JPH11289923A - 装飾釣具 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 多量の糸止め塗料を用いることなく、装飾帯
状体を強固に固定して、その解れを防止し、趣のある重
厚な外観を有する装飾釣具を提供する。 【解決手段】 熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリプ
レグシートを芯金に捲回して加圧・焼成して形成された
釣具の外周面に装飾用パイプ１が装着されている。装飾
用パイプ１は、合成樹脂にて形成された管状体２の外周
面に装飾帯状体３を螺旋状に捲回した後に、該帯状体３
の表面から糸止め処理を施して任意の長さに切断するこ
とによって形成される。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、装飾釣具、特に、
表面に装飾帯状体を備えたへら竿等に代表される釣具に
関する。

【０００２】

【従来の技術】実公昭６３−８７７５号公報には、釣
竿、竿掛け、玉網等の釣具の握り部分に、天然の籐やナ
イロン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン等の合成
素材によって籐に類似した外観を有する帯状体（以下、
「装飾帯状体」という）を巻き付けて、滑り止め効果を
発揮したり、趣のある重厚な外観を露呈することが開示
されている（以下、「先行技術１」という）。

【０００３】上述した装飾帯状体を、釣具の中間部分や
玉口部分と称される端部に巻き付けることも知られてい
る。

【０００４】先行技術１における装飾帯状体の巻き付け
は、釣具の所定の位置に通常の糸巻きと同様に巻き付け
た後に、解れ防止のための糸止め処理を施すことによっ
て行われる。しかしながら、先行技術１によれば、装飾
帯状体の巻き始めの部分と巻き終わりの部分において、
巻き付けられたこれらが解けないように、その両端部を
折り返して、巻き付けられた部分の内側に引き入れる処
理を施す必要がある。このような処理を行うと、装飾帯
状体は釣具に巻き付けられる通常の糸に比して太く且つ
厚いため、巻き付けられた部分、特に、装飾帯状体の端
部を引き入れた部分が大きく膨出する。この膨出部分は
釣具の外観を低下させ、釣具の外観を向上させるために
巻き付けられる装飾帯状体の本来の効果を十分に発揮す
ることはできなかった。

【０００５】先行技術１の上述した問題点を解決するた
めに、釣具、例えば、釣竿の竿管に装飾帯状体を巻き付
け、巻き付けられた部分に糸止め塗料を塗布することか
らなる糸止め処理を施した後に、巻き付けられた装飾帯
状体のみに切り込みを入れて、上述した膨出部分を除去
する方法が知られている（以下、「先行技術２」とい
う）。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、先行技
術２においては、上述した切り込みを入れた部分からの
装飾帯状体の解れを防止するためには、多量の糸止め塗
料を用いて装飾帯状体を強固に固定する必要がある。こ
のように多量の糸止め塗料を用いて、強固な糸止め効果
を確保すると、上述した切り込み作業が困難になり、作
業効率が著しく低下し、生産コストが高くなる。

【０００７】本発明の目的は、多量の糸止め塗料を用い
ることなく、装飾帯状体を強固に固定して、その解れを
防止することはもとより、外観を向上させるという装飾
帯状体の本来の効果を十分に発揮して、趣のある重厚な
外観を有する装飾釣具を提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】請求項１の本発明の装飾
釣具は、熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリプレグシ
ートを芯金に捲回して加圧・焼成して形成された釣具の
外周面に対し、合成樹脂にて形成された管状体（２）の
外周面に装飾帯状体（３）を螺旋状に捲回した後に、該
帯状体（３）の表面から糸止め処理を施して任意の長さ
に切断した装飾用パイプ（１）を装着したことを特徴と
する。

【０００９】請求項２の本発明は、請求項１の装飾釣具
において、前記管状体（２）が熱硬化性樹脂を含浸した
補強繊維プリプレグシートを芯金に捲回して加圧・焼成
して形成されていることを特徴とする。

【００１０】請求項３の本発明は、請求項２の装飾釣具
において、前記管状体（３）が前記釣具の少なくとも外
周面を形成するプリプレグシートと同質部材にて形成さ
れていることを特徴とする。

【００１１】請求項４の本発明は、請求項１乃至請求項
３の何れかの装飾釣具において、前記装飾用パイプ
（１）が前記釣具の外周面を形成する合成樹脂と同質部
材からなる樹脂にて装着されていることを特徴とする。

【００１２】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態による装
飾釣具を、図１乃至図３を参照して以下に詳細に説明す
る。

【００１３】本発明の装飾釣具は、へら竿として構成さ
れたもので、竿管Ｒの後端部に、握り部Ｇの先端に隣接
するように装飾用パイプ１が装着されている。

【００１４】竿管Ｒは、従来のへら竿の竿管と同様に、
熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリプレグシートを芯
金に捲回し、これを加圧・焼成することによって形成さ
れる。握り部Ｇは上述した竿管Ｒの後端部に固定されて
いる。

【００１５】装飾用パイプ１は、以下の方法に従って製
造される。

【００１６】先ず、離型処理を施した芯金上に補強繊維
プリプレグシートを捲回する。この補強繊維プリプレグ
シートは、炭素、ガラス、ボロン等を含有した補強繊維
引き揃えシートや織布等にエポキシ、フェノール等の熱
硬化性樹脂を含浸させることによって形成される。

【００１７】次いで、芯金上に捲回された上記プリプレ
グシートの表面上に常法にて加圧テープを巻き付け、こ
れを加熱焼成して長尺の管状体２を形成する。焼成され
た管状体２から芯金を除去し、その後、管状体２の外周
面を研磨する。尚、この管状体２は、装飾用パイプ１が
装着される竿管Ｒの部分に密着状態で嵌合可能な内径を
有するように構成される。そのためには、竿管Ｒの上記
部分の外径と実質的に同一の外径を有する芯金を使用す
ればよい。又、管状体２を形成するための上述した補強
繊維プリプレグシートは、竿管Ｒの少なくとも外周面を
形成するプリプレグシートと同質部材によって形成され
ることが望ましい。

【００１８】次いで、上記管状体２の外周面に装飾帯状
体３を周方向に螺旋状に捲回する。この装飾帯状体３と
しては、籐等の天然素材又はナイロン等の合成素材から
籐に類似した外観を有するよう成形されたものを使用す
る。管状体２の外周面に捲回された装飾帯状体３の端部
３ａは、先行技術１におけると同様に折り返され、巻き
付けられた螺旋状部分の内側に引き入れられる。このよ
うにして装飾帯状体３の端部３ａは仮止めされる（図２
参照）。

【００１９】その後、捲回された装飾帯状体３に、その
表面からウレタン等の糸止め塗料を塗布して、これに糸
止め処理を施す。この糸止め塗料は螺旋状に捲回された
装飾帯状体３の隣接部分間に浸透し、更に、装飾帯状体
３と管状体２との間に到達する。従って、糸止め塗料が
乾燥し、硬化することによって、装飾帯状体３の隣接部
分が相互に強固に接着されると同時に、この装飾帯状体
３は管状体２に接着される。

【００２０】上述した糸止め処理に先立って、管状体２
の外表面上に接着剤を塗布し、これを半乾燥させた状態
で、その上に装飾帯状体３を捲回してもよい。このよう
に管状体２の外表面上に予め接着剤を塗布すれば、装飾
帯状体３を管状体２により強固に接着することができ
る。

【００２１】糸止め処理後、糸止め塗料の乾燥した塗布
面を研磨し、上述した糸止め塗料の塗布工程、乾燥工程
及び研磨工程をこの順序で複数回繰り返し、最後に、研
磨された表面上にクリヤー塗装を施すことが望ましい。

【００２２】上述したようにして、長尺の管状体２の外
表面上に装飾帯状体３を捲回し、塗布工程、乾燥工程、
必要に応じて、研磨工程を行ったものを所定の長さに切
断することによって、複数本の装飾用パイプ１が形成さ
れる。この際、図２に示すように、Ｘ−Ｘ方向の切断を
行って、装飾帯状体３の端部３ａが、巻き付けられた螺
旋状部分の内側に引き入れられることによって形成され
た膨出部３ｂを含む部分を除去する。

【００２３】このようにして形成された装飾用パイプ１
においては、装飾帯状体３の隣接部分が糸止め塗料によ
って相互に強固に接着されているのみならず、この装飾
帯状体３が糸止め塗料によって管状体２にも強固に接着
されているため、その切断工程が施された端部におい
て、装飾帯状体３の解れが生ずることなく、しかも、こ
の切断された装飾用パイプ１は、図２に示す膨出部３ｂ
を含んでいないので、外観が美麗である。

【００２４】上述した装飾用パイプ１は、竿管Ｒの後端
部外周に嵌合され、接着剤で固定され、この装飾用パイ
プ１によって、趣のある豪華な外観が得られる。この接
着剤として、竿管Ｒの外周面を形成する合成樹脂と同質
部材からなる樹脂を使用することが望ましい。

【００２５】上述した実施形態においては、管状体２
は、熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリプレグシート
を芯金に捲回して、加圧・焼成することによって形成さ
れるものとして説明したが、一般に市販されている合成
樹脂製のパイプ、又は、繊維補強合成樹脂製のパイプを
使用してもよい。

【００２６】尚、装飾用パイプ１はへら竿の竿管Ｒの後
端部に装着されたものとして説明したが、玉口形成位置
に装着してもよく、又、竿掛けや玉網の柄等の任意の位
置に装着してもよい。

【００２７】

【発明の効果】本発明の装飾釣具によれば、請求項１に
記載したように、熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリ
プレグシートを芯金に捲回して加圧・焼成して形成され
た釣具の外周面に対し、合成樹脂にて形成された管状体
の外周面に装飾帯状体を螺旋状に捲回した後に、該帯状
体の表面から糸止め処理を施して任意の長さに切断した
装飾用パイプを装着しているので、切断工程を施す際に
装飾用パイプが潰れ難く、装飾帯状体の解れが置き難
く、その結果、その端面が長期間に亘って美麗に維持さ
れる装飾用パイプを備えた装飾釣具を得ることができ
る。

【００２８】又、先行技術２と異なり、カッター等によ
り、釣具に捲回された装飾帯状体に切り込みを入れて、
不要な部分を除去する作業を行う必要がないので、釣具
の表面の損傷を防止することができ、釣具の物性を損な
うことがない。

【００２９】更に、釣具の外周面と装飾帯状体との間に
管状体が介在されるので、この内径を調整するだけで、
種々の外周径を有する釣具に装着可能な装飾用パイプが
得られ、この肉厚を調整するだけで、種々の外周径の装
飾用パイプを得ることができる。

【００３０】しかも、装飾釣具の装飾を予め製造してお
いた装飾用パイプを釣具に装着するのみでできるように
したので、この作業への熟練度を不要にすると共に、こ
の生産性の向上を図ることができる。

【００３１】請求項２に記載したように、請求項１の装
飾釣具において、管状体が熱硬化性樹脂を含浸した補強
繊維プリプレグシートを芯金に捲回して加圧・焼成して
形成されれば、種々の芯金を準備するだけで、種々の内
径を有し、種々の肉厚を有する管状体を極めて容易に製
造でき、装飾用パイプの製造コストの低減を図ることが
できる。

【００３２】請求項３に記載したように、請求項２の装
飾釣具において、管状体が釣具の少なくとも外周面を形
成するプリプレグシートと同質部材にて形成されれば、
釣具の撓みへの影響を最小限に抑えることができると共
に、釣具の撓み等に起因する竿の折損や装飾用パイプの
剥離を防止することができる。

【００３３】請求項４に記載したように、請求項１乃至
請求項３の何れかの装飾釣具において、装飾用パイプが
釣具の外周面を形成する合成樹脂と同質部材からなる樹
脂にて装着されれば、これ等両者を一体に強固に装着で
きる。

【図面の簡単な説明】

【図１】へら竿として構成された本発明の装飾釣具の部
分正面図。

【図２】本発明の装飾釣具における装飾用パイプの製造
工程を示す斜視図。

【図３】本発明の装飾釣具における装飾用パイプの横断
面図。

【符号の説明】

Ａ：装飾釣具 １：装飾用パイプ ２：管状体 ３：装飾帯状体

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 熱硬化性樹脂を含浸した補強繊維プリプ
   レグシートを芯金に捲回して加圧・焼成して形成された
   釣具の外周面に対し、 合成樹脂にて形成された管状体の外周面に装飾帯状体を
   螺旋状に捲回した後に、該帯状体の表面から糸止め処理
   を施して任意の長さに切断した装飾用パイプを装着した
   ことを特徴とする装飾釣具。
2. 【請求項２】 前記管状体が熱硬化性樹脂を含浸した補
   強繊維プリプレグシートを芯金に捲回して加圧・焼成し
   て形成されていることを特徴とする請求項１に記載の装
   飾釣具。
3. 【請求項３】 前記管状体が前記釣具の少なくとも外周
   面を形成するプリプレグシートと同質部材にて形成され
   ていることを特徴とする請求項２に記載の装飾釣具。
4. 【請求項４】 前記装飾用パイプが前記釣具の外周面を
   形成する合成樹脂と同質部材からなる樹脂にて装着され
   ていることを特徴とする請求項１乃至請求項３の何れか
   に記載の装飾釣具。