JP2016029213A - ステンレス鋼およびステンレス鋼管 - Google Patents
ステンレス鋼およびステンレス鋼管 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2016029213A JP2016029213A JP2015141209A JP2015141209A JP2016029213A JP 2016029213 A JP2016029213 A JP 2016029213A JP 2015141209 A JP2015141209 A JP 2015141209A JP 2015141209 A JP2015141209 A JP 2015141209A JP 2016029213 A JP2016029213 A JP 2016029213A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- less
- stainless steel
- corrosion
- amount
- corrosion resistance
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Ceased
Links
Images
Abstract
Description
Cr+3Si+70N−400C≧24.0・・・(1)
式(1)において、Cr、Si、N、Cは、質量%での各元素の鋼中含有量を示す。
(a)Bを0%超0.05%以下
(b)CaおよびMgの少なくとも1種を、合計で0%超0.010%以下
(c)Ti:0%超0.05%以下、およびZr:0%超0.10%以下の少なくとも1種
Cは、固溶強化により強度を向上させる元素である。該効果を得るには、C量を0.003%以上含有させてもよい。しかしながらCは、廃棄物ボイラーやバイオマスボイラー等の使用温度である400℃〜600℃の温度域において、Crと結合しクロム炭化物を形成する。その結果、保護皮膜として作用するCr2O3形成のためのCr量が減少し、耐廃棄物灰腐食性の低下を招く。この現象は、C量が0.030%超で顕著となる。よって本発明ではC量の上限値を0.030%以下とした。より優れた耐廃棄物灰腐食性を得るには、C量を0.025%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.021%以下、更に好ましくは0.018%以下である。
Siは、母相と、保護皮膜として作用するCr2O3との界面に、緻密なSiO2を形成し、外部から侵入する酸素や硫黄、塩素の内方拡散を抑制し、耐廃棄物灰腐食性や耐水蒸気酸化特性の向上に寄与する元素である。またSiは脱酸に有用な元素でもある。該効果を発揮させるには、Siを0.10%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.20%以上、更に好ましくは0.30%以上である。しかしながら、Siが2.0%を超えて過剰に含まれると、σ相の形成が促進し靭性が低下する。よってSiの上限値を2.0%以下とした。Si量は、好ましくは2.0%未満、より好ましくは1.6%以下、更に好ましくは1.50%以下である。
Mnは、脱硫作用を示し、熱間加工性を改善する元素である。またオーステナイト相安定化の効果を示す元素でもある。これらの効果を発揮させるには、Mn量を0.5%以上含有させることが好ましく、より好ましくは0.80%以上である。しかしMnが2.0%を超えて過剰に含まれると、金属間化合物の形成を促進し、脆化を招く。よって本発明ではMn量を2.0%以下とする。Mn量は、好ましくは1.90%以下、より好ましくは1.80%以下である。
Pは、不可避不純物として混入する元素であり、過剰に含まれると溶接性が低下する。よってP量は0.045%以下に抑える。P量は、好ましくは0.035%以下、より好ましくは0.030%以下である。尚、P量は少ないほど好ましいが、ゼロとすることは困難であるため下限は0%超である。
Sも、Pと同様に不可避不純物として混入する元素である。Sが過剰に含まれると熱間加工性が悪化する。よってS量の上限を0.03%以下とした。S量は、好ましくは0.02%以下、より好ましくは0.01%以下、更に好ましくは0.005%以下である。尚、S量は少ないほど好ましいが、ゼロとすることは困難であるため下限は0%超である。
Crは、耐廃棄物灰腐食性を向上させるための重要な元素である。具体的には、保護皮膜として作用するCr2O3の主成分であることから、多量のCrにより強固な保護皮膜が形成され、この保護皮膜により酸素、硫黄、塩素の内方拡散が抑えられると考えられる。該効果を発揮させるため、Crを22%以上含有させる。Cr量は、好ましくは24%以上である。一方、Cr量が27%を超えると、オーステナイト安定化のために必要なNi含有量が増加し、コスト高を招く。またCrは、脆化の原因となるσ相の析出を促進させる元素でもある。よってCr量の上限は27%以下とした。Cr量は、好ましくは26.5%以下である。
Niは、オーステナイト相の安定化や、灰成分に塩分が含まれる環境下での耐食性向上に寄与すると共に、σ相の析出を抑制して靭性確保にも寄与する重要な元素である。これらの効果を発揮させるため、Ni量は17%以上とする。Ni量は、好ましくは18.0%以上、より好ましくは18.5%以上、更に好ましくは19.0%以上である。一方、Niは、上述の通り高価な元素であることから、本発明では、コスト低減のためにNi量の上限を21%以下とした。よりコストを低減させる観点から、Ni量は、20.5%以下とすることが好ましく、より好ましくは20.0%以下である。
Oが過剰に含まれると、熱間加工性の劣化や介在物性欠陥の発生を招く。よってO量は極力低い方がよく、本発明では0.02%以下とする。O量は、好ましくは0.015%以下、より好ましくは0.010%以下である。尚、O量は少ないほど好ましいが、ゼロとすることは困難であるため下限は0%超である。
Alは脱酸のために0.001%以上含有させる。Al量は、好ましくは0.002%以上である。しかしながら、Alが0.05%を超えて過剰に含まれると、粒界にAlNが生じて靭性の低下を招く。よってAl量は0.05%以下とする。Al量は、好ましくは0.030%以下、より好ましくは0.020%以下である。
Moは、耐廃棄物灰腐食性を向上させる効果がある。該効果を発揮させるには、Moを0.1%以上含有させることが好ましい。しかしMoは、上述の通り高価な元素であることから、本発明では、コスト低減のためにMoの上限を1.0%以下とした。よりコストを低減させる観点から、Mo量は、好ましくは0.80%以下であり、より好ましくは0.65%以下、更に好ましくは0.60%以下である。
Bは固溶強化により高温強度を向上させる元素である。該効果を発揮させるには、B量を0.001%以上とすることが好ましく、より好ましくは0.002%以上である。一方、B量が過剰になると溶接性が損なわれる。よってB量は、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.01%以下である。
CaやMgは、OやSを固定することで鋼中の清浄度を向上させ、熱間加工性を向上させる効果を有する。この効果を十分に発揮させるには、CaおよびMgの少なくとも1種を、合計で0.001%以上含有させることが好ましく、より好ましくは合計で0.002%以上である。一方、これらの元素が過剰に含まれていても熱間加工性がかえって損なわれる。よって、CaおよびMgの少なくとも1種は、合計で0.010%以下とすることが好ましく、より好ましくは合計で0.005%以下である。
TiやZrは、炭窒化物形成元素であり、高温での使用中に微細な炭窒化物を形成することで高温強度を向上させる元素である。しかしながらこれらの元素は、窒化物の形成傾向が強いことから、耐廃棄物灰腐食性の向上に寄与する固溶N量を低減させ、耐廃棄物灰腐食性の低下を招く場合がある。よって、Ti量は、0.05%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.03%以下である。またZr量は、0.10%以下とすることが好ましく、より好ましくは0.07%以下である。
真空誘導溶解炉を用いて、表1に示す成分組成を満たす20kgの円柱状のインゴットを溶製した。表1中「−」は添加していないことを意味する。
上記供試材を用い、下記の要領で廃棄物灰腐食試験を行って、耐廃棄物灰腐食性の評価を行った。
Claims (7)
- 成分組成が、質量%で、
C:0%超0.030%以下、
Si:0%超2.0%以下、
Mn:0%超2.0%以下、
P:0%超0.045%以下、
S:0%超0.03%以下、
Cr:22〜27%、
Ni:17〜21%、
O:0%超0.02%以下、
Al:0.001〜0.05%、
Mo:0%以上1.0%以下、および
N:0.06〜0.3%
を満たし、残部が鉄および不可避不純物であり、かつ
下記式(1)を満たすことを特徴とするステンレス鋼。
Cr+3Si+70N−400C≧24.0・・・(1)
式(1)において、Cr、Si、N、Cは、質量%での各元素の鋼中含有量を示す。 - 更に、質量%で、Bを0%超0.05%以下含む請求項1に記載のステンレス鋼。
- 更に、質量%で、CaおよびMgの少なくとも1種を、合計で0%超0.010%以下含む請求項1または2に記載のステンレス鋼。
- 更に、質量%で、Ti:0%超0.05%以下、およびZr:0%超0.10%以下の少なくとも1種を含む請求項1〜3のいずれかに記載のステンレス鋼。
- 請求項1〜4のいずれかに記載のステンレス鋼を用いて得られるステンレス鋼管。
- シームレス鋼管である請求項5に記載のステンレス鋼管。
- 廃棄物ボイラー、またはバイオマスボイラーに用いられる請求項5または6に記載のステンレス鋼管。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2015141209A JP2016029213A (ja) | 2014-07-22 | 2015-07-15 | ステンレス鋼およびステンレス鋼管 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2014148720 | 2014-07-22 | ||
JP2014148720 | 2014-07-22 | ||
JP2015141209A JP2016029213A (ja) | 2014-07-22 | 2015-07-15 | ステンレス鋼およびステンレス鋼管 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2016029213A true JP2016029213A (ja) | 2016-03-03 |
Family
ID=55435210
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2015141209A Ceased JP2016029213A (ja) | 2014-07-22 | 2015-07-15 | ステンレス鋼およびステンレス鋼管 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2016029213A (ja) |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS596359A (ja) * | 1982-07-05 | 1984-01-13 | Sanyo Tokushu Seikou Kk | 熱交換器に用いる継目無鋼管用オ−ステナイト系ステンレス鋼 |
JPS59222563A (ja) * | 1983-06-01 | 1984-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐食性に優れたオ−ステナイトステンレス鋼 |
JPS60224764A (ja) * | 1984-04-24 | 1985-11-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高温用n含有オ−ステナイトステンレス鋼 |
JPH08120392A (ja) * | 1994-10-21 | 1996-05-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高効率廃棄物発電ボイラ過熱器管用オーステナイト系耐食合金 |
WO2004111285A1 (ja) * | 2003-06-10 | 2004-12-23 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 水素ガス用オーステナイトステンレス鋼とその製造方法 |
-
2015
- 2015-07-15 JP JP2015141209A patent/JP2016029213A/ja not_active Ceased
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPS596359A (ja) * | 1982-07-05 | 1984-01-13 | Sanyo Tokushu Seikou Kk | 熱交換器に用いる継目無鋼管用オ−ステナイト系ステンレス鋼 |
JPS59222563A (ja) * | 1983-06-01 | 1984-12-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 耐食性に優れたオ−ステナイトステンレス鋼 |
JPS60224764A (ja) * | 1984-04-24 | 1985-11-09 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高温用n含有オ−ステナイトステンレス鋼 |
JPH08120392A (ja) * | 1994-10-21 | 1996-05-14 | Sumitomo Metal Ind Ltd | 高効率廃棄物発電ボイラ過熱器管用オーステナイト系耐食合金 |
WO2004111285A1 (ja) * | 2003-06-10 | 2004-12-23 | Sumitomo Metal Industries, Ltd. | 水素ガス用オーステナイトステンレス鋼とその製造方法 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4946242B2 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手及びオーステナイト系ステンレス鋼溶接材料 | |
TWI526549B (zh) | 肥粒鐵系不鏽鋼 | |
JP4656251B1 (ja) | Ni基合金材 | |
KR102154217B1 (ko) | 용접 구조 부재 | |
JPWO2019168119A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼溶接継手 | |
JPWO2006106944A1 (ja) | オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JPH1088293A (ja) | 粗悪燃料および廃棄物を燃焼する環境において耐食性を有する合金、該合金を用いた鋼管およびその製造方法 | |
JPWO2016204005A1 (ja) | 高Cr系オーステナイトステンレス鋼 | |
JP7135420B2 (ja) | 鋼材 | |
JPH1030140A (ja) | 耐食性と加工性に優れたニッケル基合金 | |
JP4784239B2 (ja) | ティグ溶接用フェライト系ステンレス鋼溶加棒 | |
JP7127355B2 (ja) | 鋼材 | |
JP2015193912A (ja) | オーステナイト系耐熱合金管の製造方法およびその製造方法によって製造されたオーステナイト系耐熱合金管 | |
WO1999009231A1 (fr) | Acier inoxydable austenitique presentant une excellente resistance a la corrosion par l'acide sulfurique et une excellente aptitude au faconnage | |
JP2010031313A (ja) | 耐食オーステナイト系ステンレス鋼 | |
JP4502131B2 (ja) | 熱間加工性に優れた二相ステンレス鋼 | |
KR20180122675A (ko) | 용접 구조 부재 | |
JP7124432B2 (ja) | 鋼材 | |
JP4341757B2 (ja) | 高Cr−耐高温腐食Ni基合金および耐高温腐食部材 | |
JP3470418B2 (ja) | 耐海水腐食性と耐硫化水素腐食性に優れた高強度オーステナイト合金 | |
JP2016029213A (ja) | ステンレス鋼およびステンレス鋼管 | |
JP7218524B2 (ja) | 鋼材 | |
JPH06179952A (ja) | ソーダ回収ボイラ伝熱管用オーステナイトステンレス鋼 | |
JPH05195126A (ja) | ボイラ伝熱管用高耐食合金 | |
JP2817456B2 (ja) | ごみ焼却廃熱ボイラ管用高合金鋼 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
RD01 | Notification of change of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7426 Effective date: 20160217 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20160217 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20180607 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20190417 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20190507 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20190701 |
|
RD02 | Notification of acceptance of power of attorney |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7422 Effective date: 20190806 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20190806 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20191008 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20191125 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20200121 |
|
A045 | Written measure of dismissal of application [lapsed due to lack of payment] |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A045 Effective date: 20200630 |