JPH0980798A - 磁性トナーの製造方法 - Google Patents

磁性トナーの製造方法

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JPH0980798A
JPH0980798A JP7232492A JP23249295A JPH0980798A JP H0980798 A JPH0980798 A JP H0980798A JP 7232492 A JP7232492 A JP 7232492A JP 23249295 A JP23249295 A JP 23249295A JP H0980798 A JPH0980798 A JP H0980798A
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JP
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magnetic toner
magnetite
magnetic
magnetic powder
toner
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JP7232492A
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Yoshito Nihei
義人 仁平
Masahiro Onizuka
雅広 鬼塚
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TDK Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、従来とは出発原料を異にし、
マグネタイト磁性粉末および磁性トナーを更に容易に製
造でき、しかも得られた該磁性トナーの特性も良好な磁
性トナーの製造方法を提供することである。 【解決手段】塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を出発
原料とし、水蒸気を含む雰囲気下で熱処理し、熱分解反
応と固相反応を同時に行いマグネタイト磁性粉末を得
て、これに結着樹脂と荷電制御剤および顔料等の添加剤
を45〜70(wt%)添加して溶融混練し、粉砕、分級す
ることを特徴とする磁性トナーの製造方法である。また
諸条件の最適化により、良好な特性の磁性トナーを得る
ことができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁性トナーの製造方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性トナーは、電子写真プロセス(複写
機.レーザープリンタ.普通紙ファックス等)の現像剤と
して使用され、その原料のひとつとなる、マグネタイト
磁性粉末は、様々な製法により作られている。
【0003】従来、マグネタイト磁性粉末の工業的製法
として共沈法と固相還元法がある。共沈法によるマグネ
タイト磁性粉末の製造方法は、塩化第一鉄溶液にアルカ
リを作用させ生成した水酸化第一鉄をアルカリ性溶液中
で酸化性ガスを通気して酸化することによりマグネタイ
トを得る方法である(特公昭49−35520号公報参
照)。固相還元法によるマグネタイトの製造方法は、水
素などの還元ガスでヘマタイトを還元熱処理することに
よってマグネタイトを得る方法である(特開昭61−7
2630号公報参照)。
【0004】これらの方法では、酸化あるいは還元の雰
囲気をコントロールできるため、純粋なスピネル単相マ
グネタイトを生成することができる利点があるとされて
いる。しかし、これらの方法は、いずれもバッチ処理の
製法であり、しかも工程数が多いことから製造コストが
高い欠点がある。
【0005】他方、鉄鋼業においては鋼板などの塩酸酸
洗の際に生じる酸洗廃液中の塩化鉄を利用して、空気中
でこれを焙焼(熱分解)し、酸化鉄を製造する方法が考え
られている。焙焼方法(熱分解法)としては、一般に炉頂
より塩酸酸洗廃液を噴霧し炉内で熱分解を行い酸化鉄を
炉底より取り出す噴霧焙焼法と、一定の温度に保持した
流動層中に塩酸酸洗廃液を噴霧し熱分解させ酸化鉄を炉
頂より捕集する流動焙焼法がある。
【0006】焙焼法では粉砕などの工程を省略でき、ま
た連続処理の製法であり、しかも塩化鉄の酸洗廃液を利
用しているため酸化鉄の製造コストを下げる利点があ
る。しかし、空気中ではかなりの塩化鉄を酸化させて主
相はヘマタイト相になってしまうため、現存の焙焼法で
マグネタイト磁性粉末を合成することは困難である。
【0007】そこで、簡単に製造でき、しかも良好なマ
グネタイト磁性粉末を得るため、本件出願人は、先にマ
グネタイト磁性粉末の生成方法として、次のような3つ
の提案を含む出願をしている(第一の提案は特願平5−
347945号明細書に記載、第二の提案は特願平5−
353918号明細書に記載、第三の提案は特願平6−
135004号明細書に記載されている)。第1の提案
によるマグネタイト磁性粉末の生成方法は、塩化第一鉄
を出発原料として、水蒸気を含む雰囲気下の熱処理で得
られる。上記マグネタイト磁性粉末は、マグネタイト相
の含有量が90(wt%)以上であり、飽和磁化が82〜9
2(emu/g)である。上記熱処理は、導入水蒸気圧(mmHg)
を縦軸、熱処理温度(℃)を横軸とするグラフにおいて、
雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理温度(A:1000℃、7
60mmHg、B:500℃、760mmHg、C:75
0℃、200mmHg、D:530℃、200mmHg)
のA、B、C、Dの四点の四辺形で囲まれた範囲で行わ
れる。上記水蒸気等は、昇温前の熱処理炉内へ導入・充
填され、処理中も該炉内へ導入・流通され続ける。そし
て、その水蒸気圧は、常圧下でその温度を制御すること
により調整され、例えば、100℃で水蒸気圧760m
mHg、95℃で水蒸気圧600mmHg、85℃で水
蒸気圧400mmHg、70℃で水蒸気圧200mmH
gとなる。また、導入水蒸気の蒸気圧または導入水蒸気
圧の値は、水蒸気の上記熱処理炉内への導入の値をさ
す。
【0008】また、第2の提案によるマグネタイト磁性
粉末は、上記第1の提案と同様に、塩化第一鉄を出発原
料とし、これを非酸化性雰囲気下において熱処理を行う
前処理工程、この前処理工程で得られた処理物を酸素を
含有する雰囲気下で所定温度まで冷却する冷却工程、お
よび冷却された処理物を水蒸気が存在する雰囲気下で焙
焼し、熱分解する焙焼工程で処理して得られ、比表面積
が1.0〜3.0(m2/g)、飽和磁化が82〜92(emu/
g)、マグネタイト相の含有量が90(wt%)以上であるこ
とを特徴とするものである。
【0009】さらに、第3の提案によるマグネタイト磁
性粉末は、塩化第一鉄および塩化第二鉄の混合材料を出
発原料とし、該混合材料における塩化第一鉄と塩化第二
鉄の組成比がモル比で、25/75〜75/25であ
り、これを水蒸気が存在する雰囲気下で熱処理しマグネ
タイト磁性粉末が得られ、比表面積が0.8〜3.0(m
2/g)、飽和磁化が82〜92(emu/g)、保磁力が60〜
160(Oe)、そして抵抗値が106(Ω)以上であること
を特徴とするものである。
【0010】以上の3つの提案によれば、良好な特性の
マグネタイト磁性粉末が得られ、さらに、容易に良好な
特性の磁性トナーを製造することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記3つの
提案とは反応を異にし、マグネタイト磁性粉末および磁
性トナーを更に容易に製造でき、しかも得られた該磁性
トナーの特性も良好な磁性トナーの製造方法を提供する
ことを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(4)の本発明により達成される。
【0013】(1)塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料
を出発原料とし、焙焼工程を水蒸気が存在する雰囲気下
において行い、前記原料に熱分解反応と同時に固相反応
を行わせてマグネタイト磁性粉末を製造し、これに結着
樹脂、と荷電制御剤および顔料等の添加剤を45〜70
(wt%)添加して溶融混練し、粉砕、分級することを特徴
とする磁性トナーの製造方法。
【0014】(2)前記混合材料において塩化第一鉄が
99〜30モル%、ヘマタイトが1〜70モル%である
上記1記載の磁性トナーの製造方法。
【0015】(3)前記焙焼における熱処理温度が、4
30〜900℃の範囲である上記(1)および(2)の
磁性トナーの製造方法。
【0016】(4)マグネタイト相の含有量が90(wt
%)以上であって残留塩素が600ppm以下である
(1)、(2)および(3)の磁性トナーの製造方法。
【0017】本発明では、出発原料として、塩化第一鉄
とヘマタイトの混合材料を用いて、マグネタイト磁性粉
末を製造し、さらに磁性トナーを製造する。
【0018】まず、マグネタイト磁性粉末を得るまでの
過程は以下の通りである。
【0019】上記塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料の
組成比は、モル比で99/1〜30/70であることが
好ましい。上記範囲外で塩化第一鉄が多すぎると、マグ
ネタイト磁性粉末の目的相の生成温度が高くなり、粒成
長する。一方、ヘマタイトが多すぎると、目的相の生成
量が抑制され、最適の磁気特性が得られない。
【0020】上記塩化第一鉄は、固体、溶液のいずれを
用いてもよく、固体を用いる場合は、平均粒子径を1〜
1,000(μm)程度とする。
【0021】上記塩化第一鉄が固体の場合は、原料の混
合は、塩化第一鉄(結晶)とヘマタイトの各原料を所定の
モル比で秤量した後、これを振動ミルで混合し混合材料
を得る。
【0022】一方、上記塩化第一鉄が溶液である場合、
塩化第一鉄溶液にヘマタイトを加え所定のモル比に調整
後、これをスプレードライヤで噴霧・乾燥し水分を蒸発
させて混合材料を得る。
【0023】上記のような混合材料は、焙焼により、熱
分解反応と同時に固相反応が行われ、マグネタイト磁性
粉末が生成される。具体的には、FeCl2が熱分解反
応による脱塩素によりFeOを生成して、同時にFe2
3と固相反応がおこなわれ、Fe34:マグネタイトが
生成する。この焙焼は、非酸化性キャリアガスと水蒸気
よりなる雰囲気下で、430〜900(℃)の温度範囲で
行われることが好ましい。この範囲外で焙焼する場合マ
グネタイト相が減少し、最適の磁気特性が得られなくな
る。このとき、上記水蒸気圧は、上記定義の導入水蒸気
圧が100〜760mmHgの範囲で高ければ高いほど
望ましい。ここで水蒸気圧が高い場合脱塩素が良好に行
われマグネタイト相が得られやすくなる。一方、水蒸気
圧が低い場合は脱塩素が遅れ異相が生成しやすくなり、
マグネタイト生成領域が縮小する。また、上記非酸化性
ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いること
ができる。
【0024】上記焙焼は、使用する炉内の密閉性が良好
であればどのような焙焼法を用いても良い。例えば、噴
霧焙焼法、流動焙焼法、ロータリーキルンを用いた方
法、およびトンネル炉を用いた方法等により好ましく実
施することができる。
【0025】上記噴霧焙焼法は、鉄濃度の調整を行った
塩化第一鉄溶液中にヘマタイトを加え、攪拌しながら焙
焼炉の炉頂より噴霧し噴霧液滴の流れと上記非酸化性キ
ャリアガスと水蒸気よりなるガスの流れが対向流になる
ようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成したマ
グネタイト粉体を炉底より取り出す方法である。
【0026】上記流動焙焼法は、鉄濃度の調整を行った
塩化第一鉄溶液中にヘマタイトを加え、攪拌しながら焙
焼炉の炉頂より噴霧し噴霧液滴の流れと上記非酸化性キ
ャリアガスと水蒸気よりなるガスの流れが同じ方向にな
るようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成した
マグネタイト粉体を炉頂より取り出す方法である。
【0027】ロータリーキルンを用いた方法としては、
一般に耐熱煉瓦で内張りした鉄製の大きな円筒をやや傾
けて回転装置の上に横たえた窯炉・鉄筒の下部から加熱
しながら、上部から原料を入れて、回転にしたがって下
部の最高温度のところへ移動し、原料の焼成あるいは熱
処理を行う方法である。
【0028】本発明に用いるロータリーキルンとして
は、例えば、図1および2に示したような構造のものを
用いることができる。
【0029】図において、符号1はロータリーキルンを
示し、このロータリーキルン1は、回転炉本体2を備え
ている。この回転炉本体2は、円筒状の炉芯管3を有
し、この炉芯管3の内部に一端4より原料が投入され、
熱処理が行われる。上記炉芯管3は、原料が投入される
一端4を上にし、マグネタイト磁性粉末が取り出される
他端5を下にして水平に対して、10〜30度の範囲で
傾いている。従って、このロータリーキルン1の流動角
度は、10〜30度の範囲である。また、上記炉芯管3
は、その回転数が3〜30rpmの範囲に設定されてい
ることが望ましい。
【0030】上記炉芯管3の一端および他端には、それ
ぞれ炉芯管内部を密閉するための密閉栓6a、6bが設
けられている。上記一端4側の密閉栓6aには、炉芯管
3内部に原料を投入するための原料投入用パイプ7、お
よびマグネタイト磁性粉末の生成に際して発生するHC
lを回収するためのHCl回収用パイプ8が取り付けら
れている。上記原料投入用パイプ7の途中には、炉芯管
3内に固体状の原料を定量的に送り込むための定量フィ
ーダー9が配置されている。
【0031】一方、他端5側の密閉栓6bには、炉内で
生成されたマグネタイト磁性粉末を炉外に取り出すため
の取り出し管10、および炉内に雰囲気を導入するため
の雰囲気導入パイプ11が取り付けられている。また、
炉芯管3内部には、図2に特によく示したように、炉芯
管の内壁上縁に沿って配置され、該炉芯管とともには運
動しないように固定されたガラス製の剥離棒12が設け
られている。この剥離棒12は、炉芯管3の内壁面に対
して3〜30mmの間隔を隔てられて配置され、該内壁
面に付着したマグネタイト磁性粉末を、該内壁からかき
落とす作用をなすものである。
【0032】以上の構造のロータリーキルンによれば、
塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を用いて良好なマグ
ネタイト磁性粉末を製造することができる。
【0033】上記トンネル炉は、窯業製品などを連続的
に焼成(熱処理)するトンネル状の窯炉であり、この炉を
用いた方法は、一般に入り口から予熱室、加熱室と温度
が上がり、冷却室、出口と低温になっている中を被焼成
物を乗せた台車が一定の速度で動き、一定の加熱、冷却
速度で焼成(熱処理)する方法である。
【0034】上記種々の炉内への水蒸気の導入は、雰囲
気の一部を構成する非酸化性ガスをキャリアガスとして
導入することが望ましい。この不活性ガスとしては、窒
素ガスの他、アルゴンガス等を用いることができる。
【0035】上記熱処理の温度保持時間は、噴霧焙焼法
と流動焙焼法においては、反応が瞬時に行われ、ロータ
リーキルンで行う場合には通過時間2時間以下が望まし
く、トンネル炉で行う場合には通過時間10時間以下が
望ましい。なお、ロータリーキルンおよびトンネル炉で
熱処理を行う場合には、上記通過時間を少なくとも10
分間程度に設定することが望ましい。
【0036】また、昇降温速度は、特に限定されない
が、5〜60(℃/min)程度であることが好ましい。
【0037】さらに、得られたマグネタイト磁性粉末
は、マグネタイト相の含有量が90(wt%)以上でである
ことが好ましく、90(wt%)未満であると最適の特性が
得られない。また、残留塩素量が600ppm以下であ
ることが好ましく、少なければ少ないほど望ましい。マ
グネタイト磁性粉中の残留塩素が600ppmを超える
ころより、トナーとして環境特性の悪化が顕著に見ら
れ、特に高温・高湿条件下で画像濃度が低下する。さら
に磁性粉末中の残留塩素量が多い場合、該マグネタイト
磁性粉末を用いて電子写真用トナーを作製した場合、ト
ナーの帯電特性を低下させて画像濃度の低下が起こり、
電子写真装置の感光ドラム等を損傷するおそれがあるか
らである。
【0038】以上の方法により得られたマグネタイト磁
性粉末に、結着樹脂やその他添加剤を混合し、溶解混
練、粉砕、分級の工程を経て、磁性トナーを得る。
【0039】結着樹脂やその他添加剤は45〜70(wt
%)添加する、換言すれば、マグネタイト磁性粉末は、ト
ナー全体に対して30〜55(wt%)程度含有されること
が好ましい。該マグネタイト磁性粉末が、30(wt%)未
満であると、磁性トナーとしての磁化が低下するため、
画像劣化(解像度劣化、かぶりの増大)が生じる。一方、
55(wt%)を超えると、磁性トナーとしての帯電性能が
低下し、画像濃度の低下が起こる。
【0040】上記樹脂としては、スチレンーアクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが
できる。
【0041】本発明に係る磁性トナーは、さらに荷電制
御剤、およびその他の添加剤を含んでいることが好まし
い。荷電制御剤は、帯電極性、帯電量等を制御するため
に必要に応じて添加される。
【0042】本発明では、目的とする極性、帯電量等に
応じて公知の適当な荷電制御剤を選択すればよく、特に
制限はない。例えば、金属錯塩アゾ染料、ニグロシン染
料等が挙げられるが、これらは要求特性に応じて選択さ
れるものである。このような荷電制御剤の添加量は、ト
ナー粒子の樹脂100重量部に対して0.1〜5.0重
量部程度であることが好ましい。ここで0.1重量部未
満である場合、トナーのプリント時の帯電性能が不安定
となり、高品位の画像特性が得られない。一方、5.0
重量部を超える場合はむしろトナー帯電量を低下させる
ため、トナー消費量が増加する。また、プリント像の色
彩を調整する目的で色調整用顔料として、0.1〜5.
0重量部のカーボンブラックを添加してもよい。
【0043】また、その他の添加剤としては、ワック
ス、ポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン類ま
たはシリコンオイルを用いることができる。
【0044】ワックスは離型剤として、オフセット防止
のために必要に応じて添加される。本発明では、用いる
ワックスに特に制限はなく、公知の種々のワックス、例
えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワック
ス、シリコンワックス等を用いればよいが、これらは要
求特性に応じて選択されるものである。このようなワッ
クスの添加量は、トナー粒子の樹脂100重量部に対し
1.0〜10.0重量部程度であることが好ましい。こ
こで1.0重量部未満の場合、トナーの離形性能が悪化
し、プリント像にオフセットが発生する。一方、10.
0重量部を超える場合、プリント像の光沢度が増して、
画像として好ましくない。
【0045】本発明における磁性トナーのトナー粒子
は、磁性トナーの場合、その平均粒子径が、3〜25
(μm)、より好ましくは3〜20(μm)、特に好ましく
は4〜12(μm)であることが好ましい。平均粒子径が
大きすぎると、解像度が劣化し、現像剤のケーキングや
スリーブ付着が生じやすくなり、また小さすぎると、現
像剤の流動性や定着性がやや悪化する。前記の分級によ
り、この範囲の程度のものを選別する。
【0046】また、磁性トナー粒子の保磁力(Hc)は、
例えば、印加磁界:5,000(Oe)において35〜23
0(Oe)、特に60〜160(Oe)が好ましい。一方、磁性
トナー粒子の飽和磁化(σs)は、例えば、印加磁界:
5,000(Oe)において、8〜65(emu/g)、特に15
〜40(emu/g)であることが好ましい。
【0047】また、トナー粒子には、これらの他、抵抗
調整剤、シリカ等を添加してもよい。
【0048】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0049】塩化第一鉄結晶(FeCl2・4H2O)とヘ
マタイト(αFe23)を表1に示す各所定のモル比と
し、これを振動ミルで10分間粉砕・混合して混合材料
を得た。また、塩化第一鉄溶液とヘマタイトの混合材料
については、表1に示す各所定のモル比としたスラリー
を作製し、これをスプレードライヤで噴霧・乾燥して水
分を蒸発させて混合材料を得た。
【0050】ここで得られた混合材料を各100g取
り、バッチ炉で焙焼を行った。この炉内には、窒素をキ
ャリアガスとして760mmHgの水蒸気圧の雰囲気を
連続的に導入・流通させた。この状態で、5(℃/min)で
昇温し、表1に示す温度および保持時間で保持した後、
冷却し、分級し、磁性トナーの原料となる磁性粉試料1
〜9を得た。
【0051】
【表1】
【0052】以上より得られた該磁性粉試料1〜9の結
晶種類およびマグネタイト相の含有量(wt%)、飽和磁化
(σs(emu/g))、保磁力(Hc(Oe))、抵抗値(Ω)、比表
面積(m2/g)、残留塩素量(ppm)をそれぞれ測定した。
その結果を表2に示す。
【0053】
【表2】
【0054】測定は、次のようにして行った。
【0055】結晶種類は、粉末X線回折法により定性分
析により、結晶種類を特定した。マグネタイト相の含有
量(wt%)は、マグネタイト相と各結晶相のX線相対強度
比との関係から求めた。また、飽和磁化(σs(emu/g))
および保磁力(Hc(Oe))については、各試料0.1gを
ホルダーにセットして、磁場5,000(Oe)を印加した
状態で、振動試料型磁力計により測定した。比表面積(m
2/g)については、各試料0.5gをセットし、BET1
点法で測定した。抵抗値(R(Ω))は、各極に1500
(G)の磁石を設置した抵抗測定治具にマグネタイト磁性
粉末0.5gを磁力を利用してセットし、印加電圧1,
000(V)、極間距離6.5(mm)で測定し、1分後の
値を絶縁計により読みとった。そして、残留塩素量(p
pm)は、蛍光X線を用いた粉末プレス法によりプレス
した試料の表面にX線をあて、塩素ピーク値を求め、塩
素量の定量化を図った。なお、塩素ピーク値はあらかじ
め塩素量を振った試料により検量化したものであり、検
量線上にピーク値を合わせることで塩素量を求めた。
【0056】表1および表2から明瞭なように、原料を
本発明にしたがい塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を
用いたものは、良好なマグネタイト磁性粉末を得ること
ができた。
【0057】次に、上記本発明の磁性粉試料1,2,
4,7および本発明外である磁性粉試料9を下記の条件
でトナー化し、トナー1,2,3,4,5を作製した。
【0058】結着樹脂(St−AcおよびPP):59.
0(wt%)、マグネタイト磁性粉末:39.0(wt%)、荷電
制御剤(TRH):1.0(wt%)、カーボンブラック:
1.0(wt%)の組成として秤量後、加圧式ニーダーで溶
融混練し、さらに粉砕・分級を行い磁性トナー1,2,
3,4,5を得た。これらのトナーについて、トナー粉
体の特性を測定し、表3に示した。
【0059】
【表3】
【0060】測定は次のように行った。
【0061】トナー粒子の平均粒子径の測定には、コー
ルターカウンター法により、測定値の体積粒子径を算出
し、その50(%)平均粒子径を平均粒子径とした。コー
ルターカウンターにおいては、電解液としてイソトンII
(コールターエレクトロニクス社製)を用い、アパチャー
径100(μm)のコールターカウンタTAーII(コール
ターエレクトロニクス社製)を用いて体積基準の測定を
行った。なお、粒子径分布は、一般に平均粒子径をdと
したとき、2d以上が5(%)程度以下、d/2以下が5
(%)程度以下のものであることが好ましい。かさ比重は
JIS K5101に準ずる方法で測定し、流動性はト
ナー10(g)を100メッシュのふるい上で振動させ1
0秒後の該ふるい上の残量を測定したものであり、値と
しては少なければ少ないほど流動性が優れているもので
ある。
【0062】表3からわかるように、本発明に従い、磁
性粉試料1,2,4を用いた磁性トナー1,2,3は、
帯電量、飽和磁化が高く最適の特性が得られているのに
対して、比較例の磁性トナー5は、帯電量、飽和磁化が
低い結果となった。しかも、保持力も187(Oe)と高い
ことがわかった。磁性粉試料7を用いた磁性トナー4は
帯電量は高いが、保磁力が高く、最適ではないとはいえ
十分実用に供することができる特性が得られている。ま
た、表に例示しないが、前記したように帯電量は残留塩
素量に影響されることから、磁性粉試料3,5,6,8
を用いて磁性トナーを作成した場合でも、帯電量が高
く、十分な特性が得られることは明らかである。
【0063】次に、上記磁性トナー3,4について各
5.0(wt%)とフェライトキャリア:95.0(wt%)をボ
ールミルにセットして混合し、混合試料を所定時間毎に
採取してブローオフ装置でブロー時間30秒の帯電量を
測定し、さらに、帯電量の経時変化の確認を行った。そ
の結果を図3に示す。
【0064】図3より、磁性粉試料1を用いた磁性トナ
ー1については、ボールミル攪拌時間における帯電量の
経時変化が小さく良好であるのに対し、原料がFeCl
2のみからなる磁性粉試料9を用いた磁性トナー5につ
いては、当初より帯電量は低下しており、しかも帯電量
の経時変化も大きいことがわかった。
【0065】また、上記磁性トナー1,2,3,4,5
については、市販の電子写真プリンター(京セラ製)にセ
ットして画像特性を確認した。その結果を表4に示す。
【0066】
【表4】
【0067】ここで各項目の測定方法は以下の通りであ
る。
【0068】画像濃度はマクベス濃度計(マクベス社
製)によりプリント像の黒ベタ部を3箇所測定し、平均
値を画像濃度とした。かぶりは通紙前の紙の反射率(A)
を測定し、プリント後の非現象箇所の反射率(B)を測定
し、下記式により求めた。なお、測定装置は(東京電色
社製)REFLECTOMETER モデルTC-6Dを用いた。
【0069】かぶり(%)=│A−B│/A×100 解像度は300DPIの線群をプリントし、10倍のル
ーペにて独立の線として認識できるかを目視で確認し
た。オフセットは1頁目のプリント像が2頁目以降のプ
リント像に残存してしまう現象であり、目視で確認し
た。定着率は1インチ四方の黒ベタパターンをプリント
後、その黒ベタ画像を、ガーゼを両面テープに張り付け
た金属製円柱棒にて10往復こすらせて、プリント像の
こする前と後の濃度を測定して、下記式により算出し
た。
【0070】定着率(%)=(こする前の濃度−こすり
後の濃度)/こする前の濃度×100 この表4から分かるように、本発明の磁性トナー1,
2,3,は、トナーとしての特性が良好であったが、比
較例の磁性トナー5においては、磁性粉の帯電量、飽和
磁化、抵抗値が低いため、画像特性としては、画像濃度
が低く、かぶりおよび解像度等において劣り、実用に供
することができない。また、トナー4は原料とする磁性
粉7のマグネタイト相が90(wt%)以下であるために、
飽和磁化が若干低く、保磁力が高く、かぶり、解像度に
おいてやや劣る結果となった。しかし、十分実用に供す
ることができる結果となっている。
【0071】さらに表に例示しないが、上記したよう
に、磁性粉試料3,5,6,8を用いて磁性トナーを作
成した場合は、帯電量が高くなるのは明らかであり、磁
性粉の飽和磁化、抵抗値が高いことから、実用に供する
ことができる画像特性が得られることは明らかである。
【0072】
【発明の効果】本発明に係るマグネタイト磁性粉末は、
比表面積が1.0〜3.0(m2/g)と粒子径が小さいた
め、粉砕などの工程が省略でき、工程数の簡略化が図
れ、安価に磁性トナーを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネタイト磁性粉末の製造方法に使
用されるロータリーキルンの長手方向断面図である。
【図2】上記ロータリーキルンの横方向断面図である。
【図3】トナー含有磁性粉中の残留塩素量とボールミル
攪拌時間における帯電量の経時変化を示す図である。
【符号の説明】
1.ロータリーキルン 2.回転炉本体 3.炉芯管 4.炉芯管の一端 5.炉芯管の他端 6a、6b.密閉栓 7.原料投入用パイプ 8.HCl回収用パイプ 9.定量フィーダー 10.マグネタイト磁性粉末の取り出し管 11.雰囲気導入パイプ 12.剥離棒

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を出発
    原料とし、焙焼工程を水蒸気が存在する雰囲気下におい
    て行い、前記原料に熱分解反応と同時に固相反応を行わ
    せてマグネタイト磁性粉末を製造し、これに結着樹脂、
    荷電制御剤および顔料等の添加剤を45〜70(wt%)添
    加して溶融混練し、粉砕、分級することを特徴とする磁
    性トナーの製造方法。
  2. 【請求項2】前記混合材料において塩化第一鉄が99〜
    30モル%、ヘマタイトが1〜70モル%である請求項
    1記載の磁性トナーの製造方法。
  3. 【請求項3】前記焙焼における熱処理温度が、430〜
    900℃の範囲である請求項1および2記載の磁性トナ
    ーの製造方法。
  4. 【請求項4】マグネタイト相の含有量が90(wt%)以上
    であって残留塩素が600ppm以下である請求項1、
    請求項2および請求項3の磁性トナーの製造方法。
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