JPH0971423A - マグネタイト磁性粉末の製造方法 - Google Patents

マグネタイト磁性粉末の製造方法

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JPH0971423A
JPH0971423A JP7230484A JP23048495A JPH0971423A JP H0971423 A JPH0971423 A JP H0971423A JP 7230484 A JP7230484 A JP 7230484A JP 23048495 A JP23048495 A JP 23048495A JP H0971423 A JPH0971423 A JP H0971423A
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ferrous chloride
phase
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JP7230484A
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Yoshito Nihei
義人 仁平
Masahiro Onizuka
雅広 鬼塚
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    • HELECTRICITY
    • H01ELECTRIC ELEMENTS
    • H01FMAGNETS; INDUCTANCES; TRANSFORMERS; SELECTION OF MATERIALS FOR THEIR MAGNETIC PROPERTIES
    • H01F1/00Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties
    • H01F1/01Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials
    • H01F1/03Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity
    • H01F1/032Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials
    • H01F1/10Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure
    • H01F1/11Magnets or magnetic bodies characterised by the magnetic materials therefor; Selection of materials for their magnetic properties of inorganic materials characterised by their coercivity of hard-magnetic materials non-metallic substances, e.g. ferrites, e.g. [(Ba,Sr)O(Fe2O3)6] ferrites with hexagonal structure in the form of particles

Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明の課題は、従来とは出発原料を異にし、
マグネタイト磁性粉末を更に容易に製造することがで
き、しかも、該マグネタイト磁性粉末の特性も良好な該
マグネタイト磁性粉末の製造方法を提供することであ
る。 【解決手段】塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を出発
原料とし、水蒸気を含む雰囲気下で熱処理し、熱分解反
応と固相反応を同時に行いマグネタイト磁性粉末を得る
ことを特徴とするマグネタイト磁性粉末の製造方法であ
る。塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料の混合比、熱処
理温度を選択することにより、電子写真用磁性トナー等
に用いられるべく、一般に要求されるサイズや磁気特性
の磁性粉末が得られる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネタイト磁性粉末
の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネタイト磁性粉末は、電子写真プロ
セス(複写機.レーザープリンタ.普通紙ファックス等)の
現像剤として用いられる磁性トナー、磁性インクなどに
使用される。
【0003】従来、マグネタイト磁性粉末の工業的製法
として共沈法と固相還元法がある。共沈法によるマグネ
タイト磁性粉末の製造方法は、塩化第一鉄溶液にアルカ
リを作用させ生成した水酸化第一鉄をアルカリ性溶液中
で酸化性ガスを通気して酸化することによりマグネタイ
トを得る方法である(特公昭49−35520号公報参
照)。固相還元法によるマグネタイトの製造方法は、水
素などの還元ガスでヘマタイトを還元熱処理することに
よってマグネタイトを得る方法である(特開昭61−7
2630号公報参照)。
【0004】これらの方法では、酸化あるいは還元の雰
囲気をコントロールできるため、純粋なスピネル単相マ
グネタイトを生成することができる利点があるとされて
いる。しかし、これらの方法は、いずれもバッチ処理の
製法であり、しかも工程数が多いことから製造コストが
高い欠点がある。
【0005】他方、鉄鋼業においては鋼板などの塩酸酸
洗の際に生じる酸洗廃液中の塩化鉄を利用して、空気中
でこれを焙焼(熱分解)し、酸化鉄を製造する方法が考え
られている。焙焼方法(熱分解法)としては、一般に炉頂
より塩酸酸洗廃液を噴霧し炉内で熱分解を行い酸化鉄を
炉底より取り出す噴霧焙焼法と、一定の温度に保持した
流動層中に塩酸酸洗廃液を噴霧し熱分解させ酸化鉄を炉
頂より捕集する流動焙焼法がある。
【0006】焙焼法では粉砕などの工程を省略でき、ま
た連続処理の製法であり、しかも塩化鉄の酸洗廃液を利
用しているため酸化鉄の製造コストを下げる利点があ
る。しかし、空気中ではかなりの塩化鉄を酸化させて主
相はヘマタイト相になってしまうため、現存の焙焼法で
マグネタイト磁性粉末を合成することは困難である。
【0007】そこで、簡単に製造でき、しかも良好なマ
グネタイト磁性粉末を得るため、本件出願人は、先にマ
グネタイト磁性粉末の生成方法として、次のような3つ
の提案を含む出願をしている(第一の提案は特願平5−
347945号明細書に記載、第二の提案は特願平5−
353918号明細書に記載、第三の提案は特願平6−
135004号明細書に記載されている)。第1の提案
によるマグネタイト磁性粉末の生成方法は、塩化第一鉄
を出発原料として、水蒸気を含む雰囲気下の熱処理で得
られる。上記マグネタイト磁性粉末は、マグネタイト相
の含有量が90(wt%)以上であり、飽和磁化が82〜9
2(emu/g)である。上記熱処理は、導入水蒸気圧(mmHg)
を縦軸、熱処理温度(℃)を横軸とするグラフにおいて、
雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理温度(A:1000℃、7
60mmHg、B:500℃、760mmHg、C:75
0℃、200mmHg、D:530℃、200mmHg)
のA、B、C、Dの四点の四辺形で囲まれた範囲で行わ
れる。上記水蒸気等は、昇温前の熱処理炉内へ導入・充
填され、処理中も該炉内へ導入・流通され続ける。そし
て、その水蒸気圧は、常圧下でその温度を制御すること
により調整され、例えば、100℃で水蒸気圧760m
mHg、95℃で水蒸気圧600mmHg、85℃で水
蒸気圧400mmHg、70℃で水蒸気圧200mmH
gとなる。また、導入水蒸気の蒸気圧または導入水蒸気
圧の値は、水蒸気の上記熱処理炉内への導入の値をさ
す。第2の提案によるマグネタイト磁性粉末は、上記第
1の提案と同様に、塩化第一鉄を出発原料とし、これを
非酸化性雰囲気下において熱処理を行う前処理工程、こ
の前処理工程で得られた処理物を酸素を含有する雰囲気
下で所定温度まで冷却する冷却工程、および冷却された
処理物を水蒸気が存在する雰囲気下で焙焼し、熱分解す
る焙焼工程で処理して得られ、比表面積が1.0〜3.
0(m2/g)、飽和磁化が82〜92(emu/g)、マグネタイ
ト相の含有量が90(wt%)以上であることを特徴とする
ものである。
【0008】さらに、第3の提案によるマグネタイト磁
性粉末は、塩化第一鉄および塩化第二鉄の混合材料を出
発原料とし、該混合材料における塩化第一鉄と塩化第二
鉄の組成比がモル比で、25/75〜75/25であ
り、これを水蒸気が存在する雰囲気下で熱処理しマグネ
タイト磁性粉末が得られ、比表面積が0.8〜3.0(m
2/g)、飽和磁化が82〜92(emu/g)、保磁力が60〜
160(Oe)、そして抵抗値が106(Ω)以上であること
を特徴とするものである。
【0009】以上の3つの提案によれば、塩化第一鉄あ
るいは塩化第一鉄と塩化第二鉄の混合材料を出発原料と
し、容易に製造でき、しかも良好な特性のマグネタイト
磁性粉末が得られる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記3つの
提案とは反応を異にし、マグネタイト磁性粉末を更に容
易に製造でき、しかも得られた該マグネタイト磁性粉末
の特性も良好なマグネタイト磁性粉末の製造方法を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的は、下記(1)
〜(4)の本発明により達成される。
【0012】(1)塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料
を出発原料とし、焙焼工程を水蒸気が存在する雰囲気下
において行い、前記原料に熱分解反応と同時に固相反応
を行わせてマグネタイトを製造することを特徴とするマ
グネタイト磁性粉末の製造方法。
【0013】(2)前記混合材料において塩化第一鉄が
99〜30モル%、ヘマタイトが1〜70モル%である
上記1記載のマグネタイト磁性粉末の製造方法。
【0014】(3)前記焙焼における熱処理温度が、4
30〜900℃の範囲である上記(1)および(2)の
マグネタイト磁性粉末の製造方法。
【0015】(4)マグネタイト相の含有量が90(wt
%)以上であって残留塩素量が600ppm以下である
(1)、(2)および(3)のマグネタイト磁性粉末の
製造方法。
【0016】出発原料として、塩化第一鉄とヘマタイト
の混合材料を用いて、マグネタイト磁性粉末を製造す
る。上記混合材料は、塩化第一鉄99〜30モル%、ヘ
マタイトが1〜70モル%であることが好ましい。塩化
第一鉄が99モル%を超えると、すなわち、ヘマタイト
が1モル%より少ないと、目的相の生成温度が高くな
り、粒成長する。一方、塩化第一鉄が30モル%より少
ないと、すなわち、ヘマタイトが70モル%を超える
と、目的相の生成量が抑制され、最適の磁気特性が得ら
れない。
【0017】また、上記塩化第一鉄は、固体、溶液のい
ずれを用いてもよく、固体を用いる場合は、平均粒子径
を1〜1,000(μm)程度とする。
【0018】上記塩化第一鉄が固体の場合は、原料の混
合は、塩化第一鉄(結晶)とヘマタイトの各原料を所定の
モル比で秤量した後、これを振動ミルで混合し混合材料
を得る。
【0019】一方、上記塩化第一鉄が溶液である場合、
塩化第一鉄溶液にヘマタイトを加え所定のモル比に調整
後、これをスプレードライヤで噴霧・乾燥し水分を蒸発
させて混合材料を得る。
【0020】上記のような混合材料は、焙焼により、熱
分解反応と同時に固相反応が行われ、マグネタイト磁性
粉末が生成される。具体的には、FeCl2が熱分解反
応による脱塩素によりFeOを生成して、同時にFe2
3と固相反応がおこなわれ、Fe34:マグネタイトが
生成する。この焙焼は、非酸化性キャリアガスと水蒸気
よりなる雰囲気下で、430〜900(℃)の温度範囲で
行われることが好ましい。この範囲外で焙焼する場合マ
グネタイト相が減少し、最適の磁気特性が得られなくな
る。このとき、上記水蒸気圧は、上記定義の導入水蒸気
圧が100〜760mmHgの範囲で高ければ高いほど
望ましい。ここで水蒸気圧が高い場合脱塩素が良好に行
われマグネタイト相が得られやすくなる。一方、水蒸気
圧が低い場合は脱塩素が遅れ異相が生成しやすくなり、
マグネタイト生成領域が縮小する。また、上記非酸化性
ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガス等を用いること
ができる。
【0021】上記焙焼は、使用する炉内の密閉性が良好
であればどのような焙焼法を用いても良い。例えば、噴
霧焙焼法、流動焙焼法、ロータリーキルンを用いた方
法、およびトンネル炉を用いた方法等により好ましく実
施することができる。
【0022】上記噴霧焙焼法は、鉄濃度の調整を行った
塩化第一鉄溶液中にヘマタイトを加え、攪拌しながら焙
焼炉の炉頂より噴霧し噴霧液滴の流れと上記非酸化性キ
ャリアガスと水蒸気よりなるガスの流れが対向流になる
ようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成したマ
グネタイト粉体を炉底より取り出す方法である。
【0023】上記流動焙焼法は、鉄濃度の調整を行った
塩化第一鉄溶液中にヘマタイトを加え、攪拌しながら焙
焼炉の炉頂より噴霧し噴霧液滴の流れと上記非酸化性キ
ャリアガスと水蒸気よりなるガスの流れが同じ方向にな
るようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応により生成した
マグネタイト粉体を炉頂より取り出す方法である。
【0024】ロータリーキルンを用いた方法としては、
一般に耐熱煉瓦で内張りした鉄製の大きな円筒をやや傾
けて回転装置の上に横たえた窯炉・鉄筒の下部から加熱
しながら、上部から原料を入れて、回転にしたがって下
部の最高温度のところへ移動し、原料の焼成あるいは熱
処理を行う方法である。
【0025】本発明に用いるロータリーキルンとして
は、例えば、図1および2に示したような構造のものを
用いることができる。
【0026】図において、符号1はロータリーキルンを
示し、このロータリーキルン1は、回転炉本体2を備え
ている。この回転炉本体2は、円筒状の炉芯管3を有
し、この炉芯管3の内部に一端4より原料が投入され、
熱処理が行われる。上記炉芯管3は、原料が投入する一
端4を上にし、マグネタイト磁性粉末が取り出される他
端5を下にして水平に対して、10〜30度の範囲で傾
いている。従って、このロータリーキルン1の流動角度
は、10〜30度の範囲である。また、上記炉芯管3
は、その回転数が3〜30rpmの範囲に設定されてい
ることが望ましい。
【0027】上記炉芯管3の一端および他端には、それ
ぞれ炉芯管内部を密閉するための密閉栓6a、6bが設
けられている。上記一端4側の密閉栓6aには、炉芯管
3内部に原料を投入するための原料投入用パイプ7、お
よびマグネタイト磁性粉末の生成に際して発生するHC
lを回収するためのHCl回収用パイプ8が取り付けら
れている。上記原料投入用パイプ7の途中には、炉芯管
3内に固体状の原料を定量的に送り込むための定量フィ
ーダー9が配置されている。
【0028】一方、他端5側の密閉栓6bには、炉内で
生成されたマグネタイト磁性粉末を炉外に取り出すため
の取り出し管10、および炉内に雰囲気を導入するため
の雰囲気導入パイプ11が取り付けられている。また、
炉芯管3内部には、図2特によく示したように、炉芯管
の内壁上縁に沿って配置され、該炉芯管とともには運動
しないように固定されたガラス製の剥離棒12が設けら
れている。この剥離棒12は、炉芯管3の内壁面に対し
て3〜30mmの間隔を隔てられて配置され、該内壁面
に付着したマグネタイト磁性粉末を、該内壁からかき落
とす作用をなすものである。
【0029】以上の構造のロータリーキルンによれば、
塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を用いて良好なマグ
ネタイト磁性粉末を製造することができる。
【0030】上記トンネル炉は、窯業製品などを連続的
に焼成(熱処理)するトンネル状の窯炉であり、この炉を
用いた方法は、一般に入り口から予熱室、加熱室と温度
が上がり、冷却室、出口と低温になっている中を被焼成
物を乗せた台車が一定の速度で動き、一定の加熱、冷却
速度で焼成(熱処理)する方法である。
【0031】上記種々の炉内への水蒸気の導入は、雰囲
気の一部を構成する非酸化性ガスをキャリアガスとして
導入することが望ましい。この不活性ガスとしては、窒
素ガスの他、アルゴンガス等を用いることができる。
【0032】上記熱処理の温度保持時間は、噴霧焙焼法
と流動焙焼法においては、反応が瞬時に行われ、ロータ
リーキルンで行う場合には通過時間2時間以下が望まし
く、トンネル炉で行う場合には通過時間10時間以下が
望ましい。なお、ロータリーキルンおよびトンネル炉で
熱処理を行う場合には、上記通過時間を少なくとも10
分間程度に設定することが望ましい。
【0033】また、昇降温速度は、特に限定されない
が、5〜60(℃/min)程度であることが好ましい。
【0034】さらに、得られたマグネタイト磁性粉末
は、マグネタイト相の含有量が90(wt%)以上でである
ことが好ましく、90(wt%)未満であると最適の特性が
得られない。また、残留塩素量が600ppm以下であ
ることが好ましく、少なければ少ないほど望ましい。マ
グネタイト磁性粉中の残留炭素が600ppmを超える
ころより、トナーとして用いた場合、環境特性の悪化が
顕著に見られ、特に高温・高湿条件下で画像濃度が低下
する。さらに磁性粉末中の残留塩素量が多い場合、該マ
グネタイト磁性粉末を用いて電子写真用トナーを作製し
た場合、トナーの帯電特性を低下させて画像濃度の低下
が起こり、電子写真装置の感光ドラム等を損傷するおそ
れがあるからである。
【0035】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0036】塩化第一鉄結晶(FeCl2・4H2O)とヘ
マタイト(αFe23)を表1に示す各所定のモル比と
し、これを振動ミルで10分間粉砕・混合して混合材料
を得た。また、塩化第一鉄溶液とヘマタイトの混合材料
については、表1に示す各所定のモル比としたスラリー
を作製し、これをスプレードライヤで噴霧・乾燥して水
分を蒸発させて混合材料を得た。
【0037】ここで得られた混合材料を各100g取
り、バッチ炉で焙焼を行った。この炉内には、窒素をキ
ャリアガスとして760mmHgの水蒸気圧の雰囲気を
連続的に導入・流通させた。この状態で、5(℃/min)で
昇温し、表1に示す温度および保持時間で保持した後、
冷却し、実施例および比較例の磁性粉試料1〜10を得
た。
【0038】
【表1】
【0039】以上より得られた該磁性粉試料1〜10の
結晶種類およびマグネタイト相の含有量(wt%)、飽和磁
化(σs(emu/g))、保磁力(Hc(Oe))、抵抗値(Ω)、比
表面積(m2/g)、残留塩素量(ppm)をそれぞれ測定し
た。その結果を表2に示す。
【0040】
【表2】
【0041】測定は、次のようにして行った。
【0042】結晶種類は、粉末X線回折法により定性分
析により、結晶種類を特定した。マグネタイト相の含有
量(wt%)は、マグネタイト相と各結晶相のX線相対強度
比との関係から求めた。また、飽和磁化(σs(emu/g))
および保磁力(Hc(Oe))については、各試料0.1gを
ホルダーにセットして、磁場5,000(Oe)を印加した
状態で、振動試料型磁力計により測定した。比表面積(m
2/g)については、各試料0.5gをセットし、BET1
点法で測定した。抵抗値(R(Ω))は、各極に1,500
(G)の磁石を設置した抵抗測定治具にマグネタイト磁性
粉末0.5gを磁力を利用してセットし、印加電圧1,
000(V)、極間距離6.5(mm)で測定し、1分後の
値を絶縁計により読みとった。
【0043】表1および表2から明瞭なように、原料を
本発明にしたがい塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を
用いたものは、良好なマグネタイト磁性粉末を得ること
ができた。すなわち、塩化第一鉄のみから得られたマグ
ネタイトは抵抗値が小さく実用に供し難い。また、塩化
第一鉄99〜30モル%、ヘマタイトが1〜70モル%
であることが好ましい。塩化第一鉄が99モル%を超え
ると(ヘマタイトが1モル%より少ないと)、目的相の
生成温度が高くなり、粒成長する。一方、塩化第一鉄が
30モル%より少ないと(ヘマタイトが70モル%を超
えると)、目的相の生成量が抑制され、実用に供し得る
とはいえ、最適のサイズや磁気特性が得られない。
【0044】また、熱処理(焙焼)は、非酸化性ガスと
水蒸気よりなる雰囲気下で、430〜900(℃)の温度
範囲で行われることが好ましい。この範囲外で焙焼する
場合マグネタイト相が90(wt%)以下に減少し、上記と
同様、最適の磁気特性が得られなくなる。
【0045】ここで最適の磁気特性とは、以下に示すよ
うな電子写真用磁性トナー用の磁性粉末として一般に要
求されるサイズや磁気特性である。
【0046】本発明により製造されたマグネタイト磁性
粉末は、比表面積が1.0〜3.0(m2/g)の範囲である
ことが望ましい。近年、電子写真用磁性トナーの粒子径
も高解像度化を図るために小さくなっており、上記範囲
未満の比表面積を有するものでは、このような微小トナ
ーを作製することができず、また、上記範囲を超える場
合には、粒子径があまりにも小さすぎるため、トナー中
での分散性が劣る。
【0047】本発明により製造されたマグネタイト磁性
粉末の印加磁界:5,000(Oe)での飽和磁化および保
磁力は、それぞれ、82〜92(emu/g)、60〜160
(Oe)の範囲であることが好ましい。また、1,000
(V)印加時の抵抗値は106(Ω)以上、特に、107〜1
9(Ω)であることが好ましい。ここで飽和磁化が82
(emu/g)未満である場合、トナー化する際にトナー含有
磁性粉量が多くなり、磁性トナーの帯電特性を低下させ
るため画像濃度が低くなる。また保持力が60(Oe)未満
の場合はトナー化後にトナー現象器内においてスリーブ
ローラーへの磁性トナーの搬送力が悪くなり、画像特性
を悪化させる原因となる。保持力が160(Oe)を超える
場合、トナー化後にトナー現象器内におけるスリープロ
ーラーへの磁性トナーの搬送性は良くなるものの、磁性
トナーの穂立ちが低下するために現象ブレードでの磁性
トナーの摩擦力が低下し、磁性トナーの帯電性能を低下
させる。さらに磁性粉の抵抗値が106(Ω)未満の場
合、トナー化後の磁性トナーの帯電性能が低下するため
所望の画像特性が得られない。一方、1010(Ω)以上の
場合、マグネタイトの比表面積を大きくする必要があ
り、これを用いてトナー化を行った場合、トナー内での
マグネタイトの分散性が悪化するため所望の画像特性が
得られない。
【0048】また、磁性インクに使用する場合において
も、同様な特性を有することが好ましい。
【0049】
【発明の効果】本発明のマグネタイト磁性粉末の製造方
法においては、出発原料として塩化第一鉄とヘマタイト
の混合材料を用いたことにより、従来に比べ、工程数を
簡略化し、マグネタイト磁性粉末を容易に製造すること
ができる。
【0050】例えば、水蒸気の存在する雰囲気下におい
て、下記の反応式に従いマグネタイトを容易に生成する
ことができる。
【0051】 FeCl2+Fe23+H2O→Fe34+2HCl また、本発明によれば、塩化第一鉄のみを用いた場合よ
り、熱分解温度を低下することができる。具体的には、
塩化第一鉄のみを用いた場合、単相化のためには、熱分
解温度を550〜900℃の範囲に設定しなければなら
なかったが、本発明の場合には、430℃でもマグネタ
イトの単相化が可能となった。
【0052】さらに、本発明により得られたマグネタイ
ト磁性粉末は、比表面積が1.0〜3.0(m2/g)と粒子
径が小さいため、粉砕などの工程が省略でき、工程数の
簡略化が図れ、安価に製造することができる。しかも印
加磁界:5,000(Oe)での飽和磁化が82〜92(emu/
g)、保磁力が60〜160(Oe)と磁気特性も優れてお
り、電子写真における磁性トナーおよび磁性インク等に
好ましく用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のマグネタイト磁性粉末の製造方法に使
用されるロータリーキルンの長手方向断面図である。
【図2】上記ロータリーキルンの横方向断面図である。
【符号の説明】
1.ロータリーキルン 2.回転炉本体 3.炉芯管 4.炉芯管の一端 5.炉芯管の他端 6a、6b.密閉栓 7.原料投入用パイプ 8.HCl回収用パイプ 9.定量フィーダー 10.マグネタイト磁性粉末の取り出し管 11.雰囲気導入パイプ 12.剥離棒

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】塩化第一鉄とヘマタイトの混合材料を出発
    原料とし、焙焼工程を水蒸気が存在する雰囲気下におい
    て行い、前記原料に熱分解反応と同時に固相反応を行わ
    せてマグネタイトを製造することを特徴とするマグネタ
    イト磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】前記混合材料において塩化第一鉄が99〜
    30モル%、ヘマタイトが1〜70モル%である請求項
    1記載のマグネタイト磁性粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】前記焙焼における熱処理温度が、430〜
    900℃の範囲である請求項1および2記載のマグネタ
    イト磁性粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】マグネタイト相の含有量が90(wt%)以上
    であって残留塩素量が600ppm以下である請求項
    1、請求項2および請求項3のマグネタイト磁性粉末の
    製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
GB2333518A (en) * 1998-01-26 1999-07-28 Laporte Industries Ltd Process for making black iron oxide pigment

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