JP3386872B2 - マグネタイト系磁性粉末の製造方法および磁性トナーの製造方法 - Google Patents

マグネタイト系磁性粉末の製造方法および磁性トナーの製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、マグネタイト系磁性粉
末の製造方法および磁性トナーの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】マグネタイト系磁性粉末は、電子写真プ
ロセス(複写機・レーザープリンター・普通紙ファック
ス等)に使用される磁性トナーなどに使われる。
【0003】従来、マグネタイト系磁性粉末の工業的製
法として湿式法と固相法がある。湿式法によるマグネタ
イト系磁性粉末の製造方法は、塩化第一鉄溶液にアルカ
リを作用させ生成した水酸化第一鉄をアルカリ性溶液中
で酸化性ガスを通気して酸化することによりマグネタイ
トを得る方法である(特公昭49−35520号公報参
照)。固相法によるマグネタイトの製造方法は、水素な
ど還元ガスでヘマタイトを還元熱処理することによりマ
グネタイトを得る方法である(特開昭61−72630
号公報参照)。
【0004】これらの方法では酸化あるいは還元の雰囲
気をコントロールできるため、純粋なスピネル単相マグ
ネタイトを生成することができる利点があるとされてい
る。しかしこれらの方法は工程が多いため、製造コスト
が高い欠点がある。
【0005】他方、鉄鋼業においては鋼板などの塩酸酸
洗の際に生じる酸洗廃液中の塩化鉄を利用して、空気中
でこれを焙焼(熱分解)し、酸化鉄を製造する方法が考
えられている。焙焼方法(熱分解法)としては、一般
に、炉頂より塩酸酸洗廃液を噴霧し炉内に熱分解させ酸
化鉄を炉底より取り出す噴霧焙焼法と、一定の温度に保
持した流動層中に塩酸廃液を噴霧し熱分解させ酸化鉄を
炉頂より捕集する流動焙焼法がある。
【0006】焙焼法では沈澱、粉砕など工程を省略する
ことができ、しかも、塩化鉄の酸洗廃液を利用している
ため酸化鉄の製造コストを下げることができる利点があ
る。しかし、空気中ではかなりの塩化鉄を酸化させて主
相はヘマタイト相になってしまうため現有の焙焼法でマ
グネタイト系粉体を合成することが困難である。
【0007】一方、塩化鉄族のサイクルによる水の熱化
学分解による水素の製造方法として、 6FeCl2 +8H2 O→2Fe3 4 +12HCl+2H2 (1) 2Fe3 4 +12HCl+3Cl2 →6FeCl3 +6H2 O+O2 (2) 6FeCl3 →6FeCl2 +3Cl2 (3) の工程が提案された ( "Development studties on the
thermochemical cyclesfor hydiogen production" D.Va
n Velzen; World Hydrogen Energy Conf. Vol.1st, No.
1 Page.8A.83-8A.108 1976 )。この文献に記載された技
術においては、塩化第一鉄と水蒸気が反応することで、
マグネタイトが上記工程の中間生成物として生成する。
【0008】しかしながら、上記文献に記載された技術
においては、反応式(1)における水素の生成を主点と
して、反応速度および反応転換率(水素の生産率)と水
蒸気の流量および反応温度の関係を検討しており、マグ
ネタイトが中間生成物として生成されること以外は、マ
グネタイトの生成側からみたその反応条件や中間生成物
におけるマグネタイト相の含有量等、具体的な記載は一
切ない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】以上のように従来技術
では、塩化第一鉄を利用して、熱分解法によりマグネタ
イトを有効に製造する方法がなかった。上記文献には、
塩化鉄族のサイクルによる水の熱化学分解による水素の
研究によって水を分解する際にマグネタイトが中間生成
物として生成されることが開示されているが、反応条件
とマグネタイト相含有量等との関係は一切明らかにされ
ていない。
【0010】そこで、本発明は、塩化第一鉄を出発原料
として、磁気特性の良好なマグネタイト系磁性粉末を簡
単な方法で得ることができるマグネタイト系磁性粉末の
製造方法、およびそのマグネタイト系磁性粉末を用いた
磁性トナーの製造方法を提供することを目的とするもの
である。
【0011】
【課題を解決するための手段】このような目的は、下記
(1)〜(6)の本発明により達成される。 (1) 塩化第一鉄を出発原料として、水蒸気を含む雰
囲気下の熱処理で、飽和磁化σS が82〜92emu/g
で、マグネタイト相の含有量が90wt% 以上であるマグ
ネタイト系磁性粉末を得るに際し、前記熱処理を、雰囲
気の導入水蒸気圧と熱処理温度(A:1000℃、76
0mmHg、B:500℃、760mmHg、C:750℃、2
00mmHg、D:530℃、200mmHg)のA、B、C、
Dの四点の四辺形で包まれた範囲内で行なうマグネタイ
ト系磁性粉末の製造方法。 (2) 前記熱処理を、雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理
温度(E:550℃、760mmHg、F:800℃、76
0mmHg、G:550℃、600mmHg、H:600℃、6
00mmHg)のE、F、G、Hの四点の四辺形で包まれた
範囲内で行なう上記(1)のマグネタイト系磁性粉末の
製造方法。 (3) 前記雰囲気が、非酸化性ガスと水蒸気からなる
上記(1)または(2)のマグネタイト系磁性粉末の製
造方法。 (4) 出発原料である前記塩化第一鉄が、塩酸酸洗廃
液の塩化第一鉄、塩化第二鉄の溶液を金属鉄で還元した
塩化第一鉄、または金属鉄を塩酸で溶解した塩化第一鉄
である上記(1)ないし(3)のいずれかのマグネタイ
ト系磁性粉末の製造方法。 (5) 前記熱処理を、噴霧焙焼法、流動焙焼法、トン
ネル炉を用いた方法、またはロータリーキルンを用いた
方法により行なう上記(1)ないし(4)のいずれかの
マグネタイト系磁性粉末の製造方法。 (6) 上記(1)ないし(5)のいずれかの製造方法
によってマグネタイト系磁性粉末を得、このマグネタイ
ト系磁性粉末と結着用の樹脂とを溶融混練し、さらに粉
砕・分級を行って磁性トナーを得る磁性トナーの製造方
法。
【0012】
【作用】本発明のマグネタイト系磁性粉末は、水蒸気を
含む雰囲気下での熱処理により、工程数が少なく、容易
に製造することができ、しかもマグネタイト相の含有率
が90%以上であり、その飽和磁化σsが82〜92em
u/g で磁気特性も優れており、電子写真における磁性ト
ナー等として好ましく用いることができるものである。
【0013】
【具体的構成】本発明者らは、本発明を発明するにあた
り、良好なマグネタイト系磁性粉末を製造するには、塩
化第一鉄を熱分解する際の雰囲気における水蒸気圧と熱
処理温度が大きく影響すると考え、次のような基礎実験
を行なった。
【0014】まず、試料特級のFeCl2 ・4H2
を、純空気、空気および導入水蒸気の蒸気圧32mmHg、
空気および導入水蒸気の蒸気圧760mmHgの三種の雰囲
気中で、昇温速度10℃/min 、熱処理温度550℃、
保持時間2時間で熱分解して、試料0−1、0−2、0
−3を得た。なお、上記水蒸気等は、昇温前の熱処理炉
内に導入・充填され、処理中も該炉内に導入・流通され
続ける。そして、その水蒸気圧は、常圧下でその温度を
制御することにより調整されたものである。また、本明
細書において、導入水蒸気圧とは、水蒸気の上記熱処理
炉内への導入の際の値をさす。得られた生成物について
X線回折を行った。熱分解条件とX線回折結果を表1に
示す。また、試料0−3のX線回折パターンを図1のパ
ターンP1に示した。
【0015】
【表1】
【0016】表1から明らかなように、熱処理の際の雰
囲気が、純空気の場合や、空気および水蒸気の混合体の
場合には、マグネタイトが生成されないことがわかっ
た。
【0017】ついで、空気の代わりに、非酸化性ガスで
あるN2 ガスを用い、非酸化性ガスである純窒素ガス、
窒素ガスおよび導入水蒸気の蒸気圧32mmHg、窒素ガス
および導入水蒸気の蒸気圧760mmHgの三種の雰囲気中
で、他の条件は上記と同様にして、試料特級のFeCl
2 ・4H2 Oを熱分解して、試料0−4、0−5、0−
6を得た。得られた生成物についてX線回折を行った。
熱分解条件とX線回折結果を上記表1に示す。また、試
料0−6のX線回折パターンを図1のパターンP2に示
した。
【0018】上記表1から分かるように、雰囲気が窒素
ガスのみでは、マグネタイトが生成されないが、窒素ガ
スと水蒸気からなる雰囲気のもとでは、マグネタイトが
生成されることが確認された。さらにN2 −水蒸気の雰
囲気の場合には、試料0−5と試料0−6の比較より、
雰囲気の水蒸気圧が高い方がマグネタイト相が生成され
やすいことが分かった。
【0019】本発明は上記の知見に基づくものであり、
本発明によるマグネタイト系磁性粉末は、塩化第一鉄を
出発原料として、水蒸気を含む雰囲気下、特に非酸化性
ガス−水蒸気の雰囲気下に熱処理で得られる。上記マグ
ネタイト系磁性粉末は、マグネタイト相の含有率が90
%以上であり、その飽和磁化σsが82〜92emu/gで
ある。上記熱処理は、導入水蒸気圧(mmHg)を縦軸、温
度(℃)を横軸とするグラフにおいて、雰囲気の導入水
蒸気圧と熱処理温度(A:1000℃、760mmHg、
B:500℃、760mmHg、C:750℃、200mmH
g、D:530℃、200mmHg)のA、B、C、Dの四
点の四辺形で包まれた範囲(図2参照)内で行なわれ
る。なお、上記したように、水蒸気等は、昇温前の熱処
理炉内に導入・充填され、処理中も該炉内に導入・流通
され続ける。そして、その水蒸気圧は、常圧下でその温
度を制御することにより調整され、例えば100℃で水
蒸気圧760mmHg、95℃で600mmHg、85℃で水蒸
気圧400mmHg、70℃で200mmHgとなる。また、導
入水蒸気圧とは、水蒸気の上記熱処理炉内への導入の際
の値をさす。この範囲外では、ウスタイト相やヘマタイ
ト相等の磁気特性に寄与しない相が多く生成されてしま
う。熱処理は、特に、雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理温
度(E:550℃、760mmHg、F:800℃、760
mmHg、G:550℃、600mmHg、H:600℃、60
0mmHg)のE、F、G、Hの四点の四辺形で包まれた範
囲(図2参照)内で行なわれることが好ましい。上記
E、F、G、Hの四点の四辺形で包まれた範囲で熱処理
を行なう場合には、マグネタイト単相の磁性粉末が得ら
れ、特に望ましい。
【0020】本発明では、出発原料として、鉄鋼業の鋼
板等の塩酸酸洗廃液の塩化第一鉄、塩化第二鉄の溶液を
スクラップ片等金属鉄で還元した塩化第一鉄、またはス
クラップ片等金属鉄を塩酸で溶解した塩化第一鉄等を用
いることができる。これにより、マグネタイト系磁性粉
末を極めて安価に製造することができる。
【0021】本発明では、上記熱処理を、噴霧焙焼法、
流動焙焼法、ロータリーキルンを用いた方法、およびト
ンネル窯を用いた方法等により好ましく実施することが
できる。
【0022】上記噴霧焙焼法は、鉄などの塩化物水溶液
を濃度調整し、焙焼炉において調整した塩化物水溶液を
炉頂から噴霧し噴霧液滴の流れと高温熱媒体のガスの流
れが対向流になるようにして噴霧焙焼し、この焙焼反応
により生成した酸化物粉体を炉底より取り出す方法であ
る。
【0023】上記流動焙焼法は、鉄などの塩化物水溶液
を濃度調整し、調整した塩化物水溶液を一定の温度を保
持した流動層の流動焙焼炉に噴霧し、噴霧液滴の流れと
高温熱媒体のガスの流れが同じ方向になるようにして噴
霧焙焼し、この焙焼反応により生成した酸化物粉体を炉
頂より取り出す方法である。
【0024】ロータリーキルンを用いた方法は、耐熱煉
瓦で内張りした鉄製の大きな円筒をやや傾けて転回装置
の上に横たえた窯炉・鉄筒の下部から加熱しながら、上
部から原料を入れて、回転に従って下部の最高温度のと
ころに移動し、原料の焼成あるいは熱処理を行う方法で
ある。
【0025】上記トンネル窯は、窯業製品などを連続的
に焼成(熱処理)するトンネル状の窯炉であり、この窯
を用いた方法は、入口から予熱室、加熱室と温度が上が
り、冷却室、出口と低温になっている中を被焼成物を乗
せた台車が一定の速度で動き、一定の加熱、冷却速度で
焼成(熱処理)する方法である。
【0026】上記種々の炉中への水蒸気の導入は、雰囲
気の一部を構成する非酸化性ガスをキャリヤガスとして
導入することが望ましい。この非酸化性ガスとしては、
上記窒素ガスの他、Arガス等を用いることができる。
【0027】上記熱処理の温度保持時間は、噴霧焙焼法
と流動焙焼法においては、反応が瞬時に行われ、ロータ
リーキルンで行う場合には通過時間2時間以下が望まし
く、トンネル窯で行う場合には通過時間10時間以下が
望ましい。なお、ロータリーキルンおよびトンネル窯で
熱処理を行なう場合には、上記通過時間を少なくとも1
0分間程度に設定することが望ましい。
【0028】また、昇降温速度は、特に限定されない
が、通常5〜60℃/min 程度であることが好ましい。
【0029】本発明におけるマグネタイト系磁性粉末
は、その体積平均粒子径が0.8〜10μmである。
【0030】また、本発明のマグネタイト系磁性粉末に
おいては、その残留塩素が600ppm以下で、少なけ
れば少ないほど望ましい。磁性粉末中の残留塩素が多い
と、該マグネタイト系磁性粉末を用いて電子写真用トナ
ーを作製した場合、電子写真装置の感光ドラム等を損傷
するおそれがあるからである。
【0031】本発明の磁性トナーは、上記マグネタイト
系磁性粉末と結着用の樹脂を主成分として含有する。磁
性粉末は、トナー粒子の樹脂100重量部に対し5〜7
0重量部程度含有されることが好ましい。
【0032】上記樹脂としては、スチレン−アクリル樹
脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等を用いることが
できる。
【0033】本発明の磁性トナーは、さらに電荷制御
剤、およびその他の添加剤を含んでいることが好まし
い。荷電制御剤は、帯電極性、帯電量等を制御するため
に必要に応じて添加される。本発明では、目的とする極
性、帯電量等に応じて公知の適当な荷電制御剤を選択す
ればよく、特に制限はない。例えば、金属錯塩アゾ系染
料、ニグロシン系染料等が挙げられるが、これらは要求
特性に応じて選択されるものである。
【0034】このような荷電制御剤の含有量は、トナー
粒子の樹脂100重量部に対し0.1〜5重量部程度で
あることが好ましい。
【0035】更に、色調整用として、カーボンブラック
を0.1〜5.0重量%程度含有してもよい。そして、
その他の添加剤として、ワックス、ポリエステル、ポリ
プロピレン等のオレフィン類あるいはシリコーンオイル
等を用いることができる。ワックスは離型剤として、オ
フセット防止のために必要に応じて添加される。本発明
では用いるワックスに特に制限はなく、公知の種々のワ
ックス、例えば、ポリエチレンワックス、ポリプロピレ
ンワックス、シリコンワックス等を用いればよいが、こ
れらは要求特性に応じて選択されるものである。このよ
うなワックスの含有量は、トナー粒子の樹脂100重量
部に対し1〜7重量部程度であることが好ましい。
【0036】本発明における磁性トナーのトナー粒子
は、その平均粒子径が、3〜25μm、より好ましくは
3〜20μm 、特に好ましくは4〜12μm であること
が好ましい。平均粒子径が大きすぎると、現像剤の流動
性が悪化し、現像剤のケーキングやスリーブ付着が生じ
やすくなり、また小さすぎると、解像度の悪化や、定着
性の不良を生じる傾向となる。トナー粒子の平均粒子径
の測定には、コールターカウンター法により、測定値の
体積粒子径を算出し、その50%平均粒子径を平均粒子
径とする。コールターカウンター法においては、電解液
としてイソトンII(コールターエレクトロニクス社製)
を用い、例えばアパーチャー径100μmのコールター
カウンタTA−II(コールターエレクトロニクス社製)
を用いて体積基準の測定を行う。なお、粒子径分布は、
一般に平均粒子径をdとしたとき、2d以上が5%程度
以下、d/2以下が5%程度以下程度のものであること
が好ましい。
【0037】また、磁性トナー粒子の保磁力Hcは、例え
ば5000Oeにて35〜230Oe、特に40〜140Oe
が好ましく、例えば5000Oeにおける飽和磁化σm
は、8〜65emu/g 、特に15〜40emu/g が好まし
い。
【0038】本発明における原料トナー粒子は、通常の
トナー製造法により製造すればよい。
【0039】なお、トナー粒子には、これらの他、抵抗
調整剤等が含有されていてもよい。本発明のマグネタイ
ト系磁性粉末は、上記の磁性トナーの他、磁気インクに
用いてもよい。
【0040】
【実施例】以下、本発明の具体的実施例を示し、本発明
をさらに詳細に説明する。
【0041】実施例1 4水の塩化第一鉄2g を小型横式管状炉内に設置し、該
炉内に、窒素をキャリヤガスとし、表2に示す各種水蒸
気圧の雰囲気を導入・流通させた。この状態で、10℃
/min で昇温し、表2に示す温度で表2に示す時間保持
して、塩化第一鉄を熱分解した後、炉冷し、熱処理し、
試料1〜25を得た。得られた試料1〜25の結晶種
類、マグネタイト相の含有量(wt%)、σs(emu/g
)、Hc(0e)、R(Ω)を調べた。
【0042】
【表2】
【0043】測定は次のようにして行なった。
【0044】結晶種類は、粉末X線回折法による定性分
析により、結晶種類を特定した。マグネタイト相の含有
量は、マグネタイト相の含有量と各結晶相のX線相対強
度比との関係から求めた。また、σs(emu/g )および
Hc(0e)は、磁場20000Oeを印加した状態
で、振動試料型磁力計により測定した。そして、R
(Ω)は、試料0.3gを抵抗測定治具にセットして、
10Vを印加したときの静抵抗値をRメータで測定し
た。
【0045】表2から明瞭なように、熱処理を本発明の
条件に従って行なった試料1、2、3、6、7、10、
11、12、17、18、19、20、21、22、2
3、24および25については、マグネタイト相の含有
量が90%以上となり、特に水蒸気圧が600〜760
mmHgで、処理温度が550〜800℃のものについて
は、マグネタイト相単相の磁性粉末が得られた。また、
上記の試料の全てのついて、σsが82〜92emu/g の
範囲であった。
【0046】一方、熱処理を本発明の条件に従って行な
わなかった試料4、5、8、9、13、14、15およ
び16については、マグネタイト相の含有量が90%未
満であった。また、これらの試料4、5、8、9、1
3、14、15および16については、σsが82emu/
g 未満となってしまった。
【0047】また、マグネタイトが100wt%の試料1
7、マグネタイトが91wt%の試料6、およびマグネタ
イトが85wt%の試料4を用いて、各試料の磁性粉末の
顔料としての機能測定を行なった。この測定は、磁性粉
0.3g を両面テープの上にセットし、これをコピー用
紙上に貼り付け、この状態で、マクベス濃度計によって
磁性粉末の濃度を測定して行なった。試料17、試料6
および試料4の各濃度は、1.65、1.58、1.5
2であった。マグネタイト相が多くなるにつれて濃度が
向上し、顔料としての機能が向上していることが分か
る。
【0048】また、図3および図4に試料17および試
料18のSEM写真を示した。また、試料18におい
て、熱処理時間を5時間と延長して得た試料のSEM写
真を図5に示した。熱処理時間を5時間に延長してもマ
グネタイト単相の磁性粉末が得られたが、処理時間が長
くなるにつれて、粒子の成長が観察される。
【0049】また、試料2、3、7および11につい
て、蛍光X線による定量分析により残留塩素を測定した
ところ、それぞれ230、50、400、550ppm
であり、50〜550ppmの範囲内であった。これ
は、上記の従来の湿式法や固相法によって得られたマグ
ネタイト系磁性粉末の未分解不純物(SO4 2-、Cl-
など)量が少なくとも600ppm、通常1000〜6
000ppm程度であるので、極めて少ない。
【0050】実施例2 鉄鋼業の鋼板等の塩酸酸洗廃液を窒素雰囲気のクローボ
ックス中にて100℃で乾燥し、塩化第一鉄を得、その
2g を出発原料としたこと以外は、上記試料17と同様
にして、マグネタイト系磁性粉末を得たところ、試料1
7と同じくマグネタイト単相の磁性粉末であった。
【0051】比較のため、雰囲気の水蒸気圧を32mmHg
としたこと以外は、上記と同様にして、マグネタイト系
磁性粉末を得たところ、マグネタイトが主相であった
が、ヘマタイト相が25wt% 以上であった。
【0052】出発原料としては、上記のほか、塩化第二
鉄の溶液をスクラップ片等の金属鉄で還元した塩化第一
鉄溶液、およびスクラップ片等の金属鉄を塩酸で溶解し
た塩化第一鉄等を用いても上記と同様の結果が得られ
る。
【0053】また、上記熱処理を、上記小型横式管状炉
を用いた方法の代わりに、噴霧焙焼法、流動焙焼法、ロ
ータリーキルンを用いた方法、およびトンネル窯を用い
た方法で行なったところ同様のマグネタイト系磁性粉末
が得られた。
【0054】次に、上記実施例1における試料17、6
の磁性粉末、および比較のため試料4の磁性粉末を下記
の条件でトナー化し、トナー1、2、3を作製した。
【0055】St/Ac(結着樹脂):63.5%と磁
性粉末:35%、TRH電荷制御剤:1%およびSiO
2 (添加剤):0.5%の組成として秤量後、加圧式ニ
ーダーで溶融混練し、さらに粉砕・分級を行って体積平
均粒径7μm (コールターカウンターにより粒子測定を
行なった)の磁性トナーを得た。これらのトナーのトナ
ー粉体の特性を測定し、表3に示した。
【0056】
【表3】
【0057】また、上記の磁性トナー1、2および3を
市販の電子写真プリンター(キヤノン製)にセットして
各特性項目を確認した。その結果を表4に示した。
【0058】
【表4】
【0059】この表4から分かるように、本発明の実施
例のトナー1および2は、トナーとしての特性が良好で
あったが、比較のトナー3においては、カブリ等におい
て望ましくない結果となった。
【0060】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のマグネタ
イト系磁性粉末は、従来と比較して工程数が極めて少な
く、かつ安価に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】空気−水蒸気および窒素−水蒸気の雰囲気下で
熱処理して得られた2種類の試料のX線回折のパターン
を示す図である。
【図2】本発明の熱処理条件を示すグラフ図である。
【図3】図面代用写真であって、本発明の実施例の試料
17のSEM写真である。
【図4】図面代用写真であって、本発明の実施例の試料
18のSEM写真である。
【図5】図面代用写真であって、本発明の実施例の試料
18において熱処理時間を5時間にして得た試料のSE
M写真である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI H01F 1/36 G03G 9/08 101 302 (56)参考文献 特開 平3−126626(JP,A) 特開 平5−238742(JP,A) 特開 昭63−17222(JP,A) 特開 平7−201542(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 1/00 B22F 1/00 C01G 49/08 G03G 9/083 H01F 1/11 H01F 1/36

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 塩化第一鉄を出発原料として、水蒸気を
    含む雰囲気下の熱処理で、飽和磁化σS が82〜92em
    u/g で、マグネタイト相の含有量が90wt%以上である
    マグネタイト系磁性粉末を得るに際し、 前記熱処理を、雰囲気の導入水蒸気圧と熱処理温度
    (A:1000℃、760mmHg、B:500℃、760
    mmHg、C:750℃、200mmHg、D:530℃、20
    0mmHg)のA、B、C、Dの四点の四辺形で包まれた範
    囲内で行なうマグネタイト系磁性粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記熱処理を、雰囲気の導入水蒸気圧と
    熱処理温度(E:550℃、760mmHg、F:800
    ℃、760mmHg、G:550℃、600mmHg、H:60
    0℃、600mmHg)のE、F、G、Hの四点の四辺形で
    包まれた範囲内で行なう請求項1のマグネタイト系磁性
    粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記雰囲気が、非酸化性ガスと水蒸気か
    らなる請求項1または2のマグネタイト系磁性粉末の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 出発原料である前記塩化第一鉄が、塩酸
    酸洗廃液の塩化第一鉄、塩化第二鉄の溶液を金属鉄で還
    元した塩化第一鉄、または金属鉄を塩酸で溶解した塩化
    第一鉄である請求項1ないし3のいずれかのマグネタイ
    ト系磁性粉末の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記熱処理を、噴霧焙焼法、流動焙焼
    法、トンネル炉を用いた方法、またはロータリーキルン
    を用いた方法により行なう請求項1ないし4のいずれか
    のマグネタイト系磁性粉末の製造方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかの製造方法
    によってマグネタイト系磁性粉末を得、このマグネタイ
    ト系磁性粉末と結着用の樹脂とを溶融混練し、さらに粉
    砕・分級を行って磁性トナーを得る磁性トナーの製造方
    法。
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