JPH1121129A - 磁性酸化物粉末の製造方法 - Google Patents

磁性酸化物粉末の製造方法

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JPH1121129A
JPH1121129A JP19076997A JP19076997A JPH1121129A JP H1121129 A JPH1121129 A JP H1121129A JP 19076997 A JP19076997 A JP 19076997A JP 19076997 A JP19076997 A JP 19076997A JP H1121129 A JPH1121129 A JP H1121129A
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oxide powder
magnetic oxide
powder
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Yoshito Nihei
義人 仁平
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 所定の新規な磁性酸化物粉末の製造方法を提
供する。さらには原材料の調整や熱処理条件などをコン
トロールすることにより生成の制御が容易に行える製造
方法を提供する。 【解決手段】 一般式FeO・R23 (ここで、Rは
Mn,Co,Crの中から選ばれた1種)で表される磁
性粉末を主成分とする磁性酸化物粉末の製造方法、ある
いは、一般式FeO・R23 (ここで、RはMn,C
o,Crの中から選ばれた1種)で表される磁性粉末
と、一般式MO・Fe23 (ここで、MはFe,Z
n,Ni,Mn,Mg,Cuの中から選ばれた1種)で
表されるスピネル型フェライト粉末とを含有する磁性酸
化物粉末の製造方法であって、前記磁性酸化物粉末は、
塩化物と酸化物の混合材料を出発原料とし、この出発原
料に対して水蒸気と非酸化性ガスが存在する雰囲気下に
おいて焙焼処理を行ない、出発原料に熱分解反応と同時
に固相反応を行わせてなるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁性酸化物粉末の
製造方法に関し、特に、磁気カード、磁性トナー、磁気
インクなどの原料として用いられる磁性酸化物粉末の製
造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性酸化物粉末のなかには、磁気カー
ド、磁性トナー、磁気インクなどの記録媒体用の原料と
して用いられているものがある。
【0003】従来よりこのような用途に多く用いられて
いる磁性酸化物粉末としては、例えば、Fe23 と、
FeO、ZnO、CuO、MnO、NiO、MgOなど
から選定された1種以上との複合酸化物が挙げられ、こ
れらは、一般式MO・Fe23 で表されるスピネル型
フェライト粉末であり、その多くはFeO・Fe23
で表されるFe34 (マグネタイト)が用いられてい
る。
【0004】ところで、従来から行われている磁性酸化
物粉末の工業的な製法としては、固相還元法、共沈
法、熱分解法等がある。
【0005】固相還元法は、Fe23 (ヘマタイト)
を水素などで還元熱処理を行うか、或いは、Fe23
とZn、Mn、Cu、Ni、Mgからなる金属酸化物の
うちの少なくとも1種とを混合した後、大気雰囲気下で
高温熱処理し、さらに上記同様に還元熱処理を行い、得
られた生成物を、湿式粉砕し、さらに乾燥を経て最終的
に微細な磁性酸化物粉末を得る方法である(特公昭57
−19055号公報、特公昭60−36082号公報
等)。
【0006】また、共沈法は、FeCl2 溶液またはF
eSO4 溶液にアルカリ(NaOH、NH4 OH等)を
作用させて生成したFe(OH)2 を、アルカリ溶液中
で酸化性ガスを通気し、酸化させて微細な磁性酸化物粉
末を得る方法である(特公昭49−35520号公報
等)。
【0007】このような製造方法で得られた磁性酸化物
粉末は、一般式MO・Fe23 で表されるスピネル型
フェライト粒子である。また、上記の製法では、酸化あ
るいは還元の雰囲気をコントロールすることができるた
めに純粋なスピネル単相フェライト粉末を生成できる利
点があるとされている。しかしながら、上記の製法は工
程数が多く生産性という観点から問題がある。
【0008】一方、熱分解法は、FeCl2 を水蒸気と
非酸化性ガスの雰囲気下で焙焼して生成させるか、或い
はFeCl2 とZn、Mn、Cu、Ni、Mgからなる
金属塩化物のうちの少なくとも一種とを混合し、前述し
た雰囲気下で焙焼を行い、微細な磁性酸化物粉末を得る
方法である(特開平7−183111号公報、特開平7
−315846号公報等)。さらに本発明の磁性酸化物
粉末を得る製法に最も近い方法として、FeCl2 とF
23 の混合原料を出発原料として用い、焙焼工程を
水蒸気と非酸化性ガスが存在する雰囲気下において行
い、下記反応式に従い、前記原料に熱分解反応と同時に
固相反応を行わせてFe34 (マグネタイト)を得る
方法が、本発明者らによりすでに提案されている(特開
平9−71423号公報)。
【0009】 (反応式) FeCl2 +Fe23 +H2 O→Fe34 +2HCl 上記の方法はFeCl2 とFe23 の混合原料を出発
原料として用い、マグネタイト磁性粉末を得る方法であ
る。従って、それ以外の組成からなる磁性粉末を製造の
対象とすること、およびその具体的製造方法は、なんら
開示されているものではない。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】このような実状にもと
に本発明は創案されたものであり、その目的は、一般式
FeO・R23 (ここで、RはMn,Co,Crの中
から選ばれた1種)で表される磁性粉末を主成分とする
新規な磁性酸化物粉末の製造方法や、一般式FeO・R
23 (ここで、RはMn,Co,Crの中から選ばれ
た1種)で表される磁性粉末と、一般式MO・Fe2
3 (ここで、MはFe,Zn,Ni,Mn,Mg,Cu
の中から選ばれた1種)で表されるスピネル型フェライ
ト粉末とを含有する新規な磁性酸化物粉末の製造方法を
提供することにある。さらには原材料の調整や熱処理条
件などをコントロールすることにより生成の制御が容易
に行える製造方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るために、本発明は、一般式FeO・R23 (ここ
で、RはMn,Co,Crの中から選ばれた1種)で表
される磁性粉末を主成分とする磁性酸化物粉末の製造方
法であって、前記磁性酸化物粉末の製造方法は、塩化物
と酸化物の混合材料を出発原料とし、この出発原料に対
して水蒸気と非酸化性ガスが存在する雰囲気下において
焙焼処理を行ない、出発原料に熱分解反応と同時に固相
反応を行わせてなるように構成される。
【0012】また、本発明は、一般式FeO・R23
(ここで、RはMn,Co,Crの中から選ばれた1
種)で表される磁性粉末と、一般式MO・Fe23
(ここで、MはFe,Zn,Ni,Mn,Mg,Cuの
中から選ばれた1種)で表されるスピネル型フェライト
粉末とを含有する磁性酸化物粉末の製造方法であって、
前記磁性酸化物粉末の製造方法は、塩化物と酸化物の混
合材料を出発原料とし、この出発原料に対して水蒸気と
非酸化性ガスが存在する雰囲気下において焙焼処理を行
ない、出発原料に熱分解反応と同時に固相反応を行わせ
てなるように構成される。
【0013】また、本発明における好適な態様として、
前記塩化物と酸化物の混合材料からなる出発原料は、F
eCl2 とMn23 ,Co23 ,Cr23 より選
択された1種を含んでなるように構成される。
【0014】また、本発明における好適な態様として、
前記塩化物と酸化物の混合材料からなる出発原料は、F
eCl2 とMn23 ,Co23 ,Cr23 より選
択された1種と、Fe23 を含んでなるように構成さ
れる。
【0015】また、本発明の前記焙焼工程における焙焼
温度は、500〜800℃の範囲内に設定されて構成さ
れる。
【0016】また、前記出発原料としての塩化物と酸化
物の混合比率は、モル比で95/5〜50/50となる
ように構成される。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を詳細に説明する。
【0018】本発明における第1の発明は、一般式Fe
O・R23 で表される磁性酸化物粉末の製造方法に関
するものであり、第2の発明がこの磁性酸化物粉末と一
般式MO・Fe23 で表されるスピネル型フェライト
粉末を含有する磁性酸化物粉末の製造方法に関するもの
である。
【0019】上記一般式FeO・R23 において、R
は、Mn,Co,Crの中から選ばれた1種を表す。す
なわち、本発明が目的とする一般式FeO・R23
好適な組成は、FeMn24 、FeCo24 、Fe
Cr24 である。
【0020】また上記一般式MO・Fe23 で表され
るスピネル型フェライト粉末において、Mは、Fe,Z
n,Ni,Mn,Mg,Cuの中から選ばれた1種を表
し、この中でも特に、M=Feが好ましい。すなわち、
一般式MO・Fe23 で表されるスピネル型フェライ
ト粉末のなかで特に好適な組成は、Fe34 である。
【0021】このような磁性酸化物粉末は、本発明にお
いて、塩化物と酸化物の混合材料を出発原料とし、この
出発原料に対して水蒸気と非酸化性ガスが存在する雰囲
気下において焙焼処理(熱処理)を行ない、出発原料に
熱分解反応と同時に固相反応を行わせることにより製造
される。これにより従来の種々製法を用いても、一般式
FeO・R23 で表される磁性酸化物の生成を制御し
て製造することは困難であるといわれていたものが、本
発明では当該磁性酸化物粉末の生成を簡単に制御するこ
とができるようになった。例えば、一例として生成対象
である磁性酸化物粉末をFeMn24 とした場合、下
記反応式に従い当該磁性酸化物粉末FeMn24 が容
易に生成できる。
【0022】FeCl2 +Mn23 +H2 O→FeM
24 +2HCl この場合は、FeCl2 とMn23 の混合材料を出発
原料とし、焙焼工程を水蒸気と非酸化性ガスが存在する
雰囲気下とすると、第一の反応として熱分解反応が起こ
り、脱塩素によりFeCl2 がFeOになり、さらに第
二の反応でFeOとMn23 で固相反応が起こりFe
Mn24 が生成されるものである。なお、この2つの
反応は同時に行われる。また、FeCo24 やFeC
24もこれと同様の方法によって得ることができ
る。
【0023】さらに、上記一般式FeO・R23 で表
される磁性酸化物と、一般式MO・Fe23 で示され
るフェライトを含有する磁性酸化物粉末の生成を制御す
るためには、原材料中のFeCl2 とMn23 の混合
比率を調整するか、或いは、上記原材料にさらにFe2
3 を添加することで下記反応式に従い、FeMn24
にFe34 を含有する磁性酸化物粉末を容易に得る
ことができる。これにより、得られた磁性酸化物粉末の
電磁気特性の制御も行うことができる。
【0024】4FeCl2 +Mn23 +5H2 O→F
eMn24 +Fe34 +8HCl+H2 あるいは、 2FeCl2 +Mn23 +Fe23 +2H2 O→F
eMn24 +Fe34 +4HCl 従って、本発明の磁性酸化物粉末の製造方法によれば、
上記の条件調整を行うことにより、該磁性酸化物粉末中
のFeO・R23 成分とMO・Fe23 成分を制御
することができるものである。
【0025】本発明における焙焼工程(熱処理工程)
は、水蒸気と非酸化性ガスが存在する雰囲気下で行われ
る。焙焼温度は、500〜800℃、特に600〜75
0℃の範囲に設定することが好ましい。本発明が対象と
する磁性酸化物粉末の組成において、焙焼温度が500
未満となったり800℃を超えたりすると、磁性酸化物
粉末として残留塩素量の増加や電磁気特性の低下、ある
いは比表面積が小さくなるなどの問題が生じる。また、
保持時間は、2〜120min、好ましくは、5〜30
min程度とされる。
【0026】本発明における塩化物と酸化物の混合材料
からなる出発原料は、(1)FeCl2 とMn23
Co23 ,Cr23 より選択された1種を含んでな
るように構成されるか、あるいは、(2)FeCl2
Mn23 ,Co23 ,Cr23 より選択された1
種と、Fe23 を含んでなるように構成することが特
に好ましい。その他、出発原料として本発明で用いられ
得る塩化物としては、MnCl2 、MgCl2 、CuC
2 ,NiCl2 などが挙げられ、また酸化物として
は、ZnO、CuO、MgO、NiOなどが挙げられ
る。
【0027】本発明の系に用いられる出発原料中の塩化
物と酸化物の混合比率は、モル比で(塩化物)/(酸化
物)=95/5〜50/50、好ましくは80/20〜
60/40とされる。この混合比率の関係において、上
記の範囲を超えて塩化物が多くなり過ぎると形成された
ものがほとんどスピネル型のフェライト粉末と同様のも
のとなってしまう。逆に、上記の範囲を外れて塩化物が
少なくなり過ぎると、磁性粉末としての磁気特性が低下
してしまうという不都合が生じる。
【0028】焙焼工程(熱処理工程)において、導入さ
れる水蒸気の圧力(水蒸気圧)は、100〜760(m
mHg)の範囲とされ、高ければ高いほど望ましいもの
である。水蒸気圧を高くすることにより、脱塩素が十分
行われるため磁性酸化物粉末中の残留塩素量を低下させ
ることができる。水蒸気圧を低く設定し過ぎた場合に
は、脱塩素が遅くなるため磁性酸化物粉末中の残留塩素
量が多くなり得られた磁性酸化物粉末の磁気特性に悪影
響を及ぼす。なお、焙焼工程(熱処理工程)において、
導入される非酸化性ガスとしては、窒素ガス、アルゴン
ガス等が用いられる。
【0029】このようにして本発明の製造方法によって
得られた磁性酸化物粉末は、残留塩素量が1000pp
m未満とすることが望ましい。残留塩素量が1000p
pm以上となると、磁性酸化物粉末中の抵抗値が低下
し、また、経時変化が大きくなるなどして、環境安定性
に問題が生じる。
【0030】得られた磁性酸化物粉末の比表面積は2.
0〜10.0m2 /gの範囲であることが望ましい。こ
の範囲のものが、磁気カード、磁性トナー、磁気インク
などとして使用する際の粒子径として最適である。この
範囲を外れて、比表面積が2.0m2 /g未満となる
と、記録媒体を作製した場合に媒体の表面に磁性酸化物
粉末が突出するおそれがある。また比表面積が10.0
2 /gを超えると、磁性酸化物粉末同士の凝集が起こ
りやすくなるという問題がある。
【0031】本発明における磁性酸化物粉末の原料の焙
焼は、使用する炉内の密閉性が良好で焙焼時に発生する
焙焼ガスの対策ができているものであればどのような焙
焼法を用いても良く、例えば、噴霧焙焼法、流動焙焼
法、ロータリーキルンを用いた方法等により、好適に実
施することができる。
【0032】上記噴霧焙焼法は、例えば、FeCl2
液とMn23 、Co23 、Cr23 より選択され
た1種を混合・撹拌してスラリーとし、これを焙焼炉の
炉頂より噴霧し、この噴霧液滴の流れと、水蒸気と非酸
化性ガスからなる高温熱媒体のガスの流れとが対向流に
なるようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成し
た磁性酸化物粉末を炉底より取り出す方法である。
【0033】上記流動焙焼法は、例えば、FeCl2
液とMn23 、Co23 、Cr23 より選択され
た1種を混合・撹拌してスラリーとし、これを焙焼炉の
炉頂より噴霧し、この噴霧液滴の流れと水蒸気と非酸化
性ガスからなる高温熱媒体のガスの流れが同じ方向にな
るようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成した
磁性酸化物粉末を炉頂より取り出す方法である。
【0034】ロータリーキルンを用いた方法は、一般に
耐熱煉瓦で内張りした鉄製の大きな円筒をやや傾けて回
転装置の上に横たえた窯炉・鉄筒の下部から加熱しなが
ら、上部から原料を入れて、回転に従って下部の最高温
度のところへ移動し、原料の焼成あるいは熱処理を行う
方法である。
【0035】本発明に用いるロータリーキルンとして
は、例えば図1に示したような構造のものを用いること
ができる。この図において、符号1はロータリーキルン
を示し、このロータリーキルンは回転炉体2を備えてい
る。この回転炉体2は、円筒状の外部炉芯管3aを有
し、この炉芯管3aの内部には、さらに耐腐食性の内部
炉芯管3bを有し、炉芯管3aと3bは炉芯管の両端で
接続され、3aの回転と共に3bも回転する。混合原料
は、炉芯管3bの一端より投入され、熱処理が行われ
る。そして、生成された磁性酸化物粉末は、他端5の材
料取り出し口より排出される。上記炉芯管3a及び3b
は、混合原料が投入される一端4側を上にし、磁性酸化
物粉末が取り出される他端5側を下にして水平に対し
て、0.5〜15度の範囲で傾いている。従って、この
ロータリーキルン1の流動角度は、0.5〜15度の範
囲である。また、上記炉芯管3a及び3bは、その回転
数が2〜20(rpm)の範囲であることが望ましい。
【0036】上記炉芯管3a及び3bの両端には、炉芯
管内部3bよりの排出ガスを外部に漏らさないよう、密
閉管6a及び6bが設けられ、さらに磁性酸化物粉末の
排出口側は、内部炉芯管3bが材料排出タンク9及びダ
ンパー付きのホッパー10に接続し、完全な密閉状態に
ある。さらに混合原料の投入付近は、内部炉芯管3bへ
の混合原料投入管7及び焙焼ガス回収用管8が取り付け
られている。また、混合原料投入管7は、原料を定量的
に送り込むための定量供給装置より内部炉芯管3bまで
配置されている。
【0037】一方、他端5側の材料排出用タンク9に
は、雰囲気である水蒸気及び窒素ガスを内部炉芯管3b
に導入するため、水蒸気導入管11と窒素ガス導入管1
2が設けられている。
【0038】以上の構造のロータリーキルンによれば、
上述した混合原料を用いて連続的に焙焼を行うことがで
き、良好な磁性酸化物粉末を生成することができる。焙
焼時の混合原料のロータリーキルンでの滞留時間は、2
〜120分間以内とすることが望ましい。また、昇降温
速度は特に限定されないが、3〜60(℃/min)程
度とすることが好ましい。
【0039】
【実施例】以下、本発明の具体的な実施例を示し、本発
明をさらに詳細に説明する。
【0040】出発原料(混合原料)の作製 FeCl2 結晶とMn23 、Co23 、Cr23
から選択した1種を各所定のモル比率に調整し、これを
振動ミルで10分間粉砕・混合して各種の出発原料(混
合原料)を得た。また、FeCl2 結晶とMn23
Fe23 を添加した場合も、上記同様として出発原料
(混合原料)を得た。さらに、FeCl2 溶液とMn2
3 の混合原料の作製では、FeCl2 溶液とMn2
3 を所定のモル比率に調整したスラリーを作製し、この
スラリーをスプレードライヤで噴霧・乾燥を行って出発
原料(混合原料)を得た。なお、出発原料の組成は下記
表1に原料組成として示している。
【0041】このようにして作製した種々の出発原料
(混合原料)を、各々1.0(Kg)取り、図1に示さ
れるロータリーキルンにより焙焼を行った。この炉内に
は、窒素をキャリアガスとして用い、760(mmH
g)の水蒸気圧の雰囲気を連続的に導入・流通させた。
この状態を維持しつつ、5(℃/min)のレートで昇
温し、下記表1に示される熱処理条件(温度及び保持時
間)で熱処理した後、冷却し、下記表1に示される磁性
酸化物粉末試料を得た。
【0042】
【表1】 このようにして得られた磁性酸化物粉末について、下記
の要領での構成結晶種、印加磁界:1,000(Oe)
での飽和磁化(emu/g)と保磁力(Oe)、さらに
は、残留塩素量(ppm)及び比表面積(m2 /g)を
測定した。
【0043】構成結晶種(結晶種類) 得られた磁性酸化物粉末が一般式FeO・R23 の成
分であるのか、あるいは一般式MO・Fe23 の成分
であるのかを粉末X線解析試験法によるピーク値により
定性的に求めた(結晶種類の特定)。下記表2中、一般
式FeO・R23 の成分が存在する場合に『N』で表
記し、一般式MO・Fe23 の成分が存在する場合に
『M』で表記した。
【0044】飽和磁化(emu/g)と保磁力(Oe) 各試料0.1(g)をホルダーにセットし、磁場1,0
00(Oe)を印加した状態で振動試料型磁力計により
測定した。
【0045】比表面積(m2 /g) 各試料0.5(g)をホルダーにセットしてBET1点
法により求めた。塩素残留量(ppm) 蛍光X線を用いた粉末プレス法によりプレスした試料の
表面にX線を当てて塩素ピーク値を求め、塩素量の検量
化をはかった。なお、塩素ピーク値は、あらかじめ塩素
量を振った試料により検量化したものであり、検量線上
にピーク値を合わせることで塩素量を求めた。
【0046】結果を表2に示す。
【0047】
【表2】 表2に示される結果より、本発明が目的とする所定の組
成からなる磁性酸化物粉末は、本発明の製造方法を用い
て原材料の調整および熱処理条件を制御することにより
容易に製造できることが確認された。
【0048】さらに、本発明により得られた磁性酸化物
粉末は、磁気特性に優れ、比表面積が大きく、残留塩素
量も少なく、磁性粉末として良好な諸特性を示すことが
確認できた。
【0049】
【発明の効果】以上の結果より、本発明の効果は明らか
である。すなわち、本発明は、一般式FeO・R23
(ここで、RはMn,Co,Crの中から選ばれた1
種)で表される磁性粉末を主成分とする磁性酸化物粉末
の製造方法、あるいは、一般式FeO・R23 (ここ
で、RはMn,Co,Crの中から選ばれた1種)で表
される磁性粉末と、一般式MO・Fe23 (ここで、
MはFe,Zn,Ni,Mn,Mg,Cuの中から選ば
れた1種)で表されるスピネル型フェライト粉末とを含
有する磁性酸化物粉末の製造方法であって、前記磁性酸
化物粉末は、塩化物と酸化物の混合材料を出発原料と
し、この出発原料に対して水蒸気と非酸化性ガスが存在
する雰囲気下において焙焼処理を行ない、出発原料に熱
分解反応と同時に固相反応を行わせてなるように構成し
ているので、原材料の調整および熱処理条件を制御する
ことにより容易に所望の磁性酸化物粉末を得ることがで
きる。それゆえ当該方法を用いることにより磁性酸化物
粉末の諸特性をも制御することができ、磁性粉末として
良好な特性を備える磁性酸化物粉末の提供が可能にな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁性酸化物粉末を製造するために用い
られるロータリーキルンの長手方向断面である。
【符号の説明】
1…ロータリーキルン 2…回転炉本体 3a…外部炉芯管 3b…内部炉芯管 4…炉芯管の一端 5…炉芯管の他端 6a,6b…密閉管 7…混合原料投入管 8…焙焼ガス排出管 9…材料排出タンク 10…ダンパー付き材料ホッパー 11…水蒸気導入管 12…窒素ガス導入管

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一般式FeO・R23 (ここで、Rは
    Mn,Co,Crの中から選ばれた1種)で表される磁
    性粉末を主成分とする磁性酸化物粉末の製造方法であっ
    て、 前記磁性酸化物粉末の製造方法は、塩化物と酸化物の混
    合材料を出発原料とし、この出発原料に対して水蒸気と
    非酸化性ガスが存在する雰囲気下において焙焼処理を行
    ない、出発原料に熱分解反応と同時に固相反応を行わせ
    てなることを特徴とする磁性酸化物粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 一般式FeO・R23 (ここで、Rは
    Mn,Co,Crの中から選ばれた1種)で表される磁
    性粉末と、一般式MO・Fe23 (ここで、MはF
    e,Zn,Ni,Mn,Mg,Cuの中から選ばれた1
    種)で表されるスピネル型フェライト粉末とを含有する
    磁性酸化物粉末の製造方法であって、 前記磁性酸化物粉末の製造方法は、塩化物と酸化物の混
    合材料を出発原料とし、この出発原料に対して水蒸気と
    非酸化性ガスが存在する雰囲気下において焙焼処理を行
    ない、出発原料に熱分解反応と同時に固相反応を行わせ
    てなることを特徴とする磁性酸化物粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記塩化物と酸化物の混合材料からなる
    出発原料は、FeCl2 とMn23 ,Co23 ,C
    23 より選択された1種を含んでなる請求項1に記
    載の磁性酸化物粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記塩化物と酸化物の混合材料からなる
    出発原料は、FeCl2 とMn23 ,Co23 ,C
    23 より選択された1種と、Fe23を含んでな
    る請求項2に記載の磁性酸化物粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記焙焼工程における焙焼温度が、50
    0〜800℃の範囲内である請求項1ないし請求項4の
    いずれかに記載の磁性酸化物粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記出発原料としての塩化物と酸化物の
    混合比率は、モル比で95/5〜50/50である請求
    項1ないし請求項5のいずれかに記載の磁性酸化物粉末
    の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2017169316A1 (ja) * 2016-03-31 2017-10-05 パウダーテック株式会社 フェライト粒子、樹脂組成物及び樹脂フィルム

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