JPH11206864A - アルデヒドガス吸収剤及びその製造方法 - Google Patents

アルデヒドガス吸収剤及びその製造方法

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JPH11206864A
JPH11206864A JP10199757A JP19975798A JPH11206864A JP H11206864 A JPH11206864 A JP H11206864A JP 10199757 A JP10199757 A JP 10199757A JP 19975798 A JP19975798 A JP 19975798A JP H11206864 A JPH11206864 A JP H11206864A
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aldehyde
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修 高木
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  • Treating Waste Gases (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】樹脂や繊維等に混練した場合に着色するという
問題がない二酸化ケイ素を担体として、アルデヒドガス
に対する吸収能を向上させたアルデヒドガス吸収剤およ
びその製造方法を提供する。 【解決手段】比表面積が400〜900m2/gであり
且つ平均細孔径が0.1〜10nmである多孔質二酸化
ケイ素に、ポリアミン化合物を0.02〜2.0mmo
l/g担持させてなるアルデヒドガス吸収剤及び前記多
孔質二酸化ケイ素の含水率を0.1〜10重量%にし
て、ポリアミン化合物を担持させるアルデヒドガス吸収
剤の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、煙草臭の消臭に好
適なアルデヒドガス吸収剤およびその製造方法に関す
る。また、本発明により得られるアルデヒドガス吸収剤
は、単独で使用する他、複合繊維、織布、不織布等に添
加あるいは添着して各種消臭性繊維製品として利用した
り、樹脂や塗料に添加、混合して各種消臭性塗料、消臭
性成形品として利用することができる。
【0002】
【従来の技術】近年、消費者の消臭に対するニーズが急
速に高まっている。消臭対象として特に煙草臭が問題視
されている。煙草臭の主成分はアセトアルデヒド、ニコ
チン、ピリジン及び酢酸ガスである。煙草臭の臭気成分
を除去し得る脱臭剤として、特開昭62−282926
号公報及び特開昭62−282927号公報にて、ケイ
酸マグネシウム質粘土鉱物からなる消臭剤が開示されて
いる。この消臭剤は、ケイ酸マグネシウム質粘土鉱物の
有する吸着性により、アルカロイド系天然化合物並びに
その分解によって生成する化合物、なかでもニコチン、
ピリジンに対し優れた消臭性を示すものである。また、
住宅や病院等のカーテンや壁紙等の各種住宅設備、自動
車のエアコン、電気製品のフィルターや衣服等に利用さ
れる繊維に消臭性を持たせる試みがなされている。アミ
ン化合物はアルデヒドガスと親和性が高く、アルデヒド
ガスを含有する排ガスをアミン化合物を溶解した液と接
触させることにより、排ガス中のアルデヒドガスを除去
できることが知られている(特開昭51-44587)。しか
し、溶状のアミン化合物は、繊維を始めとする日常生活
用品に応用するには不適であった。また、アミン化合物
を耐熱性の無機物に担持させたガス吸収剤が知られてお
り、このガス吸収剤は樹脂や抄紙、フィルムへ添加する
際の加熱処理に耐えうる特徴を有している。例えば、活
性炭にアンモニウム塩やアニリン等を担持させたり(特
開昭53−29292、特開昭56−53744)、ケ
イ酸マグネシウム質粘土鉱物に分子内に第1級アミノ基
を有する化合物を担持させたり(特開平9−2877
8)、層状燐酸塩(α燐酸ジルコニウム)の層間にポリ
アミン化合物を担持させたガス吸収剤が知られている
(津波古ら PHARM.TECH.JAPAN Vol.
12.No.12 P.P.77-87(1996))。また、シリカにアミノア
ルコールを担持させた炭酸ガス吸収剤(特開昭53−2
3899)、シリカにポリアリルアミンを担持させた脱
臭剤(特開昭63−141642)及びN原子1個当た
りの分子量が110以下で、沸点が100℃以上である
アミン化合物及び水をシリカゲルに担持させた炭酸ガス
吸収剤(特開平4−200742)が知られている。し
かし、これらのガス吸収剤は、アルデヒドガスに対する
吸収能が十分実用的水準にあるとは言い難い。このよう
に種々の耐熱性無機物にアミン化合物を担持させたガス
吸収剤が知られているが、活性炭を担体としたガス吸収
剤は、樹脂や繊維などに混練した場合、着色が生じ、幅
広い分野、特に衛生関連分野では使用できない。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】本発明は、樹脂や繊
維等に混練した場合に着色するという問題がない二酸化
ケイ素を担体として、アルデヒドガスに対する吸収能を
向上させたアルデヒドガス吸収剤およびその製造方法を
提供することを課題とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、鋭意検討
した結果、特定の多孔質二酸化ケイ素に特定のポリアミ
ン化合物を担持させた複合物が極めて有効であることを
見出し、本発明を完成するに至った。即ち、本発明は、
比表面積が400〜900m2/gであり且つ平均細孔
径が0.1〜10nmである多孔質二酸化ケイ素に、下
記式で表されるポリアミン化合物を0.02〜2.0m
mol/g担持させてなることを特徴とするアルデヒド
ガス吸収剤及び前記多孔質二酸化ケイ素の含水率を0.
1〜10重量%にして、下記式で表されるポリアミン化
合物を0.02〜2.0mmol/g担持させることを
特徴とするアルデヒドガス吸収剤の製造方法である。
【0005】
【化3】
【0006】
【発明の実施の形態】以下本発明を詳細に説明する。 ○二酸化ケイ素 本発明における二酸化ケイ素は、比表面積が400〜9
00m2/gであり且つ平均細孔径が0.1〜10nm
である多孔質二酸化ケイ素である。好ましい比表面積
は、500〜900m2/gであり、好ましい平均細孔
径は、2〜8nmである。多孔質二酸化ケイ素の市販品
として、シリカゲルやニップシール(日本シリカ工業製
商品名、微粒子状含水二酸化ケイ素)等がある。比表面
積が小さ過ぎると、ポリアミン化合物とアルデヒドガス
との接触面積が減少し、ガス吸着量が損なわれる。ま
た、比表面積が大きすぎるものは、ポリアミン化合物が
多く吸着されすぎて、樹脂等に添加して混練した際、加
熱により変色を生じさせる原因となり易い。比表面積
は、窒素吸着量から算出するBET法により、容易に測
定できる。また、平均細孔径が大きすぎると、比表面積
が減り、ポリアミン化合物の担持量が少なくなり、アル
デヒド類のガス吸着性能が低下する。平均細孔径が大き
すぎるにも係らず比表面積を充分な大きさにしようとす
ると、多孔質体における空隙率が大きくなりすぎ、機械
的強度が小さくなったり、ポリアミン化合物を担持する
能力が弱くなり、僅かな加熱によりポリアミン化合物を
放出してしまうという問題がある。一方、平均細孔径が
小さすぎると、二酸化ケイ素の比表面積は増加するが、
ポリアミン化合物が細孔内に入り難くなり、結果として
ポリアミン化合物の担持量を増加できなくなり、ガス吸
収能は減少する。平均細孔径(D)は、BET法により
求めた細孔容積及び比表面積から下記式を用いて容易に
算出される。
【0007】
【数1】
【0008】本発明における二酸化ケイ素の好ましい含
水率は0.1〜10重量%であり、より好ましくは、
0.1〜5重量%である。含水率が0.1重量%未満の
場合、表面のシラノール基が少ないため、本発明におけ
るポリアミン化合物に対する担持力が小さい。逆に、含
水率が10重量%より多いと、樹脂に混練した際、着
色、発泡や劣化の原因となる。
【0009】多孔質二酸化ケイ素を乾燥する方法として
加熱や減圧等があり、何れの方法でも良い。乾燥する度
合いは、適宜調整すれば良いが、一般に多孔質二酸化ケ
イ素に担持しようとするアミン化合物の量が多い程、乾
燥度を高める方が良い。
【0010】多孔質二酸化ケイ素の含水率は、熱重量分
析法により容易に測定できる。例えば、示差熱重量測定
器(セイコー電子工業株式会社製TG−DTA220
型)を用い、室温から500℃まで、多孔質二酸化ケイ
素を10℃/分で昇温して加熱減量を測定し、加熱前に
おける二酸化ケイ素の重量に対する加熱減量の比率とし
て含水率を容易に算出することができる。尚、多孔質二
酸化ケイ素は非常に吸湿性が高いので、正確な測定を行
うには、測定前及び測定中の試料に対して吸湿させない
ようにすることが好ましい。具体的には、試料を速やか
に測定装置にセットしたり、測定容器周辺から湿った空
気が浸入するのを防止するために、測定容器周辺に乾燥
した窒素ガスを流通させる等の手段を講じることが好ま
しい。
【0011】○ポリアミン化合物 本発明におけるポリアミン化合物は、分子内に第1級ア
ミノ基を有しており、下記式で表わされる。
【0012】
【化4】
【0013】上記のポリアミン化合物は、室温で液体で
あり、分解温度及び沸点が高く、アルデヒドガスとの反
応性が高い第1級アミノ基を有する。
【0014】○アルデヒドガス吸収剤 本発明のアルデヒドガス吸収剤は、上記の特定の二酸化
ケイ素にポリアミン化合物を担持させたものであり、ポ
リアミン化合物の担持量をアルデヒドガス吸収剤1g当
たり0.02〜2mmolとするものである。担持量が
少な過ぎると、アルデヒドガスの吸収能が低下し、担持
量が多過ぎると、樹脂や繊維に混練する際の加熱によ
り、ポリアミン化合物が二酸化ケイ素から飛び出して、
着色の原因になる上、ポリアミン化合物自身が悪臭とな
る。また、アルデヒド吸収量も減少する。ポリアミン化
合物の担持量は、有機元素分析により検出される窒素含
有率から容易に算出できる。
【0015】本発明のアルデヒドガス吸収剤における好
ましいものは、下記試験方法によるポリアミン化合物の
溶出量が窒素濃度に換算して1ppm以下である。(試
験方法)試料1gと純水100mlをポリエチレン瓶に
入れ、40℃で60時間振とうした後、ポリエチレン瓶
の内容物を濾過して得られる濾液の窒素濃度を測定す
る。ポリアミン化合物の溶出が少ないアルデヒドガス吸
収剤は、アルデヒドガス吸収能と耐熱変色性において極
めて優れている。
【0016】本発明のガス吸収剤は、通常粉体状で得ら
れ、好ましい平均粒径は0.01〜50μmであり、よ
り好ましくは0.1〜20μmであり、さらに好ましく
は0.1〜5μmである。平均粒径が0.01μm未満
では取扱いが困難である、再凝集しやすいといった問題
があり好ましくない。また、50μmより大きいと、樹
脂に均一に分散させにくく、紡糸の際、糸切れが発生す
るといった問題があり好ましくない。
【0017】本発明の吸収剤は、アルデヒドガスに対し
て有効であり、アルデヒドガスとしては、アセトアルデ
ヒド、ホルムアルデヒドなどがある。また、対象とする
ガスによって、その他の消臭剤と混合したり、併用する
ことも当然可能である。
【0018】○アルデヒドガス吸収剤の製造方法 本発明の吸収剤は上記の二酸化ケイ素とポリアミン化合
物を混合すれば、容易に得られる。ポリアミン化合物を
水等で希釈した液を二酸化ケイ素と混合するとより均一
にポリアミン化合物を担持できる。通常、二酸化ケイ素
に対して過剰量のポリアミン化合物を混合するので、混
合後の二酸化ケイ素は純水で洗浄し、その表面に付着し
た過剰のポリアミン化合物を除去する。洗浄物を50〜
120℃で乾燥することにより本発明のガス吸収剤を得
る。
【0019】本発明のアルデヒドガス吸収剤を製造する
方法の中で、以下の方法は特に好ましい方法である。即
ち、比表面積が400〜900m2/gであり且つ平均
細孔径が0.1〜10nmである多孔質二酸化ケイ素の
含水率を0.1〜10重量%にして、本発明におけるポ
リアミン化合物を0.02〜2.0mmol/g担持さ
せる製造方法である。この方法によれば、洗浄工程がな
いため、環境汚染に繋がるアミン排液を排出することな
く、又洗浄工程後の乾燥工程が不要であり、高いアルデ
ヒド除去性能と耐熱変色性を有するアルデヒドガス吸収
剤を容易に製造することができる。この製造方法の特徴
は、ポリアミン化合物を担持させる多孔質二酸化ケイ素
として特定の含水率を有するものを用いる点にある。通
常の多孔質二酸化ケイ素は数十重量%以上の含水率であ
るから、本発明における好ましい製造方法で用いる多孔
質二酸化ケイ素はかなり乾燥させたものである。好まし
い含水率は0.1〜5重量%であり、より好ましい含水
率は0.1〜2重量%であり、特に好ましい含水率は
0.1〜1重量%である。
【0020】本発明における多孔質二酸化ケイ素の含水
率を0.1〜10重量%にしてポリアミン化合物を0.
02〜2.0mmol/g担持させる方法は、ポリアミ
ン化合物の溶出が少ないアルデヒドガス吸収剤を容易に
得る方法として有効である。
【0021】多孔質二酸化ケイ素にポリアミン化合物を
担持させる時期には特に制限はないが、通常、多孔質二
酸化ケイ素の製造工程における乾燥工程又は多孔質二酸
化ケイ素を製造した後の乾燥工程の直後が好ましい。こ
のように多孔質二酸化ケイ素の乾燥工程直後にポリアミ
ンの担持を行うことにより、耐熱変色性が特に優れたア
ルデヒドガス吸収剤を容易に得られる。
【0022】ポリアミン化合物を多孔質二酸化ケイ素と
混合したり、粉砕する方法としては、ヘンシェルミキサ
ー、振動ミル、ボールミル、リボンミキサー、ジェット
ミル、らいかい器等の一般的に用いられる混合方法の何
れも利用することができ、その後、必要に応じて振動
篩、サイクロン等の一般的な分級器を利用してアルデヒ
ドガス吸収剤を分級することもできる。
【0023】○用途 本発明のガス吸収剤は、200℃以上で加熱されたり、
紫外線に晒されても、アルデヒドガス吸収能が低下した
り、変色する等の劣化が殆ど起こらず、高温又は光に晒
されても安定である。又、本発明のガス吸収剤は、水と
接触させてもポリアミン化合物が殆ど溶出しない。従っ
て、本発明のガス吸収剤は、高温又は光による劣化が問
題になることなく、種々の樹脂又は紙に含有させて任意
の形態に成形加工することができ、成形加工品は保存
時、使用時において、加熱温度或いは遮光等の制約を殆
ど受けることがない。本発明のガス吸収剤は、樹脂成形
体、繊維、フィルム、塗料、被覆剤、床壁材、建材及び
紙等に含有させて、これらにアルデヒドガス吸収能を付
与することができる。本発明のガス吸収剤は、吸収機構
が反応型であるので、ガスの吸収速度が速いことを必要
とする用途に有効である。以下、本発明のガス吸収剤を
含有させた樹脂成形体、繊維及び塗料について説明す
る。
【0024】○樹脂成形体 本発明のガス吸収剤は樹脂に配合して成形することによ
り、樹脂成形体にアルデヒドガス吸収能を容易に付与す
ることができる。用いることができる樹脂の好ましい具
体例として、例えばポリエステル、ナイロン、アクリ
ル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニル、ポリ
ビニリデン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル及びポリス
チレン樹脂等がある。これらの樹脂は、単独ポリマーで
あっても共重合体であってもよい。樹脂に配合する本発
明のガス吸収剤の好ましい割合は、樹脂100重量部当
たり0.1〜20重量部であり、より好ましくは0.5
〜10重量部である。樹脂中には目的に応じて、艶消し
剤、着色剤、酸化防止剤、蛍光増白剤、安定剤、増粘
剤、難燃剤、抗菌防臭剤、防黴剤、防虫忌避剤、赤外線
吸収剤又は紫外線吸収剤等の添加剤を定法に基づいて配
合しても良い。
【0025】○繊維 本発明のガス吸収剤を繊維に含有させるには、本発明の
ガス吸収剤を繊維用樹脂に練り込んだものを繊維に成形
したり、本発明のガス吸収剤をバインダーで繊維表面に
付着させたりすればよい。尚、必要に応じて、ガス吸収
剤の分散性を向上させるために界面活性剤、分散剤等を
添加しても良い。
【0026】繊維に含有させるガス吸収剤の割合は、特
に限定されないが、天然繊維又は合成繊維用樹脂100 重
量部(以下、単に部と略す)当たり好ましくは0.1 〜20
部であり、より好ましくは0.5 〜10部である。また、繊
維には所望により、ガス分解剤、艶消し剤、着色剤、酸
化防止剤、蛍光増白剤、安定剤、難燃剤、抗菌防臭剤、
防黴剤、芳香剤、防虫忌避剤、赤外線吸収剤及び紫外線
吸収剤等の各種添加剤を含有させることができ、その含
有量は定法に従って適宜調整すれば良い。
【0027】本発明のガス吸収を含有させた繊維は、例
えば肌着、ストッキング、靴下、布団、布団カバー、座
布団、毛布、じゅうたん、カーテン、ソファー、カーシ
ート、エアーフィルター、マスク、ハンカチ、帽子、マ
フラー、ワイシャツ、敷布、枕カバー、作業着、テーブ
ルクロス、暖簾、紙、段ボール、不織布、タオル、寝
具、パジャマ等、多くの繊維製品に使用できる。
【0028】● 塗料 塗料成分は、塗膜形成要素と塗膜形成助要素からなる。
塗膜形成要素は、塗膜の主体となる塗膜主要素のほか
に、可塑剤、硬化剤、乳化剤及び分散剤等の塗膜副要素
及び顔料からなり、塗膜形成助要素は、溶剤または希釈
剤等からなる。上記塗膜主要素に特に制限はなく、天然
植物油、天然樹脂、半合成樹脂及び合成樹脂のいずれで
あってもよく、また熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂のいず
れであってもよい。具体的な油脂及び樹脂としては、例
えばあまに油、しなきり油、大豆油等の乾性油又は半乾
性油、ロジン、ニトロセルロース、エチルセルロース、
酢酸酪酸セルロース、ベンジルセルロース、ノボラック
型又はレゾール型のフェノール樹脂、アルキド樹脂、ア
ミノアルキド樹脂、アクリル樹脂、塩化ビニル、シリコ
ーン樹脂、ホモポリマー型熱可塑性、コポリマー型熱可
塑性、変成型熱可塑性又は熱硬化性のフッ素樹脂、エポ
キシ樹脂、ウレタン樹脂、飽和ポリエステル樹脂、メラ
ミン樹脂及びポリ塩化ビニリデン樹脂等がある。塗料に
含有させる本発明のガス吸収剤の割合は、特に限定され
ないが、塗膜形成要素100部当たり好ましくは0.1〜20部
であり、より好ましくは0.5 〜10部である。本発明のガ
ス吸収剤を含有させた塗料組成物は液状又は粉体状の何
れでも良い。又、塗料の硬化機構に制限はなく、具体的
には酸化重合型、湿気硬化型、加熱硬化型、触媒硬化
型、紫外線硬化型、及びポリオール硬化型等がある。
【0029】本発明のガス吸収剤を含有させた塗料は、
アルデヒドガスの消臭を必要とする種々の分野で利用す
ることができ、塗布対象の例として、病院、学校、一般
住宅、食品工場、自動車、飛行機、鉄道車両等の交通機
関、浴室、トイレ、または台所の壁、天井、床等の住宅
設備、冷蔵庫や電子レンジなど電気製品の内装・外装等
がある。
【0030】
【実施例及び比較例】以下、本発明を更に具体的に説明
する。ガス吸収剤の調製方法と得られたガス吸収剤の各
種評価試験方法は以下の通りである(但し、実施例1〜
10、比較例1〜11)。○ガス吸収剤の調製方法 二酸化ケイ素の粉体1gを所定量のポリアミン化合物に
添加し、さらに純水を10g加えて十分撹拌する。40
℃で2時間振とうする。その後、スラリーをブフナーロ
ートで濾過し、純水で濾液の電気伝導度が20μS/cm
以下になるまで洗浄する。洗浄した粉体を100℃で1
2時間乾燥して、ガス吸収剤を調製した。
【0031】○アルデヒドガス吸収能の評価試験 上記で得たガス吸収剤を所定量入れたテドラ−バッグ
(ガス吸着試験用ポリ袋)に所定量のアセトアルデヒド
ガスを注入した。アセトアルデヒドガスがテドラーバッ
グ内で均一になるように軽く手で揉み、アセトアルデヒ
ドガスの注入から2時間後のテドラーバッグ内のアセト
アルデヒドガス濃度を検知管(ガステック製)で測定し
た。上記のようにして、一定のアルデヒドガス初期濃度
(20ppm)からの減少量により、即ちアルデヒドガスの
残留濃度の大小によりアルデヒドガスに対する吸収能を
評価した。
【0032】○ガス吸収剤におけるアミン化合物の担持
量の測定 ガス吸収剤のアミン化合物担持量は、有機元素分析装置
(柳本製作所製:CHNコーダーMT−5)で検出した
窒素量と担持したポリアミン化合物の窒素含有率から算
出した。
【0033】○二酸化ケイ素の含水率の測定 含水率は示差熱重量測定器(セイコー電子工業株式会社
製TG−DTA220型)を用い、室温から500℃ま
で、二酸化ケイ素を10℃/分で昇温し、加熱減量分を
測定し含水率とした。
【0034】実施例1,2及び比較例1,2[ガス吸収
剤におけるポリアミン化合物の担持量] 粉体A(シリカゲル:比表面積680m2/g、平均細
孔径:2.5nm)0.02gと0.01〜0.4mm
olのテトラエチレンペンタミンを混合して、ポリアミ
ン化合物の担持量を種々変化させたガス吸収剤を得た。
得られたガス吸収剤を用いて上記のアルデヒドガス吸収
能の評価試験を行った。ポリアミン化合物の担持量(P
A)とアセトアルデヒドガス吸吸能の評価試験結果(ア
ルデヒドガスの残留濃度)(C)は表1の通りであっ
た。尚、アルデヒドガスの残留濃度において「検出され
ず」と表示した場合、アルデヒドガスの濃度は1ppm
以下である(以下、同じ)。
【0035】
【表1】
【0036】実施例3〜5及び比較例3〜5[多孔質二
酸化ケイ素の平均細孔径及び比表面積] 平均細孔径、比表面積の異なる多孔質二酸化ケイ素0.
02gとテトラエチレンペンタミン0.05mmolを
混合してアセトアルデヒドガス吸収剤を得た。このよう
にして得たガス吸収剤を用いて上記のアルデヒドガス吸
収能の評価試験を行った。使用した多孔質二酸化ケイ素
の比表面積(s)及び平均細孔径(d)、ポリアミン化
合物担持量(PA)及びアセトアルデヒドガス吸吸能の
評価試験結果(アルデヒドガスの残留濃度)(C)は表
2の通りであった。
【0037】
【表2】
【0038】実施例6及び比較例6,7[担体の種類] 各種担体0.02gをジエチレントリアミン2.5mm
olと混合してガス吸収剤を得た。得られたガス吸収剤
のポリアミン化合物担持量(PA)とアセトアルデヒド
ガス吸吸能の評価試験結果(アルデヒドガスの残留濃
度)(C)は表3の通りであった。
【0039】
【表3】
【0040】実施例7,8及び比較例8[アミン化合物
の種類] 粉体A0.02gをアミン化合物2.5mmolと混合
してガス吸収剤を得た。得られたガス吸収剤のアミン化
合物担持量(A)とアセトアルデヒドガス吸吸能の評価
試験結果(アルデヒドガスの残留濃度)(C)は表4の
ようであった。
【0041】
【表4】
【0042】実施例9,10及び比較例9〜11[二酸
化ケイ素の含水率] 含水率の異なる二酸化ケイ素0.01gとポリアミン化
合物2.5mmolを混合してガス吸収剤を得た。得ら
れたガス吸収剤含水率、比表面積及びアセトアルデヒド
ガス吸吸能の評価試験結果(アルデヒドガスの残留濃
度)(C)は表5のようであった。(尚、「アエロシ゛ル#20
0」は日本アエロジル株式会社の商品名であり、「ニプ
シル」は日本シリカ工業株式会社の商品名である)
【0043】
【表5】
【0044】(実施例11)珪酸ナトリウム100gを
1N−塩酸で中和し、多孔質二酸化ケイ素ゲルを生成さ
せ、そのゲルを純水で洗浄後、濾過し、乾燥機で180
℃で6時間する。乾燥機から取り出した直後の多孔質二
酸化ケイ素(比表面積:680m2/g、平均細孔径:
2.5nm、含水率:0.3重量%)にジエチレントリ
アミンを0.28mmol/g担持させた後、粉砕機で
平均粒径が5μmになるように粉砕してアルデヒドガス
吸収剤Aを得た。なお、ポリアミン化合物の担持量は有
機元素分析法により確認した(以下実施例12,13も
同じ。)。
【0045】(実施例12)乾燥機での乾燥温度を12
0℃とした以外は実施例11と同様にして多孔質二酸化
ケイ素を調製し、乾燥機から取り出した直後の多孔質二
酸化ケイ素(比表面積:680m2/g、平均細孔径:
2.5nm、含水率:0.5重量%)にテトラエチレン
ペンタミンを0.25mmol/g担持させた後、粉砕
機で平均粒径が5μmになるように粉砕してアルデヒド
ガス吸収剤Bを得た。
【0046】(実施例13)乾燥機での乾燥時間を12
時間とした以外は実施例11と同様にして多孔質二酸化
ケイ素を調製し、乾燥機から取り出した直後の多孔質二
酸化ケイ素(比表面積:680m2/g、平均細孔径:
2.5nm、含水率:0.2重量%)にジエチレントリ
アミンンを0.46mmol/g担持させた後、粉砕機
で平均粒径が5μmになるように粉砕してアルデヒドガ
ス吸収剤Cを得た。
【0047】<実験1>(消臭能の評価試験) アルデヒドガス吸収剤A〜Cの消臭性能を以下の試験条
件で測定し、その結果を下記表6に示した。 試験条件:試料0.02gを入れた容器(1リットル)及び
試料を入れない容器(ブランク)にアセトアルデヒドガ
スを同量注入し、2時間後に、容器中のガス濃度を検知
管(ガステック株式会社製)を用いて測定した。
【0048】
【表6】
【0049】<実験2>(耐熱変色性) アルデヒドガス吸収剤A〜Cについて、220℃、10
分間の加熱処理の前後で色差計(日本電色工業株式会社
製色彩色差計SZ−Σ80)を用いて色彩(L,a,
b)を測定し、色差△Eを求めた。その結果を下記表7
に示した。
【0050】
【表7】
【0051】<実験3>(溶出性試験)アルデヒドガス
吸収剤A〜Cについて、純水中へのポリアミン化合物の
溶出量を以下の試験条件下で測定した。その結果を下記
表8に微量窒素測定装置で検出された窒素濃度で表示し
た。 試験条件:ポリ瓶に各試料1gと純水100mLを入れ
40℃で60時間振とうした。その後、メンブレンフィ
ルターで濾過し、濾液の窒素濃度を測定した。
【0052】
【表8】
【0053】上記表6〜8の結果から、アルデヒドガス
吸収剤A〜Cは、アルデヒドガスに対する消臭能及び耐
熱変色性に優れており、これらは何れも純水中へのポリ
アミン化合物の溶出量が少ないものであることがわか
る。
【0054】
【発明の効果】実施例におけるガス吸収剤の調製方法の
操作から明らかなように、本発明のガス吸収剤は乾燥工
程において12時間空気中に晒しても炭酸ガスを殆ど吸
着しておらず、その後のアルデヒドガス吸収能の評価試
験で優れたアルデヒドガス吸収能を発揮する。また、本
発明のガス吸収剤は耐熱性を有するので、樹脂に混練し
たり、繊維に添加しても優れたアルデヒドガス吸収能を
損なわない。更にまた、本発明のガス吸収剤は、それ自
体が白色であり、樹脂に配合しても樹脂を着色させない
ので、近年のアメニティ(住環境の快適化)社会を指向
するニーズにマッチした様々な用途に応用できる。本発
明の製造方法によれば、アミン排液を排出することな
く、高いアルデヒド吸収能と耐熱変色性を有するアルデ
ヒドガス吸収剤を工業的に製造することができる。 15

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比表面積が400〜900m2/gであり
    且つ平均細孔径が0.1〜10nmである多孔質二酸化
    ケイ素に、下記式で表されるポリアミン化合物を0.0
    2〜2.0mmol/g担持させてなることを特徴とす
    るアルデヒドガス吸収剤。 【化1】
  2. 【請求項2】下記試験方法によるポリアミン化合物の溶
    出量が窒素濃度に換算して1ppm以下であることを特
    徴とする請求項1記載のアルデヒドガス吸収剤。(試験
    方法)試料1gと純水100mlをポリエチレン瓶に入
    れ、40℃で60時間振とうした後、ポリエチレン瓶の
    内容物を濾過して得られる濾液の窒素濃度を測定する。
  3. 【請求項3】比表面積が400〜900m2/gであり
    且つ平均細孔径が0.1〜10nmである多孔質二酸化
    ケイ素の含水率を0.1〜10重量%にして、下記式で
    表されるポリアミン化合物を0.02〜2.0mmol
    /g担持させることを特徴とするアルデヒドガス吸収剤
    の製造方法。 【化2】
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