JP3467316B2 - マグネタイトの生成方法および磁性トナーの生成方法 - Google Patents

マグネタイトの生成方法および磁性トナーの生成方法

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JP3467316B2 JP13500494A JP13500494A JP3467316B2 JP 3467316 B2 JP3467316 B2 JP 3467316B2 JP 13500494 A JP13500494 A JP 13500494A JP 13500494 A JP13500494 A JP 13500494A JP 3467316 B2 JP3467316 B2 JP 3467316B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネタイトの生成方
法および磁性トナーの生成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネタイト系磁性粉末は、電子写真プ
ロセス(複写機・レーザープリンター・普通紙ファック
ス等)に使用される磁性トナーなどに使われる。
【0003】従来、マグネタイト系磁性粉末の工業的製
法として湿式法と固相法がある。湿式法によるマグネタ
イト系磁性粉末の製造方法は、塩化第一鉄溶液にアルカ
リを作用させ生成した水酸化第一鉄をアルカリ性溶液中
で酸化性ガスを通気して酸化することによりマグネタイ
トを得る方法である(特公昭49−35520号公報参
照)。固相法によるマグネタイトの製造方法は、水素な
ど還元ガスでヘマタイトを還元熱処理することによりマ
グネタイトを得る方法である(特開昭61−72630
号公報参照)。
【0004】これらの方法では酸化あるいは還元の雰囲
気をコントロールできるため、純粋なスピネル単相マグ
ネタイトを生成することができる利点があるとされてい
る。しかしこれらの方法は工程が多いため、製造コスト
が高い欠点がある。
【0005】他方、鉄鋼業においては鋼板などの塩酸酸
洗の際に生じる酸洗廃液中の塩化鉄を利用して、空気中
でこれを焙焼(熱分解)し、酸化鉄を製造する方法が考
えられている。焙焼方法(熱分解法)としては、一般
に、炉頂より塩酸酸洗廃液を噴霧し炉内にて熱分解させ
酸化鉄を炉底より取り出す噴霧焙焼法と、一定の温度に
保持した流動層中に塩酸酸洗廃液を噴霧し熱分解させ酸
化鉄を炉頂より捕集する流動焙焼法がある。
【0006】焙焼法では沈澱、粉砕など工程を省略する
ことができ、しかも、塩化鉄の酸洗廃液を利用している
ため酸化鉄の製造コストを下げることができる利点があ
る。しかし、空気中ではかなりの塩化鉄を酸化させて主
相はヘマタイト相になってしまうため現有の焙焼法でマ
グネタイト系粉体を合成することが困難である。
【0007】そこで、簡単に製造でき、しかも良好なマ
グネタイト系磁性粉末を得るため、本件出願人は、先
に、先願で次のような2つの提案を行なった。第1の提
案によるマグネタイト系磁性粉末は、塩化第一鉄を出発
原料として、水蒸気を含む雰囲気下の熱処理で得られ
る。上記マグネタイト系磁性粉末は、マグネタイト相の
含有率が90%以上であり、その飽和磁化σsが82〜
92emu/g である。上記熱処理は、導入水蒸気圧(mmH
g)を縦軸、温度(℃)を横軸とするグラフにおいて、
雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理温度(A:1000℃、
760mmHg、B:500℃、760mmHg、C:750
℃、200mmHg、D:530℃、200mmHg)のA、
B、C、Dの四点の四辺形で包まれた範囲内で行なわれ
る。上記水蒸気等は、昇温前の熱処理炉内に導入・充填
され、処理中も該炉内に導入・流通され続ける。そし
て、その水蒸気圧は、常圧下でその温度を制御すること
により調整され、例えば100℃で水蒸気圧760mmH
g、95℃で水蒸気圧600mmHg、85℃で水蒸気圧4
00mmHg、70℃で水蒸気圧200mmHgとなる。また、
導入水蒸気の蒸気圧または導入水蒸気圧の値は、水蒸気
の上記熱処理炉内への導入の際の値をさす。
【0008】また、第2の提案によるマグネタイト系磁
性粉末は、上記第1の提案と同様、塩化第一鉄を出発原
料とし、これを、非酸化性雰囲気下において熱処理を行
なう前処理工程、この前処理工程で得られた処理物を酸
素を含有する雰囲気下で所定温度まで冷却する冷却工
程、および冷却された処理物を水蒸気が存在する雰囲気
下で本焼成し、熱分解する本焼成工程で処理して得ら
れ、比表面積が1.0〜3.0m2/g、飽和磁化σS が8
2〜92emu/g 、マグネタイト相の含有量が90wt% 以
上であることを特徴とするものである。
【0009】以上の2つの提案によれば、塩化第一鉄を
出発原料とし、容易に製造でき、しかも良好な特性のマ
グネタイト系磁性粉末が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記2つの
提案と出発原料を異にし、マグネタイトを更に容易に生
成でき、しかも得られたマグネタイトの特性も良好なマ
グネタイトの生成方法、およびこの生成方法によって得
られたマグネタイトを含有させて特性の良好な磁性トナ
ーを得る磁性トナーの生成方法を提供することを目的と
するものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(5)の本発明により達成される。 (1) 塩化第一鉄および塩化第二鉄の混合材料を出発
原料とし、前記混合材料における塩化第一鉄と塩化第二
鉄の組成比がモル比で、25/75〜75/25であ
り、前記出発材料を、水蒸気が存在する雰囲気下におい
て焙焼し、熱分解反応させてマグネタイトを得ることを
特徴とするマグネタイトの生成方法。 (2) 前記焙焼における処理温度が、430〜800
℃の範囲である上記(1)のマグネタイトの生成方法。 (3) 前記焙焼における雰囲気が、非酸化性ガスと水
蒸気とからなる上記(1)または(2)のマグネタイト
の生成方法。 (4) 飽和磁化が82〜92emu/g で、Hcが60〜
160 Oeで、比表面積が0.8〜3m2/gで、そして抵
抗値が106 Ω以上であるマグネタイトを得る上記
(1)〜(3)のいずれかのマグネタイトの生成方法。 (5) 上記(1)〜(4)のいずれかで得られたマグ
ネタイトを30〜50wt% 含有させて磁性トナーを得る
磁性トナーの生成方法。
【0012】
【作用・効果】本発明のマグネタイトの生成方法におい
ては、出発原料として塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合体
を用いたことにより、下記の反応式に従い、従来に比
べ、工程数を大幅に短縮し、マグネタイトを容易に生成
できる。 FeCl2 +2FeCl3 +4H2 O→Fe3 4 +8
HCl
【0013】また、本発明によれば、塩化第一鉄と塩化
第二鉄の組成比のみを変えることにより、得られるマグ
ネタイト粒子の粒子サイズを調節することができる。さ
らに、本発明によれば、塩化第一鉄のみを用いた場合よ
り、熱分解温度を低下することができる。具体的には、
塩化第一鉄のみを用いた場合、単相化のためには、熱分
解温度を550〜900℃の範囲に設定しなければなら
なかったが、本発明の場合には、430℃でもマグネタ
イトの単相化が可能となった。
【0014】さらに、本発明により得られたマグネタイ
トは、比表面積が1〜3m2/gで、その飽和磁化σsが8
2〜92emu/g 、Hcが60〜160Oeと磁気特性も優
れており、電子写真における磁性トナー等として好まし
く用いることができるものである。
【0015】なお、塩化鉄族のサイクルによる水の熱化
学分解による水素の製造方法として、 6FeCl2 +8H2 O→2Fe3 4 +12HCl+2H2 (1) 2Fe3 4 +12HCl+3Cl2 →6FeCl3 +6H2 O+O2 (2) 6FeCl3 →6FeCl2 +3Cl2 (3) の工程が提案された ( "Development studties on the
thermochemical cyclesfor hydiogen production" D.Va
n Velzen; World Hydrogen Energy Conf. Vol.1st, No.
1 Page.8A.83-8A.108 1976 )。この文献に記載された技
術においては、塩化第一鉄と水蒸気が反応することで、
マグネタイトが上記工程の中間生成物として生成する。
【0016】しかしながら、上記文献に記載された技術
においては、反応式(1)における水素の生成を主点と
して、反応速度および反応転換率(水素の生産率)と水
蒸気の流量および反応温度の関係を検討しており、マグ
ネタイトが中間生成物として生成されること以外は、マ
グネタイトの生成側からみたその反応条件や中間生成物
におけるマグネタイト相の含有量等、具体的な記載は一
切ない。また、上記文献に記載された技術においては、
本件出願人の先の2件の提案と同様、出発原料として、
塩化第一鉄のみを用いるものであり、本発明のように塩
化第一鉄と塩化第二鉄の混合材料を用いるものではな
い。
【0017】
【具体的構成】本発明のマグネタイトは、実質的にマグ
ネタイト単相である。しかし、マグネタイト相以外の相
を10%未満の範囲で含有していてもよい。マグネタイ
ト以外の相の代表的なものはヘマタイトおよびウスタイ
トである。しかしながら、これらのヘマタイトやウスタ
イトは、磁気特性に寄与しないので、なるべく存在しな
いほうが望ましい。
【0018】本発明のマグネタイトは、以下に示すよう
に、電子写真用磁性トナー用の磁性粉末用等として一般
に要求されるサイズや磁気特性を備えている。
【0019】本発明のマグネタイトの粉末は、比表面積
が0.8〜3m2/gの範囲であることが望ましい。近年、
磁性トナー等の粒径も小さくなっており、上記範囲未満
の比表面積を有するものでは、このような微小トナーを
作製することができず、また、上記の範囲を超える場合
には、粒径があまりにも小さくなり、分散性が悪くな
る。
【0020】本発明のマグネタイトの印加磁界5,00
0Oeでの飽和磁化σs および保磁力Hcは、それぞれ82
〜92emu/g 、60〜160Oeの範囲であることが好ま
しい。また、100V 印加時の抵抗は106 Ω以上、特
に106 〜1010Ωであることが好ましい。
【0021】また、本発明のマグネタイト系磁性粉末に
おいては、その残留塩素が600ppm 以下であることが
好ましく、少なければ少ないほど望ましい。磁性粉末中
の残留塩素が多いと、該マグネタイト系磁性粉末を用い
て電子写真用トナーを作製した場合、電子写真装置の感
光ドラム等を損傷するおそれがあるからである。
【0022】本発明では、出発原料として、塩化第一鉄
および塩化第二鉄の混合材料を用いる。これらの塩化第
一鉄と塩化第二鉄の組成比は、モル比で、25:75〜
75:25の範囲である。上記の範囲外で塩化第一鉄が
多すぎると、得られたマグネタイトの粒子径が大きくな
り、静抵抗値も低下する。一方、塩化第二鉄が多すぎる
と、ヘマタイト相が多く生成されるため、磁気特性の劣
化が生ずる。
【0023】塩化第一鉄としては、鉄鋼業の鋼板等の塩
酸酸洗廃液の塩化第一鉄、またはスクラップ片等金属鉄
を塩酸で溶解した塩化第一鉄等を用いることができる。
一方、塩化第二鉄としては、上記塩化第一鉄を酸化して
得られた塩化第二鉄、鉄鋼業の鋼板等の塩酸酸洗廃液の
塩化第二鉄を用いることができる。
【0024】上記塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合原料
は、各溶液を混合撹拌し、混合試料溶液を作製するか、
この混合試料溶液中の水分を蒸発させ、混合結晶試料と
して作製する。
【0025】上記のような混合材料は、焙焼により、熱
分解される。この焙焼は、水蒸気が存在する雰囲気下で
行なわれる。この焙焼は、非酸化性ガスと水蒸気からな
る雰囲気中で、430〜800℃の温度範囲で行なわれ
ることが好ましい。このとき、上記水蒸気は、上記定義
の導入水蒸気圧が200〜760mmHgの範囲で、高けれ
ば高いほど望ましい。また、上記非酸化性ガスとして
は、窒素ガス、アルゴンガス等を用いることができる。
【0026】焙焼を、上記温度範囲内で行なう場合に
は、上記したような本発明に従う好ましい特性のマグネ
タイトが得られ、上記範囲外で行なう場合には、マグネ
タイト以外のウスタイトやヘマタイト相が多くなり、本
発明範囲内のマグネタイト含有量を得られないからであ
る。
【0027】上記焙焼は、使用する炉内の密閉性が良好
であればどのような焙焼法を用いてもよく、例えば、噴
霧焙焼法、流動焙焼法、ロータリーキルンを用いた方
法、およびトンネル窯を用いた方法等により好ましく実
施することができる。
【0028】上記噴霧焙焼法は、鉄などの塩化物水溶液
を濃度調整し、焙焼炉において調整した塩化物水溶液を
炉頂から噴霧し噴霧液滴の流れと高温熱媒体のガスの流
れが対向流になるようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応
により生成した酸化物粉体を炉底より取り出す方法であ
る。
【0029】上記流動焙焼法は、鉄などの塩化物水溶液
を濃度調整し、調整した塩化物水溶液を一定の温度を保
持した流動層の流動焙焼炉に噴霧し、噴霧液滴の流れと
高温熱媒体のガスの流れが同じ方向になるようにして噴
霧焙焼し、この焙焼反応により生成した酸化物粉体を炉
頂より取り出す方法である。
【0030】ロータリーキルンを用いた方法は、耐熱煉
瓦で内張りした鉄製の大きな円筒をやや傾けて転回装置
の上に横たえた窯炉・鉄筒の下部から加熱しながら、上
部から原料を入れて、回転に従って下部の最高温度のと
ころに移動し、原料の焼成あるいは熱処理を行う方法で
ある。
【0031】ロータリーキルンとしては、例えば、図1
および2に示したような構造のものを用いることができ
る。なお、このロータリーキルンは、原料が液状のとき
用いて特に望ましいものである。
【0032】図において、符号1はロータリーキルンを
示し、このロータリーキルン1は、回転炉本体2を備え
ている。この回転炉本体2は、円筒状の炉芯管3を有
し、この炉芯管3の内部に一端4から原料が投入され、
熱処理が行なわれる。そして、生成されたマグネタイト
は、他端5から取り出される。上記炉芯管3は、原料が
投入される一端4側を上にし、マグネタイトが取り出さ
れる他端5側を下にして水平に対し、10〜30度の範
囲で傾いている。従って、このロータリーキルン1の流
動角度は、10〜30度の範囲である。また、上記炉芯
管3は、その回転数が3〜30rpm の範囲に設定されて
いることが望ましい。
【0033】上記炉芯管3の一端および他端には、それ
ぞれ炉芯管内部を密閉するための密閉栓6a、6bが設
けられている。上記一端4側の密閉栓6aには、炉芯管
3内部に原料を投入するための原料投入用パイプ7、お
よびマグネタイト生成に際して発生するHClを回収す
るためのHCl回収用パイプ8が取り付けられている。
上記原料投入用パイプ7の途中には、炉芯管3内に液体
状の原料を定量送り込むための定量ポンプ9が配置され
ている。
【0034】一方、他端5側の密閉栓6bには、炉内で
生成されたマグネタイトを炉外に取り出すためのマグネ
タイト取り出し管10、および炉内に雰囲気を導入する
ための雰囲気導入パイプ11が取り付けられている。ま
た、炉芯管3内部には、図2に特によく示したように、
炉芯管の内壁上縁に沿って配置され、該炉芯管とともに
は運動しないように固定されたガラス製の剥離棒12が
設けられている。この剥離棒12は、炉芯管3の内壁面
に対して3〜30mmの間隔を隔てられて配置され、該内
壁面に付着した生成マグネタイトを、該内壁から掻き落
とす作用をなすものである。
【0035】以上の構造のロータリーキルンによれば、
液状の塩化第一鉄および塩化第二鉄の混合原料を用いて
良好にマグネタイトを生成することができる。
【0036】上記トンネル窯は、窯業製品などを連続的
に焼成(熱処理)するトンネル状の窯炉であり、この窯
を用いた方法は、入口から予熱室、加熱室と温度が上が
り、冷却室、出口と低温になっている中を被焼成物を乗
せた台車が一定の速度で動き、一定の加熱、冷却速度で
焼成(熱処理)する方法である。
【0037】上記種々の炉中への水蒸気の導入は、雰囲
気の一部を構成する非酸化性ガスをキャリヤガスとして
導入することが望ましい。この不活性ガスとしては、上
記窒素ガスの他、アルゴンガス等を用いることができ
る。
【0038】上記熱処理の温度保持時間は、噴霧焙焼法
と流動焙焼法においては、反応が瞬時に行われ、ロータ
リーキルンで行う場合には通過時間2時間以下が望まし
く、トンネル窯で行う場合には通過時間10時間以下が
望ましい。なお、ロータリーキルンおよびトンネル窯で
熱処理を行なう場合には、上記通過時間を少なくとも1
0分間程度に設定することが望ましい。
【0039】また、昇降温速度は、特に限定されない
が、5〜60℃/min程度であることが好ましい。
【0040】本発明の磁性トナーは、上記マグネタイト
粉末と結着用の樹脂を主成分として含有する。マグネタ
イト粉末は、トナー全体に対し30〜50wt% 程度含有
されることが好ましい。マグネタイト粉末が、30wt%
未満であると、磁性トナーとしての磁化が低下するた
め、画像劣化(解像度の劣化、カブリB.Gの増大)が
生じる。一方、50wt% を超えると、磁性トナーとして
の帯電性能が低下し、IDの低下が起こる。
【0041】上記樹脂としては、スチレン−アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが
できる。
【0042】本発明の磁性トナーは、さらに電荷制御
剤、およびその他の添加剤を含んでいることが好まし
い。荷電制御剤は、帯電極性、帯電量等を制御するため
に必要に応じて添加される。本発明では、目的とする極
性、帯電量等に応じて公知の適当な荷電制御剤を選択す
ればよく、特に制限はない。例えば、金属錯塩アゾ系染
料、ニグロシン系染料等が挙げられるが、これらは要求
特性に応じて選択されるものである。このような荷電制
御剤の含有量は、トナー粒子の樹脂100重量部に対し
0.1〜5重量部程度であることが好ましい。また、色
調整用顔料として、0.1〜5.0重量部のカーボンブ
ラックを添加してもよい。
【0043】また、その他の添加剤としては、ワック
ス、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン類
またはシリコーンオイルを用いることができる。
【0044】ワックスは離型剤として、オフセット防止
のために必要に応じて添加される。本発明では用いるワ
ックスに特に制限はなく、公知の種々のワックス、例え
ば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、
シリコンワックス等を用いればよいが、これらは要求特
性に応じて選択されるものである。このようなワックス
の含有量は、トナー粒子の樹脂100重量部に対し1〜
7重量部程度であることが好ましい。
【0045】本発明における磁性トナーのトナー粒子
は、磁性トナーの場合、その平均粒子径が、3〜25μ
m 、より好ましくは3〜20μm 、特に好ましくは4〜
12μm であることが好ましい。平均粒子径が大きすぎ
ると、現像剤の流動性が悪化し、現像剤のケーキングや
スリーブ付着が生じやすくなり、また小さすぎると、解
像度の悪化や、定着性の不良を生じる傾向となる。トナ
ー粒子の平均粒子径の測定には、コールターカウンター
法により、測定値の体積粒子径を算出し、その50%平
均粒子径を平均粒子径とする。コールターカウンター法
においては、電解液としてイソトンII(コールターエレ
クトロニクス社製)を用い、例えばアパーチャー径10
0μm のコールターカウンタTA−II(コールターエレ
クトロニクス社製)を用いて体積基準の測定を行う。な
お、粒子径分布は、一般に平均粒子径をdとしたとき、
2d以上が5%程度以下、d/2以下が5%程度以下程
度のものであることが好ましい。
【0046】また、磁性トナー粒子の保磁力Hcは、例え
ば印加磁界5000Oeにて35〜230Oe、特に40〜
140Oeが好ましく、例えば印加磁界5000Oeにおけ
る飽和磁化σsは、8〜65emu/g 、特に15〜40em
u/g が好ましい。
【0047】本発明における原料トナー粒子は、通常の
トナー製造法により製造すればよい。なお、トナー粒子
には、これらの他、抵抗調整剤等が含有されていてもよ
い。
【0048】本発明のマグネタイト系磁性粉末は、上記
の磁性トナーの他、磁気インクに用いてもよい。
【0049】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0050】4水の塩化第一鉄と塩化第二鉄を表1に示
す各所定のモル比とし、これを水に溶解させた後、10
0℃にて水を蒸発させながら混合溶液を撹拌し、実施例
1、2、6および7、並びに比較例1および2のための
混合結晶試料を得た。
【0051】ここで得られた混合結晶試料を各100g
取り、バッチ炉で熱分解を行なった。この炉内には、窒
素をキャリヤガスとし、760mmHgの水蒸気圧の雰囲気
を連続的に導入・流通させた。この状態で、3℃/minで
昇温し、表1に示す温度で各10分間保持した後、炉冷
し、各実施例および比較例の試料を得た。
【0052】
【表1】
【0053】一方、4水の塩化第一鉄と塩化第二鉄を表
1に示す各所定のモル比とし、これを水に溶解させ、実
施例3、4および5のための混合溶液試料を得た。
【0054】この混合溶液試料を、図1および図2に示
したロータリーキルンに定量ポンプにより25cc/minで
送り込み、連続的に熱分解した。炉内温度は、当初より
最高温度にしてあり、表1に示した所定の温度および保
持時間にして熱分解反応を進めた。
【0055】以上により得られた実施例および比較例の
結晶種類、マグネタイト相の含有量(wt% )、飽和磁化
σs(emu/g )、保磁力Hc(Oe)、静抵抗(Ω)、比
表面積(m2/g)をそれぞれ測定した。その結果を表1お
よび表2に示した。
【0056】
【表2】
【0057】測定は次のようにして行なった。
【0058】結晶種類は、粉末X線回折法による定性分
析により、結晶種類を特定した。マグネタイト相の含有
量(%)は、マグネタイト相の含有量と各結晶相のX線
回折の相対強度比との関係から求めた。また、飽和磁化
σs(emu/g )、保磁力Hc(Oe)は、試料各0.1g
をホルダにセットし、磁界5,000Oeを印加した状態
で、振動試料型磁力計により測定した。比表面積(m2/
g)は、試料各0.5gをセルにセットして、BET1点
法で測定した。そして、静抵抗(Ω)は、抵抗測定治具
にマグネタイト0.5g をセットし、印加電圧:100
V 、極間距離:6.5mmで測定し、1分後の値を絶縁計
により読み取ったものである。
【0059】表1および表2から明瞭なように、原料を
本発明に従い塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合原料を用い
たものは、それが固体であろうと液体であろうと、良好
にマグネタイトを生成することができた。なお、塩化第
一鉄と塩化第二鉄の組成比が望ましい範囲から外れた場
合には、上記の磁気特性等の少なくとも一つが、望まし
い範囲から外れてしまった。
【0060】次に、上記実施例1における磁性粉末、お
よび比較例1の磁性粉末を下記の条件でトナー化し、ト
ナー1、2を作製した。
【0061】結着樹脂(St−AcおよびPP):64
%と磁性粉末:35%、電荷制御剤(TRH):1%お
よび添加剤(SiO2 ):0.5%の組成として秤量
後、加圧式ニーダーで溶融混練し、さらに粉砕・分級を
行って磁性トナーを得た。これらのトナーのトナー粉体
の特性を測定し、表3に示した。体積平均粒径はコール
ターカウンター測定によった。
【0062】
【表3】
【0063】また、上記の磁性トナー1、2を市販の電
子写真プリンター(キヤノン製)にセットして各特性項
目を確認した。その結果を表4に示した。
【0064】
【表4】
【0065】この表4から分かるように、本発明の実施
例のトナー1は、トナーとしての特性が良好であった
が、比較例のトナー2においては、特に、帯電量が低
く、画像特性としては、カブリB.Gおよび解像度等に
おいて望ましくない結果となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネタイトの生成方法に使用される
ロータリーキルンの長手方向断面図である。
【図2】上記ロータリーキルンの横方向断面図である。
【符号の説明】
1 ロータリーキルン 2 回転炉本体 3 炉芯管 4 炉芯管の一端 5 炉芯管の他端 6a、6b 密閉栓 7 原料投入用パイプ 8 HCl回収用パイプ 9 定量ポンプ 10 マグネタイト取り出し管 11 雰囲気導入パイプ 12 剥離棒
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平5−175033(JP,A) 特公 昭63−50694(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C01G 49/08 G03G 9/083 H01F 1/00 H01F 1/11

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化第一鉄および塩化第二鉄の混合材料
    を出発原料とし、 前記混合材料における塩化第一鉄と塩化第二鉄の組成比
    がモル比で、25/75〜75/25であり、 前記出発材料を、水蒸気が存在する雰囲気下において焙
    焼し、熱分解反応させてマグネタイトを得ることを特徴
    とするマグネタイトの生成方法。
  2. 【請求項2】 前記焙焼における処理温度が、430〜
    800℃の範囲である請求項1のマグネタイトの生成方
    法。
  3. 【請求項3】 前記焙焼における雰囲気が、非酸化性ガ
    スと水蒸気とからなる請求項1または2のマグネタイト
    の生成方法。
  4. 【請求項4】 飽和磁化が82〜92emu/g で、Hcが
    60〜160 Oeで、比表面積が0.8〜3m2/gで、そ
    して抵抗値が106 Ω以上であるマグネタイトを得る請
    求項1〜3のいずれかのマグネタイトの生成方法。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4のいずれかで得られたマグ
    ネタイトを30〜50wt% 含有させて磁性トナーを得る
    磁性トナーの生成方法。
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