JPH11236391A - 光機能性有機けい素化合物およびその製造方法 - Google Patents

光機能性有機けい素化合物およびその製造方法

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JPH11236391A
JPH11236391A JP10302944A JP30294498A JPH11236391A JP H11236391 A JPH11236391 A JP H11236391A JP 10302944 A JP10302944 A JP 10302944A JP 30294498 A JP30294498 A JP 30294498A JP H11236391 A JPH11236391 A JP H11236391A
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克己 額田
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真宏 岩崎
Wataru Yamada
渉 山田
Rie Ishii
理恵 石井
Mieko Seki
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 溶解性、成膜性に優れ、有機−無機ハイブリ
ッド化が可能で、有機感光体や有機EL素子等の種々の
有機電子デバイスに応用可能な新規光機能性有機けい素
化合物およびその製造方法を提供する。また、工業的ス
ケールでの生産が可能な新規光機能性有機けい素化合物
およびその製造方法を提供する。 【解決手段】 下記一般式 (I) で示される光機能性有
機けい素化合物。 一般式 (I) X-[ (Y) h COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a' ] b 式中、Xは光機能性化合物から誘導される有機基を表
し、R1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のア
リール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Y及びY1
は2価の基を表す。a’は1〜3の整数を表し、hは0
または1を表し、a''は1または0の整数を表す。ま
た、bは1〜4の整数を表す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機電子デバイ
ス、特に電子写真感光体に有用な新規光機能性有機けい
素化合物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、有機光導電性材料を用いた電子写
真感光体や、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機
EL素子)などの有機電子デバイスが、生産性、材料設
計の容易さ、安全性などの点から注目され、種々の改良
が重ねられて実用化されている。これら有機電子デバイ
スの安定化、長寿命化の観点から、たとえば、有機エレ
クトロルミネッセンス素子では、発生するジュール熱に
より膜のモルホルジー変化を引き起こさない材料が、ま
た、電子写真感光体では、オゾンやNOx などに対する
化学的な安定性のみならず、熱や機械力などの物理的な
ストレスに対して安定な材料が求められている。
【0003】特に、電子写真感光体では、帯電特性の安
定化と長寿命化の要請が大きい。近年、電子写真感光体
は、感度、安定性の面から、電荷発生層と電荷輸送層を
分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造が考案さ
れ実用化されている。この構成の電子写真感光体は、電
荷発生物質を適当な樹脂を結着材として結着してなる層
と、その上の電荷輸送材をバインダー樹脂中に分散或い
は溶解させた層の2層からなっている。電荷輸送層のバ
インダーとしては、主に、正孔輸送材について検討がな
され、そのバインダーとしてポリカーボネート樹脂、ポ
リエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の
熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱
硬化樹脂が検討されている。この場合、電荷輸送層表面
をコロナ帯電あるいは、ローラー帯電により負に帯電さ
せる必要があり、その時発生するオゾンによる樹脂の劣
化、感光体表面での放電による電気的な衝撃による磨
耗、感度低下、帯電能の低下や、その後のトナー現像、
紙への転写、クリーニングなどの際の摩擦等による機械
的破壊など、種々の原因により感光体特性が低下するこ
とが問題となっている。
【0004】そこで、電荷輸送層の強度を高めるため、
あるいは、表面付着を防ぎ、クリーニング性を向上させ
るために、ポリシロキサン樹脂を共重合成分或いは他樹
脂へブレンドすることが試みられ、たとえば、ポリシロ
キサン樹脂を含む熱硬化性樹脂を電荷輸送層に使用する
もの(特開昭61-238062 号)、ポリシロキサン樹脂を含
む保護層を有するもの(特開昭62-108260 号)、熱硬化
性ポリシロキサン樹脂にシリカゲル、ウレタン樹脂、フ
ッ素樹脂を分散させ保護層とするもの(特開平4-346356
号)、熱可塑性樹脂に熱硬化型ポリシロキサン樹脂を分
散させた樹脂を保護層或いは電荷輸送材バインダー樹脂
とするもの(特開平4-273252号)などが提案されてい
る。これらは、ポリシロキサン樹脂の透明性、耐絶縁破
壊、光安定性に加えて低表面張力等、他の樹脂に見られ
ない特性を利用して感光体の高性能化、寿命の向上、ク
リーニング性の改善を図るものである。しかしながら、
ポリシロキサン樹脂は、有機化合物との相溶性が極めて
悪いため、単独で電荷輸送材料構成樹脂として使用され
る事はなく、また、共重合或いはブレンドによる電荷輸
送材料構成樹脂の改質の為に使用しても、ポリシロキサ
ン樹脂を増量すると相分離を起こしてしまうという問題
があった。
【0005】従って、ポリシロキサン樹脂を、単独で電
荷輸送層を構成するバインダーとして用いるためには、
ポリシロキサン樹脂に可溶な電荷輸送物質を見いだすこ
とが必要であった。このような電荷輸送物質としては、
たとえば、ポリ(ハイドロジェンメチルシロキサン)な
どのポリシロキサンに不飽和結合を有する電荷輸送剤を
ヒドロシリル化により直接結合させた樹脂(特開平8-31
9353号)、ゾルゲル法を用いた薄膜を保護層とするもの
("Proceedings of IS&T's Eleventh International Con
gress on Advances in Non-Impact Printing Technolog
ies, p.57〜59")、等が提案されている。また、電荷輸
送性能を含む光応答性サブユニットと無機ガラス質ネッ
トワークサブユニットを有する化合物(特開平3-191358
号)の他、これに類する化合物として、電荷輸送剤に加
水分解性基を有するケイ素を直接導入した有機ケイ素変
性正孔輸送性化合物(特開平9-190004号)等が提案され
ている。これらのうちでも、"Proceedings of IS&T's E
leventh International Congress on Advances in Non-
Impact Printing Technologies, p.57〜59" や特開平3-
191358号、特開平9-190004号に開示された電荷輸送物質
は、シロキサンが3次元にネットワークを形成すること
により強固な膜を形成することができ、機械的な強度が
大きく改善されるため、注目されている。
【0006】しかしながら、"Proceedings of IS&T's E
leventh International Congress on Advances in Non-
Impact Printing Technologies, p.57〜59" には、シロ
キサンが3次元にネットワークを形成するとの記載があ
るのみで、使用した化合物の具体的な構造については全
く示されていない。また、特開平9-190004号記載には、
電荷輸送物質の製造方法として、有機ケイ素変性正孔輸
送性化合物を構成する芳香族基に結合し又は新しく結合
させた不飽和脂肪族基と、水素及び加水分解性基をケイ
素原子の置換基とするシランとを白金化合物からなる触
媒の存在下、ヒドロシリル化反応によって結合させる方
法が開示されているが、この反応はケイ素の結合位置の
異なる異性体を生じることに加え、不飽和脂肪族基が還
元された還元体を与えやすく、特開平9-190004号のスペ
クトルからも明らかなように、複数の化合物の混合物と
なりやすい。特に、この還元体は、電荷輸送層を形成し
た場合、シロキサン結合を形成できず、膜強度の低下を
引き起こしてしまう。また、目的物を得るため、カラム
クロマトグラフィーなどにより精製を行うと、有機ケイ
素変性正孔輸送性化合物の分解、反応などにより、著し
い収率の低下を招くといった問題点があった。このよう
に、特開平9-190004に開示された化合物は、合成、精製
が困難であり、工業的スケールでの生産が困難である。
このため、機械的強度に優れると同時に、製造が容易な
電荷輸送物質が求められていた。
【0007】また、電子写真感光体の分野においては、
電子輸送性材料についても精力的な研究がなされてい
る。例えば、特公昭50-10496号に記載されたトリニトロ
フルオレノン、特開昭61-143764 号に記載されたジシア
ノメチレンフルオレノン誘導体、特開昭61-225151 号に
記載されたアントラキノン誘導体、特開昭60-222477 号
に記載されたチオピラン誘導体、特開平5-279582号、特
開平7-233134号、特開平7-258189号などに記載されたフ
ルオレノン誘導体、特開平8-245601号、特開平8-283249
号、特開平8-301858号、特開平8-286402号などに記載さ
れたベンゾオキサゾールあるいはベンゾチアゾール誘導
体、特開平8-15878 号に記載されたベンゾキノン誘導
体、電子写真学会誌 第30巻 第3号 266(1991) に記
載されたジフェノキノン誘導体、特開平5-25136 号、特
開平5-25174 号、特開平5-117274号、特開平5-125043
号、特開平5-132464号などに記載されたイミド化合物誘
導体、あるいは、特開昭52-12153号、特開昭52-12154
号、Macromolecules ,22, 2266(1989)などに記載された
電子輸送性の基をポリマー中に導入した電子輸送性ポリ
マーなどが公開されている。しかしながら、これらの材
料は電子輸送性材料の本質的な欠点である有機溶剤への
低溶解性、あるいはバインダーポリマーへの低相溶性の
改良に主眼がおかれたものであり、電荷輸送層の強度を
向上させることを目的とするものはなかった。
【0008】また、電子写真感光体には一般に感光層と
基体との接着性、感光層の塗工性等の向上、基体表面の
保護、基体上の欠陥の被覆、感光層の電気的破壊からの
保護、感光層のキャリア注入性向上等のための下引き層
あるいは中間層と呼ばれる層を介在させる。正帯電型電
子写真感光体の場合には最表面層に電荷発生材料を使用
することが一般的で、特に正孔輸送性電荷輸送層上に電
荷発生層を形成した構成の正帯電型電子写真感光体の場
合には電荷発生層の機械的な強度の低さを補うために表
面保護層が形成される。これら下引き層、あるいは正帯
電型電子写真感光体の場合の表面保護層には基本的に電
子輸送性の材料を用いることが好ましく、たとえば特公
昭61-35551号及び、特開昭59-160147 号等に下引き層に
電子受容性物質を含有させることが記載されている。下
引き層に電子輸送性の材料を使用する場合、下引き層塗
布形成時には塗布溶剤に溶解し、下引き層上にさらに感
光層を塗布形成する際には、上層の塗布溶剤に対して不
溶性である必要が生じる。しかしながら、前述の材料で
これを達成することは困難で、上層の塗布時に電子輸送
性の材料が溶解し、下引き層のはがれ、クラックなどを
生じたり、溶出により十分な電子輸送性が保持できない
問題があった。また、表面保護層として使用する場合、
電気的な特性を保持するためにはできるだけ薄膜である
ことが好ましいが、前述の材料をバインダーポリマー中
に分散させたものでは十分な強度が得られず、薄膜化で
きないため、残留電位を生じたり、表面電位がサイクル
アップするなどといった問題があった。さらにこれを改
良するために、特公平7-86694 号には電子受容性原子あ
るいは電子吸引性基を有するアルコキシシラン化合物の
加水分解生成物を表面保護層に使用することが開示され
ている。しかしながら、この方法で得られる表面保護層
は強度的には優れるものの、電子輸送性が低く、依然と
して残留電位を生じたり、表面電位がサイクルアップす
るなどといった問題があった。
【0009】さらに、上述した光応答性サブユニットと
無機ガラス質ネットワークサブユニットを有する化合物
を、無機ガラス中に分散させる方法は、一般に有機−無
機ハイブリッド、ORMOCER(Organic Modified C
eramics )などと呼ばれ、電子写真感光体のみならず、
ガラスの着色、ポリマーレンズや塗装の表面保護、FR
P(ファイバー・レインフォースド・プラスチック) や
カーボン繊維強化樹脂のためのファイバーとポリマーの
接着層、非線形光学材料、フォトクロミック材料、フォ
トケミカルホールバーニング材料などへの応用も検討さ
れており、今後の展開が期待されている分野であり、こ
の有機−無機ハイブリッド化に使用可能な種々の機能性
材料の開発が期待されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、溶解
性、成膜性に優れ、有機−無機ハイブリッド化が可能
で、有機感光体や有機EL素子等の種々の有機電子デバ
イスに応用可能な新規光機能性有機けい素化合物および
その製造方法を提供することである。また、本発明の他
の目的は、工業的スケールでの生産が可能な新規光機能
性有機けい素化合物およびその製造方法を提供すること
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記問題に鑑み、鋭意検
討を行った結果、下記一般式 (I) で表される新規な光
機能性有機けい素化合物を用いることで上記課題を解決
できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】一般式 (I) X-[ (Y) h COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a' ] b (式中、Xは光機能性化合物から誘導される有機基を表
し、R1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のア
リール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Y及びY1
は2価の基を表す。a’は1〜3の整数を表し、hは0
または1を表し、a''は1または0の整数を表す。ま
た、bは1〜4の整数を表す。)
【0013】本発明の光機能性有機けい素化合物は、光
機能性化合物から誘導される有機基Xと硬化部位である
アルコキシシラン基とを、エステル結合を介して連結し
た点に大きな特徴がある。有機基Xとシリル基とを、ヘ
テロ原子に結合した水素原子を持たないエステル結合を
介して連結することにより、光機能性有機けい素化合物
の吸湿性を低下させ、光機能性材料としての外部環境に
対する安定性を高めることができる。また、本化合物を
ヒドロシリル化反応により合成する場合には、エステル
基の電子吸引効果により、反応率、および反応の位置選
択性を高めることができ、高収率で目的とする化合物を
得ることが可能となる。これにより、溶解性、成膜性に
優れ、有機−無機ハイブリッド化が可能で、有機感光体
や有機EL素子等の種々の有機電子デバイスに応用可能
であり、工業的スケールでの生産が可能な本発明の光機
能性有機けい素化合物が得られたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の光機能性有機けい素化合物は、前記一般式
(I) で表される構造を有する。この化合物において
は、光機能性化合物から誘導される有機基Xに連結され
た-[ (Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Qa' ]b で表さ
れる加水分解性基を有するケイ素含有部位(以下、単
に、「加水分解性基を有するケイ素含有部位」とい
う。)が、加水分解により3次元の無機ガラス質ネット
ワークを形成し、強固な膜を形成するとともに、光機能
性化合物から誘導される有機基Xを、無機ガラス質ネッ
トワーク中に取込み、いわゆる、有機−無機ハイブリッ
ド構造を形成する。
【0015】光機能性化合物から誘導される有機基Xと
は、光機能性化合物から誘導され、光機能性化合物の光
機能を維持している有機基であって、加水分解性基を有
するケイ素含有部位と連結可能な結合手を有する有機基
をいい、その結合手の数は1から4までのいずれかであ
る。すなわち、前記一般式 (I) において、結合手の数
を表すbは1〜4の整数を表す。さらに、bが2以上の
場合に、より強固な膜が得られ好ましい。ここで、光機
能性化合物とは、光エネルギーを吸収して物理的、物理
化学的変化、例えば、光異性化、フォトクロミズム、光
イオン化、発光、非線形効果、光電気化学効果等の変化
を示すものをいい、一般に分子内に芳香環を有するもの
が、光エネルギーの吸収が大きく、光安定性に優れるた
めに、好ましい。具体的には、フタロシアニン、ポルフ
ィリン、アゾベンゼン、スチルベン、トリス(ビピリジ
ル)-ロジウムなどが挙げられ、光により電荷輸送性を示
す化合物として、ヒドラゾン化合物、トリアリールアミ
ン化合物などの正孔輸送性化合物、フルオレン、アント
ラセン、ジフェノキノンなどの電子輸送性化合物も含ま
れる。これら正孔輸送性化合物から誘導される基は正孔
輸送能を有する有機基となり、電子輸送性化合物から誘
導される基は電子輸送能を有する有機基となる。
【0016】前駆体となる正孔輸送性化合物は、正孔輸
送能を有するものであれば、いかなる構造のものでもよ
く、例えば、トリフェニルアミンやテトラフェニルベン
ジジンなどの複数の芳香族基を有する芳香族置換3級ア
ミンが好ましく、さらに、共役した2つ以上の芳香環を
有するものが光安定性に優れ、好ましい。また、イオン
化ポテンシャルが4.5eV未満では光機能性有機けい素化
合物が容易に酸化されるため劣化しやすく、また6.2eV
を超えると電荷発生層からの正孔注入が起こりにくく感
度の低下を招くためイオン化ポテンシャルが4.5eV〜6.2
eVの範囲にあるものが好ましい。また、上記芳香族置換
3級アミンの芳香環のどの位置に加水分解性基を有する
ケイ素含有部位を導入するかは特に限定されず、また、
全ての芳香環に加水分解性基を有するケイ素含有部位が
結合していることは必ずしも必要ではない。前駆体とな
る正孔輸送性化合物の基本骨格の具体例を以下に示す
が、これに限るものではない。
【0017】
【化6】
【0018】
【化7】
【0019】
【化8】
【0020】正孔輸送能を有する有機基Xとしては、正
孔輸送能に優れる点で、下記一般式(II)で表されるもの
が、好ましい。
【0021】
【化9】
【0022】一般式(II)中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立
に置換又は未置換のアリール基を表し、Ar5 は置換若し
くは未置換のアリーレン基を表し、かつ、Ar1 〜Ar5
うち1〜4個は加水分解性基を有するケイ素含有部位を
有する。また、k は1または0の整数を表す。また、光
酸化に対する安定性の点で、Ar1 〜Ar5 のうち少なくと
も1つは、共役した2つ以上の芳香族を有するものが好
ましい。Ar1 〜Ar5 の好適な具体的としては、以下のも
のが挙げられる。
【0023】
【化10】
【0024】上記構造式中、R8, R9は水素原子、メチル
基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメト
キシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、
フェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは
未置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置
換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子を表す。tは0、1、または
2を表し、uは0または1を表す。sは加水分解性基を
有するケイ素含有部位を表し、mは0または1を表す。
また、zは以下のものから選択される。
【0025】
【化11】
【0026】上記構造式中、R13,R14 は水素原子、メチ
ル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメ
トキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ
基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、ビフ
ェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換のアリール
基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換
のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロ
ゲン原子を表す。c,dは1〜10の整数を表し、t'''は
0、1、または2を表し、wは以下の基から選択される
2価の基を表す。
【0027】
【化12】
【0028】上記構造式中、eは0〜3の整数を表す。
【0029】Ar5 としては、さらに以下のものが挙げら
れる。
【0030】
【化13】
【0031】上記構造式中、R11 , R12 は水素原子、メ
チル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基または
メトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ
基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フェ
ニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置
き換えのアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置
換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、
臭素原子等のハロゲン原子を表し、t''は0、1または
2を表す。sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を
表し、mは0または1を表す。
【0032】Ar5 は以下のものがより好ましい。
【0033】
【化14】
【0034】上記構造式中、 R15,R16,R17は水素原子、
メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基また
はメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキ
シ基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フ
ェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未
置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換
若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭
素原子等のハロゲン原子を表す。vは0、1、または2
を表す。sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を表
し、mは0または1を表す。
【0035】前記一般式(II)で表される正孔輸送能を有
する有機基の中でも、下記一般式(II-1)で表される基が
特に好ましい。
【0036】
【化15】
【0037】一般式(II-1)中、sは加水分解性基を有す
るケイ素含有部位を表す。
【0038】前駆体となる電子輸送性化合物は、電子輸
送能を有するものであれば、いかなる構造のものでもよ
く、例えば、フルオレノン、アントラキノン、ジフェノ
キノン等が挙げられる。電子輸送能を有する有機基Xと
しては、電子輸送能に優れる点で、下記一般式(A-1) 〜
(A-8) で表されるものが好ましい。
【0039】
【化16】
【0040】上記構造式中、R18,R19 は水素、メチル
基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメト
キシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、
塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シア
ノ基を表し、Z1,Z2 はそれぞれ独立に=O, =C(CN)2, =C
(CO2R6)2, =N-CN, =N-Ar6を表し、R6はメチル基、エチ
ル基等の炭素数1〜10のアルキル基、キシリル基、ナフ
チル基等の炭素数1〜10の置換あるいは未置換のアリー
ル基を表す。f, gはそれぞれ独立に0,1, 2あるいは
3を意味し、Bは下記構造(B-1) 〜(B-3) を表す。ここ
で、Z1は上記と同義であり、Ar6 はフェニル基、トリル
基、ビフェニル基等の置換あるいは未置換のアリール基
を表す。
【0041】
【化17】
【0042】このうち、特に下記一般式(III-1) または
(III-2) で表されるものが電荷輸送能に優れ、好まし
い。
【0043】
【化18】
【0044】一般式(III-1) または(III-2) 中、R2〜R5
は水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基を表し、Z1,Z2
はそれぞれ独立に=O , =C(CN)2,=C(CO2R6) , =N-CN ,
=N-Ar6を表す。R6はメチル基、エチル基等の炭素数1〜
10のアルキル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数1
〜10の置換又は未置換のアリール基を表し、o〜rはそ
れぞれ独立に0、1、または2を表す。Ar6 はフェニル
基、トリル基、ビフェニル基等の置換あるいは未置換の
アリール基を表す。
【0045】前記一般式 (I) において、加水分解性基
を有するケイ素含有部位は、-[ (Y) h-COO-(Y1) a'' -Si
-R1 (3-a') Qa' ]で表される構造を有する。
【0046】一般式 (I) 中、R1 は水素、アルキル
基、置換あるいは未置換のアリール基を表す。アルキル
基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基等があげ
られるが、ポリシロキサン成分との相溶性の点で、メチ
ル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、ビ
フェニル基等が挙げられるが、合成の容易性の点で、フ
ェニル基が好ましい。また、置換基としては、メチル
基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ
基などのアルコキシ基等が挙げられる。
【0047】一般式 (I) 中、Qは加水分解性基を表
す。加水分解性基は加水分解によりSi−O結合を形成で
きるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸基、ア
ルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルア
ミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、-Cl 等が挙げ
られるが、Qが-OR7で示され、R7を炭素数3以上のアル
キル基、炭素数1〜4のトリアルキルシリル基とするこ
とで合成中の不必要な加水分解が押さえられるため好ま
しく、特に、R7がイソプロピル基のような炭素数3以上
の分岐したアルキル基とすることが、工業的にも安価で
あることからより好ましい。また、加水分解性基Qの数
を表すa’は1〜3の整数であるが、得られる硬化膜の
強度の点で3が好ましい
【0048】一般式 (I) 中、Y1 は2価の基を表す。
2価の基であれば、特に、制限はなく、具体的には、以
下のものが挙げられる。
【0049】
【化19】
【0050】上記構造式中、 R10は水素原子、メチル
基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメト
キシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、
炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フェニル
基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換の
アリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しく
は未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子
等のハロゲン原子を表す。t’は0、1または2、xは
1〜15の整数、x’,x''は2〜15の整数、y,y’は
0〜15の整数を表す。例示したY1 の中でも、特に、以
下のものが好ましく、−(CH2 x −のxは3が好ま
しい。
【0051】
【化20】
【0052】また、一般式 (I) 中、Y1 の数を表す
a''は0または1である。すなわち、アルコキシシリル
基とエステル基との間には、連結基があってもよく、ま
た、エステル基がアルコキシシリル基に直接結合してい
ても良い。
【0053】一般式 (I) 中、Yは2価の基を表す。具
体的には、−(CH2) a''' −、−O−(CH2) a'''
−、−(OCH2 CH2) i−、−(CH2) j−O−(C
2) k−を表す。a'''、i、j、kはそれぞれ、0〜1
0の整数を表す。このうち、特に−(CH2) a''' −が
好ましく、さらに、a'''が0〜5のものが原料の入手
性、精製の容易性の点で好ましい。また、Yの数を表す
hは0または1である。すなわち、光機能性化合物から
誘導される有機基Xとエステル基との間には、連結基が
あってもよく、また、エステル基が有機基Xに直接結合
していても良い。
【0054】一般式(II)の正孔輸送能を有する有機基X
を有する光機能性有機けい素化合物の具体例を表1〜表
8に、一般式(III-1) の電子輸送能を有する有機基Xを
有する光機能性有機けい素化合物の具体例を表9、表10
に、一般式(III-2) の電子輸送能を有する有機基Xを有
する光機能性有機けい素化合物の具体例を表11、表12に
示す。
【0055】
【表1】
【0056】
【表2】
【0057】
【表3】
【0058】
【表4】
【0059】
【表5】
【0060】
【表6】
【0061】
【表7】
【0062】
【表8】
【0063】
【表9】
【0064】
【表10】
【0065】
【表11】
【0066】
【表12】
【0067】
【表13】
【0068】本発明の光機能性有機けい素化合物の製造
方法としては、 (A) 非プロトン性の有機溶剤中でのエ
ステル化反応による製造方法と (B) ヒドロシリル化反
応による製造方法とがある。
【0069】(A) 非プロトン性の有機溶剤中でのエス
テル化反応による製造方法 この製造方法は、下記一般式 (IV) 、 (V) で表される
化合物を非プロトン性の有機溶剤中でエステル化反応さ
せることによる製造方法である。この方法は、一般式
(I) で表される光機能性有機けい素化合物がどのよう
な構造であっても制約なく使用することができ、製造工
程が少ないというメリットがある。
【0070】
【化21】
【0071】一般式 (IV) 及び (V) 中、X、R1
Q、a' 、a''、Y、Y1 、b、hは一般式 (I) と同
義である。Z3 は塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等の
ハロゲン原子を表す。
【0072】具体的には、光機能性化合物から誘導され
るカルボン酸成分 (IV) のカルボキシル基に対し、ハロ
ゲン基を有するシラン化合物 (V) 1〜5等量、好まし
くは1〜3等量を使用し、非プロトン性の有機溶剤中で
カルボン酸成分 (IV) とシラン化合物 (V) とを塩基存
在下にエステル化反応させて、一般式 (I) で表される
光機能性有機けい素化合物を得ることができる。
【0073】塩基としては、ピリジン、ピペリジン、ト
リエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチル
アミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等
を用いる事ができる。この中でも、生成物の分解を加速
しない点で、炭酸塩が好ましい。塩基は、カルボン酸に
対し、1〜3等量、好ましくは1〜2等量使用される。
【0074】非プロトン性の有機溶剤としては、N-メチ
ルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホ
ルムアミド等の極性非プロトン性溶媒が好ましい。非プ
ロトン性の有機溶媒は、カルボン酸誘導体に対し1〜50
重量部、好ましくは1.5 〜30重量部用いられる。
【0075】反応温度は、0 ℃から溶剤の沸点までの温
度間で任意に設定できるが、シラン化合物の安定性を考
慮すれば、0 ℃〜150 ℃が好ましい。
【0076】反応混合物には、副生成物として、反応中
間体や生成物の縮合物等が含まれる。これらはカラムク
ロマトグラフィーや再結晶により除く事ができる。ま
た、精製中の分解を避けるためには、脱水溶剤を用いる
こと、さらに、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロラ
イド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなど
のアンモニウム塩や15−クラウン−5、18−クラウ
ン−6などのクラウンエーテル類などの相間移動触媒を
加えても良い。これらは、任意の量で使用できるが、カ
ルボン酸成分(IV)1重量部に対して、0.00001
〜1重量部、好ましくは、0.0001〜0.1重量部
で使用される。
【0077】(B) ヒドロシリル化反応による製造方法 この製造方法は、下記一般式(VI)で示される化合物と下
記一般式(VII)で示される化合物とを、ヒドロシリル化
触媒の存在下で反応させることによる製造方法である。
【0078】
【化22】
【0079】一般式(VI)及び(VII)中、X、R1 、Q、
a' 、Y、b、hは一般式 (I) と同義である。Y
2 は、2価の連結基である。Y2 としては、アルキレ
ン、フェニレンが挙げられるが、反応性、入手し易さの
点で、メチレン、エチレンが好ましい。
【0080】具体的には、前記この方法によれば、一般
式(VI)で示される化合物を原料として使用することによ
り、位置異性体や不飽和脂肪族基の還元等の副反応をほ
とんど生じず、高純度、高収率で目的物を製造可能であ
る。
【0081】一般式(VI)で示される化合物は、一般式(I
V)で示されるカルボン酸のアリルアルコールによるエス
テル化、あるいは、下記一般式(VIII)で示される化合物
のアリルアルコールによるエステル交換反応など、公知
の方法により合成することができる。
【0082】
【化23】
【0083】一般式(VIII)中、Rはメチル基、エチル基
などの低級アルキル基を表す。b、hは一般式 (I) と
同義である。
【0084】ヒドロシリル化触媒としては、白金カルボ
ニル鎖体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン鎖
体、塩化白金酸、塩化白金などや、白金類を担体に担持
させた白金/炭素、白金/シリカゲル、白金/高分子等
などの白金化合物、RhCl(PPh 3)3 、IrCl(CO)(PPh3)3
Co2(CO)8や、或いは有機過酸化物等の公知の触媒が用い
られる。触媒反応原料となる化合物に応じて適宜選択さ
れるが、反応選択性の点で、白金系の触媒が好ましい。
触媒の量は、一般式(VI)で示される化合物1重量部に対
して、0.2 〜0.000001重量部の範囲が好ましく、反応速
度、反応後の触媒の除去のしやすさから0.1 〜0.00001
重量部が好ましい。
【0085】ヒドロシリル化反応の際、反応性の均一を
保つために、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラ
ン、ジオキサン、塩化メチレン、四塩化炭素などの溶剤
を使用することができる。溶剤を使用する場合には、一
般式(VI)で示される化合物1重量部に対して、0.2 〜10
0 重量部の範囲が好ましく、反応後の処理などの点から
0.5 〜50重量部が好ましい。
【0086】前記一般式(VII) で示される化合物は前記
一般式(VI)で示される化合物のアリルアルコール末端基
に対し1〜100 当量、好ましくは1〜10当量で使用さ
れ、1〜5当量で使用することが還元反応を押さえる上
で好ましい。
【0087】ヒドロシリル化の反応温度は、用いる白金
触媒の種類、量、反応基質、反応条件によって異なるた
め特定できないが、白金触媒の分解温度以下で、室温以
上200 ℃以下の温度であるのが効率の点から好ましく、
熱に対する脂肪族不飽和基の安定性を考慮すると、100
℃以下であるのが更に好ましい。
【0088】ヒドロシリル化反応において、有機過酸化
物を触媒とする場合、室温以上に半減期を有するもので
あれば特に限定されるものではなく、一般にラジカル重
合の開始剤として用いられる有機過酸化物が好適に使用
され、ラウリルパーオキシド、ブチルパーオキシド、ベ
ンゾイルパーオキシド等が例示される。
【0089】反応に使用した触媒などは、有機半導体の
分野で一般によく知られているように、電荷輸送性材料
中に残存した場合、電荷トラップを形成しやすいため、
できる限り除去することが好ましく、10ppm 以下にする
ことがより好ましい。この際、特開平8-319353号、9-12
4942号などに公開されたような吸着剤により処理する
か、水洗により除去することができる。吸着剤として
は、活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土な
どが使用でき、一般式 (I) で示される化合物を溶解し
た溶液中に吸着剤を添加して吸着させた後に濾別する
か、これら吸着剤をカラム充填材としてカラム分離操作
を施してもよい。吸着操作の際、光機能性有機けい素化
合物の溶液濃度は50重量%以下であるのが好ましいが、
光機能性有機けい素化合物の種類によって溶液粘度が異
なるため一概に特定化できない。
【0090】以上の通り、本発明の光機能性有機けい素
化合物は、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、
エーテル、THFなどのエーテル系溶剤、酢酸エチルな
どのエステル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルムなど
のハロゲン系溶剤や、テトラメトキシシラン、メチルト
リメトキシシランなどのシリコン系化合物に溶解しやす
い特徴を有し薄膜化が容易で、加水分解性基を有するケ
イ素含有部位が、加水分解により3次元の無機ガラス質
ネットワークを形成することにより、強固な膜を得るこ
とができ、光機能性化合物から誘導される有機基を、無
機ガラス質ネットワーク中に取込み、いわゆる、有機−
無機ハイブリッド構造を形成することができる。また、
特に、本発明の光機能性有機けい素化合物をヒドロシリ
ル化反応により合成する場合には、エステル基の電子吸
引効果により、反応率、および反応の位置選択性を高め
ることができ、高収率で目的とする化合物を得ることが
可能となる。
【0091】
【実施例】以下実施例により本発明を詳しく説明する。 実施例1(化合物(12)の合成) 200ml の二口フラスコに下記構造式で示されるカルボン
酸(1)10.1gと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン
4.6gをジメチルホルムアミド50mlを加え、窒素雰囲気下
100 ℃に加熱しながら((クロロメチル)フェネチル)ト
リメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)7.6gを加
え、100 ℃で4時間撹拌した。その後、トルエン500ml
を加え、蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸
ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。シリカゲ
ルカラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/塩化メ
チレン)により精製し、化合物(12)7.1gを得た(収率4
4.8%、淡黄色油状物質)。化合物(12)のIRスペクト
ルを図1に示す。
【0092】
【化24】
【0093】実施例2(化合物(52)の合成) 200mlのナス型フラスコに下記構造式で示されるカルボ
ン酸(2)14.3gと1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセ
ン7.3gをジメチルホルムアミド50mlを加え、窒素雰囲気
下100 ℃に加熱しながら((クロロメチル)フェニルエチ
ル)トリメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)12.
4g を加え、100 ℃で6時間撹拌した。その後、トルエ
ン500ml 及び蒸留水300ml を加え、析出した不溶分をセ
ライトを通しろ別した。有機層を蒸留水で十分に洗浄し
た後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶
媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー
(溶剤 :トルエン/塩化メチレン)により精製し、化合
物(52)12.1g を得た(収率50.9%、淡黄色油状物質)。
化合物(52)のIRスペクトルを図2に示す。
【0094】
【化25】
【0095】実施例3(化合物(11)の合成1) 300ml の二口フラスコに上記構造式で示されるカルボン
酸(1)10.0g、アリルアルコール10.0g 、トルエン100ml
、濃硫酸1ml を加え、窒素雰囲気下で15時間加熱還流
した。その後、200ml の蒸留水に注ぎ、蒸留水で十分に
洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減
圧下溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフ
ィー(溶剤 :トルエン)により精製し、更に再結晶法に
より精製し下記構造式で示されるビニル基含有エステル
(1)9.8g を得た。(融点107 〜109℃、白色結晶、ビニ
ル基含有エステル(1) のIRスペクトルを図3に示
す。) 200ml の二口フラスコにビニル基含有エステル(1)3.0g
とトリメトキシシラン3.0gを取り、窒素雰囲気下で撹拌
しながらH2PtCl66H2O (1%イソプロパノール溶液)を
0.1ml 滴下したところ、反応の進行とともに原料が溶解
した。そのまま3時間撹拌した後トルエン50mlを加え蒸
留水100ml に注ぎ洗浄をした。有機層を無水硫酸ナトリ
ウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/酢酸エチル)に
より精製し、化合物(11)3.1gを得た(収率81.5%、淡黄
色油状物質)。化合物(11)のIRスペクトルを図4に示
す。
【0096】
【化26】
【0097】実施例4( 化合物(11)の合成2) N-(3,4- ジメチルフェニル)-N-[4-(2-メトキシカルボニ
ルエチル) フェニル]アミン 8.4g 、アリルアルコール
3.0g、トルエン40ml、濃硫酸0.1gを100ml のフラスコに
入れ、窒素ガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温ま
で冷却した後、希炭酸カリウム水溶液、ついで水で十分
に洗浄し、有機相を活性白土を通してろ過した。これを
濃縮し、酢酸エチル/メタノールから再結晶し、N-(3,4
- ジメチルフェニル)-N-[4-(2-アリルオキシエチル) フ
ェニル] アミン 8.7g を得た(融点107 〜109 ℃)。得
られたN-(3,4- ジメチルフェニル)-N-[4-(2-アリルオキ
シエチル) フェニル] アミン 1.0g 、トリメトキシシラ
ン3.0gに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコン
プレックスを1滴加え、窒素雰囲気下、室温で1.5 時間
反応させた。反応後、十分に水洗した後、トルエン−ヘ
キサンの混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーに
より精製し、実施例3と同じ化合物(11)0.7g得た(収率
55.3%、無色油状物)。化合物(11)のNMRスペクトル
を図5に示す。
【0098】実施例5(化合物(13)の合成1) 実施例3で得られたビニル基含有エステル(1) 5.5g、ト
リクロロシラン2gを四塩化炭素5ml に溶解し、これに白
金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックス
を一滴加え、窒素雰囲気下、室温で48時間反応させ、こ
れにイソプロパノール4g、ピリジン3.8gをトルエン30ml
に溶解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩をろ過し
た後、ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(溶剤
:トルエン/ヘキサン)により精製し、イソプロパノー
ル/メタノールから再結晶して、化合物(13)4.4gを得
た。(収率55.3%、融点64〜64.5℃、白色結晶、化
合物(13)のIRスペクトルを図6に示す。)
【0099】実施例6(化合物(13)の合成2) 実施例4で得られたN-(3,4- ジメチルフェニル)-N-[4-
(2-アリルオキシエチル) フェニル] アミン 5.5g 、ト
リイソプロポキシシラン3.7gを四塩化炭素20mlに溶解
し、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコ
ンプレックスを1滴加え、窒素雰囲気下、室温で48時間
反応させた。反応後、十分に水洗した後、トルエン−ヘ
キサンの混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーに
より精製し、イソプロピルアルコール−メタノールから
再結晶して、実施例5と同じ化合物(13)を7.0g得た(収
率88.0%、融点64〜65℃)。化合物(13)のNMRスペク
トルを図7に示す。
【0100】実施例7(化合物(68)の合成1) 二口フラスコに上記構造式で示されるカルボン酸(2)20.
0g、アリルアルコール20.0g 、トルエン70ml、濃硫酸0.
1gを200ml のフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で5時
間加熱還流した。室温まで冷却した後、希炭酸カリウム
水溶液、ついで水で十分に洗浄し、有機相を活性白土を
通してろ過した。これを濃縮し、下記構造式で示される
ビニル基含有エステル(2)21.5gを得た(無色油状物)。
ビニル基含有エステル(2) のIRスペクトルを図8に示
す。得られたビニル基含有エステル(2)5.7g 、トリクロ
ロシシラン3.0gを四塩化炭素20mlに溶解し、これに白金
−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを
3滴加え、窒素雰囲気下、室温で100時間反応させた。
反応後、イソプロパノール5.5g、ピリジン5.8gをトルエ
ン30mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩を
ろ過した後、ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー
(トルエン/ヘキサン)により精製し、化合物(68)を6.
3gを得た(収率72.7%、無色油状物)。化合物(68)のI
Rスペクトルを図9に示す。
【0101】
【化27】
【0102】実施例8(化合物(68)の合成2) 3,3'- ジメチル-N,N'-ビス(3,4- ジメチルフェニル)-N,
N'- ビス[4-(2-メトキシカルボニルエチル) フェニル]-
[1,1'-ビフェニル]-4,4'- ジアミン10.0g 、アリルアル
コール10.0g 、トルエン40ml、濃硫酸0.1gを100ml のフ
ラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で5時間加熱還流し
た。室温まで冷却した後、希炭酸カリウム水溶液、つい
で水で十分に洗浄し、有機相を活性白土を通してろ過し
た。これを濃縮し、3,3'- ジメチル-N,N'-ビス(3,4- ジ
メチルフェニル)-N,N'- ビス[4-(2-アリルオキシカルボ
ニルエチル) フェニル]-[1,1'-ビフェニル]-4,4'- ジア
ミン10.5gを得た(無色油状物)。得られた3,3'- ジメ
チル-N,N'-ビス(3,4- ジメチルフェニル)-N,N'- ビス[4
-(2-アリルオキシカルボニルエチル) フェニル]-[1,1'-
ビフェニル]-4,4'- ジアミン5.4g、トリクロロシシラン
2.7gを四塩化炭素20mlに溶解し、これに白金−ジビニル
テトラメチルジシロキサンコンプレックスを3滴加え、
窒素雰囲気下、室温で120 時間反応させた。反応後、イ
ソプロパノール5.0g、ピリジン5.5gをトルエン30mlに溶
解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩をろ過した
後、ろ液を濃縮し、トルエン−ヘキサンの混合溶媒を用
いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、実施例7
と同じ化合物(68)を6.1g得た(収率74.5%、無色油状
物)。化合物(68)のNMRスペクトルを図10に示す。
【0103】実施例9(化合物(83)の合成) 9-フルオレノン-4- カルボン酸9.0g、乾燥したN,N-ジメ
チルホルムアミド50ml、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-
ウンデセン7.3gを100ml のフラスコにいれ、窒素雰囲気
下で100 ℃に加温した。ついで、クロロメチルフェネチ
ルトリメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)12.4
g をゆっくり加え、そのまま、6時間撹拌した。室温ま
で冷却後、塩化メチレン300ml を加え、十分水洗した。
塩化メチレンを留去したのち、シリカゲルカラムクロマ
トグラフィー(塩化メチレン/酢酸エチル)により精製
し、化合物(83)を8.1g得た(収率43.6%、淡黄色油状
物)。化合物(83)のIRスペクトルを図11に示す。
【0104】比較例1 下記構造の化合物を1.0g、トリメトキシシラン0.6g、ト
ルエン5ml を50mlのフラスコに入れ、これに白金−ジビ
ニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを1滴加
え、窒素雰囲気下、70℃で3.5 時間反応させた。反応生
成物は、薄層クロマトグラフィーで確認したところ複数
であった。NMRスペクトルを測定したところ、α−付
加体、β−付加体に加え、還元体と思われるものが約1:
1:1 で混合したものであった。目的物の収率は約30%で
ある。反応生成物のNMRスペクトルを図12に示す。
【0105】
【化28】
【0106】実施例10(化合物(68)の合成3) 1000mlのセパラブルフラスコに上記構造式で示されるカ
ルボン酸(2)30.0g、3-ヨードプロピルトリイソプロポキ
シシラン31.3g 、無水DMF500ml 、炭酸カリウム23.1
g を入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応し
た。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトル
エンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムク
ロマトグラフィー(トルエン)により精製し、化合物(6
8)を42.8g 得た(収率84.6%、無色油状物)。IRスペ
クトルは、図9と同様であった。
【0107】実施例11(化合物(68)の合成4) 1000mlのセパラブルフラスコに上記構造式で示されるカ
ルボン酸(2)25.0g、3-クロロプロピルトリイソプロポキ
シシラン29.0g 、無水DMF500ml、炭酸カリウム11.0g 、
ヨウ化カリウム20.0g 、18−クラウン−6−エーテル0.
18g を入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応
した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をト
ルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラム
クロマトグラフィー(トルエン)により精製し、化合物
(68)を33.3g 得た(収率79.0%、無色油状物)。IRス
ペクトルは、図9と同様であった。
【0108】実施例12(化合物(82)の合成) 200ml のフラスコに9-フルオレノン -4-カルボン酸20.0
g 、トルエン100ml 、アリルアルコール20.0g 、濃硫酸
1mlを加え、窒素雰囲気下で40時間加熱還流した。その
後、200ml の蒸留水に注ぎ、蒸留水で十分に洗浄した
後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、活性白土10
g を加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、
ろ過し、トルエンを減圧下除去し、下記構造式で示され
るビニル基含有エステル(3)19.5gを得た(淡黄色結晶、
融点88.5〜90℃)。IRスペクトルを図13に示す。200m
l の二口フラスコに得られたビニル基含有エステル(3)
5.0g とトリイソプロポキシシラン5.9gを取り、トルエ
ン50mlに溶解し、窒素雰囲気下で攪拌しながら白金−ジ
ビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを0.1m
l 加え、そのまま室温で24時間攪拌した。反応終了後、
トルエン50mlを加え蒸留水で十分に洗浄し、有機層を無
水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を除去し、シリ
カゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)に
より精製し、化合物(82)5.0gを得た(収率56.0%、淡黄
色油状物質)。IRスペクトルを図14に示す。
【0109】
【化29】
【0110】実施例13(化合物(89)の合成1) 100ml
のフラスコに化合物(82)3.1g、マロンニトリル0.9g、メ
タノール20ml、ピペリジン0.05mlを加え、窒素雰囲気下
で10時間加熱還流した。その後、200ml の蒸留水に注
ぎ、トルエンで抽出し、蒸留水で十分に洗浄した後、有
機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラム
クロマトグラフィー(溶剤:トルエン)により精製し
た。更にイソプロパノール/メタノールから再結晶して
化合物(89)2.3gを得た(収率68.2%、淡燈色結晶、融点
81〜82℃)。IRスペクトルを図15に示す。
【0111】実施例14(化合物(89)の合成2) 100ml
のフラスコに9-フルオレニリデンマロンニトリル -4-カ
ルボン酸3.2g、乾燥したN 、N-ジメチルホルムアミド30
ml、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン1.8g、3-
ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン4.8gを加え、
窒素雰囲気下で2時間加熱還流した。室温まで冷却後、
トルエン50mlを加え、十分水洗いした後、有機層を無水
硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(溶剤:トルエン)により精製した。更にイソ
プロパノール/メタノールから再結晶して化合物(89)3.
8gを得た(収率62.1%、淡燈色結晶、融点81〜82℃)。
IRスペクトルは図15と同様であった。
【0112】実施例15(化合物(106) の合成) 50mlの
フラスコにアントラキノン -2-カルボン酸1.0g、トルエ
ン20ml、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]-7-ウンデセン0.64
g 、3-ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン1.5g加
え、十分水洗した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾
燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:ト
ルエン)により精製し、化合物(106)1.3g を得た(収率
65.8%、淡黄色結晶、融点54〜56℃)。IRスペクトル
を図16に示す。
【0113】実施例16(化合物(34)の合成) 300mlのセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカ
ルボン酸(3)10.0g、3-ヨードプロピルトリイソプロポキ
シシラン16.0g 、無水DMF200ml、炭酸カリウム6.5gを入
れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室
温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに
溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精
製し、化合物(34)を15.3g 得た(収率77.0%、無色油状
物)。IRスペクトルを図17に示す。
【0114】
【化30】
【0115】実施例17(化合物(116) の合成) 300ml のセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカ
ルボン酸(4)10.0g、3-ヨードプロピルトリイソプロポキ
シシラン18.6g 、無水DMF200ml、炭酸カリウム6.9gを入
れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室
温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに
溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精
製し、化合物(116) を12.6g 得た(収率57.6%、無色油
状物)。IRスペクトルを図18に示す。
【0116】
【化31】
【0117】実施例18(化合物(117) の合成) 300ml のセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカ
ルボン酸(5)10.0g、3-ヨードプロピルトリイソプロポキ
シシラン9.2g、無水DMF200ml、炭酸カリウム4.0gを入
れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室
温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに
溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマト
グラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精
製し、化合物(117) を12.0g 得た(収率75.0%、無色油
状物)。IRスペクトルを図19に示す。
【0118】
【化32】
【0119】応用例1 アルミニウムパイプを支持体上にジルコニウム化合物
(商品名:オルガチックスZC540,マツモト製薬社製)10
部、シラン化合物(商品名:A1110 、日本ユニカー社
製)1部、イソプロパノール40部、および、ブタノール
20部からなる溶液を浸せきコーティング法にて塗布し、
150 ℃にて10分間加熱乾燥し、0.1 μmの下引き層を形
成した。次いで、電荷発生材料としてヒドロキシガリウ
ムフタロシアニン結晶0.1 部をポリビニルブチラール樹
脂( 商品名 :エスレックBM-S、積水化学社製)0.1 部お
よび酢酸−n−ブチル 6部と混合し、ガラスビーズとと
もにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、
得られた塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬コーティング
法で塗布し、100 ℃において10分間加熱乾燥し、膜厚約
0.2 μmの電荷発生層を形成した。次に構造式化合物
(A)式で示される電荷輸送材料2部と(B)式で示さ
れるで示されるポリカーボネート樹脂3部を、モノクロ
ロベンゼン 20 部に溶解し、得られた塗布液を、下引き
層が形成されたアルミニウム基板上に浸漬コーティング
法で塗布し、120 ℃において1時間加熱乾燥、膜厚20μ
mの電荷輸送層を形成した。次いで、実施例7で得られ
た化合物(68)を0.4 部、シリコンハードコート材料(信
越化学製、X-40-2239 )0.6 部、n−ブチルエーテル3
部と混合した後、得られた塗布液を上記電荷輸送層上に
浸漬コーティング法で塗布し、100 ℃において60分間加
熱乾燥し、膜厚約2μmのオーバーコート層を形成し
た。これをXP−15改造機に装着し、常温常湿(20 ℃、
40%RH)環境下で5000枚の印字耐久テストを実施し、画像
評価を行ったが、5000枚の印字耐久テスト後も良好な画
像が得られ、表面傷の発生も見られなかった。
【0120】
【化33】
【0121】応用例2 化合物(68)を実施例6で得られた化合物(13)に替えた他
は、応用例1と同様にして、電荷輸送層上にオーバーコ
ート層を形成し、応用例1と同じ条件で印字耐久テスト
を実施し、画像評価を行ったが、5000枚の印字耐久テス
ト後も良好な画像が得られ、表面傷の発生も見られなか
った。
【0122】
【発明の効果】本発明により、ポリシロキサン樹脂に溶
解性を有する光機能性有機けい素化合物を高純度、高収
率に合成することができる。この化合物により、硬度、
耐環境性等に優れた低表面エネルギーのポリシロキサン
有機光導電性樹脂が実用化でき、コピー、レーザビーム
プリンタを始めとする電子写真プロセスに使用されるの
みならず、有機エレクトロルミネッセンス素子構成にお
いて必要とされる電荷輸送層にも使用することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 化合物(12)のIRスペクトル図である。
【図2】 化合物(52)のIRスペクトル図である。
【図3】 ビニル基含有エステル(1) のIRスペクトル
図である。
【図4】 化合物(11)のIRスペクトル図である。
【図5】 化合物(11)のNMRスペクトル図である。
【図6】 化合物(13)のIRスペクトル図である。
【図7】 化合物(13)のNMRスペクトル図である。
【図8】 ビニル基含有エステル(2) のIRスペクトル
図である。
【図9】 化合物(68)のIRスペクトル図である。
【図10】 化合物(68)のNMRスペクトル図である。
【図11】 化合物(83)のIRスペクトル図である。
【図12】 比較例の反応生成物のNMRスペクトル図で
ある。
【図13】 ビニル基含有エステル(3) のIRスペクトル
図である。
【図14】 化合物(82)のIRスペクトル図である。
【図15】 化合物(89)のIRスペクトル図である。
【図16】 化合物(106) のIRスペクトル図である。
【図17】 化合物(34)のIRスペクトル図である。
【図18】 化合物(116) のIRスペクトル図である。
【図19】 化合物(117) のIRスペクトル図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 石井 理恵 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内 (72)発明者 関 美枝子 神奈川県南足柄市竹松1600番地 富士ゼロ ックス株式会社内

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式 (I) で表される光機能性有
    機けい素化合物。 一般式 (I) X-[ (Y) h COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a' ] b (式中、Xは光機能性化合物から誘導される有機基を表
    し、R1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のア
    リール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Y及びY1
    は2価の基を表す。a’は1〜3の整数を表し、hは0
    または1を表し、a''は1または0の整数を表す。ま
    た、bは1〜4の整数を表す。)
  2. 【請求項2】 前記一般式 (I) において、前記Yで表
    される基が、 −(CH 2)a'''− (ただし、a'''は0〜10の整数を表す。)であること
    を特徴とする請求項1に記載の光機能性有機けい素化合
    物。
  3. 【請求項3】 前記一般式 (I) で表される光機能性有
    機けい素化合物において、光機能性化合物から誘導され
    る有機基Xが、電荷輸送能を有する基であることを特徴
    とする請求項1または2に記載の光機能性有機けい素化
    合物。
  4. 【請求項4】 前記一般式 (I) で表される光機能性有
    機けい素化合物において、光機能性化合物から誘導され
    る有機基Xが、正孔輸送能を有する基であることを特徴
    とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光機
    能性有機けい素化合物。
  5. 【請求項5】 前記正孔輸送能を有する基が、下記一般
    式(II)で表される基であることを特徴とする請求項4に
    記載の光機能性有機けい素化合物。 【化1】 (式中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立に置換又は未置換の
    アリール基を表し、Ar5は置換若しくは未置換のアリー
    ル基又はアリーレン基を表し、且つAr1 〜Ar5 のうち1
    〜4個は、-(Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a'
    表される基を置換基として有する。k は1または0の整
    数を表す。)
  6. 【請求項6】 前記正孔輸送能を有する基が、下記一般
    式(II-1)で表される基であることを特徴とする請求項5
    に記載の光機能性有機けい素化合物。 【化2】 (式中、sは、-(Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q
    a'で表される基を表す。)
  7. 【請求項7】 前記一般式 (I) で表される光機能性有
    機けい素化合物において、光機能性化合物から誘導され
    る有機基Xが、電子輸送能を有する基であることを特徴
    とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の光機
    能性有機けい素化合物。
  8. 【請求項8】 前記電子輸送能を有する基が、下記一般
    式(III-1)または(III-2)で表される基であることを特
    徴とする請求項7に記載の光機能性有機けい素化合物。 【化3】 (式中、R2 〜R5 は水素、ハロゲン、ニトロ基、シア
    ノ基を表し、Z1,Z2 はそれぞれ独立に =O , =C(C
    N)2 , =C(CO2R6) , =N-CN , =N-Ar6を表す。R6 は炭素
    数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換又は未置換
    のアリール基を表し、Ar6 はフェニル基、トリル基、ビ
    フェニル基等の置換あるいは未置換のアリール基を表
    す。o〜rはそれぞれ独立に0、1または2を表す。)
  9. 【請求項9】 前記一般式 (I) で表される光機能性有
    機けい素化合物において、前記Y1 で表される基が、-
    (CH2)3-であることを特徴とする請求項1から8までの
    いずれか1項に記載の光機能性有機けい素化合物。
  10. 【請求項10】 前記一般式 (I) で表される光機能性
    有機けい素化合物において、Qが、-OR7で表される加水
    分解性基であることを特徴とする請求項1から9までの
    いずれか1項に記載の光機能性有機けい素化合物。
  11. 【請求項11】 前記加水分解性基-OR7において、R
    7が、炭素数3〜10の分岐したアルキル基であることを
    特徴とする請求項10に記載の光機能性有機けい素化合
    物。
  12. 【請求項12】 請求項1に記載の光機能性有機けい素
    化合物の製造方法であって、下記一般式(IV)と下記一般
    式(V) で示される化合物を非プロトン性の有機溶剤中で
    反応させることを特徴とする光機能性有機けい素化合物
    の製造方法。 【化4】 (式中、Xは光機能性化合物から誘導される有機基を表
    し、R1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のア
    リール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Z3はハロ
    ゲン基を表し、Y及びY1 は2価の基を表す。a’は1
    〜3の整数を表し、hは0または1を表し、a''は1ま
    たは0の整数を表す。また、bは1〜4の整数を表
    す。)
  13. 【請求項13】 請求項9に記載の光機能性有機けい素
    化合物の製造方法であって、下記一般式(VI)と(VII) で
    示される化合物をヒドロシリル化触媒の存在下で反応さ
    せることを特徴とする光機能性有機けい素化合物の製造
    方法。 【化5】 (式中、Xは光機能性化合物から誘導される有機基を表
    し、R1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のア
    リール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Yは2価の
    基を表し、a' は1〜3の整数を表し、bは1〜4の整
    数を表し、hは0または1を表す。)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2002313577A (ja) * 2001-04-12 2002-10-25 Fuji Xerox Co Ltd 表示デバイス
JP2006022096A (ja) * 2004-07-07 2006-01-26 Xerox Corp ヨードアルキルアルコキシシランの製造方法
EP1860112A1 (en) * 2006-04-11 2007-11-28 Xerox Corporation Method for forming reactive silane esters
JP2014189500A (ja) * 2013-03-26 2014-10-06 Fuji Xerox Co Ltd 電荷輸送性化合物、電子写真感光体、プロセスカートリッジ、画像形成装置及び画像形成方法

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