JPH11255673A - 分子結晶による分離精製方法 - Google Patents

分子結晶による分離精製方法

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JPH11255673A
JPH11255673A JP7851898A JP7851898A JPH11255673A JP H11255673 A JPH11255673 A JP H11255673A JP 7851898 A JP7851898 A JP 7851898A JP 7851898 A JP7851898 A JP 7851898A JP H11255673 A JPH11255673 A JP H11255673A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成の簡単なテトラキスフェノール類を成分
化合物とする分子結晶を利用する、応用範囲が広く工業
的価値の高い選択性に優れた有機化合物の分離精製方法
を提供すること。 【解決手段】 一般式[1]で表されるテトラキスフェ
ノール類を成分化合物とする分子結晶の生成により有機
化合物を分離精製する方法において、有機化合物に対す
るプロトン供与性が異なる反応溶媒を使い分けることに
より、2種以上の有機化合物の混合物の中から特定の有
機化合物を成分化合物とする分子結晶を選択的に生成さ
せ、この分子結晶を分離する。 【化1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、分子結晶の生成に
より有機化合物を分離精製する方法に関し、詳しくはテ
トラキスフェノール類と有機化合物とからなる分子結晶
を、分子結晶の構成成分である有機化合物に対してプロ
トン供与性が異なる反応溶媒を使い分けることにより、
例えばプロトンドナーとして作用する反応溶媒あるいは
プロトンドナーとして作用しない反応溶媒を種々使い分
けることにより、異なる種類の有機化合物の混合物の中
から、目的とする特定の有機化合物を成分化合物とする
分子結晶を選択的に生成させ、この分子結晶を分離する
ことからなる有機化合物の分離精製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】分子結晶は、二種以上の化合物が水素結
合やファンデルワールス力などに代表される、共有結合
以外の比較的弱い相互作用によって結合した多分子結晶
であり、簡単な操作によってもとの各成分化合物に解離
する性質を有することから、近年、有用物質の選択分
離、化学的安定化、不揮発化、徐放化、粉末化などの技
術分野における応用が為されている。具体的な分子結晶
の一例として包接結晶が挙げられ、例えば特開昭61−
53201号公報には、1,1,6,6,−テトラフェ
ニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオール又は
1,1−ジ(2,4−ジメチルフェニル)−2−プロピ
ン−1−オールと、特開昭62−22701号公報に
は、1,1′−ビス−2−ナフトールとそれぞれ、5−
クロロ−2−メチル−4−イソチアゾリン−3−オン等
との包接結晶が記載されている。また、特開平6−16
6646号公報にはテトラキスフェノール類と種々の有
機化合物との包接結晶が開示されている。
【0003】これら包接結晶を含む分子結晶は、各々固
有の化学的環境を持つ特定の格子空間を有することか
ら、近年特に、有用物質の選択分離精製手段として応用
が期待されている。分子結晶を利用する分離精製は、分
離精製したい化合物を成分化合物として含む分子結晶の
作り分けによってなされるが、例えば1,1,6,6−
テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−1,6−ジオ
ールによってもたらされる包接結晶を利用するo−及び
p−メチルベンズアルデヒドの分離方法、尿素、チオ尿
素によってもたらされる包接結晶を用いての脂肪族の分
岐状化合物から直鎖状化合物を分離する方法等が報告さ
れている(以上、「包接化合物の基礎と応用」、株式会
社NTS、1989年参照)。何れの方法も、包接結晶
をもたらす化合物を分離したい化合物に直接添加して分
子結晶を得るか、又は包接結晶をもたらす化合物と分離
したい化合物とを、反応溶媒の存在下で反応させること
によって分子結晶を得るかの何れかによってなされる。
【0004】しかし、従来の分子結晶を利用する分離精
製方法では、分離できる物質が非常に限定されている上
に、分離ができてもその分離の選択性をコントロールで
きないものが殆どであった。更に従来の技術では、1,
1,6,6−テトラフェニル−2,4−ヘキサジイン−
1,6−ジオールなど調製が困難で収率の低い化合物と
する成分化合物を使用しており、工業的に利用するとい
う観点から満足できるものではなかった。また簡単に入
手できる尿素、チオ尿素では、分離できる化合物の種類
に多くの制限があるなど応用範囲の広い方法として十分
満足できるものではなかった。
【0005】このように、従来の分子結晶を利用する分
離精製方法においては、低コストで応用範囲が広く工業
的価値の高い分離精製方法は未だ見いだされていない。
また低コストで簡単に調製できる各種のフェノール化合
物が分子結晶を作ることは知られているが、その集合形
態のコントロール及び同一フェノール化合物における分
離の選択性のコントロールについては、全く検討されて
いない。
【0006】
【発明が解決すべき課題】本発明の課題は、合成の簡単
なテトラキスフェノール類を成分化合物とする分子結晶
を利用する、応用範囲が広く工業的価値の高い選択性に
優れた有機化合物の分離精製方法を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決すべく鋭意研究をした結果、特定のテトラキスフ
ェノール類が、広範囲の有機化合物と容易に安定した分
子結晶を形成すること、テトラキスフェノール類と有機
化合物とを、有機化合物に対するプロトン供与性の異な
る種々の反応溶媒、すなわち有機化合物に対してプロト
ンドナーとして作用する反応溶媒、あるいはプロトンド
ナーとして作用しない反応溶媒を種々使い分けることに
より、極めて安定的に意図した組成の分子結晶が生成す
ること、また生成した分子結晶を分離することにより容
易に有機化合物が分離精製できることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】すなわち本発明は、一般式[1]で表され
るテトラキスフェノール類を成分化合物とする分子結晶
の生成により有機化合物を分離精製する方法において、
有機化合物に対するプロトン供与性が異なる反応溶媒を
使い分けることにより、2種以上の有機化合物の混合物
の中から特定の有機化合物を成分化合物とする分子結晶
を選択的に生成させ、この分子結晶を分離することを特
徴とする有機化合物の分離精製方法に関する。
【化2】 (式中、Xは、(CH2n又はフェニル基を表し、n
は、0、1、2又は3であり、R1、R2は、それぞれ水
素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニ
ル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。)
【0009】
【発明の実施の形態】本発明において用いられるテトラ
キスフェノール類は、上記一般式[1]で表され、有機
化合物と分子結晶を形成し得るものであれば特に制限は
なく、任意のものを1種又は2種以上選択して用いるこ
とができる。
【0010】本発明において用いられる一般式[1]で
示されるテトラキスフェノール類の具体的な例として
は、1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−メチ
ル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2
−テトラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロ
ロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2
−テトラキス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−ブロ
モ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2
−テトラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−t−
ブチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,
2,2−テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキ
ス(3−フルオロ−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジフルオロ−4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テト
ラキス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,2,2−テトラキス(3,5−ジメトキシ
−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−
テトラキス(3−クロロ−5−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−
ブロモ−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタ
ン、1,1,2,2−テトラキス(3−メトキシ−5−
メチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,
2,2−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル−4
−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,2,2−テト
ラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4−ヒドロキシフェ
ニル)エタン、1,1,2,2−テトラキス(3−クロ
ロ−5−フェニル−4−ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1,2,2−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−
フェニル)フェニル]エタン、1,1,3,3−テトラ
キス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,
3,3−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3,5
−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,
1,3,3−テトラキス(3−クロロ−4−ヒドロキシ
フェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス
(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1,3,3−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒ
ドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラ
キス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プ
ロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−フェニル−
4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,3,3−
テトラキス(3,5−ジフェニル−4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス(3−メ
トキシ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,
3,3−テトラキス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロ
キシフェニル)プロパン、1,1,3,3−テトラキス
(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ン、1,1,3,3−テトラキス(3,5−ジ−t−ブ
チル−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1,
4,4−テトラキス(4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1,4,4−テトラキス(3−メチル−4−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキ
ス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1,4,4−テトラキス(3−クロロ−4−ヒ
ドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラキ
ス(3,5−ジクロロ−4−ヒドロキシフェニル)ブタ
ン、1,1,4,4−テトラキス(3−メトキシ−4−
ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テトラ
キス(3,5−ジメトキシ−4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−ブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−テト
ラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)
ブタン、1,1,4,4−テトラキス(3−t−ブチル
−4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1,4,4−
テトラキス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシ
フェニル)ブタン、α,α,α′,α′−テトラキス
(4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−メチル−4−ヒドロキシ
フェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テト
ラキス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)
−p−エタン、α,α,α′,α′−テトラキス(3−
クロロ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、
α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジクロロ−
4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−ブロモ−4−ヒドロキシ
フェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テト
ラキス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)
−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス(3
−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレ
ン、α,α,α′,α′(3,5−ジ−t−ブチル−4
−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−フルオロ−4−ヒドロキ
シフェニル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テ
トラキス(3,5−ジフルオロ−4−ヒドロキシフェニ
ル)−p−キシレン、α,α,α′,α′−テトラキス
(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシ
レン、α,α,α′,α′−テトラキス(3,5−ジメ
トキシ−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、
α,α,α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−メ
チル−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,
α,α′,α′−テトラキス(3−ブロモ−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−メトキシ−5−メチル−
4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−t−ブチル−5−メチル
−4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−ブロモ−4
−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス(3−クロロ−5−フェニル−
4−ヒドロキシフェニル)−p−キシレン、α,α,
α′,α′−テトラキス[(4−ヒドロキシ−3−フェ
ニル)フェニル]−p−キシレン等を挙げることができ
る。
【0011】本発明における有機化合物は、テトラキス
フェノール類と分子結晶を形成し、且つテトラキスフェ
ノール類に対してプロトンアクセプターとして作用する
ものであれば特に制限はなく、かかる有機化合物の2種
以上の混合物が本発明における分離精製の対象となる。
【0012】本発明における有機化合物の具体的な例と
しては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、
n−ブタノール、n−オクタノール、2−エチルヘキサ
ノール、アリルアルコール、プロパルギルアルコール、
1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、
1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジオール等の
アルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、
n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ベンズ
アルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メチルエチル
ケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、メチルイソ
ブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン等
のケトン類、アセトニトリル、アクリロニトリル、n−
ブチロニトリル等のニトリル類、ジエチルエーテル、ジ
ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、テ
トラヒドロピラン等のエーテル類、酢酸メチル、酢酸エ
チル、酢酸ブチル等のエステル類、スルホンアミド類、
N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミ
ド等のアミド類、フェノール、クレゾール、レゾルシノ
ール等のフェノール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の
カルボン酸類及びチオカルボン酸類、スルファミン酸
類、チオカルバミン酸類、チオセミカルバジド類、尿素
及びチオ尿素類、イソチオ尿素類、スルホニル尿素類、
チオフェノール、アリルメルカプタン、n−ブチルメル
カプタン等のチオール類、スルフィド類、ジメチルスル
ホキシド、ジエチルスルホキシド、ジ−n−プロピルス
ルホキシド、ジ−iso−プロピルスルホキシド、メチ
ルエチルスルホキシド、n−プロピルメチルスルホキシ
ド、iso−プロピルメチルスルホキシド、n−プロピ
ルエチルスルホキシド、iso−プロピルエチルスルホ
キシド等のスルホキシド類、スルフィナート類、スルフ
ィンアミド類、サルファイト類、スルホン類、チオシア
ン酸メチルエステル、イソチオシアン酸メチルエステル
等のチオシアン酸類及びイソチオシアン酸類、アミノ酸
類、アミド及びウレタン化合物類、酸無水物類、ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、アルケ
ン類、アルキン類、ブチルイソシアネート、シクロヘキ
シルイソシアネート等のイソシアネート類、メチレンビ
スチオシアネート、メチレンビスイソチオシアネート等
のチオシアネート類及びイソチオシアネート類、ニトロ
化合物類、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、
プロピルアミン、ブチルアミン、ペンチルアミン、ヘキ
シルアミン、アリルアミン、ヒドロキシルアミン、エタ
ノールアミン、ベンジルアミン、エチレンジアミン、
1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミ
ン、1,4−ブタンジアミン、1,5−ペンタンジアミ
ン、1,6−ヘキサンジアミン、ジエチレントリアミ
ン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミ
ン、ジプロピレンジアミン、N,N−ジメチルエチレン
ジアミン、N,N′−ジメチルエチレンジアミン等の非
環式脂肪族アミン類、シクロヘキシルアミン、ピロリジ
ン類、アゼチジン類、ピペリジン類、ピペラジン類、ピ
ロリン類等の環式脂肪族アミン類、アニリン、N―メチ
ルアニリン、N,N−ジメチルアニリン等の芳香族アミ
ン類、ポリアミン類、イミダゾール、ピロール、ピリジ
ン、ピコリン、フラン、フルフリルアルコール、テトラ
ヒドロフルフリルアルコール、フルフリルアミン、ピラ
ン、クマリン、ベンゾフラン、キサンテン、ベンゾジオ
キサン、オキサゾール、イソオキサゾール、ベンゾオキ
サゾール、ベンゾイソキサゾール、5−メチルオキサゾ
リジン、4−(2−ニトロブチル)モルホリン、4,
4′−(2−エチル−2−ニトロトリメチレン)ジモル
ホリン、チオフェン、チアゾール、ベンゾペンタチエピ
ン、ベンゾトリチオール等の複素環式化合物を挙げるこ
とができる。
【0013】本発明において用いられる反応溶媒は、通
常反応溶媒として慣用されているものの中から任意のも
のを1種又は2種以上選択して用いることができる。反
応溶媒の中でも、0℃以上100℃以下の温度範囲で液
体であるものが好適に用いられ、特に20℃以上50℃
以下の温度範囲で液体であるものが好ましい。
【0014】本発明において用いられる反応溶媒の具体
的な例としては、水、メタノール、エタノール、イソプ
ロパノール、n−ブタノール、n−オクタノール、2−
エチルヘキサノール、アリルアルコール、プロパルギル
アルコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタン
ジオール、1,4−ブタンジオール、シクロヘキサンジ
オール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトア
ルデヒド、n−ブチルアルデヒド、プロピオンアルデヒ
ド、ベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アセトン、メ
チルエチルケトン、ジエチルケトン、ジブチルケトン、
メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、アセチル
アセトン等のケトン類、アセトニトリル、アクリロニト
リル、n−ブチロニトリル等のニトリル類、ジエチルエ
ーテル、ジブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオ
キサン、テトラヒドロピラン等のエーテル類、酢酸メチ
ル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、スルホン
アミド類、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチル
ホルムアミド等のアミド類、ジクロロメタン、クロロホ
ルム、テトタクロロメタン、ジクロロエチレン、テトラ
クロロエチレン等のハロゲン化炭化水素、n−ヘキサ
ン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素、フェノール、
クレゾール、レゾルシノール等のフェノール類、ギ酸、
酢酸、プロピオン酸等のカルボン酸類及びチオカルボン
酸類、スルファミン酸類、チオカルバミン酸類、チオセ
ミカルバジド類、尿素及びチオ尿素類、イソチオ尿素
類、スルホニル尿素類、チオフェノール、アリルメルカ
プタン、n−ブチルメルカプタン等のチオール類、スル
フィド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、
スルフィナート類、スルフィンアミド類、サルファイト
類、スルホン類、チオシアン酸メチルエステル、イソチ
オシアン酸メチルエステル等のチオシアン酸類及びイソ
チオシアン酸類、アミノ酸類、アミド及びウレタン化合
物類、酸無水物類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の
芳香族炭化水素類、アルケン類、アルキン類、ブチルイ
ソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート等のイソ
シアネート類、メチレンビスチオシアネート、メチレン
ビスイソチオシアネート等のチオシアネート類及びイソ
チオシアネート類、ニトロ化合物類、アンモニア、メチ
ルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミ
ン、ペンチルアミン、ヘキシルアミン、アリルアミン、
ヒドロキシルアミン、エタノールアミン、ベンジルアミ
ン、エチレンジアミン、1,2−プロパンジアミン、
1,3−プロパンジアミン、1,4−ブタンジアミン、
1,5−ペンタンジアミン、1,6−ヘキサンジアミ
ン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、
テトラエチレンペンタミン、ジプロピレンジアミン、
N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N′−ジメチ
ルエチレンジアミン等の非環式脂肪族アミン類、シクロ
ヘキシルアミン、ピロリジン類、アゼチジン類、ピペリ
ジン類、ピペラジン類、ピロリン類等の環式脂肪族アミ
ン類、アニリン、N―メチルアニリン、N,N−ジメチ
ルアニリン等の芳香族アミン類、ポリアミン類、イミダ
ゾール、ピロール、ピリジン、ピコリン、フラン、フル
フリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコー
ル、フルフリルアミン、ピラン、クマリン、ベンゾフラ
ン、キサンテン、ベンゾジオキサン、オキサゾール、イ
ソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾイソキサ
ゾール、5−メチルオキサゾリジン、4−(2−ニトロ
ブチル)モルホリン、4,4′−(2−エチル−2−ニ
トロトリメチレン)ジモルホリン、チオフェン、チアゾ
ール等の複素環式化合物を挙げることができる。
【0015】本発明における分子結晶、すなわち、目的
とする特定の有機化合物を成分化合物とする分子結晶
は、上記テトラキスフェノール類と、分離精製の対象と
なる目的の有機化合物を含む2種以上の有機化合物の混
合物とを、これら有機化合物に対するプロトン供与性の
異なる種々の反応溶媒の存在下常温〜100℃で数分間
〜数十時間攪拌して反応させ、目的とする特定の有機化
合物のみを成分化合物とする分子結晶を生成する特定の
反応溶媒を選定し、かかる反応溶媒を用いることにより
得ることができる。また、有機化合物が液体の場合に
は、そのものを反応溶媒として用い分子結晶を生成させ
ることもできる。
【0016】ここで、プロトン供与性の異なる反応溶媒
とは、プロトンドナーとしての作用の程度の異なる反応
溶媒を意味し、プロトンドナーとして作用しないものも
含まれる。
【0017】このようにして得られた目的とする特定の
有機化合物のみを成分化合物とする分子結晶を、反応液
中からの析出物として濾別した後、室温〜80℃で真空
乾燥するなどの常法により分離し、分離された分子結晶
を常圧下又は減圧下で加熱して各成分化合物に解離させ
ることにより、目的とする有機化合物を分離精製するこ
とができる。
【0018】上記のように、本発明の分子結晶の生成を
利用した分離精製方法の特徴は、使用する反応溶媒の特
性によって分子結晶構成成分及びその集合形態をコント
ロールする点にあり、本発明の分子結晶の生成を利用し
た分離精製方法において、目的とする有機化合物が分子
結晶を構成する成分化合物となりうるかは、各有機化合
物と反応溶媒との分子間相互作用に依存する。本発明に
おける分子結晶は、テトラキスフェノール類と有機化合
物とが水素結合やファンデルワールス力などに代表され
る、共有結合以外の比較的弱い相互作用によって結合し
た多分子結晶であり、有機化合物に対するプロトン供与
性の異なる反応溶媒を使い分けることにより、これら分
子間の相互作用をコントロールすることができ、これに
より分子結晶組成の選択性が発現する。
【0019】例えば、有機化合物に対してプロトンドナ
ーとして作用する反応溶媒とプロトン受容性のより強い
有機化合物との組み合わせでは、当該有機化合物が反応
溶媒によって強く溶媒和されるために、同一系内により
プロトン受容性が低く且つ溶媒和され難い別種の有機化
合物が共存すると、その有機化合物を成分化合物とする
分子結晶が選択的に生成する。一方、有機化合物に対し
てプロトンドナーとして作用しない反応溶媒を用いるこ
とにより、プロトン受容性のより高い有機化合物が、テ
トラキスフェノール類との強い相互作用によって選択的
に分子結晶中に取り込まれる。
【0020】具体例を挙げると、ジメチルスルホキシド
及びジフェニルスルホキシドのようなプロトン受容性の
異なる二種のスルホキシド混合物と、テトラキスフェノ
ール類である1,1,2,2−テトラキス(4−ヒドロ
キシフェニル)エタンから成る反応系においては、メタ
ノールのようなスルホキシド基含有化合物に対してプロ
トンドナーとして作用する反応溶媒を用いることによ
り、プロトン受容性のより低いジフェニルスルホキシド
とテトラキスフェノール類から成る分子結晶を選択的に
得ることができる。一方、酢酸エチルのようなスルホキ
シド基含有化合物に対してプロトンドナーとして作用し
ない反応溶媒を用いることにより、プロトン受容性のよ
り高いジメチルスルホキシドとテトラキスフェノール類
から成る分子結晶を選択的に得ることができる。このよ
うに、本発明の分子結晶の生成を利用した分離精製方法
においては、反応溶媒の選定により、従来選別が困難で
あった特定のスルホキシド基含有化合物等の有機化合物
の選択的分離が可能になる。
【0021】そして、本発明におけるテトラキスフェノ
ール類と有機化合物の反応生成物がが確かに分子結晶で
あることは、熱分析(TG−DTA)、赤外吸収スペク
トル(IR)、X線回折パターン、13C−固体NMRス
ペクトル等により確認することができる。また、分子結
晶の組成は熱分析、1H−NMR スペクトル、高速液体
クロマトグラフィー(HPLC)、元素分析等により確
認することができる。
【0022】以下に、本発明を実施例を挙げて更に詳細
に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例により何
ら制限されるものではない。 実施例1(分子結晶の生成による分離精製) テトラキスフェノール類として、1,1,2,2−テト
ラキス(4−ヒドロキシフェニル)エタン(以下「TE
P」という)を用い、有機化合物の混合物としてジメチ
ルスルホキシド(DMSO)とジフェニルスルホキシド
(DPSO)との1:1(モル比)混合物を用い、反応
溶媒としては表1に示すものを用いて、以下のように分
子結晶を生成させた。各種反応溶媒に、上記有機化合物
の混合物を溶解もしくは懸濁させ、これにTEPを上記
有機化合物に対して0.1〜等モル加えて、室温〜10
0℃で1〜24時間攪拌もしくは放置して結晶を析出さ
せた。これらの析出物を濾別した後、室温〜80℃で真
空乾燥し、分子結晶を得た。この結果を表1に示す。
【0023】表1からもわかるように、テトラキスフェ
ノール類に対してプロトン供与性の異なる反応溶媒を使
い分けることにより、スルホキシド基含有化合物の混合
物中から特定のものを選別できることが確かめられた。
なお、実施例で得られた試料1〜8は、1H−NMR ス
ペクトルによってその組成を決定し、赤外吸収スペクト
ル(IR)及び13C−固体NMRスペクトルにより分子
結晶であることを確認した。試料1〜8の赤外吸収スペ
クトル(IR)を図1〜8に示す。
【0024】
【表1】
【0025】
【発明の効果】本発明によると、合成の簡単なテトラキ
スフェノール類を成分化合物とする安定な分子結晶を利
用することからにより、従来分離が困難であった有機化
合物の混合物の中から目的とする特定の有機化合物を効
率よく分離精製することができる。また、分離精製に利
用する分子結晶は以下の特徴を有することから、本分離
精製方法の産業上における意義は極めて大きい。 1)合成の簡単なテトラキスフェノール類を用いて、目
的とする有機化合物を成分化合物とする安定な分子結晶
が得られる。 2)目的とする有機化合物を成分化合物とする分子結晶
を反応溶媒特性の違いによってコントロールし、選択的
に生成させうる。 3)生成する分子結晶は、常圧下又は減圧下で加熱する
と容易に各成分化合物に分離することができる。 4)生成する分子結晶は、常温固体であるため、粉体、
懸濁液、粒剤、錠剤等の製剤化も可能であり、極めて取
り扱いが容易である。
【図面の簡単な説明】
【図1】表1の試料1の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図2】表1の試料2の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図3】表1の試料3の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図4】表1の試料4の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図5】表1の試料5の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図6】表1の試料6の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図7】表1の試料7の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。
【図8】表1の試料8の分子結晶の赤外吸収スペクトル
(KBr法)を示す図である。

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式[1]で表されるテトラキスフェ
    ノール類を成分化合物とする分子結晶の生成により有機
    化合物を分離精製する方法において、有機化合物に対す
    るプロトン供与性が異なる反応溶媒を使い分けることに
    より、2種以上の有機化合物の混合物の中から特定の有
    機化合物を成分化合物とする分子結晶を選択的に生成さ
    せ、この分子結晶を分離することを特徴とする有機化合
    物の分離精製方法。 【化1】 (式中、Xは、(CH2n又はフェニル基を表し、n
    は、0、1、2又は3であり、R1、R2は、それぞれ水
    素原子、低級アルキル基、置換されていてもよいフェニ
    ル基、ハロゲン原子又は低級アルコキシ基を示す。)
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