JP5152130B2 - 粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法および検査キット - Google Patents

粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法および検査キット Download PDF

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Description

本発明は、粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法および検査キットに関する。
電池工場や機能性材料粉体工場、食品工場など、鉄等の不純物の混入が問題となる製造工場等において、中間物や製品(以下、単に製品等という)に含まれる不純物は常時監視する必要があり、抜き取り検査等により分析が行われている。近年の機能性材料の高度化に伴い、製品等に含まれる不純物についても、従来よりも厳しい管理が要求されるようになっている。
製品等への不純物の混入を低減するためには、製品等の原料などに由来して混入する不純物だけでなく、室内に浮遊している埃などの粉塵等からの混入を防ぐ必要性が生じている。かかる粉塵等の工程環境に由来する不純物の混入を防ぐために、工程をクリーンルーム化して室内の粉塵を極限まで低下させるなどの対策が採られている。
しかし、不純物でも製品性能に与える影響は様々であり、製品品質を高く保つためには、粉塵由来の不純物を極限まで低下させるだけではなく、製品の性能に悪影響を及ぼす特定元素が粉塵中に存在しているか否かについて把握することが必要である。
とくに、電池工場等では、不純物成分のうち、鉄が製品に混入すると重大な問題となるので、かかる鉄が粉塵中に存在しているか否かについて把握することは非常に重要である。
ここで、鉄メタルを検出する方法として、特許文献1に記載されている方法がある。特許文献1は還元鉄ペレット中に含まれる鉄メタルを定量する技術であり、還元鉄ペレットを溶解した溶解液をろ紙に滴下して乾燥し、その後、蛍光X線分析装置によって、ろ紙の溶解液滴下部分における鉄メタルの量を測定する方法が開示されている。
この特許文献1の技術を用いれば、鉄が粉塵中に存在しているかについて把握することは可能である。例えば、浮遊粉塵をハイヴォリュームサンプラーなどでろ紙上に捕集し、また、堆積粉塵や降下粉塵をろ紙に付着させて捕集し、この捕集された粉塵をろ紙とともに酸溶解し、その溶解液を蛍光X線分析装置によって分析する。すると、捕集した粉塵中に鉄が存在するのか否か、また、どの程度の鉄が粉塵中に存在しているのか、について把握することができる。
ところで、製品の汚染が発生した場合などは、スクリーニング等によって迅速に工場内の汚染源を特定することが必要であり、かかる検査を行う場合には、分析結果を検査場所において迅速に確認する必要がある。
特許文献1のように、蛍光X線分析装置等の分析装置を利用して、捕集した粉塵を分析すれば、粉塵中の鉄メタルの量まで把握できる点では好ましいのであるが、蛍光X線分析装置等は装置自体が大型であり、検査の際に簡単に持ち運びすることができないので、検査場所において迅速に分析結果を得る検査には適していない。
しかも、分析を行うには、粉塵をろ紙とともに酸溶解しなければならないが、粉塵等を酸溶解してから分析していたのでは、分析を開始するまでに一定の時間が必要であり、分析結果を迅速に確認することができない。
現在のところ、製品を製造する工場等の現場において、その場所でかつ迅速に分析結果を得ることができる方法は開発されておらず、かかる検査方法やその方法を実施できる装置が求められている。
特開2008−157752号公報
本発明は上記事情に鑑み、工場等に存在する粉塵に含まれる鉄を、工場等の現場において迅速に分析することができる粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法および検査キットを提供することを目的とする。
(分析方法)
第1発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法は、粉塵に含まれる鉄メタルの簡易分析方法であって、捕集材上の粉塵に対して、濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および、濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液を接触させることを特徴とする。
第2発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法は、第1発明において、前記捕集材がろ紙であることを特徴とする。
(検査キット)
第3発明の粉塵に含まれる鉄の簡易検査キットは、粉塵に含まれる鉄メタルの簡易分析に使用される検査キットであって、濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液と、粉塵を捕集し、前記検査用溶液が滴下される捕集材とを備えていることを特徴とする。
第4発明の粉塵に含まれる鉄の簡易検査キットは、粉塵に含まれる鉄メタルの簡易分析に使用される検査キットであって、検査用溶液を含浸させた捕集材を備えており、前記検査用溶液は、濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液を含有することを特徴とする。
第5発明の粉塵に含まれる鉄の簡易検査キットは、第3または第4発明において、前記捕集材がろ紙であることを特徴とする。
(分析方法)
第1発明によれば、捕集材上の粉塵に塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液を接触させれば、粉塵中に鉄が存在する場合には、オルトフェナントロリンは、粉塵中のイオン化した鉄メタルと反応して発色する。よって、発色の有無を確認するだけで、粉塵中に鉄メタルが存在しているか否かを確認することができる。そして、塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液を捕集材上の粉塵に接触させるだけでよいから簡便に検査することができるし、オルトフェナントロリンの発色反応が速いので迅速に結果を得ることができる。しかも、塩酸溶液の濃度が、鉄等を溶解するために使用される塩酸溶液の濃度より低いので、安全に検査を行うことができる。しかも、確実に発色反応を生じさせることができるので、より確実に鉄メタルの有無を検出することができる。
第2発明によれば、粉塵と、塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液との接触性を向上させることができるので、発色反応が生じやすくなる。しかも、発色領域が粉塵周辺のろ紙に広がるので、発色反応の視認性が良くなる。よって、検査を迅速かつ確実に行うことができる。
(検査キット)
第3発明によれば、検査用キットの捕集材上に粉塵を捕集し、検査用キットの塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液を粉塵に接触させれば、オルトフェナントロリンは、粉塵中のイオン化した鉄メタルと反応して発色する。よって、発色の有無を確認するだけで、粉塵中に鉄メタルが存在しているか否かを確認することができる。そして、両溶液を捕集材上の粉塵に接触させるだけでよいから、簡便に検査することができるし、オルトフェナントロリンの発色反応が速いので迅速に結果を得ることができる。しかも、塩酸溶液の濃度が、通常鉄等を溶解するために使用される塩酸溶液の濃度より低いので、安全に検査を行うことができる。しかも、確実に発色反応を生じさせることができるので、より確実に鉄メタルの有無を検出することができる。
第4発明によれば、検査用キットの捕集材上に粉塵を捕集し、検査用キットの検査用溶液が粉塵に接触すれば、オルトフェナントロリンは、粉塵中のイオン化した鉄メタルと反応して発色する。よって、発色の有無を確認するだけで、粉塵中に鉄メタルが存在しているか否かを確認することができる。そして、捕集材に含浸されている検査用溶液を粉塵に接触させるだけでよいから、簡便に検査することができるし、オルトフェナントロリンの発色反応が速いので迅速に結果を得ることができる。しかも、塩酸溶液の濃度が、通常鉄等を溶解するために使用される塩酸溶液の濃度より低いので、安全に検査を行うことができる。しかも、確実に発色反応を生じさせることができるので、より確実に鉄メタルの有無を検出することができる。
第5発明によれば、粉塵と、塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液との接触性を向上させることができるので、発色反応が生じやすくなる。しかも、発色領域が粉塵周辺のろ紙に広がるので、発色反応の視認性が良くなる。よって、検査を迅速かつ確実に行うことができる。
オルトフェナントロリンの鉄に対する特異性を確認した実験結果である。 屋外の堆積粉塵について、本発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法を適用した実験結果である。 浮遊している粉塵について、本発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法を適用した実験結果である。 塩酸濃度を変化させた場合において、塩酸濃度がオルトフェナントロリンの発色状況に与える影響を確認した実験結果である。 塩酸濃度がオルトフェナントロリンの発色状況に与える影響を確認した実験結果である。 オルトフェナントロリンの濃度が発色状況に与える影響を確認した実験結果である。
本発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法は、電池工場や機能性材料粉体工場等における製造工程に存在する粉塵に鉄が含まれているか否かを分析する方法であって、工場等の現場において迅速にかつ簡便に分析できるようにしたものである。
本発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法(以下、単に本発明の鉄分析方法という)では、捕集材上に捕集された粉塵を、この捕集材上に粉塵を保持させたままで検査する。
(検査方法)
検査は以下の方法で行う。
まず、捕集材上に粉塵を捕集する。捕集する方法はとくに限定されないが、例えば、ハイヴォリュームサンプラーなどで捕集材上に浮遊粉塵を捕集したり、堆積粉塵や降下粉塵を捕集材に付着させたりすることによって捕集することができる。
捕集材上に粉塵を捕集すると、捕集材上に粉塵を保持させた状態で、塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液を捕集材上の粉塵に滴下する。
すると、粉塵に鉄メタルが含まれている場合には粉塵が赤色に着色され、粉塵に鉄メタルが含まれていない場合には粉塵の色に変化は生じない。よって、発色の有無により粉塵中に鉄メタルが含まれているか否かを分析することができる。
鉄メタルが含まれている場合に粉塵が赤色に着色されるのは、鉄メタルがイオン化して2価の鉄イオンとなり、2価の鉄イオンがオルトフェナントロリンと接触することによって発色反応が生じるからである。
以上のごとく、本発明の鉄分析方法によれば、捕集材上の粉塵に塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液を接触させて発色の有無を目視で確認すれば、粉塵中に鉄メタルが存在しているか否かを確認できる。しかも、オルトフェナントロリンの発色反応は、接触時の条件を適切に設定すれば、オルトフェナントロリンが鉄メタルと接触すれば、瞬時に生じる(例えば、1分以下)。
よって、粉塵中に鉄メタルが存在しているか否かについて、簡便に検査でき、しかも、迅速に分析結果を得ることができる。
そして、本発明の鉄分析方法では、特別な分析装置は不要であり、塩酸溶液、オルトフェナントロリン溶液および捕集材があれば検査を行うことができるので、どんな場所でも検査を行うことができる。
つまり、本発明の鉄分析方法を用いれば、従来分析操作に長時間を要しており素早い判断が難しかった粉塵中に含まれる鉄化合物の検出を、その場ですぐに行うことができるので、工程内での汚染源調査や持込物の汚染状況の把握を簡便かつ迅速に行うことができるのである。
(検査に使用するもの)
つぎに、本発明の鉄分析方法に使用される検査キットを説明する。
本発明の検査キットでは、捕集材と、塩酸溶液およびオルトフェナントロリン溶液(以下、両溶液を検査用溶液という)とを備えている。
まず、捕集材を説明する。
捕集材は、例えば、分析用ろ紙やスミヤー法ろ紙、ガラスろ紙などのシート状の部材や、綿棒などの粉塵を捕集して保持しておくことができるものである。
捕集材は、粉塵を捕集して保持しておくことができるものであればとくに限定されないが、浸水性を有する捕集材が好ましい。かかる浸水性を有する捕集材を使用すると、捕集材上に滴下した各溶液を捕集材が吸収して、各溶液とを捕集材との接触性を向上させることができるとともに、発色領域が粉塵周辺のろ紙に広がるので、発色反応の視認性が良くなるという利点が得られる。
つまり、浸水性を有する捕集材を使用すれば、発色反応が生じやすくなり、しかも、発色反応の視認性が良くなるので、迅速かつ確実に検査を行うことができるのである。
つぎに、検査用溶液を説明する。
本発明の鉄分析方法に使用する検査用溶液は、2価の鉄イオンと反応して発色反応を生じる物質であるオルトフェナントロリン溶液と、塩酸溶液とから構成されている。
上記塩酸溶液における塩酸濃度は、0.001%〜4%に調製されている。塩酸濃度を0.001%〜4%とするのは、0.001%より濃度が薄い場合や、4%よりも濃度が濃い場合には、目視確認できる発色が生じないからである。
とくに、塩酸溶液の塩酸濃度は、0.1〜1%調製されていることが好ましい。
0.1%より塩酸濃度が薄い場合や、1%より塩酸濃度が薄い場合には、捕集材に滴下した検査用溶液を乾燥させれば目視できる発色反応を確認できるものの、検査用溶液(言い換えれば、捕集材)が乾燥するまで待たなければならない。よって、より迅速かつ簡便に検査を行う上では、塩酸溶液の濃度を、0.1〜1%とすることが望ましい。
そして、本発明の鉄分析方法は、上述したような4%以下の低い塩酸濃度の塩酸溶液でも検査を行えるという特徴がある。
通常、オルトフェナントロリンを使用して鉄の存在の有無を検査する場合には、鉄を完全に溶解させるために、酸の濃度が高い溶液を使用する。具体的には、10%程度の塩酸濃度に調製された塩酸溶液が使用される。
しかるに、本発明の鉄分析方法では、塩酸溶液の濃度が、鉄の溶解に使用される塩酸溶液に比べて塩酸濃度が低い酸濃度(4%以下、さらには、1%以下)であっても、オルトフェナントロリンを使用して鉄の存在の有無を検査することができる。言い換えれば、粉塵中に鉄が存在していれば、オルトフェナントロリンの発色反応を生じさせることができる。
つまり、本発明の鉄分析方法は、一般的な技術者であれば、鉄が溶解せずオルトフェナントロリンの発色反応を利用した分析が不可能であると考える程度の塩酸溶液を使用しても、オルトフェナントロリンの発色反応を利用した鉄の検出を行うことができるのである。
なお、上述した本発明の検査キットでは、検査用溶液である塩酸溶液とオルトフェナントロリン溶液とがそれぞれ別々になっており、塩酸溶液とオルトフェナントロリン溶液をそれぞれ別々に捕集材上の粉塵に滴下している。しかし、塩酸溶液とオルトフェナントロリン溶液とを混合してから、その混合溶液を捕集材上の粉塵に滴下してもよい。
また、本発明の検査キットの検査用溶液は、塩酸溶液とオルトフェナントロリン溶液とが混合された溶液としてもよい。
また、オルトフェナントロリン溶液の濃度はとくに限定されないが、例えば、0.1%以上であれば検査を行うことができる。オルトフェナントロリンの濃度はが濃いほど鉄と反応しやすくなるが、取り扱い性を考慮すると、オルトフェナントロリン溶液の濃度は、0.1〜10%が好ましい。
また、検査用溶液は、塩酸とオルトフェナントロリンに、JIS K0102 57.1(2008)(工場排水試験方法)において規定されている程度の還元剤を含有させておいてもよい。
オルトフェナントロリンの鉄に対する特異性を確認するために、鉄粉、ニッケル粉、亜鉛粉,銅粉について、発色状況を比較した。
実験は、爪楊枝の先に付着させた微量のFe粉,Ni粉,Zn粉,Cu粉をそれぞれ5Aろ紙上に落とし、5Aろ紙上の各粉に対して、1%塩酸と1%オルトフェナントロリン−エタノール溶液を混合して形成した検査用溶液を滴下して発色具合を比較した。
使用した試薬は以下のとおりである。
使用試薬:
ろ紙:5Aろ紙(東洋ろ紙)
鉄粉:スポンジ鉄(キシダ化学製)
ニッケル粉:ニッケル粉末(和光純薬製)
亜鉛粉末:亜鉛粉末(和光純薬)
銅粉末:銅粉末(和光純薬)
1%塩酸溶液:純水99mlに塩酸1ml(和光純薬製 特級)を加えたもの。
1%オルトフェナントロリン−エタノール溶液:オルトフェナントロリン(和光純薬製)1gをエタノール(和光純薬製)100mlに溶解したもの。
結果を図1に示す。
図1に示すように、Fe粉を落とした箇所のみが赤橙色に発色した(色が濃くなった)が、他の部分には発色がみられなかった。つまり、オルトフェナントロリンは鉄に対して特異的に反応して発色することが確認できる。
したがって、鉄の存在の有無を確認する上で、本発明の鉄分析方法が有効であることが確認できる。しかも、オルトフェナントロリンの発色を目視で明確に確認できることから、簡便かつ迅速な検査に適していることも確認できる。
本発明の鉄分析方法を、捕集した粉塵の検査に適用し、本発明の鉄分析方法の有効性を確認した。
実験は、捕集した粉塵に、実施例1と同じ検査用溶液を滴下して発色状況を確認した。なお、粉塵の捕集に使用したろ紙も実施例1と同じものである。
粉塵は、以下の2方法で捕集した。
(1)工程内で堆積した粉塵を模擬するために、屋外に設置している設備の上に積もっている粉塵をろ紙でふき取り、粉塵をろ紙に付着させて捕集した。
(2)屋外にろ紙を放置し、ろ紙上に粉塵を付着させて捕集した。
(1)の粉塵
(1)の方法で捕集した粉塵の結果を図2に示す。図2(A)は発色前のろ紙の写真で図2(B)は発色後のろ紙の写真である。
図2(B)に示すように、ろ紙上に発色が見られており(色が濃くなっており)、種々の化合物が交じり合っている屋外の堆積粉塵でも鉄化合物の存在を検出できることが確認できた。
(2)の粉塵
(2)の方法で捕集した粉塵の結果を図3に示す。図3は発色後のろ紙の写真である。
図3に示すように、ろ紙上に発色(円内の黒い点)が見られており、実際に環境中に浮遊している粉塵についても、本発明の方法で検出可能であることが確認できた。
本発明の鉄分析方法において、有効な検査が行える検査用溶液の塩酸濃度を確認した。
実験は、爪楊枝の先に付着させた微量のFe粉を5Aろ紙上に落とし、5Aろ紙上の各粉に対して、塩酸溶液を一滴滴下したのち、0.1%オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下して発色具合を比較した。
塩酸溶液は、塩酸(和光純薬製 特級)と純水とを混合して形成した。
実験を行った塩酸濃度は、5%,4%,3%,2%,1%,0.1%,0.01%,0.001%である。
なお、使用した他の試薬等は以下のとおりである。
使用試薬:
ろ紙:5Aろ紙(東洋ろ紙)
鉄粉:スポンジ鉄(キシダ化学製)
1%オルトフェナントロリン−エタノール溶液:オルトフェナントロリン(和光純薬製)1gをエタノール(和光純薬製)100mlに溶解したもの。
実験結果を、図4および図5に示す。
なお、図4および図5の写真は、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下したのち、乾燥(30分程度放置)してから撮影したものである。
図4および図5に示すように、塩酸濃度が、0.001%から4%の場合、発色の強弱はあるもの、どの塩酸濃度でもオルトフェナントロリンの発色が目視で確認できる。
一方、塩酸濃度が5%の場合には、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下してから30分程度放置しても発色が確認できなかった。
したがって、塩酸濃度が4%よりも薄ければ、本発明の方法によって鉄の存在の有無を確認できると考えられる。
また、塩酸濃度が、0.001%から4%の間でも、塩酸濃度が1%および塩酸0.1%の場合には、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下した直後から発色が確認でき、しかも、良好な発色が確認できた。
一方、塩酸濃度が、塩酸4%、塩酸3%、塩酸2%の場合には、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下した直後には、発色の目視確認は困難であった。滴下後5分程度経過すると僅かに発色が見られるようになり、時間の経過とともに、つまり、乾燥が進むにつれてその発色が強くなる状況が確認できた。
また、塩酸濃度が塩酸0.01%,塩酸0.001%の場合には、乾燥するまでは発色を目視で確認することができなった。
以上の結果から、本発明の鉄分析方法に使用する検査用溶液の塩酸濃度は、0.001%〜4%が好ましく、より迅速な検査を行う上では、0.1〜1%が好ましいことが確認できた。
本発明の鉄分析方法において、有効な検査が行えるオルトフェナントロリン濃度を確認した。
実験は、爪楊枝の先に付着させた微量のFe粉を5Aろ紙上に落とし、5Aろ紙上の各粉に対して、1%塩酸を一滴滴下したのち、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下して発色具合を比較した。
オルトフェナントロリン−エタノール溶液、オルトフェナントロリン(和光純薬製)をエタノール(和光純薬製)に溶解して生成した。
実験を行ったオルトフェナントロリンの濃度は、10%,1%,0.1%,0.01%,0.001%である。
なお、使用した他の試薬等は以下のとおりである。
使用試薬:
ろ紙:5Aろ紙(東洋ろ紙)
鉄粉:スポンジ鉄(キシダ化学製)
1%塩酸溶液:純水99mlに塩酸1ml(和光純薬製 特級)を加えたもの。
実験結果を、図6に示す。
なお、図6の写真は、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下したのち、乾燥(30分程度放置)してから撮影したものである。
図6に示すように、オルトフェナントロリンの濃度が、0.1%以上の場合、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下した直後から、目視で容易に発色が確認できた。
一方、オルトフェナントロリンの濃度が、0.01%以下の場合、オルトフェナントロリン−エタノール溶液を滴下してから30分程度放置しても発色が確認できなかった。
したがって、オルトフェナントロリンの濃度が0.1%以上であれば、本発明の方法によって鉄の存在の有無を確認できると考えられる。
なお、オルトフェナントロリンの濃度は濃いほど発色性が良くなると考えられる一方、オルトフェナントロリンの濃度が10%以上の場合には、エタノールに溶解しないと溶けなくなり、取り扱い性の点で不具合がある。
よって、オルトフェナントロリンの濃度は、0.1%以上が好ましく、0.1%〜10%がより好ましい。
本発明の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法は、電池工場や機能性材料粉体工場、食品工場など、鉄等の不純物の混入が問題となる製造工場等において、中間物や製品等の汚染源特定のためのスクリーニングや、現場での簡易分析等に適している。

Claims (5)

  1. 粉塵に含まれる鉄メタルの簡易分析方法であって、
    捕集材上の粉塵に対して、濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および、濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液を接触させる
    ことを特徴とする粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法。
  2. 前記捕集材がろ紙である
    ことを特徴とする請求項1記載の粉塵に含まれる鉄の簡易分析方法。
  3. 粉塵に含まれる鉄の簡易分析に使用される検査キットであって、
    濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液と、
    粉塵を捕集し、前記検査用溶液が滴下される捕集材とを備えている
    ことを特徴とする粉塵に含まれる鉄の簡易検査キット。
  4. 粉塵に含まれる鉄メタルの簡易分析に使用される検査キットであって、
    検査用溶液を含浸させた捕集材を備えており、
    前記検査用溶液は、
    濃度が1%〜10%のオルトフェナントロリン溶液および濃度が0.1%〜1%の塩酸溶液を含有する
    ことを特徴とする粉塵に含まれる鉄の簡易検査キット。
  5. 前記捕集材がろ紙である
    ことを特徴とする請求項3または4記載の粉塵に含まれる鉄の簡易検査キット。
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