JP3603230B2 - 窒化物粉体の製造方法 - Google Patents
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【産業上の利用分野】
本発明は、窒化物粉体の製造方法に関し、より詳細には窒化物ファインセラミックス原料粉体や磁性トナー用原料粉体、磁気記録材料用原料粉体に好適な窒化物粉体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ファインセラミックスや磁性トナー、磁気記録材料等の原料として、金属や金属酸化物、金属塩化物等の粉体に窒化処理を施した金属窒化物粉体が用いられている。
この金属窒化物を製造する方法として、種々の方法が提案、実施されており、例えば、窒化鉄粉体については、窒化性雰囲気においてプラズマアーク中に鉄の粉末を供給する方法や、プラズマアークにより鉄を蒸発させて鉄蒸気とし、これに窒素ガスを供給することにより、粒径0.01μm程度の窒化鉄の超微粒子を製造している。また、金属蒸気や金属塩化物等の蒸気を、アンモニアガスと還元性のガス雰囲気中で反応させて金属窒化物の微粉末を製造する方法も採られている。更に、ロータリキルン等の焼成装置を用いて、高温窒化性雰囲気中に原料粉体を導入し、原料粉体の窒化物を製造する方法も行われている。
【0003】
しかし、上記方法においては、プラズマ法のように金属蒸気と窒化性ガスとの反応による方法では、窒化物粉体が数珠状に連なった状態で生成したり、またロータリキルンを使用した焼成による方法では、原料粉体同士が窒化反応進行中に焼結して大径粒子が生成する等の問題を抱えていた。
そこで、本発明の出願人らは、先に特願平5−61465号において、回転式加熱炉内に原料粉体とともに粉砕媒体を導入し、回転により両者を強く攪拌しながら高温の窒化性雰囲気において窒化反応を進行させると同時に解砕並びに粉砕を行うことにより、粉体粒子同志の焼結のない金属窒化物単粒子を製造する方法を提案している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特願平5−61465号に記載された窒化物粒子の製造方法では、窒化反応進行中に生成した焼結粉体を、粉砕媒体により強制的に解砕並びに粉砕して前記焼結粉体を分離する方法であるため、粉砕媒体は原料粉体に汚染の影響を与えず、しかも熱的、機械的強度に優れた物質から形成されていることが好ましく、また解砕、粉砕効率を考慮するとある程度比重の大きな材料の方が好ましい。
そのため、使用可能な粉砕媒体の種類が制約されて、高価なものを使用しなければならない場合がある。また、高比重の粉砕媒体を使用した際には、焼結粉体が必要以上に解砕、粉砕されたり、更には焼結が起こっていない粉体までもが破壊されることがあり、その結果所望の粒径を有する窒化物の単粒子(それぞれの粒子が単一に独立して存在し、容易にそれぞれの単一粒子に分散可能な粒子)の収率が低下したり、あるいは多量の微細粉末が生成して加熱炉の炉壁に付着して反応効率が低下していまう。
【0005】
従って、本発明は窒化反応中に粉体同士が焼結することなく、しかも原料粉体の初期の形状が維持された窒化物粉体の製造方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用】
本発明者らは、窒化物粉体の製造方法に関する上記目的を達成すべく鋭意研究した結果、原料粉体の表面に界面活性剤を含む被膜を形成した後、解砕媒体とともに回転式加熱炉内に導入し、該回転式加熱炉を回転させながら窒化性ガス雰囲気下で加熱して窒化反応を行うことにより、粉体同士の焼結がなく、しかも初期の粒径を維持した窒化物粉体を製造できることを見出し、本発明を完成するに至った。
前記界面活性剤は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはその塩類、あるいはアルキルアミン類の少なくとも1種であることが好ましい。
前記解砕媒体は、ジルコニア、アルミナ、シリカ、ソーダ灰ガラスの少なくとも1種からなることが好ましい。
【0007】
本発明に用いられる原料粉体は、金属や合金、金属間化合物、更にそれらの酸化物や塩化物等の金属化合物からなる粉体であり、具体的には通常の磁性材料として使用される鉄やコバルト、ニッケル、マンガン、クロム等の金属や合金、あるいはそれらを含む金属間化合物、その他にもアルミニウムやチタン、シリコンおよびネオジウム、サマリウム等の希土類金属等種々の金属や合金、あるいはそれらを含む金属間化合物を挙げることができる。
ここで、本発明によれば、後述される理由により原料粉体の初期の形状が窒化反応後も維持されるために、これら原料粉体の粒径は生成窒化物粉体の用途により適宜選択することが可能である。
【0008】
窒化反応に先立ち、前記原料粉体はその表面が界面活性剤を含有する被膜により被覆される。この界面活性剤含有被膜により、原料粉体の分散性が向上して窒化反応中に原料粉体同士が焼結することを防止できる。
従って、前記界面活性剤としては、窒化反応温度に達する前に分解、蒸発して原料粉体表面から完全に消失してしまうと、粉体同士の焼結を防止する作用が得られないために、比較的高い分解温度を有する化合物であることが好ましい。
【0009】
前記界面活性剤として、例えば脂肪酸モノカルボン酸塩、N−アシロイルグルタミン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、ナフタレンスルホン酸塩−ホルムアルデヒド縮合物、スルホコハク酸ジアルキルエステル、硫酸アルキル塩、硫酸アルキルポリオキシエチレン塩、リン酸アルキル塩などのアニオン系界面活性剤、アルキルアミン塩、アルキルトリメチルアンモニウム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩などのカチオン系界面活性剤、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、脂肪酸アルカノールアミド、N,N−ジメチル−N−アルキルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−1−ヒドロキシエチル−1−カルボキシメチルイミダゾリニウムベタインなどの両性系界面活性剤を挙げることができる。
また、原料粉体が鉄を含む物質からなる場合には、界面活性剤として酸化鉄や金属鉄との親和性の良いオレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはその塩類、あるいはアルキルアミン類が好ましい。
【0010】
そして、これら界面活性剤を適当な溶媒に溶解したコート溶液に、原料粉体あるいは該原料粉体の分散溶液を加えて充分攪拌し、固液分離して固体成分を分取し、洗浄、乾燥することによりその表面に界面活性剤含有被膜が成膜された原料粉体が得られる。
【0011】
界面活性剤含有被膜の膜厚は特に限定されるものではないが、窒化反応進行中に原料粉体表面に存在していることが必要である。この界面活性剤含有被膜の分解残量は、膜形成当初の膜厚、反応温度および反応時間に依存する。そこで、界面活性剤含有被膜の残量と膜形成当初の膜厚、反応温度および反応時間との関係を予め求めておくことにより、上記のような膜厚制御が可能となる。
具体的には、反応に伴い発生するガス中の界面活性剤の分解成分である炭化物あるいは炭化水素やCOxなどのガスを質量分析計で経時的に分析し、分析値が所定値(例えば、0.1vol%)以下となった時点をもって界面活性剤含有被膜が消失したものと判断できる。そこで、膜厚や反応温度を変えて被膜消失までの時間を測定しておき、実際の生成過程における反応温度や反応時間に適した膜形成当初の膜厚を設定することができる。
尚、膜形成当初の膜厚は、前記コート溶液の界面活性剤濃度により調整することができる。
また、前記コート溶液に、界面活性剤の分散作用に影響を与えない程度の量のバインダーや膜安定化剤を添加することにより、界面活性剤含有被膜の成膜性や膜の安定性を向上させることができる。
【0012】
これら原料粉体とともに回転式加熱炉に導入される解砕媒体は、前記界面活性剤含有被膜により粉体の分散性が改善されているために、従来のように高比重の材料から形成される必要はなく、低比重の材料で形成されていても粉体同士の焼結を充分に防止することが可能である。例えば、ジルコニア粒子、アルミナ粒子、シリカ粒子、ソーダ灰ガラス粒子などのセラミックス粒子を好適に使用することができる。また、これらセラミックス粒子を混合して使用することもできる。
これら低比重の材料からなる解砕媒体は、原料粉体とともに回転加熱炉内に導入されても原料粉体を破壊したり、変形させることが少ないために、生成窒化物粒子の粒径制御が容易になる。
【0013】
解砕媒体の形状は、特に制限されるものではないが、直径0.2〜30mm、好ましくは0.5〜10mmの小球を、単独または直径の異なる小球を適宜組み合わせて使用することができる。また、球状に限らず、同様の大きさを有する棒状でも構わない。更に、球状と棒状のものとを組み合わせて使用してもよい。
また、原料粉体と解砕媒体との混合比率は、原料粉体の種類や、解砕媒体の形状やその使用形態、即ち球状解砕媒体単独であるか、球状と棒状解砕媒体との組み合わせであるか等により異なるが、しかし何れの場合でも前記界面活性剤含有膜により粉体の分散性が改善されているために、従来よりも解砕媒体の量を低減することができる。このことは、原料粉体の初期形状を維持する上で、更なる利点となる。
具体的には、重量比で、原料粉体100に対して解砕媒体10〜1000、好ましくは原料粉体100に対して解砕媒体30〜400の比率で回転式加熱炉内に導入される。
【0014】
これら原料粉体と解砕媒体とを、回転式加熱炉に導入して窒化処理を行う。
回転式加熱炉としては、本発明の出願人らが先に出願した特願平5−59310号に記載される装置を好適に使用することができる。
即ち、図1に示されるように、製造装置1は、円筒状の反応容器2と、反応容器2を取り囲むように配設される加熱炉3及び、反応容器2を回転させる回転駆動装置4とから構成されており、ガスボンベ7に充填された反応性ガスやキャリアガスは、反応容器2のガス供給口5から供給管8を通じて該反応容器2の内部に導入され、排気口6に連結された排気管9を通じて排出され、次いで空冷トラップ10、油トラップ11及び水トラップ12を通り、浄化されて系外に排出される。
【0015】
窒化反応は、界面活性剤含有被膜が形成された原料粉体13を解砕媒体14と共に反応容器2内部の隔壁15で画成された空間に収容し、反応容器2を回転させて窒化性雰囲気の下所定時間加熱することにより行われる。
反応条件は、原料粉体表面に界面活性剤含有被膜が形成されているものの、その膜厚は通常窒化性ガスの浸透性に影響を与える程厚く形成されることはなく、界面活性剤含有被膜が形成されない場合の窒化反応と同等で構わない。例えば、水素ガス等の還元性ガス、窒素ガスやアルゴンガス等の不活性ガスまたはこれらの混合ガスからなるキャリアガスと、アンモニアガス等の窒化性ガスとを体積比で、キャリアガス:窒化性ガスとして1:100〜100:1の混合割合からなる窒化性雰囲気中で、温度200〜1000℃、好ましくは400〜800℃で、0.5〜10時間、好ましくは2〜8時間加熱することにより、窒化物粉体が得られる。
この時、原料粉体はその表面に成膜された界面活性剤含有被膜により分散性が改善されているとともに、反応中原料粉体並びに生成する窒化物粉体が、解砕媒体により絶えず解砕作用を受けるため、粒子同士の焼結が防止される。
【0016】
【実施例】
次に、本発明に係る窒化物粉体の製造方法に関して、実施例に基づいてより詳細に説明する。
〔実施例1〕
平均粒径が約0.2μmの球状四三酸化鉄微粒子50gを、95℃に保持したウォーターバス中で予め用意しておいたオレイン酸ナトリウム10%水溶液500mlに加え、この四三酸化鉄微粒子を含む溶液をモータ攪拌機で攪拌しながら1時間保持して分散溶液を得た。
前記分散溶液に0.1N塩酸を加えてpHを4に調整し、表面にオレイン酸単分子膜が成膜された酸化鉄微粒子を凝集させ、得られた凝集物を濾紙で濾別し、温度20℃の脱イオン水1リットルで洗浄して表面に付着した電解質を除去し、次いで真空乾燥機により温度100℃で乾燥して乾燥粉末を得た。
このようにして得られた粉末52gを平均粒径1mmのジルコニアビーズ150gとともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比で水素ガス1に対してアンモニアガス1の割合の混合ガスを毎分1リットルの流量で供給しながら500℃まで2時間かけて昇温し、更に500℃で4時間保持した後、放冷した。
冷却後、ジルコニアビーズを篩分して、窒化鉄粉末38gを得た。この窒化鉄粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の焼結は見られず、それぞれ独立した球状窒化物微粒子であった。
また(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、0.18μmであった。また、磁気特性に関しては、10kOeの磁場内での磁化は145emu/gであった。
【0017】
〔実施例2〕
80℃に加熱された脱水ケロシン86gにオレイン酸3gを添加し、混合溶解させた溶液に、平均粒径が約0.5μmの球状鉄微粒子30gを加え、モータ攪拌機で攪拌しながら3時間保持して分散溶液を得た。
前記分散溶液を遠心分離機により固液分離し、冷却後固形分を真空乾燥機により温度80℃で8時間乾燥して乾燥粉末を得た。
このようにして得られたオレイン酸被覆粉末30gを平均粒径3mmのジルコニアビーズ100gとともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比で水素ガス1に対してアンモニアガス1の割合の混合ガスを毎分1リットルの流量で供給しながら500℃まで2時間かけて昇温し、更に500℃で5時間保持した後、放冷した。
冷却後、ジルコニアビーズを篩分して、窒化鉄粉末28gを得た。この窒化鉄粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の焼結は見られず、それぞれ独立した球状窒化物微粒子であった。
また(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、0.6μmであった。また、磁気特性に関しては、10kOeの磁場内での磁化は150emu/gであった。
【0018】
〔実施例3〕
脱水ケロシン120gにアミン(ポリブテニルコハク酸イミドテトラエチレンペンタミン)20gを加え、更に球状鉄粉末30gを加えて窒素雰囲気中で120℃に加熱し、モータ攪拌機で30分間攪拌を行った後冷却し、固液分離を行い、真空乾燥機により80℃で8時間乾燥して乾燥粉末を得た。
このようにして得られたアミン被覆鉄粉末40gを平均粒径1mmのアルミナビーズ30gと平均粒径3mmのアルミナビーズ50gとともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比で窒素ガス1に対してアンモニアガス4の割合の混合ガスを毎分1リットルの流量で供給しながら600℃まで2時間かけて昇温し、更に600℃で4時間30分間保持した後、放冷した。
冷却後、アルミナビーズを篩分して、窒化鉄粉末32gを得た。この窒化鉄粉末を走査型電子顕微鏡で観察したところ、球状であり、粒子同士の焼結は見られず、それぞれ独立した球状窒化物微粒子であった。
また(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、0.6μmであった。また、磁気特性に関しては、10kOeの磁場内での磁化は160emu/gであった。
【0019】
〔実施例4〕
平均粒径0.33μmの八面体の四三酸化鉄微粒子50gを鉄原料に用い、被膜原料としてオレイン酸2,5gを用いて実施例1と同様の方法で四三酸化鉄表面に被膜を形成し、解砕媒体として平均粒径1mmのジルコニアビーズ30gと平均粒径3mmのジルコニアビーズ20gを用いて前記被覆粉末50gとともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比でアンモニアガス1に対して水素ガス1の割合の混合ガスを毎分1リットルの流量で供給しながら450℃まで1時間30分かけて昇温し、更に450℃で6時間保持した後、放冷した。
冷却後、ジルコニアビーズを篩分して、窒化鉄粉末45gを得た。この窒化鉄粉末の形状を走査型電子顕微鏡で確認したところ、ほぼ原料と同じ八面体であった。
また(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、0.35μmであった。更に、粉末X線回折法により得られた化合物の組成は、Fe4 Nであった。また、磁気特性に関しては、10kOeの磁場内での磁化は135emu/gであった。
【0020】
〔実施例5〕
平均粒径1.8μmの球状のカルボニル鉄微粒子を鉄原料に用いて実施例2と同様の方法でオレイン酸被膜を有する乾燥粉末を用意し、解砕媒体として平均粒径1mmのアルミナビーズ30gと平均粒径3mmのアルミナビーズ10gを用いて前記乾燥粉末ととともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比でアンモニアガス6に対して窒素ガス1の割合の混合ガスを毎分1.5リットルの流量で供給しながら450℃まで1時間30分かけて昇温し、更に450℃で8時間保持した後、放冷した。
得られた窒化鉄粉末の形状を走査型電子顕微鏡で確認したところ、ほぼ原料と同じ球状であった。
また(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、2.2μmであった。更に、粉末X線回折法により得られた化合物の組成は、Fe4 Nであった。また、磁気特性に関しては、10kOeの磁場内での磁化は156emu/gであった。
窒化鉄中に残存する全炭素量は0.1重量%以下であり、ほとんど蒸発して消失していることが確認された。
【0021】
〔比較例1〕
平均粒径1.8μmの球状のカルボニル鉄微粒子を鉄原料に用いて実施例2と同様の方法でオレイン酸被膜を有する乾燥粉末を用意し、また解砕媒体として平均粒径1mmの鉄球30gと平均粒径3mmの鉄球10gを用いて前記乾燥粉末とともに図1に示される回転式加熱炉の反応容器に収容し、体積比でアンモニアガス6に対して窒素ガス1の割合の混合ガスを毎分1.5リットルの流量で供給しながら450℃まで1時間30分かけて昇温し、更に450℃で8時間保持した後、放冷した。
得られた窒化鉄粉末の形状を走査型電子顕微鏡で観察したところ、偏平な粒子や過粉砕による超微粒子が確認された。
(株)ニレコ製の画像処理装置LUZEXIIIを用いて求めた平均粒径は、1.3μmであり、また0.1μm以下の微粉末の重量は25%であり、全体の粒度分布が細粒側にシフトした。
【0022】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明によると、原料粉体はその表面に成膜された界面活性剤含有被膜により分散性が改善されているとともに、反応中原料粉体並びに生成する窒化物粉体が、解砕媒体により絶えず解砕作用を受けるため、粒子同士の焼結が防止される。
しかも、解砕媒体として低比重の材料のものを使用できるために、原料粉体とともに回転加熱炉内に導入されても原料粉体を破壊したり、変形させることが少なく、原料粉体の初期の形状を維持して窒化物に転化することができ、生成窒化物粒子の粒径制御が容易になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に使用される回転式加熱炉を示す図である。
【符号の説明】
1 回転式加熱炉
2 反応容器
3 加熱炉
4 回転駆動手段
7 ガスボンベ
8 ガス供給管
9 ガス排気管
13 原料粉体
14 解砕媒体
Claims (3)
- 原料粉体の表面に界面活性剤を含む被膜を形成した後、解砕媒体と共に回転式加熱炉内に導入し、該回転式加熱炉を回転させながら窒化性ガス雰囲気下で加熱して窒化反応を行うことを特徴とする窒化物粉体の製造方法。
- 前記界面活性剤は、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸またはその塩類、あるいはアルキルアミン類の少なくとも1種であることを特徴とする請求項1記載の窒化物粉体の製造方法。
- 前記解砕媒体が、ジルコニア、アルミナ、シリカ、ソーダ灰ガラスの少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1記載の窒化物粉体の製造方法。
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JP24442694A JP3603230B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 窒化物粉体の製造方法 |
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JP24442694A JP3603230B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 窒化物粉体の製造方法 |
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JPH08109010A JPH08109010A (ja) | 1996-04-30 |
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JP24442694A Expired - Lifetime JP3603230B2 (ja) | 1994-10-07 | 1994-10-07 | 窒化物粉体の製造方法 |
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- 1994-10-07 JP JP24442694A patent/JP3603230B2/ja not_active Expired - Lifetime
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