JP2620809B2 - 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 - Google Patents

耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法

Info

Publication number
JP2620809B2
JP2620809B2 JP1038956A JP3895689A JP2620809B2 JP 2620809 B2 JP2620809 B2 JP 2620809B2 JP 1038956 A JP1038956 A JP 1038956A JP 3895689 A JP3895689 A JP 3895689A JP 2620809 B2 JP2620809 B2 JP 2620809B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
resistance
stainless steel
temperature
carbon dioxide
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP1038956A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH02217444A (ja
Inventor
明博 宮坂
洋之 小川
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP1038956A priority Critical patent/JP2620809B2/ja
Priority to US07/480,599 priority patent/US5049210A/en
Priority to EP90103026A priority patent/EP0384317A1/en
Publication of JPH02217444A publication Critical patent/JPH02217444A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2620809B2 publication Critical patent/JP2620809B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Preventing Corrosion Or Incrustation Of Metals (AREA)
  • Heat Treatment Of Steel (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は耐高温高塩化イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環
境腐食性,耐応力腐食割れ性の優れたマルテンサイト系
ステンレス鋼およびその製造方法に係り、さらに詳しく
は例えば石油・天然ガスの掘削,輸送および貯蔵におい
て高温、高圧で高塩化物イオン濃度の湿潤炭酸ガスや湿
潤硫化水素を含む環境中で高い腐食抵抗および割れ抵抗
を有する高強度鋼およびその製造方法に関する。
(従来の技術) 近年生産される石油・天然ガス中には、湿潤な炭酸ガ
スを多く含有する場合が増加している。こうした環境中
で炭素鋼や低合金鋼は著しく腐食することがよく知られ
ている。このため、掘削に使用される油井管や輸送に使
用されるラインパイプなどの防食対策として、腐食抑制
剤の添加が従来より行われてきた。しかし、腐食抑制剤
は高温ではその効果が失われる場合が多いことに加え
て、海洋油井や海底パイプラインでは腐食抑制剤の添加
・回収処理に要する費用は膨大なものとなり、適用でき
ない場合が多い。従って、腐食抑制剤を添加する必要の
ない耐食材料に対するニーズが最近とみに高まってい
る。
炭酸ガスを多く含む石油・天然ガス用の耐食材料とし
ては、耐食性の良好なステンレス鋼の適用がまず検討さ
れ、例えばL.J.クライン,コロージョン'84,ペーパーナ
ンバー211にあるように、高強度で比較的コストの安い
鋼としてAISI410あるいは420といった、12〜13%のCrを
含有するマルテンサイト系ステンレス鋼が広く使用され
始めている。しかしながら、これらの鋼は湿潤炭酸ガス
環境ではあっても高温、たとえば130℃以上の環境やCl-
イオン濃度の高い環境では耐食性が充分ではなくなり、
腐食速度が大きいという難点を有する。さらにこれらの
鋼は、石油・天然ガス中に硫化水素が含まれている場合
には著しく耐食性が劣化し、全面腐食や局部腐食、さら
には応力腐食割れ(この場合には硫化物応力割れ、以下
SSCと称する)を生ずるという難点を有している。この
ため上記のマルテンサイト系ステンレス鋼の使用は、例
えばH2S分圧が0.001気圧といった極微量のH2Sを含む
か、あるいは全くH2Sを含まない場合に限られてきた。
これに対し、硫化水素による割れに対する抵抗を増し
たマルテンサイト系ステンレス鋼として、例えば特開昭
60−174859号公報、特開昭62−54063号公報にみられる
鋼が提案されている。しかし、これらの鋼も硫化水素に
よる割れを完全に防止した訳ではなく、また高価な合金
元素であるニッケルを多量に使用するためコストが高い
という難点を有している。
(発明が解決しようとする課題) 本発明はこうした現状に鑑み、高温や高Cl-イオン濃
度の高圧炭酸ガス環境でも充分な耐食性を有し、硫化水
素を含む場合においてもSSCに対して高い割れ抵抗を有
する安価なマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製
造方法を提供することを目的としている。
(課題を解決するための手段) 本発明者らは、上記の目的を達成すべくマルテンサイ
ト系ステンレス鋼の成分を種々検討してきた結果、つい
に以下の知見を見出すに至った。
まず、Crを8〜14%含有する鋼中にCuを添加すると湿
潤炭酸ガス環境中における腐食速度が著しく小さくなる
ことを見出した。そしてこのCuの添加効果は、添加量を
1.2%以上とすると顕著であることを見出した。また、C
uを1.2%以上添加した場合において、C量を0.02%未満
に低減すると湿潤炭酸ガス環境中における腐食性がさら
に改善され、200℃以上の高温、40気圧まで使用が可能
になることが分かった。CuはNiに比べるとはるかに安価
な元素であるので、1.2%以上を添加しても材料コスト
の上昇は少ないのである。一方、Cuを1.2%以上添加し
Cを0.02%未満に低減させた鋼にNを0.01%以上含有さ
せると一段と高強度が得られることが分かった。このと
きかかる成分を有する鋼は硫化水素を含む環境において
もSSCに対して高い割れ抵抗を有するという新知見も得
られた。
さらに本発明者らは検討をすすめ、Cuを1.2%以上添
加し、Cを0.02%未満に低減し、Nを0.01%以上添加し
た鋼中のPを0.025%以下に低減しSを0.015%以下に低
減すると硫化水素を含む環境における割れ抵抗が一段と
改善されることを明らかにした。一方、これらの鋼にNi
およびMoを添加すれば高温あるいは高Cl-イオン濃度の
湿潤高圧炭酸ガス環境での腐食速度を一段と減少できる
ことも見いだした。
本発明は上記の知見に基づいてなされたものであり、 第1発明の要旨とするところは、重量%で、Cr8〜14
%,Cu1.2〜5%、Si1%以下,Mn2%以下,Al0.005〜0.2
%,N0.01〜0.15%を含有し、Cを0.02%未満に低減し、
残部Feおよび不可避不純物からなることを特徴とする15
0℃以上の高温かつ高塩化物イオン濃度の湿潤で40気圧
までの高圧炭酸ガス環境下における耐腐食性に優れると
共に耐い応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト
系ステンレス鋼にあり、 第2発明の要旨とするところは、第1発明の鋼におい
て不可避不純物のうち、重量%で、Pを0.025%以下,S
を0.015%以下に低減したことを特徴とする耐高温高塩
化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性,耐応力腐
食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼
にあり、 第3発明の要旨とするところは、第1発明および第2
発明の各鋼において、重量%で、Ni4%以下、Mo2%以
下,W4%以下のうち1種または2種以上を含有すること
を特徴とする耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガ
ス環境腐食性,耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテ
ンサイト系ステンレス鋼にあり、 第4発明の要旨とするところは、第1発明、第2発明
および第3発明の各鋼において、重量%で、Ti0.2%以
下,Zr0.2%以下,Nb0.5%以下,V0.5%以下,Ta0.2%以下,
Hf0.2%以下,のうち1種または2種以上を含有するこ
とを特徴とする耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸
ガス環境腐食性,耐応力腐食割れ性の優れた高強度マル
テンサイト系ステンレス鋼にあり、 第5発明の要旨とするところは、第1発明、第2発
明、第3発明および第4発明の各鋼において、重量%
で、Ca0.008%以下,希土類元素0.02%以下,のうち1
種または2種を含有することを特徴とする耐高温高塩化
物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性,耐応力腐食
割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼に
あり、 第6発明の要旨とするところは、第1発明、第2発
明、第3発明、第4発明および第5発明の各鋼を製造す
るのに、その組成鋼を920〜1100℃でオーステナイト化
した後、空冷以上の冷却速度で冷却し、次いで580℃以
上AC1温度以下の温度で焼戻し処理を施した後、空冷以
上の冷却速度で冷却することを特徴とする耐高温高塩化
物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性,耐応力腐食
割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼の
製造方法にある。
なお、本発明において、150℃以上の高温かつ高塩化
物イオン濃度の湿潤で40気圧までの高圧炭酸ガス環境下
における耐腐食性に優れるとは、試験温度150℃以上の
オートクレーブ中で炭酸ガス分圧40気圧の条件で10%Na
Cl水溶液中に30日間浸漬して試験前後の重量変化から算
出した腐食速度が0.1mm/y以下で評価できる。
(作 用) 以下に本発明で成分および熱処理条件を限定した理由
を述べる。
C:Cは多量に存在すると高温、高塩化物イオン濃度、
高圧の湿潤炭酸ガス環境腐食性(以下、本特性を簡略化
のために単に耐食性と略称する)を低下させ、硫化水素
の存在する環境におけるSSC抵抗を減少させる。従っ
て、Cを低減するこれらの特性の改善に効果があるが、
C量を0.02%未満とすると銅に後述するCuを多量に添加
することによって特にその効果が著しく、0.02%以上存
在する場合には耐食性を著しく低下させることから、C
量は0.02%未満に限定する。
Si:脱酸のために必要な元素であるが、1%を超えて
添加すると耐食性を著しく低下させることから、上限含
有量は1%とすべきである。
Mn:脱酸および強度確保のために有効な元素である
が、2%を超えて添加するとその効果は飽和するので、
上限含有量は2%とする。
Cr:Crはマルテンサイト系ステンレス鋼を構成するも
っとも基本的かつ必須の元素であって耐食性を付与する
ために必要な元素であるが、含有量が8%未満では耐食
性が充分ではなく、一方14%を超えて添加すると他の合
金元素をいかに調整しても高温に加熱したときにオース
テナイト単相になり難く強度確保が困難になるので上限
含有量は14%とすべきである。
Cu:Cuは高温かつ高塩化物イオン濃度の湿潤高圧炭酸
ガス環境におけるマルテンサイト系ステンレス鋼の腐食
速度を著しく減少させ、CおよびNの含有量を調整する
ことによって硫化水素を含む環境におけるSSC感受性を
顕著に低下させる極めて有用な元素であるが、含有量が
1.2%未満ではこれらの効果が不充分であり、5%を超
えて添加してもその効果は飽和するばかりか冷却後にオ
ーステナイトを生成して強度を低下させるようになるの
で、1.2〜5%の範囲に限定する。
Al:脱酸のために必要な元素であって含有量が0.005%
未満ではその効果が充分ではなく、0.2%を超えて添加
すると粗大な酸化物系介在物が鋼中に残留して硫化水素
中での割れ抵抗を低下させるので、含有量範囲は0.005
〜0.2%とした。
N:Nはマルテンサイト系ステンレス鋼の強度を上昇さ
せる元素として有効であるが、0.01%未満ではその効果
が充分ではなく、0.15%を超えるとCr窒化物を生成して
耐食性を低下させ、また、割れ抵抗をも低下させるの
で、含有量範囲は0.01〜0.15%とした。
以上が本発明における基本的成分であるが、本発明に
おいては必要に応じてさらに以下の元素を添加して特性
を一段と向上させることができる。
P:PはSSC感受性を増加させる元素であるので少ないほ
うが好ましいが、あまりに少ないレベルにまで低減させ
ることはいたずらにコストを上昇させるのみで特性の改
善効果は飽和するものであるから、本発明の目的とする
耐食性、耐応力腐食割れ性を確保するのに必要充分なほ
ど少ない含有量として0.025%以下に低減すると耐応力
腐食割れ性が一段と改善される。
S:SはPと同様に、SSC感受性を増加させる元素である
ので少ないほうが好ましいが、あまりに少ないレベルに
まで低減させることはいたずらにコストを上昇させるの
みで特性の改善効果は飽和するものであるから、本発明
の目的とする耐食性、耐応力腐食割れ性を確保するのに
必要充分なほど少ない含有量として0.015%以下に低減
すると耐応力腐食割れ性が一段と改善される。
Ni:Niは1.2%以上のCuと共存して高温かつ高塩化物イ
オン濃度の湿潤高圧炭酸ガス環境の耐食性をさらに改善
するのに効果があるが、4%を超えて添加してもその効
果は飽和するばかりか、逆に硫化水素含有環境における
SSC抵抗を低下させるようになるので上限含有量は4%
とする。
Mo:Moは1.2%以上のCuと共存して高温かつ高塩化物イ
オン濃度の湿潤高圧炭酸ガス環境の耐食性を改善するの
に効果があるが、2%を超えて添加してもその効果は飽
和するばかりか、靭性など他の特性を低下させるように
なるので上限含有量は2%とする。
W:Wも1.2%以上のCuと共存して高温かつ高塩化物イオ
ン濃度の湿潤高圧炭酸ガス環境の耐食性を改善するのに
効果があるが、4%を超えて添加してもその効果は飽和
するばかりか、靭性など他の特性を低下させるようにな
るので上限含有量は4%とする。
V,Ti,Nb,Ta,Zr,Hf:V,Ti,Nb,Ta,Zr,Hfは耐食性を一段
と向上させるのに有効な元素であるが、Ti,Zr,Ta,Hfで
は0.2%、V,Nbでは0.5%をそれぞれ超えて添加すると粗
大な析出物・介在物を生成して硫化水素含有環境におけ
るSSC抵抗を低下させるようになるので上限含有量はTi,
Zr,Ta,Hfでは0.2%、V,Nbでは0.5%とした。
Ca,希土類元素:Caおよび希土類元素(REM)は熱間加
工性の向上、耐食性の向上に効果のある元素であるが、
Caでは0.008%を超えて、希土類元素では0.02%を超え
て添加すると、それぞれ粗大な非金属介在物を生成して
逆に熱間加工性および耐食性を劣化させるので、上限含
有量はCaでは0.008%、稀土類元素では0.02%とした。
上記の成分を有するステンレス鋼を熱処理してマルテ
ンサイト組織とし所定の強度を付与するに際し、オース
テナイト化温度を920〜1100℃としたのは、920℃より低
い温度ではオーステナイト化が充分ではなく従って必要
な強度を得ることが困難だからであり、オーステナイト
化温度が1100℃を超えると結晶粒が著しく粗大化して硫
化水素含有環境におけるSSC抵抗が低下するようになる
ので、オーステナイト化温度は920〜1100℃とした。
オーステナイト化後の冷却における冷却速度を空冷以
上の冷却速度としたのは、空冷よりも遅い冷却速度では
マルテンサイトが充分生成せず、所定の強度を確保する
ことが困難になるからである。
焼戻し温度を580℃以上Ac1温度以下としたのは、焼戻
し温度が580℃未満では充分な焼戻しが行われず、焼物
し温度がAc1温度を超えると一部がオーステナイト化し
その後の冷却時にフレッシュ・マルテンサイトを生成
し、いずれも充分に焼戻しされていないマルテンサイト
が残留するために硫化水素含有環境におけるSSC感受性
を増加させるためである。
焼戻し後の冷却における冷却速度を空冷以上の冷却速
度としたのは、空冷よりも遅い冷却速度では靭性が低下
するためである。
本発明鋼は、通常の熱間圧延によって鋼板として使用
することが可能であるし、熱間押出あるいは熱間圧延に
よって鋼管として使用することも可能であるし、棒ある
いは線として使用することもも勿論可能である。本発明
鋼は、油井管あるいはラインパイプとしての用途のほ
か、バルブやポンプの部品としてなど多くの用途があ
る。
(実施例) 以下に本発明の実施例について説明する。
第1表に示す成分のステンレス鋼を溶製し、熱間圧延
によって厚さ12mmの鋼板とした後、第1表に併せて示す
条件で焼入れ焼戻し処理を施していずれも0.2%オフセ
ット耐力が56kg/mm2以上の高強度ステンレス鋼とした。
次にこれらの鋼材から試験片を採取して湿潤炭酸ガス環
境における腐食試験、および硫化水素含有環境における
SSC試験を行った。湿潤炭酸ガス環境における腐食試験
としては、厚さ3mm,幅15mm,長さ50mmの試験片を用い、
試験温度150℃および200℃のオートクレーブ中で炭酸ガ
ス分圧40気圧の条件で10%NaCl水溶液中に30日間浸漬し
て、試験前後を重量変化から腐食速度を算出した。腐食
速度の単位はmm/yで表示したが、一般的にある環境にお
けるある材料の腐食速度が0.1mm/y以下の場合、材料は
充分耐食的であり使用可能であると考えられている。硫
化水素含有環境におけるSSC試験としては、NACE(米国
腐食技術者協会)の定めている標準試験法であるNACE規
格TMO177に従って試験した。即ち、1気圧の硫化水素を
飽和させた5%NaCl+0.5%酢酸水溶液にセットした試
験片に一定の単軸引張応力を負荷し、720時間以内に破
断するか否か、を調べた。試験応力は各鋼材の0.2%オ
フセット耐力の60%の値とした。
試験結果を第1表に併せて示した。第1表のうち、腐
食試験結果において◎は腐食速度が0.05mm/y未満、○は
腐食速度が0.05mm/y以上0.10mm/y未満、×は腐食速度が
0.1mm/y以上0.5mm/y未満、××は腐食速度が0.5mm/y以
上、であったことをそれぞれ表わしており、SSC試験結
果において◎は破断しなかったもの、×は破断したもの
をそれぞれ表わしている。なお、第1表において比較鋼
のNo.29はAISI420鋼であり、No.30は9Cr−1Mo鋼であっ
て、いずれも従来から湿潤炭酸ガス環境で使用されてい
る従来鋼である。
第1表から明らかなように本発明鋼である鋼No.1〜28
は、湿潤炭酸ガス環境において200℃という従来のマル
テンサイト系ステンレス鋼では考えられないような高温
で、かつ10%NaClというCl-イオン濃度が非常に高い環
境であっても、実用的に使用可能な腐食速度である0.1m
m/yよりも腐食速度が小さく、かつ硫化水素含有環境に
おけるSSC試験においても破断していないことから、優
れた耐食性と耐応力腐食割れ性を有していることが分か
る。これに対して比較鋼である鋼No.29〜34は湿潤炭酸
ガス環境において150℃でも既に腐食速度が0.1mm/yを大
きく上回っており、かつ硫化水素含有環境におけるSSC
試験において破断している。
(発明の効果) 以上述べたように、本発明は高温かつ高塩化物イオン
濃度の湿潤高圧炭酸ガス環境における優れた耐食性と湿
潤硫化水素による割れに対して高い割れ抵抗を有する鋼
およびその製造方法を提供することを可能としたもので
あり、産業の発展に貢献するところ極めて大である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭59−173245(JP,A) 特開 昭62−103319(JP,A) 特開 昭60−174859(JP,A) 特公 昭51−13463(JP,B2)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重量%で、 Cを0.02%未満に低減し、 Si:1%以下、 Mn:2%以下、 Cr:8〜14%、 Cu:1.2〜5%、 Al:0.005〜0.2%、 N:0.01〜0.15% を含有し、残部Feおよび不可避不純物からなることを特
    徴とする150℃以上の高温かつ高塩化物イオン濃度の湿
    潤で40気圧までの高圧炭酸ガス環境下における耐腐食性
    に優れると共に耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテ
    ンサイト系ステンレス鋼。
  2. 【請求項2】付加成分として、不可避不純物のうち、重
    量%で、 Pを0.025%以下, Sを0.015%以下 に低減したことを特徴とする請求項1記載の耐高温高塩
    化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐
    食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス
    鋼。
  3. 【請求項3】付加成分として、重量%で、 Ni:4%以下、 Mo:2%以下、 W:4%以下 のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
    請求項1または2記載の耐高温高塩化物イオン濃度湿潤
    高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高
    強度マルテンサイト系ステンレス鋼。
  4. 【請求項4】付加成分として、重量%で、 V:0.5%以下、 Ti:0.2%以下、 Nb:0.5%以下、 Zr:0.2%以下、 Ta:0.2%以下、 Hf:0.2%以下 のうち1種または2種以上を含有することを特徴とする
    請求項1、2または3の何れかに記載の耐高温高塩化物
    イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割
    れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼。
  5. 【請求項5】付加成分として、重量%で、 Ca:0.008%以下、 希土類元素:0.02%以下 のうち1種または2種を含有することを特徴とする請求
    項1、2、3または4の何れかに記載の耐高温高塩化物
    イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割
    れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼。
  6. 【請求項6】請求項1、2、3、4または5の何れかに
    記載のマルテンサイト系ステンレス鋼を製造するのに、
    その組成鋼を920〜1100℃でオーステナイト化した後、
    空冷以上の冷却速度で冷却し、次いで580℃以上Ac1温度
    以下の温度で焼戻し処理を施した後、空冷以上の冷却速
    度で冷却することを特徴とする耐高温高塩化物イオン濃
    度湿潤高圧炭酸ガスの環境腐食性、耐応力腐食割れ性の
    優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼の製造方
    法。
JP1038956A 1989-02-18 1989-02-18 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法 Expired - Lifetime JP2620809B2 (ja)

Priority Applications (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1038956A JP2620809B2 (ja) 1989-02-18 1989-02-18 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
US07/480,599 US5049210A (en) 1989-02-18 1990-02-15 Oil Country Tubular Goods or a line pipe formed of a high-strength martensitic stainless steel
EP90103026A EP0384317A1 (en) 1989-02-18 1990-02-16 Martensitic stainless steel and method of heat treatment of the steel

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP1038956A JP2620809B2 (ja) 1989-02-18 1989-02-18 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH02217444A JPH02217444A (ja) 1990-08-30
JP2620809B2 true JP2620809B2 (ja) 1997-06-18

Family

ID=12539638

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP1038956A Expired - Lifetime JP2620809B2 (ja) 1989-02-18 1989-02-18 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2620809B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2689207B2 (ja) * 1992-02-07 1997-12-10 新日本製鐵株式会社 湿潤耐食性の優れた内燃機関排気系用鋼
JP3444008B2 (ja) * 1995-03-10 2003-09-08 住友金属工業株式会社 耐炭酸ガス腐食性及び耐硫化物応力腐食割れ性の優れたマルテンサイトステンレス鋼
KR100415918B1 (ko) * 1996-11-22 2004-04-17 주식회사 포스코 13%Cr마르텐사이트계스테인리스강의열처리방법
JP3262807B2 (ja) * 1997-09-29 2002-03-04 住友金属工業株式会社 耐湿潤炭酸ガス腐食性と耐海水腐食性に優れた油井管用鋼および継目無油井管
US6793744B1 (en) * 2000-11-15 2004-09-21 Research Institute Of Industrial Science & Technology Martenstic stainless steel having high mechanical strength and corrosion
JP6303878B2 (ja) * 2014-07-02 2018-04-04 新日鐵住金株式会社 マルテンサイト系Cr含有鋼材
ES2811140T3 (es) 2015-04-21 2021-03-10 Jfe Steel Corp Acero inoxidable martensítico
CN105002422B (zh) * 2015-07-13 2017-01-04 苏州金业船用机械厂 一种高硬度抗压型螺旋桨叶片

Family Cites Families (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS599835B2 (ja) * 1974-07-24 1984-03-05 シャープ株式会社 湿気交換体の製造方法
JPS62103319A (ja) * 1982-02-19 1987-05-13 Kawasaki Steel Corp 高強度かつ耐食性,耐応力腐食割れ性及び耐硫化物割れ性の優れたステンレス鋼材の製造方法
JPS59173245A (ja) * 1983-03-24 1984-10-01 Sumitomo Metal Ind Ltd 耐食性のすぐれた油井管用鋼
JPS60174859A (ja) * 1984-02-20 1985-09-09 Kawasaki Steel Corp 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼

Also Published As

Publication number Publication date
JPH02217444A (ja) 1990-08-30

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US5049210A (en) Oil Country Tubular Goods or a line pipe formed of a high-strength martensitic stainless steel
RU2698235C1 (ru) Двухфазная нержавеющая сталь и способ её изготовления
JP3608743B2 (ja) 熱間加工性に優れた耐硫化物応力割れ性を有するマルテンサイト系ステンレス鋼
KR20050044557A (ko) 슈퍼 오스테나이트계 스테인레스강
US5017246A (en) Martensitic stainless steels excellent in corrosion resistance and stress corrosion cracking resistance and method of heat treatment of the steels
US5167731A (en) Martensitic stainless steel for an oil well
JP2003525354A (ja) 2相ステンレス鋼
JP6950851B1 (ja) 油井用高強度ステンレス継目無鋼管
US5985209A (en) Martensitic steel for line pipe having excellent corrosion resistance and weldability
JP2791804B2 (ja) 高強度かつ耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼
JP2620809B2 (ja) 耐高温高塩化物イオン濃度湿潤高圧炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ性の優れた高強度マルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP2742948B2 (ja) 耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JPH04214843A (ja) オ−ステナイト ステンレス スチ−ル
JP2602319B2 (ja) 高強度かつ耐高温高塩化物イオン濃度湿潤炭酸ガス環境腐食性、耐応力腐食割れ別の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP2742949B2 (ja) 耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JPS6261107B2 (ja)
JP2745070B2 (ja) 高強度かつ耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP7111253B2 (ja) ステンレス継目無鋼管およびその製造方法
JP3201081B2 (ja) 油井用ステンレス鋼およびその製造方法
JPH0375339A (ja) 高強度かつ耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JP2001107198A (ja) 耐ssc性に優れたマルテンサイト系ステンレス鋼ラインパイプおよびその製造方法
JPH0762499A (ja) 油井管用マルテンサイト系ステンレス鋼
JPH0375338A (ja) 耐食性の優れたマルテンサイト系ステンレス鋼およびその製造方法
JPH02290947A (ja) 耐サワー性の優れた高靭性電縫鋼管用鋼板
JPH0633194A (ja) 耐食性に優れた高強度油井管用鋼

Legal Events

Date Code Title Description
FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20080404

Year of fee payment: 11

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20090404

Year of fee payment: 12

EXPY Cancellation because of completion of term