JP3624719B2 - 光機能性有機けい素化合物およびその製造方法 - Google Patents

光機能性有機けい素化合物およびその製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機電子デバイス、特に電子写真感光体に有用な新規光機能性有機けい素化合物とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、有機光導電性材料を用いた電子写真感光体や、有機エレクトロルミネッセンス素子(有機EL素子)などの有機電子デバイスが、生産性、材料設計の容易さ、安全性などの点から注目され、種々の改良が重ねられて実用化されている。これら有機電子デバイスの安定化、長寿命化の観点から、たとえば、有機エレクトロルミネッセンス素子では、発生するジュール熱により膜のモルホルジー変化を引き起こさない材料が、また、電子写真感光体では、オゾンやNOx などに対する化学的な安定性のみならず、熱や機械力などの物理的なストレスに対して安定な材料が求められている。
【0003】
特に、電子写真感光体では、帯電特性の安定化と長寿命化の要請が大きい。
近年、電子写真感光体は、感度、安定性の面から、電荷発生層と電荷輸送層を分離した、いわゆる機能分離型と呼ばれる構造が考案され実用化されている。この構成の電子写真感光体は、電荷発生物質を適当な樹脂を結着材として結着してなる層と、その上の電荷輸送材をバインダー樹脂中に分散或いは溶解させた層の2層からなっている。電荷輸送層のバインダーとしては、主に、正孔輸送材について検討がなされ、そのバインダーとしてポリカーボネート樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂等の熱可塑性樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂等の熱硬化樹脂が検討されている。この場合、電荷輸送層表面をコロナ帯電あるいは、ローラー帯電により負に帯電させる必要があり、その時発生するオゾンによる樹脂の劣化、感光体表面での放電による電気的な衝撃による磨耗、感度低下、帯電能の低下や、その後のトナー現像、紙への転写、クリーニングなどの際の摩擦等による機械的破壊など、種々の原因により感光体特性が低下することが問題となっている。
【0004】
そこで、電荷輸送層の強度を高めるため、あるいは、表面付着を防ぎ、クリーニング性を向上させるために、ポリシロキサン樹脂を共重合成分或いは他樹脂へブレンドすることが試みられ、たとえば、ポリシロキサン樹脂を含む熱硬化性樹脂を電荷輸送層に使用するもの(特開昭61−238062 号)、ポリシロキサン樹脂を含む保護層を有するもの(特開昭62−108260 号)、熱硬化性ポリシロキサン樹脂にシリカゲル、ウレタン樹脂、フッ素樹脂を分散させ保護層とするもの(特開平4−346356号)、熱可塑性樹脂に熱硬化型ポリシロキサン樹脂を分散させた樹脂を保護層或いは電荷輸送材バインダー樹脂とするもの(特開平4−273252号)などが提案されている。これらは、ポリシロキサン樹脂の透明性、耐絶縁破壊、光安定性に加えて低表面張力等、他の樹脂に見られない特性を利用して感光体の高性能化、寿命の向上、クリーニング性の改善を図るものである。
しかしながら、ポリシロキサン樹脂は、有機化合物との相溶性が極めて悪いため、単独で電荷輸送材料構成樹脂として使用される事はなく、また、共重合或いはブレンドによる電荷輸送材料構成樹脂の改質の為に使用しても、ポリシロキサン樹脂を増量すると相分離を起こしてしまうという問題があった。
【0005】
従って、ポリシロキサン樹脂を、単独で電荷輸送層を構成するバインダーとして用いるためには、ポリシロキサン樹脂に可溶な電荷輸送物質を見いだすことが必要であった。このような電荷輸送物質としては、たとえば、ポリ(ハイドロジェンメチルシロキサン)などのポリシロキサンに不飽和結合を有する電荷輸送剤をヒドロシリル化により直接結合させた樹脂(特開平8−319353号)、ゾルゲル法を用いた薄膜を保護層とするもの(”Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congress on Advances in Non−Impact Printing Technologies, p.57〜59”)、等が提案されている。また、電荷輸送性能を含む光応答性サブユニットと無機ガラス質ネットワークサブユニットを有する化合物(特開平3−191358号)の他、これに類する化合物として、電荷輸送剤に加水分解性基を有するケイ素を直接導入した有機ケイ素変性正孔輸送性化合物(特開平9−190004号)等が提案されている。これらのうちでも、”Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congress on Advances in Non−Impact Printing Technologies, p.57〜59” や特開平3−191358号、特開平9−190004号に開示された電荷輸送物質は、シロキサンが3次元にネットワークを形成することにより強固な膜を形成することができ、機械的な強度が大きく改善されるため、注目されている。
【0006】
しかしながら、”Proceedings of IS&T’s Eleventh International Congress on Advances in Non−Impact Printing Technologies, p.57〜59” には、シロキサンが3次元にネットワークを形成するとの記載があるのみで、使用した化合物の具体的な構造については全く示されていない。
また、特開平9−190004号記載には、電荷輸送物質の製造方法として、有機ケイ素変性正孔輸送性化合物を構成する芳香族基に結合し又は新しく結合させた不飽和脂肪族基と、水素及び加水分解性基をケイ素原子の置換基とするシランとを白金化合物からなる触媒の存在下、ヒドロシリル化反応によって結合させる方法が開示されているが、この反応はケイ素の結合位置の異なる異性体を生じることに加え、不飽和脂肪族基が還元された還元体を与えやすく、特開平9−190004号のスペクトルからも明らかなように、複数の化合物の混合物となりやすい。特に、この還元体は、電荷輸送層を形成した場合、シロキサン結合を形成できず、膜強度の低下を引き起こしてしまう。また、目的物を得るため、カラムクロマトグラフィーなどにより精製を行うと、有機ケイ素変性正孔輸送性化合物の分解、反応などにより、著しい収率の低下を招くといった問題点があった。
このように、特開平9−190004に開示された化合物は、合成、精製が困難であり、工業的スケールでの生産が困難である。このため、機械的強度に優れると同時に、製造が容易な電荷輸送物質が求められていた。
【0007】
また、電子写真感光体の分野においては、電子輸送性材料についても精力的な研究がなされている。例えば、特公昭50−10496号に記載されたトリニトロフルオレノン、特開昭61−143764 号に記載されたジシアノメチレンフルオレノン誘導体、特開昭61−225151 号に記載されたアントラキノン誘導体、特開昭60−222477 号に記載されたチオピラン誘導体、特開平5−279582号、特開平7−233134号、特開平7−258189号などに記載されたフルオレノン誘導体、特開平8−245601号、特開平8−283249号、特開平8−301858号、特開平8−286402号などに記載されたベンゾオキサゾールあるいはベンゾチアゾール誘導体、特開平8−15878 号に記載されたベンゾキノン誘導体、電子写真学会誌 第30巻 第3号 266(1991) に記載されたジフェノキノン誘導体、特開平5−25136 号、特開平5−25174 号、特開平5−117274号、特開平5−125043号、特開平5−132464号などに記載されたイミド化合物誘導体、あるいは、特開昭52−12153号、特開昭52−12154号、Macromolecules ,22, 2266(1989)などに記載された電子輸送性の基をポリマー中に導入した電子輸送性ポリマーなどが公開されている。しかしながら、これらの材料は電子輸送性材料の本質的な欠点である有機溶剤への低溶解性、あるいはバインダーポリマーへの低相溶性の改良に主眼がおかれたものであり、電荷輸送層の強度を向上させることを目的とするものはなかった。
【0008】
また、電子写真感光体には一般に感光層と基体との接着性、感光層の塗工性等の向上、基体表面の保護、基体上の欠陥の被覆、感光層の電気的破壊からの保護、感光層のキャリア注入性向上等のための下引き層あるいは中間層と呼ばれる層を介在させる。正帯電型電子写真感光体の場合には最表面層に電荷発生材料を使用することが一般的で、特に正孔輸送性電荷輸送層上に電荷発生層を形成した構成の正帯電型電子写真感光体の場合には電荷発生層の機械的な強度の低さを補うために表面保護層が形成される。これら下引き層、あるいは正帯電型電子写真感光体の場合の表面保護層には基本的に電子輸送性の材料を用いることが好ましく、たとえば特公昭61−35551号及び、特開昭59−160147 号等に下引き層に電子受容性物質を含有させることが記載されている。
下引き層に電子輸送性の材料を使用する場合、下引き層塗布形成時には塗布溶剤に溶解し、下引き層上にさらに感光層を塗布形成する際には、上層の塗布溶剤に対して不溶性である必要が生じる。しかしながら、前述の材料でこれを達成することは困難で、上層の塗布時に電子輸送性の材料が溶解し、下引き層のはがれ、クラックなどを生じたり、溶出により十分な電子輸送性が保持できない問題があった。
また、表面保護層として使用する場合、電気的な特性を保持するためにはできるだけ薄膜であることが好ましいが、前述の材料をバインダーポリマー中に分散させたものでは十分な強度が得られず、薄膜化できないため、残留電位を生じたり、表面電位がサイクルアップするなどといった問題があった。さらにこれを改良するために、特公平7−86694 号には電子受容性原子あるいは電子吸引性基を有するアルコキシシラン化合物の加水分解生成物を表面保護層に使用することが開示されている。しかしながら、この方法で得られる表面保護層は強度的には優れるものの、電子輸送性が低く、依然として残留電位を生じたり、表面電位がサイクルアップするなどといった問題があった。
【0009】
さらに、上述した光応答性サブユニットと無機ガラス質ネットワークサブユニットを有する化合物を、無機ガラス中に分散させる方法は、一般に有機−無機ハイブリッド、ORMOCER(Organic Modified Ceramics )などと呼ばれ、電子写真感光体のみならず、ガラスの着色、ポリマーレンズや塗装の表面保護、FRP(ファイバー・レインフォースド・プラスチック) やカーボン繊維強化樹脂のためのファイバーとポリマーの接着層、非線形光学材料、フォトクロミック材料、フォトケミカルホールバーニング材料などへの応用も検討されており、今後の展開が期待されている分野であり、この有機−無機ハイブリッド化に使用可能な種々の機能性材料の開発が期待されていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、溶解性、成膜性に優れ、有機−無機ハイブリッド化が可能で、有機感光体や有機EL素子等の種々の有機電子デバイスに応用可能な新規光機能性有機けい素化合物およびその製造方法を提供することである。
また、本発明の他の目的は、工業的スケールでの生産が可能な新規光機能性有機けい素化合物およびその製造方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記問題に鑑み、鋭意検討を行った結果、下記一般式 (I) で表される新規な光機能性有機けい素化合物を用いることで上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成した。
【0012】
一般式 (I)
X-[ (Y) h COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a' ] b
一般式 ( ) において、Xは一般式 (II) で表される基、一般式 (II-1) で表される基、一般式 (III-1 )で表される基、または一般式 (III-1 )で表される基を表す。1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Y及びY1所定の2価の基を表す。a'は1〜3の整数を表し、hは0または1を表し、a''は1または0の整数を表す。また、bは1〜4の整数を表す。
【0013】
本発明の光機能性有機けい素化合物は、光機能性化合物から誘導される有機基Xに連結された加水分解性基を有するケイ素含有部位を有し、ポリシロキサン樹脂に溶解性を有している。また、加水分解性基を有するケイ素含有部位が、加水分解により3次元の無機ガラス質ネットワークを形成し、強固な膜を形成するとともに、光機能性化合物から誘導される有機基Xを、無機ガラス質ネットワーク中に取込み、いわゆる、有機−無機ハイブリッド構造を形成する。
本発明の光機能性有機けい素化合物は、上記の有機基Xと硬化部位であるアルコキシシラン基とを、エステル結合を介して連結した点に大きな特徴がある。有機基Xとシリル基とを、ヘテロ原子に結合した水素原子を持たないエステル結合を介して連結することにより、光機能性有機けい素化合物の吸湿性を低下させ、光機能性材料としての外部環境に対する安定性を高めることができ、合成、精製が可能であるまた、本化合物はエステル化反応により合成することができ、本化合物をエステル化反応により合成する場合には、位置異性体や不飽和脂肪族基の還元等の副反応をほとんど生じず、高純度、高収率で目的物を製造可能である。また、本化合物をヒドロシリル化反応により合成する場合には、エステル基の電子吸引効果により、反応率、および反応の位置選択性を高めることができ、高収率で目的とする化合物を得ることが可能となる。
これにより、溶解性、成膜性に優れ、有機−無機ハイブリッド化が可能で、有機感光体や有機EL素子等の種々の有機電子デバイスに応用可能であり、工業的スケールでの生産が可能な本発明の光機能性有機けい素化合物が得られたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳しく説明する。
本発明の光機能性有機けい素化合物は、前記一般式 (I) で表される構造を有する。この化合物においては、有機基Xに連結された-[ (Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Qa' ]b で表される加水分解性基を有するケイ素含有部位(以下、単に、「加水分解性基を有するケイ素含有部位」という。)が、加水分解により3次元の無機ガラス質ネットワークを形成し、強固な膜を形成するとともに、有機基Xを、無機ガラス質ネットワーク中に取込み、いわゆる、有機−無機ハイブリッド構造を形成する。
【0015】
有機基Xは、光機能性化合物から誘導され、光機能性化合物の光機能を維持している有機基であって、加水分解性基を有するケイ素含有部位と連結可能な結合手を有する有機基をいい、その結合手の数は1から4までのいずれかである。すなわち、前記一般式 (I) において、結合手の数を表すbは1〜4の整数を表す。さらに、bが2以上の場合に、より強固な膜が得られ好ましい。
ここで、光機能性化合物とは、光エネルギーを吸収して物理的、物理化学的変化、例えば、光異性化、フォトクロミズム、光イオン化、発光、非線形効果、光電気化学効果等の変化を示すものをいい、一般に分子内に芳香環を有するものが、光エネルギーの吸収が大きく、光安定性に優れるために、好ましい。
具体的には、フタロシアニン、ポルフィリン、アゾベンゼン、スチルベン、トリス(ビピリジル)-ロジウムなどが挙げられ、光により電荷輸送性を示す化合物として、ヒドラゾン化合物、トリアリールアミン化合物などの正孔輸送性化合物、フルオレン、アントラセン、ジフェノキノンなどの電子輸送性化合物も含まれる。
これら正孔輸送性化合物から誘導される基は正孔輸送能を有する有機基となり、電子輸送性化合物から誘導される基は電子輸送能を有する有機基となる。
【0016】
前駆体となる正孔輸送性化合物は、正孔輸送能を有するものであれば、いかなる構造のものでもよく、例えば、トリフェニルアミンやテトラフェニルベンジジンなどの複数の芳香族基を有する芳香族置換3級アミンが好ましく、さらに、共役した2つ以上の芳香環を有するものが光安定性に優れ、好ましい。
また、イオン化ポテンシャルが4.5eV未満では光機能性有機けい素化合物が容易に酸化されるため劣化しやすく、また6.2eVを超えると電荷発生層からの正孔注入が起こりにくく感度の低下を招くためイオン化ポテンシャルが4.5eV〜6.2eVの範囲にあるものが好ましい。
また、上記芳香族置換3級アミンの芳香環のどの位置に加水分解性基を有するケイ素含有部位を導入するかは特に限定されず、また、全ての芳香環に加水分解性基を有するケイ素含有部位が結合していることは必ずしも必要ではない。
前駆体となる正孔輸送性化合物の基本骨格の具体例を以下に示すが、これに限るものではない。
【0017】
【化6】
Figure 0003624719
【0018】
【化7】
Figure 0003624719
【0019】
【化8】
Figure 0003624719
【0020】
正孔輸送能を有する有機基Xとしては、正孔輸送能に優れる点で、下記一般式(II)で表されるものが、好ましい。
【0021】
【化9】
Figure 0003624719
【0022】
一般式(II)中、Ar〜Arはそれぞれ独立に置換又は未置換のアリール基を表し、Arは置換若しくは未置換のアリーレン基を表し、かつ、Ar〜Arのうち1〜4個は加水分解性基を有するケイ素含有部位を有する。また、k は1または0の整数を表す。また、光酸化に対する安定性の点で、Ar〜Arのうち少なくとも1つは、共役した2つ以上の芳香族を有するものが好ましい。
Ar〜Arの好適な具体的としては、以下のものが挙げられる。
【0023】
【化10】
Figure 0003624719
【0024】
上記構造式中、R, Rは水素原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。tは0、1、または2を表し、uは0または1を表す。
sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を表し、mは0または1を表す。
また、zは以下のものから選択される。
【0025】
【化11】
Figure 0003624719
【0026】
上記構造式中、R13,R14 は水素原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。c,dは1〜10の整数を表し、t’’’は0、1、または2を表し、wは以下の基から選択される2価の基を表す。
【0027】
【化12】
Figure 0003624719
【0028】
上記構造式中、eは0〜3の整数を表す。
【0029】
Arとしては、さらに以下のものが挙げられる。
【0030】
【化13】
Figure 0003624719
【0031】
上記構造式中、R11 12 は水素原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置き換えのアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表し、t’’は0、1または2を表す。sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を表し、mは0または1を表す。
【0032】
Arは以下のものがより好ましい。
【0033】
【化14】
Figure 0003624719
【0034】
上記構造式中、 R15,R16,R17は水素原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。vは0、1、または2を表す。sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を表し、mは0または1を表す。
【0035】
前記一般式(II)で表される正孔輸送能を有する有機基の中でも、下記一般式(II−1)で表される基が特に好ましい。
【0036】
【化15】
Figure 0003624719
【0037】
一般式(II−1)中、sは加水分解性基を有するケイ素含有部位を表す。
【0038】
前駆体となる電子輸送性化合物は、電子輸送能を有するものであれば、いかなる構造のものでもよく、例えば、フルオレノン、アントラキノン、ジフェノキノン等が挙げられる。
電子輸送能を有する有機基Xとしては、電子輸送能に優れる点で、下記一般式(A−1) 〜(A−8) で表されるものが好ましい。
【0039】
【化16】
Figure 0003624719
【0040】
上記構造式中、R18,R19 は水素、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基を表し、Z,Zはそれぞれ独立に=O, =C(CN), =C(CO, =N−CN, =N−Arを表し、Rはメチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数1〜10の置換あるいは未置換のアリール基を表す。f, gはそれぞれ独立に0,1, 2あるいは3を意味し、Bは下記構造(B−1) 〜(B−3) を表す。ここで、Zは上記と同義であり、Arはフェニル基、トリル基、ビフェニル基等の置換あるいは未置換のアリール基を表す。
【0041】
【化17】
Figure 0003624719
【0042】
このうち、特に下記一般式(III−1) または(III−2) で表されるものが電荷輸送能に優れ、好ましい。
【0043】
【化18】
Figure 0003624719
【0044】
一般式(III−1) または(III−2) 中、R〜Rは水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基を表し、Z,Zはそれぞれ独立に=O , =C(CN),=C(CO) , =N−CN , =N−Arを表す。Rはメチル基、エチル基等の炭素数1〜10のアルキル基、キシリル基、ナフチル基等の炭素数1〜10の置換又は未置換のアリール基を表し、o〜rはそれぞれ独立に0、1、または2を表す。Arはフェニル基、トリル基、ビフェニル基等の置換あるいは未置換のアリール基を表す。
【0045】
前記一般式 (I) において、加水分解性基を有するケイ素含有部位は、−[ (Y)−COO−(Ya’’ −Si−R (3−a’)a’ ]で表される構造を有する。
【0046】
一般式 (I) 中、Rは水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表す。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、ヘキシル基等があげられるが、ポリシロキサン成分との相溶性の点で、メチル基が好ましい。アリール基としては、フェニル基、ビフェニル基等が挙げられるが、合成の容易性の点で、フェニル基が好ましい。また、置換基としては、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基等が挙げられる。
【0047】
一般式 (I) 中、Qは加水分解性基を表す。加水分解性基は加水分解によりSi−O結合を形成できるものであれば特に制限はなく、例えば、水酸基、アルコキシ基、メチルエチルケトオキシム基、ジエチルアミノ基、アセトキシ基、プロペノキシ基、−Cl 等が挙げられるが、Qが−ORで示され、Rを炭素数3以上のアルキル基、炭素数1〜4のトリアルキルシリル基とすることで合成中の不必要な加水分解が押さえられるため好ましく、特に、Rがイソプロピル基のような炭素数3以上の分岐したアルキル基とすることが、工業的にも安価であることからより好ましい。
また、加水分解性基Qの数を表すa’は1〜3の整数であるが、得られる硬化膜の強度の点で3が好ましい
【0048】
一般式 (I) 中、Yは2価の基を表す。2価の基であれば、特に、制限はなく、具体的には、以下のものが挙げられる。
【0049】
【化19】
Figure 0003624719
【0050】
上記構造式中、 R10は水素原子、メチル基、エチル基等の炭素数1〜4のアルキル基またはメトキシ基、エトキシ基等の炭素数1〜4のアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキルまたはアルコキシ基、フェニル基、ビフェニル、ナフチル基等の置換若しくは未置換のアリール基、ベンジル基、フェネチル基等の置換若しくは未置換のアラルキル基、または、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子を表す。t’は0、1または2、xは1〜15の整数、x’,x’’は2〜15の整数、y,y’は0〜15の整数を表す。
例示したYの中でも、特に、以下のものが好ましく、−(CH−のxは3が好ましい。
【0051】
【化20】
Figure 0003624719
【0052】
また、一般式 (I) 中、Yの数を表すa’’は0または1である。すなわち、アルコキシシリル基とエステル基との間には、連結基があってもよく、また、エステル基がアルコキシシリル基に直接結合していても良い。
【0053】
一般式 (I) 中、Yは2価の基を表す。具体的には、−(CH a’’’ −、−O−(CH a’’’ −、−(OCHCH−、−(CH−O−(CH−を表す。a’’’、i、j、kはそれぞれ、0〜10の整数を表す。このうち、特に−(CH a’’’ −が好ましく、さらに、a’’’が0〜5のものが原料の入手性、精製の容易性の点で好ましい。
また、Yの数を表すhは0または1である。すなわち、光機能性化合物から誘導される有機基Xとエステル基との間には、連結基があってもよく、また、エステル基が有機基Xに直接結合していても良い。
【0054】
一般式(II)の正孔輸送能を有する有機基Xを有する光機能性有機けい素化合物の具体例を表1〜表8に、一般式(III−1) の電子輸送能を有する有機基Xを有する光機能性有機けい素化合物の具体例を表9、表10に、一般式(III−2) の電子輸送能を有する有機基Xを有する光機能性有機けい素化合物の具体例を表11、表12に示す。
【0055】
【表1】
Figure 0003624719
【0056】
【表2】
Figure 0003624719
【0057】
【表3】
Figure 0003624719
【0058】
【表4】
Figure 0003624719
【0059】
【表5】
Figure 0003624719
【0060】
【表6】
Figure 0003624719
【0061】
【表7】
Figure 0003624719
【0062】
【表8】
Figure 0003624719
【0063】
【表9】
Figure 0003624719
【0064】
【表10】
Figure 0003624719
【0065】
【表11】
Figure 0003624719
【0066】
【表12】
Figure 0003624719
【0067】
【表13】
Figure 0003624719
【0068】
本発明の光機能性有機けい素化合物の製造方法としては、 (A) 非プロトン性の有機溶剤中でのエステル化反応による製造方法と (B) ヒドロシリル化反応による製造方法とがある。
【0069】
(A) 非プロトン性の有機溶剤中でのエステル化反応による製造方法
この製造方法は、下記一般式 (IV) 、 (V) で表される化合物を非プロトン性の有機溶剤中でエステル化反応させることによる製造方法である。この方法は、一般式 (I) で表される光機能性有機けい素化合物がどのような構造であっても制約なく使用することができ、製造工程が少ないというメリットがある。
【0070】
【化21】
Figure 0003624719
【0071】
一般式 (IV) 及び (V) 中、X、R、Q、a’ 、a’’、Y、Y、b、hは一般式 (I) と同義である。Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
【0072】
具体的には、光機能性化合物から誘導されるカルボン酸成分 (IV) のカルボキシル基に対し、ハロゲン基を有するシラン化合物 (V) 1〜5等量、好ましくは1〜3等量を使用し、非プロトン性の有機溶剤中でカルボン酸成分 (IV) とシラン化合物 (V) とを塩基存在下にエステル化反応させて、一般式 (I) で表される光機能性有機けい素化合物を得ることができる。
【0073】
塩基としては、ピリジン、ピペリジン、トリエチルアミン、ジメチルアミノピリジン、トリメチルアミン、DBU、水素化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等を用いる事ができる。この中でも、生成物の分解を加速しない点で、炭酸塩が好ましい。塩基は、カルボン酸に対し、1〜3等量、好ましくは1〜2等量使用される。
【0074】
非プロトン性の有機溶剤としては、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性非プロトン性溶媒が好ましい。
非プロトン性の有機溶媒は、カルボン酸誘導体に対し1〜50重量部、好ましくは1.5 〜30重量部用いられる。
【0075】
反応温度は、0 ℃から溶剤の沸点までの温度間で任意に設定できるが、シラン化合物の安定性を考慮すれば、0 ℃〜150 ℃が好ましい。
【0076】
反応混合物には、副生成物として、反応中間体や生成物の縮合物等が含まれる。これらはカラムクロマトグラフィーや再結晶により除く事ができる。また、精製中の分解を避けるためには、脱水溶剤を用いること、さらに、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロライドなどのアンモニウム塩や15−クラウン−5、18−クラウン−6などのクラウンエーテル類などの相間移動触媒を加えても良い。これらは、任意の量で使用できるが、カルボン酸成分(IV)1重量部に対して、0.00001〜1重量部、好ましくは、0.0001〜0.1重量部で使用される。
【0077】
(B) ヒドロシリル化反応による製造方法
この製造方法は、下記一般式(VI)で示される化合物と下記一般式(VII)で示される化合物とを、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることによる製造方法である。
【0078】
【化22】
Figure 0003624719
【0079】
一般式(VI)及び(VII)中、X、R、Q、a’ 、Y、b、hは一般式 (I) と同義である。Yは、2価の連結基である。Yとしては、アルキレン、フェニレンが挙げられるが、反応性、入手し易さの点で、メチレン、エチレンが好ましい。
【0080】
具体的には、前記この方法によれば、一般式(VI)で示される化合物を原料として使用することにより、位置異性体や不飽和脂肪族基の還元等の副反応をほとんど生じず、高純度、高収率で目的物を製造可能である。
【0081】
一般式(VI)で示される化合物は、一般式(IV)で示されるカルボン酸のアリルアルコールによるエステル化、あるいは、下記一般式(VIII)で示される化合物のアリルアルコールによるエステル交換反応など、公知の方法により合成することができる。
【0082】
【化23】
Figure 0003624719
【0083】
一般式(VIII)中、Rはメチル基、エチル基などの低級アルキル基を表す。b、hは一般式 (I) と同義である。
【0084】
ヒドロシリル化触媒としては、白金カルボニル鎖体、白金−ジビニルテトラメチルジシロキサン鎖体、塩化白金酸、塩化白金などや、白金類を担体に担持させた白金/炭素、白金/シリカゲル、白金/高分子等などの白金化合物、RhCl(PPh、IrCl(CO)(PPh、Co(CO)や、或いは有機過酸化物等の公知の触媒が用いられる。触媒反応原料となる化合物に応じて適宜選択されるが、反応選択性の点で、白金系の触媒が好ましい。
触媒の量は、一般式(VI)で示される化合物1重量部に対して、0.2 〜0.000001重量部の範囲が好ましく、反応速度、反応後の触媒の除去のしやすさから0.1 〜0.00001 重量部が好ましい。
【0085】
ヒドロシリル化反応の際、反応性の均一を保つために、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、塩化メチレン、四塩化炭素などの溶剤を使用することができる。溶剤を使用する場合には、一般式(VI)で示される化合物1重量部に対して、0.2 〜100 重量部の範囲が好ましく、反応後の処理などの点から0.5 〜50重量部が好ましい。
【0086】
前記一般式(VII) で示される化合物は前記一般式(VI)で示される化合物のアリルアルコール末端基に対し1〜100 当量、好ましくは1〜10当量で使用され、1〜5当量で使用することが還元反応を押さえる上で好ましい。
【0087】
ヒドロシリル化の反応温度は、用いる白金触媒の種類、量、反応基質、反応条件によって異なるため特定できないが、白金触媒の分解温度以下で、室温以上200 ℃以下の温度であるのが効率の点から好ましく、熱に対する脂肪族不飽和基の安定性を考慮すると、100 ℃以下であるのが更に好ましい。
【0088】
ヒドロシリル化反応において、有機過酸化物を触媒とする場合、室温以上に半減期を有するものであれば特に限定されるものではなく、一般にラジカル重合の開始剤として用いられる有機過酸化物が好適に使用され、ラウリルパーオキシド、ブチルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド等が例示される。
【0089】
反応に使用した触媒などは、有機半導体の分野で一般によく知られているように、電荷輸送性材料中に残存した場合、電荷トラップを形成しやすいため、できる限り除去することが好ましく、10ppm 以下にすることがより好ましい。この際、特開平8−319353号、9−124942号などに公開されたような吸着剤により処理するか、水洗により除去することができる。吸着剤としては、活性炭、シリカゲル、多孔質アルミナ、活性白土などが使用でき、一般式 (I) で示される化合物を溶解した溶液中に吸着剤を添加して吸着させた後に濾別するか、これら吸着剤をカラム充填材としてカラム分離操作を施してもよい。吸着操作の際、光機能性有機けい素化合物の溶液濃度は50重量%以下であるのが好ましいが、光機能性有機けい素化合物の種類によって溶液粘度が異なるため一概に特定化できない。
【0090】
以上の通り、本発明の光機能性有機けい素化合物は、トルエン、キシレンなどの炭化水素系溶剤、エーテル、THFなどのエーテル系溶剤、酢酸エチルなどのエステル系溶剤、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン系溶剤や、テトラメトキシシラン、メチルトリメトキシシランなどのシリコン系化合物に溶解しやすい特徴を有し薄膜化が容易で、加水分解性基を有するケイ素含有部位が、加水分解により3次元の無機ガラス質ネットワークを形成することにより、強固な膜を得ることができ、光機能性化合物から誘導される有機基を、無機ガラス質ネットワーク中に取込み、いわゆる、有機−無機ハイブリッド構造を形成することができる。
また、特に、本発明の光機能性有機けい素化合物をヒドロシリル化反応により合成する場合には、エステル基の電子吸引効果により、反応率、および反応の位置選択性を高めることができ、高収率で目的とする化合物を得ることが可能となる。
【0091】
【実施例】
以下実施例により本発明を詳しく説明する。
実施例1(化合物(12)の合成)
200ml の二口フラスコに下記構造式で示されるカルボン酸(1)10.1gと1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン4.6gをジメチルホルムアミド50mlを加え、窒素雰囲気下100 ℃に加熱しながら((クロロメチル)フェネチル)トリメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)7.6gを加え、100 ℃で4時間撹拌した。その後、トルエン500ml を加え、蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/塩化メチレン)により精製し、化合物(12)7.1gを得た(収率44.8%、淡黄色油状物質)。化合物(12)のIRスペクトルを図1に示す。
【0092】
【化24】
Figure 0003624719
【0093】
実施例2(化合物(52)の合成)
200mlのナス型フラスコに下記構造式で示されるカルボン酸(2)14.3gと1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン7.3gをジメチルホルムアミド50mlを加え、窒素雰囲気下100 ℃に加熱しながら((クロロメチル)フェニルエチル)トリメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)12.4g を加え、100 ℃で6時間撹拌した。その後、トルエン500ml 及び蒸留水300ml を加え、析出した不溶分をセライトを通しろ別した。有機層を蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/塩化メチレン)により精製し、化合物(52)12.1g を得た(収率50.9%、淡黄色油状物質)。化合物(52)のIRスペクトルを図2に示す。
【0094】
【化25】
Figure 0003624719
【0095】
実施例3(化合物(11)の合成1)
300ml の二口フラスコに上記構造式で示されるカルボン酸(1)10.0g、アリルアルコール10.0g 、トルエン100ml 、濃硫酸1ml を加え、窒素雰囲気下で15時間加熱還流した。その後、200ml の蒸留水に注ぎ、蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去した。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン)により精製し、更に再結晶法により精製し下記構造式で示されるビニル基含有エステル(1)9.8g を得た。(融点107 〜109 ℃、白色結晶、ビニル基含有エステル(1) のIRスペクトルを図3に示す。)
200ml の二口フラスコにビニル基含有エステル(1)3.0g とトリメトキシシラン3.0gを取り、窒素雰囲気下で撹拌しながらHPtCl6HO (1%イソプロパノール溶液)を0.1ml 滴下したところ、反応の進行とともに原料が溶解した。そのまま3時間撹拌した後トルエン50mlを加え蒸留水100ml に注ぎ洗浄をした。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧下溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/酢酸エチル)により精製し、化合物(11)3.1gを得た(収率81.5%、淡黄色油状物質)。化合物(11)のIRスペクトルを図4に示す。
【0096】
【化26】
Figure 0003624719
【0097】
実施例4( 化合物(11)の合成2)
N−(3,4− ジメチルフェニル)−N−[4−(2−メトキシカルボニルエチル) フェニル] アミン 8.4g 、アリルアルコール3.0g、トルエン40ml、濃硫酸0.1gを100ml のフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、希炭酸カリウム水溶液、ついで水で十分に洗浄し、有機相を活性白土を通してろ過した。これを濃縮し、酢酸エチル/メタノールから再結晶し、N−(3,4− ジメチルフェニル)−N−[4−(2−アリルオキシエチル) フェニル] アミン 8.7g を得た(融点107 〜109 ℃)。
得られたN−(3,4− ジメチルフェニル)−N−[4−(2−アリルオキシエチル) フェニル] アミン 1.0g 、トリメトキシシラン3.0gに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを1滴加え、窒素雰囲気下、室温で1.5 時間反応させた。反応後、十分に水洗した後、トルエン−ヘキサンの混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、実施例3と同じ化合物(11)0.7g得た(収率55.3%、無色油状物)。化合物(11)のNMRスペクトルを図5に示す。
【0098】
実施例5(化合物(13)の合成1)
実施例3で得られたビニル基含有エステル(1) 5.5g、トリクロロシラン2gを四塩化炭素5ml に溶解し、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを一滴加え、窒素雰囲気下、室温で48時間反応させ、これにイソプロパノール4g、ピリジン3.8gをトルエン30mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩をろ過した後、ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(溶剤 :トルエン/ヘキサン)により精製し、イソプロパノール/メタノールから再結晶して、化合物(13)4.4gを得た。(収率55.3%、融点64〜64.5℃、白色結晶、化合物(13)のIRスペクトルを図6に示す。)
【0099】
実施例6(化合物(13)の合成2)
実施例4で得られたN−(3,4− ジメチルフェニル)−N−[4−(2−アリルオキシエチル) フェニル] アミン 5.5g 、トリイソプロポキシシラン3.7gを四塩化炭素20mlに溶解し、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを1滴加え、窒素雰囲気下、室温で48時間反応させた。反応後、十分に水洗した後、トルエン−ヘキサンの混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、イソプロピルアルコール−メタノールから再結晶して、実施例5と同じ化合物(13)を7.0g得た(収率88.0%、融点64〜65℃)。化合物(13)のNMRスペクトルを図7に示す。
【0100】
実施例7(化合物(68)の合成1)
二口フラスコに上記構造式で示されるカルボン酸(2)20.0g、アリルアルコール20.0g 、トルエン70ml、濃硫酸0.1gを200ml のフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、希炭酸カリウム水溶液、ついで水で十分に洗浄し、有機相を活性白土を通してろ過した。これを濃縮し、下記構造式で示されるビニル基含有エステル(2)21.5gを得た(無色油状物)。ビニル基含有エステル(2) のIRスペクトルを図8に示す。
得られたビニル基含有エステル(2)5.7g 、トリクロロシシラン3.0gを四塩化炭素20mlに溶解し、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを3滴加え、窒素雰囲気下、室温で100時間反応させた。反応後、イソプロパノール5.5g、ピリジン5.8gをトルエン30mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩をろ過した後、ろ液を濃縮し、カラムクロマトグラフィー(トルエン/ヘキサン)により精製し、化合物(68)を6.3gを得た(収率72.7%、無色油状物)。化合物(68)のIRスペクトルを図9に示す。
【0101】
【化27】
Figure 0003624719
【0102】
実施例8(化合物(68)の合成2)
3,3’− ジメチル−N,N’−ビス(3,4− ジメチルフェニル)−N,N’− ビス[4−(2−メトキシカルボニルエチル) フェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’− ジアミン10.0g 、アリルアルコール10.0g 、トルエン40ml、濃硫酸0.1gを100ml のフラスコに入れ、窒素ガス雰囲気下で5時間加熱還流した。室温まで冷却した後、希炭酸カリウム水溶液、ついで水で十分に洗浄し、有機相を活性白土を通してろ過した。これを濃縮し、3,3’− ジメチル−N,N’−ビス(3,4− ジメチルフェニル)−N,N’− ビス[4−(2−アリルオキシカルボニルエチル) フェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’− ジアミン 10.5gを得た(無色油状物)。得られた3,3’− ジメチル−N,N’−ビス(3,4− ジメチルフェニル)−N,N’− ビス[4−(2−アリルオキシカルボニルエチル) フェニル]−[1,1’−ビフェニル]−4,4’− ジアミン5.4g、トリクロロシシラン2.7gを四塩化炭素20mlに溶解し、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを3滴加え、窒素雰囲気下、室温で120 時間反応させた。反応後、イソプロパノール5.0g、ピリジン5.5gをトルエン30mlに溶解した溶液をゆっくり滴下した。生じた塩をろ過した後、ろ液を濃縮し、トルエン−ヘキサンの混合溶媒を用いてカラムクロマトグラフィーにより精製し、実施例7と同じ化合物(68)を6.1g得た(収率74.5%、無色油状物)。化合物(68)のNMRスペクトルを図10に示す。
【0103】
実施例9(化合物(83)の合成)
9−フルオレノン−4− カルボン酸9.0g、乾燥したN,N−ジメチルホルムアミド50ml、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン7.3gを100ml のフラスコにいれ、窒素雰囲気下で100 ℃に加温した。ついで、クロロメチルフェネチルトリメトキシシラン(m,p−置換体の混合物)12.4g をゆっくり加え、そのまま、6時間撹拌した。室温まで冷却後、塩化メチレン300ml を加え、十分水洗した。塩化メチレンを留去したのち、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(塩化メチレン/酢酸エチル)により精製し、化合物(83)を8.1g得た(収率43.6%、淡黄色油状物)。化合物(83)のIRスペクトルを図11に示す。
【0104】
比較例1
下記構造の化合物を1.0g、トリメトキシシラン0.6g、トルエン5ml を50mlのフラスコに入れ、これに白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを1滴加え、窒素雰囲気下、70℃で3.5 時間反応させた。反応生成物は、薄層クロマトグラフィーで確認したところ複数であった。NMRスペクトルを測定したところ、α−付加体、β−付加体に加え、還元体と思われるものが約1:1:1 で混合したものであった。目的物の収率は約30%である。反応生成物のNMRスペクトルを図12に示す。
【0105】
【化28】
Figure 0003624719
【0106】
実施例10(化合物(68)の合成3)
1000mlのセパラブルフラスコに上記構造式で示されるカルボン酸(2)30.0g、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン31.3g 、無水DMF500ml 、炭酸カリウム23.1g を入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、化合物(68)を42.8g 得た(収率84.6%、無色油状物)。IRスペクトルは、図9と同様であった。
【0107】
実施例11(化合物(68)の合成4)
1000mlのセパラブルフラスコに上記構造式で示されるカルボン酸(2)25.0g、3−クロロプロピルトリイソプロポキシシラン29.0g 、無水DMF500ml、炭酸カリウム11.0g 、ヨウ化カリウム20.0g 、18−クラウン−6−エーテル0.18g を入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマトグラフィー(トルエン)により精製し、化合物(68)を33.3g 得た(収率79.0%、無色油状物)。IRスペクトルは、図9と同様であった。
【0108】
実施例12(化合物(82)の合成)
200ml のフラスコに9−フルオレノン −4−カルボン酸20.0g 、トルエン100ml 、アリルアルコール20.0g 、濃硫酸1mlを加え、窒素雰囲気下で40時間加熱還流した。その後、200ml の蒸留水に注ぎ、蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、活性白土10g を加え、1時間加熱還流した。室温まで冷却した後、ろ過し、トルエンを減圧下除去し、下記構造式で示されるビニル基含有エステル(3)19.5gを得た(淡黄色結晶、融点88.5〜90℃)。IRスペクトルを図13に示す。
200ml の二口フラスコに得られたビニル基含有エステル(3)5.0g とトリイソプロポキシシラン5.9gを取り、トルエン50mlに溶解し、窒素雰囲気下で攪拌しながら白金−ジビニルテトラメチルジシロキサンコンプレックスを0.1ml 加え、そのまま室温で24時間攪拌した。反応終了後、トルエン50mlを加え蒸留水で十分に洗浄し、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下溶媒を除去し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)により精製し、化合物(82)5.0gを得た(収率56.0%、淡黄色油状物質)。IRスペクトルを図14に示す。
【0109】
【化29】
Figure 0003624719
【0110】
実施例13(化合物(89)の合成1) 100ml のフラスコに化合物(82)3.1g、マロンニトリル0.9g、メタノール20ml、ピペリジン0.05mlを加え、窒素雰囲気下で10時間加熱還流した。その後、200ml の蒸留水に注ぎ、トルエンで抽出し、蒸留水で十分に洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)により精製した。更にイソプロパノール/メタノールから再結晶して化合物(89)2.3gを得た(収率68.2%、淡燈色結晶、融点81〜82℃)。IRスペクトルを図15に示す。
【0111】
実施例14(化合物(89)の合成2) 100ml のフラスコに9−フルオレニリデンマロンニトリル −4−カルボン酸3.2g、乾燥したN 、N−ジメチルホルムアミド30ml、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン1.8g、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン4.8gを加え、窒素雰囲気下で2時間加熱還流した。室温まで冷却後、トルエン50mlを加え、十分水洗いした後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)により精製した。更にイソプロパノール/メタノールから再結晶して化合物(89)3.8gを得た(収率62.1%、淡燈色結晶、融点81〜82℃)。IRスペクトルは図15と同様であった。
【0112】
実施例15(化合物(106) の合成) 50mlのフラスコにアントラキノン −2−カルボン酸1.0g、トルエン20ml、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン0.64g 、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン1.5g加え、十分水洗した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶剤:トルエン)により精製し、化合物(106)1.3g を得た(収率65.8%、淡黄色結晶、融点54〜56℃)。IRスペクトルを図16に示す。
【0113】
実施例16(化合物(34)の合成)
300mlのセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカルボン酸(3)10.0g、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン16.0g 、無水DMF200ml、炭酸カリウム6.5gを入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製し、化合物(34)を15.3g 得た(収率77.0%、無色油状物)。IRスペクトルを図17に示す。
【0114】
【化30】
Figure 0003624719
【0115】
実施例17(化合物(116) の合成)
300ml のセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカルボン酸(4)10.0g、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン18.6g 、無水DMF200ml、炭酸カリウム6.9gを入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製し、化合物(116) を12.6g 得た(収率57.6%、無色油状物)。IRスペクトルを図18に示す。
【0116】
【化31】
Figure 0003624719
【0117】
実施例18(化合物(117) の合成)
300ml のセパラブルフラスコに下記構造式で表されるカルボン酸(5)10.0g、3−ヨードプロピルトリイソプロポキシシラン9.2g、無水DMF200ml、炭酸カリウム4.0gを入れ、窒素ガス雰囲気下、90℃で3時間加熱反応した。室温まで冷却した後、沈澱物をろ過し、ろ液をトルエンに溶解して水で十分に洗浄した。有機相をカラムクロマトグラフィー(ヘキサン/酢酸エチル=10/1)により精製し、化合物(117) を12.0g 得た(収率75.0%、無色油状物)。IRスペクトルを図19に示す。
【0118】
【化32】
Figure 0003624719
【0119】
応用例1
アルミニウムパイプを支持体上にジルコニウム化合物(商品名:オルガチックスZC540,マツモト製薬社製)10部、シラン化合物(商品名:A1110 、日本ユニカー社製)1部、イソプロパノール40部、および、ブタノール20部からなる溶液を浸せきコーティング法にて塗布し、150 ℃にて10分間加熱乾燥し、0.1 μmの下引き層を形成した。次いで、電荷発生材料としてヒドロキシガリウムフタロシアニン結晶0.1 部をポリビニルブチラール樹脂( 商品名 :エスレックBM−S、積水化学社製)0.1 部および酢酸−n−ブチル 6部と混合し、ガラスビーズとともにペイントシェーカーで1時間処理して分散した後、得られた塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬コーティング法で塗布し、100 ℃において10分間加熱乾燥し、膜厚約0.2 μmの電荷発生層を形成した。次に構造式化合物(A)式で示される電荷輸送材料2部と(B)式で示されるで示されるポリカーボネート樹脂3部を、モノクロロベンゼン 20 部に溶解し、得られた塗布液を、下引き層が形成されたアルミニウム基板上に浸漬コーティング法で塗布し、120 ℃において1時間加熱乾燥、膜厚20μmの電荷輸送層を形成した。
次いで、実施例7で得られた化合物(68)を0.4 部、シリコンハードコート材料(信越化学製、X−40−2239 )0.6 部、n−ブチルエーテル3部と混合した後、得られた塗布液を上記電荷輸送層上に浸漬コーティング法で塗布し、100 ℃において60分間加熱乾燥し、膜厚約2μmのオーバーコート層を形成した。これをXP−15改造機に装着し、常温常湿(20 ℃、40%RH)環境下で5000枚の印字耐久テストを実施し、画像評価を行ったが、5000枚の印字耐久テスト後も良好な画像が得られ、表面傷の発生も見られなかった。
【0120】
【化33】
Figure 0003624719
【0121】
応用例2
化合物(68)を実施例6で得られた化合物(13)に替えた他は、応用例1と同様にして、電荷輸送層上にオーバーコート層を形成し、応用例1と同じ条件で印字耐久テストを実施し、画像評価を行ったが、5000枚の印字耐久テスト後も良好な画像が得られ、表面傷の発生も見られなかった。
【0122】
【発明の効果】
本発明により、ポリシロキサン樹脂に溶解性を有する光機能性有機けい素化合物を高純度、高収率に合成することができる。この化合物により、硬度、耐環境性等に優れた低表面エネルギーのポリシロキサン有機光導電性樹脂が実用化でき、コピー、レーザビームプリンタを始めとする電子写真プロセスに使用されるのみならず、有機エレクトロルミネッセンス素子構成において必要とされる電荷輸送層にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】化合物(12)のIRスペクトル図である。
【図2】化合物(52)のIRスペクトル図である。
【図3】ビニル基含有エステル(1) のIRスペクトル図である。
【図4】化合物(11)のIRスペクトル図である。
【図5】化合物(11)のNMRスペクトル図である。
【図6】化合物(13)のIRスペクトル図である。
【図7】化合物(13)のNMRスペクトル図である。
【図8】ビニル基含有エステル(2) のIRスペクトル図である。
【図9】化合物(68)のIRスペクトル図である。
【図10】化合物(68)のNMRスペクトル図である。
【図11】化合物(83)のIRスペクトル図である。
【図12】比較例の反応生成物のNMRスペクトル図である。
【図13】ビニル基含有エステル(3) のIRスペクトル図である。
【図14】化合物(82)のIRスペクトル図である。
【図15】化合物(89)のIRスペクトル図である。
【図16】化合物(106) のIRスペクトル図である。
【図17】化合物(34)のIRスペクトル図である。
【図18】化合物(116) のIRスペクトル図である。
【図19】化合物(117) のIRスペクトル図である。

Claims (7)

  1. 下記一般式 (I) で表される光機能性有機けい素化合物。
    一般式 (I)
    X-[ (Y) h COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a' ] b
    前記一般式 ( ) において、Xは、下記一般式 (II) で表される基、下記一般式 (II-1) で表される基、下記一般式 (III-1 )で表される基、または下記一般式 (III-2 )で表される基を表す。
    Figure 0003624719
    一般式 (II)中、Ar1 〜Ar4 はそれぞれ独立に置換または未置換のアリール基を表し、Ar5 は置換若しくは未置換のアリール基またはアリーレン基を表し、且つAr1 〜Ar5 のうち1〜4個は、-(Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a'で表される基を置換基として有する。kは1または0の整数を表す。)
    Figure 0003624719
    一般式 (II-1)中、sは、-(Y) h-COO-(Y1) a'' -Si-R1 (3-a') Q a'で表される基を表す。)
    Figure 0003624719
    一般式 (III-1 )及び一般式 (III-2 中、R2〜R5は水素、ハロゲン、ニトロ基、シアノ基を表し、Z1,Z2 はそれぞれ独立に =O , =C(CN)2 , =C(CO2R6) , =N-CN , =N-Ar6を表す。R6 は炭素数1〜10のアルキル基、炭素数1〜10の置換または未置換のアリール基を表し、Ar6 はフェニル基、トリル基、ビフェニル基等の置換あるいは未置換のアリール基を表す。o〜rはそれぞれ独立に0、1または2を表す。)
    前記一般式 ( ) において、1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Yは、 -(CH 2 ) a''' -, -O-(CH 2 ) a''' -, -(OCH 2 CH 2 ) i -, -(CH 2 ) j -O-(CH 2 ) k - からなる群から選択される2価の基を表す。 a''',,,kはそれぞれ0〜10の整数を表す。Y 1 は、下記構造式からなる群から選択される2価の基を表す。
    Figure 0003624719
    (構造式中、R 10 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアラルキル基、またはハロゲン原子を表す。t ' は0、1または2、xは1〜15の整数、x ' ,x '' は2〜15の整数、y,y ' は0〜15の整数を表す。)
    また、前記一般式 ( ) において、a'は1〜3の整数を表し、hは0または1を表し、a''は1または0の整数を表す。また、bは1〜4の整数を表す。
  2. 前記一般式 (I) において、前記Yで表される基が、
    −(CH2)a'''
    (ただし、a'''は0〜10の整数を表す。)
    であることを特徴とする請求項1に記載の光機能性有機けい素化合物。
  3. 前記一般式 (I) で表される光機能性有機けい素化合物において、前記Y1 で表される基が、-(CH2)3-であることを特徴とする請求項1または2に記載の光機能性有機けい素化合物。
  4. 前記一般式 (I) で表される光機能性有機けい素化合物において、Qが-OR7で表される加水分解性基であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の光機能性有機けい素化合物。
  5. 前記加水分解性基-OR7において、R7が炭素数3〜10の分岐したアルキル基であることを特徴とする請求項4に記載の光機能性有機けい素化合物。
  6. 請求項1に記載の光機能性有機けい素化合物の製造方法であって、下記一般式(IV)と下記一般式(V) で示される化合物を非プロトン性の有機溶剤中で反応させることを特徴とする光機能性有機けい素化合物の製造方法。
    Figure 0003624719
    前記一般式 (IV )及び一般式 (V )においてXは下記一般式 (II) で表される基、下記一般式 (II-1) で表される基、下記一般式 (III-1 )で表される基、または下記一般式 (III-1 )で表される基を表す。1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。Z3 はハロゲン基を表す。Yは、 -(CH 2 ) a''' - -O-(CH 2 ) a''' - -(OCH 2 CH 2 ) i - -(CH 2 ) j -O-(CH 2 ) k - からなる群から選択される2価の基を表し、 a''',,,kはそれぞれ0〜10の整数を表す。Y 1 は、下記構造式からなる群から選択される2価の基を表す。
    Figure 0003624719
    (構造式中、R 10 は水素原子、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、置換若しくは未置換のアリール基、置換若しくは未置換のアラルキル基、またはハロゲン原子を表す。t ' は0、1または2、xは1〜15の整数、x ' ,x '' は2〜15の整数、y,y ' は0〜15の整数を表す。)
    また、前記一般式 (IV )及び一般式 (V )において、a'は1〜3の整数を表し、hは0または1を表し、a''は1または0の整数を表す。また、bは1〜4の整数を表す。
  7. 請求項3に記載の光機能性有機けい素化合物の製造方法であって、下記一般式(VI)と(VII) で示される化合物をヒドロシリル化触媒の存在下で反応させることを特徴とする光機能性有機けい素化合物の製造方法。
    Figure 0003624719
    前記一般式 (VI )及び一般式 (VII )においてXは下記一般式 (II) で表される基、下記一般式 (II-1) で表される基、下記一般式 (III-1 )で表される基、または下記一般式 (III-1 )で表される基を表す。1 は水素、アルキル基、置換あるいは未置換のアリール基を表し、Qは加水分解性基を表す。 2 はアルキレン基またはフェニレン基で表される2価の基を表し、a' は1〜3の整数を表し、bは1〜4の整数を表し、hは0または1を表す。
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