とい
う固溶化処理を行ない、その後強度向上の目的で
30%の冷間加工を加え、得られた板材から圧延方
向と直角に2mm厚、10mm巾、75mm長の試験片を採
取し、応力腐食割れ試験を実施した結果に基く。 応力腐食割れ試験としては、第2図に示す3点
支持ビーム治具を用いて上記試験片に0.2%耐力
に相当する引張応力を付加し、10気圧H2S、10気
圧CO2でH2S、CO2を飽和させた20%NaCl溶液
(温度300℃)中に1000時間浸漬し、割れ発生の有
無を観察する方法によつた。図中、〇:割れ発生
なし、×:割れ発生、をそれぞれ示す。 同図に明らかな如く、Cr(%)+10Mo(%)+
5W(%)が110%未満、またはNiが30%未満では
応力腐食割れ抵抗が不十分である。因みに、Ni
を60%以下としたのは、この値を越えて含有して
も効果の向上は認められず、経済的不利を招くば
かりである。 この他、本発明合金の特徴的な成分の限定理由
としては、 Crは応力腐食割れ抵抗性を高める成分である
が、熱間加工性を劣化させるので30%以下とする
必要があるが、15%未満としても熱間加工性は殆
んど改善されず、式のCr(%)+10Mo(%)+
5W(%)≦110%の規定によりCr量の低下ととも
にMoやWの添加量が増すこととなり経済的に不
利となるばかりか、全面腐食速度が速められ好ま
しくない。MoおよびWは何れも、耐応力腐食割
れ性向上に必須の成分であつてMo(%)+1/2W (%)で規定するのはWがMoに対し原子量が約2
倍であるため、同じ重量%では約1/2の効果をも
つからであるが、この量が8%未満では、Cr≦
30%において式を満足させられないためであ
り、また同じく12%を越える含有はコストの上昇
につながるばかりで、効果の向上は余り期待でき
ない。 次に、本発明鋼のその他の基本成分について簡
単に述べておく。 C:0.10%以下では問題ないが、0.10%を越える
と、粒界応力腐食割れが生じ易くなる。 Si:脱酸剤として必要であるが、1.0%を越える
と熱間加工性の劣化を来たす。 Mn:脱酸成分であり、耐応力腐食割れに対する
悪影響は殆んどないので、2.0%まで許容した。 P:応力腐食割れ感受性を高めるので、0.030%
以下とした。 S:熱間加工性を著しく劣化させるので、0.005
%以下に限定した。 Al:脱酸成分として有効で、0.5%まで添加でき
る。 Cu:耐食性を高める元素であるが、1%を越え
ると熱間加工性に弊害を及ぼす。 CO:耐食性の向上及び固溶強化に有効で、2%
以下でその効果は充分である。 更に必要に応じ使用される選択成分としての
REM,Y,Mg,Ca,Tiは、適量添加が熱間加
工性向上に有効であるが、これが過剰になると熱
間加工性は再び低下する。各上限値の限定はこの
理由による。 次に本発明の実施例を掲げて効果を詳説する。
第1表に示す(1)〜(22)の成分の合金からなるサ
イズ60mm外径×4mm厚の管を製作し、20%の冷間
加工を加えて強度を高め油井管とした。この油井
管から、中心角で60゜に当たる部分を切欠した長
さ(20mm)の管を試験片として採取し、第3図に
示すようにセツトしてボルト・ナツトで管外表面
に0.2%耐力に相当する引張応力を付加し、これ
をH2S分圧を種々に変えたH2S―10気圧CO2―20
%NaCl溶液(温度:300℃)中に1000時間浸漬
し、応力腐食割れの有無を調査した。結果をまと
めて第2表に記す。
れ性に優れた油井管用合金に関する。 近年、油井・天然ガス井は深井戸化の傾向著し
く、産出ガス中に湿潤な硫化水素をはじめ、炭酸
ガスや塩素イオン等腐食性物質が含まれることが
多くなつてきている。このような傾向とともに油
井管の使用条件が苛酷化すると、安定操業上その
腐食対策がより一層重要なこととなる。油井管の
腐食対策としては、インヒビターと呼ばれる腐食
抑制剤を油と共に管に注入し、管表面に皮膜を形
成させる方法が最も一般的なものであるが、この
方法は海上油井のときなど、場合によつては、有
効に活用できないことも多い。このような事態に
対処するため最近では、より高級な耐食性材料が
用いられる傾向があり、ステンレス鋼をはじめ、
インコロイやハステロイ(いずれも商品名)とい
つた高合金鋼の採用も検討されはじめている。 しかしながらいまのところ、H2S―CO2―Cl-
の油井環境については、その腐食挙動など詳細な
ところは十分な解明に至つておらず、この環境下
での腐食と鋼成分の関連についても、僅かに既存
の高合金鋼に適性を実地テストなどによつて調査
確認するといつたレベルの研究がなされているに
過ぎない。 本発明は、このきわめて腐食性のつよい、H2S
―CO2―Cl-の油井環境下、特に200℃以上の悪環
境においても優れた耐久性を発揮する油井管用合
金の提供を目的とするものである。 すなわち本発明の要旨とするところは、C0.1
%以下、Si1.0%以下、Mn2.0%以下、P0.030%以
下、S0.005%以下、A0.5%以下、Cr15〜30
%、Ni30〜60%に、MoとWの何れか一方または
双方を下式、を満足する範囲で含有し、Cu1
%以下または更にCo2%以下を含みまたは含ま
ず、更に場合によつては希土類元素0.10%以下、
Y0.20%以下、Mg0.10%以下、Ca0.10%以下、
Ti0.5%以下のうち1種または2種以上を含有
し、残部は実質的にFeよりなることを特徴とす
る耐応力腐食割れ性に優れた油井管用合金 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧110% …… 8%≦Mo(%)+1/2W(%)≦12%…… にある。 本発明者らの詳細な実験、研究によれば、H2S
―CO2―Cl-環境下における腐食の主たるものは
応力腐食割れであるが、この場合の応力腐食割れ
は、一般の場合のステンレス鋼のそれとは挙動を
全く異にするものであり、一般の応力腐食割れが
Cl-の存在と深く係わるものであるのに対し、上
記油井環境によるものではCl-もさることなが
ら、それ以上にH2Sの影響が大きいという事実が
明らかとなつた。一方、油井管として実用に供さ
れる鋼管は一般に、強度上の必要から冷間加工が
実施されるが、冷間加工は上記応力腐食割れに対
する抵抗性を著しく阻害するということもまた、
本発明者らの研究から判明した。 かかる研究結果を基に本発明者らは、冷間加工
材としてH2S存在下での応力腐食割れに対する高
い抵抗性が得られる材料の開発を意図して実験、
研究を更に進め、その結果、高濃度H2Sを含み、
とくに使用温度200℃をこえる腐食環境でも著し
く優れた耐久性を発揮する冷間加工材が得られる
合金材料の開発に至つたものである。 H2S―CO2―Cl-環境での合金の溶出(腐食)
は、Cr,Ni,MoおよびW量に依存する。すなわ
ち、耐食性はこれらの元素からなる表面皮膜によ
つて確保されるものであり、この表面皮膜中のこ
れら元素の含有バランスが耐食性を左右する最も
重要な因子となる。上記の油井環境下での応力腐
食割れに対しては、MoはCrの10倍の効果があ
り、またWはCrの5倍の効果をもつており、こ
のMoおよびWが前記、式を満たすととも
に、Crが15〜30%、Niが30〜60%の範囲にあれ
ば、応力腐食割れに対し優れた抵抗性を有する耐
食性皮膜の得られることが、本発明者らの実験に
より明らかとなつた。またNiについては、組織
的にも耐食性を高める効果があり、上記Niの範
囲は、この点をも考慮したものである。 第1図は、上記油井環境下での耐応力腐食割れ
抵抗性とCr(%)+10Mo(%)+5W(%)、Ni量
との関係を示す。このデータは、成分元素の添加
量を種々変化させたCr―Ni―Mo系またはCr―Ni
―Mo―W系の合金を溶製し、鍛伸、そして7mm
厚まで熱延した後、1050℃で30分保持、水冷とい
う固溶化処理を行ない、その後強度向上の目的で
30%の冷間加工を加え、得られた板材から圧延方
向と直角に2mm厚、10mm巾、75mm長の試験片を採
取し、応力腐食割れ試験を実施した結果に基く。 応力腐食割れ試験としては、第2図に示す3点
支持ビーム治具を用いて上記試験片に0.2%耐力
に相当する引張応力を付加し、10気圧H2S、10気
圧CO2でH2S、CO2を飽和させた20%NaCl溶液
(温度300℃)中に1000時間浸漬し、割れ発生の有
無を観察する方法によつた。図中、〇:割れ発生
なし、×:割れ発生、をそれぞれ示す。 同図に明らかな如く、Cr(%)+10Mo(%)+
5W(%)が110%未満、またはNiが30%未満では
応力腐食割れ抵抗が不十分である。因みに、Ni
を60%以下としたのは、この値を越えて含有して
も効果の向上は認められず、経済的不利を招くば
かりである。 この他、本発明合金の特徴的な成分の限定理由
としては、 Crは応力腐食割れ抵抗性を高める成分である
が、熱間加工性を劣化させるので30%以下とする
必要があるが、15%未満としても熱間加工性は殆
んど改善されず、式のCr(%)+10Mo(%)+
5W(%)≦110%の規定によりCr量の低下ととも
にMoやWの添加量が増すこととなり経済的に不
利となるばかりか、全面腐食速度が速められ好ま
しくない。MoおよびWは何れも、耐応力腐食割
れ性向上に必須の成分であつてMo(%)+1/2W (%)で規定するのはWがMoに対し原子量が約2
倍であるため、同じ重量%では約1/2の効果をも
つからであるが、この量が8%未満では、Cr≦
30%において式を満足させられないためであ
り、また同じく12%を越える含有はコストの上昇
につながるばかりで、効果の向上は余り期待でき
ない。 次に、本発明鋼のその他の基本成分について簡
単に述べておく。 C:0.10%以下では問題ないが、0.10%を越える
と、粒界応力腐食割れが生じ易くなる。 Si:脱酸剤として必要であるが、1.0%を越える
と熱間加工性の劣化を来たす。 Mn:脱酸成分であり、耐応力腐食割れに対する
悪影響は殆んどないので、2.0%まで許容した。 P:応力腐食割れ感受性を高めるので、0.030%
以下とした。 S:熱間加工性を著しく劣化させるので、0.005
%以下に限定した。 Al:脱酸成分として有効で、0.5%まで添加でき
る。 Cu:耐食性を高める元素であるが、1%を越え
ると熱間加工性に弊害を及ぼす。 CO:耐食性の向上及び固溶強化に有効で、2%
以下でその効果は充分である。 更に必要に応じ使用される選択成分としての
REM,Y,Mg,Ca,Tiは、適量添加が熱間加
工性向上に有効であるが、これが過剰になると熱
間加工性は再び低下する。各上限値の限定はこの
理由による。 次に本発明の実施例を掲げて効果を詳説する。
第1表に示す(1)〜(22)の成分の合金からなるサ
イズ60mm外径×4mm厚の管を製作し、20%の冷間
加工を加えて強度を高め油井管とした。この油井
管から、中心角で60゜に当たる部分を切欠した長
さ(20mm)の管を試験片として採取し、第3図に
示すようにセツトしてボルト・ナツトで管外表面
に0.2%耐力に相当する引張応力を付加し、これ
をH2S分圧を種々に変えたH2S―10気圧CO2―20
%NaCl溶液(温度:300℃)中に1000時間浸漬
し、応力腐食割れの有無を調査した。結果をまと
めて第2表に記す。
【表】
【表】
上表には、熱間加工段階での割れ発生
の有無も併記した。
H2Sの分圧が比較的低いところでは、従来既存
の鋼からなる比較例(19)〜(22)は何れもH2S
分圧が0.1気圧で既に応力腐食割れを生じる。し
かるに本発明合金からなるもの(1)〜(12)は、20気圧
のH2S分圧下でも割れの発生は一切認められず、
本発明合金の応力腐食割れに対する有効性が証明
された。 因みに、比較例(13)はNiおよびCr(%)+
10Mo(%)+5W(%)が、同じく(14)はCr
(%)+10Mo(%)+5W(%)の値が本発明範囲
を下廻るため、環境温度:300℃では耐応力腐食
割れ性が不足する。なお、比較例(20)はCrが
高すぎるために、(16)はSが高すぎるから、更
に(17),(18)はCuを含まずしかもREM,Y,
Ca,Mg,Tiの選択成分のうち何れかが高すぎる
ため、それぞれ熱間加工性が悪く、ビレツト製造
時に割れが入り、管の製造は事実上不可能であつ
た。 以上の説明から明らかなように本発明合金は、
きわめて腐食性のつよいH2S―CO2―Cl-の油井
環境にあつて従来の高合金鋼を遥かに上廻る応力
腐食割れ抵抗性を示す冷間加工材が得られる材料
であるから、条件の苛酷な油井管に用いてその耐
用寿命の飛躍的な向上が期待できるものである。
の有無も併記した。
H2Sの分圧が比較的低いところでは、従来既存
の鋼からなる比較例(19)〜(22)は何れもH2S
分圧が0.1気圧で既に応力腐食割れを生じる。し
かるに本発明合金からなるもの(1)〜(12)は、20気圧
のH2S分圧下でも割れの発生は一切認められず、
本発明合金の応力腐食割れに対する有効性が証明
された。 因みに、比較例(13)はNiおよびCr(%)+
10Mo(%)+5W(%)が、同じく(14)はCr
(%)+10Mo(%)+5W(%)の値が本発明範囲
を下廻るため、環境温度:300℃では耐応力腐食
割れ性が不足する。なお、比較例(20)はCrが
高すぎるために、(16)はSが高すぎるから、更
に(17),(18)はCuを含まずしかもREM,Y,
Ca,Mg,Tiの選択成分のうち何れかが高すぎる
ため、それぞれ熱間加工性が悪く、ビレツト製造
時に割れが入り、管の製造は事実上不可能であつ
た。 以上の説明から明らかなように本発明合金は、
きわめて腐食性のつよいH2S―CO2―Cl-の油井
環境にあつて従来の高合金鋼を遥かに上廻る応力
腐食割れ抵抗性を示す冷間加工材が得られる材料
であるから、条件の苛酷な油井管に用いてその耐
用寿命の飛躍的な向上が期待できるものである。
第1図は鋼中NiおよびCr(%)+10Mo(%)+
5W(%)の耐応力腐食割れ性に及ぼす影響を示
す図表、第2図は板材を試験片とする応力腐食割
れ試験機、第3図は管状体の応力腐食割れ試験
片、をそれぞれ示す。
5W(%)の耐応力腐食割れ性に及ぼす影響を示
す図表、第2図は板材を試験片とする応力腐食割
れ試験機、第3図は管状体の応力腐食割れ試験
片、をそれぞれ示す。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 1 C0.1%以下、Si1.0%以下、Mn2.0%以下、
P0.030%以下、S0.005%以下、Al0.5%以下、
Cr15〜30%、Ni30〜60%に、MoとWの何れか一
方または双方を下式、を満足する範囲で含
み、かつCu1%以下を含有し、残部は実質的にFe
よりなることを特徴とする耐応力腐食割れ性に優
れた油井管用合金。 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧110% …… 8%≦Mo(%)+1/2W(%)≦12%…… 2 C0.1%以下、Si1.0%以下、Mn2.0%以下、
P0.030%以下、S0.005%以下、Al0.5%以下、
Cr15〜30%、Ni30〜60%に、MoとWの何れか一
方または双方を下式、を満足する範囲で含
み、かつCu1%以下とCo2%以下とを含有し、残
部は実質的にFeよりなることを特徴とする耐応
力腐食割れ性に優れた油井管用合金。 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧110% …… 8%≦Mo(%)+1/2W(%)≦12%…… 3 C0.1%以下、Si1.0以下、Mn2.0%以下、
P0.030%以下、S0.005%以下、Al0.5%以下、
Cr15〜30%、Ni30〜60%に、MoとWの何れか一
方または双方を下式、を満足する範囲で含
み、かつCu1%以下、Co2%以下を含有し、更に
希土類元素0.10%以下、Y0.20%以下、Mg0.10%
以下、Ca0.10%以下、Ti0.5%以下のうち1種ま
たは2種以上を含み、残部は実質的にFeよりな
ることを特徴とする耐応力腐食割れ性に優れた油
井管用合金。 Cr(%)+10Mo(%)+5W(%)≧110% …… 8%≦Mo(%)+1/2W(%)≦12%……
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2033281A JPS57134545A (en) | 1981-02-13 | 1981-02-13 | Alloy for oil well pipe with superior stress corrosion cracking resistance |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2033281A JPS57134545A (en) | 1981-02-13 | 1981-02-13 | Alloy for oil well pipe with superior stress corrosion cracking resistance |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPS57134545A JPS57134545A (en) | 1982-08-19 |
JPS625975B2 true JPS625975B2 (ja) | 1987-02-07 |
Family
ID=12024176
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2033281A Granted JPS57134545A (en) | 1981-02-13 | 1981-02-13 | Alloy for oil well pipe with superior stress corrosion cracking resistance |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JPS57134545A (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5879619A (en) * | 1996-06-17 | 1999-03-09 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | Hydrogen sulfide corrosion resistant high-Cr and high-Ni alloys |
CN104451331A (zh) * | 2014-11-17 | 2015-03-25 | 柳州市俊杰汽配制造有限公司 | 一种汽车用里程表齿轮 |
Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54110918A (en) * | 1978-02-21 | 1979-08-30 | Cabot Corp | Anticorrosion nickel alloy |
JPS54127830A (en) * | 1978-03-27 | 1979-10-04 | Kobe Steel Ltd | Production of austenitic steel excellent in delayed breakage and high toughness |
-
1981
- 1981-02-13 JP JP2033281A patent/JPS57134545A/ja active Granted
Patent Citations (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS54110918A (en) * | 1978-02-21 | 1979-08-30 | Cabot Corp | Anticorrosion nickel alloy |
JPS54127830A (en) * | 1978-03-27 | 1979-10-04 | Kobe Steel Ltd | Production of austenitic steel excellent in delayed breakage and high toughness |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPS57134545A (en) | 1982-08-19 |
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