JP4911657B2 - 高伝導率アルミニウムフィン合金 - Google Patents
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Description
(発明の属する技術分野)
本発明は、熱交換器のフィン製造に使用される改善アルミニウム合金製品、特に、高い熱伝導率を有するフィンストック(finstock)材料に関する。
【0002】
(従来の技術)
アルミニウム合金は、長年、自動車ラジエーターやコンデンサーや蒸発器などの熱交換器フィンの製造に採用されている。伝統的なラジエーターフィン合金は、ロウ付け処理の間に良好な垂れ耐性およびロウ付け適性(高いロウ付け温度)を示すと共に、ロウ付け処理後に高い強度(UTS)が得られるように、設計されている。この目的に使用される合金は、通常、高いレベルでマンガンを含んでいる。この合金の例は、アルミニウム合金AA 3003である。このような合金の熱伝導率は、比較的低い。低い熱伝導率は、これまで、フィンストック材料の厚みが著しく大きいため、重大な問題ではなかった。フィンストック材料は、適切な厚みであれば、当該合金の熱伝導率が低い場合であっても、多量の熱量を伝達することができる。しかしながら、車両重量を軽量化させるには、より薄いフィンストック材料が必要であり、これは、熱伝導率改善の必要性を強調することとなる。明白なことであるが、より薄い厚みの材料は、より薄くなるにつれて、熱の流動を阻害する傾向を示す。
【0003】
加えて、自動車用熱交換器業界が必要とするフィン材料の特性として、熱交換器の管や他のパーツに採用されている合金よりも、低い腐食電位(より陰性の腐食電位)がある。
【0004】
本発明の発明者は、これまでに、特殊なアルミニウム合金が、フィンストック材料の使用に特に適していることを見出した〔本件出願人による、PCT出願WO 00/05426(国際公開2000年2月3日)に開示〕。この合金は、Fe、Si、Mnおよび一般にZnおよび所望によりTiを、特定の含有量範囲で含んでいる。しかしながら、この種の合金についての熱伝導率の改善は、かかる合金を、自動車産業における厳格な要件、特により薄い厚みのフィンストック材料における厳格な要件に適合させるのにより有用にさせうる。
【0005】
(発明が解決しようとする技術的課題)
本発明の目的は、アルミニウムフィンストック材料の特性を改善することである。
【0006】
本発明の別の目的は、高い熱伝導率を有する新規なアルミニウム合金フィンストックを製造することである。
【0007】
本発明の別の目的は、アルミニウムフィンストック材料の性能を損なうことなく、かかる材料の厚み減少を可能にさせることである。
【0008】
本発明の別の目的は、Fe、Si、Mn、Znおよび所望によるTiを含むアルミニウムフィンストック合金の熱伝導率を改善する一方、良好な強度、ロウ付け適性および低い腐食電位(より陰性な腐食電位)を達成することである。
【0009】
(発明の開示)
本発明の一態様によれば、本発明は、アルミニウム合金フィンストック材料を製造する方法であって、
アルミニウムフィンストック合金を連続的にストリップ鋳造して、鋳造ストリップを形成し、得られたストリップを圧延して、中間厚みの合金板物品を形成し、中間厚みの合金板物品を焼鈍し、中間厚みの合金板物品を冷間圧延して、最終厚みのアルミニウムフィンストック合金材料を製造する工程を含んでなる方法において、
上記各工程は、次の元素(重量%)を含んでなるフィンストック合金について実施することを特徴とする方法:
Fe 1.6〜2.4
Si 0.7〜1.1
Mn 0.3〜0.6
Zn 0.3〜2.0
Ti(任意成分) 0.005〜0.040
不可避的元素 各元素0.05未満(合計量0.15以下)
Al 残部
を提供する。
【0010】
また、本発明は、アルミニウム合金フィンストック材料であって、当該材料は、前記した合金組成を有し、好ましくは、前記した方法によって製造され、特に、100μmまたはそれ以下、好ましくは80μmまたはそれ以下、理想的には60±10μmの厚みを有する材料を提供する。
【0011】
本発明の方法によれば、従来技術で可能であったものよりもより薄いフィンを用いたロウ接熱交換器を製造するのに適した新規なフィンストック材料を製造することができる。これは、熱交換器への使用を可能にするような、充分なフィン強度および熱伝導率を保持しつつ、達成することができる。
【0012】
本発明の好ましい態様によれば、当該合金中に、この種の合金に通常使用されてきた用量よりも、より多量のZn、Siおよび/またはMnを混和でき、それにもかかわらず、熱伝導率レベルは、多量の補償鉄成分を用いて維持することができる。
【0013】
(図面の説明)
図1は、本発明の方法の好ましい態様に従いフィンストック材料を製造する好適な方法における工程を、鋳造工程、圧延工程および所望による最終ロウ付け工程を含め、示したフローチャートである。
【0014】
図2は、種々の濃度で鉄を含むフィンストックの導電率を示すグラフである。
【0015】
(発明を実施するための最良の形態)
アルミニウム並びにZn、Mn、SiおよびFeを含む合金元素をベースとする、フィンストック材料において、当該材料の特性は、合金元素の組成を変化させて調節される。一般に、高い強度と、低い腐食電位(より陰性の腐食電位)とを有する材料を得るのが、望ましい。例えば、腐食電位は、合金中の亜鉛(Zn)量の増加によって、より陰性となる(および、これは、かかる材料のフィンを用い、熱交換器の腐食性能の全般的な改善を得るのに役立つ。)。しかしながら、亜鉛量の増加は、フィンストックの熱伝導率に対し、マイナスの作用を示す。同様に、マンガン(Mn)およびケイ素(Si)の用量を増加させて、ロウ付け後の当該材料の強度(極限引張強度、UTS)を改善することは、同様に、熱伝導率に対しマイナスの作用を示す。これは、より薄いフィンの製造を可能にするために高い熱伝導率が必要となる、近年のフィンストック材料にとって問題となる。
【0016】
本発明は、少なくともその好ましい態様において、亜鉛含有量の増加から得られる伝導率の減少を、合金中の鉄含有量の対応する増加によって補償できる、という予期せぬ知見に基づくものである。加えて、本発明者は、鉄含有量を増加させると、同様に、ケイ素およびマグネシウムの増加によって引起される熱伝導率の低下を、補償できることも、見出した。さらに、基合金の熱伝導率よりも大きい熱伝導率並びに他の特性の改善を所望する場合、鉄の添加量は、上記関係をベースとする補償量よりも、より大きくすることができる。したがって、本発明は、良好な強度、ロウ付け適性および腐食電位を得るのに必要なレベルの亜鉛、マンガンおよびケイ素を補償するためにこれまで使用されきた量よりも、より多量の鉄を使用でき、また、これらの元素のレベルを、これまで可能であったレベルよりも、さらに増加させることができる。
【0017】
鉄の添加が、他の元素増加の補償により合金の伝導率を増加させる理由は、正確にはわからない。しかしながら、本発明が特定の理論に拘束されることを意図するものではないが、過剰量の鉄によって、後の圧延および中間焼鈍段階(処理経路)の間に鋳造によって形成される過飽和マトリックス合金の分解が促進され、これにより、過剰量の鉄が存在しない場合よりも、より効率的にマトリックス中の溶質含有量を減少させることが可能になるようである。
【0018】
上記考察に加え、合金中の種々の元素およびその用量は、これらの付加的な考察に注意しながら、選択することができる。
【0019】
合金中の鉄は、鋳造工程の間に比較的小さい金属間粒子を形成して、粒子の強化に貢献する。2.4重量%を超える鉄含有量を用いれば、所望の非常に薄いフィンストック厚みへの圧延を妨害するような、大きい金属間相粒子が形成される。これら粒子の形成の開始は、使用した鋳造条件そのものに依存するため、好ましくは、2.0%未満の鉄を使用して、最も広範で可能な処理条件下に、良好な材料を確保する。亜鉛、マンガンおよびケイ素添加に対する補償作用を得るのに充分な鉄が存在することを確保するには、下限量1.6%の鉄が必要である。鉄は、また合金中に強化粒子を形成し、その充分な数を確保する下限量が存在する。所望により、特定の合金中に使用される鉄の用量は、亜鉛、ケイ素および/またはマンガンの通常の濃度よりもより高い濃度によって起こりうる熱伝導率のいずれの低下をも完全に補償しうるように、選択することができる。このような鉄の用量を、補償量と呼ぶことができる。しかしながら、所望により、所望レベルからの熱伝導率の変動を許容しうる場合には、かかる補償量を超える量または下回る量を、前記範囲内で用いることができる。
【0020】
合金中、0.7〜1.1重量%範囲のケイ素は、粒子および固溶体の両者の強化に貢献する。0.7重量%未満のケイ素であれば、この強化目的に不充分である一方、1.1重量%を超えるケイ素であれば、鉄の増量による補償にも拘らず、伝導率が著しく低下しうる。より重要なこととして、高いケイ素含有量では、合金溶融温度は、材料をロウ付けできないほどの温度に低下してしまう。最適な強化を得るには、0.8重量%より過剰量のケイ素が特に好ましい。
【0021】
マンガンは、0.3〜0.6重量%の範囲で存在する場合、固溶体の強化に著しく貢献し、また、材料の粒子強化にある程度貢献する。0.3重量%未満であれば、マンガン量は、かかる目的に不充分である。0.6重量%を超えれば、固溶体中のマンガンの存在は、鉄の増量による補償にも拘らず、伝導率に対し著しく悪影響を与える。
【0022】
0.3〜2.0重量%範囲の亜鉛は、広い範囲にわたって、フィン材料の腐食電位を調節することができる。しかしながら、好ましくは、1.5重量%以下の量で亜鉛を存在させる。なぜなら、この場合に高いレベルの鉄が許容された場合でも、最終的には、伝導率に対してマイナスの作用を示すからである。また、好ましくは、亜鉛を0.6重量%を超える量で、充分な(陰性の)腐食電位を達成し、この上限値は、本発明の高含有量鉄によって充分に補償されるよりも高い。
【0023】
チタンは、TiB2として合金中に存在する場合、鋳造工程の間に粒子リファイナーとして作用する。0.04重量%を超える量で存在すれば、チタンは、伝導率に対し、悪影響を与える傾向を示す。
【0024】
合金中の不可避的元素について、各元素は、0.05重量%未満とすべきで、また合計量は、0.15重量%未満とすべきである。特に、マグネシウムは、0.10重量%未満の量、好ましくは0.05重量%未満の量で存在させる必要があり、これにより、Nocolok(登録商標)プロセスによるロウ付け適性を確保すべきである。銅は、0.05重量%未満の量に維持しなければならない。なぜなら、銅は、マグネシウムの伝導率に対する作用と同様の作用を示し、また孔食を引起しうるからである。
【0025】
上記範囲の合金組成を用いる場合、注意すべきこととして、所望の特性のフィンストック合金板を製造するには、好ましくは、合金は、非常に特定の条件下に鋳造する必要がある。
【0026】
好ましい処理経路は、添付の図1に示され、この図1において、いくつかの工程は、連続的に示され、実施される。工程1に示すように、まず、合金を、連続法(例えば、ベルト鋳造法)によって鋳造して、鋳造したままの連続合金ストリップ(これは、通常3〜30 mmの厚み、好ましくは少なくとも5 mmの厚みおよび所望により5〜25 mmの厚みを有する。)を形成する。ストリップ鋳造工程の間、平均冷却速度は、好ましくは、少なくとも10℃/秒である。しかしながら、好ましくは、平均冷却速度は、250℃/秒未満、最も好ましくは200℃/秒未満である。次いで、鋳造ストリップを圧延して、中間厚みを形成する(工程2)。これは、冷間圧延によって実施することができるが、鋳造したままのストリップの厚みに応じて、ストリップは、要すれば、中間厚みへの冷間圧延の実施前に、再圧延厚み(厚み1〜5 mm)に熱間圧延する。これが必要である場合、熱間圧延は、予め均質化することなく、実施しなければならない。中間厚みのストリップ(好ましくは0.08〜0.2 mm、より好ましくは0.092〜0.150 mmのストリップ)を、次いで、例えば、320〜450℃で1〜6時間焼鈍し(工程3)、最終厚み(好ましくは約0.05〜0.1 mm、より好ましくは約0.06 mmの厚み)に冷間圧延する(工程4)。得られた最終厚みのフィンストック材料は、次いで、熱交換器製造の間に、ロウ付け処理に付すことができる(図1の工程5)。この最終工程は、通常、合金板製造業者ではなく、ラジエーター製造業者によって実施される(これは、図1の工程5周囲の輪郭が異なる形態によって示す。)。
【0027】
前記した平均冷却速度は、鋳造したままのスラブの厚みにわたって平均した冷却速度を意味し、冷却速度は、鋳造したままのスラブの厚みを横断してとった、平均デンドライト間セルスペーシングから、測定する〔例えば、次の文献を参照されたし:R.E. Spear et. al.; the Transactions of the American Foundrymen's Society, Proceedings of the Sixty-Seventh Annual Meeting, 1963, Vol. 71, 発行者:the American Foundrymen's Society, Des Plaines, Illinois, USA, 1964, p.209 - 215〕。好ましい平均冷却速度に対応する平均デンドライト間セルサイズは、7〜15ミクロンである。
【0028】
鋳造処理において、平均冷却速度が10℃/秒未満である場合、鋳造の間に形成された金属間粒子は、あまりにも大きくなって、圧延する際に問題を引起す。低い冷却速度は、一般に直冷(DC)鋳造および均質化処理に伴い、このような環境下では、過飽和マトリックス合金から、元素が析出して、溶液強化メカニズムが低下し、その結果、材料の強度が不充分なものとなる。これは、連続ストリップ鋳造法を使用すべきことを意味する。かかる方法として、ロール鋳造法、ベルト鋳造法およびブロック鋳造法を含め、種々の方法が存在する。ベルト鋳造法およびブロック鋳造法は、共に、低い最大平均冷却速度250℃/秒未満、より好ましくは200℃/秒未満で操作され、これらの方法は、欠陥を形成することなく高含有量鉄合金を鋳造することが、より可能であるため、特に好ましい。
【0029】
本発明の特に好ましい態様によれば、フィンストックを、合金の連続ストリップ鋳造によって製造して、5〜30 mm厚のストリップを形成し(冷却速度10℃/秒またはそれ以上、ただし、250℃/秒未満)、所望により鋳造したままのストリップを、板厚1〜5 mmに熱間圧延し、板厚0.08〜0.20 mm(この厚みは、中間厚み)に冷間圧延し、340〜450℃で1〜6時間焼鈍し、最終厚み(0.05〜0.10 mm)に冷間圧延する。好ましくは、鋳造したままのストリップは、熱間圧延プロセス内に、温度約400〜550℃で導入する。熱間圧延工程は、最小厚み付近の厚みを有する鋳造したままのストリップについては、不要となりうる。最終の冷間圧延は、好ましくは60%未満の減少率、より好ましくは50%未満の減少率を用いて実施すべきである。最終の圧延工程における冷間圧延の量は、ロウ付け後に最適な粒径(即ち、30〜80μm、好ましくは40〜80μm)が得られるように調節する。冷間圧延による減少率があまりにも大きい場合、ロウ付け後の極限引張強度(UTS)は、高くなるが、粒径が小さくなりすぎ、ロウ付け温度も低くなる。他方、冷間圧延による減少率があまりにも小さい場合、ロウ付け温度は、高くなるが、ロウ付け後の極限引張強度は、低くなりすぎる。連続ストリップ鋳造法のうち、好ましい方法は、ベルト鋳造法である。
【0030】
前記したように、鋳造後、ストリップは、鋳造したままのストリップの厚みに応じて、熱間圧延するかまたは直接、冷間圧延して、中間厚み(一般に、0.092〜0.150 mm)を形成する。この厚みにおいて、圧延したストリップを、中間焼鈍に、温度範囲320〜450℃で、1〜6時間付す。冷却後、中間焼鈍ストリップを、次いで最終厚み(薄いフィンストック製品を所望する場合には、好ましくは0.06 mm)に、冷間圧延に付す。この製品は、熱交換器の製造に意図したものであって、熱交換器製造工程の間に、ロウ付け処理に付す。
【0031】
本発明に従い、この合金から形成したストリップ製品は、約127 MPaを超えるロウ付け後の極限引張強度(UTS)、好ましくは約130 MPaを超える当該極限引張強度、49.0%IACSを超えるロウ付け後の伝導率、より好ましくは49.8%IACSを超える当該伝導率、最も好ましくは50.0%IACSを超える当該伝導率および595℃を超えるロウ付け温度、好ましくは600℃を超えるロウ付け温度を有する。
【0032】
これらストリップの特性は、シミュレーションしたロウ付け条件下に、次のように測定される。
【0033】
ロウ付け後の極限引張強度(UTS)は、ロウ付け条件をシミュレーションした、次のような方法に従い、測定する。圧延したままの厚みの最終処理済みフィンストック(例えば、厚み0.06 mmに圧延した後のフィンストック)を、570℃に予熱した炉に入れ、次いで約12分で600℃に加熱し、600℃で3分間保持し(均熱し)、50℃/分で400℃に冷却し、次いで室温まで空冷した。次いで、この材料に対して引張強度試験を行った。
【0034】
ロウ付け後の熱伝導率は、導電率(これは、熱伝導率と直接的に対応し、また測定するのがより容易である。)として、ロウ付け条件をシミュレーションした極限引張強度(UTS)試験用として処理した試料について、JIS-H0505記載の導電率試験法を用い、測定する。導電率は、国際焼鈍銅標準(International Annealed Copper Standard)の割合として表示した(%IACS)。
【0035】
(実施例)
一連の実験用合金を、実験室二本ベルトキャスターによって鋳造し、次いで、前記したような条件下に最終厚みに圧延した。合金の組成および伝導率(ロウ付け後の状態の伝導率)を、表1に示す。
【0036】
【表1】
:合金組成(重量%)および伝導率
【0037】
多数の回帰分析を、得られた材料について行ない、各元素の伝導率に対する作用を、試験結果から決定し、ロウ付け済み状態の伝導率に対する合金元素(マンガン、ケイ素、鉄および亜鉛)0.1重量%添加による作用を決定した。この結果を、表2に示す。
【0038】
【表2】
:ロウ付け後伝導率に対するMn、Si、FeおよびZn0.1重量%添加による作用
【0039】
表2からわかるように、マンガン、ケイ素および亜鉛は、伝導率を低下させる一方、鉄の添加によって、予期せぬ伝導率の増加が得られた。
【0040】
鉄の作用を充分に説明するため、表1から、合金分析の誤差範囲内においてケイ素およびマンガンが一定であるデータ(表1において、*によって示したデータ)を選択した。亜鉛の量は、変化しているが、亜鉛の作用は、ケイ素およびマンガンの作用よりもかなり小さいため、無視することができる。
【0041】
次いで、以上のデータに関し、伝導率を鉄に対して図2にプロットすると、伝導率に対する鉄の驚くべき作用が判明した。1.6%を超える鉄レベルでは、伝導率は、他の元素のマイナスの作用を補償するのに充分であり、したがって、本発明の合金において、マンガン、ケイ素および亜鉛のレベルを増加させることができる。さらに表1に関し、鉄が1.6%を超過する全ての場合において、ケイ素および/またはマンガンが比較的高いレベルであっても、目標とする伝導率を超える、少なくとも49.0%IACSの伝導率が得られた。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法の好ましい態様に従いフィンストック材料を製造する好ましい方法における工程を、鋳造工程、圧延工程および所望による最終ロウ付け工程を含めて、示したフローチャート
【図2】 種々の濃度で鉄を含むフィンストックの導電率を示すグラフ
Claims (22)
- アルミニウム合金フィンストック材料を製造する方法であって、
アルミニウムフィンストック合金を10℃/秒〜250℃/秒の冷却速度で連続的にストリップ鋳造して、鋳造したままのストリップを形成し、鋳造したままのストリップを圧延して、中間厚みの合金板物品を形成し、中間厚みの合金板物品を焼鈍し、中間厚みの焼鈍合金板物品を冷間圧延して、49.0%IACSを超えるロウ付け後の伝導率を有する最終厚みのアルミニウムフィンストック材料を製造する工程を含んでなる方法において、
上記各工程は、次の元素(重量%):
Fe 1.85〜2.4
Si 0.7〜1.1
Mn 0.3〜0.6
Zn 0.3〜2.0
Ti 0.005〜0.040
不可避的元素 各元素0.05未満(合計量0.15以下)
Al 残部
を含んでなるフィンストック合金について実施することを特徴とする方法。 - 上記各工程は、0.005〜0.02重量%のTiを含む合金について実施する請求項1記載の方法。
- 上記各工程は、2.0重量%未満のFeを含む合金について実施する請求項1または2記載の方法。
- 上記各工程は、0.8重量%を超えるSiを含む合金について実施する請求項1、2または3記載の方法。
- 上記各工程は、0.6重量%を超えるZnを含む合金について実施する請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
- 冷間圧延前の再圧延ストリップに対し、予め均質化処理することなく、鋳造ストリップを、熱間圧延する請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
- 合金を、30 mm以下の厚みに鋳造する請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
- 合金を、3〜30 mmの厚みに鋳造する請求項7記載の方法。
- 鋳造ストリップを、予め均質化処理せずに、熱間圧延して、厚み1〜5 mmの合金板物品を形成する請求項8記載の方法。
- 熱間圧延した合金板物品を、温度340〜450℃で1〜6時間、焼鈍する請求項9記載の方法。
- 焼鈍した合金板物品を、100μm未満の最終ストリップ厚みに、冷間圧延する請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
- 焼鈍した合金板物品を、80μm未満の最終厚みに、冷間圧延する請求項1〜11のいずれかに記載の方法。
- 焼鈍した合金板物品を、60±10μmの最終厚みに、冷間圧延する請求項1〜12のいずれかに記載の方法。
- 焼鈍した合金板物品を、最終の合金板物品に、60%未満の減少率を用いて冷間圧延する請求項1〜13のいずれかに記載の方法。
- 前記ストリップ鋳造は、ベルトキャスターを用いて行なう請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
- 最終厚みのストリップ物品は、50.0%IACSを超える、ロウ付け後の伝導率を有する請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
- アルミニウムフィンストック合金板材料であって、
当該材料は、49.0%IACSを超えるロウ付け後の伝導率を有し、以下の元素(重量%):
Fe 1.85〜2.4
Si 0.7〜1.1
Mn 0.3〜0.6
Zn 0.3〜2.0
Ti 0.005〜0.040
不可避的元素 各元素0.05未満(合計量0.15以下)
Al 残部
を含んでなる合金からつくられたことを特徴とする材料。 - ロウ付け後の伝導率は、50.0%IACSを超える値である請求項17記載の材料。
- 当該材料の厚みは、100μm未満である請求項17または18記載の材料。
- 当該材料の厚みは、80μm未満である請求項17または18記載の材料。
- 当該材料の厚みは、60±10μmである請求項17または18記載の材料。
- 当該材料は、請求項1〜16のいずれかに記載の方法によって製造された請求項17〜21のいずれかに記載の材料。
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