JPH1121646A - 重合圧延面粗さに優れたアルミニウム箔 - Google Patents

重合圧延面粗さに優れたアルミニウム箔

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JPH1121646A
JPH1121646A JP19057897A JP19057897A JPH1121646A JP H1121646 A JPH1121646 A JP H1121646A JP 19057897 A JP19057897 A JP 19057897A JP 19057897 A JP19057897 A JP 19057897A JP H1121646 A JPH1121646 A JP H1121646A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 重合圧延における重合圧延面粗さが微細且つ
均一で、各種用途に適した品質の優れたアルミニウム箔
を提供する。 【解決手段】 Fe:0.1〜0.6%、Si:0.0
5〜0.15%を含有し、残部Alおよび不純物よりな
る組成を有し、マトリックス中に存在する平均直径が3
μm以上の球状晶出相が10個/cm2 以下である。C
u:0.2%以下、Ti:0.1%以下、B:0.08
%以下を含有することもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、重合圧延面粗さに
優れたアルミニウム箔、とくに厚さが10μm以下のア
ルミニウム箔に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、一般に、包装用材料などとして使
用されているアルミニウム箔としては、JIS 1N3
0、JIS 1N50、JIS 1100などに規定す
る組成を有するアルミニウム箔の焼鈍材が適用されてお
り、その製造は、所定の組成を有するアルミニウム溶湯
から連続鋳造法によってスラブを造塊し、均質化処理、
熱間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を経て、厚さ0.3〜
0.6mm程度の箔地とし、さらに箔圧延機により5〜
200μm程度の厚さまで箔圧延した後、焼鈍処理する
ことにより行われる。
【0003】通常、箔圧延、とくに厚さ10μm以下の
薄箔の圧延は、重合圧延を使用して行われる。この方式
は、2枚の箔を重ねて圧延する方式で、ダブリング圧延
といわれており、2枚の箔が重合している重合圧延面
(マット面)ではアルミニウムが自由に変形することか
ら、凹凸の多い粗い面となり易い。粗さが大きく不均一
であると、光沢が失われ、色調などの箔品質が低下す
る。また、マット面のうねりと箔の圧延面に生じるオイ
ルピットが連結してピンホールが生じ易くなる。
【0004】粗さが細かく且つ均一な重合圧延面を得る
ために、これまで、箔圧延条件について検討が行われて
きたが、重合圧延面のうねりの原因については、まだ不
明確な点が多く、十分な品質の箔は得られていない。
【0005】発明者らは、アルミニウム箔のダブリング
圧延における重合圧延面のうねりの生成原因についての
検討過程において、重合圧延面粗さに及ぼす圧延条件以
外の要因について着目し、実験、検討を行った結果、圧
延箔のマトリックス中に存在する金属間化合物が重合圧
延面の粗さに影響することを知見した。例えば、Feは
鋳造凝固時に板状晶出物および球状晶出物を形成し、そ
の一部はその形態を保持したまま圧延箔のマトリックス
中にも存在する。このうち、板状晶出物は重合面に対し
て平行に配置される傾向があるため、重合圧延面粗さに
及ぼす影響は少ないが、球状晶出物は重合圧延面粗さを
不均一にする傾向がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、アルミニウ
ム箔のダブリング圧延における重合圧延面の不均一性に
ついての上記従来の問題点を解消するため、前記の知見
に基づいて、アルミニウム箔の成分、金属間化合物から
なる晶出相の形状、サイズ、分布状態と重合圧延面の粗
さ、粗さの均一性、さらにはアルミニウム箔の特性との
関係についてさらに実験、検討を重ねた結果としてなさ
れてものであり、その目的は、重合圧延面粗さが微細で
且つ均一であり、その他、アルミニウム箔に要求される
強度特性などの品質特性に優れたアルミニウム箔、とく
に厚さ10μm以下の薄箔を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めの本発明による重合圧延面粗さに優れたアルミニウム
箔は、Fe:0.1〜0.6%、Si:0.05〜0.
15%を含有し、残部Alおよび不純物からなる組成を
有し、マトリックス中に存在する平均直径3μm以上の
球状晶出相が10個/cm2 以下であることを第1の特
徴とする。
【0008】また、Fe:0.1〜0.6%、Si:
0.05〜0.15%を含有し、残部Alおよび不純物
からなる組成を有し、マトリックス中に存在する平均直
径3μm以上のAl−Fe−Si系の球状晶出相が10
個/cm2 以下であることを第2の特徴とする。
【0009】さらに、Fe:0.1〜0.6%、Si:
0.05〜0.15%、Cu:0.2%以下(0%を除
く、以下同じ)を含有し、残部Alおよび不純物からな
る組成を有すること、上記の成分に加え、さらに0.1
%以下のTi、0.08%以下のBのうちの1種または
2種を含有する組成を有すること、およびFe/Siの
比が6〜12であることを第3、第4および第5の特徴
とする。
【0010】本発明におけるアルミニウム箔の成分組成
について説明すると、Fe、Si、Cuは、アルミニウ
ム箔の各種用途において必要な強度を与えるために組合
わせ含有される。Feの好ましい含有量は0.1〜0.
6%、さらに好ましい含有量は0.4〜0.5%の範囲
であり、0.6%を越えると強度が過多となり、また圧
延時に部分軟化が生じ、圧延が不安定となるおそれがあ
る。
【0011】Siの好ましい含有範囲は0.05〜0.
15%、さらに好ましい含有範囲は0.05〜0.08
%であり、0.15%を越えて含有すると、Al−Fe
−Si系の球状晶出相の生成量が多くなって重合圧延面
のうねりが大きくなる。Cuの好ましい含有量は0.2
%以下(0%を除く)、さらに好ましくは0.002〜
0.2%である。0.2%を越えると、加工硬化により
圧延が不可能となる場合がある。
【0012】本発明においては、鋳塊組織を微細化し、
粗大な金属間化合物の晶出を抑制するために、他の特性
を害することなしに、0.1%以下、好ましくは0.0
1〜0.02%のTi、および/または0.08%以
下、好ましくは0.001〜0.002%のBを添加す
ることができる。さらに、不純物として、0.02%以
下のMn、0.002%以下のMg、0.02%以下の
Cr、0.03%以下のZnが含有しても、本発明のア
ルミニウム箔の特性が害されるおそれはない。
【0013】ダブリング圧延における重合圧延面の粗さ
については、圧延されるアルミニウム箔のマトリックス
中に存在する金属間化合物からなる球状晶出相、とくに
Al−Fe−Si系の球状晶出相の影響が大きく、平均
粗さが小さく且つ均一な粗さの重合面を得るためには、
マトリックス中に存在する平均直径3μm以上の球状晶
出相を10個/cm2 以下、とくにマトリックス中に存
在する平均直径3μm以上のAl−Fe−Si系の球状
晶出相を10個/cm2 以下にすることが重要である。
【0014】平均直径が3μm以上の粗大な球状金属間
化合物が多く存在すると、重合圧延面のうねりが大きく
なり、とくに10μm以下の薄箔においては、うねりの
大きい個所で圧延面のオイルピットと連結してピンホー
ルが生成し易くなる。なお、Al−Fe−Si系の球状
晶出相の生成は、Fe/Siの比が大きいほど少なくな
るから、FeおよびSiの含有範囲内においてSiの含
有量を少なくし、Feの含有量を多くするのが好まし
い。Fe/Siの好ましい比は6〜12の範囲である。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明のアルミニウム箔は、常法
に従って所定の組成を有するアルミニウム溶湯を連続鋳
造してスラブを造塊し、得られたスラブを面削、均質化
処理、熱間圧延した後、中間焼鈍を介して冷間圧延し、
厚さ0.3〜0.6mmの箔地とし、箔圧延機を使用し
て、重合圧延により10μm以下に箔圧延することによ
り製造される。
【0016】均質化処理は、例えば550℃程度の温度
で5〜10時間行われ、熱間圧延により厚さ3〜6mm
程度にする。冷間圧延途中の中間焼鈍は、300〜35
0℃程度の温度で数時間加熱することにより行われる。
【0017】
【実施例】以下、本発明の実施例を比較例と対比して説
明する。 実施例1 表1に示す組成のアルミニウム合金のスラブを、鋳造速
度80mm/分で連続鋳造し、得られたスラブを550
℃の温度で10時間均質化処理した後、熱間圧延して
6.0mm厚さとした。ついで冷間圧延により0.6m
m厚さとし、300℃で5時間の中間焼鈍を行い、さら
に冷間圧延を行って0.35mm(350μm)厚さの
箔地とし、重合圧延により5μm厚さのアルミニウム箔
を得た。
【0018】得られたアルミニウム箔について、マトリ
ックス中に存在する平均直径1〜3μmの球状晶出相の
数および平均直径3μm以上の球状晶出相の数、重合圧
延面の平均粗さ(Ra)およびうねり高さがRaの2倍
以上となる不均一ピークの出現数を測定した。測定結果
を表2に示す。
【0019】表2にみられるように、本発明に従うアル
ミニウム箔の重合圧延面はいずれも、0.45μm未満
の微細な平均粗さをそなえ、不均一ピーク出現数も30
0個/m2 であった。
【0020】
【表1】
【0021】
【表2】
【0022】比較例1 表3に示す組成のアルミニウム合金のスラブを、鋳造速
度80mm/分または50mm/分で連続鋳造し、実施
例1と同様、得られたスラブを550℃の温度で10時
間均質化処理した後、熱間圧延して6.0mm厚さとし
た。ついで冷間圧延により0.6mm厚さとし、300
℃で5時間の中間焼鈍を行い、さらに冷間圧延を行って
0.35mm(350μm)厚さの箔地とし、重合圧延
により5μm厚さのアルミニウム箔を得た。
【0023】得られたアルミニウム箔について、マトリ
ックス中に存在する平均直径1〜3μmの球状晶出相の
数および平均直径3μm以上の球状晶出相の数、重合圧
延面の平均粗さ(Ra)およびうねり高さがRaの2倍
以上となる不均一ピークの出現数を測定した。測定結果
を表4に示す。なお、表3および表4において、本発明
の条件を外れたものには下線を付した。
【0024】
【表3】
【0025】
【表4】
【0026】表4に示すように、試験材No.8および
試験材No.9は、平均直径3μm以上の球状晶出相が
10個/cm2 を越えているため、重合圧延面の平均粗
さが大きく、不均一ピーク出現数も300個/m2 を越
えている。試験材No.10はFe含有量が多く、強度
過多となり圧延が不安定となったことに起因して、重合
圧延面のうねりが大きい。試験材No.11はSiの含
有量が多いため、平均直径が3μm以上の球状晶出相が
多くなり、重合圧延面粗さが劣っている。
【0027】
【発明の効果】本発明によれば、重合圧延面の粗さが微
細且つ均一で、各種用途に適する品質の優れたアルミニ
ウム箔が提供される。

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 Fe:0.1〜0.6%(重量%、以下
    同じ)、Si:0.05〜0.15%を含有し、残部A
    lおよび不純物からなる組成を有し、マトリックス中に
    存在する平均直径3μm以上の球状晶出相が10個/c
    2 以下であることを特徴とする重合圧延面粗さに優れ
    たアルミニウム箔。
  2. 【請求項2】 Fe:0.1〜0.6%、Si:0.0
    5〜0.15%を含有し、残部Alおよび不純物からな
    る組成を有し、マトリックス中に存在する平均直径3μ
    m以上のAl−Fe−Si系の球状晶出相が10個/c
    2 以下であることを特徴とする重合圧延面粗さに優れ
    たアルミニウム箔。
  3. 【請求項3】 Fe:0.1〜0.6%、Si:0.0
    5〜0.15%、Cu:0.2%以下(0%を除く、以
    下同じ)を含有し、残部Alおよび不純物からなる組成
    を有することを特徴とする請求項1または2記載の重合
    圧延面粗さに優れたアルミニウム箔。
  4. 【請求項4】 さらに0.1%以下のTi、0.08%
    以下のBのうちの1種または2種を含有する組成を有す
    ることを特徴とする請求項1〜3記載の重合圧延面粗さ
    に優れたアルミニウム箔。
  5. 【請求項5】 Fe/Siの比が6〜12であることを
    特徴とす請求項1〜4記載の重合圧延面粗さに優れたア
    ルミニウム箔。
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