JP3541076B2 - ジヒドロキシスチルベン化合物とその製造方法 - Google Patents

ジヒドロキシスチルベン化合物とその製造方法 Download PDF

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【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規なスチルベン化合物及びその製造方法に関し、詳しくは有機電荷搬送物質として有用なジヒドロキシスチルベン化合物及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真方式において使用される感光体の光導電性素材として用いられているものにセレン、硫化カドミウム、酸化亜鉛などの無機物質がある。ここにいう「電子写真方式」とは、一般に光導電性の感光体をまず暗所で、例えばコロナ放電によって帯電せしめ、次いで像露光し、露光部のみの電荷を選択的に逸散せしめて静電潜像を得、この潜像部を染料、顔料などの着色材と高分子物質などの結着剤とから構成される検電微粒子(トナー)で現像し可視化して画像を形成するようにした画像形成法の一つである。
この様な電子写真法において感光体に要求される基本的な特性としては、
(1)暗所で適当な電位に帯電できること、
(2)暗所において電荷の逸散が少ないこと、
(3)光照射によって速やかに電荷を逸散せしめうることなどが挙げられる。
【0003】
ところで前記の無機物質はそれぞれが多くの長所を持っていると同時に、さまざまな欠点をも有しているのが実状である。例えば現在広く用いられているセレンは前記(1)から(3)の条件は十分に満足するが、製造する条件はむずかしく、製造コストが高くなり、可撓性がなく、ベルト状に加工することが難しく、熱や機械的な衝撃に鋭敏なため取扱いに注意を要するなどの欠点もある。硫化カドミウムや酸化亜鉛は、結着剤としての樹脂に分散させて感光体として用いられているが、平滑性、硬度、引張り強度、耐摩擦性などの機械的な欠点があるためにそのままでは反復して使用することができない。
近年、これら無機物質の欠点を排除するためにいろいろな有機物質を用いた電子写真用感光体が提案され、実用に供されているものもある。例えばポリ−N−ビニルカルバゾールと2,4,7−トリニトロフルオレン−9−オンとからなる感光体(米国特許第3484237号明細書に記載)、ポリ−N−ビニルカルバゾールをピリリウム塩系色素で増感してなる感光体(特公昭48−25658号公報に記載)、有機顔料を主成分とする感光体(特開昭47−37543号公報に記載)、染料と樹脂とからなる共晶錯体を主成分とする感光体(特開昭47−10735号公報に記載)、トリフェニルアミン化合物を色素増感してなる感光体(米国特許第3,180,730号)、トリアリールアミン誘導体を電荷輸送材料として用いる感光体(特開昭58−65440)、アミン誘導体を電荷輸送材料として用いる感光体(特開昭57−195254号公報)、ポリ−N−ビニルカルバゾールとアミン誘導体を電荷輸送材料として用いる感光体(特開昭58−1155号公報)、多官能第3アミン化合物の中でもベンジジン化合物を光導電材料として用いる感光体(米国特許第3,265,496号、特公昭39−11546号公報、特開昭53−27033号公報)などである。これらの感光体は優れた特性を有しており実用的にも価値が高いと思われるものであるが、電子写真法において、感光体に対するいろいろな要求を考慮すると、まだ、これらの要求を十分に満足するものが得られていないのが実状である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は先に述べた従来の感光体のもつ種々の欠点を解消し、電子写真法において要求される条件を十分満足しうる電子写真感光体、特に積層型感光体に用いられる電荷搬送物質として有用なスチルベン化合物を提供することにある。更に本発明の他の目的は製造が容易でかつ比較的安価に行え、耐久性にも優れた電子写真用感光体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明の構成は、特許請求の範囲に記載のとおりのジヒドロキシスチルベン化合物とその製造方法である。すなわち、(1)下記一般式Iで表わされるジヒドロキシスチルベン化合物。
一般式I
【0006】
【化10】
Figure 0003541076
【0007】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい)
(2)下記一般式IIで表わされるスチルベン化合物。
一般式II
【0008】
【化11】
Figure 0003541076
【0009】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Ar 1 とAr 2 は同一。R1,R2はアルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。ただし、R1,R2が同時にアルキル基の場合は除く。)
(3)下記一般式IIIで表されることを特徴とするヒドロキシ基を有するスチルベン化合物。
一般式III
【0010】
【化12】
Figure 0003541076
【0011】
(式中、Ar,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
1はアルキル基、アシル基を表す。)
(4)下記一般式IVで表されることを特徴とするジアセトキシスチルベン化合物。
一般式IV
【0012】
【化13】
Figure 0003541076
【0013】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
(5)下記一般式V
一般式V
【0014】
【化14】
Figure 0003541076
【0015】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
1,R2は水素原子、アルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。ただし、R1,R2は同時に水素原子の場合はのぞく。)
で表されるスチルベン化合物を脱アルキル化または脱アシル化させることを特徴とする下記一般式VI
一般式VI
【0016】
【化15】
Figure 0003541076
【0017】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R1は水素原子、アルキル基、アシル基を表す。)
で表されるヒドロキシ基を有するスチルベン化合物の製造方法。
(6)下記一般式VII
一般式VII
【0018】
【化16】
Figure 0003541076
【0019】
(式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
で表されるアルデヒド化合物と下記一般式VIII
一般式VIII
【0020】
【化17】
Figure 0003541076
【0021】
〔式中、R,R2は水素原子、アルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。
Yは−P+(R33-(ここでR3はフェニル基または低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるホスホニウム塩または−PO(OR42(ここでR4は低級アルキル基を表す。)で表されるジアルキル亜燐酸基である。〕
で表されるリン化合物とを反応させることを特徴とする上記(1)または(2)記載のスチルベン化合物の製造方法。
(7)下記一般式IX
一般式IX
【0022】
【化18】
Figure 0003541076
【0023】
(式中、R1,R2は、アルキル基であって同一でも異なっていてもよい。)
で表されるアミノ化合物と下記一般式X
一般式X
Ar1
(式中、Ar1は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
および下記一般式XI
一般式XI
Ar2
(式中、Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
で表されるハロゲン化合物とを反応させることを特徴とする上記(2)記載のスチルベン化合物の製造方法。
【0024】
本発明における前記一般式Iで示されるジヒドロキシスチルベン化合物及び前記一般式IIないし一般式IVで示されるスチルベン化合物は何れも新規物質であり、前記一般式Iで示されるジヒドロキシスチルベン化合物は前記一般式IIの化合物の脱アルキル化もしくは脱アシル化によって得られる。詳しくは脱アルキル化の場合、酸性試薬による開裂反応、塩基性試薬による開裂反応が挙げられ、酸性試薬としては臭化水素、ヨウ化水素、トリフルオロ酢酸、ピリジンの塩酸塩、濃塩酸、ヨウ化マグネシウムエーテラート、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、三臭化ホウ素、三塩化ホウ素、三ヨウ化ホウ素等が、塩基性試薬としては水酸化カリウム、リチウムジフェニルホスフィド、ナトリウムチオラート等を挙げることができる。溶媒としてはジクロロメタン、THF、DMF、ピリジン、ブタノール等を挙げることができ、反応温度は用いる試薬の反応性によるが、一般的には室温〜200℃の間で行われる。また脱アシル化の場合は、酸性またはアルカリ性下で脱アシル化することによって製造される。この時の酸性及び塩基性試薬として、例えば塩酸、硫酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等を挙げることができ、反応溶媒としてはメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。
又、前記一般式IIで表わされるスチルベン化合物は前記一般式IXで表わされるアミノ化合物と前記一般式X及び前記一般式XIで表わされるハロゲン化合物とを、銅粉、酸化銅あるいはハロゲン化銅等と、縮合反応中に生ずるハロゲン化水素を中和するのに充分な量のアルカリ性物質を加え、溶媒の存在下または無溶媒下で、窒素雰囲気下、150〜250℃程度の温度において反応させることによって製造される。
【0025】
この場合、アルカリ性物質としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水素化ナトリウム等を挙げることができる。また、反応溶媒としてはニトロベンゼン、ジクロルベンゼン、キノリン、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、テトラヒドロフラン、二硫化炭素等を挙げることができる。
更に前記一般式Iないし前記一般式IIは前記一般式VIIで表わされるアルデヒド化合物と前記一般式VIIIで表されるリン化合物とを塩基性触媒の存在下、室温から100℃程度の温度において反応させることによっても製造される。この場合、塩基性触媒としてはフェニルリチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、ナトリウムアミド、水素化ナトリウム及びナトリウムメチラート、カリウム−t−ブトキサイドなどのアルコラートを挙げることができる。また反応溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、2−メトキシエタノール、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンなどを挙げることができる。中でも極性溶媒、例えばN,N−ジメチルホルムアミド及びメチルスルホキシドが好適である。
【0026】
反応温度は1)使用する溶媒の塩基性触媒に対する安定性、2)縮合成分(前記一般式VII及びVIIIの化合物)の反応性、3)前記塩基性触媒の溶媒中における縮合剤としての反応性によって広範囲に選択することができる。例えば極性溶媒を用いるときは、実際には室温から100℃、好ましくは室温から80℃である。しかし、反応時間の短縮または活性の低い縮合剤を使用するときは更に高い温度でもよい。
又、前記一般式IIにおけるアルキル基の具体例として例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基等が炭素環式芳香族基としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アントリル基、ピレニル基等が、アシル基としてはアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基を挙げることができる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を実施例により詳細に説明する。
実施例1
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベンの製造
3,5−ジメトキシ−4’−アミノスチルベン4.11g(16.1mmol)をパラヨードトルエン60gに採り、これに銅粉2.05g(32.2mmol)と炭酸カリウム8.90g(64.4mmol)を加え、窒素気流下、209℃で6時間撹拌した。この反応液を50℃まで冷却した後、セライトと共に熱濾過し、濾液をクロロホルムで抽出した。この抽出物の溶媒を留去し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン)した結果、白黄色粉末5.07g(収率72.3%)を得た。これを酢酸エチル−エタノールの混合溶媒から再結晶して、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベンの白黄色板状晶4.58g(収率65.3%)を得た。融点は134.0〜135.0℃、元素分析値はC3029NO2として下記のとおりであった。
【0028】
【表1】
Figure 0003541076
【0029】
また、赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図1に示したが以下のような吸収が認められた。
δCH(トランスオレフィン)=965cm-1
実施例2
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジヒドロキシスチルベンの製造
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベン4.36g(10.0mmol)と90%ナトリウムチオエチラート14.02g(150.2mmol)をモレキュラーシブス4A処理したN,N−ジメチルホルムアミド40mlに加え、窒素気流下、145〜155℃で12時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却した後、氷水500mlに注ぎ、濃塩酸を加えて酸性とし、エーテル抽出を行った。この抽出物の溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル5/1vol.)した結果、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジヒドロキシスチルベン1.65g(収率40.5%)の黄色針状晶を得た。融点は161.3℃(TG−DTA吸熱ピーク)であった。元素分析値はC2825NO2として下記のとおりであった。
【0030】
【表2】
Figure 0003541076
【0031】
また赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図2に示したが以下のような吸収が認められた。
νsOH=3450cm-1
δCH(トランスオレフィン)=965cm-1
実施例3
N−(4−メチルフェニル)−N−(1−ピレニル)−4’−アミノ−3,
5−ジアセトキシスチルベンの製造
トリフェニル−3,5−ジアセトキシベンジルホスホニウムブロミド2.75g(5.0mmol)と60%水素化ナトリウム0.60g(15.0mmol)を乾燥したテトラヒドロフラン(THF)60mlに採り、室温で2時間撹拌した。これにN−(4−ホルミルフェニル)−N−(4−メチルフェニル)−1−アミノピレン2.06g(5.0mmol)を先のTHF20mlに採り、この溶液を30分かけて滴下した。室温で4時間撹拌した後、氷水600mlに注ぎ、塩酸を加え中和し、更に1時間撹拌した。これを酢酸エチルを用いて抽出し、3回水洗した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して赤色油状物を得た。この油状物に無水酢酸30mlとトルエン30mlを加え、4時間加熱還流した後、放冷しトルエンを用いて抽出、水洗を行い、硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を減圧下留去して赤色油状物を得た。この油状物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液トルエン/酢酸エチル20/1vol)し、未反応アルデヒド1.15gとN−(4−メチルフェニル)−N−(1−ピレニル)−4’−アミノ−3,5−ジアセトキシスチルベン1.01g(収率33.6%)を得た。
これをノルマルヘキサンで晶析して、N−(4−メチルフェニル)−N−(1−ピレニル)−4’−アミノ−3,5−ジアセトキシスチルベン0.90g(収率29.9%)、融点185.5−188.5℃の白黄色粉末を得た。元素分析値はC4131NO4として下記のとおりであった。
【0032】
【表3】
Figure 0003541076
【0033】
また、赤外線吸収スペクトル(KBr錠法)を図3に示したが、以下のような吸収が認められた。
νCO 1765cm-1
νCOO 1195cm-1
δCH(トランスオレフィン)965cm-1
実施例4
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベンの製造
N,N−ビス(4−メチルフェニル)−N−(4−ホルミルフェニル)アミン87.40g(0.29mol)と3,5−ジメトキシベンジルホスホン酸ジエチル89.37g(0.31mol)をDMF600mlに採り、撹拌しながらカリウム−t−ブトキシサイド51.61g(0.46mol)を10分かけて投入し、室温で3時間反応させた。この内容物を氷水3000mlにあけ、酢酸を加えて中和し、生成した沈殿物を濾取し、水洗し、さらにメタノール洗浄後、乾燥して粗製物124.73g(収率98.7%)を得た。これをシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/シクロヘキサン3/2vol)した後、酢酸エチル/エタノールの混合溶媒から再結晶して、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベンの白黄色立方晶108.43g(収率85.8%)を得た。融点は135.5〜136.5℃、元素分析値はC3029NO2として下記のとおりであった。
【0034】
【表4】
Figure 0003541076
【0035】
また、赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を測定したが、実施例1で得られた図1と同じものが得られた。
【0036】
実施例5
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジアセトキシスチルベンの製造
N−(4−ホルミルフェニル)−N,N−ビス(4−メチルフェニル)アミン1.21g(4.0mmol)と3,5−ジアセトキシベンジルホスホン酸ジエチル1.65g(4.8mmol)を乾燥したTHF25mlに採り、60%水素化ナトリウム0.38g(9.6mmol)を加えて、室温で36時間撹拌した。この内容物を氷水300mlにあけ、酢酸で中和し、酢酸エチルを用いて3回抽出し、この抽出層を6回水洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥してから溶媒を減圧下留去して黄褐色油状物を得た。
油状物をシリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル20/1vol.)し、黄色粉末を得た。これをn−ヘキサンより再結晶して4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジアセトキシスチルベン0.11g(5.6%)、融点122.5−123.5℃の黄色針状晶を得た。元素分析値はC3229NO4として下記のとおりであった。また、赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図4に示した以下のような吸収が認められた。
【0037】
【表5】
Figure 0003541076
【0038】
IR Vco1770cm-1
δCH(トランスオレフィン)=965cm-1
実施例6
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジヒドロキシスチルベンの製造
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジアセトキシスチルベン0.36g(0.7mmol)をメタノール20mlに採り、加熱還流下、36%塩酸水溶液1.5mlを滴下し、30分間撹拌した。この内容物を水100mlに注ぎ、酢酸エチルで2回抽出を行い、この抽出層を3回水洗、硫酸マグネシウムで乾燥し、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル5/1vol.)した結果、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジヒドロキシスチルベン0.27g(収率90.0%)の黄色針状晶を得た。融点は161.0〜165.5℃であった。元素分析値はC2825NO2として下記のとおりであった。
【0039】
【表6】
Figure 0003541076
【0040】
また、赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を測定したが、実施例2で得られた図2と同じものが得られた。
【0041】
実施例7
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3−ヒドロキシ−5−メトキシスチルベンの製造
4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3,5−ジメトキシスチルベン31.07g(71.34mmol)をモレキュラーシブス4A処理したN,N−ジメチルホルムアミド175mlに採り、窒素気流下、90%ナトリウムチオエチラート20.00g(214.01mmol)を加え、130℃で3時間撹拌した。この反応液を室温まで冷却した後、氷水1500mlに注ぎ、濃塩酸を加えて酸性とし、2回エーテル抽出を行った。この抽出物の溶媒を留去して、シリカゲルカラムクロマト処理(溶離液;トルエン/酢酸エチル5/1vol.)した結果、4’−ビス(4−メチルフェニル)アミノ−3−ヒドロキシ−5−メトキシスチルベン28.06g(収率93.3%)の黄色粉末を得た。非晶質であった。元素分析値はC2927NO2として下記のとおりであった。
【0042】
【表7】
Figure 0003541076
【0043】
また赤外線吸収スペクトル(KBr錠剤法)を図5に示したが以下のような吸収が認められた。
νsOH=3440cm-1
δCH(トランスオレフィン)=960cm-1
〔応用例〕
電荷発生物質としてダイアンブルー(シーアイピグメントブルー25、C.I.No.21180)76部、ポリエステル樹脂〔バイロン200,(株)東洋紡績製〕の2%テトラヒドロフラン溶液1260部およびテトラヒドロフラン3700部をボールミル中で粉砕混合し、得られた分散液をアルミニウム蒸着したポリエステルベースよりなる導電性支持体のアルミニウム面上にドクターブレードを用いて塗布し、自然乾燥して厚さ約1μmの電荷発生層を形成した。
【0044】
一方、電荷搬送物質としては実施例2のスチルベン化合物2部、ポリカーボネート樹脂〔パンライトK1300、(株)帝人製〕2部およびテトラヒドロフラン16部を混合溶解して溶液とした後、これを前記電荷発生層上にドクターブレードを用いて塗布し、80℃で2分間、ついで120℃で5分間乾燥して厚さ約2μmの電荷搬送層を形成せしめて感光体を作製した。
VPO(ボルト)−1068、E1/2(ルックス・秒)1.32
【0045】
【発明の効果】
以上、説明したように、本発明によって、新規なジヒドロキシスチルベン化合物とその製造方法が提供できる。
この化合物はジヒドロキシル基を高分子化の官能基として利用することにより、高分子型の電荷搬送物質に誘導することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で製造した化合物の赤外線吸収スペクトル図、
【図2】実施例2で製造した化合物の赤外線吸収スペクトル図、
【図3】実施例3で製造した化合物の赤外線吸収スペクトル図、
【図4】実施例5で製造した化合物の赤外線吸収スペクトル図、
【図5】実施例7で製造した化合物の赤外線吸収スペクトル図。

Claims (7)

  1. 下記一般式Iで表わされることを特徴とするジヒドロキシスチルベン化合物。
    一般式I
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい)
  2. 下記一般式IIで表わされることを特徴とするスチルベン化合物。
    一般式II
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Ar 1 とAr 2 は同一 1 ,R 2 はアルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。)
  3. 下記一般式IIIで表されることを特徴とするヒドロキシ基を有するスチルベン化合物。
    一般式III
    Figure 0003541076
    (式中、Ar,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    1はアルキル基、アシル基を表す。)
  4. 下記一般式IVで表されることを特徴とするジアセトキシスチルベン化合物。
    一般式IV
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
  5. 下記一般式V
    一般式V
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
    1,R2は水素原子、アルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。ただし、R1,R2は同時に水素原子の場合はのぞく。)
    で表されるスチルベン化合物を脱アルキル化または脱アシル化させることを特徴とする下記一般式VI
    一般式VI
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。R1は水素原子、アルキル基、アシル基を表す。)
    で表されるヒドロキシ基を有するスチルベン化合物の製造方法。
  6. 下記一般式VII
    一般式VII
    Figure 0003541076
    (式中、Ar1,Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、それぞれ同一でも異なっていてもよい。)
    で表されるアルデヒド化合物と下記一般式VIII
    一般式VIII
    Figure 0003541076
    〔式中、R,R2は水素原子、アルキル基、アシル基を表し、同一でも異なっていてもよい。
    Yは−P+(R33-(ここでR3はフェニル基または低級アルキル基、Xはハロゲン原子を表す。)で表されるホスホニウム塩または−PO(OR42(ここでR4は低級アルキル基を表す。)で表されるジアルキル亜燐酸基である。〕
    で表されるリン化合物とを反応させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のスチルベン化合物の製造方法。
  7. 下記一般式IX
    一般式IX
    Figure 0003541076
    (式中、R1,R2は、アルキル基であって同一でも異なっていてもよい。)
    で表されるアミノ化合物と下記一般式X
    一般式X
    Ar1
    (式中、Ar1は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
    および下記一般式XI
    一般式XI
    Ar2
    (式中、Ar2は、無置換の又はメチル基で置換された炭素環式芳香族基の一価基を表し、Xはハロゲン原子を表す。)
    で表されるハロゲン化合物とを反応させることを特徴とする請求項2に記載のスチルベン化合物の製造方法。
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