JP3983454B2 - 高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法および該製造方法により得られるアルミニウム合金板 - Google Patents

高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法および該製造方法により得られるアルミニウム合金板 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高強度高成形性アルミニウム合金板、詳しくは、微細な再結晶粒組織を有し、構造用として好適な高強度高成形性Al−Mg系合金板の製造方法および該製造方法により得られるアルミニウム合金板に関する。
【0002】
【従来の技術】
JIS(またはAA)5052、5056、5082、5083、5086など、比較的多量のMgを含有するAl−Mg系合金は、強度、成形性、溶接性に優れているため、鉄道車両、航空機、船舶、自動車、自転車などの輸送機器、あるいは化学プラントの圧力容器やタンク、建築物や構造物などの部材として使用されている。
【0003】
これらのAl−Mg系合金板は、通常、DC鋳造により造塊し、得られた鋳塊を、常法に従って、均質化処理後、熱間圧延および冷間圧延して所定の厚さの板材とし、ついで再結晶焼鈍を行うことにより製造され、20〜30μmの平均再結晶粒径を有するアルミニウム合金板が得られる。
【0004】
近年、とくに輸送機器部品の小型化、軽量化、高性能化の要求に対応して、部材を薄肉化するために、優れた強度と成形性を兼ね備えたAl−Mg系合金板の開発が要請されており、この要請を実現するための一手段として、Al−Mg系合金の再結晶組織をより微細化する手法が注目されている。微細結晶粒組織とすることによって、強度、成形性のみでなく、破壊靱性や、耐食性、耐応力腐食割れ性なども向上するなど、優れた特性を現出させることもできる。
【0005】
従来、微細な結晶粒組織を有するAl−Mg系合金板を製造する方法として、例えば、6.0%以上,最大7.0%までのMgを含有させるとともに、Fe:0.1〜2.0%、Cr:0.05〜0.5%、Zr:0.05〜0.2%のうちの1種または2種以上を含むAl−Mg系合金について、圧下率90%以上の冷間圧延を加えることによって、再結晶焼鈍後の再結晶粒径を5μm以下の微細粒とすることが提案されている(特願平11−268599号)。
【0006】
この方法は、Mg含有量を極端に多くするとともに、冷間圧延において大圧下を加えて、再結晶の核生成サイトとなる転位やFeを含む化合物粒子を増加させ、さらに、Mn、Cr、Zrなどの析出粒子分散により、粒界の移動による再結晶粒の粗大成長を抑制しようとするものであり、実際に、再結晶焼鈍後、5μm以下の微細再結晶組織を有するAl−Mg合金板の製造が可能となるが、多量のMgを含有させる必要があるため、Mg量が通常の5000系(JISまたはAA)合金におけるMgの成分規格の上限を外れ、また、鋳造や熱間圧延の際にエッジクラックが生じ、大圧下による冷間圧延時のエッジクラックが増大して、板材の製造が困難となり、製造し得たとしても歩留りが極端に低いものとなるから、実用化が難しいという問題がある。
【0007】
さらに、この方法においては、高Mg含有アルミニウム合金に高圧下の冷間圧延を加えているため、得られたアルミニウム合金板の加工硬化量が極端に大きくなり、従って、再結晶焼鈍が低温で行われた場合には焼きなましが不十分となって、各種の用途で要求される伸びや成形性が得られない場合が多い。
【0008】
このような問題を解決するため、前記の方法において、Mg含有量を下げ、例えば通常の5000系の成分規格の5.0%以下にすると、最終焼鈍後の再結晶粒径を5μ以下に微細化することが困難となり、成形性を改良するために再結晶焼鈍の温度を高くした場合にも再結晶粒が粗大化し、最終焼鈍後の再結晶粒径を5μ以下に微細化することが困難となる。
【0009】
一方、JIS7075合金など、高強度Al−Zn−Mg−Cu系合金板を、25〜67%の圧下量で冷間圧延して未再結晶組織のアルミニウム合金板を作製し、ついで、350℃程度の温間域で4×10-3/秒程度の歪み速度で引張り、40%程度の歪を与えて未再結晶組織を動的に再結晶させ、微細な再結晶粒組織を得ることが報告されており(軽金属、第49巻第8号、1999年、383〜388頁)、この方法により高強度が達成できることが知られている。
【0010】
発明者は、冷間圧延による未再結晶組織を温間で引張り、動的に再結晶させる上記の方法についてさらに検討を加え、Mgを通常の5000系合金のMg含有量の成分規格内で比較的多量に含有させた特定組成のAl−Mg系合金への適用可能性について多角的な試験、検討を行った結果、特定の温間引張り温度、歪み速度および引張量の組合わせにおいて、強度および冷間成形性の両特性が同時に向上することを知見した。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の知見に基づいてなされたものであり、その目的は、3.0〜5.0%のMgを含有するAl−Mg合金について、3μm以下の再結晶粒組織を有し、強度、成形性に優れた板材を再結晶焼鈍を施すことなく且つ複雑な工程を経ることなく製造できる高強度高成形性アルミニウム合金の製造方法および該製造方法により得られるアルミニウム合金板を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するための本発明の請求項1による高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法は、Mg:3.0〜5.0%を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金板を、70%以上の圧下率で冷間圧延して該アルミニウム合金板のマトリックスを未再結晶組織とし、その後、200〜300℃の温度において1×10-4/秒以上の歪速度および10%以上の引張量で引張り、前記未再結晶組織を動的に再結晶させて3μm以下の平均結晶粒径を有するアルミニウム合金板を得ることを特徴とする。
【0013】
また、請求項2による高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法は、請求項1において、前記アルミニウム合金板が、さらに、Mn:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とし、請求項3による高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法、請求項1〜2において、前記アルミニウム合金板が、さらに、Ti:0.001〜0.1%、B:1〜300ppmのうちの1種または2種を含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項4による高強度高成形性アルミニウム合金板は、請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造されたアルミニウム合金板であって、平均結晶粒径が3μm以下であり、耐力が250MPa以上、伸びが11%以上であることを特徴とする。
【0015】
本発明の請求項5による高強度高成形性アルミニウム合金板は、請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造されたアルミニウム合金板であって、平均結晶粒径が3μm以下であり、耐力が260MPa以上、伸びが13%以上であることを特徴とする。
【0016】
本発明は、前記のように、Mgを5000系アルミニウム合金のMg含有量の成分規格内で比較的多量に含有させたAl−Mg系合金板に、70%以上の比較的大きな圧下を加え、冷間圧延前の結晶粒組織における大傾角粒界を高密度に蓄積した未再結晶組織のAl−Mg系合金板を作製し、ついで、該Al−Mg系合金冷間圧延板を、200〜300℃の温間で引張る(ストレッチする)ことにより、未再結晶組織を動的に再結晶させ、再結晶組織の平均結晶粒径を3μm以下とすることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明におけるAl−Mg系合金の成分元素の意義および限定理由について説明すると、Mgは、固溶強化により合金の強度、成形性を向上させるよう機能する元素であり、好ましい含有量は3.0〜5.0%の範囲である。3.0%未満では十分な固溶強化が得られない。また、比較的大きな圧下量で冷間圧延を行った場合における回復を抑制できず、冷間圧延後の温間の引張りの際の未再結晶組織の動的再結晶が不足して、未再結晶組織や転位組織が残存し、微細な再結晶組織が得られず、十分な強度および成形性が達成できない。5.0%を越えて含有されると、鋳造、熱間圧延および冷間圧延時のエッジクラックにより板材の製造が困難となり、製造できたとしても歩留りが顕著に低下するため、工業的な製造に適しなくなる。
【0018】
Mn、Cr、Zrは、Al−Mn系、Al−Cr系、Al−Zr系などの化合物粒子(晶出物)を生成して、温間引張りで形成された微細結晶粒の成長、粗大化を抑制し、再結晶粒を微細化するために機能する。好ましい含有量は、Mn:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%の範囲であり、それぞれ下限未満ではその効果が十分でなく、それぞれ上限を越えた場合には、結晶粒微細化の効果が飽和し、また、鋳造時に粗大な晶出物が生じ、破壊靱性、疲労強度、伸び、成形性などの特性が劣化し易くなる。
【0019】
Ti、Bは鋳塊の結晶粒を微細化する効果を有する。とくにTiは、通常、アルミニウム合金に添加される元素である。好ましい含有量は、Ti:0.001〜0.1%、B:1〜300ppmの範囲であり、それぞれ下限未満ではその効果が小さく、上限を越えて含有すると鋳造時に粗大な晶出物が生成し易くなる。なお、本発明においては、上記の成分の他、Al−Mg系合金中に通常含まれる0.2%以下のCu、0.25%以下のZn、0.5%以下のSi、O.5%以下のFe、0.05%以下のVなどが含有していても本発明の効果が害されることはない。
【0020】
本発明のアルミニウム合金板の製造方法について説明すると、本発明における出発材料、すなわち冷間圧延−温間引張りに供するAl−Mg系合金板は、常法により製造することができる。すなわち、上記組成を有するAl−Mg系合金を溶解し、半連続鋳造(DC鋳造)により造塊して、得られた鋳塊を均質化処理後熱間圧延、必要に応じて中間焼鈍、あるいは熱間圧延後冷間圧延、中間焼鈍することにより製造される。
【0021】
鋳塊の均質化処理は、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Cr系、Al−Zr系などの化合物粒子を微細に且つ多数析出させるために、430〜540℃の温度で行うのが好ましい。430℃未満では拡散による均質化自体の効果が不足し、540℃を越えると、上記の化合物粒子が粗大化する可能性が大きい。
【0022】
熱間圧延は常法により行うことが可能であるが、熱間圧延の加工度(圧下率)は冷間圧延の圧下率に影響するから、冷間圧延の圧下率を高くするためには、最終板厚が同じ場合、熱間圧延終了時の板厚が大きいほうが好ましい。また、熱間圧延時に導入される歪(転位密度)を大きくすることが望ましいから、熱間圧延の終了温度は低いほうが好ましい。
【0023】
本発明においては、鋳造工程において、Al−Mn系、Al−Fe系、Al−Cr系、Al−Zr系などの化合物の固溶を促進し、これらの析出を抑制するのが好ましく、そのためには、鋳造の際の冷却速度を大きくすることが望ましいから、鋳造は、通常のDC鋳造より、凝固時、液相線温度から固相線温度までの冷却速度を2℃/秒〜10℃/秒とすることができる、回転式水冷鋳型などを用いる双ロール鋳造法、スチールベルトを鋳型とするベルト鋳造法、3C法、水冷鋳型ブロックを使用するブロックキャスター法などの連続鋳造方式によるのが好ましい。
【0024】
上記の鋳造方式により鋳造された板材は、上記の熱間圧延、必要に応じて中間焼鈍、熱間圧延後冷間圧延、中間焼鈍、または熱間圧延することなく直接冷間圧延、中間焼鈍を行うことにより、本発明における出発材料、すなわち冷間圧延−温間引張りに供するAl−Mg系合金板とする。中間焼鈍は、バッチ式の熱処理炉または連続焼鈍炉(CAL)により行われる。
【0025】
本発明の特徴とする冷間圧延工程−温間引張り工程について説明すると、まず、冷間圧延工程においては、70%以上の圧下率で冷間圧延を行う。この工程は、引き続いて行われる温間引張り工程において再結晶粒径を3μm以下に微細化するための重要な工程である。70%以上の圧下率で冷間圧延することにより、冷間圧延前に形成されていた大傾角粒界を高密度に分布させ、本発明の特定条件下での温間の引張りにおいて、局部的な粒界すべりにより隣接する亜結晶粒が回転して粒界傾角を増加させ、微細結晶組織を得ることが可能となる。
【0026】
続いて行われる温間引張りは、200〜300℃の温度において、歪み速度1×10-4/秒以上、引張量10%以上の条件で行われ、冷間圧延板のマトリックスの未再結晶を動的に再結晶させる。この場合、実質的に再結晶組織が形成されればよく、本発明の効果に影響しない程度の若干の未再結晶組織や転位組織が混在していてもよい。温度が200℃未満では未再結晶を動的に再結晶させることが十分にできず、未再結晶組織や転位組織が残存して平均結晶粒径3μm以下の微細再結晶粒組織が得られない。300℃を越えると、再結晶粒が粗大化するため平均結晶粒径3μm以下の微細再結晶粒組織が形成できない。
【0027】
また、歪み速度が1×10-4/秒未満では、引張量10%以上の引張りを行っても、200〜300℃にアルミニウム合金板が加熱される時間が長くなるために再結晶粒が粗大化する。引張量が10%未満では、200〜300℃の温度で歪み速度1×10-4/秒以上で引張りを行っても、未再結晶の動的再結晶が不足し、未再結晶組織や転位組織が残存して平均結晶粒径3μm以下の微細再結晶粒組織が得られない。
【0028】
本発明における温間引張りは、例えば、加熱・保温装置を付設したストレッチャーなどの引張矯正機やレベラーなどのロール矯正機を使用して行うことができる。
【0029】
なお、本発明における結晶粒径の測定は、アルミニウム合金板の長さ方向(圧延方向)の断面について、光学顕微鏡および集束イオンビーム加工観察装置(FIB)を用い、切断法により行う。具体的には、直線で切断される結晶粒の数が100個以上となるように直線を描き、この直線の長さを切断された結晶粒の数で除して再結晶粒径とする。
【0030】
通常、Al−Mg系合金板においては、最終的に高温焼鈍を行い、各種用途で要求される伸びや絞り高さなどの成形性を向上させるが、本発明の温間引張りは高温焼鈍処理の代わりとなるものであり、温間引張り工程を経たAl−Mg系合金板は平均結晶粒径3μm以下の微細組織となっているから、高強度で高成形性をそなえており、通常行われる高温焼鈍は不要である。最終の高温焼鈍は再結晶粒径を粗大化するため有害である。最終焼鈍を行わずに製品板とする点も本発明の特徴の一つである。
【0031】
上記の工程により製造されるアルミニウム合金板は、平均結晶粒径3μm以下のきわめて微細な再結晶粒組織を有し、且つ耐力が240MPa以上、望ましくは260MPa以上、伸びが10%以上、望ましくは13%以上の機械的特性をそなえており、強度および成形性に優れたものとなる。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例を比較例と対比して説明するとともに、それに基づいてその効果を実証する。なお、これらの実施例は、本発明の好ましい一実施態様を説明するためのものであって、これにより本発明が制限されるものではない。
【0033】
実施例1
表1に示す組成を有するAl−Mg系合金を、DC鋳造(冷却速度5℃/秒)により造塊し、得られた鋳塊(厚さ50mm)を、520℃の温度で4時間均質化処理(昇温速度50℃/秒)した後、この温度で熱間圧延を開始し、300℃で熱間圧延を終了して厚さ10mmの板材とした。
【0034】
ついで、これらの熱延板を、表2に示すように、90%および80%の圧下率で冷間圧延し、得られた冷間圧延板について、加熱装置を付設したストレッチャーを用いて表2に示す条件で温間引張りを行った。
【0035】
温間引張り後のAl−Mg系合金板(試験材)について、長さ方向の断面の再結晶粒径を前記の方法により測定して平均再結晶粒径を求め、引張試験(JISZ 2241)を行って引張強さ(σB ) 、耐力(σ0.2)、伸び(δ)を測定した。また、プレス成形性を評価するために、試験材からブランク材を採取し、LDH0 (最大張出し高さ)測定用の金型(直径50.8mmの球頭ポンチ)を用いて球頭張出試験を行い、その際に割れを生じることなく成形できたLDH0 (最大張出し高さ)を求めた。これらの結果を表2に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0003983454
【0037】
【表2】
Figure 0003983454
【0038】
表2にみられるように、本発明に従う試験材No.1〜9は、いずれも平均結晶粒径3μm以下の微細再結晶組織を有し、温間引張り状態で、優れた機械的性質をそなえ、成形性にも優れたものとなっている。これらの試験材のうち、冷間圧延の圧下率がやや低い試験材No.2、歪み速度、引張量が比較的低い試験材No.4、5は、再結晶粒径が比較的大きくなっているため、また、引張温度が比較的低い試験材No.3は組織中に転位組織が若干混在しているため、いずれも機械的特性の一部が、他の試験材に比べるとやや劣ったものとなった。
【0039】
比較例1
表3に示す組成を有するAl−Mg系合金を、DC鋳造(冷却速度5℃/秒)により造塊し、得られた鋳塊(厚さ50mm)を、520℃の温度で4時間均質化処理(昇温速度50℃/秒)した後、この温度で熱間圧延を開始し、300℃で熱間圧延を終了して厚さ10mmの板材とした。
【0040】
ついで、これらの熱延板および実施例1の合金No.Aの熱延板を、表4に示すように、90%および60%の圧下率で冷間圧延し、得られた冷間圧延板について、実施例1と同様、加熱装置を付設したストレッチャーを用いて表2に示す条件で温間引張りを行い、温間引張り後の板材(試験材)について、実施例1と同じ測定、試験を行った。結果を表4に示す。なお、表3〜4において、本発明の条件を外れたものには下線を付した。
【0041】
【表3】
Figure 0003983454
【0042】
【表4】
Figure 0003983454
【0043】
表4に示すように、試験材No.10は優れた特性を示しているが、Mgの含有量が多いため、鋳造、熱間圧延、冷間圧延においてエッジクラックが顕著に発生し、健全部として採取できた板材の歩留りは70%程度ときわめて低く、実用化には問題がある。試験材No.11は、Mg量が少ないため3μm以下の平均結晶粒径の組織が得られず、機械的強度が低くなっている。また、試験材No.12〜16は、冷間圧延の圧下率または温間引張り条件が本発明の条件を外れているため、いずれも再結晶粒径が大きくあるいは未再結晶組織となり、機械的強度、成形性(伸び)のいずれかが劣る結果となった。
【0044】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、3.0〜5.0%と比較的少ないMgを含有するAl−Mg合金について、微細な再結晶粒組織を有し、強度、成形性に優れた板材を再結晶焼鈍を経ることなく製造することが可能となる。
【0045】
本発明により得られるアルミニウム合金板は、平均結晶粒径が3μm以下のきわめて微細な組織をそなえ、強度、成形性に優れたものであり、輸送機器へのアルミニウム合金板材の用途を大きく拡大することができ、工業的価値の高いものである。

Claims (5)

  1. Mg:3.0〜5.0%(質量%、以下同じ)を含有し、残部Alおよび不純物からなるアルミニウム合金板を、70%以上の圧下率で冷間圧延して該アルミニウム合金板のマトリックスを未再結晶組織とし、その後、200〜300℃の温度において1×10-4/秒以上の歪速度および10%以上の引張量で引張り、前記未再結晶組織を動的に再結晶させて3μm以下の平均結晶粒径を有するアルミニウム合金板を得ることを特徴とする高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法。
  2. 前記アルミニウム合金板が、さらに、Mn:0.05〜0.5%、Cr:0.05〜0.2%、Zr:0.05〜0.2%のうちの1種または2種以上を含有することを特徴とする請求項1記載の高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法。
  3. 前記アルミニウム合金板が、さらに、Ti:0.001〜0.1%、B:1〜300ppmのうちの1種または2種を含有することを特徴とする請求項1または2記載の高強度高成形性アルミニウム合金板の製造方法。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造されたアルミニウム合金板であって、平均結晶粒径が3μm以下であり、耐力が250MPa以上、伸びが11%以上であることを特徴とする高強度高成形性アルミニウム合金板。
  5. 請求項1〜3のいずれかに記載の方法により製造されたアルミニウム合金板であって、平均結晶粒径が3μm以下であり、耐力が260MPa以上、伸びが13%以上であることを特徴とする高強度高成形性アルミニウム合金板。
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