JP2002141219A - 可撓性磁石シート及びその製造方法 - Google Patents

可撓性磁石シート及びその製造方法

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JP2002141219A
JP2002141219A JP2000332512A JP2000332512A JP2002141219A JP 2002141219 A JP2002141219 A JP 2002141219A JP 2000332512 A JP2000332512 A JP 2000332512A JP 2000332512 A JP2000332512 A JP 2000332512A JP 2002141219 A JP2002141219 A JP 2002141219A
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flexible magnet
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Yoshinosuke Shimamura
佳ノ助 島村
Toshiaki Adachi
敏明 安達
Tesshu Miyahara
鉄州 宮原
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Dainippon Ink and Chemicals Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 支持体に磁性塗料を塗布して得られる可撓性
磁石シートであり、薄膜でありながら強力な磁気吸着力
を有すると共に、情報表示が可能な可撓性磁石シートの
提供。 【解決手段】 結合剤中に硬質磁性粉末を分散した磁性
塗料を、少なくとも支持体の片面に塗布して磁性塗膜を
形成した可撓性磁石シートにおいて、硬質磁性粉末の磁
化容易軸を支持体面と平行の一方向に配向させ、かつ同
一方向に着磁する。また、該・磁石シートの表面に、各
種プリンターで使用したとき、印字・印刷が可能になる
インキ受理層を付設する。特に、電子写真プリンター用
磁石シートとする場合は、トナー受理層を設けると共
に、トナー受理層および磁性塗膜に帯電防止処理を施
す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、薄膜でありながら
強力な磁気吸着力を有する可撓性磁石シートに関するも
のであり、磁性塗膜中の硬質磁性粉末をある特定の方向
に配向させ、かつ着磁させることを特徴とする可撓性磁
石シートの製造方法に関する。
【従来の技術】
【0002】従来、シート状あるいはフィルム状の可撓
性磁石シートは、バリウムフェライト、ストロンチウム
フェライト等の硬質磁性粉末(永久磁石材料粉末)と、
プラスチックまたはゴム等高分子材料との混練物を、押
出成型法(1)またはカレンダ成型法(2)によって
0.1〜0.5mmの厚さに成形した後、平板状多極型
着磁ヨークおよびコンデンサー式着磁電源を用いて、シ
ートの片面もしくは両面にN、S極が周期的にできる様
に着磁した可撓性磁石シートが実用化されている。(特
開昭56−7405、特開昭60−216523参
照)。またこれらの可撓性磁石シートは、例えば紙や印
字可能なプラスチックフィルム等をラミネートして、磁
力で吸着可能な表示・掲示用シート等として用いられて
いる。
【0003】また、他の方法として結合剤中に硬質磁性
粉末を分散させた塗料を、支持体に塗布した後、塗膜面
に垂直方向に磁界を印加し、硬質磁性粉末の磁化容易軸
を配向させた後乾燥させ、その後上記と同様な方法で多
極着磁し、薄層永久磁石シートを形成させる方法:コー
ティング法(3)が、特開昭50−85897号に開示
されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような磁石シート
を機能性シートとして、例えば吸着性を有する印刷用媒
体として使用する時、従来のプリンター用紙の厚さが
0.08 mm程度であることを考えると、紙やフィルム
と同等の取り扱いをしてプリンターによる印刷等で問題
なく使える様にするには、全厚として少なくとも数百μ
m以下、より望ましくは200μm以下の厚さまで薄膜
化する必要がある。
【0005】しかしながら、前記(1)の押し出し成形
法によって0.5mm以下の薄い磁石を成形すること
は、押し出しダイに非常に大きな抵抗を生じて量産が困
難であり、かつ押し出しダイやシリンダ及びスクリュー
等の磨耗が激しく、また押し出しに大動力を要する等の
問題があった。また、カレンダー法(2)により成形す
る場合には、良好な表面性が出にくく、加工中に切れた
りする可能性がある他、押し圧の大きなカレンダーを必
要とする等の問題があった。このため、これらの製造方
法で作製した可撓性磁石シートでは、磁気層部の厚みを
0.1 mm以下にすることは困難で、シート磁石の全厚
を上記の通常のプリンター用紙程度に設定することは不
可能であった。さらに、厚みの変動も±0.05mm程
度と大きく、特に巻物あるいはテープ状にした場合、ご
わつきや巻き乱れが生じる欠点があった。
【0006】一方、このような押出成型法、またはカレ
ンダー法の問題点を回避するために、前記(3)の方法
が提案されているが、実用化には至っていない。この最
大の理由はストロンチウムフェライト等の硬質磁性粉末
を用いた磁性塗膜の着磁後の吸着力を実用可能な大きさ
にするために、塗工直後で未乾燥な磁性塗膜に対して塗
膜面(支持体面)に垂直方向に磁界を印加し、硬質磁性
粉末の磁化容易軸を支持体面に対して垂直方向に配向す
る工程にある。
【0007】これは従来、塗布型磁気記録媒体に垂直配
向膜が実用化されていない理由とも共通な点があるが、
一般に塗工用に適した粘度の磁性体スラリー(磁性塗
料)を塗工後、基材に対して垂直に配向磁界を印加する
と、個々の磁性粒子は最初印加磁界方向に配向しようと
するが、磁化方向が揃うことはエネルギー的に非常に高
い状態になるので、これを回避すべく個々の粒子同士が
吸着し、エネルギー的に低い凝集体を形成するようにな
る。これは、棒磁石の同極を同一面内に揃えて並べるこ
とが困難であることと同様な理由による。
【0008】従って、塗工直後は均一な塗膜面であって
も、塗膜面に対して垂直に磁界を印加すると、磁性粒子
が凝集を起こし、凝集物が点在したような構造になって
しまい、磁性粒子が均一に分散した垂直配向膜を得るこ
とは困難であった。
【0009】このように、塗膜中の硬質磁性粉末を支持
体面に対し垂直方向に配向し、塗膜の磁気吸着力を強め
ようとすることは、実用上は殆ど困難であるという問題
点があった。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決するために、磁性塗料を支持体に塗布する際、磁性
塗料中の硬質磁性粉末を支持体に対して垂直方向ではな
く、水平の一方向に配向させることによって硬質磁性粉
末の凝集を回避できること、さらには可撓性磁石シート
を多極着磁する際に、硬質磁性粉末の配向方向と同一方
向に着磁することにより、強い吸着力が得られることを
見出だした。また、磁性塗膜を塗布によって形成するこ
とにより、塗膜の厚さ変動を、押し出し成型法では達成
が困難な±0.01mm以下に抑えることができ、本発
明を完成するに至った。すなわち本発明は、結合剤中に
硬質磁性粉末を分散した塗料を、少なくとも支持体の片
面に塗布して磁性塗膜を形成した積層体において、硬質
磁性粉末の磁化容易軸を支持体と平行の一方向に配向さ
せたことを特徴とする可撓性磁石シートであって、支持
体上に設けられた磁性塗膜が、硬質磁性粉末の磁化容易
軸の配向方向と同一方向に多極着磁されていることを特
徴とする可撓性磁石シートを提供する。また、前記可撓
性磁石シートの少なくとも片面に、情報表示可能な機能
層を有することを特徴とする可撓性磁石シートをも提供
する。さらに、結合剤中に硬質磁性粉末を分散した塗料
を、少なくとも支持体の片面に塗布して磁性塗膜を形成
した積層体において、硬質磁性粉末の磁化容易軸を支持
体面と平行の一方向に配向させることを特徴とする可撓
性磁石シートの製造方法、ならびに支持体上に設けられ
た磁性塗膜を、硬質磁性粉末の磁化容易軸と同一方向に
多極着磁させることを特徴とする前記可撓性磁石シート
の製造方法を提供する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の可撓性磁石シー
トについて詳しく説明する。
【0012】可撓性磁石シートは、図1に示すように支
持体1の上に、結合剤中に硬質磁性粉末を分散させた塗
料を塗布し、硬質磁性粉末の磁化容易軸を支持体面と平
行の一方向に配向後、乾燥させて得られる磁性塗膜2を
設けた積層構造をしている。
【0013】ここで使用できる支持体1としては、例え
ばポリエチレンまたはポリプロピレンなどのポリオレフ
ィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチ
レンナフタレート、ポリビニルアルコール、ポリカーボ
ネート、ナイロン、ポリスチレン、エチレン−酢酸ビニ
ル共重合体あるいはそのケン化物、ポリメチルペンテ
ン、アイオノマー、ポリメチルメタクリレート、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリアクリロニトリル、などの
プラスチックフィルムまたはシート、さらにセロハン、
紙、含浸紙、各種金属板、あるいはこれらの各材料から
なる複合体が挙げられ、これら以外の材料であっても必
要な強度・剛性を備えていれば、特に制限なく使用でき
る。
【0014】支持体1の厚みには特に制限はないが、特
に薄型磁石シートとして使用する場合は10〜300μ
m程度が好ましく、さらに好ましくは10〜100μm
がよい。
【0015】次に磁性塗膜2に用いられる結合剤として
は、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニルまた
は酢酸ビニル−アクリル酸共重合体、酢酸ビニル−アク
リル酸共重合体あるいはそのケン化物、塩化ビニル−ア
クリロニトリル共重合体、スルホン酸基またはアミノ基
等の極性基を有する塩化ビニル系共重合体の如き塩化ビ
ニル系共重合体、ニトロセルロースの如きセルロース誘
導体、ポリビニルアセタール、アクリル、ポリビニルブ
チラール、エポキシ、ポリウレタン、ポリエステル、ポ
リエステルポリウレタン、スルホン酸基等の極性基を有
するポリウレタン、ポリカーボネート、ポリカーボネー
トポリウレタン、等の各樹脂が挙げられる。また、結合
剤を上記のように広範囲の材料から選定できることも本
塗布方式の大きな特徴である。とりわけ、現在環境問題
で注目を集めている、塩化ビニルの非塩化ビニル系素材
による代替、あるいは生分解性樹脂の使用も可能であ
る。
【0016】前記結合剤として用いる樹脂は単独で使用
することもできるが、2種類以上の樹脂を組合せて使用
することもできる。
【0017】さらに必要に応じて、分散剤・可塑剤・表
面調整剤・消泡剤・増粘防止剤・ゲル化防止剤・架橋剤
・充填剤・潤滑剤・着色剤・難燃剤・帯電防止剤等の添
加剤を添加することもできる。
【0018】次に磁性塗膜2に分散させる硬質磁性粉末
としては、Fe−Al−Ni−Co系、BaO・6Fe
23系、SrO・6Fe23系、Sm−Co系、Nd−
Fe−B系などの従来公知のものを使用できるが、本発
明の効果を最大限に発揮するためには、結晶異方性、形
状異方性などの磁化容易軸を有し、かつ異方性の大きい
硬質磁性粉末を使用する。
【0019】磁性塗料は、例えば上述の硬質磁性粉末、
結合剤、添加剤、溶媒を配合し、各種の混練・分散機を
用いて調製する。
【0020】上記溶媒としてはメチルエチルケトン、メ
チルイソブチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン
系、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエステル系、トルエ
ン、キシレン、ベンゼンなどの芳香族炭化水素系、メタ
ノール、プロパノール、エタノールなどのアルコール系
グリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフランなど
のエーテル系の溶剤、あるいはこれらの混合溶剤、水、
などを用いることが出来る。
【0021】混練・分散に当たっては、ボール型回転ミ
ル、ビーズ撹拌型ミル、ほか各種の分散・撹拌機に、上
述の各成分を全て同時に、或いは順次投入する。
【0022】このようにして調製した塗料を、支持体1
の片面に塗布後、硬質磁性粉末の配向工程を経て乾燥さ
せることにより、磁性塗膜2を形成する。
【0023】塗布方法としては、例えばエアドクター、
ブレード、ロッド、押し出し、エアーナイフ、スクイ
ズ、含浸、リバース、トランスファー、グラビア、キ
ス、キャスト、スプレイ、ダイ、などの各コート法が挙
げられる。
【0024】磁性塗膜2の厚みには特に制限はなく、必
要とする吸着力により適宜調整できるが、特に薄膜磁石
シートとして使用するには100μm以下が好ましい。
【0025】次に硬質磁性粉末の配向方法としては、永
久磁石あるいは電磁石(ソレノイドコイル)を用いて、
支持体1面に平行な一方向に配向する。例えば図2のよ
うな同極対向永久磁石を用いて、矢印の方向に配向する
ことができる。
【0026】硬質磁性粉末の配向後、支持体1上の塗膜
は直ちに熱風乾燥機などの乾燥ゾーンを通り、磁性塗膜
2が形成される。
【0027】着磁は、例えばコンデンサーとヨークを用
いるなど、各種の公知方法が適用可能である。ただし着
磁後の磁石シートの極の配置は、図3に示すように、硬
質磁性粉末の配向方向と同一方向に異極が交互に並ぶよ
うにすることが肝要である。このような多極着磁をする
ことで、可撓性磁石シートとして強力な吸着力を得るこ
とができる。
【0028】なお、塗布後あるいは着磁後の磁性塗膜層
の表面に、磁性塗膜層の酸化防止や耐候性向上、表面平
滑化等を目的とした保護層を設けることもできる。
【0029】また、塗布後あるいは着磁後の可撓性磁石
シートにカレンダー処理を施し、磁性塗膜層の厚さを薄
くしたり表面の平滑化を図ってもよい。
【0030】さらに、可撓性磁石シートの片面あるいは
両面に情報表示可能な種々の機能層を設けることができ
る。
【0031】例えば、支持体の片面に磁性塗膜を設けた
可撓性磁石シートでは、その反対面にトナー受理層やイ
ンク受理層、或いはその他の印字層等を設けて情報表示
可能な機能性磁石シートとすることができる。
【0032】特にトナー受理層を設ける場合は、トナー
受理層・磁性塗膜の両方に帯電防止処理を施すことが重
要である。トナー受理層・磁性塗膜の片方あるいは両方
に帯電防止処理を行わないで、電子写真プリンターによ
り、この可撓性磁石シートのトナー受理層側にプリント
を行うと、トナーは正常に受理層に転移しない。それに
より、過剰ないし異常にトナーを吸引または転写してし
まい、受理層非印字部分の全面に、薄黒くトナーが付着
する『かぶり』という現象が生じる。
【0033】帯電防止処理の方法としては、トナー受理
層用塗布液および磁性塗料にあらかじめ帯電防止剤を添
加しておき支持体に塗布・乾燥させる方法と、トナー受
理層および磁性塗膜を形成させた後にその上に帯電防止
剤を塗布する方法とがあり、必要に応じて、両者を併用
することもできる。
【0034】添加する帯電防止剤としては導電性無機
酸化物で、酸化スズ、ITO、アンチモンドープ酸化ス
ズなどの粉末粒子、あるいはこれら材料で酸化チタン・
硫酸バリウム・ホウ酸アルミニウム・チタン酸カリウム
などの表面を被覆した粉末粒子金属で、銀、銅、ニッ
ケルなどの粉末粒子、カーボンブラック低分子型界
面活性剤で、その組成中にカルボン酸基、スルフォネー
ト基、サルフェート基、ホスフェート基、ホスファイト
基、4級アンモニウム塩基、ホスホニウム基、スルホニ
ウム基などを含有するもの、あるいはソルビタン脂肪酸
モノエステル、アルキルポリグリコシド、アミンオキシ
ド、多価アルコール誘導体などから構成されるもの、な
どが使用出来る。
【0035】帯電防止剤を、トナー受理層用塗布液に添
加して用いる場合は、透明性を必要とすることから、
の無機酸化物、の低分子型界面活性剤が使用し、磁性
塗料に添加して用いる場合は、混入量が少なく磁気特性
に影響をお及ぼさない、の低分子型界面活性剤を使用
する。また、トナー受理層および磁性塗膜を形成させた
後に用いる場合は、の低分子型界面活性剤を使用し、
各々の層および膜の表面に直接あるいは溶媒で希釈して
塗布する。このように使用することにより、れぞれ好適
な、帯電防止効果を発揮する。
【0036】帯電防止剤の添加量は、各帯電防止剤の種
類により大きく異なるので、所定の表面電気抵抗が得ら
れるように適宜調整する必要がある。
【0037】トナー受理層の表面電気抵抗としては10
12Ω/□以下が必要である。これより抵抗が高いと帯電
防止効果に乏しくなり受理層へのトナーのかぶりを防止
出来ない。
【0038】トナー用受理層に用いる樹脂としては磁性
塗膜に用いられる結合剤と同様な、塩化ビニル−酢酸ビ
ニル共重合体、塩化ビニルまたは酢酸ビニル−アクリル
酸共重合体、酢酸ビニル−アクリル酸共重合体あるいは
そのケン化物、塩化ビニル−アクリロニトリル共重合
体、スルホン酸基またはアミノ基等の極性基を有する塩
化ビニル系共重合体の如き塩化ビニル系共重合体、ニト
ロセルロースの如きセルロース誘導体、ポリビニルアセ
タール、アクリル、ポリビニルブチラール、エポキシ、
ポリウレタン、ポリエステル、ポリエステルポリウレタ
ン、スルホン酸基等の極性基を有するポリウレタン、ポ
リカーボネート、ポリカーボネートポリウレタン、等の
各樹脂を用いることが出来る。トナーに用いられている
樹脂との関係もあるが、トナーとの密着性、プラスチッ
クフィルムに代表される基材への密着性、トナー定着時
の熱ロール温度に対応したガラス転移温度、などの観点
からこの中でもポリエステル系樹脂が好適である。
【0039】また、トナー用受理層にはシートの重ね送
り防止やトナー定着用熱ロールからの表面保護のため、
表面に微少な突起を設けることが好ましい。方法として
は炭酸カルシウム、酸化チタン、シリカ、などの無機フ
ィラーをトナー用受理層塗布液に混入させる方法が好適
である。フィラーの粒径は0.1〜10μm程度、混入
量は樹脂に対して0.5〜10質量%程度がよい。これ
より小さい或いは少ないと微少な突起の効果が現れにく
く、大きい或いは多いと受理層表面が荒れてしまいトナ
ー定着性の低下、受理層の透明性の低下が生じる。
【0040】また、トナー受理層の乾燥膜厚は0.1〜
10μm程度がよい。これ以上薄いと定着されたトナー
が脱落する恐れがある。
【0041】また、本発明の可撓性磁石シートは、薄く
かつ膜厚の均一性に優れているので、市販の電子写真プ
リンター、インクジェットプリンターで印字・印刷する
場合、プリンター内で媒体が円滑に搬送でき、得られる
画像も鮮明である。
【0042】この他にも、可撓性磁石シートの片面ある
いは両面に、感熱転写受理層、放電破壊層、電界発色
層、感熱発色層、感圧印字層、筆記層などを設けること
により、情報表示可能な機能性磁石シートを得ることが
できる。
【0043】
【実施例】以下、実施例と比較例を用いて、本発明とそ
の効果を説明する。なお、部は、質量部を表わす。
【0044】<磁性塗料の調製1>硬質磁性粉末として
「FH801」(戸田工業(株)製)100部、結合剤
としてウレタン樹脂「ニッポラン3022」 (日本ポ
リウレタン(株)製)70部 (固形分25部)、メチ
ルエチルケトン・トルエン・シクロヘキサノンの等質量
混合液150部を、分散撹拌機に投入、分散して磁性塗
料を得た。
【0045】(実施例1)厚さ50μmのPETフィル
ムの片面に、磁性塗料を乾燥膜厚が70μmになるよう
に塗布し、硬質磁性粉末を配向後乾燥させた。塗布はリ
バース方式で塗工速度5m/min、配向には未乾燥の
塗膜面に4000ガウスの磁場強度を与えられるような
強さの同極対向永久磁石を用い、図2のように塗膜中の
硬質磁性粉末の磁化容易軸をPETフィルム面に平行な
進行方向に配向させ、直後に熱風乾燥機にて塗膜を乾燥
させた。次に、得られた磁性塗膜に、着磁用ヨーク(日
本電磁測機(株))を用いて磁性塗膜面側から、図3の
ように進行方向と同一方向に多極着磁を施し可撓性磁石
シートを得た(着磁条件:ピッチ1.25mm、電荷容
量500μF/印加電圧1000V)。
【0046】(実施例2)塗工速度を10m/minと
した以外は、実施例1と同様にして磁性塗膜を得た。さ
らに同様に、進行方向に多極着磁を施し可撓性磁石シー
トを得た。
【0047】(比較例1)配向処理をせず無配向とした
以外は、実施例1と同様にして磁性塗膜を得た。また同
様に、進行方向に多極着磁を施し可撓性磁石シートを得
た。
【0048】(比較例2)配向処理をせず無配向、塗工
速度を10m/minとした以外は、実施例1と同様に
して磁性塗膜を得た。また同様に、進行方向に多極着磁
を施し可撓性磁石シートを得た。
【0049】(比較例3)配向に、磁場強度4000ガ
ウスの異極対向永久磁石を用いて、塗料をPETフィル
ム面に垂直方向に配向させた以外は、実施例1と同様に
して磁性塗膜を得た。また同様に、進行方向に多極着磁
を施し可撓性磁石シートを得た。
【0050】(比較例4)配向に、磁場強度4000ガ
ウスの異極対向永久磁石を用いて、硬質磁性粉末をPE
Tフィルム面に垂直方向に配向させ、塗工速度を10m
/minとした以外は、実施例1と同様にして磁性塗膜
を得た。また同様に、進行方向に多極着磁を施し可撓性
磁石シートを得た。
【0051】以上の様にして得られた6種類の可撓性磁
石シートの、多極着磁前の磁性塗膜の表面状態を、目視
にて観察した。結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【0053】この結果から明らかなように、硬質磁性粉
末を支持体と平行に配向させた実施例1、2の磁性塗膜
は無配向の比較例1、2の磁性塗膜と同様に表面状態は
良好であった。しかし、支持体に対して垂直に配向させ
た、比較例3、4の塗膜は表面が悪化している。これは
外観上の問題だけではなく吸着力低下の要因にもなって
いる。
【0054】次に、得られた6種類の可撓性磁石シート
の、多極着磁後の磁性塗膜面をスチール板へ吸着させ、
板に平行な方向に可撓性磁石シートを引っ張った時の吸
着力を測定した。結果を表1に示す。この結果から、硬
質磁性粉末の配向方向と同一方向に多極着磁した実施例
1、2の可撓性磁石シートは、無配向の比較例1、2の
可撓性磁石シートや垂直配向の比較例3、4の可撓性磁
石シートに比べほぼ2倍の吸着力を有することがわか
る。
【0055】以上の結果より、硬質磁性粉末を支持体と
平行に配向させた実施例1、2の可撓性磁石シートの吸
着力は、無配向の比較例1、2の可撓性磁石シート、垂
直配向の比較例3、4の可撓性磁石シートの吸着力より
優れていることが明らかである。特に塗工速度を10m
/minに上げた場合でも、実施例2の塗膜の吸着力は
ほとんど変わらないが、比較例4の塗膜の吸着力は低下
する傾向にあり、生産効率の点からも支持体に平行に配
向ならびに着磁する本発明の可撓性磁石シートが優れて
いることがわかる。さらに垂直配向の比較例3、4から
わかるように、塗工速度を遅くして配向効果を強め、吸
着力を高めようとすると、垂直配向の場合は塗膜表面状
態が著しく悪化、鱗状を呈した状態になってしまい、外
観上の問題だけではなく吸着力にも悪影響を与えてしま
う。
【0056】次に、支持体の片面に電子写真プリンター
用トナー受理層を有する可撓性磁石シートの実施例を記
載する。
【0057】<磁性塗料の調製2(帯電防止剤入り)>
硬質磁性粉末として「FH801」(戸田工業(株)
製)100部、結合剤としてウレタン樹脂「ニッポラン
3022」 (日本ポリウレタン(株)製)70部 (固
形分25部)、帯電防止剤として「レジスタットPU1
01」(カチオン系界面活性剤:第一工業製薬株式会社
製)1部、メチルエチルケトン・トルエン・シクロヘキ
サノンの等質量混合液150部、を、分散撹拌機に投
入、分散して磁性塗料を得た。
【0058】<トナー受理層塗布液の調整1>「バイロ
ン600」(飽和ポリエステル樹脂、Tg45℃:東洋
紡績株式会社製)100部、サイリシア350(無定形
シリカ、平均粒径1.8μm:富士シリシア株式会社
製)3部、メチルエチルケトン・トルエン等質量混合液
600部を分散攪拌機に投入、30分間攪拌して受理層
塗布液を得た。
【0059】<トナー受理層塗布液の調整2(帯電防止
剤入り)>「バイロン600」(飽和ポリエステル樹
脂、Tg45℃:東洋紡績株式会社製)100部、サイ
リシア350(無定形シリカ、平均粒径1.8μm:富
士シリシア株式会社製)3部、帯電防止剤として「レジ
スタットPU101」(カチオン系界面活性剤:第一工
業製薬株式会社製)4部、メチルエチルケトン・トルエ
ン等質量混合液600部を分散攪拌機に投入、30分間
攪拌して受理層塗布液を得た。
【0060】(実施例3)厚さ100μmの白色PET
フィルムの片面に、<磁性塗料の調製2(帯電防止剤入
り)>で得られた磁性塗料を乾燥膜厚が70μmになる
ように塗布した以外は実施例1と同様な方法で可撓性磁
石シートを得た。さらに得られた可撓性磁石シートの磁
性塗膜とは反対側の面に<トナー受理層塗布液の調整2
(帯電防止剤入り)>で得られたトナー受理層塗布液を
乾燥膜厚が2μmになるように塗布・乾燥させ、電子写
真プリンター用磁石シートを得た。このときの磁性塗膜
とトナー受理層の表面電気抵抗は共に1010Ω/□であ
った(三菱化学(株)製表面電気抵抗計ハイレスタにて
測定)。
【0061】(比較例5)トナー受理層塗布液に<トナ
ー受理層塗布液の調整1>で得られたトナー受理層塗布
液を用いた以外は実施例3と同様な方法で、電子写真プ
リンター用磁石シートを得た。このときの磁性塗膜の表
面電気抵抗は1010Ω/□、トナー受理層の表面電気抵
抗は1013Ω/□以上であった。
【0062】(比較例6)磁性塗料に<磁性塗料の調製
1>で得られた磁性塗料を用いた以外は実施例3と同様
な方法で、電子写真プリンター用磁石シートを得た。こ
のときの磁性塗膜の表面電気抵抗は1013Ω/□以上、
トナー受理層の表面電気抵抗は1010Ω/□であった。 (比較例7)磁性塗料に<磁性塗料の調製1>で得られ
た磁性塗料を、トナー受理層塗布液に<トナー受理層塗
布液の調整1>で得られたトナー受理層塗布液を用いた
以外は実施例3と同様な方法で、電子写真プリンター用
磁石シートを得た。このときの磁性塗膜とトナー受理層
の表面電気抵抗は1013Ω/□以上、であった。
【0063】次に、得られた4種類の電子写真プリンタ
ー用磁石シートをコピー機FUJIXEROX Doc
ucentre250FSに通し、トナー受理層に縞模
様のテストパターンを印字し、受理層面のトナーの状態
を観察した。結果を表2に示す。
【0064】
【表2】
【0065】この結果から、磁性塗膜とトナー用受理層
の両方に帯電防止処理を施した実施例3の電子写真プリ
ンター用磁石シートのトナー受理層面には、トナーのか
ぶりがなく良好な印字が得られていることが判る。一
方、磁性塗膜とトナー用受理層の片方あるいは両方に帯
電防止処理を施していない比較例5,6,7の電子写真
プリンター用磁石シートのトナー受理層面にはトナーの
かぶりが見られた。
【0066】以上の結果より、磁性塗膜とトナー用受理
層の両方に帯電防止処理を施した電子写真プリンター用
磁石シートはトナー受理層面にトナーのかぶりのない良
好な印字面が得られることが判る。またプリントした後
はそのまま金属板などに吸着し情報表示できる機能性磁
石シートとして使うことが出来る。
【0067】さらに、支持体の片面にインクジェット記
録用受理層を有する可撓性磁石シートの実施例を記載す
る。
【0068】 (実施例4) <インクジェット記録用受理層塗布液の調製> 「パテラコール IJ−150」 100部 (無機質充填剤含有ウレタン樹脂ディスパージョン,大日本インキ化学工業(株 )製) 水 10部
【0069】上記を分散攪拌機で15分間攪拌混合し
て、インクジェット記録用受理層塗布液を得た。
【0070】次に、実施例1、及び実施例2で作製した
厚さ120μmの可撓性磁石シートの双方につき、支持
体の磁性塗膜とは反対側の面に、前記インクジェット記
録用受理層塗布液を、リバースコーターを使用して、乾
燥膜厚20μmとなるように塗工し、加熱乾燥を行い、
水性顔料タイプのインクジェット記録用受理層を有する
可撓性磁石シートを作製した。
【0071】同可撓性磁石シートをA4サイズに切断し
て市販の水性顔料タイプのインクジェットプリンターに
セットし、画像を出力したところ鮮明なカラー画像を印
刷することができた。
【0072】(実施例5)実施例4において、インクジ
ェット記録用受理層塗布液として、下記の水性染料タイ
プを用い、乾燥厚10μmとなるように塗工した以外
は、実施例4と同様にして水性染料タイプのインクジェ
ット記録用受理層付き可撓性磁石シートを得た。
【0073】 <インクジェット記録用受理層塗布液の調製> 「パテラコールIJ−50」 100部 (ウレタン樹脂ディスパージョン,大日本インキ化学工業(株)製) 水 10部
【0074】同可撓性磁石シートをA4サイズに切断し
て市販の水性染料タイプのインクジェットプリンターに
セットし、画像を出力したところ鮮明なカラー画像を印
刷することができた。
【0075】
【発明の効果】本発明における、硬質磁性粉末の磁化容
易軸を支持体と平行な一方向に配向させた塗布型の可撓
性磁石シートは、従来の垂直方向に配向させた塗布型の
磁石シートよりも、磁性塗膜の厚さが薄いにもかかわら
ず、強固な吸着力をもつ。さらに、塗工速度を上げても
垂直配向のように吸着力の低下を生じることもなく、塗
膜表面悪化の恐れもない。配向には磁場中乾燥設備等の
高価な設備も必要なく、生産性・経済性・吸着特性にお
いて非常に優れた塗布型の可撓性磁石シートを製造する
ことが出来る。
【0076】さらに本発明の可撓性磁石シートは、従来
の可撓性磁石シートがカレンダーロール方式や押出成形
方式でシート化しているのに対して、硬質磁性粉末を塗
料化して塗布し、硬質磁性粉末を含む塗膜を支持体上に
形成した磁石シートであるため、薄膜化が容易に行える
と共に磁性塗膜、および可撓性磁石シート全厚の膜厚変
動を小さくできる効果がある。
【0077】また本発明の可撓性磁石シートは、単体と
して着脱可能なシート部材、他の任意の部材に貼付され
て使用される固定用部材などに使用できるとともに、イ
ンクあるいはトナー受理層や感熱印字層など、機能層を
付加して印刷用紙、名刺、教材、マーキングフィルム、
玩具などの機能性磁気吸着シートとしても使用できる。
特に電子写真プリンター用磁石シートとしては、トナー
受理層と磁性塗膜の両方に帯電防止処理を施すことで、
トナーのかぶりのないコピー用磁石シートを得ることが
出来る。さらには薄膜であることを利用して、モータ、
磁気センサー、スイッチなどの精密工業用部材として使
用することもできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の可撓性磁石シートの構成を示した模式
図である。
【図2】硬質磁性粉末の配向方法の1例を示した模式図
である。
【図3】多極着磁を施した、本発明の可撓性磁石シート
の模式図の1例である。
【符号の説明】
1 支持体 2 磁性塗膜 3 同極対向永久磁石
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01F 1/117 H01F 1/117 41/02 41/02 G (72)発明者 宮原 鉄州 埼玉県上尾市緑丘4−12−8富吉コーポ 206 Fターム(参考) 4D075 CA22 CA24 DC21 5E040 AA02 AA04 AA06 AB04 AB05 AB09 BB03 CA01 HB06 5E062 CC04 CD02 CD05 CF01 CG01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 結合剤中に硬質磁性粉末を分散した磁性
    塗料を、少なくとも支持体の片面に塗布して磁性塗膜を
    形成してなる積層体において、硬質磁性粉末の磁化容易
    軸が支持体面と平行の一方向に配向させたことを特徴と
    する可撓性磁石シート。
  2. 【請求項2】 支持体上に設けられた前記磁性塗膜が、
    硬質磁性粉末の磁化容易軸の配向方向と同一方向に多極
    着磁したことを特徴とする請求項1記載の可撓性磁石シ
    ート。
  3. 【請求項3】 可撓性磁石シートの少なくとも片面に、
    情報表示可能な機能層を有することを特徴とする請求項
    1または2記載の可撓性磁石シート。
  4. 【請求項4】 結合剤中に硬質磁性粉末を分散した磁性
    塗料を、少なくとも支持体の片面に塗布して磁性塗膜を
    形成してなる積層体において、硬質磁性粉末の磁化容易
    軸を支持体面と平行の一方向に配向させることを特徴と
    する可撓性磁石シートの製造方法。
  5. 【請求項5】 支持体上に設けられた磁性塗膜を、塗膜
    中の硬質磁性粉末の磁化容易軸の配向方向と同一方向に
    多極着磁させることを特徴とする請求項4記載の可撓性
    磁石シートの製造方法。
  6. 【請求項6】 情報表示可能な機能層が電子写真プリン
    ター用トナー受理層であり、かつトナー受理層と、支持
    体上に設けられた磁性塗膜には帯電防止処理が施されて
    いることを特徴とする、請求項3記載の可撓性磁石シー
    ト。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2009154035A (ja) * 2007-12-25 2009-07-16 Honda Motor Co Ltd 磁性体粉末を含む塗料の塗装方法
WO2009135506A1 (en) * 2008-05-07 2009-11-12 Actega Rhenania Gmbh Magnetic pigment coatings, laminates and method of production thereof
JP2016054264A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ニチレイマグネット株式会社 磁石フィルム及びそれを用いた磁石フィルムカード
JP2016054263A (ja) * 2014-09-04 2016-04-14 ニチレイマグネット株式会社 磁石フィルム及びそれを用いた磁石フィルムカード

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WO2009135506A1 (en) * 2008-05-07 2009-11-12 Actega Rhenania Gmbh Magnetic pigment coatings, laminates and method of production thereof
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