JP2003239052A - アルミニウム箔地の製造方法およびアルミニウム箔の製造方法 - Google Patents
アルミニウム箔地の製造方法およびアルミニウム箔の製造方法Info
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Abstract
度の高いアルミニウム箔を得るのに適したアルミニウム
箔地の製造方法およびこの箔地からアルミニウム箔を製
造する方法を提供する。 【解決手段】 質量%で、0.9%を超え1.7%以下のFeを
含有し、残部が鋳造組織微細化剤、不可避的不純物およ
びAlからなり、鋳造組織微細化剤が0.02%以下であり、
不可避的不純物としてのSiが0.15%未満かつCuが0.01
%未満であるアルミニウム合金溶湯を、鋳造凝固時の冷
却速度5〜100℃/秒で鋳造し、得られた鋳造スラブを
均質化処理せずに圧下率90%以上で冷間圧延を行い、
300〜400℃の温度で中間焼鈍を施し、その後必要により
冷間圧延を行って、アルミニウム箔地とする。このアル
ミニウム箔地を更に箔厚さまで冷間圧延した後再結晶さ
せてアルミニウム箔を製造する際に、該再結晶前の冷間
圧下率を50%以上とする。
Description
アルミニウム箔地の製造方法および再結晶化材(軟質
材)の強度の高いアルミニウム箔の製造方法に関するも
のである。
N30等の純アルミニウムおよび8079合金又は80
21合金等のアルミニウム合金が使用されている。な
お、本明細書では、純アルミニウムおよびアルミニウム
合金を総称してアルミニウムという。アルミニウム箔の
製造方法としては、一般的に、アルミニウム鋳塊に均質
化処理、熱間圧延、冷間圧延、中間焼鈍、冷間圧延を施
して厚さ0.3mm前後の箔地とし、このアルミニウム箔
地をさらに冷間圧延して厚さ6〜200μm程度のアル
ミニウム箔としている。
変形を受けるため、伸びが大きく、しかも薄肉のものが
要求されるようになり、より強度が高く、かつ生産性の
向上のために箔圧延性に優れたアルミニウム箔地が必要
となっている。
量のFe,Siを含有するアルミニウム溶湯を連続的に
鋳造圧延し、得られた鋳造圧延板に450℃以上の温度
で加熱処理し、冷間圧延後の中間焼鈍条件の調整によ
り、強度と箔圧延性に優れるアルミニウム箔地の製造方
法が提案されている。
来の方法は、箔圧延性が低く、しかも再結晶後の箔強度
の低いという問題があった。本発明は、箔圧延性に優
れ、かつ再結晶化した軟質材強度の高いアルミニウム箔
を得るのに適したアルミニウム箔地の製造方法およびこ
の箔地から上記アルミニウム箔を製造する方法を提供す
ることを目的とする。
を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、Fe量を適性に調
整したアルミニウム溶湯を鋳造凝固時の冷却速度5〜1
00℃/秒の範囲で鋳造した鋳造スラブを均質化処理す
ることなしに高圧下率で冷間圧延し、中間焼鈍し、必要
により冷間圧延して製造した箔地は、箔圧延性に優れ、
しかもこの箔地を高圧下率で箔圧延して得たアルミニウ
ム箔は軟質化処理後の強度が極めて優れることを見出し
て本発明を完成したものである。
超え1.7%以下のFeを含有し、残部が鋳造組織微細
化剤、不可避的不純物およびAlからなり、鋳造組織微
細化剤が0.02%以下であり、不可避的不純物として
のSiが0.15%未満かつCuが0.01%未満であ
るアルミニウム合金溶湯を、鋳造凝固時の冷却速度5〜
100℃/秒で鋳造し、得られた鋳造スラブを均質化処
理せずに圧下率90%以上で冷間圧延を行い、300〜
400℃の温度で中間焼鈍を施し、その後必要により冷
間圧延を行うことを特徴とするアルミニウム箔地の製造
方法を提供する。
を更に箔厚さまで冷間圧延し、然る後再結晶させてアル
ミニウム箔を製造するに際して、該再結晶前の冷間圧下
率を50%以上とすることを特徴とするアルミニウム箔
の製造方法をも提供する。
ム箔地の製造方法およびアルミニウム箔の製造方法につ
いて説明する。以下、成分含有量を表示する「%」は
「質量%」を意味する。
eは、鋳造時にAl−Fe系の金属間化合物として晶出
するもので、続く冷間圧延および箔圧延により分断し均
一に粒子状に分散化させる。このAl−Fe系の金属間
化合物粒子は、再結晶の核となるため再結晶処理時に再
結晶粒を微細化するので、再結晶処理後のアルミニウム
箔の強度を高くする効果がある。これらの効果を得るに
は、Fe含有量を0.9%を超えて含有させる必要があ
る。ただし、Fe含有量が1.7%を超えると、鋳造時
に粗大な金属間化合物が晶出し、続く冷間圧延および箔
圧延により再結晶の核となるサイズに分断できず、粗大
サイズの晶出物としても一部残存し、アルミニウム箔に
穴あき欠陥が生じる。
造組織微細化剤の添加形態としては、たとえばTiの単
独添加またはTiとBの同時添加があり、これらを含有
させることによって、鋳造組織を微細化させることがで
きる。含有量としては、単独添加の場合のTiは0.0
02〜0.02%でよく、0.02%を超えると箔圧延
性が劣り、箔圧延時箔が破断し易くなる。Tiと同時に
Bを添加してもよく、その場合のB添加量は0.01%
以下である。TiとBの同時添加の場合も上限はTiと
Bの合計で0.02%であり、上限を超えるとTi単独
添加の場合と同様に箔圧延性が劣り、箔圧延時に箔が破
断し易くなる。 [不可避的不純物量: Si:0.15%未満、Cu:
0.01%未満]不純物としては、箔圧延性および耐食
性を低下させないように、代表的なものとしてSiを
0.15%未満、Cuを0.01%未満とするが、その
他の不純物としても各々0.03%未満が好ましい。
秒]鋳造凝固時の冷却速度は、鋳造時に晶出するAl−
Fe系の金属間化合物の大きさを制御し、続く冷間圧延
および箔圧延により該晶出物を分断し再結晶核となるサ
イズに均一分散化させるために範囲を限定する。このA
l−Fe系金属間化合物粒子の大きさが略1μm以上で
あれば、粒子の周囲に再結晶の核となる転位の集積が可
能となり、再結晶処理時に再結晶粒を微細化し、アルミ
ニウム箔の再結晶化材(軟質材)強度を高くする。鋳造
凝固時の冷却速度が5℃/秒未満では、Al−Fe系金
属間化合物粒子の大きさが粗大となり、続く冷間圧延お
よび箔圧延により分断できないために、アルミニウム箔
に穴あきなどの欠陥が生じる。また、Al−Fe系金属
間化合物粒子の分散数が少なくなり、再結晶処理時にお
ける再結晶の起点となる核数も少なくなり結晶粒を微細
化する効果がなくなるために、アルミニウム箔の軟質材
強度を高くする効果がなくなる。一方、鋳造凝固時の冷
却速度が100℃/秒を超えると、晶出するAl−Fe
系金属間化合物粒子の大きさが微細となり、続く冷間圧
延および箔圧延により更に分断小粒化し、転位の集積能
が低く、再結晶処理における再結晶の起点となる核数が
少なくなり再結晶粒が粗大化し、アルミニウム箔の再結
晶後の強度を高くする効果がなくなる。なお、この鋳造
凝固時の冷却速度が5〜100℃/秒の範囲における鋳
塊を得るための鋳造方法は、例えば連続鋳造法(CC)
の場合は双ベルト鋳造法、ブロック鋳造法等により、半
連続鋳造法(DC)の場合は厚さ20mm以下の鋳造方法
により本発明における鋳造スラブが得られるが、本発明
はそれらの鋳造方法に限定されるものではない。このま
しい鋳造凝固時の冷却速度は5〜40℃/秒である。
処理は、鋳造時の偏析を固溶させ解消することを目的と
して、鋳造スラブを通常450乃至500℃以上の温度
に加熱保持する処理である。このような処理を施すと晶
出物も一部固溶して小さくなり、爾後の鋳造スラブの冷
間圧延および箔地の箔圧延で更に細粒子化し、箔圧延で
粒子周囲の転移の集積量が少なく再結晶核となり難く、
箔の再結晶処理で再結晶粒を微細化できず、その結果再
結晶処理した箔として強度の高い箔が得られない。本発
明においては、鋳造スラブにこの均質化処理を施さない
ことにより、その後の鋳造スラブの冷間圧延および箔地
の箔圧延で、晶出物をその周囲に転移が集積し易いサイ
ズに分断することができる。 [鋳造スラブの冷間圧延の圧下率:90%以上]上記の
ように鋳造凝固時の冷却速度5〜100℃/秒で鋳造す
ることにより得られた鋳造スラブを、均質化処理せずに
圧下率90%以上の冷間圧延を施す。冷間圧延は、鋳造
時に晶出したAl−Fe系の金属間化合物を均一に粒子
状に分散化させる。また、冷間圧延により加工歪み即ち
転位を蓄積させ、続く下記に詳述する中間焼鈍時にFe
の析出を促進させ、Feの固溶量を低減することによ
り、箔圧延時の加工硬化を抑制し、箔圧延性を良好にす
る。これらの作用を得るには、鋳造スラブの冷間圧延の
圧下率を90%以上にする必要がある。圧下率90%未
満では、鋳造時に晶出したAl−Fe系の金属間化合物
を均一に粒子状に分散化させる効果がなく、さらに冷間
圧延により十分に転位を蓄積させることができない。し
たがって、続く中間焼鈍時にFeの析出が促進せず、固
溶量が低減しないから、箔圧延時の加工硬化が大きくな
り、箔圧延性が低下する。
圧下率で90%以上の冷間圧延を行った後、300〜4
00℃の中間焼鈍を施す。この中間焼鈍は、固溶してい
るFeを析出させ、固溶量を低減することにより、箔圧
延時の加工硬化を抑制し、箔圧延性を良好とさせるため
のものである。このような作用を得るには、中間焼鈍の
温度を300℃以上にする必要がある。中間焼鈍の温度
が300℃未満では、Feの析出を促進させることがで
きず、箔圧延性が低下する。一方、中間焼鈍の温度が4
00℃を超えるとFeが再固溶するために、箔圧延時の
加工硬化が大きくなり、箔圧延性が低下する。また、鋳
造時に晶出したAl−Fe系の金属間化合物の分散数が
減少し、軟質化焼鈍すなわち再結晶化処理の際に再結晶
の起点となる核数も少なくなり再結晶粒を微細化する効
果がなくなるために、アルミニウム箔の軟質材強度を高
くする効果がなくなる。
間〜3時間程度行えばよい。保持時間が0.5時間未満
では、Feの析出が十分でなく、また3時間を超える
と、不純物元素としてのMg,Cu等の微量元素が板表
面に拡散し、腐食の原因となり易い。
間焼鈍を行った状態で箔地としてもよく、また中間焼鈍
後更に冷間圧延を施した状態で箔地とすることもでき
る。この中間焼鈍後の冷間圧延における圧下率は、特に
限定するものでなく、必要に応じて適宜ユーザーの求め
る箔地厚さに準じて設定すればよい。箔地の厚さは限定
するものではないが、通常0.2〜0.3mmである。従
って鋳造スラブを均質化処理することなしに圧下率90
%以上で冷間圧延し、その冷間圧延板の厚さが例えば
0.2〜0.3mmであれば爾後本発明に係る中間焼鈍を
施して箔地としても良く、また冷間圧延板の厚さが厚け
れば中間焼鈍後にさらに圧延し、例えば厚さ0.2〜
0.3mmの箔地とすればよい。このようにして得られた
箔地を更に冷間圧延即ち箔圧延して所期の厚さの箔と
し、次いで再結晶処理して軟質化する。この再結晶処理
の条件は、例えば200〜400℃の温度に加熱するこ
とによって得られる。再結晶粒の成長が生じると箔の強
度を低下させるので500℃を超えるような過度の温度
に加熱することは避ける方がよい。再結晶処理による軟
質化で強度の高いアルミニウム箔を確実に得るために
は、再結晶処理の前に行なう冷間圧延は圧下率50%以
上とする必要がある。
に説明する。表1に示した合金組成のアルミニウム合金
記号A〜Hの溶湯を表2に示した条件により鋳造した鋳
造スラブを冷間圧延し、中間焼鈍を施して、更に冷間圧
延により0.25mm厚さの箔地とした。また、従来例と
して、厚さ500mmの半連続鋳造鋳塊を通常の方法で面
削、均質化処理した後、熱間圧延を行って、6mm厚さと
した。これを冷間圧延し、表2に示した条件で中間焼鈍
を施し、更に冷間圧延により0.25mm厚さの箔地とし
た。これらの箔地を3パスで25μm厚さまで箔圧延
し、これらを2枚重ね合せて仕上げ箔圧延して12μm
厚さの箔とした。破断しなかった12μm箔を350℃
で1時間保持による最終焼鈍を行い、再結晶させて軟質
材とした。この箔について強度を測定した。これらの結
果を表2に併記する。なお、凝固時の冷却速度は、DA
S(デンドライトアームスペーシング、以下DASと記
す)からの計算により算出したものである。
No.1〜4は、箔圧延性に優れて、かつ軟質材強度
は、従来例より10%以上高く優れる。製造条件が本発
明と異なる比較例No.5〜13は、箔圧延性、軟質材
強度のいずれかが良好でない。一方、従来例No.14
は、軟質材強度が低いことが判る。
箔の圧延性が良好で、かつ軟質材強度に優れたアルミニ
ウム箔の得られるアルミニウム箔地の製造方法および優
れたアルミニウム箔の製造方法を提供することができ、
工業上顕著な効果を奏するものである。
Claims (2)
- 【請求項1】 質量%で、0.9%を超え1.7%以下
のFeを含有し、残部が鋳造組織微細化剤、不可避的不
純物およびAlからなり、鋳造組織微細化剤が0.02
%以下であり、不可避的不純物としてのSiが0.15
%未満かつCuが0.01%未満であるアルミニウム合
金溶湯を、鋳造凝固時の冷却速度5〜100℃/秒で鋳
造し、得られた鋳造スラブを均質化処理せずに圧下率9
0%以上で冷間圧延を行い、300〜400℃の温度で
中間焼鈍を施し、その後必要により冷間圧延を行うこと
を特徴とするアルミニウム箔地の製造方法。 - 【請求項2】 請求項1記載のアルミニウム箔地を更に
箔厚さまで冷間圧延し、然る後再結晶させてアルミニウ
ム箔を製造するに際して、該再結晶前の冷間圧下率を5
0%以上とすることを特徴とするアルミニウム箔の製造
方法。
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