JPH11256113A - 剥離コーティング組成物および当該剥離コーティング組成物から成る剥離製品ならびに当該剥離製品の製造方法 - Google Patents

剥離コーティング組成物および当該剥離コーティング組成物から成る剥離製品ならびに当該剥離製品の製造方法

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JPH11256113A JP10344676A JP34467698A JPH11256113A JP H11256113 A JPH11256113 A JP H11256113A JP 10344676 A JP10344676 A JP 10344676A JP 34467698 A JP34467698 A JP 34467698A JP H11256113 A JPH11256113 A JP H11256113A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 均一で、再現可能で且つ所定の剥離性を有す
る剥離表面を有する剥離裏紙を提供する。 【解決手段】 剥離裏紙用の剥離コーティングを製造す
るための剥離コーティング組成物であって、当該剥離コ
ーティング組成物(1)接着促進剤と(2)シリコーン
剥離剤との混合物を含有する水性配合物から成り、剥離
裏紙基板に上記組成物を被覆し加熱した際、接着剤に対
して剥離力を示す剥離表面が形成され、上記接着促進剤
に対するシリコーン剥離剤の固形物重量比は約0.2:
1から約20:1の固形物重量比の範囲であって、上記
剥離力と上記固形物重量比が実質的に直線的に関連付け
られていることを特徴とする剥離コーティング組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、剥離コーティング
組成物および当該剥離コーティング組成物から成る剥離
製品に関する。詳しくは、本発明は、剥離力を可変でき
る剥離フィルム製品、剥離フィルムコーティング組成
物、剥離フィルムの製造方法および少なくとも1つの剥
離可能な裏紙を有する接着製品に関する。更に詳しく
は、本発明は、接着ラベル、接着食器棚紙、電子レンジ
食品容器用の除去可能な蓋、剥ぎ取り式ラベルステッカ
ー及び両面テープを含む接着剤および接着剤被覆物品の
ための一時的な支持基板として使用される被覆された剥
離フィルム製品に関する。本発明は、更に、水性エマル
ジョン剥離組成物でインライン被覆されたポリエステル
製の一時的な基板、及びポリエステルフィルム上に剥離
コーティングを形成するための方法に関する。
【0002】
【従来の技術】接着ラベル、接着テープ及び両面接着剤
の製造において、現在様々な接着シート材料が使用され
ている。接着シート材料は、紙、プラスチックフィルム
又は金属箔の様なシート基板の表面上に接着剤の層を被
覆することにより形成される。接着剤の層は、接着剤を
湿らせなくても物品の表面に接着することができる。接
着シート材料をより便利に使用するために、接着シート
材料に対する重要性および要求が増え続けている。
【0003】接着シート材料、接着パッチ、接着パッド
又はその他の接着製品の粘着接着面は、剥離裏紙、剥離
シート、剥離層または剥離ライナーとして公知の可剥性
または剥離可能な保護シートで形成されることが多い。
裏紙は、ラベルを使用に供するまで接着製品の粘着接着
面をほこり、屑、水分およびその他の汚染物による汚染
から一時的に保護する役目を有する。一般に、可剥性剥
離裏紙は接着製品の使用直前に接着面から剥ぎ取られ
る。一時的な保護裏紙の性能は、接着製品の接着層を形
成する接着剤と、可剥性剥離裏紙の表面に剥離性を付与
する剥離剤または粘着防止剤との組合せに主として依存
する。剥離裏紙は、一旦粘着接着面に接着された後にお
いて、剥離力が加えられないのに自然に剥離してはなら
ないが、比較的小さい剥離力で容易に除去される必要が
ある。又、裏紙は、接着剤の残留粘着力を減少させては
ならない。裏紙が接着製品から十分容易に剥離すること
により、接着製品が裏紙から分離される時に裂けない
で、接着製品の接着層が分離中に損傷を受けない状態の
ままになっていることも重要である。
【0004】両面接着テープ、両面パッチ及び両面製品
の場合、第一の接着剤表面上に第一の剥離力の可剥性剥
離裏紙および裏側の第二接着剤表面上にそれより大きい
剥離力の可剥性剥離裏紙を有することが望ましい。従っ
て、第一の接着剤表面は、物品に接着されることが可能
である一方で、第二の接着剤表面は、第二の裏紙により
保護されたままの状態である。第二の接着剤表面は、第
二の物品またはその他の表面と接触させて接着するため
に第二の接着剤表面をさらすことが必要になるまで保護
されたままの状態である必要がある。巻取式両面テープ
の場合、2つの別個の裏紙を形成するのではなく、異な
った剥離特性の背中合わせの剥離裏紙面を有する一つの
保護シートを使用する。従って、異なる性能を表裏に有
する剥離裏紙または裏紙表面は、所定の異なった剥離力
を有する裏紙表面より形成される。
【0005】シリコーン被覆された剥離基板に関して、
特に基板が紙である用途においてよく知られている。シ
リコーン被覆された剥離基板は、溶媒または無溶媒のシ
リコーンベース樹脂組成物で基板を被覆することにより
製造されることが最も多い。シリコーン樹脂組成物が乾
燥するにつれて基板に接着する。シリコーン剥離コーテ
ィングから接着剤を剥離する際、一般に、極めて小さい
剥離力しか必要としない。しかしながら、成分量を変え
ることにより剥離力を変化させることができる様なシリ
コーン剥離コーティング系は今まで知られていない。
【0006】ブリザード(Blizzard)による米
国特許第4,423,095号公報は、紙の様な基板に
対する耐水接着剥離コーティングを開示している。この
コーティング組成物は液状シリコーン樹脂と有機ポリマ
ーとから成り、そのコーティング特性は、重量に基づく
個々の成分の特性とを考慮すると、若干加法的であるだ
けで、原成分のそれぞれの特性から実質的に低下してい
る。
【0007】従って、組成物中の成分重量比に比例して
変化する剥離特性を有する接着剥離組成物の提供が強く
望まれている。例えば、両面テープの様な剥離表面の場
合、各剥離表面が予測可能且つ再現可能な剥離力を示す
と共に、各剥離表面の組成上の構成に実質的に直線的に
関連付けられる剥離力を有する剥離表面の系列を形成で
きる剥離コーティング組成物系の提供も強く望まれてい
る。更に、均一で、再現可能で且つ所定の剥離性を有す
る剥離表面を形成できる剥離コーティング組成物の提供
も強く望まれている。
【0008】リサイクル可能且つ再生可能な工業製品に
対する要求の増加に伴い、再生可能な剥離裏紙材料、特
に再生可能なフィルム基板を提供することが望ましい。
通常、フィルム形成プロセス中に大量のスクラップフィ
ルムが発生する。スクラップフィルムは、通常、粉砕さ
れ、溶融され、ペレットの形で押出され、新しいバージ
ンポリマーと混合され、再溶融されると共にフィルム形
成用の押出機に再供給される。ポリエステル再生フィル
ムの再生処理中に、約290℃から約300℃の温度を
経ることがある。従って、再生性に関して、フィルム上
のコーティングは、この処理温度において安定である必
要があり、相当量の再生フィルムを含有する最終製品に
おいて好ましくない黄変、好ましくない量の不純物、及
びゲルを生じさせてはならない。コーティングは、再生
フィルムを含有する最終製品の不純化を最小にするため
に極めて小さい被覆重量で有効となることが好ましい。
【0009】多くの高分子製品の再生性を低下させる周
知の成分として、再生温度で解重合または分解して再生
製品に悪影響を及ぼしたり、安全問題を提起する揮発性
物質またはガス状の悪臭副生物を生じる化学物質が挙げ
られる。例えば、ポリビニルアルコールコーティングの
様な一部のコーティング組成物は、ポリエステルの再生
温度で炭化するために、再生ポリエステル製品中に好ま
しくない黒い斑点および不純物またはゲルを生じさせ
る。フィルムコーティングの接着特性およびフィルムコ
ーティングの耐久性を高めるために、従来、架橋剤がフ
ィルムコーティング組成物中で使用されてきた。しか
し、カルバーストン(Culberston)らによる
米国特許第4,571,363号公報に開示された通
り、架橋剤は再生温度を経ると、好ましくない黄変また
は変色の原因になることがある。
【0010】高分子フィルムコーティング中に実質的な
量のコーティング組成物、架橋剤および/または窒素含
有帯電防止剤を使用すると、そうした化学物質を含有す
るフィルムシート又はスクラップを再生温度にさらす
際、黄変または変色および悪臭を生じがちであることが
見出されている。例えば、被覆されたフィルムの全重量
に基づいて約1000ppmを超える様な実質的な量を
含有するコーティング組成物を使用すると、再生中に好
ましくない不純物またはゲルを生成しがちであることが
見出されている。従って、被覆されたフィルムの重量に
基づいて1000ppm未満のコーティング組成物量で
有効な剥離コーティングを含む再生可能な剥離裏紙、及
び被覆されたフィルム基板の再生性に実質的に悪影響を
及ぼさない剥離コーティングを含む再生可能な剥離裏紙
の提供が強く望まれている。
【0011】延伸フィルムの製造において再生可能でな
い被覆されたスクラップの製造を避けるために、テンタ
ーにより掴んで延伸するフィルムの縦方向両端に沿っ
て、スクラップをコーティング前に除去してもよい。し
かし、この方法はインラインコーティング手法と全く異
なり、コーティング前にスクラップを除去するために、
フィルムをある場所で製造および裁断し、巻取り、別の
場所に移送し、オフラインで巻戻し被覆する必要があ
り、余分な処理を必要とする。フィルムのインラインコ
ーティングは、時間を節約すると共に、より経済的であ
る。
【0012】インラインコーティング手法は、通常、被
覆された高分子フィルムの製造において使用され、均一
で薄いフィルム及びコーティングを形成するための効率
的なプロセスを特徴とする。例えば、ポリエステルフィ
ルムの様な薄い高分子フィルムの表面上に剥離コーティ
ングを形成する場合、インラインコーティング方法を使
用することが好ましい。ポリエステルフィルムは、剥離
裏紙のための基板として使用することが出来、一般に、
研磨された冷却キャスティングドラム上にポリエステル
の非晶質溶融体を押出して、溶融体をシート形状に凝固
することにより製造することができる。シートは、その
後加熱および延伸操作を経ることにより、ポリマー鎖が
配向されてフィルムに仕上られ、フィルム強度、安定性
およびその他の望ましい物理的特性を付与する。フィル
ムが1方向または両方向に延伸された後、フィルムは一
般に延伸温度より高い温度で熱固定される。熱固定によ
って、延伸ポリエステルフィルムの物理的特性が固定化
される。ポリエステルフィルムを製造するための製造プ
ロセスはよく知られている。
【0013】フィルム表面にインライン被覆するために
使用されるコーティング組成物は、一般に、フィルム製
造速度と合致するため、迅速に凝固可能または硬化可能
であることが望ましい。更に、コーティング組成物は、
強度および透明性が劣化しないで、基板と共に延伸可能
であることが望ましい。
【0014】高分子フィルム製造プロセス中にインライ
ンで形成できると共に、コーティング組成物の乾燥また
は硬化に於て、フィルムを延伸するために必要な熱を利
用することが出来、それにより新たな加熱ステップが不
要である剥離コーティング組成物の提供が強く望まれて
いる。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の第一の目的
は、均一で、再現可能で且つ所定の剥離性を有する剥離
表面を有する剥離裏紙を提供することである。
【0016】本発明の第二の目的は、剥離表面の剥離力
を連続的に変化することが出来、剥離表面の組成上の構
成と剥離力との間に再現可能且つ連続的な関係を有する
剥離表面の系列を形成することが出来る組成物系を提供
することである。
【0017】本発明の第三の目的は、高分子フィルム製
造プロセス中にインラインで剥離裏紙を製造すると共
に、フィルム基板にインラインで被覆される剥離コーテ
ィング組成物を乾燥または硬化するための加熱ステップ
を要しないプロセスを提供することである。
【0018】本発明の第四の目的は、ポリエステルフィ
ルム基板の再生性に実質的に悪影響を及ぼさず、又ポリ
エステルフィルムの再生温度を経た後に実質的なゲル又
は不純物の形成、黄変、変色、臭気の生成がないコーテ
ィング組成物から成る再生可能な剥離裏紙を提供するこ
とである。
【0019】本発明の第五の目的は、効果的な被覆重量
において、実質的な不純物の形成、黄変、臭気を生じる
ことなく、ポリエステル基板の再生を可能にする組成物
から製造される剥離表面から成る被覆されたポリエステ
ルの剥離基板を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく鋭意検討した結果、(1)水溶性、水分散
性または水乳化性の接着促進剤と、(2)上記接着促進
剤と相溶性のある水溶性、水分散性または水乳化性の架
橋可能なシリコーン剥離剤との混合物を含有する水性配
合物、とから成る剥離コーティング組成物が、特定の固
形物重量比の範囲において、剥離力と固形物重量比が直
線的に関連付けられることを見出し、本発明を完成する
に至った。
【0021】すなわち、本発明の第一の要旨は、剥離裏
紙用の剥離コーティングを製造するための剥離コーティ
ング組成物であって、当該剥離コーティング組成物は、
(1)水溶性、水分散性または水乳化性の接着促進剤
と、(2)上記接着促進剤と相溶性のある水溶性、水分
散性または水乳化性の架橋可能なシリコーン剥離剤との
混合物を含有する水性配合物とから成り、剥離裏紙基板
に上記組成物を被覆し加熱した際、接着剤に対して剥離
力を示す剥離表面が形成され、上記接着促進剤に対する
シリコーン剥離剤の固形物重量比は約0.2:1から約
20:1の固形物重量比の範囲であって、上記剥離力と
上記固形物重量比が実質的に直線的に関連付けられてい
ることを特徴とする剥離コーティング組成物に存する。
【0022】本発明の第一の要旨の好ましい実施形態に
おいて、剥離コーティング組成物は接着促進剤とシリコ
ーン剥離剤との混合物から成り、コーティングは水性エ
マルジョンから形成できる。両成分は、接着促進サイト
の領域を形成し、そのサイトは剥離サイトの領域により
離散されて、それに伴って、この異なった領域は、組成
物で製造された剥離コーティング表面の全体にわたって
実質的に均質に分布する。
【0023】本発明の第一の要旨の好ましい実施形態に
おいて、コーティングの剥離力と、接着促進剤のシリコ
ーン剥離剤に対する重量比との間に実質的に直線的な関
係を得ることができる。すなわち、接着促進剤の剥離剤
に対する重量比が増加するにつれて、標準接着剤を除去
するために必要な剥離力は、対応して実質的に直線の形
で増加する。更に、剥離力は、シリコーン剥離剤中のポ
リオルガノシロキサンシリコーンオイルのシリコーン水
素化物架橋剤に対する重量比との間に実質的に直線的な
関係を得ることができる。
【0024】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、剥離コーティング組成物組成物から製造された
コーティングから非シリコーン接着剤を剥離するために
必要な力は、接着促進剤の剥離剤に対する重量比に応じ
て、約50〜1000グラム/インチ(gm/in)で
あるように制御することができる。
【0025】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、基板はポリエステルフィルム、特にポリエチレ
ンテレフタレートから成る。
【0026】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、コーティングを被覆する高分子フィルム基板を
テンターで引張するために使用される温度条件下で硬化
または重合する接着促進剤または接着促進剤系を有する
剥離コーティング組成物が提供される。より好ましい実
施形態によれば、接着促進剤の硬化または重合におい
て、フィルムのテンターリングのために維持される温度
および条件の他に余分な熱処理を要しない。
【0027】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、非シリコーン接着剤およびその接着剤の表面と
接触する本発明による剥離表面を有する剥離可能な裏紙
から成る接着製品が提供さる。より好ましい実施形態に
よれば、その接着剤はゴム接着剤、アクリル接着剤、テ
ルペン接着剤またはスチレン−ブタジエン接着剤であ
る。
【0028】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、両面接着剤は、(1)本発明による2つの各剥
離裏紙または(2)2つの剥離表面を有する裏紙、によ
り表裏供に保護されるか、又は裏打ちされる。この場
合、2つの剥離裏紙または表面は、接着剤からの異なっ
た剥離力を示す。
【0029】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、再生中に膜ゲルを形成せず、例えば、約290
〜300℃の様なポリエステルの再生温度で黄変せず変
色せず、悪臭を生成しない接着促進剤と剥離剤との混合
物から成る剥離コーティングを有する再生可能な剥離裏
紙が提供される。
【0030】本発明の第一の要旨の好ましい実施態様に
おいて、剥離コーティング組成物は、非黄変、非ゲル化
量の接着促進剤と剥離剤を含有する。接着促進剤は、単
一のモノマー又はポリマーから成ってもいてよく、もし
くは2種以上のモノマー又はポリマーの混合物、配合
物、溶液またはエマルジョンから成っていてもよい。剥
離剤は、単一のモノマー又はポリマーから成っていても
よく、もしくは2種以上のモノマーまたはポリマーの混
合物、配合物、溶液またはエマルジョンから成っていて
もよい。本発明の実施形態によれば、各接着促進剤およ
び剥離剤のタイプ及び量は、剥離組成物が、被覆される
ポリエステル基板の再生時に非黄変、非ゲル化であるよ
うなタイプと量である。本発明の実施形態によれば、接
着促進剤および剥離系は、再生温度で解重合しないので
揮発物質もガス状副生物も生じない。再生温度における
ゲルの生成、黄変、変色に加えて、コーティング耐久
性、基板への接着力および剥離力は、本発明の実施形態
による剥離組成物の使用により制御できる。
【0031】本発明の第二の要旨は、基板と、剥離表面
を有する上記基板上の剥離コーティングとから成る剥離
製品の製造方法であって、(1)水性媒体と、水溶性、
水分散性または水乳化性の接着促進剤と、上記接着促進
剤と相溶性である水溶性、水分散性または水乳化性の架
橋可能なシリコーン剥離剤とから成るコーティング配合
物を形成して、上記水性エマルジョン媒体中で接着促進
剤およびシリコーン剥離剤の均質な分布を形成する工
程、(2)高分子フィルム基板を押出す工程、(3)押
出された高分子フィルム基板を上記コーティング配合物
の実質的に均一な薄層でインライン被覆して、被覆され
た基板を形成する工程、(4)被覆された基板を反応温
度まで加熱することにより水性媒体を前記水性配合物か
ら蒸発させると共に前記シリコーン剥離剤を架橋し、実
質的に均一且つ均質に分布している硬化された接着促進
剤サイト及び硬化されたシリコーンポリマー剥離サイト
を前記第一の剥離表面が有する剥離表面を形成する工
程、(5)上記温度付近で上記被覆された基板を延伸す
る工程とから成ることを特徴とする剥離製品の製造方法
に存する。
【0032】本発明の第二の要旨の好ましい実施態様に
おいて、剥離コーティングは、(1)水溶性または水分
散性の接着促進剤と(2)水性ベースのシリコーン剥離
剤または組成物との均一な混合物から成る。
【0033】本発明の第二の要旨の好ましい実施態様に
おいて、剥離コーティング組成物が基板に被覆され、加
熱および/または乾燥することにより、基板上に剥離コ
ーティングを形成し、剥離力を可変できる剥離フィルム
を製造する方法が提供される。
【0034】本発明の第二の要旨の好ましい実施態様に
おいて、剥離フィルムを製造する方法は、フィルムをイ
ンライン被覆する工程と、実質的に同時にフィルムをテ
ンターで引張するか又は延伸しながら剥離コーティング
を乾燥または硬化させ、その間、乾燥または硬化のため
にテンターで引張するための熱を利用する工程とを含
む。
【0035】従来使用された多くのポリマーにより引起
こされたポリエステル基板の再生性への悪影響は周知で
ある。しかし、驚くべきことに、本発明の実施形態によ
り使用される剥離コーティングが、ポリエステル基板の
再生性に実質的に悪影響を及ぼさず、又例えば、ポリエ
チレンテレフタレートフィルムの様なポリエステル基板
が効果的に再生される。
【0036】
【発明の実施の形態】本発明の実施形態によれば、剥離
表面を有する剥離基板、例えば、剥離フィルムが提供さ
れる。剥離表面は、水溶性、水分散性または水乳化性の
接着促進剤と水溶性、水分散性または水乳化性のシリコ
ーン剥離剤との硬化された混合物から成る。本発明の実
施形態によれば、接着促進剤とシリコーン剥離剤との水
性配合物から成るコーティング組成物が提供される。
【0037】本発明の実施形態によれば、表面から所定
の接着剤を剥離するのに要する剥離力と、コーティング
組成物中の接着促進剤固形物の剥離剤固形物に対する重
量比、特に約0.2:1から約20:1の重量比範囲に
わたる重量比との間の実質的に直接的な相関関係または
実質的に直線的な関係を生じる剥離表面を形成するため
の剥離組成物が提供される。従って、接着促進剤の剥離
剤に対する固形物重量比を選択することにより、所望且
つ再現可能な剥離力を、剥離コーティング組成物におい
て達成することが出来る。本発明は、剥離コーティング
組成物の系であって、その系の各組成物が同じ接着促進
剤および剥離剤を含有するが、促進剤の剥離剤に対する
固形物重量比に実質的に直線的に関連付けられる異なっ
た剥離特性を有する剥離コーティング組成物の系を提供
する。
【0038】本発明の実施形態によれば、接着促進剤固
形物の剥離剤固形物に対する重量比は、約0.1:1よ
り大きい。本発明の好ましい実施形態によれば、硬化さ
れた接着促進剤の硬化されたシリコーン剥離剤に対する
重量比は、約0.2:1から約20:1であり、例え
ば、本発明の特に好ましい実施形態においてスルホモノ
マーコポリエステルを接着促進剤として使用した場合で
は、シリコーン剥離剤に対する重量比が約3:1から約
8:1の範囲である様に、使用される接着促進剤の種類
に応じて異なる。剥離コーティングは、好ましくは約5
0〜90重量%の接着促進剤固形物と約10〜50重量
%の剥離剤固形物とから成る。
【0039】本発明の実施形態によれば、剥離コーティ
ング系は接着促進剤と剥離剤とから成り、系のコーティ
ングから非シリーコン接着剤を剥離するのに要する力
が、接着促進剤の剥離剤に対する重量比の変化するのに
応じて、約50〜1000グラム/インチ(gm/i
n)に制御できる剥離コーティング系が提供される。
【0040】本発明の実施形態によれば、剥離コーティ
ング系は接着促進剤とシリコーン剥離剤とから成り、系
のコーティングから非シリーコン接着剤を剥離するのに
要する力が、接着促進剤のシリコーン剥離剤に対する重
量比およびシリコーン剥離剤中のポリオルガノシロキサ
ンオイルのポリシロキサン水素化物架橋剤に対する重量
比双方に応じて、約50〜約1000gm/inである
ように制御できる剥離コーティング系が提供される。
【0041】本発明の実施形態によれば、接着促進剤、
剥離剤、その双方の混合物のいずれも、再生温度に加熱
した際に実質的に膜ゲルを形成せず、実質的に黄変しな
い。その他の再生可能コーティング及びフィルムに比較
して黄色度を評価するために、約200ppm/フィル
ムmilのコーティングによるデルタ黄色度指数(L、
a、bカラーに基づくHunter Labs YI)
が評価に使用される。再生性は、過剰の架橋ゲル又は膜
ゲルの生成に関して、再生条件を経たサンプルの顕微鏡
検査により評価することもできる。ゲル化特性は、既知
の再生製品のものを基準としてゲルの粒子サイズ及び量
の点で評価することもできる。臭気は、既知の再生製品
に関する臭気発生を基準として評価できる。
【0042】本発明の好ましい実施形態によれば、接着
促進剤は、基板上に被覆され、その後加熱されるか、又
は乾燥された後に硬化する硬化可能な反応性モノマー系
から成る。好ましくは、シリコーン剥離剤は接着促進剤
と相溶性であって、均質な分散液、例えば、接着促進剤
とシリコーン剥離剤の水性エマルジョンを形成する架橋
可能なシリコーン系から成る。本発明の実施形態によれ
ば、接着促進剤およびシリコーン剥離剤は、基板表面に
被覆され、その後加熱されるか、又は乾燥された後、重
合および/または架橋する双方共反応性の系と成る。
【0043】接着促進剤が反応性モノマー系から成る本
発明の実施形態において、好ましくは、反応系を硬化ま
たは重合させるのに十分な条件下で組成物を加熱する
か、又は乾燥する。剥離剤が架橋可能なシリコーン系か
ら成る本発明の実施形態においても、シリーコン系を架
橋または硬化させるのに十分な条件下で組成物を加熱す
るか、又は乾燥する。生成した硬化された剥離コーティ
ングにおいて、硬化された接着促進剤サイトと硬化され
たシリコーンポリマー剥離サイトが実質的に均一且つ均
質に分布する。本発明の好ましい実施形態によれば、サ
イトは、接着促進剤の離散した島および剥離剤の島であ
る海島構造をとる。本発明の好ましい実施形態によれ
ば、剥離コーティングは、接着促進剤と剥離剤との相互
侵入網目から成る。被覆、乾燥且つ硬化されたコーティ
ング組成物中で接着促進剤と剥離剤との間において多少
の架橋または水素結合が存在してもよい。
【0044】本発明の好ましい実施形態によれば、剥離
コーティング組成物は、コーティングが上に被覆される
高分子フィルム基板をテンターで引張するために使用す
る温度条件下で硬化または重合する接着促進剤または接
着促進剤系を有する。好ましい実施形態によれば、接着
促進剤の硬化または重合のために、余分の熱処理を必要
とせず、フィルムのテンターリングのために維持される
温度で充分処理できる。本発明の実施形態によれば、剥
離コーティング組成物は、二軸延伸高分子フィルムの形
成中であって、第一の延伸手順後且つ第二の延伸手順前
に被覆される。
【0045】本発明の実施形態によれば、接着促進剤
は、一般に、ファンダブルク(Funderburk)
らによる米国特許第4,493,872号公報に記載さ
れたコポリエステルであってもよく、この特許を本願に
引用する。但し、本発明によれば、スルホモノマーの範
囲の百分率は、上記した特許に記載されたものより本発
明の方が若干広い。更に、本発明の好ましい実施形態に
より使用されるスルホモノマー含有接着促進剤は、ファ
ンダブルク(Funderburk)らによる特許に開
示されたアルカリ金属スルホン酸塩群に限定されない。
本発明の好ましい実施形態により使用されるスルホモノ
マー群は、スルホネート基がジカルボン酸核に結合され
ているいずれのスルホモノマーから成ってもよい。米国
特許第4,493,872号公報において、スルホモノ
マー群に対する下限が5モル%であることと、この量が
プライマに水分散性を付与するために必要であることと
が記載されている。本発明の実施形態によれば、前記し
た特許より若干少ない量のスルホモノマー群を接着促進
剤組成物中で使用してもよい。
【0046】本発明の好ましい実施形態により使用され
る接着促進剤組成物は、希釈前に、(I)(a)約65
から約95モル%固形物のイソフタル酸またはそのアル
キルイソフタレート又はジアルキルイソフタレート誘導
体と、(b)約0〜30モル%固形物の少なくとも1種
の脂肪族ジカルボン酸と、(c)約5〜20モル%固形
物のジカルボン酸核に結合したスルホネート基を含む少
なくとも1種のスルホモノマーとから成る第一の成分
(I)であって、(a)、(b)及び(c)の合計が1
00モル%固形物であるような第一の成分(I)と、
(d)炭素数2〜11の少なくとも1種の共重合可能な
グリコールの(a)、(b)及び(c)の全モルに基づ
く、化学量論的な量、例えば、約100%固形物から成
る第二の成分(II)とから成ってもよい。
【0047】本発明の実施形態による接着促進剤中で使
用できる脂肪族ジカルボン酸、スルホモノマー及びグリ
コールは、ファンダブルク(Funderburk)ら
による前記した特許に記載されたものが含まれる。本発
明の好ましい実施形態によるスルホモノマーは、一般
に、下記に示す化学式(3)により表すことができる。
【0048】
【化3】
【0049】式中、Mは一価のカチオンであり、水素、
アルカリ金属の群、アンモニウム、置換アンモニウム及
び第四アンモニウムから選択される。zは三価の基であ
り、X及びYはカルボキシル基またはポリエステル形成
同等基である。
【0050】zが芳香族であるスルホモノマーは、ハイ
ベルガ(Heiberger)による米国特許第3,5
63,942号公報およびキブラ(Kibler)らに
よる米国特許第3,779,993号公報に開示されて
おり、双方を本願に引用する。こうしたモノマーの化学
種には、スルホテレフタル酸ナトリウム、スルホテレフ
タル酸アンモニウム、5−スルホイソフタル酸ナトリウ
ム、スルホフタル酸ナトリウム、スルホフタル酸アンモ
ニウム、5−(p−ソジオスルホフェノキシ)イソフタ
ル酸、5−(スルホプロポキシ)イソフタル酸ナトリウ
ム塩、等の材料ならびにそれらのポリエステル形成同等
物、例えば、ジメチル−5−スルホイソフタレートナト
リウム塩を含む化学種のジメチルエステルが例示され
る。
【0051】zが脂肪族であるスルホモノマーは、キブ
ラ(Kibler)らによる米国特許第3,734,8
74号公報およびカルバーストン(Culbersto
n)らによる米国特許第5,350,601号公報に開
示されており、これらも本願に引用する。脂肪族スルホ
モノマーのその他の例は、スルホン化基が三価のアルキ
ル基からペンダントとなっているスルホン化脂肪族ジカ
ルボン酸(又はそれらのエステル同等物)である。例と
して、スルホプロピルマロン酸の構造を以下の化学式
(4)に示す。
【0052】
【化4】
【0053】式中、zはCH−CH2−CH2−CH2
である。
【0054】更にスルホン化コハク酸の構造を以下の化
学式(5)に示す。
【0055】
【化5】
【0056】式中、zはCH2−CH基である。
【0057】スルホモノマーと共に使用してもよいグリ
コールには、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,
6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,
10−デカンジオール、シクロヘキサンジメタノール及
び類似の物質が挙げられる。エチレングリコールは好ま
しいグリコールである。接着促進剤も、ポリアルキレン
グリコール、例えば、ポリエチレングリコールを含有し
てもよい。
【0058】サルホモノマーと共に使用してもよい適切
な脂肪族ジカルボン酸の例には、マロン酸、アジピン
酸、アゼライン酸、グルタル酸、セバシン酸、スベリン
酸、コハク酸、ブラシル酸およびそれらの混合物、又は
それらのポリエステル形成同等物が挙げられる。セバシ
ン酸は好ましい二価の酸である。
【0059】適用可能な範囲で、ファンダブルク(Fu
nderburk)らによる米国特許第4,493,8
72号公報の記載を本願に引用する。
【0060】本発明の好ましい実施形態によれば、サル
ホモノマー接着促進剤は、化学式C 64(COO−)2
のフタル酸ユニットとアルキレンジオールとから生成さ
れる少なくとも1種のエステルから成る。又、本発明の
好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のエステル
は、約5:1〜15:1の重量比のジメチルイソフタレ
ートとジメチル−5−サルホイソフタレートのナトリウ
ム塩とから成る。好ましくは、アルキレンジオールはエ
チレングリコールから成る。又、アルキレンジオール
は、ポリアルキレングリコール、例えば、ポリエチレン
グリコールから成っていてもよい。少なくとも1種のエ
ステルのジオールに対する比は、通常約0.1:1〜1
0:1、好ましくは約1:1である。
【0061】本発明の好ましい実施形態によれば、剥離
組成物の接着促進剤は、少なくとも1種のアルキルアク
リレートの水分散性アクリルエマルジョンから成る。本
発明の好ましい実施形態によれば、少なくとも1種のア
ルキルアクリレートは、メチルメタクリレート、エチル
アクリレート、及び(1)メタクリルアミドとエステル
化トリアジンの少なくとも1種、又は(2)N−メチロ
ールアクリルアミド、又はそれらのプレポリマーから成
る。本発明の好ましい実施形態によれば、接着促進剤
は、剥離コーティング組成物を乾燥または加熱すると同
時に重合する少なくとも1種の反応性モノマーを含むア
クリルエマルジョンから成る。反応性モノマー又はオリ
ゴマを有するコーティング組成物を使用する場合、コー
ティング組成物は、pH調節剤、又は反応性の成分が早
期重合または硬化するのを防ぐための添加剤等を含有し
てもよい。好ましい実施形態によれば、接着促進剤は、
約30〜50重量%のメチルメタクリレートと、約30
〜50重量%のエチルアクリレートと、約1〜10重量
%のメタクリルアミドと、約5〜25重量%の反応性エ
ステル化トリアジンとから成っる。
【0062】本発明の好ましい実施形態によれば、接着
促進剤は、約70〜90重量%、特に好ましくは約80
重量%の下記に示す成分(A)と約10〜30重量%、
特に好ましくは約20重量%の下記に示す成分成分
(B)とから成る。成分(A)は、約45〜50重量%
のメチルメタクリレートと、約45〜50重量%のエチ
ルアクリレートと、約2〜8重量%のメタクリルアミド
から成るプレポリマーから成る。成分(B)はエステル
化トリアジンから成る。好ましくは、成分(B)のエス
テル化トリアジンは、ヘキサメトキシメチルメラミン、
例えば、CYMEL385(ロームアンドハースコーポ
レーション(Rohm & Haas Corpora
tion)社製、ペンシルバニア州、フィラデルフィ
ア)から成る。
【0063】CYMEL 385を含有する水性エマル
ジョンコーティング組成物は、アルカリ性にpH調節す
ることにより、反応性のCYMEL 385成分の早期
反応または重合を防止して使用することが出来る。基板
上にエマルジョンを被覆し、乾燥または加熱することに
より、pH調節剤およびエマルジョン又はサスペンジョ
ンキャリア液は蒸発するため、CYMEL 385の反
応を防止する要因がなくなる。その結果、被覆されたエ
マルジョンの乾燥および/または加熱と同時に、CYM
EL 385の重合が開始するか、又はその場で反応す
る。
【0064】本発明のアクリルベースの接着促進剤の架
橋剤として、好ましくはN−メチロールアクリルアミド
が使用される。N−メチロールアクリルアミドは、好ま
しくは、接着促進剤の全重量に基づいて約6重量%以下
の量で使用する。本発明の好ましい実施形態によれば、
再生時に実質的なゲルの生成を防止するため、N−メチ
ロールアクリルアミド又はその他の架橋剤の、接着促進
剤中または剥離剤中における使用量は、架橋剤を含む接
着促進剤または剥離剤の重量に基づいて6重量%以下と
するのが好ましい。使用料が6重量%を超える場合、特
に10重量%を超え、架橋剤として特にN−メチロール
アクリルアミドを使用した場合、コーティング組成物が
再生温度を経る時、ゲル粒子または膜ゲルが実質的に生
じる傾向がある。本発明の好ましい実施形態によれば、
接着促進剤中に存在する架橋剤が反応性コモノマーだけ
であってもよい。具体的には、接着促進剤中に存在する
架橋剤がN−メチロールアクリルアミドだけであっても
よい。
【0065】本発明の好ましい実施形態によれば、接着
促進剤は、約40〜80重量%、好ましくは約40〜7
9重量%、より好ましくは約55〜65重量%のメチル
メタクリレートと、約19〜50重量%、好ましくは約
20〜50重量%、より好ましくは約30〜40重量%
のエチルアクリレートと、約1〜8重量%、好ましくは
約3〜7重量%のN−メチロールアクリルアミドとから
成る。
【0066】本発明の実施形態によるアクリルベースの
高分子接着促進剤および本発明によるその他の接着促進
剤は、ジョージ・オディアン(George Odia
n)著、「重合の原理」、第二版、John Wile
y and Sons発行、に記載されている様に、約
40〜60℃の温度で従来のポリマー合成方法により調
整できる。実際には、アクリル又はアクリレートモノマ
ー成分、架橋剤、及び1種以上の種々の界面活性剤を、
計量しながら水溶液中にゆっくりと供給する。種々の界
面活性剤はアニオン系であっても非イオン系界面活性剤
であってもよい。
【0067】非イオン系界面活性剤としては、オクチル
フェノールエトキシレート((ロームアンドハースコー
ポレーション(Rohm & Haas Corpor
ation)社製、ペンシルバニア州、フィラデルフィ
ア)、(ユニオンカーバイドコーポレーション(Uni
on Carbide Corporation)社
製、ニューヨーク州、ニューヨーク)、(BASH社
製、サウスカロライナ州、スパータンバーグ))の様な
アルキルフェノールエトキシレートが例示される。アニ
オン系界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム又
はドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが例示され
る。水溶液は、レドックス開始剤系を含有してよい。代
表的な重合反応開始剤としては、ラウリルペルオキシ
ド、ベンゾイルペルオキシド及びメチルエチルケトンペ
ルオキシド等の様な過酸化物化合物が例示される。
【0068】重合反応において、水質は重大な影響を及
ぼす。非処理の水の様に、特定の多価イオンが存在する
と、開始プロセス及び乳化剤の作用が妨害されるので、
脱イオン水を使用するのが好ましい。
【0069】コモノマーが、界面活性剤および開始剤を
含有する水に計量されながらゆっくりと供給されるにつ
れて、2種以上のコモノマーの共重合が始まり、この共
重合によりコーティング組成物の粒子が形成される。共
重合反応の終了付近では、非イオン及びアニオン系界面
活性剤により、反応混合物は水中に懸濁された小粒子か
ら成る。この混合物は、通常、25〜30重量%の固形
物を有する。混合物は、その濃度で使用してもよいし、
水または溶媒で希釈して使用してもよいし、濃縮して使
用してもよいし、あるいは剥離剤組成物を含むその他の
コーティング組成物成分と混合するために乾燥してもよ
い。
【0070】本発明によるコーティング組成物を形成す
る方法は、水または水/有機溶媒もしくはエマルジョン
媒体によって接着促進剤成分を約2〜12重量%の固形
物含有率の濃度に希釈する工程を含んでもよい。希釈さ
れたエマルジョン、溶液または混合物は、その後に、剥
離成分、例えば、シリコーン剥離組成物および残りのい
ずれのコーティング組成物成分と混ぜることが出来る。
本発明の実施形態によれば、剥離剤は、裏紙基板に被覆
後、重合して剥離剤を生成できる重合可能な配合物から
成っていてもよい。本発明の好ましい実施形態によれ
ば、剥離剤は、裏紙基板に被覆前に重合された重合シリ
コーン剥離配合物から成ってもよい。
【0071】反応性モノマー接着促進剤または接着促進
剤系を含む本発明の更に別の実施形態によれば、接着促
進剤は、水分散性の架橋可能なアミノシランから成って
もよい。好ましくは、アミノシランは、水溶液中で形成
され、被覆後に溶液を乾燥または加熱すると同時にその
場で反応する。本発明の好ましい実施形態によれば、ア
ミノアルキルアルコキシシランから成るアミノシラン接
着促進剤が提供される。アミノアルキルアルコキシシラ
ンは、接着促進剤の高分子相互侵入網目と剥離剤との
間、及び網目と基板との間の結合を促進する。アミノア
ルキルアルコキシシラン接着促進剤の使用は、基板がポ
リエステルフィルム、特に、ポリエチレンテレフタレー
トフィルムである場合に好ましい。アミノアルキルアル
コキシシラン接着促進剤は、グリシドキシシラン成分を
含むシリコーン剥離剤との併用で更に効果的に使用でき
る。アミノアルキルアルコキシシラン接着促進剤と相溶
性があるシリコーン剥離剤中で使用するのに好ましいグ
リシドキシシラン成分を以下に説明する。
【0072】グリシドキシシラン成分としては、アミノ
アルキルアルコキシシラン、例えば、アミノプロピルト
リメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシ
ラン又は以下の化学式(6)で示される、何れのアミノ
アルキルアルコキシシランであってもよい。
【0073】
【化6】
【0074】式中、Xはアミノ基であり、Yはメチレ
ン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基であり、R
1及びR2はメトキシ、エトキシ及びアセトキシ等の加水
分解可能な基であり、R3は加水分解可能な基であって
も加水分解不能な基であってもよい。
【0075】R3が加水分解不能な基である場合、R3
メチル及びエチル等のアルキル基、又はフェニル及びナ
フチル等のアリール基でる。これらのグリシドキシシラ
ンは、水溶性または水分散性ならびに有機溶媒溶解性ま
たは分散性を有してもよい。
【0076】本発明の好ましい実施形態によれば、接着
促進剤は、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロ
ピルトリメトキシシランの重合生成物、例えば、Z−2
060(ダウケミカルカンパニ(Dow Chemic
al Company)社製、ミシガン州、ミッドラン
ド)の重合生成物から成る。アミノシランを接着促進剤
として使用する場合、その重合生成物は、好ましくは、
剥離コーティング組成物を基板に被覆後、加熱または乾
燥中に三次元架橋された一官能性ポリシロキサンであ
る。
【0077】本発明の好ましい実施形態による高分子ア
ミノシラン接着促進剤系を形成する方法は、実質的また
は完全に純粋の液状アミノアルキルアルコキシシラン前
駆体を以下の反応が進行する条件下で水に添加する工程
を含む。その反応とは、前駆体のアルキル基が水と反応
してヒドロキシル基とアルコールを生成すると共に、反
応した隣接シランのヒドロキシル基が縮合して、隣接シ
ラン間でシロキサン結合と水とを形成するというもので
ある。生じるアミノシランポリマーは三次元架橋された
一官能性ポリシロキサンである。
【0078】縮重合反応の例は、以下の反応式で表すこ
とができる。
【化7】
【0079】RはCH2CH2CH2−NH−CH2CH2
−NH2であり、ZはモノマーIIの少なくとも1つの
ヒドロキシル基が縮合した後のモノマーIIである。
【0080】生成した接着促進剤ポリマー系は、ポリシ
ロキサンから成る剥離層の表面において、露出したR基
を有する三次元架橋した一官能性ポリシロキサンであ
る。前記した方法によりアミノシランを重合する方法お
よび関連した手法は、それぞれ、スウォフォード(Sw
offord)又はスウォフォード(Swoffor
d)らによる米国特許第4,898,786号、4,9
39,035号、4,954,396号、5,022,
944号、5,064,722号および5,082,7
38号各公報に開示されており、それぞれを本願に引用
する。
【0081】使用するアミノシランの量は、接着促進剤
ポリマー系の全重量に基づいて約100重量%以下が好
ましく、より好ましくは、アミノシランを使用する接着
促進剤系の約80%以上である。
【0082】本発明の好ましい実施形態によれば、アミ
ノシラン接着促進剤を含有する剥離裏紙は再生可能であ
り、ポリエステルフィルム再生温度、例えば、約290
〜300℃の範囲において不純物、ゲル粒子、膜ゲルを
形成せず、黄変、臭気の発生も無い。好ましい態様にお
いて、アミノシランは再生温度において解重合せず、再
生温度において揮発物質もガス状副生物も生成しない。
【0083】本発明の実施形態によれば、剥離剤は、反
応性の架橋可能なシリコーン系から成っていてもよい。
反応性のシリコーン系は硬化するか、又は架橋してコー
ティング組成物の剥離剤成分を形成する。本発明の好ま
しい実施形態によれば、シリコーン系は、水素−または
アルコキシ−官能性ポリシロキサンと、その官能性ポリ
シロキサンのSi−H又はSi−OR基と反応性のエラ
ストマ性ポリシロキサン保有群と、の硬化可能な混合物
から成る。但し、Rは炭素数1〜10のアルキル基また
はアルコキシアルキル基を表す。有機溶媒が実質的に存
在しないことが必要な場合、反応性ポリシロキサンは、
(A)水素−またはアルコキシ−官能性ポリシロキサン
と、(B)水素−またはアルコキシ−官能性ポリシロキ
サンと反応性のエラストマ性ビニル−または水素−末端
ポリシロキサンとから成っていてもよい。本発明の実施
形態によれば、その反応は、剥離組成物のための剥離剤
成分を生じる。その他のシリコーン又はシラン材料を剥
離剤に配合してもよい。
【0084】Si−H又はSi−OR基は、様々な基と
の反応性である。水素−官能性ポリシロキサンのSi−
H基は、第二のポリシロキサンが、例えば、ビニル基の
様な不飽和基、又はヒドロキシ基を保有している場合、
第二のポリシロキサンに対する反応性を有する。例え
ば、水素−官能性ポリシロキサンの水素は、ビニル−末
端ポリシロキサンにおけるビニル基に対して反応性を有
し、不飽和ポリシロキサンオイルにおける主鎖中の不飽
和基に対して反応性を有する。この反応で、白金触媒、
例えば、ヘキサクロロ白金酸を触媒として使用する。水
素−官能性ポリシロキサンのSi−H基は、水溶性また
は水分散性の接着促進剤中のヒドロキシ官能性基に対し
て反応性を有する。水素−官能性ポリシロキサンの水素
は、ヒドロキシ樹脂中の水素−官能性基に対して反応性
を有する。
【0085】ヒドロキシ樹脂のヒドロキシ基は、好まし
いアミノプラスト架橋剤に対して反応性を有し、この反
応を促進するためにドデシルベンゼンスルホン酸の様な
酸触媒を使用する。ヒドロキシ基との反応において、金
属塩触媒を触媒として使用する。金属塩触媒の金属イオ
ンとしては、鉛からマンガンまでの起電力列から選ばれ
る。この列の金属触媒は公知であり、代表的には、ジブ
チル錫ジアセテートの様なモノカルボン酸またはジカル
ボン酸の錫塩が例示される。アルコキシ−官能性基を選
択した場合、接着促進剤成分および/またはポリシロキ
サン中のヒドロキシ官能性基に対して反応性を有し、錫
型触媒はアルコキシ−官能性基の反応を促進する。
【0086】水素−官能性ポリシロキサン、アルコキシ
−官能性ポリシロキサン、ヒドロキシ−官能性ポリシロ
キサン及びビニル−官能性ポリシロキサンはすべて、一
般に低粘度、易流動性液状樹脂として市販品を入手でき
る。本発明の実施形態によるシリコーン剥離剤は、水性
エマルジョン中で使用してもよい。
【0087】剥離剤配合物中で生じる幾つかの重合反応
により、コーティング組成物と基板または裏紙との間の
接着も達成される。層間の接着を更に改善するため、シ
ランカップリング剤を添加することができ、シランカッ
プリング剤としては、通常、シランのシリコン原子上に
第四の置換基としてのアミン、メルカプタン又はエポキ
シ官能基を有するトリメトキシシランを使用する。
【0088】本発明の好ましい実施形態によれば、剥離
剤は、ビニル末端基およびビニル側鎖基から成る群から
選ばれた少なくとも1種の置換基で置換されたジオルガ
ノポリシロキサンシリコーンオイルの架橋された反応生
成物から成るシリコーン系である。好ましくは、反応生
成物は、ビニル末端基およびビニル側鎖基の双方を有す
る架橋されたジアルキル/アルキルビニル−ポリシロキ
サンから成る。本発明の好ましい実施形態によれば、シ
リコーン系は、ビニル末端基およびビニル側鎖基の少な
くとも1種で置換されたジアリール−またはアルキルア
リール−ポリシロキサンの反応生成物から成る。
【0089】ジオルガノポリシロキサンは、好ましく
は、以下の化学式(1)で示す構造を有する。
【化8】
【0090】式中、R、R1、R2、R3、R4、R5及び
6は有機基であり、xは0≦x≦0.999を満たす
数であり、mは3以上の整数である。
【0091】好ましくは、R及びR6はビニル基であ
る。好ましくはR、R1、R2、R3、R 4、R5及びR6
少なくとも1種のビニル基を含む、アルキル、アリー
ル、アラルキル、アルキルアリール、アルケニル、シク
ロアルキル、シクロアルケニル又はフェニルの群から選
ばれた基である。具体的には、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ビニル、アリル、トリル、キシリル、ベン
ジル、シクロヘキシル、フェニルエチル及びナフチル基
である。R、R1、R2、R3、R4、R5及びR6はハロゲ
ン置換炭化水素基、アミノ置換炭化水素基またはシアノ
置換炭化水素基であってもよい。
【0092】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
した化学式(1)におけるR、R1、R2、R3、R4、R
5及びR6は炭素数1〜10の炭化水素、好ましくは
1、R 2、R3、R4及びR5はアルキル又はフェニル基
であり、R及びR6の少なくとも1つはビニル基であ
る。本発明の好ましい実施形態によれば、R1、R2、R
3、R4及びR5は炭素数1〜3のアルキル基であり、R
及びR6の少なくとも1つはビニル基、より好ましくは
1、R2、R3、R4及びR5はメチル基であり、R及び
6の少なくとも1つはビニル基である。好ましい実施
形態によれば、ポリシロキサンは、ジメチルビニルで停
止またはジビニルメチルで停止されている。
【0093】オルガノポリシロキサン成分は、好ましく
は約100〜1000csの粘度および約0.1〜1.
0重量%の油中ビニル含有率を有する。
【0094】オルガノポリシロキサンは、水性エマルジ
ョンとして水中で供給されてもよく、触媒、例えば、白
金触媒とプレミックスされていてもよい。化学式(1)
で示されるシリコーンポリマーを含有するオルガノポリ
シロキサン配合物として、400Eデヒーシブシリコー
ンコーティング(ワッカーシリコーン(WackerS
ilicone)社製、ミシガン州、エードリアン)が
例示される。400Eは、約52%から約58%の重量
%固形物含有率、約0.4〜0.45重量%の油中ビニ
ル含有率および約500csの粘度を有し、シリコーン
の重量に基づいて40ppmの白金触媒を更に含む水性
エマルジョンとして供給される。400Eエマルジョン
のシリコーンは、化学式(1)で示される構造を有する
(但し、R1、R2、R3、R4及びR5はメチル基であ
り、R及びR6はメチル基およびビニル基から任意に選
ばれ、xは0≦x≦0.999を満たす数であり、mは
3以上の整数である)。
【0095】本発明の好ましい実施形態によれば、コー
ティング組成物ポリマーの硬化されたシリコーン剥離系
は、ビニル末端基およびビニル側鎖基から成る群から選
択される少なくとも1種の置換基で置換されたジアルキ
ル−ポリシロキサンシリコーンオイルと、アルキル水素
ポリシロキサン架橋剤と、触媒として有効量の架橋触媒
とから成る成分の反応生成物から成る。これらの成分
は、コーティング配合物の全重量に基づいて約10〜2
0重量%固形物、例えば、14重量%固形物を含有しう
る水性コーティング配合物であることが好ましい。
【0096】シリコーン剥離系は、例えば、定着剤また
はカップリング剤、及び接着促進剤成分から成っていて
もよい。シリコーン剥離系に使用して剥離系を基板に接
着できる定着剤およびカップリング剤として、ミッタル
(K.L.Mittal)編、刊行物「シラン及びその
他のカップリング剤」、VSP出版社(1992)、に
記載されたオルガノシラン剤またはジルコアルミネート
剤が例示され、この刊行物全体を本願に引用する。特
に、「シラン及びその他のカップリング剤」(同書)の
6頁、表1(オルガノ機能性カップリング剤)、表1
(シラン)、547及び551頁(ジルコニウムベース
のカップリング剤および接着促進剤)、559及び56
1頁(ジルコアルミネート接着促進剤)に記載されたも
のが好ましく、これらの引用頁全体を本願に引用する。
【0097】シリコーン剥離剤に配合してもよいその他
の材料には、モエラー(Moeller)による米国特
許第4,216,252号公報に開示されたシリコーン
接着剤が挙げられ、その特許全体を本願に引用する。米
国特許第4,216,252号公報には、テトラアルキ
ルチタネートをシリコーン組成物に添加して組成物の接
着を改善できることが開示されている。
【0098】特に基板がポリエステル材料から成る実施
形態において、シリコーン剥離系はエポキシ−置換アル
コキシシランから成ることが好ましい。エポキシ−置換
アルコキシシランがシリコーン系に含まれる実施形態に
おいて、アルコキシシランとして、ガンマ−(グリシド
キシプロピル)−トリメトキシシラン、例えば、Z−6
040(ダウコーニング(Dow Corning)社
製)が例示される。エポキシ−置換アルコキシシランが
シリコーン剥離剤に含まれる本発明の実施形態におい
て、シランは、100重量%液状シランとして供給さ
れ、シリコーン剥離系中の反応体の全重量に基づいて、
好ましくは約0.1〜1.0重量%、特に好ましくは
0.5重量%の量でシリコーン剥離系中に存在する。そ
の他の定着剤、カップリング剤または類似の薬剤を使用
でき、具体例として、その他のシラン及びSYL−OF
F 297(ダウコーニング(Dow Cornin
g)社製)が挙げられる。
【0099】剥離コーティングとして単独で使用する場
合、本発明のシリコーン剥離成分または系は、TESA
7475試験テープを1日のエージング後に約12イン
チ/分の引張速度で剥離する際、通常、約10〜25g
/インチの剥離力を示す。
【0100】本発明の実施形態によれば、架橋剤は、好
ましくは、以下の化学式(2)で示される康応を有す
る。
【化9】
【0101】式中、R、R1、R2、R3及びR4は有機基
であり、vは約0.1〜1.0、好ましくは、約0.3
〜0.7であり、nは3以上の整数である。
【0102】好ましい実施形態によれば、R及びR4
少なくとも1つはビニル基である。R、R1、R2、R3
及びR4は、好ましくはアルキル、アリール、アラルキ
ル、アルキルアリール、アルケニル、シクロアルキル、
シクロアルケニル又はフェニルの群から選択された基で
あり、これらの具体例として、メチル、エチル、プロピ
ル、ブチル、ビニル、アリル、トリル、キシリル、ベン
ジル、シクロヘキシル、フェニルエチル及びナフチル基
が挙げられる。R、R1、R2、R3及びR4はハロゲン置
換炭化水素基、アミノ置換炭化水素基またはシアノ置換
炭化水素基であってもよい。
【0103】本発明の好ましい実施形態によれば、前記
した化学式(2)におけるR、R1、R2、R3及びR4
炭素数1〜10の炭化水素である。好ましくは、R1
2及びR3はアルキル又はフェニル基である。本発明の
好ましい実施形態によれば、R1、R2及びR3は炭素数
1〜3のアルキル基であり、R及びR4は水素、アルキ
ル基またはビニル基である。好ましくは、R1、R2及び
3はメチル基であり、R及びR4は水素、アルキル基ま
たはビニル基である。好ましい実施形態によれば、架橋
剤をジメチル水素で停止する。
【0104】化学式(2)の架橋剤は、好ましくは約
0.1〜0.5重量%の油中水素を有し、水性エマルジ
ョンとして供給される。化学式(2)で示されるの架橋
剤としては、V20(ワッカーシリコーン(Wacke
r Silicone)社製、ミシガン州、エードリア
ン)が例示される。V−20は、約0.70〜0.76
重量%の油中水素含有率を有し、水性エマルジョンで供
給される。V−20エマルジョンの架橋剤は、化学式
(2)で表される構造を有する(式中、R1、R2及びR
3はそれぞれメチル基であり、R及びR4はメチル基およ
び水素から任意に選ばれ、v=0.5である)。
【0105】本発明の他の特徴として、非シリコーン接
着剤を本発明による剥離表面から分離するのに要する剥
離力は、シリコーン剥離剤中のポリオルガノシロキサン
のオルガノ水素シロキサン架橋剤に対する重量比に応じ
て変化できる。一般に、ポリオルガノシロキサンの架橋
剤に対する比が増加するにつれて、剥離表面から接着剤
を剥離するのに要する力は、実質的に直線的に増加す
る。架橋剤の百分率が増加するにつれて、架橋度は増加
すると共に、剥離力は、一般に実質的に直線的に減少す
る。通常、約1:1〜20:1の架橋剤に対するポリオ
ルガノシロキサンの比、好ましくは、約7:1から1
5:1の比の範囲で上記の関係が達成される。
【0106】シリコーン剥離剤が架橋触媒から成る本発
明の実施形態によれば、架橋触媒は好ましくは白金であ
る。白金触媒としては、ヘキサクロロ白金酸および四塩
化白金が好ましい。
【0107】架橋触媒は、触媒として有効量を使用する
が、好ましくは化学式(1)のポリオルガノシロキサン
の重量に基づいて約300から約1000ppmの量で
使用する。
【0108】本発明の好ましい実施形態によれば、コー
ティング組成物のシリコーン剥離成分は、脱イオン水中
でグリシドキシシランを加水分解すると共に、水性シリ
コーン樹脂エマルジョンとそれに対応する架橋剤とを混
合することにより調整できる。シリコーン剥離系中にお
いてグリシドキシシランを使用する場合、グリシドキシ
シランは架橋網目構造を基板に強固に定着または保持さ
せるのを補助する働きがある。グリシドキシシランは、
グリシドキシプロピル−トリメトキシシラン、グリシド
キシプロピルメチルジエトキシシラン、又は、以下の構
造式(6)により表されるグリシドキシシランの何れも
が使用できる。
【0109】
【化10】
【0110】式中、Xはアミノ基であり、Yはメチレ
ン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基であり、R
1及びR2はメトキシ、エトキシ及びアセトキシ等の加水
分解可能な基であり、R3は加水分解可能な基であって
も加水分解不能な基であってもよい。
【0111】R3が加水分解不能な基である場合、R3
メチル及びエチル等のアルキル基、又はフェニル及びナ
フチル等のアリール基でる。これらのグリシドキシシラ
ンは、水溶性または水分散性ならびに有機溶媒溶解性ま
たは分散性を有してもよい。本発明において使用できる
市販品のグリシドキシプロピルトリメトキシシランとし
て、Z−6040(ダウコーニング(Dow Corn
ing)社製)が挙げられる。
【0112】グリシドキシシランの縮重合反応は、以下
の反応式みて表すことができる。
【0113】
【化11】
【0114】式中、Rはガンマ−(グリシドキシプロピ
ル)基であり、ZはモノマーIIのヒドロキシル基と縮
合する少なくとも1つのヒドロキシル基を有するシリコ
ーン反応性モノマー又はポリマーの縮合された重合生成
物である。
【0115】グリシドキシ置換基のエポキシ基は、ポリ
エステルフィルム基板のポリエステル表面に結合すると
共に、架橋されたシリコーン剥離剤ポリマー系にも結合
して、剥離剤系をポリエステル表面に保持する。
【0116】グリシドキシシランから成る剥離剤は、シ
リコーン剥離ポリマー系の全重量に基づいて、好ましく
は約5〜20重量%のグリシドキシシランを含有する。
グリシドキシシランの含有量が5重量%未満の場合は、
シリコーン剥離ポリマー系のこすれ落ちの改善が不十分
なことがあり、グリシドキシシランの含有量が20重量
%を超える場合は、過剰の粘着性、こすれ落ちの増加、
摩擦係数の増加をもたらすことがある。
【0117】水性シリコーン樹脂組成物は、白金により
触媒作用を受ける。又、縮合型のシロキサンを使用する
場合、そのエマルジョンは錫触媒により触媒作用を受け
る。使用する架橋剤は、使用する特定の水性シリコーン
樹脂に対して、特定のシリコーン樹脂組成物製造者から
推奨されるものが好ましい。
【0118】本剥離コーティング組成物の剥離剤として
使用できる水性ベースのシリコーン樹脂組成物の例とし
ては以下の市販品が挙げられる。
【0119】1)Syl−off X2−7720、7
790又は7910(ダウコーニング(Dow Cor
ning)社製、ミシガン州、ミッドランド)、白金ポ
リシロキサンから成るX2−7721又は7922架橋
系のいずれかと組合せた、メチルビニルポリシロキサン
とメチル水素ポリシロキサンとから成る水性シリコーン
樹脂組成物。
【0120】2)SM3200(ジーイーシリコーンズ
(G.E.Silicones)社製、ニューヨーク
州、スケネクタディ)、白金ポリシロキサンから成る3
010架橋系と組合せた、メチルビニルポリシロキサン
とメチル水素ポリシロキサンとから成る水性シリコーン
樹脂組成物。
【0121】3)400E又は410E(ワッカーシリ
コーン(Wacker Silicone)社製、ミシ
ガン州、エイドリアン)、メチル水素ポリシロキサンか
ら成るV−20架橋系と組合せた、メチルビニルポリシ
ロキサンと白金とから成る水性ベースのシリコーン樹脂
組成物。
【0122】4)PCL PC−105(ローヌプーラ
ン(Rhone−PoulencInc.)社製、サウ
スカロライナ州、ロックヒル)、白金ポリシロキサンか
ら成るPC−95の触媒成分と組合せた、メチルビニル
ポリシロキサンとメチル水素ポリシロキサンとから成る
水性ベースのシリコーン樹脂組成物。
【0123】5)PCL PC−107(ローヌプーラ
ン(Rhone−PoulencInc.)社製)、前
記したPC−95架橋剤と組合せた、水性ベースのシリ
コーン樹脂組成物(PC−105に類似)。
【0124】6)PCL PC−188(ローヌプーラ
ン(Rhone−PoulencInc.)社製)、前
記したPC−95架橋剤と組合せた、水性ベースのシリ
コーン樹脂組成物(PC−105に類似)。
【0125】グリシドキシシランは、グリシドキシプロ
ピルトリメトキシ−シラン、又は以下の構造式(6)に
より表されるグリシドキシシランの何れもが使用でき
る。
【0126】
【化12】
【0127】式中、Xはアミノ基であり、Yはメチレ
ン、エチレン、プロピレン等のアルキレン基であり、R
1及びR2はメトキシ、エトキシ及びアセトキシ等の加水
分解可能な基であり、R3は加水分解可能な基であって
も加水分解不能な基であってもよい。これらのグリシド
キシシランは、水溶性または水分散性ならびに有機溶媒
溶解性または分散性を有してもよい。
【0128】本発明において水性シリコーン樹脂組成物
に対して効果的なグリシドキシシランの最小量は、通
常、シリコーン固形物に対して約1.0重量%である。
約5重量%固形物から約15重量%固形物の好ましいコ
ーティング固形物量において、エマルジョン中のグリシ
ドキシシラン濃度は、約0.5〜1.5重量%である。
乾燥重量基準で、グリシドキシシランの使用量は、好ま
しくは、シリコーン固形物の約3〜30重量%である。
乾燥重量基準で約30重量%を大幅に超えるグリシドキ
シシランを使用するのは高価であり、使用量に比例する
効果を得られないことがある。
【0129】水性シリコーン樹脂組成物に混ぜる脱イオ
ン水の量は、コーティング方法およびポリエステルフィ
ルム上に被覆される必要な固形物量(重量)に依存す
る。
【0130】エマルジョン中において水性シリコーン化
合物の生成中に容易に加水分解されないシリコーン化合
物の反応性シリコーン−結合ヒドロキシル基および/ま
たは加水分解可能な基、代表的には、アルコキシ基が本
発明の組成物中に硬化および/または架橋のためのサイ
トを供するものと考えられる。これらの加水分解されな
い基が最終用途における本組成物の意外な特性に寄与す
るものと考えられる。従って、水性のシリコーン剥離エ
マルジョン(A)が接着促進剤(B)と混合された後、
反応サイトは、相互に及び/又は接着促進剤モノマー及
び/又はポリマー上の空きのある反応サイトと反応し
て、シリコーン−有機相互侵入ポリマー網目を形成する
と共に、場合によって、シリコーン−有機コポリマーを
形成するものと考えられる。
【0131】コーティングの固形物使用量は、通常、約
3%〜30重量%(固形物)、好ましくは約5〜15重
量%(固形物)である。コーティングの固形物使用量が
3重量%の場合が、効果を達成し得る最小値でああると
考えられる。更に、固形物使用量が30重量%を超える
場合、膜においてヘイズが発生することがあると共に、
コーティングの有効性がコーティング重量と共に直線的
に増加しない可能性がある。換言すると、厚いコーティ
ングは高価であるにもかかわらず、約30%以下の固形
物量を有する膜と比較して実質的により効果的であると
いうわけではない。
【0132】剥離コーティング組成物のコーティング重
量は、通常、約0.02〜0.10lb./連である。
コーティング厚みは、通常、約750〜1500オング
ストロームである。コーティング厚みが750オングス
トローム未満の場合、剥離コーティングとして効果が達
成されないことがあり、コーティング厚みが1500オ
ングストロームを超える場合、費用対効果が劣ることが
ある。
【0133】高分子裏紙の厚みは最終的な多層製品の用
途に依存する。接着剤ラベルのための剥離裏紙として使
用する場合、剥離コーティングを含む裏紙が約0.25
〜7mil(mil=1/1000インチ)の厚みを有
することが好ましく、一部の用途においては約0.5〜
3.0milの範囲の厚みが更に好ましい。本発明で
は、一般に2.5mil以上の厚みを有する従来の紙ラ
イナーより相当に薄い被覆高分子フィルムライナーを提
供することができる。コーティング組成物は、例えば、
板紙箱内面、又は1.0milより大きい厚みを有する
基板を含め、その他の硬質基板にも被覆できる。
【0134】本発明の剥離コーティング組成物は、様々
な基板に被覆して剥離裏紙を形成することができる。本
発明の裏紙は、可剥性且つ使い捨て可能な裏紙として好
ましく使用できる。基板または裏紙は、高分子材料、紙
すなわちセルロース材料、シリコーン又はラテックスゴ
ムの様なゴム材料、又は織物材料から成ることが好まし
い。本発明の好ましい実施形態によれば、基板または裏
紙は薄く、好ましくは裏紙は軟質である。
【0135】好ましい実施形態によれば、本発明のコー
ティング組成物は、薄くもなく軟質でもない表面に被覆
でき、剥離表面が可剥性でない裏紙においても形成する
ことが出来る。本発明の好ましい実施形態によれば、剥
離表面は、例えば、硬質プラスチック、金属または硬質
板紙から成る硬質表面上に形成できる。
【0136】本発明は、本発明の剥離コーティングのた
めの基板として機能することが可能ないずれの高分子フ
ィルムにも適用できる。特に、本発明は、ナイロン等の
ポリアミド、ポリプロピレン及びポリエチレン等のポリ
オレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエス
テル、ポリアセタール、ポリカーボネート、LCP−ポ
リエステル及びLCP−ナイロンを含む液晶ポリマー及
びポリイミド等から製造される物の様な高分子フィルム
に適用可能である。基板材料は、好ましくはポリエチレ
ンテレフタレート又はポリブチレンテレフタレート等の
ポリエステルから成る。基板は、ポリエチレンテレフタ
レート−co−イソフタレート等のコポリエステルから
成っていてもよい。本発明の実施形態において、グリコ
ール又はジオールと以下のジカルボン酸(又はエステル
同等物)との重縮合により製造される何れのポリエステ
ルについても使用できる。ジカルボン酸としては、好ま
しくは、テレフタル酸、イソフタル酸、セバシン酸、マ
ロン酸、アジピン酸、アゼライン酸、グルタル酸、スベ
リン酸およびコハク酸等またはそれらの混合物が挙げら
れる。グリコールは、エチレングリコール、ジエチレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ブタンジオール
の様なジオール、グリセロールの様なポリオール、トリ
メチロールプロパン及びそれらの混合物から選択され
る。
【0137】前記した高分子フィルムの何れも、酸化防
止剤、艶消剤、顔料、シリカの様な充填剤、炭酸カルシ
ウム、カオリン、二酸化チタン、帯電防止剤等の様な従
来の添加剤を含有できる。これらの添加剤のすべては当
該技術分野で公知である。
【0138】本発明の実施形態によれば、高分子フィル
ムは、ポリエステル−ポリオレフィン積層体等のポリマ
ー−ポリマー積層体、ポリエステル−アルミニウム積層
体等のポリマー−金属積層体、又は高分子−紙積層体の
様な高分子積層体から成っていてもよい。
【0139】本発明の好ましい実施形態によれば、剥離
コーティング組成物は、薄く軟質で可剥性で且つ使い捨
ての基板または裏紙、例えば、薄い高分子フィルムに被
覆できる。好ましい高分子フィルム材料はポリエチレン
テレフタレート等のポリエステルである。高分子フィル
ムは、ポリエチレンテレフタレート、ポリテトラメチレ
ンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレー
ト、及びポリエチレン−1,4−シクロヘキシレンジメ
チレンテレフタレートは、種々のポリエステル樹脂等か
ら製造できる。又、ポリエチレンテレフタレート/イソ
フタレート、ポリエチレンテレフタレート/アジペー
ト、ポリエチレンテレフタレート/セバケート、及びポ
リエチレンテレフタレート/サルフォ−イソフタレート
等のポリエステルコポリマーも使用できる。上記のポリ
エステルの中で、ポリエチレンテレフタレートホモポリ
エステルが特に好ましい。
【0140】本発明の実施形態によれば、テンターで引
張された高分子フィルムが剥離裏紙のための基板として
使用され、当該高分子フィルムは約40〜1000ゲー
ジの厚みを有することが好ましい。一部の用途に於て
は、約100〜200ゲージの厚みが好ましい。
【0141】ポリエステルフィルムは、平滑性、強度、
引裂き強度、水分バリア特性が優れているため、本発明
の高分子材料層として好ましく使用される。本発明の好
ましい実施形態によれば、フィルム材料として使用され
るポリエステルフィルムの中でもポリエチレンテレフタ
レート(PET)が好ましく、特に、一軸または二軸に
延伸された延伸PETが好ましい。
【0142】ポリエステルを高分子層として使用する場
合、ポリエステルフィルムにその他の相溶性ポリマーを
含有させてもよいが、フィルムは約85重量%を超える
ポリエステル含有率を有することが好ましい。ポリエス
テルとポリアミドとの混合物、例えば、ポリエチレンテ
レフタレートとナイロンとの混合物を使用してもよい。
【0143】剥離コーティングのための基板または裏紙
は当該技術分野の公知の方法により製造できる。本発明
の好ましい実施形態によれば、押出され、テンターで引
張されたポリエステルフィルムが基板材料として好まし
い。
【0144】高分子層のためのシリコーン被覆された延
伸ポリエステルフィルムの製造を好ましい例示として以
下に記載するが、類似のプロセスを使用して、種々のポ
リマーから成る被覆された高分子層を製造できることは
言うまでもない。
【0145】本発明のコーティングを高分子フィルムに
被覆する好ましい方法は、高分子支持体をインライン被
覆する工程から成り、この場合、剥離コーティング組成
物は製造プロセス中に被覆される。インライン被覆条件
下で、コーティングを高分子フィルムに被覆する方法と
しては、(1)フィルムのコロナ処理後且つ延伸配向前
に被覆、(2)二軸延伸フィルムを使用する製造方法に
おいて縦延伸と横延伸との間で被覆、又は(3)延伸後
に被覆、の何れも採用できる。本発明の好ましい実施形
態によれば、本発明によるインライン被覆され剥離組成
物を乾燥および/または硬化するのに必要な加熱は、高
分子フィルムのテンターリング又は延伸のために必要な
熱で十分である。
【0146】延伸ポリエステルフィルムは、一軸延伸ま
たは二軸延伸を問わず、通常、約190〜240℃、好
ましくは約215〜235℃の範囲の温度で熱固定され
る。その後、被覆された延伸ポリエステルフィルムはロ
ールに巻かれて更に加工されるか、又はそのまま出荷さ
れる。
【0147】本発明の実施形態において、基板として使
用されるポリエステルフィルムは押出プロセスにより製
造できる。ポリエステル樹脂は、先ず溶融状態に加熱さ
れ、その後アモルファスシートの形態で幅広のスロット
ダイを通して押出される。シート様の押出物は、研磨さ
れた回転冷却キャスティングドラムの周囲にアモルファ
ス状態で押出されることにより急速に冷却されて、ポリ
エステルシートを形成する。その後、ポリエステルシー
トは、約80〜160℃、好ましくは約90〜100℃
で、延伸比約3〜5倍で、1軸以上に延伸される。好ま
しくは、ポリエステルフィルムは、一軸延伸されるのみ
でなく、二軸延伸される(縦方向と横方向の双方で延伸
される)。
【0148】シリコーンコーティングでポリエステルフ
ィルム表面を被覆する前に、従来の方式のコロナ放電工
程により、フィルムの表面処理をすることが好ましい。
コロナ放電によりフィルムの湿潤性が高められる。コロ
ナ放電の方法および装置は、米国特許第3,057,7
92号および第4,239,973号各公報に開示され
ており、これらを本願に引用する。本発明の実施形態に
おいて、シリコーンでポリエステルフィルムを被覆する
前に行うコロナ放電において、動力レベルが約2〜8ワ
ット/平方フィート/分、好ましくは約3〜5ワット/
平方フィート/分で行うことが好ましい。
【0149】公知の表面修正方法を使用して、本発明の
コーティング組成物を被覆する直前に、高分子基板の表
面修正を任意に行うことが出来る。公知の表面修正方法
としては、フィルムのコロナ処理が一般的で、好ましい
方法である。剥離コーティング組成物の浸潤性を十分改
善する様に、コロナ処理またはその他の表面修正方法を
行うことが好ましい。
【0150】一軸延伸フィルムを形成する場合、コロナ
処理および剥離コーティング組成物の被覆は、インライ
ン製造プロセス中の延伸配向前または延伸配向後の何れ
において行ってもよい。コロナ処理およびコーティング
の被覆が延伸配向前になされる場合、通常、延伸配向前
にフィルムを加熱することで、コーティング中の水を蒸
発させ、剥離コーティングの硬化、重合、凝固または乾
燥を促進する。フィルムは、巻き取る前に完全に乾燥さ
れるのが好ましい。物理的特性を固定化するために行う
熱固定によって、巻取り前にフィルムを乾燥することも
できる。一軸延伸フィルムの場合、延伸配向前にコロナ
処理しフィルムを被覆することが好ましい。
【0151】二軸延伸フィルム形成の場合、コロナ処理
および剥離コーティング組成物の被覆は、延伸配向前、
縦延伸と横延伸との間、又は二軸延伸後のいずれかにお
いて、インライン製造プロセス中に行ってもよい。フィ
ルムは巻取り前に完全に乾燥されることが好ましい。コ
ロナ処理または被覆が、延伸前または延伸中に縦延伸と
横延伸との間でなされる場合、後者の両延伸ステップ
は、一般に、コーティングから水を蒸発させるのに十分
である。好ましくは、二軸延伸フィルム形成の場合、コ
ロナ処理およびその後の被覆は、延伸配向段階中に縦延
伸と横延伸との間でなされる。
【0152】高分子層、好ましくは、ポリエステルシー
トは、必要に応じて表面をコロナ放電処理され、その表
面上を本発明の実施形態による剥離組成物で被覆され
る。コーティング組成物は、場合に応じて、公知のコー
ティング手法を使用し、水性エマルジョンとして表面に
被覆できる。公知のコーティング手法としては、ロール
コーティング、直接グラビアロールコーティング、リバ
ースグラビアロールコーティング、ロールブラシコーテ
ィング、スプレーコーティング、エアーナイフコーティ
ング、スロットコーティング、ディッピング、又はメニ
スカスコーティング等が挙げらる。後続のプレヒート、
延伸および熱固定段階の際にフィルムに加える通常の熱
により、水性エマルジョン中の水を蒸発させ、コーティ
ングを硬化させてポリエステルフィルムに接着させるこ
とが出来る。
【0153】インラインコーティングに加えて、好まし
くは高分子基板の従来の表面修正後に、本発明のコーテ
ィング組成物をオフライン被覆することもできる。この
プロセスは、未処理の高分子基板を製造し、巻き取り、
貯蔵し、その後巻出して、好ましくはフィルムのコロナ
処理後またはその他の何らかの表面修正処理後に、本発
明のコーティング組成物を使用してオフライン被覆する
工程から成る。しかし、一般にコーティング厚みが厚く
なること、及びオフラインコーティングプロセスが一般
にクリーンな環境で行われないことにより、コーティン
グにほこりが混入するという問題点がある。クリーンな
環境で行われるインライン製造プロセスにおいては、ほ
こりの混入の問題は生じない。又、オフライン被覆され
た厚いコーティングを乾燥および硬化させるのに必要な
熱は、高温および/または長時間の加熱を必要とするの
で、オフラインコーティングプロセスを低速で運転せざ
るをえないという問題もある。
【0154】剥離コーティング(第一の剥離コーティン
グ)組成物と同じ又は異なる第二の剥離コーティング組
成物を第一の剥離コーティング組成物の被覆面と基板を
通じて背中合わせ側に被覆する場合、基板に被覆するタ
イミングは、第一の剥離コーティング組成物の被覆と同
時、その前またはその後の何れにおいてでもよい。本発
明の好ましい実施形態によれば、第二のコーティング組
成物は、第一の剥離コーティングと異なった剥離特性を
示すと共に、第一の剥離コーティングで被覆される基板
を通じて背中合わせの位置に、すなわち基板の裏側に被
覆される。好ましくは、第二のコーティングは、第一の
剥離コーティング組成物での基板のオンラインコーティ
ング中に被覆され、その後、両側を被覆した基板はテン
ターで引張され、両側に剥離コーティングを有する延伸
製品を形成することができる。両面被覆基板は、例え
ば、両面接着剤テープの巻きロールのための使い捨てラ
イナーとして使用できる。
【0155】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施
例に限定されるものではない。実施例において、すべて
の部、百分率および比は重量基準であり、すべての温度
は、特別に指示しない限り℃単位である。
【0156】実施例1〜16 剥離コーティング組成物を調整し、押出されたポリエス
テルフィルム基板上にインライン被覆し、以下の方法で
剥離性を試験した。(1)コーティング表面に7475
試験テープを接着し、テープをコーティング表面から剥
離するのに要する力を測定する。(2)被試験表面にG
elva1インチ幅接着剤ストリップを接着し、接着剤
を試験された剥離表面から引張るのに要する力を測定す
る。剥離組成物は、(1)水分散性の接着促進剤の分散
液と(2)水乳化性の架橋可能なシリコーン剥離剤のエ
マルジョンの混合物から成っていた。水分散性の接着促
進剤は、水性分散液中に1:1の重量比のコポリエステ
ル成分とジオール成分とから成る前重合された直鎖コポ
リエステルから成っていた。コポリエステル成分は、
9:1の重量比の前重合されたジメチルイソフタレート
とジメチル−5−スルホイソ−フタレートのナトリウム
塩から成っていた。ジオール成分は、エチレングリコー
ルのみから成っていた。
【0157】水乳化性の架橋可能なシリコーン剥離剤の
エマルジョンは約14重量%固形物から成っていた。固
形物は、(1)ビニル含有ジメチルポリシロキサンと、
(2)メチル水素ポリシロキサン架橋剤と、(3)ガン
マ−(グリシドキシプロピル)トリメトキシシランと、
(4)触媒有効量の白金触媒と、から成っていた。シリ
コーン剥離剤単独のコーティングは、TESA 747
5テープを一日エージング後、約12インチ/分の引張
速度で引張って試験した時、約10〜25gm/インチ
の剥離力を示した。
【0158】成分(1)〜(3)の各々の相対量は、実
施例1〜16のシリコーン剥離エマルジョンから構成さ
れる固形物の全重量に基づいて、以下の表1〜4に示
す。成分ごとに、成分(1)の重量に基づき、40重量
ppmの白金触媒を使用した。
【0159】ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(成
分(1))は、以下の化学式(7)に示される構造を有
する。
【0160】
【化13】
【0161】式中、Meはメチル基であり、Rはメチル
及びビニル基から任意に選ばれ、xは0≦x≦0.99
9を満たす数であり、mは3以上の整数である。成分
(1)の油中ビニル含有率は、約0.40〜0.45重
量%であり、粘度は約500csである。
【0162】メチル水素ポリシロキサン架橋剤(成分
(2))は、以下の化学式(8)に示される構造を有す
る。
【0163】
【化14】
【0164】式中、Meはメチル基であり、R及びR1
はメチル基および水素から任意に選ばれ、vは0.5で
ある。成分(2)の油中水素含有率は、約0.70〜
0.76重量%である。
【0165】ガンマ−(グリシドキシプロピル)トリメ
トキシシラン(成分(3))は、商品名Z−6040
(ダウコーニング(Dow Corning)社製、ミ
シガン州、ミッドランド)、無希釈100%液状組成物
を使用した。
【0166】白金触媒(4)は、供給業者がビニル含有
ジメチルポリシロキサン(成分(1))と一緒にプレミ
ックスしたもので、その含有量は、ビニル含有ジメチル
ポリシロキサン(成分(1))の重量に基づいて約40
ppmであった。
【0167】各実施例1〜16において、新たに押出さ
れた未充填ホモポリマーポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム基板に、剥離組成物をインライン被
覆した。押出されたPETフィルムを冷却ロール上にキ
ャストし、約3.7倍に縦方向に一軸で延伸するか又は
テンター(テンター前幅寸法:14インチ)で引張した
後に、コーティング配合物をインライン被覆した。その
後、配合物が一軸延伸された基板上に被覆された後、被
覆された基板を約3.7倍に横方向に延伸するか、又は
テンターで引張した。得られた二軸延伸PETフィルム
は約142ゲージの厚みを有し、二軸に延伸されたフィ
ルム基板上の剥離コーティングは、約1000オングス
トロームから約2000オングストロームの厚みを有し
ていた。各実施例1〜16の被覆中のフィルム基板のラ
イン速度は、145フィート/分であった。
【0168】剥離コーティング組成物を被覆する前に、
一軸延伸フィルム基板の表面を約5.5ワット/平方フ
ィート/分の割合でコロナ放電処理した。14インチ幅
一軸延伸基板フィルムに被覆されたコーティング組成物
のメニスカス幅は12.25インチであった。
【0169】実施例1〜16のエマルジョンにおいて、
配合物は、脱イオン水中に懸濁したコーティング組成物
の微視的に異質の混合物から成る液体から成っていた。
供給業者専有の乳化剤は、各供給業者によって事前にエ
マルジョンに配合されていた。一部のエマルジョンは、
低固形物含有率を得るために脱イオン水で希釈した。
【0170】固形物の重量に基づく、接着促進剤のシリ
コーン剥離剤に対する重量比を、以下の表1〜4及び表
5〜8に示す。表1〜4及び表5〜8には、実施例1〜
16ごとの、コーティングエマルジョン混合物の全固形
物含有率、ガンマ−(グリシドキシプロピル)トリメト
キシシランの重量百分率、シリコーン剥離剤中のビニル
−含有ジメチルポリシロキサンのメチル水素−ポリシロ
キサン架橋剤に対する比、湿潤および乾燥レイダウン
量、一日後および一週間後にとった平均(3つの)剥離
力測定値が示されている。表1〜4に示す実施例1〜1
6の剥離力は、室温で試験した結果である。表5〜8に
示す実施例1〜16の剥離力は、140℃におけるKi
elの条件下で試験したものである。
【0171】表1〜4及び表5〜8に示す剥離力を測定
するために使用した試験テープは、1インチ幅のTES
A7475アクリル接着剤試験テープであり、これを約
12インチ/分の引張速度で引張った。実施例1〜16
において、剥離力を測定するために使用した試験テープ
を1インチ幅のGelva1753接着剤ストリップに
変更し、これを約12インチ/分の引張速度で引張った
場合の試験結果を、表9〜12及び表13〜16に示
す。
【0172】表1〜16に示したすべての剥離力は、イ
ンストロン(Instron)モデル4466測定装置
で測定した。尚、表中のハイホン(−)(例えば実施例
10における乾燥レイダウン)は、データが利用できな
い値であったか、またはその他の理由で得られなかった
ことを示している。
【0173】
【表1】
【0174】
【表2】
【0175】
【表3】
【0176】
【表4】
【0177】
【表5】
【0178】
【表6】
【0179】
【表7】
【0180】
【表8】
【0181】
【表9】
【0182】
【表10】
【0183】
【表11】
【0184】
【表12】
【0185】
【表13】
【0186】
【表14】
【0187】
【表15】
【0188】
【表16】
【0189】表1〜4に示した結果の最良適合プロット
を図1に示した。表5〜8に示した結果の最良適合プロ
ットを図2に示した。表1〜4、表5〜8及び図1、2
から明らかなように、剥離力と接着促進剤のシリコーン
剥離剤に対する重量比との間に実質的に直線的な相関関
係を示す剥離表面の系列を製造するために使用できる組
成物を提供できることがわかる。表1〜4及び表5〜8
に示したデータは、図1、2に示す最良適合面に対し、
標準偏差が極めて小さかった。従って、裏紙から試験テ
ープを剥離するのに要する力の漸増を示す剥離裏紙の系
列を提供することが出来る。
【0190】100g/in未満および600g/in
を超える剥離力は、配合物中の接着促進剤の剥離剤に対
する重量比を変えることにより、及び/又は剥離剤中の
ビニル−含有ジメチルポリシロキサンのメチル水素ポリ
シロキサン架橋剤に対する重量比を変え、室温一日のエ
ージングを施すことにより達成できる(表1〜4)。約
150〜500g/inの剥離力は、配合物中の接着促
進剤の剥離剤に対する重量比を変えることにより、及び
/又は剥離剤中のビニル−含有ジメチルポリシロキサン
のメチル水素ポリシロキサン架橋剤に対する比を変える
ことにより140℃一日のエージング後に達成される
(表5〜8)。
【0191】表1〜4及び表5〜8に示した実施例1〜
16に関する結果は、本発明の剥離裏紙が室温および1
40℃で適切にエージングすることにより、本発明の意
図する機能を有することを示すものである。
【0192】同様に、Gelva1インチ接着剤を使用
した場合の実施例1〜16の剥離に関する結果(表9〜
12及び表13〜16)からも明らかな様に、本発明の
実施形態の剥離裏紙が室温および140℃で適切にエー
ジングすることにより、本発明の意図する機能を有する
ことを示す。
【0193】実施例17〜23 実施例17〜19においては、実施例1〜16で使用し
たのと同じ接着促進剤およびシリコーン剥離剤から成る
コーティング組成物を使用した。シリコーン剥離剤に対
する接着促進剤の重量比は、それぞれ2:1、0.2:
1及び0.5:1であった。実施例20〜23において
は、実施例1〜16で使用したのと同じシリコーン剥離
剤で、接着促進剤が異なったコーティング組成物を試験
した。
【0194】実施例1〜16の場合と同様に、実施例1
7〜19で使用した接着促進剤は、1:1の重量比のコ
ポリエステル成分とジオール成分とから成る前重合され
た直鎖コポリエステルの水性エマルジョンから成ってい
た。コポリエステル成分は、9:1の重量比の前重合さ
れたジメチルイソフタレートとジメチル−5−スルホイ
ソフタレートのナトリウム塩から成っていた。ジオール
成分は、エチレングリコールから成っていた。
【0195】実施例20において、接着促進剤は、N−
(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキ
シシランの重合生成物、すなわち、Z−2060(ダウ
ケミカルカンパニ(Dow Chemical Com
pany)社製、ミシガン州、ミッドランド)の重合生
成物から成っていた。
【0196】Z−2060前駆体は、それが分散される
水性エマルジョンから、水との加水分解反応を経てコー
ティング配合物中で室温において加水分解される。基板
上に被覆後、Z−2060前駆体は、加水分解されたZ
−2060モノマーの後続の縮合反応を経て重合され
る。Z−2060モノマーの部分重合が、水性エマルジ
ョン中で分散される間に起きる場合があるが、実質的な
重合の完了は、コーティング組成物が基板に被覆され、
例えば、被覆されたフィルム基板のテンターリング中に
加熱された後に起きる。
【0197】実施例21において、接着促進剤は、水性
エマルジョンに分散された1:1の重量比のコポリエス
テル成分とジオール成分とから成る前重合された直鎖コ
ポリエステルから成っていた。コポリエステル成分は、
9:1の重量比の前重合されたジメチルイソフタレート
とジメチル−5−スルホイソフタレートのナトリウム塩
から成っていた。ジオール成分は、エチレングリコール
から成っていた。
【0198】実施例22において、接着促進剤は80重
量%の成分(A)と20重量%の成分(B)から成って
いた。成分(A)は、約47.5重量%のメチルメタク
リレートと、約47.5重量%のエチルアクリレート
と、約5重量%のメタクリルアミドとのプレポリマーか
ら成っていた。成分(B)は、CYMEL 385(ロ
ームアンドハースコーポレーション(Rohm & H
aas Corporation)社製、ペンシルバニ
ア州、フィラデルフィア)として入手できる約20重量
%のヘキサメトキシメチルメラミンから成っていた。コ
ーティング組成物の加熱および乾燥まで成分(A)と
(B)のモノマーの重合を防止するために、接着促進剤
には、アルカリpH調節剤が添加されていた。
【0199】実施例23において、接着促進剤は、約6
0重量%のメチルメタクリレートと、約35重量%のエ
チルアクリレートと、約5重量%のN−メチロールアク
リルアミドとの前重合された組成物から成っていた。組
成物は前重合されているが、架橋はコーティング組成物
の加熱および乾燥中に起きた。
【0200】各実施例17〜23において、剥離剤系は
実施例1〜16で使用したのと同じシリコーン剥離剤成
分から成っていたが、ビニル−含有ジメチルポリシロキ
サン(成分(1))のメチル水素ポリシロキサン架橋剤
(成分(2))に対する比は異なっていた。実施例17
〜23の各コーティング組成物において、シリコーン剥
離剤は、約0.5重量%のZ−400エポキシシランか
ら成っていた。実施例17〜23におけるコーティング
組成物では、実施例ごとに、触媒量の白金触媒(成分
(d))を代表的には約400ppm添加して、シリコ
ーン剥離剤系の架橋に触媒作用を及ぼした。
【0201】実施例17〜23のエマルジョンにおい
て、配合物は、脱イオン水中に懸濁したコーティング組
成物の微視的に異質の混合物から成る液体から成ってい
た。供給業者専有の乳化剤は、各供給業者によって事前
にエマルジョンに配合されていた。一部のエマルジョン
は、低固形物含有率を得るために脱イオン水で希釈し
た。
【0202】各実施例17〜23において、新たに押出
された未充填ホモポリマーポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム基板に、剥離組成物をインライン被
覆した。押出されたPETフィルムを冷却ロール上にキ
ャストし、約3.7倍に縦方向に一軸で延伸するか又は
テンター(テンター前幅寸法:14インチ)で引張した
後に、コーティング配合物をインライン被覆した。その
後、配合物が一軸延伸された基板上に被覆された後、被
覆された基板を約3.7倍に横方向に延伸するか、又は
テンターで引張した。得られた二軸延伸PETフィルム
は約142ゲージの厚みを有し、二軸に延伸されたフィ
ルム基板上の剥離コーティングは、約1000オングス
トロームから約2000オングストロームの厚みを有し
ていた。各実施例17〜23の被覆中のフィルム基板の
ライン速度は、145フィート/分であった。
【0203】剥離コーティング組成物を被覆する前に、
一軸延伸フィルム基板の表面を約5.5ワット/平方フ
ィート/分の割合でコロナ放電処理した。14インチ幅
一軸延伸基板フィルムに被覆されたコーティング組成物
のメニスカス幅は12.25インチであった。
【0204】実施例17〜23に関する接着促進剤のシ
リコーン剥離剤に対する固形物の重量に基づく重量比
を、以下の表17〜18、表19〜20、表21〜2
2、表23〜24に示す。実施例17〜23ごとの、コ
ーティングエマルジョン混合物の全固形物含有率、シリ
コーン剥離剤中のビニル−含有ジメチルポリシロキサン
のメチル水素ポリシロキサン架橋剤に対する比、湿潤レ
イダウン量、及び、一日後および一週間後に測定した平
均(3つの)剥離力測定値も同様に示した。表17〜1
8及び表21〜22における、実施例17〜23の剥離
力は室温で試験したものである。又、表19〜20及び
表23〜24における、実施例17〜23にの剥離力は
140℃で試験したものである。各実施例17〜23に
おいて、乾燥レイダウン被覆重量は測定も記録もされな
かったが、約126〜241乾燥mg/m2の範囲内で
あった。
【0205】表17〜18及び表19〜20に示す剥離
力を測定するために使用した試験テープは、1インチ幅
のTESA 7475アクリル接着試験テープであり、
これを約12インチ/分の引張速度で引張った。剥離力
は、インストロン(Instron)モデル 4466
測定装置で測定した。表21〜22及び表23〜24に
示す剥離力を測定するために使用し試験テープは、1イ
ンチ幅のGelva1753接着剤ストリップであっ
た。Gelva1753グルーを標準的な化学試験所に
おける手順により混合した。#32Meyerロッドを
使用して、Gelva接着剤を各実施例の被覆されたフ
ィルムに塗布した。その後、実施例のフィルムは、積層
されたポリプロピレンシートの表面に接着剤を転写し
た。表21〜22及び表23〜24に報告したすべての
Gelva 1753−1インチサンプル試験結果は、
方法D−5918及びインストロン(Instron)
モデル4466測定装置を使用して、引張り角度180
°及び12インチ/分の速度で試験した結果である。ハ
イホン「−」として報告した結果は、データが利用でき
ない値であったか、又はその他の理由で得られなかった
ことを示している。
【0206】
【表17】
【0207】
【表18】
【0208】
【表19】
【0209】
【表20】
【0210】
【表21】
【0211】
【表22】
【0212】
【表23】
【0213】
【表24】
【0214】エージング後に室温で一週間引張した実施
例20及び21の場合、顕著な量の裏側転写があった。
このため、7475試験テープとは別の試験片を実施例
20及び21の表面の他の部分に接着させた後に、実施
例20及び21表面の剥離試験を行った。実施例20の
平均即時剥離力(エージングなし)は60gm/inで
あり、実施例21の平均即時剥離力は349gm/in
であった。
【0215】前述した結果によれば、実施例1〜23の
本発明の実施形態による剥離組成物は、室温条件下およ
びKiel条件(140℃)下で、経時的に一貫した剥
離性を示す。この結果は、本組成物の接着促進剤成分ま
たはシリコーン剥離剤の何れかのブルーミングがあると
しても、それが僅かであることを示すものである。
【0216】比較例1〜12 比較のため以下の12サンプルを調製し、剥離試験を行
った。以下の比較例で使用した接着促進剤は、6種の異
なった接着促進剤の組成物から成り、それぞれを2:1
乾燥固形物重量比(比較例1〜6)及び3:1乾燥固形
物重量比(比較例7〜12)で、シリコーン剥離剤と混
合した。
【0217】比較例1及び7では、接着促進剤とシリコ
ーン剥離剤との混合物から成るコーティング組成物を使
用した。但し、接着促進剤は、約25重量%のコポリマ
ー含有率、約75重量%の水含有率および最大で約0.
1重量%の残留モノマーを有するアクリルコポリマーの
水性エマルジョンとして供給されたアクリルコポリマー
から成っていた。このエマルジョンは、約100℃の沸
点、約1.1の比重および約2〜3のpHを有してい
た。
【0218】比較例2及び8では、接着促進剤は、60
0ppm未満のホルムアルデヒド、212°Fの沸点、
1.1の比重、70重量%の揮発物質含有率、200c
ps未満の粘度および約9.0〜9.5のpHを有する
易流動性液であり、水中に分散したアクリルコポリマー
から成る組成物を含有していた。
【0219】比較例3及び9では、接着促進剤は、約9
9重量%のガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシ
シランと約2重量%未満のメチルアルコールから成る組
成物を含有していた。この接着促進剤は、Z−6040
シラン(Silane)(ダウコーニングコーポレーシ
ョン(Dow Corning Corporatio
n)社製、ミシガン州、ミッドランド)として入手し
た。
【0220】比較例4及び10では、接着促進剤は、約
81重量%のN−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
ロピルトリメトキシシラン、約18重量%のメチルアル
コールを含有する不明確な不純物、及び約0.7重量%
のエチレンジアミンから成る組成物を含有していた。こ
の接着促進剤は、Z−6020(R)シラン(Sila
ne)(ダウコーニングコーポレーション(Dow C
orning Corporation)社製、ミシガ
ン州、ミッドランド)として入手した。
【0221】比較例5及び11では、接着促進剤は、ミ
クロミド(Micromid)(登録商標)321RC
(ユニオンキャンプ・コーポレーション(Union
Camp Corporation)社製、ニュージャ
ージ州、ローレンスビル)として入手できる低軟化点ポ
リアミド樹脂の水性分散液から成る組成物を含有してい
た。この分散液は、約39重量%のポリアミド樹脂含有
率、約3重量%未満の乳化剤含有率、約9.4のpH、
#2LVTスピンドルを使用する25℃における約50
0cps未満のブルックフィールド粘度、及び約50g
/Lのイソプロパノール含有率を有する。樹脂は、リン
グとボールで試験される約105℃のベース樹脂軟化点
および約300nm未満の平均粒子サイズを有する。
【0222】比較例6及び12では、接着促進剤は、ロ
ープレックス(RHOPLEX)(登録商標)(320
8エマルジョン(ロームアンドハースコーポレーション
(Rohm & Haas Corporation)
社製、ペンシルバニア州、フィラデルフィア)として入
手できる水性アクリルエマルジョンから成る組成物を含
有していた。ロープレックス(登録商標)3208水性
アクリルエマルジョンは、約34〜35重量%のアクリ
ルポリマー、約8〜9重量%のホルムアルデヒド/メラ
ミン樹脂、約3〜4重量%のメチルアルコール、約1〜
2重量%のホルムアルデヒド、約1〜2重量%のアルキ
ルアリールポリエーテルアルコール、最大で約0.5重
量%のトリエチルアミン、約51〜52重量%の水から
成る。ロープレックス(登録商標)3208エマルジョ
ンは、約9.0〜9.5のpH、約200cpsの最大
粘度、約1.0〜1.2の比重、及び約55〜57%の
百分率揮発性を有する。
【0223】各比較例1〜12において、シリコーン剥
離剤は、成分(A)−約11.2重量%のビニル−官能
性ポリオルガノシロキサンオイル、成分(B)−約0.
8重量%のメチル水素ポリシロキサン架橋剤および成分
(C)−約87.5重量%の水に分散した約0.5重量
%のアルコキシシランから成る架橋可能なシリコーン系
の水性分散液から成っていた。各比較例組成物のシリコ
ーン剤系の場合、400重量ppmの白金触媒(成分
(D))が成分(A)の重量に基づいて添加されてい
た。白金触媒(成分(D))は、供給業者がビニル−含
有ジメチルポリシロキサンンオイル(成分(A))とプ
レミックスしていた。
【0224】ビニル基含有ジメチルポリシロキサン(成
分(1))は、以下の化学式(7)に示される構造を有
する。
【0225】
【化15】
【0226】式中、Meはメチル基であり、Rはメチル
及びビニル基から任意に選ばれ、xは0≦x≦0.99
9を満たす数であり、mは3以上の整数である。成分
(1)の油中ビニル含有率は、約0.40〜0.45重
量%であり、粘度は約500csである。
【0227】メチル水素ポリシロキサン架橋剤(成分
(2))は、以下の化学式(8)に示される構造を有す
る。
【0228】
【化16】
【0229】式中、Meはメチル基であり、R及びR1
はメチル基および水素から任意に選ばれ、vは0.5で
ある。成分(2)の油中水素含有率は、約0.70〜
0.76重量%である。
【0230】ガンマ−(グリシドキシプロピル)トリメ
トキシシラン(成分(3))は、無希釈、約100%純
度の液状組成物を使用した。
【0231】各比較例1〜12において、新たに押出さ
れた未充填ホモポリマーポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム基板に、剥離組成物をインライン被
覆した。押出されたPETフィルムを冷却ロール上にキ
ャストし、約3.7倍に縦方向に一軸で延伸するか又は
テンター(テンター前幅寸法:14インチ)で引張した
後に、コーティング配合物をインライン被覆した。その
後、配合物が一軸延伸された基板上に被覆された後、被
覆された基板を約3.7倍に横方向に延伸するか、又は
テンターで引張した。得られた二軸延伸PETフィルム
は約142ゲージの厚みを有し、二軸に延伸されたフィ
ルム基板上の剥離コーティングは、約1000オングス
トロームから約2000オングストロームの厚みを有し
ていた。各実施例1〜16の被覆中のフィルム基板のラ
イン速度は、145フィート/分であった。
【0232】比較例1〜12のエマルジョンにおいて、
配合物は、脱イオン水中に懸濁したコーティング組成物
の微視的に異質の混合物から成る液体から成っていた。
供給業者専有の乳化剤は、接着促進剤成分および/また
は組成物に、ならびにシリコーン剥離剤成分および/ま
たは組成物に配合されていた。各供給業者によって事前
にエマルジョンに配合されていた。供給業者専有の乳化
剤について、一部のエマルジョンは、以下の表に示す固
形物含有率を得るために脱イオン水で希釈した。
【0233】比較例ごとの接着促進剤のシリコーン剥離
剤に対する乾燥固形物重量比は、以下の表25〜27、
表28〜30及び表31〜33に示した。表25〜2
7、表28〜30及び表31〜33には、室温条件また
はKeil条件(140°F)何れかにおける種々のエ
ージング期間後に測定した比較例ごとの平均(3つの)
剥離力測定値も示した。Keil条件下でエージングさ
せたサンプルを試験前に少なくとも30分間試験条件下
に冷却した。
【0234】比較例1〜12ごとに、乾燥レイダウン被
覆重量は測定も記録もされなかったが、約80〜160
乾燥mg/m2の範囲内であった。
【0235】表25〜27において、平均(3つの)剥
離力測定値を比較例ごとに示した。但し、測定された剥
離力は、12インチ/分の速度で引張られた1インチ幅
TESA 7475アクリル接着剤テープを剥離するの
に要する力であった。表25〜27に示した剥離力は、
インストロン(Instron)測定装置モデル446
6で測定した。試験方法D−5917により、TESA
7475テープサンプルの剥離力を測定した。
【0236】表28〜30において、平均(3つの)剥
離力測定値を比較例ごとに示した。但し、測定された剥
離力は、12インチ/分の速度で引張られた1インチ幅
Gelva 1753接着剤試験テープを剥離するのに
要する力であった。表28〜30に示した剥離力は、イ
ンストロン(Instron)測定装置モデル4466
で測定した。
【0237】表31〜33において、平均(3つの)剥
離力測定値を比較例ごとに示した。但し、測定された剥
離力は、400インチ/分の速度で引張られた2インチ
幅Gelva 1753接着剤試験テープを剥離するの
に要する力であった。表31〜33に示した剥離力は、
TLMI測定装置モデル80−15で測定した。
【0238】12の組成物をフィルム基板をテンターリ
ングする際にポリエチレンテレフタレートフィルム基板
上にそれぞれ被覆し乾燥した。被覆した基板をその後2
4時間、3日間、1週間、又は3週間の何れかの期間エ
ージングした。一部の比較例では常温(73°F)でエ
ージングし、又一部の比較例ではKeil条件(140
°F)下でエージングした。エージング後、Keil条
件のサンプルを73°F及び50%相対湿度の試験条件
に調節してから試験を行った。
【0239】すべてのGelva 1753グルーを標
準的な化学試験所における手順により混合した。Gel
va接着剤を#32Meyerロッドで被覆されたフィ
ルムに塗布した。その後、フィルムは、積層ポリプロピ
レンシートの表面に接着剤を転写した。表28〜30に
報告したすべてのGelva 1753−1インチサン
プル試験は、方法D−5918及びインストロン(In
stron)測定装置を使用して、引張り角度180°
及び12インチ/分の速度で行った。表31〜33に示
したすべてのGelva 1753−2インチサンプル
試験は、TLMI測定装置により、引張り角度90°及
び400インチ/分の速度で行った。
【0240】ハイホン「−」として報告した結果は、結
果を利用できなかったか、試験を行わなかったか、デー
タがその他の理由で利用できなかったサンプルに対する
ものである。「結果なし」として報告した結果は、剥離
力が大きすぎて試験機で測定できなかった、すなわち、
試験機の測定能力を超過していたサンプルに対するもの
である。「フィルム裂」として報告した結果は、Gel
va接着剤のためのポリプロピレン支持体が、接着して
いる接着剤表面と試験表面との間の分離を試みた時に裂
けたサンプルに対するものである。表28〜30に示し
たアスタリスク(*)は、平均をとったサンプルの少な
くとも1つが1000g/inより大きい剥離値を示し
たが、1000g/inを平均値としたことを示すもの
である。
【0241】
【表25】
【0242】
【表26】
【0243】
【表27】
【0244】
【表28】
【0245】
【表29】
【0246】
【表30】
【0247】
【表31】
【0248】
【表32】
【0249】
【表33】
【0250】比較例すべておいて、剥離力は非常に大き
かった。剥離力に関して、フィルム基板の被覆された側
と被覆されなかった側との差がほとんどなかった。表2
5〜27に示したTESA 7475 テープに対する
ほとんどすべての剥離サンプルは、被覆されなかったフ
ィルムのおよその剥離値である少なくとも1000g/
inの平均剥離値を有していた。
【0251】表28〜30及び表31〜33に示した大
多数のGelvaテープ剥離サンプルは、非常に強い接
着を示し、比較フィルム及びテープを引き離した際、ポ
リエチレンフィルムが裂けたほどであった。
【0252】表28〜30に示した1インチ幅Gelv
a接着剤ストリップに対する剥離結果は、約300〜8
00g/inの様々な平均剥離値を有していた。しか
し、1インチGelvaサンプルの剥離は全般的に余り
にもばらついたので、信頼できる平均値を取ることがで
きなかった。このばらつきは、剥離コーティングの特性
(活性)又は引落手法のいずれかの結果であろう。
【0253】室温およびKiel条件下で、24時間、
一週間および三週間のエージング後に試験した際、いず
れのサンプルも一貫して500g/inを下回る剥離力
を示さなかった。
【0254】表31〜33に示した裂けなかった2イン
チ幅Gelvaサンプルは、約1300g/inを超え
る剥離値のために試験することが出来なかった。130
0グラムの重量がTLMI装置により試験ストリップに
加えることが可能な最大重量であったからである。
【0255】比較例に関する前記の結果からも明らかな
様に、本発明の実施例の剥離特性が一貫し、且つ優れて
いることがわかる。本組成物および本剥離製品は、高温
および低温条件下、ならびに様々なエージング期間によ
り、所望の剥離特性を再現性よく達成できる。
【0256】
【発明の効果】本発明の剥離裏紙は、再現可能で且つ所
定の剥離性を有する剥離表面を有し、剥離表面の剥離力
を剥離表面の組成上の構成を変化させることにより連続
的に変化することが出来、その工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明により製造された剥離裏紙からTESA
7475接着試験テープを剥離するのに要する剥離力
を表す三次元グラフであり、左縦軸は低温テープ剥離−
一日剥離力g/inを、横軸(下座標軸)は接着促進剤
固形物のシリコーン剥離剤固形物に対する比を、右座標
軸はビニル官能性ポリオルガノシロキサンオイルの水素
化物官能性シリコーン架橋剤に対する重量比を表す。
【図2】本発明により製造された剥離裏紙からTESA
7475接着試験テープを剥離するのに要する剥離力
を表す三次元グラフであり、左縦軸は低温テープ剥離−
一日剥離力g/inを、横軸(下座標軸)接着促進剤の
剥離剤に対する重量比を、右座標軸は剥離剤中のビニル
官能性ポリオルガノシロキサンオイルの水素化物官能性
シリコーン架橋剤に対する重量比を表す。

Claims (47)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 剥離裏紙用の剥離コーティングを製造す
    るための剥離コーティング組成物であって、当該剥離コ
    ーティング組成物は、(1)水溶性、水分散性または水
    乳化性の接着促進剤と、(2)上記接着促進剤と相溶性
    のある水溶性、水分散性または水乳化性の架橋可能なシ
    リコーン剥離剤との混合物を含有する水性配合物とから
    成り、剥離裏紙基板に上記組成物を被覆し加熱した際、
    接着剤に対して剥離力を示す剥離表面が形成され、上記
    接着促進剤に対するシリコーン剥離剤の固形物重量比は
    約0.2:1から約20:1の固形物重量比の範囲であ
    って、上記剥離力と上記固形物重量比が実質的に直線的
    に関連付けられていることを特徴とする剥離コーティン
    グ組成物。
  2. 【請求項2】 前記接着促進剤が、(1)フタル酸単位
    (C64(COO−)2)及びアルキレン又はポリアル
    キレンジオール単位あるいはポリオール単位とから成る
    少なくとも1種のエステルから成る接着促進剤、(2)
    約30〜50重量%のメチルメタクリレート、約30〜
    50重量%のエチルアクリレート、約1〜10重量%の
    メタアクリルアミド及び約5〜25重量%の反応性エス
    テル化トリアジンから成る接着促進剤、(3)約40〜
    80重量%のメチルメタクリレート、約19〜50重量
    %のエチルアクリレート及び約1〜10重量%のN−メ
    チロールアクリルアミドから成る接着促進剤、(4)ア
    ミノアルキルアルコキシシランの縮合ポリマーから成る
    接着促進剤から成る群から選ばれた少なくとも1種の接
    着促進剤である請求項1に記載の剥離コーティング組成
    物。
  3. 【請求項3】 前記組成物が約50〜90重量%の接着
    促進剤と約10〜50重量%のシリコーン剥離剤とから
    成る請求項1又は2に記載の剥離コーティング組成物。
  4. 【請求項4】 シリコーン剥離剤が、ビニル末端基およ
    び/またはビニル側鎖基で置換されたジオルガノポリシ
    ロキサンシリコーンオイルから成る架橋可能な成分であ
    る請求項1〜3の何れかに記載の剥離コーティング組成
    物。
  5. 【請求項5】 シリコーン剥離剤が、ビニル末端基およ
    び/またはビニル側鎖基で置換されたジオルガノポリシ
    ロキサンシリコーンオイルと、オルガノ水素ポリシロキ
    サン架橋剤と、触媒として有効な量の架橋触媒とから成
    る架橋可能な成分である請求項1〜3の何れかに記載の
    剥離コーティング組成物。
  6. 【請求項6】 前記架橋可能な成分がエポキシ置換アル
    コキシシランを更に含有する請求項5に記載の剥離コー
    ティング組成物。
  7. 【請求項7】 前記アルコキシシランがガンマ(グリシ
    ドキシプロピル)−トリメトキシシランである請求項6
    に記載の剥離コーティング組成物。
  8. 【請求項8】 前記ジオルガノポリシロキサンが以下の
    化学式(1)で表される請求項4〜7の何れかに記載の
    剥離コーティング組成物。 【化1】 (但し、R、R1、R2、R3、R4、R5及びR6は有機基
    であり、xは0≦x≦0.999を満たす数であり、m
    は3以上の整数である)
  9. 【請求項9】 R1、R2、R3、R4及びR5がアルキル
    基であり、R及びR6の少なくとも1つがビニル基であ
    る請求項8に記載の剥離コーティング組成物。
  10. 【請求項10】 R1、R2、R3、R4及びR5が炭素数
    1〜3のアルキル基であり、R及びR6の少なくとも1
    つがビニル基である請求項8に記載の剥離コーティング
    組成物。
  11. 【請求項11】 R1、R2、R3、R4及びR5がメチル
    基であり、R及びR6の少なくとも1つがビニル基であ
    る請求項8に記載の剥離コーティング組成物。
  12. 【請求項12】 前記架橋剤が以下の化学式(2)で示
    される請求項5〜11の何れかに記載の剥離コーティン
    グ組成物。 【化2】 (但し、R、R1、R2、R3及びR4はアルキル基であ
    り、vは約0.3〜0.7であり、nは3以上の整数で
    ある)
  13. 【請求項13】 前記触媒が白金触媒である請求項5〜
    12の何れかに記載の剥離コーティング組成物。
  14. 【請求項14】 前記組成物が高分子基板に被覆および
    加熱されると同時に剥離表面を形成し、約1日のエージ
    ング後に1インチ幅のTESA7475アクリル接着試
    験テープを約12インチ/分の引張速度で引張って試験
    した際に、上記剥離表面が約50〜1000g/インチ
    の剥離強度を有する請求項1〜13の何れかに記載の剥
    離コーティング組成物。
  15. 【請求項15】 請求項1に記載の剥離コーティング組
    成物から成る剥離コーティングで被覆された第一の剥離
    表面を有するポリエステルフィルムから成る剥離製品で
    あって、前記剥離コーティングを加熱することにより水
    性媒体を前記水性配合物から蒸発させると共に前記シリ
    コーン剥離剤を架橋し、前記第一の剥離表面が実質的に
    均一且つ均質に分布している硬化された接着促進剤サイ
    ト及び硬化されたシリコーンポリマー剥離サイトを有す
    ることを特徴とする剥離製品。
  16. 【請求項16】 請求項15に記載の剥離フィルム製品
    と、前記剥離フィルム製品の前記第一の剥離表面上に設
    けられた実質的にシリコーンを含有しない接着剤組成物
    層とから成る多層体。
  17. 【請求項17】 前記接着剤組成物が第一および第二の
    接着剤表面を表裏に有し、前記第一の剥離表面が上記第
    一の接着剤表面と接触し、前記多層体が上記第二の接着
    剤表面と接触する第二の剥離表面を更に有し、上記第二
    の剥離表面が硬化された第二の剥離コーティング組成物
    から形成されており、上記第二のコーティング組成物が
    前記接着促進剤と前記架橋可能なシリコーン剥離剤との
    混合物から成る水性配合物から成り、上記第二のコーテ
    ィング組成物中の接着促進剤に対するシリコーン剥離剤
    の固形物重量比が第一の剥離コーティング組成物中の接
    着促進剤に対するシリコーン剥離剤の固形物重量比より
    大きい請求項16に記載の多層体。
  18. 【請求項18】 剥離裏紙用の剥離コーティングを製造
    するための剥離組成物であって、当該剥離組成物は、
    (1)水溶性、水分散性または水乳化性の接着促進剤
    と、(2)上記接着促進剤と相溶性である水溶性、水分
    散性または水乳化性の架橋可能なシリコーン剥離剤とか
    ら成り、当該シリコーン剥離剤は、(A)ビニル末端基
    および/またはビニル側鎖基で置換されたジオルガノポ
    リシロキサンシリコーンオイルと、(B)アルキル水素
    ポリシロキサン架橋剤と、(C)触媒として有効な量の
    架橋触媒とから成り、剥離裏紙基板に上記組成物を被覆
    し加熱した際に、接着剤に対して剥離力を示す剥離表面
    が形成され、上記(A)の架橋剤(B)に対する固形物
    重量比は約0.2:1から約20:1の固形物重量比の
    範囲であって、上記剥離力と上記固形物重量比が実質的
    に直線的に関連付けられていることを特徴とする組成
    物。
  19. 【請求項19】 前記接着促進剤に対するシリコーン剥
    離剤の固形物重量比が約0.2:1から約20:1の範
    囲であって、前記剥離力と上記固形物重量比が実質的に
    直線的に関連付けられる請求項18に記載の剥離組成
    物。
  20. 【請求項20】 ポリエステルフィルム基板と剥離コー
    ティングとから成る再生可能な剥離フィルム製品であっ
    て、上記コーティングが剥離表面を有すると共に、接着
    促進剤とシリコーン剥離剤との硬化された混合物から成
    り、上記硬化された混合物が水溶性、水分散性または水
    乳化性の接着促進剤と前記接着促進剤と相溶性である水
    溶性、水分散性または水乳化性で架橋可能なシリコーン
    剥離剤との水性配合物から成り、上記剥離コーティング
    が加熱されて水性媒体を上記水性配合物から蒸発すると
    共に前記シリコーン剥離剤を架橋し、上記剥離表面が実
    質的に均一且つ均質な分布に分布している硬化された接
    着促進剤サイト及び硬化されたシリコーン剥離剤サイト
    を有し、上記コーティングが、ポリエステルベース基板
    を再生するために使用する温度で且つ剥離表面に剥離特
    性を付与するのに有効なコーティング重量において、実
    質的なゲルの生成、黄変または臭気の生成を起こさない
    ことを特徴とする剥離フィルム製品。
  21. 【請求項21】 前記剥離表面が接着剤に対する剥離力
    を示し、前記接着促進剤に対するシリコーン剥離剤の固
    形物重量比が約0.2:1から約10:1の範囲であっ
    て、上記剥離力と上記固形物重量比が実質的に直線的に
    関連付けられる請求項20に記載の剥離フィルム製品。
  22. 【請求項22】 前記硬化された混合物が、コーティン
    グの水が除去された全固形物重量に基づいて、約50〜
    90重量%の硬化された接着促進剤と約10〜50重量
    %の硬化されたシリコーン剥離剤とから成る請求項20
    又は21に記載の再生可能な剥離フィルム製品。
  23. 【請求項23】 前記シリコーン剥離剤が、ビニル末端
    基および/またはビニル側鎖基で置換されたジオルガノ
    ポリシロキサンとオルガノ水素ポリシロキサン架橋剤と
    触媒として有効な量の架橋触媒とから成る架橋可能な成
    分から成る請求項20〜22の何れかに記載の再生可能
    な剥離フィルム製品。
  24. 【請求項24】 前記架橋可能な成分がエポキシ置換ア
    ルコキシシランを更に含有する請求項23に記載の再生
    可能な剥離フィルム製品。
  25. 【請求項25】 前記アルコキシシランがガンマ(グリ
    シドキシプロピル)トリメトキシシランである請求項2
    4に記載の再生可能な剥離フィルム製品。
  26. 【請求項26】 前記接着促進剤が、(1)フタル酸単
    位(C64(COO−)2)及びアルキレン又はポリア
    ルキレンジオール単位あるいはポリオール単位とから成
    る少なくとも1種のエステルから成る接着促進剤、
    (2)約30〜50重量%のメチルメタクリレート、約
    30〜50重量%のエチルアクリレート、約1〜10重
    量%のメタアクリルアミド及び約5〜25重量%の反応
    性エステル化トリアジンから成る接着促進剤、(3)約
    40〜80重量%のメチルメタクリレート、約19〜5
    0重量%のエチルアクリレート及び約1〜10重量%の
    N−メチロールアクリルアミドから成る接着促進剤、
    (4)アミノアルキルアルコキシシランの縮合ポリマー
    から成る接着促進剤から成る群から選ばれた少なくとも
    1種の接着促進剤である請求項20に記載の再生可能な
    剥離フィルム製品。
  27. 【請求項27】 前記接着促進剤がフタル酸単位(C6
    4(COO−)2)及びアルキレンジオールとから生成
    される少なくとも1種のエステルから成る請求項26に
    記載の再生可能な剥離フィルム製品。
  28. 【請求項28】 前記少なくとも1種のエステルが約
    5:1から約15:1の重量比におけるジメチルイソフ
    タレートと、ジメチル−5−スルホイソフタレートのナ
    トリウム塩とから成ると共に、前記ジオールがエチレン
    グリコールから成る請求項27に記載の再生可能な剥離
    フィルム製品。
  29. 【請求項29】 前記少なくとも1種のエステルの前記
    アルキレンジオールに対する重量比が約1:1である請
    求項27に記載の再生可能な剥離フィルム製品。
  30. 【請求項30】 前記接着促進剤が少なくとも1種のア
    ルキルアクリレートの水分散性アクリルエマルジョンか
    ら成る請求項20に記載の再生可能な剥離フィルム製
    品。
  31. 【請求項31】 前記少なくとも1種のアルキルアクリ
    レートがメチルメタクリレートと、エチルアクリレート
    と、(1)メタクリルアミドとエステル化トリアジン及
    び(2)N−メチロールアクリルアミドの群から選ばれ
    た少なくとも1種である請求項30に記載の再生可能な
    剥離フィルム製品。
  32. 【請求項32】 反応性コモノマーを含む前記接着促進
    剤が、約30〜50重量%のメチルメタクリレートと約
    30〜50重量%のエチルアクリレートと約1〜10重
    量%のメタアクリルアミドと約5〜25重量%の反応性
    エステル化トリアジンとから成る請求項20に記載の再
    生可能な剥離フィルム製品。
  33. 【請求項33】 前記反応性エステル化トリアジンがヘ
    キサメトキシメチルメラミンから成る請求項32に記載
    の再生可能な剥離フィルム製品。
  34. 【請求項34】 前記接着促進剤が約40〜80重量%
    のメチルメタクリレートと約19〜50重量%のエチル
    アクリレートと約1〜10重量%のN−メチロールアク
    リルアミドとから成る請求項20に記載の再生可能な剥
    離フィルム製品。
  35. 【請求項35】 1日のエージング後に1インチ幅のT
    ESA7475アクリル接着試験テープを約12インチ
    /分の引張速度で引張って試験した際に、前記剥離表面
    が約50〜1000g/インチの剥離強度を有する請求
    項20に記載の再生可能な剥離フィルム製品。
  36. 【請求項36】 請求項20に記載の剥離フィルム製品
    と、前記剥離フィルム製品の前記第一の剥離表面上に設
    けられた実質的にシリコーンを含有しない接着剤組成物
    層とから成る多層体。
  37. 【請求項37】 前記接着剤組成物が第一および第二の
    接着剤表面を表裏に有し、前記第一の剥離表面が上記第
    一の接着剤表面と接触し、前記多層体が上記第二の接着
    剤表面と接触する第二の剥離表面を更に有し、上記第二
    の剥離表面が硬化された第二の剥離コーティング組成物
    から形成されており、上記第二のコーティング組成物が
    前記接着促進剤と前記架橋可能なシリコーン剥離剤との
    混合物から成る水性配合物から成り、上記第二のコーテ
    ィング組成物中の接着促進剤に対するシリコーン剥離剤
    の固形物重量比が第一の剥離コーティング組成物中の接
    着促進剤に対するシリコーン剥離剤の固形物重量比より
    大きい請求項36に記載の多層体。
  38. 【請求項38】 基板と当該基板上の剥離コーティング
    とから成る剥離製品であって、上記剥離コーティングが
    剥離表面を有し且つ接着促進剤とシリコーン剥離剤との
    硬化された混合物とから成り、上記硬化された混合物
    が、(1)重合可能なモノマーを含有する水溶性、水分
    散性または水乳化性の反応性接着促進剤と、(2)上記
    反応性接着促進剤と相溶性である水溶性、水分散性また
    は水乳化性の架橋可能なシリコーン剥離剤との水性エマ
    ルジョンとから形成されており、上記剥離コーティング
    を加熱することにより上記シリコーン剥離剤を架橋し、
    実質的に均一且つ均質に分布している硬化された接着促
    進剤サイト及び硬化されたシリコーンポリマー剥離サイ
    トを上記剥離表面が有することを特徴とする剥離製品。
  39. 【請求項39】 前記反応性接着促進剤がメチルメタク
    リレート、エチルアクリレート、メタクリルアミド及び
    反応性エステル化トリアジンから成る請求項38に記載
    の剥離製品。
  40. 【請求項40】 前記反応性接着促進剤が約30〜50
    重量%のメチルメタクリレートと約30〜50重量%の
    エチルアクリレートと約1〜10重量%のメタクリルア
    ミドと約5〜25重量%のエステル化トリアジンから成
    る請求項38又は39に記載の剥離製品。
  41. 【請求項41】 前記エステル化トリアジンがヘキサメ
    トキシメチルメラミンから成る請求項39又は40に記
    載の剥離製品。
  42. 【請求項42】 前記反応性接着促進剤が水分散性の架
    橋可能なアミノアルキルアルコキシシランから成る請求
    項38に記載の剥離製品。
  43. 【請求項43】 前記架橋可能なアミノアルキルアルコ
    キシシランがN−(2−アミノエチル)−3−アミノプ
    ロピルトリメトキシシランから成る請求項42に記載の
    剥離製品。
  44. 【請求項44】 基板と、剥離表面を有する上記基板上
    の剥離コーティングとから成る剥離製品の製造方法であ
    って、(1)水性媒体と、水溶性、水分散性または水乳
    化性の接着促進剤と、上記接着促進剤と相溶性である水
    溶性、水分散性または水乳化性の架橋可能なシリコーン
    剥離剤とから成るコーティング配合物を形成して、上記
    水性エマルジョン媒体中で接着促進剤およびシリコーン
    剥離剤の均質な分布を形成する工程、(2)高分子フィ
    ルム基板を押出す工程、(3)押出された高分子フィル
    ム基板を上記コーティング配合物の実質的に均一な薄層
    でインライン被覆して、被覆された基板を形成する工
    程、(4)被覆された基板を反応温度まで加熱すること
    により水性媒体を前記水性配合物から蒸発させると共に
    前記シリコーン剥離剤を架橋し、実質的に均一且つ均質
    に分布している硬化された接着促進剤サイト及び硬化さ
    れたシリコーンポリマー剥離サイトを前記第一の剥離表
    面が有する剥離表面を形成する工程、(5)上記温度付
    近で上記被覆された基板を延伸する工程とから成ること
    を特徴とする剥離製品の製造方法。
  45. 【請求項45】 前記接着促進剤が(1)フタル酸単位
    (C64(COO−)2)及びアルキレン又はポリアル
    キレンジオール単位あるいはポリオール単位とから成る
    少なくとも1種のエステルから成る接着促進剤と(2)
    約30〜50重量%のメチルメタクリレート、約30〜
    50重量%のエチルアクリレート、約1〜10重量%の
    メタアクリルアミド及び約5〜25重量%の反応性エス
    テル化トリアジンから成る接着促進剤と(3)約40〜
    80重量%のメチルメタクリレート、約19〜50重量
    %のエチルアクリレート及び約1〜10重量%のN−メ
    チロールアクリルアミドから成る接着促進剤と(4)ア
    ミノアルキルアルコキシシランの縮合ポリマーから成る
    接着促進剤とから成る群から選ばれた少なくとも1種の
    接着促進剤である請求項44に記載の剥離製品の製造方
    法。
  46. 【請求項46】 前記接着促進剤が接着促進剤(2)及
    び/又は(4)から成り、反応温度が接着促進剤中の反
    応性モノマー成分を重合させるのに十分な温度である請
    求項44に記載の剥離製品の製造方法。
  47. 【請求項47】 前記高分子フィルム基板が第一の表面
    および第二の表面を表裏に有し、前記インライン被覆が
    前記基板の第一の表面を被覆することから成り、前記剥
    離製品の製造方法が第二の表面に第二の剥離コーティン
    グ組成物を被覆する工程を更に含む請求項44に記載の
    剥離製品の製造方法。
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