JPH11273938A - 可撓性磁石シ―トおよびその製造方法 - Google Patents

可撓性磁石シ―トおよびその製造方法

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JPH11273938A
JPH11273938A JP1174999A JP1174999A JPH11273938A JP H11273938 A JPH11273938 A JP H11273938A JP 1174999 A JP1174999 A JP 1174999A JP 1174999 A JP1174999 A JP 1174999A JP H11273938 A JPH11273938 A JP H11273938A
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JP
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magnet sheet
flexible magnet
material powder
thickness
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JP1174999A
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Toshiaki Adachi
敏明 安達
Ryuichi Saga
隆一 嵯峨
Masaru Nakamura
勝 中村
Tetsushu Miyahara
鉄州 宮原
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜でかつ、均一な塗膜厚を有した吸着力の
強い塗布型可撓性磁石シート、およびその製造方法を提
供する。 【解決手段】 強磁性材料粉末を溶剤の存在下、樹脂等
の結合剤と混合分散した塗料を基材の上に塗布、乾燥し
て塗膜を形成し、塗布物の片面もしくは両面から着磁を
施した塗布型可撓性磁石シートを作製することにより、
100μm以下の均一な塗膜厚を持った磁石シートを形
成することが可能となり、さらに強磁性材料として希土
類系磁性材料を用いることで、100μm以下の塗膜厚
でも高い吸着力を持った磁石シートを作製することが出
来る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【0002】
【発明が属する技術分野】本発明は、磁石の磁力による
吸着性を利用した薄膜状の吸着体に関するものであり、
それ自身として着脱可能な薄膜部材として使用され、ま
た他の任意の部材に接着剤、粘着剤等を介して貼付さ
れ、該部材の吸着固定等、またさらにリニアモータ用磁
石、エンコーダ用磁石、磁気センサ、スイッチ等に使用
される薄膜状吸着体およびその製造方法に関する。
【0003】
【従来の技術】可撓性磁石シートとしては、バリウムフ
ェライト、ストロンチウムフェライト等の強磁性体材料
粉末を合成樹脂に混合し、カレンダーロール方式、また
は、押出成形方式にて薄板状に形成して、その薄板に対
してN極とS極とを細い帯状に交互に着磁した、所謂異
方性磁石からなる可撓性を有する可撓性磁石シートが知
られている。これらの磁石シートには例えば紙やフィル
ム等をラミネートして、磁力で吸着可能な表示具等とし
て用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような磁石シート
を機能性シートととして、例えば吸着性を有する印刷用
紙のように使用する時、従来のプリンター用紙の厚さが
0.08 mm程度であることを考えると、紙やフィルム
と同等の取り扱いをしてプリンターによる印刷等が問題
なく使える様にするには、全厚として少なくとも数10
0μm以下、より望ましくは100μm以下の厚さまで
薄膜化する必要がある。
【0005】しかしながら、前記の押し出し成形法によ
って0.5mm以下の薄い磁石を成形することは、押し
出しダイに非常に大きな抵抗を生じて量産が困難であ
り、かつ押し出しダイやシリンダ及びスクリュー等の磨
耗が激しく、また押し出しに大動力を要する等の問題が
あった。またカレンダー法により成形する場合には、良
好な表面性が出にくく、加工中に切れたりする可能性が
ある他、押し圧の大きなカレンダーを必要とする等の問
題があった。このため、これらの製造方法で作製した可
撓性磁石シートでは、磁気層部の厚みを0.1 mm以下
にすることは困難で、シート磁石の全厚を上記の通常の
プリンター用紙程度に設定することは不可能であった。
さらに、厚みの変動も±0.05mm程度と大きくなる
欠点があった。
【0006】また、押出法やカレンダー法で形成される
従来の磁石シートの厚みを、そのまま仮に薄くできたと
しても、従来の強磁性材料をそのまま使用していたので
は、磁性層の膜厚が薄くなった分、磁力による吸着力が
低下して、吸着力の点で十分に実用的なものを作ること
が出来ない。従って従来の押し出し成型法、及びカレン
ダ成型法等による磁石シートは製造方法の点でも、また
使用する強磁性材料の点でも、磁石が薄膜化、軽量化す
るメリットを十分に発揮するものではなく、用途開発も
限られていた。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者らは、上
記の課題を解決すべく鋭意検討を行なった結果、従来の
カレンダ成形方式、押出成形方式で可撓性磁石シートを
製造するのではなく、強磁性材料粉末を樹脂等の結合剤
と混合分散した塗料を、基材の上に塗布して塗膜を形成
することにより、上記課題を解決できることを見い出
し、本発明を完成するに至った。さらにまた強磁性材料
粉末として希土類系強磁性材料を、さらに望ましくはネ
オジム系強磁性材料を用いることにより、塗膜厚をさら
に薄膜化しても磁気吸着力が十分に保持される磁石シー
トを作製することが可能であることを見いだした。
【0008】以下、本発明について詳しく説明する。
【0009】塗布型可撓性磁石シートは、基材の上に強
磁性材料粉末を含有した塗料を塗布した層構成である。
【0010】基材はシート状あるいは板状を呈してお
り、この基材の材料としては、例えば、鉄、銅、アルミ
ニウム等の金属類もしくは、塩化ビニル、ナイロン、セ
ルロースジアセテート、セルローストリアセテート、ポ
リスチレン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリカーボネート等のプラスチック
類、、紙、含浸紙、及びこれらの材料の複合体が挙げら
れ、これ以外であっても塗布物に必要な強度、剛性を有
するものであれば、特に制限なく使用できる。
【0011】強磁性材料粉末としては、Fe−Al−N
i−Co系、BaO・6Fe2O3系、SrO・6Fe
2O3系、Y−Co系、Sm−Co系、Nd−Fe−B
系などの従来公知の強磁性材料粉末を使用することがで
きる。
【0012】また、使用する強磁性材料粉末としてはB
HMAX の値が大きい系が好ましい。特に磁性層の膜
厚を薄膜化した際に、十分な磁力による吸着力を得るに
は、希土類系強磁性材料の使用が好ましく、その中でも
とくにネオジム系強磁性材料の使用が好ましい。
【0013】更に、強磁性材料粉末としてNd−Fe−
B系を用いる場合は、BHMAXの値が大きい結晶異方
性を有した系が好ましく、また配向処理をするのが好ま
しい。
【0014】Nd−Fe−B系などの強磁性材料粉末か
らなる合金粉末を分散させる結合剤としては、ブチラー
ル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合樹脂、ウレタン
樹脂、ポリエステル樹脂、セルロース系樹脂、アクリル
樹脂、スチレン−マレイン酸共重合樹脂、などが挙げら
れ、これら樹脂に、必要に応じて、ニトリルゴムなどの
ゴム系樹脂あるいはウレタンエラストマーなどを添加す
ることもできる。
【0015】また、強磁性材料粉末が上記樹脂中に分散
されてなる塗布液中に必要に応じて、界面活性剤、各種
カップリング剤、可塑剤、ワックスシリコンオイル、カ
ーボンその他の顔料を添加することもできる。
【0016】強磁性材料粉末を分散させる樹脂の使用量
は、強磁性材料粉末100重量部当たり10〜30重量
部の範囲が好ましい。
【0017】本発明で用いる塗料を作製するにあたって
は、溶剤により溶解された結合剤中に上記強磁性材料粉
末を、ボールミル、サンドミル等の分散機で分散させて
行う。
【0018】またこの塗料を基材上に塗布するにあたっ
ては、同塗料をグラビア方式、リバース方式、ナイフエ
ッジ方式等の公知の方法によって基材の上部に塗布する
ことによって形成することが出来る。
【0019】またさらに、塗布後の塗膜にカレンダ処理
を行って、膜厚をさらに減少させ、塗膜の表面性を向上
させて磁石シートとして用いても良い。
【0020】このように、強磁性材料粉末を塗料化し、
塗布によって強磁性材料粉末を含む層を形成する方法を
用いることにより、磁性層膜厚の制御が容易となり、薄
膜化も容易となる。被印刷用シートとして用いるために
は磁性層膜厚で100μm以下、全厚で180μm以下
の磁石シートとすることが望ましいが、さらに望ましく
は、磁性層膜厚で80μm以下、全厚で150μm以
下、さらに望ましくは、磁性層膜厚で50μm以下、全
厚100μm以下の厚さにするのが望ましい。本発明に
述べる方法で作成した磁石シートを用いることにより、
従来は不可能であった全厚100μm以下の磁石シート
を作製することもできる。
【0021】本発明の可撓性磁石シートには、上記の構
成の他に、耐候性向上の観点より、強磁性材料粉末の含
有した塗膜の上に保護層を設けるてもよい。さらにこの
場合、同塗膜中や保護層に難燃剤を含有させてもよい。
【0022】特にFe−Al−Ni−Co系の強磁性材
料粉末は、これを用いて可撓性磁石シートを作製したと
きに、希土類系の強磁性材料粉末を使用したときほどの
吸着力は得られないが、なお十分実用的な吸着力を有し
ており、特に耐食性、耐候性、耐熱性の点で優れた特性
を有している。
【0023】基材の片面にのみ強磁性粉末の塗布を行っ
た磁石シートにおいては、基材の磁性層を挟んで反対側
の面に種々の機能を持たせることができる。
【0024】例えば、基材面に粘着剤を設けて他の部材
に接着可能な構造にしてもよいし、印字層、やインク受
理層を設けて被印刷体としての機能を向上させてもよ
い。
【0025】特に本発明の可撓性磁石シートは膜厚の均
一性に優れており、インクジェット記録用受理層を基材
他面に設けた可撓性磁石シートについては、市販のイン
クジェットプリンター等による受理層への印刷を考慮し
たとき、印刷時に印刷装置内の媒体の搬送がより円滑に
実施でき、画像もより鮮明に形成できる。
【0026】このような可撓性磁石の片面に設けるイン
クジェット記録用受理層としては、水溶性樹脂を主体に
構成され、必要に応じて各種フィラー、各種界面活性
剤、消泡剤、分散剤等を配合して形成することができ
る。
【0027】インクジェット記録用受理層に用いる水溶
性樹脂としては、水溶性ポリウレタン樹脂、ポリビニル
アルコール樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニ
ルメチルエーテル、ビニルメチルエーテル−無水マレイ
ン酸共重合体、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリド
ン−酢酸ビニル共重合体、アクリル酸、メタクリル酸、
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル等の単量体
及びその他単量体から合成される水溶性アクリル樹脂、
ポリアクリルアミド等のビニル樹脂、ポリエチレンオキ
サイド、ポリグルタミン酸等の合成樹脂を使用すること
ができる。さらにセルロース誘導体等の半合成樹脂、キ
チン、キトサン、デンプン、ゼラチン等の天然樹脂等も
使用できる。
【0028】インクジェット用受理層に用いるフィラー
としては、例えば、シリカ、アルミナ、ケイ酸マグネシ
ウム、塩基性炭酸マグネシウム、タルク、クレイ、ハイ
ドロタルサイト、炭酸カルシウム、酸化チタン、酸化亜
鉛等の無機フィラー、及びポリエチレン、ポリスチレ
ン、ポリアクリレート等のプラスチックピグメント等が
あり、これら1種類もしくは2種類以上を適宜混合して
用いることができる。
【0029】上記のような可撓性磁石シートの多機能化
に加え、更に可撓性磁石シートの作製時、強磁性材料粉
末を含有した塗膜を塗布する前に、基材上に、同基材と
剥離可能で、かつ、耐候性を有する保護層を設けて、そ
の上部に強磁性材料粉末を含有した塗膜、さらに接着剤
層を設け、磁性層を基材から剥離して、接着剤層を介し
て他の基材に貼付する転写用の積層体を構成にしてもよ
い。
【0030】
【発明の実施形態】本発明は以下の実施形態を含む。
【0031】1.強磁性材料粉末を樹脂等の結合材と混
合、分散した塗料を、基材の上に塗布して塗膜を形成
し、塗布物の片面もしくは両面に着磁を施した可撓性磁
石シート。
【0032】2.結着剤中に分散された希土類系強磁性
材料粉末を含む層を、基材の両面または片面に有する可
撓性磁石シート。
【0033】3.希土類系強磁性材料がネオジム系強磁
性材料であることを特徴とする前記2記載の可撓性磁石
シート。
【0034】4.強磁性材料粉末を含む層の膜厚が10
0μm以下であることを特徴とする前記1、2、3記載
の可撓性磁石シート。
【0035】5.基材の膜厚と強磁性材料粉末を含む層
の膜厚とを加えた磁石シートの総厚が、180μm以下
であることを特徴とする前記1、2、3記載の可撓性磁
石シート。
【0036】6.表面磁束密度が15mT以上であるこ
とを特徴とする前記4、5記載の可撓性磁石シート。
【0037】7.強磁性材料粉末を溶剤の存在下、結着
剤樹脂中に分散して塗料化する工程と、該塗料を基材上
に塗布し塗膜を形成する工程と、形成した塗膜に着磁操
作を行う工程とを含む可撓性磁石シートの製造方法。
【0038】8.強磁性材料粉末として希土類系強磁性
材料を用いることを特徴とする前記7記載の可撓性磁石
シートの製造方法。
【0039】9.希土類系強磁性材料としてネオジム系
強磁性材料を用いることを特徴とする前記8記載の可撓
性磁石シートの製造方法。
【0040】10.結着剤中に分散されたアルニコ系強
磁性材料粉末を含む層を、基材の両面または片面に有す
る可撓性磁石シート。
【0041】11.強磁性材料粉末としてアルニコ系強
磁性材料を用いることを特徴とする請求項7記載の可撓
性磁石シートの製造方法。
【0042】12.基材の片面にインクジェット用イン
ク受理層を有することを特徴とする請求項1、2、3、
4、10記載の可撓性磁石シート。
【0043】以下に本発明の望ましい実施形態を述べ
る。
【0044】ネオジウム、サマリウム等を含有する希土
類系強磁性材料粉末を、トルエン、メチルエチルケト
ン、シクロヘキサノン等の溶剤の存在下で、ポリウレタ
ン樹脂、塩錯ビ樹脂等の結着剤中にボールミル、サンド
ミル等の分散機で分散し、磁性塗料を作製する。
【0045】この磁性塗料を溶剤で適正粘度に調整の
後、グラビアコータ、リバースコータ等を用いて、ポリ
エステルフィルム等の、厚さ10〜100μmの非磁性
支持体上に塗布を行い、その後塗膜を乾燥する。
【0046】その後、同塗膜の磁性面に幅方向に2〜1
0mmピッチの着磁を行う。
【0047】磁石シートを磁気吸着体として使用するに
は、十分な吸着力を確保する点で、表面磁束密度が15
mT以上、より望ましくは20mT以上であることが望
ましいが、以上の工程を経ることにより、塗膜の厚さが
100μm以下で、なおかつ15mT以上の表面磁束密
度を有する可撓性磁石シートを容易に作製することがで
きる。
【0048】
【実施例】以下に本発明を実施例により説明する。実施
例中、「%」及び「部」は、各々「重量%」及び「重量
部」を表す。
【0049】 (実施例1) <強磁性材料粉末を含有した塗料の調整> MQ POWDER B−TYPE(ネオジム系強磁性材料粉末)100部 (マグネクエンチインターナショナル社製強磁性材料粉末) BHMAX :88kJ・m−3 Hci :710kA・m−1 平均粉径:約200μm SOLBIN C 10部 (日信化学工業株式会社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂) T−5206 10部 (大日本インキ化学工業社製ウレタン樹脂) Bykmen 0.1部 (ビックケミー・ジャパン株式会社製高分子量不飽和酸エステル) トルエン 40部 メチルエチルケトン 40部 シクロヘキサノン 40部
【0050】上記をボールミルに入れ、24時間分散混
合して強磁性材料粉末を含有した塗料を得た。
【0051】厚さ50μm、520mm幅のポリエチレ
ンテレフタレートシート上に、上記の強磁性材料粉末含
有の塗料をリバース方式で、乾燥膜厚が25μm、45
μmm、70μm、100μmと成るように全面塗布
し、加熱乾燥して強磁性材料粉末を含有した塗膜を作成
した。
【0052】次に上記の塗膜に日本電磁測器(株)製ヨ
ークで着磁を施して4種類の可撓性磁石シートを 作製
した。着磁の条件はピッチ間隔3mmで1000V,1
000μFで行なった。
【0053】(比較例)膜厚0.1 mm,0.4 mm,
0.8mm の(株)マグエックス製の可撓性磁石シート
を比較対照に用いた。
【0054】上記実施例で作製した4種類の磁石シー
ト、及び比較例の3種類の磁石シートの磁性層膜厚と表
面磁束密度を測定した。比較例の厚み測定については、
A4サイズの短辺に対して平行に10点づつ5列、計5
0点測定した。実施例の厚み測定に関しては、520m
m幅の塗布済みシートの中央部をA4の大きさにカット
して比較例と同様に測定した。比較例、実施例のそれぞ
れの厚みの可撓性磁石シートの表面磁束密度はガウスメ
ーター(型式:日本電子製(株)製NDF−04)を用
いて測定した。
【0055】実施例及び比較例で得られた可撓性磁石シ
ートの膜厚及び表面磁束密度の関係を表1、図1に示
す。
【0056】
【表1】
【0057】
【0058】表1の結果から実施例は比較例に比較して
明らかに膜厚の変動が小さくなった事がわかる。
【0059】図1は表1の平均膜厚と表面磁束密度をグ
ラフにしたものであるが、この結果から、従来の可撓性
磁石シートでは膜厚の減少と共に表面磁束密度は急激に
小さくなり、0.1 mm厚では15mT程度になってし
まうことがわかる。一方、本発明による塗布型可撓性磁
石シートでは0.1 mm厚で36mTの大きな値が得ら
れ、更に、0.045 mmの厚みにしても18mTの表
面磁束密度が得られる。
【0060】以上の結果から明らかな様に、本発明の製
造方法を用いることにより、薄い膜厚でかつ十分な表面
磁束密度を有し、かつ均一な膜厚の可撓性磁石シートが
得られたことがわかる。
【0061】さらに以下に、耐候性に優れたFe−Al
−Ni−Co系強磁性粉末を用いた実施例について記載
する。
【0062】 (実施例2) <強磁性材料粉末を含有した塗料の調整> アルニコ6 100部 (大同特殊鋼株式会社性強磁性材料粉末) Fe:Co:Ni:Al:Cu:Ti=42:25:18:8:3:4 Hci :85kA・m−1 Br :0.3T 平均粒径 :約20μm SOLBIN C 10部 (日信化学工業株式会社製塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体樹脂) T−5206 10部 (大日本インキ化学工業社製ウレタン樹脂) Bykmen 0.1部 (ビックケミー・ジャパン株式会社製高分子量不飽和脂肪酸エステル) トルエン 40部 メチルエチルケトン 40部 シクロヘキサノン 40部
【0063】上記をボールミルに入れ、24時間混合し
て強磁性材料粉末を含有した塗料を得た。
【0064】厚さ50μm、520mm幅のポリエチレ
ンテレフタレートシート上に、上記の強磁性材料粉末含
有の塗料をリバース方式で、乾燥膜厚が90μm、12
0μm、150μmとなるように全面塗布し、加熱乾燥
して強磁性材料粉末を含有した塗膜を作製した。
【0065】次に上記の塗膜に日本電磁測器(株)製ヨ
ークで着磁を施して可撓性磁石シートを作製した。着磁
の条件はピッチ間隔1.3mmで1000V、400μ
Fで行った。
【0066】実施例1と同様の方法で磁性層膜厚と表面
磁束密度を測定したところ、乾燥膜厚90μm、120
μm、150μmのシートにつき、表面磁束密度はそれ
ぞれ16mT、18mT、20mTであった。これは比
較例に示された従来の可撓性磁石シートと比較して、膜
厚100μm〜200μmの領域で同等以上の性能を示
すもので、より薄い膜厚で十分な吸着力を保有してい
る。また膜厚変動については、実施例1とほぼ同等であ
り、従来の可撓性磁石シートより膜厚の均一性の点で優
れている。
【0067】実施例2で作製した可撓性磁石シートを、
60℃、95%の環境で7日間耐候保存試験にかけた
が、表面磁束密度は変化せず、優れた耐候性が示され
た。
【0068】さらに以下に、本発明に記載した基材の片
面にインクジェット用インク受理層を有する可撓性磁石
シートの実施例について記載する。
【0069】 (実施例3) <インクジェット記録用受理層に使用する塗布液の調製> 「パテラコール IJ−150」 100部 (無機質充填剤含有ウレタン樹脂ディスパージョン,大日本インキ化学工業(株 )製) 水 10部
【0070】上記を分散攪拌機で15分間攪拌混合し
て、インクジェット記録用の受理層用塗布液を得た。
【0071】次に、実施例1で作製した膜厚100μm
の可撓性磁石シート、及び実施例2で作製した膜厚12
0μmの可撓性磁石シートの双方につき、基材を挟んで
磁石面と反対側の面に、前記インクジェット記録用の受
理層用塗布液をリバースコーターを使用して、乾燥厚2
0μmとなるように塗工して加熱乾燥を行い、水性顔料
タイプのインクジェット記録用受理層を基材の片面に有
する可撓性磁石シートを作製した。
【0072】同シートをA4サイズに切断加工してキャ
ノン製の水性顔料タイプのインクジェットプリンターに
セットし、画像を出力したところ鮮明なカラー画像を印
刷することができた。
【0073】(実施例4)実施例3において、インクジ
ェット用受理層用塗布液として、下記の水性染料タイプ
を用い、乾燥厚10μmとなるように塗工した以外、実
施例3と同様にして水性染料タイプのインクジェット記
録用受理層付き可撓性磁石シートを得た。
【0074】 <インクジェット記録用受理層に使用する塗布液の調製> 「パテラコールIJ−50」 100部 (ウレタン樹脂ディスパージョン,大日本インキ化学工業(株)製) 水 10部
【0075】同シートをA4サイズに切断加工してキャ
ノン製の水性染料タイプのインクジェットプリンターに
セットし、画像を出力したところ鮮明なカラー画像を印
刷することができた。
【0076】
【発明の効果】本発明の磁石シートは、従来の磁石シー
トがカレンダーロール方式や押出成形方式でシート化し
ているのに対して、強磁性材料粉末を塗料化して塗布
し、強磁性材料粉末を含む塗膜を基材上に形成した磁石
シートであるため、薄膜化が容易に行えると共に磁性
層、および磁石シート全厚の膜厚の変動を小さくできる
効果がある。さらに強磁性材料として、希土類系強磁性
材料を用いることにより、磁性層を薄膜化してもなお十
分な磁気吸着力を維持する磁石シートを作製することが
できる。
【0077】このことにより、従来の可撓性磁石シート
では不可能であった、薄膜性及び膜厚の均一性を有する
可撓性磁石シートの作製が可能となり、また従来より薄
くかつ十分な吸着力を持つ磁石シートの作製が可能にな
った。このような磁石シートを用いることにより、吸着
力という新たな機能が付与され、かつ従来の印刷用紙、
印刷用フィルム等の機能を損なわない被印刷用媒体への
応用はもとより、名刺、マーキングフィルム、教材、玩
具、さらにはリニアモータ用磁石、エンコーダ用磁石、
磁気センサ、スイッチ等として広い用途が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可撓性磁石シート、及び従来の磁石シ
ートに関する、磁性層膜厚と表面磁束密度との関係を示
すグラフである。

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】強磁性材料粉末を樹脂等の結合材と混合、
    分散した塗料を、基材の上に塗布して塗膜を形成し、塗
    布物の片面もしくは両面に着磁を施した可撓性磁石シー
    ト。
  2. 【請求項2】結着剤中に分散された希土類系強磁性材料
    粉末を含む層を、基材の両面または片面に有する可撓性
    磁石シート。
  3. 【請求項3】希土類系強磁性材料がネオジム系強磁性材
    料であることを特徴とする請求項2記載の可撓性磁石シ
    ート。
  4. 【請求項4】強磁性材料粉末を含む層の膜厚が100μ
    m以下であることを特徴とする請求項1、2、3記載の
    可撓性磁石シート。
  5. 【請求項5】基材の膜厚と強磁性材料粉末を含む層の膜
    厚とを加えた磁石シートの総厚が、180μm以下であ
    ることを特徴とする請求項1、2、3記載の可撓性磁石
    シート。
  6. 【請求項6】表面磁束密度が15mT以上であることを
    特徴とする請求項4、5記載の可撓性磁石シート。
  7. 【請求項7】強磁性材料粉末を溶剤の存在下、結着剤樹
    脂中に分散して塗料化する工程と、該塗料を基材上に塗
    布し塗膜を形成する工程と、形成した塗膜に着磁操作を
    行う工程とを含む可撓性磁石シートの製造方法。
  8. 【請求項8】強磁性材料粉末として希土類系強磁性材料
    を用いることを特徴とする請求項7記載の可撓性磁石シ
    ートの製造方法。
  9. 【請求項9】希土類系強磁性材料としてネオジム系強磁
    性材料を用いることを特徴とする請求項8記載の可撓性
    磁石シートの製造方法。
  10. 【請求項10】結着剤中に分散されたアルニコ系強磁性
    材料粉末を含む層を、基材の両面または片面に有する可
    撓性磁石シート。
  11. 【請求項11】強磁性材料粉末としてアルニコ系強磁性
    材料を用いることを特徴とする請求項7記載の可撓性磁
    石シートの製造方法。
  12. 【請求項12】基材の片面にインクジェット用インク受
    理層を有することを特徴とする請求項1、2、3、4、
    10記載の可撓性磁石シート。
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