JPH11204336A - 高周波インダクタの製造方法 - Google Patents

高周波インダクタの製造方法

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JPH11204336A
JPH11204336A JP135498A JP135498A JPH11204336A JP H11204336 A JPH11204336 A JP H11204336A JP 135498 A JP135498 A JP 135498A JP 135498 A JP135498 A JP 135498A JP H11204336 A JPH11204336 A JP H11204336A
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frequency inductor
coil conductor
insulating layer
silicate glass
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で信頼性が高く、良好な特性を有する高
周波インダクタを得る。 【解決手段】 絶縁基板2の表面に設けた引出し導体パ
ターン4は絶縁層5により被覆され、該絶縁層5上に形
成されたコイル導体パターン3の中心に位置する端部
は、ビアホール6により引出し導体パターン4に接続さ
れている。引出し導体パターン4は電極8に接続され、
コイル導体パターン3の引出し部3aは、電極9に接続
されている。コイル導体パターン3は外装保護層7によ
り覆われている。絶縁層5は、平均粒径が0.1〜5.
0μmで、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあ
る珪酸塩ガラス粉末を感光性絶縁体ペーストを焼成して
なる。外装保護層7は、平均粒径が0.1〜5.0μm
で、表面積対体積比が1.0m2/cc以上であり、か
つ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸
塩ガラス粉末を、有機ビヒクル中に分散してなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波インダク
タ、特に、高周波回路のインピーダンスマッチングや高
周波チョークコイル等に使用される高周波インダクタに
関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化及び組立の自動
化に伴い、高周波インダクタも他の電子部品と同様に、
プリント基板のパターンに直接実装する表面実装タイプ
のものが多く使用されている。この種の高周波インダク
タとしては、従来より、スパイラル(渦巻き)状のコイ
ル導体パターンを絶縁基板上に形成した平面スパイラル
状のものや、ソレノイド状のコイルの一部を構成するコ
イル導体パターンが形成された絶縁層が積層され、これ
らコイル導体パターンがビアホールにより接続されてソ
レノイド状のコイルを構成した積層型のものが知られて
いる。
【0003】ところで、かかる高周波インダクタでは、
高周波領域においてより優れた特性を有するインダクタ
を得るため、感光性を有する導電性ペーストを用いてコ
イル導体パターンを形成したり、感光性を有する絶縁性
ペーストにより絶縁層を形成し、該絶縁層を露光するこ
とによりそれを間にして位置するコイル導体パターンを
相互に接続するビアホールを形成する厚膜微細加工技術
が注目されている。
【0004】例えば、特開平8−316080号公報に
は、感光性を有する導電性Agペーストを用いてコイル
導体パターンを形成することが開示されている。このも
のでは、微細でかつ、ハイアスペクトのコイル導体パタ
ーンを形成することができ、いわゆる薄膜技術では困難
な高Q(低直流抵抗)の高周波インダクタを得ることが
できる。
【0005】一方、特開平7−176444号公報に
は、絶縁層を間にして複数のコイル導体パターンを積層
し、ビアホールによりこれらコイル導体パターンを電気
的に接続するようにしたものが開示されている。そし
て、前記絶縁層として感光性絶縁ペーストを用いること
により、直径が50μm以下の微細なビアホールを形成
することができることが記載されている。また、特開平
7−130543号公報には、かかる感光性絶縁ペース
トに使用される材料として、B23,SiO2,Al2
3,ZnO,アルカリ土類酸化物を含むガラス材料が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の高周波イン
ダクタでは、形状が小さくしかも大きなインダクタンス
を有するものを得るためには、絶縁基板上に形成される
スパイラル状の導体パターンの巻数をできるだけ多く
(平面スパイラル型のもの)したり、絶縁層の厚みをで
きるだけ薄くしてその積層枚数を多く(積層型のもの)
する必要がある。このようにスパイラル状のコイル導体
パターンの巻数を多くしたり、絶縁層の厚みを薄くする
と、平面スパイラル型のものではコイル導体パターンの
隣接する導体間の間隔が小さくなり、また、積層型のも
のではコイル導体パターンの層間間隔が小さくなる。
【0007】ところで、前記高周波インダクタは、その
製造工程の焼成工程中にコイル導体パターンを構成して
いる金属材料が絶縁層中に10〜20μm程度拡散す
る。この金属材料の拡散により、コイル導体パターンを
構成している導体間の絶縁やコイル導体パターンの層間
の絶縁の信頼性が低下するという問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、コイルを形成す
る導体パターン間の絶縁の信頼性が高い小型で良好な特
性を有する高周波インダクタを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するため、本発明は、絶縁基板上に支持されたコイル導
体パターンを外装保護膜で被覆した高周波インダクタで
あって、前記外装保護膜は、平均粒径が0.1〜5.0
μmで、表面積対体積比が1.0m2/cc以上であ
り、かつ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあ
る珪酸塩ガラス粉末が有機バインダ、添加剤からなる有
機ビヒクル中に分散されてなる絶縁体ペーストからなる
ことを特徴とする。珪酸塩ガラス粉末は誘電率が低く、
かつ、その内部にコイル導体パターンを構成する金属材
料が拡散しにくい。従って、コイル導体パターンを構成
する金属材料の外装保護膜への拡散が抑えられる。
【0010】さらに、本発明は、絶縁基板上に支持され
たコイル導体パターンを外装保護膜で被覆した高周波イ
ンダクタであって、前記外装保護膜は、SiO2,B2
3,K2Oの少なくとも一つを含み、これらSiO2,B2
3,K2Oの組成比がその三元組成図中の点(65,3
4.5,0.5)、点(65,25,15)、点(8
5,0,15)及び点(85,14.5,0.5)で囲
まれた領域内にあり、平均粒径が0.1〜5.0μm
で、表面積対体積比が1.0m2/cc以上であり、か
つ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸
塩ガラス粉末が有機バインダ、添加剤からなる有機ビヒ
クル中に分散されてなる絶縁体ペーストからなることを
特徴とする。前記組成を有する珪酸塩ガラス粉末は誘電
率が低く、かつ、その内部にコイル導体パターンを構成
する金属材料が拡散しにくい。従って、コイル導体パタ
ーンを構成する金属材料の外装保護膜への拡散が抑えら
れる。
【0011】さらに、本発明は、絶縁基板上にコイル導
体パターンからなる複数のコイルを絶縁層を間にして積
層した高周波インダクタであって、前記絶縁層は、平均
粒径が0.1〜5.0μmで、軟化点が700〜105
0℃の温度範囲にある珪酸塩ガラス粉末が有機バイン
ダ、光重合開始剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる有
機ビヒクル中に分散されてなる感光性絶縁体ペーストを
焼成してなるものであることを特徴とする。珪酸塩ガラ
ス粉末は誘電率が低く、かつ、その内部に導体パターン
を構成する金属材料が拡散し難く、さらに焼結時に絶縁
層の変形も発生し難い。従って、有機バインダ、光重合
開始剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒクル
中に珪酸塩ガラス粉末を分散させた感光性絶縁体ペース
トを焼成して形成された絶縁層中には、コイル導体パタ
ーンを構成する金属材料の外装保護膜への拡散が抑えら
れ、絶縁層の変形も少ない。
【0012】さらに、本発明は、絶縁基板上にコイル導
体パターンからなる複数のコイルを絶縁層を間にして積
層した高周波インダクタであって、前記絶縁層は、Si
2,B23,K2Oの少なくとも一つを含み、これらS
iO2,B23,K2Oの組成比がその三元組成図中の点
(65,34.5,0.5)、点(65,25,1
5)、点(85,0,15)及び点(85,14.5,
0.5)で囲まれた領域内にある珪酸塩ガラス粉末を含
む感光性絶縁体ペーストからなることを特徴とする。三
元組成を有する珪酸塩ガラス粉末は材料コストが低い三
元組成を有する材料からなるものであり、しかも低い誘
電率を有しており、かつ、その内部にコイル導体パター
ンを構成する金属材料が拡散しにくく、さらに焼結時に
絶縁層の変形も発生し難い。従って、コイル導体パター
ンを構成する金属材料が絶縁層中へ拡散するのが抑えら
れ、絶縁層の変形も少ない。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高周波インダ
クタの実施形態について添付図面を参照して詳細に説明
する。
【0014】本発明に係る高周波インダクタの一実施形
態の斜視図を図1に、その横断面を図2に示す。この高
周波インダクタ1は、直方体形状の絶縁基板2上に、平
面スパイラル状のコイル導体パターン3を形成したもの
である。
【0015】絶縁基板2はアルミナ等の絶縁性を有する
セラミック材料からなり、その表面には中心部から絶縁
基板2の一つの端面に達する直線状の引出し導体パター
ン4が形成されている。該引出し導体パターン4は絶縁
基板2の表面に形成された絶縁層5により被覆されてお
り、該絶縁層5上にコイル導体パターン3が形成されて
いる。
【0016】前記コイル導体パターン3の中心側の端部
は、絶縁層5に形成されたビアホール6により、引出し
導体パターン4に電気的に接続されている。また、コイ
ル導体パターン3の外側の端部の引出し部3aは、絶縁
基板2のいま一つの端面に引き出されている。そして、
絶縁基板2上に支持されたコイル導体パターン3は、そ
の上に形成された外装保護層7により覆われている。引
出し導体パターン4及びコイル導体パターン3の外側の
端部の引出し部3aは、絶縁基板2の両端面にそれぞれ
形成された電極8,9に電気的に接続されている。
【0017】前記絶縁層5は、平均粒径が0.1〜5.
0μmで、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあ
る珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、光重合開始剤、
光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒクル中に分散
してなる感光性絶縁体ペーストを焼成してなるものであ
る。また、前記外装保護層7も、平均粒径が0.1〜
5.0μmで、表面積対体積比が1.0m2/cc以上
であり、かつ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲
にある珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、添加剤から
なる有機ビヒクル中に分散してなるものである。
【0018】前記絶縁層5及び外装保護層7を構成する
前記珪酸塩ガラス粉末は、いずれもSiO2,B23
2Oの少なくとも一つを含んでいる。そして、これら
SiO 2,B23,K2Oの組成比は、図3に示す三元組
成図中の点A(65,34.5,0.5)、点B(6
5,25,15)、点C(85,0,15)及び点D
(85,14.5,0.5)で囲まれた領域内に含まれ
るように選択されている。
【0019】ここで、珪酸塩ガラス粉末として、軟化点
が700〜1050℃の前記材料を使用したのは、軟化
点が700℃未満ではAg等のコイル導体パターン3や
引出し導体パターン4の材料の拡散が激しくなるばかり
でなく、外装保護層7の焼成時に絶縁層5の変形が大き
く、ビアホール6が埋まるという不具合が生じ、また、
軟化点が1050℃を越えると外装保護層7の焼成時に
絶縁層5が変形してコイル導体パターン3や引出し導体
パターン4が断線するといった不具合が生じるからであ
る。
【0020】また、珪酸塩ガラス粉末として平均粒径が
0.1〜5.0μmのものを使用したのは、平均粒径が
0.1μm未満では、絶縁層5を形成する際に感光性絶
縁体ペーストに露光光が途中で吸収されてしまい、露光
光が絶縁基板2の表面まで達しないからである。一方、
平均粒径が5.0μm以上では、解像度が50μm以上
と悪くなるためである。
【0021】さらに、外装保護層7に使用される珪酸ガ
ラス粉末として、表面積対体積比が1.0m2/cc以
上のものを使用したのは、表面積対体積比が1.0m2
/cc未満になると、珪酸塩ガラス粉末の焼結性がわる
くなるからである。なお、珪酸塩ガラス粉末の表面積対
体積比は、日機装株式会社製のレーザドップラ解析粒度
計、同社製のレーザ回折散乱解析式粒度分析計等により
測定することができる。
【0022】一方、絶縁層5及び外装保護層7に使用さ
れる有機バインダとしては、カルボキシル基とエチレン
性不飽和基を有するアクリル系重合体を用いることがで
きる。これを用いると、現像液は有機溶剤系のものに代
えて、人体に対する有害性が少ない炭酸ナトリウム水溶
液を使用することもできる。また、絶縁層5の光重合開
始剤としては、紫外線領域の活性線照射において、フリ
ーラジカルを発生させるアントラキノン系やベンゾフェ
ノン系の材料を使用することができる。さらに、絶縁層
5の光硬化性モノマとしては、ヘキサメチレングリコー
ルジアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレ
ート等のように、フリーラジカルによって連鎖成長付加
重合し、ポリマを形成するものを使用することができ
る。
【0023】本実施形態では、珪酸塩ガラス粉末はその
軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあるので、内
部にコイル導体パターン3や引出し導体パターン4を構
成する材料が拡散し難い。従って、珪酸塩ガラス粉末か
らなる絶縁層5及び外装保護層7中に、コイル導体パタ
ーン3や引出し導体パターン4を構成する材料が拡散
し、絶縁層5及び外装保護層7の絶縁抵抗が低下するの
が防止される。また、焼成時の絶縁層5の変形によるビ
アホール6の埋まり、コイル導体パターン3や引出し導
体パターン4の断線等も防止され、信頼性の高い高周波
インダクタを得ることができる。さらに、絶縁層5及び
外装保護層7は低い誘電率を有する珪酸塩ガラス粉末か
らなるものであるので、コイル導体パターン3や引出し
導体パターン4の分布容量が小さくなり、高周波特性の
優れた高周波インダクタを得ることができる。
【0024】次に、本実施形態の高周波コイルの製造方
法を、図4〜図9により説明する。まず、10数cm2
のアルミナ基板11を用意し、図4に示すように、該ア
ルミナ基板11の表面に、Ag,Cuもしくはそれらの
合金を含む感光性導電ペースト12を10〜50μmの
厚みに印刷する。ここで、感光性導電ペースト12の厚
みを10μm未満にすると、その印刷の際に生じるピン
ホール等により導体が断線しやすく、逆に50μmより
も厚くすると導体パターン4(図5参照)の形成が困難
となる。
【0025】次いで、図5に示すように、感光性導電ペ
ースト12を露光、現像及び焼成の工程を経て、図1及
び図2で説明した引出し導体パターン4を形成する(図
5は焼成前の引出し導体パターン4を示している)。な
お、前記露光、現像及び焼成は、例えば特開平8−31
6080号公報に開示された工程に準じて行うことがで
きる。
【0026】その後、図6に示すように、平均粒径が
0.1〜5.0μmで、軟化点が700〜1050℃の
温度範囲にある珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、光
重合開始剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒ
クル中に分散してなる、図1及び図2において説明した
感光性絶縁体ペースト13を、引出し導体パターン4を
覆って、アルミナ基板11の表面に10〜50μmの厚
みとなるように形成する。なお、ペースト13の厚みを
10μm未満にするとピンホール等により層間の信頼性
が確保しにくく、50μmより厚いとビアホール6の加
工が困難となる。そして、感光性絶縁体ペースト13を
露光及び現像し、図7に示すように、感光性絶縁体ペー
スト13の表面から引出し導体パターン4に達するビア
ホール6を形成後、焼成して絶縁層5を形成する。
【0027】次いで、絶縁層5の上に、図8に示すよう
に、Ag,Cuもしくはそれらの合金を含む感光性導電
ペースト12を数十μmの厚みに印刷する。このとき、
ビアホール6内には感光性導電ペースト12が充填され
る。次いで、図9に示すように、感光性導電ペースト1
2を露光、現像及び焼成の工程を経て、図1及び図2で
説明したコイル導体パターン3を形成する(図9は焼成
前の引出し導体パターン4を示している)。
【0028】その後、平均粒径が0.1〜5.0μm
で、表面積対体積比が1.0m2/cc以上であり、か
つ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸
塩ガラス粉末を、有機バインダ、添加剤からなる有機ビ
ヒクル中に分散してなる図1及び図2で説明した外装保
護層7をアルミナ基板11上に支持されているコイル導
体パターン3を覆うように感光性絶縁体ペースト13上
に形成し、全体をレーザやダイシング等により切断すれ
ば、図1及び図2において説明した高周波インダクタを
得ることができる。
【0029】なお、本発明に係る高周波インダクタは前
記実施形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲
内で種々に変更することができる。
【0030】例えば、前記高周波インダクタ1におい
て、コイル導体パターン3を絶縁基板2上に形成し、引
出し導体パターン4を絶縁層5上に形成し、両者をビア
ホール6により電気的に接続するようにしてもよい。ま
た、図9に示した工程終了後、図10に示すように、さ
らに図6〜図9の工程を繰り返し、最上層に外装保護層
7を形成することにより、複数のコイル導体パターン3
がビアホール6により順次接続されたより大きいインダ
クタンスを有する高周波コイルを得ることができる。
【0031】さらに、本発明は、ソレノイド状のコイル
の一部を構成するコイル導体パターンを絶縁層を間にし
て積層し、これら導体パターンがビアホールにより順次
接続されてソレノイド状のコイルを形成する積層型のも
のにも適用することができる。さらに、外装保護層7は
ビアホール等の微細加工を必要としないので、感光成分
を含まないものでもよいが、スクリーン印刷で所望の形
状を得ることが困難な場合には、感光性絶縁ペーストを
用いて露光、現像するようにしてもよい。
【0032】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、絶縁基板上に支持されたコイル導体パターン
を保護する外装保護膜を、誘電率が低く、かつ、その内
部に導体パターンを構成する金属材料が拡散し難い珪酸
塩ガラス粉末を含む材料により構成するようにしたの
で、導体パターンを構成する金属材料の外装保護膜への
拡散が抑えられ、コイル導体パターンを構成する導体間
の絶縁信頼性が高く、しかも外装保護層の誘電率が低く
なり、高周波特性の優れた高周波インダクタを得ること
ができる。
【0033】また、本発明によれば、絶縁基板上に支持
されたコイル導体パターンを保護する外装保護膜を、誘
電率が低く、かつ、その内部に導体パターンを構成する
金属材料が拡散し難い三元組成を有する特別な珪酸塩ガ
ラス粉末を含む材料により形成するようにしたので、導
体パターンを構成する金属材料の外装保護膜への拡散が
抑えられ、コイル導体パターンを構成する導体間の絶縁
信頼性が高く、しかも外装保護層の誘電率が低くなり、
高周波特性の優れた高周波インダクタを得ることができ
るばかりでなく、外装保護層の珪酸塩ガラス粉末が三元
組成を有するものであり、外装保護層の量産性に優れ、
安価な高周波インダクタを得ることができる。
【0034】さらに、本発明によれば、コイル導体パタ
ーンの間に配置されている絶縁層を、誘電率が低く、か
つ、その内部に導体パターンを構成する金属材料が拡散
し難く、しかも焼結時の変形が少ない珪酸塩ガラス粉末
を、有機バインダ、光重合開始剤、光硬化性モノマ、添
加剤からなる有機ビヒクル中に分散してなる感光性絶縁
体ペーストを用いて形成するようにしたので、導体パタ
ーンを構成する金属材料の絶縁層内への拡散が抑えら
れ、コイル導体パターンを構成する導体間の絶縁信頼性
が高く、しかも絶縁層の誘電率が低くなり、高周波特性
の優れた高周波インダクタを得ることができる。また、
焼結時の絶縁層の変形が少なくなり、コイル導体パター
ンを構成する導体の間隔を小さくすることができるばか
りでなく、ビアホールも微細なものを形成することがで
きるので、従来の高周波インダクタよりもコイル導体の
巻数の多い、大きなインダクタンスを有する高周波イン
ダクタを得ることができる。
【0035】さらに、本発明によれば、コイル導体パタ
ーンの間に配置されている絶縁層を、誘電率が低く、か
つ、その内部に導体パターンを構成する金属材料が拡散
し難く、しかも焼結時の変形が少ない三元組成を有する
特別な珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、光重合開始
剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒクル中に
分散してなる感光性絶縁体ペーストを用いて形成するよ
うにしたので、導体パターンを構成する金属材料の絶縁
層内への拡散が抑えられ、コイル導体パターンを構成す
る導体間の絶縁信頼性が高く、しかも絶縁層の誘電率が
低くなり、高周波特性の優れた高周波インダクタを得る
ことができる。また、焼結時の絶縁層の変形が少なくな
り、コイル導体パターンを構成する導体の間隔を小さく
することができるばかりでなく、ビアホールも微細なも
のを形成することができるので、従来の高周波インダク
タよりもコイル導体の巻数の多い、大きなインダクタン
スを有する高周波インダクタを得ることができる。加え
て、絶縁層が珪酸塩ガラス粉末が三元組成を有するもの
であり、外装保護層の量産性に優れ、安価な高周波イン
ダクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である高周波インダクタの
一部破断斜視図。
【図2】前記高周波インダクタの横断面図。
【図3】前記高周波インダクタに使用される材料の三元
組成図。
【図4】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図5】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図6】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図7】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図8】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図9】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図10】本発明の他の実施形態である高周波インダク
タの製造工程の説明図。
【符号の説明】
1…高周波インダクタ 2…絶縁基板 3…コイル導体パターン 4…引出し導体パターン 5…絶縁層 6…ビアホール 7…外装保護層 11…アルミナ基板 12…感光性導電ペースト 13…感光性絶縁体ペースト
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成11年1月28日
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正内容】
【書類名】 明細書
【発明の名称】 高周波インダクタの製造方法
【特許請求の範囲】
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高周波インダクタ
の製造方法、特に、高周波回路のインピーダンスマッチ
ングや高周波チョークコイル等に使用される高周波イン
ダクタの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の小型化及び組立の自動
化に伴い、高周波インダクタも他の電子部品と同様に、
プリント基板のパターンに直接実装する表面実装タイプ
のものが多く使用されている。この種の高周波インダク
タとしては、従来より、スパイラル(渦巻き)状のコイ
ル導体パターンを絶縁基板上に形成した平面スパイラル
状のものや、ソレノイド状のコイルの一部を構成するコ
イル導体パターンが形成された絶縁層が積層され、これ
らコイル導体パターンがビアホールにより接続されてソ
レノイド状のコイルを構成した積層型のものが知られて
いる。
【0003】ところで、かかる高周波インダクタでは、
高周波領域においてより優れた特性を有するインダクタ
を得るため、感光性を有する導電性ペーストを用いてコ
イル導体パターンを形成したり、感光性を有する絶縁性
ペーストにより絶縁層を形成し、該絶縁層を露光するこ
とによりそれを間にして位置するコイル導体パターンを
相互に接続するビアホールを形成する厚膜微細加工技術
が注目されている。
【0004】例えば、特開平8−316080号公報に
は、感光性を有する導電性Agペーストを用いてコイル
導体パターンを形成することが開示されている。このも
のでは、微細でかつ、ハイアスペクトのコイル導体パタ
ーンを形成することができ、いわゆる薄膜技術では困難
な高Q(低直流抵抗)の高周波インダクタを得ることが
できる。
【0005】一方、特開平7−176444号公報に
は、絶縁層を間にして複数のコイル導体パターンを積層
し、ビアホールによりこれらコイル導体パターンを電気
的に接続するようにしたものが開示されている。そし
て、前記絶縁層として感光性絶縁ペーストを用いること
により、直径が50μm以下の微細なビアホールを形成
することができることが記載されている。また、特開平
7−130543号公報には、かかる感光性絶縁ペース
トに使用される材料として、B23,SiO2,Al2
3,ZnO,アルカリ土類酸化物を含むガラス材料が開
示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の高周波イン
ダクタでは、形状が小さくしかも大きなインダクタンス
を有するものを得るためには、絶縁基板上に形成される
スパイラル状の導体パターンの巻数をできるだけ多く
(平面スパイラル型のもの)したり、絶縁層の厚みをで
きるだけ薄くしてその積層枚数を多く(積層型のもの)
する必要がある。このようにスパイラル状のコイル導体
パターンの巻数を多くしたり、絶縁層の厚みを薄くする
と、平面スパイラル型のものではコイル導体パターンの
隣接する導体間の間隔が小さくなり、また、積層型のも
のではコイル導体パターンの層間間隔が小さくなる。
【0007】ところで、前記高周波インダクタは、その
製造工程の焼成工程中にコイル導体パターンを構成して
いる金属材料が絶縁層中に10〜20μm程度拡散す
る。この金属材料の拡散により、コイル導体パターンを
構成している導体間の絶縁やコイル導体パターンの層間
の絶縁の信頼性が低下するという問題があった。
【0008】そこで、本発明の目的は、コイルを形成す
る導体パターン間の絶縁の信頼性が高い小型で良好な特
性を有する高周波インダクタの製造方法を提供すること
にある。
【0009】
【課題を解決するための手段及び作用】前記目的を達成
するため、本発明は、絶縁層と、該絶縁層の両側に配設
されかつ絶縁層に形成されたビアホールを介して互に電
気的に接続された導体パターンとを備えた高周波インダ
クタの製造方法であって、珪酸塩ガラス粉末を有機バイ
ンダ、光重合開始剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる
有機ビヒクル中に分散してなる感光性絶縁体ペーストを
用いて厚さが50μm以下の絶縁層を形成する工程と、
前記絶縁層を露光、現像して前記ビアホールを形成した
後、焼成する工程とを備え、前記珪酸塩ガラス粉末が、
SiO2,B23,K2Oの少なくとも一つを含み、これ
らSiO2,B23,K2Oの組成比がその三元組成図中
の点(65,34.5,0.5)、点(65,25,1
5)、点(85,0,15)及び点(85,14.5,
0.5)で囲まれた領域内にあり、平均粒径が0.1〜
5.0μmで、かつ、軟化点が700〜1050℃の温
度範囲にある。
【0010】前記絶縁層は、SiO2,B23,K2Oの
少なくとも一つを含み、これらSiO2,B23,K2
の組成比がその三元組成図中の点(65,34.5,
0.5)、点(65,25,15)、点(85,0,1
5)及び点(85,14.5,0.5)で囲まれた領域
内にある珪酸塩ガラス粉末を含む感光性絶縁体ペースト
からなることを特徴とする。三元組成を有する珪酸塩ガ
ラス粉末は材料コストが低い三元組成を有する材料から
なるものであり、しかも低い誘電率を有しており、か
つ、その内部に導体パターンを構成する金属材料が拡散
しにくく、さらに焼結時に絶縁層の変形も発生し難い。
従って、導体パターンを構成する金属材料が絶縁層中へ
拡散するのが抑えられ、絶縁層の変形も少ない。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る高周波インダ
クタの製造方法の実施形態について添付図面を参照して
詳細に説明する。
【0012】本発明に係る高周波インダクタの一実施形
態の斜視図を図1に、その横断面を図2に示す。この高
周波インダクタ1は、直方体形状の絶縁基板2上に、平
面スパイラル状のコイル導体パターン3を形成したもの
である。
【0013】絶縁基板2はアルミナ等の絶縁性を有する
セラミック材料からなり、その表面には中心部から絶縁
基板2の一つの端面に達する直線状の引出し導体パター
ン4が形成されている。該引出し導体パターン4は絶縁
基板2の表面に形成された絶縁層5により被覆されてお
り、該絶縁層5上にコイル導体パターン3が形成されて
いる。
【0014】前記コイル導体パターン3の中心側の端部
は、絶縁層5に形成されたビアホール6により、引出し
導体パターン4に電気的に接続されている。また、コイ
ル導体パターン3の外側の端部の引出し部3aは、絶縁
基板2のいま一つの端面に引き出されている。そして、
絶縁基板2上に支持されたコイル導体パターン3は、そ
の上に形成された外装保護層7により覆われている。引
出し導体パターン4及びコイル導体パターン3の外側の
端部の引出し部3aは、絶縁基板2の両端面にそれぞれ
形成された電極8,9に電気的に接続されている。
【0015】前記絶縁層5は、平均粒径が0.1〜5.
0μmで、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあ
る珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、光重合開始剤、
光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒクル中に分散
してなる感光性絶縁体ペーストを焼成してなるものであ
る。また、前記外装保護層7も、平均粒径が0.1〜
5.0μmで、表面積対体積比が1.0m2/cc以上
であり、かつ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲
にある珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、添加剤から
なる有機ビヒクル中に分散してなるものである。
【0016】前記絶縁層5及び外装保護層7を構成する
前記珪酸塩ガラス粉末は、いずれもSiO2,B23
2Oの少なくとも一つを含んでいる。そして、これら
SiO 2,B23,K2Oの組成比は、図3に示す三元組
成図中の点A(65,34.5,0.5)、点B(6
5,25,15)、点C(85,0,15)及び点D
(85,14.5,0.5)で囲まれた領域内に含まれ
るように選択されている。
【0017】ここで、珪酸塩ガラス粉末として、軟化点
が700〜1050℃の前記材料を使用したのは、軟化
点が700℃未満ではAg等のコイル導体パターン3や
引出し導体パターン4の材料の拡散が激しくなるばかり
でなく、外装保護層7の焼成時に絶縁層5の変形が大き
く、ビアホール6が埋まるという不具合が生じ、また、
軟化点が1050℃を越えると外装保護層7の焼成時に
絶縁層5が変形してコイル導体パターン3や引出し導体
パターン4が断線するといった不具合が生じるからであ
る。
【0018】また、珪酸塩ガラス粉末として平均粒径が
0.1〜5.0μmのものを使用したのは、平均粒径が
0.1μm未満では、絶縁層5を形成する際に感光性絶
縁体ペーストに露光光が途中で吸収されてしまい、露光
光が絶縁基板2の表面まで達しないからである。一方、
平均粒径が5.0μm以上では、解像度が50μm以上
と悪くなるためである。
【0019】さらに、外装保護層7に使用される珪酸ガ
ラス粉末として、表面積対体積比が1.0m2/cc以
上のものを使用したのは、表面積対体積比が1.0m2
/cc未満になると、珪酸塩ガラス粉末の焼結性がわる
くなるからである。なお、珪酸塩ガラス粉末の表面積対
体積比は、日機装株式会社製のレーザドップラ解析粒度
計、同社製のレーザ回折散乱解析式粒度分析計等により
測定することができる。
【0020】一方、絶縁層5及び外装保護層7に使用さ
れる有機バインダとしては、カルボキシル基とエチレン
性不飽和基を有するアクリル系重合体を用いることがで
きる。これを用いると、現像液は有機溶剤系のものに代
えて、人体に対する有害性が少ない炭酸ナトリウム水溶
液を使用することもできる。また、絶縁層5の光重合開
始剤としては、紫外線領域の活性線照射において、フリ
ーラジカルを発生させるアントラキノン系やベンゾフェ
ノン系の材料を使用することができる。さらに、絶縁層
5の光硬化性モノマとしては、ヘキサメチレングリコー
ルジアクリレート、ペンタエリストールテトラアクリレ
ート等のように、フリーラジカルによって連鎖成長付加
重合し、ポリマを形成するものを使用することができ
る。
【0021】本実施形態では、珪酸塩ガラス粉末はその
軟化点が700〜1050℃の温度範囲にあるので、内
部にコイル導体パターン3や引出し導体パターン4を構
成する材料が拡散し難い。従って、珪酸塩ガラス粉末か
らなる絶縁層5及び外装保護層7中に、コイル導体パタ
ーン3や引出し導体パターン4を構成する材料が拡散
し、絶縁層5及び外装保護層7の絶縁抵抗が低下するの
が防止される。また、焼成時の絶縁層5の変形によるビ
アホール6の埋まり、コイル導体パターン3や引出し導
体パターン4の断線等も防止され、信頼性の高い高周波
インダクタを得ることができる。さらに、絶縁層5及び
外装保護層7は低い誘電率を有する珪酸塩ガラス粉末か
らなるものであるので、コイル導体パターン3や引出し
導体パターン4の分布容量が小さくなり、高周波特性の
優れた高周波インダクタを得ることができる。
【0022】次に、本実施形態の高周波コイルの製造方
法を、図4〜図9により説明する。まず、10数cm2
のアルミナ基板11を用意し、図4に示すように、該ア
ルミナ基板11の表面に、Ag,Cuもしくはそれらの
合金を含む感光性導電ペースト12を10〜50μmの
厚みに印刷する。ここで、感光性導電ペースト12の厚
みを10μm未満にすると、その印刷の際に生じるピン
ホール等により導体が断線しやすく、逆に50μmより
も厚くすると導体パターン4(図5参照)の形成が困難
となる。
【0023】次いで、図5に示すように、感光性導電ペ
ースト12を露光、現像及び焼成の工程を経て、図1及
び図2で説明した引出し導体パターン4を形成する(図
5は焼成前の引出し導体パターン4を示している)。な
お、前記露光、現像及び焼成は、例えば特開平8−31
6080号公報に開示された工程に準じて行うことがで
きる。
【0024】その後、図6に示すように、平均粒径が
0.1〜5.0μmで、軟化点が700〜1050℃の
温度範囲にある珪酸塩ガラス粉末を、有機バインダ、光
重合開始剤、光硬化性モノマ、添加剤からなる有機ビヒ
クル中に分散してなる、図1及び図2において説明した
感光性絶縁体ペースト13を、引出し導体パターン4を
覆って、アルミナ基板11の表面に10〜50μmの厚
みとなるように形成する。なお、ペースト13の厚みを
10μm未満にするとピンホール等により層間の信頼性
が確保しにくく、50μmより厚いとビアホール6の加
工が困難となる。そして、感光性絶縁体ペースト13を
露光及び現像し、図7に示すように、感光性絶縁体ペー
スト13の表面から引出し導体パターン4に達するビア
ホール6を形成後、焼成して絶縁層5を形成する。
【0025】次いで、絶縁層5の上に、図8に示すよう
に、Ag,Cuもしくはそれらの合金を含む感光性導電
ペースト12を数十μmの厚みに印刷する。このとき、
ビアホール6内には感光性導電ペースト12が充填され
る。次いで、図9に示すように、感光性導電ペースト1
2を露光、現像及び焼成の工程を経て、図1及び図2で
説明したコイル導体パターン3を形成する(図9は焼成
前の引出し導体パターン4を示している)。
【0026】その後、平均粒径が0.1〜5.0μm
で、表面積対体積比が1.0m2/cc以上であり、か
つ、軟化点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸
塩ガラス粉末を、有機バインダ、添加剤からなる有機ビ
ヒクル中に分散してなる図1及び図2で説明した外装保
護層7をアルミナ基板11上に支持されているコイル導
体パターン3を覆うように感光性絶縁体ペースト13上
に形成し、全体をレーザやダイシング等により切断すれ
ば、図1及び図2において説明した高周波インダクタを
得ることができる。
【0027】なお、本発明に係る高周波インダクタの製
造方法は前記実施形態に限定されるものではなく、その
要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0028】例えば、前記高周波インダクタ1におい
て、コイル導体パターン3を絶縁基板2上に形成し、引
出し導体パターン4を絶縁層5上に形成し、両者をビア
ホール6により電気的に接続するようにしてもよい。ま
た、図9に示した工程終了後、図10に示すように、さ
らに図6〜図9の工程を繰り返し、最上層に外装保護層
7を形成することにより、複数のコイル導体パターン3
がビアホール6により順次接続されたより大きいインダ
クタンスを有する高周波コイルを得ることができる。
【0029】さらに、本発明は、ソレノイド状のコイル
の一部を構成するコイル導体パターンを絶縁層を間にし
て積層し、これら導体パターンがビアホールにより順次
接続されてソレノイド状のコイルを形成する積層型のも
のにも適用することができる。さらに、外装保護層7は
ビアホール等の微細加工を必要としないので、感光成分
を含まないものでもよいが、スクリーン印刷で所望の形
状を得ることが困難な場合には、感光性絶縁ペーストを
用いて露光、現像するようにしてもよい。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、導体パターンの間に配置されている絶縁層
を、誘電率が低く、かつ、その内部に導体パターンを構
成する金属材料が拡散し難く、しかも焼結時の変形が少
ない三元組成を有する特別な珪酸塩ガラス粉末を、有機
バインダ、光重合開始剤、光硬化性モノマ、添加剤から
なる有機ビヒクル中に分散してなる感光性絶縁体ペース
トを用いて形成するようにしたので、導体パターンを構
成する金属材料の絶縁層内への拡散が抑えられ、導体パ
ターン間の絶縁信頼性が高く、しかも絶縁層の誘電率が
低くなり、高周波特性の優れた高周波インダクタを得る
ことができる。また、焼結時の絶縁層の変形が少なくな
り、導体パターンの間隔を小さくすることができるばか
りでなく、ビアホールも微細なものを形成することがで
きるので、従来の高周波インダクタよりもコイル導体の
巻数の多い、大きなインダクタンスを有する高周波イン
ダクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である高周波インダクタの
一部破断斜視図。
【図2】前記高周波インダクタの横断面図。
【図3】前記高周波インダクタに使用される材料の三元
組成図。
【図4】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図5】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図6】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図7】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図8】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図9】前記高周波インダクタの製造工程の説明図。
【図10】本発明の他の実施形態である高周波インダク
タの製造工程の説明図。
【符号の説明】 1…高周波インダクタ 2…絶縁基板 3…コイル導体パターン 4…引出し導体パターン 5…絶縁層 6…ビアホール 7…外装保護層 11…アルミナ基板 12…感光性導電ペースト 13…感光性絶縁体ペースト
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI H01F 27/32 H01F 15/02 K

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 絶縁基板上に支持されたコイル導体パタ
    ーンを外装保護膜で被覆した高周波インダクタであっ
    て、 前記外装保護膜は、平均粒径が0.1〜5.0μmで、
    表面積対体積比が1.0m2/cc以上であり、かつ、
    軟化点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸塩ガ
    ラス粉末が有機バインダ、添加剤からなる有機ビヒクル
    中に分散されてなる絶縁体ペーストからなること、 を特徴とする高周波インダクタ。
  2. 【請求項2】 絶縁基板上に支持されたコイル導体パタ
    ーンを外装保護膜で被覆した高周波インダクタであっ
    て、 前記外装保護膜は、SiO2,B23,K2Oの少なくと
    も一つを含み、これらSiO2,B23,K2Oの組成比
    がその三元組成図中の点(65,34.5,0.5)、
    点(65,25,15)、点(85,0,15)及び点
    (85,14.5,0.5)で囲まれた領域内にあり、
    平均粒径が0.1〜5.0μmで、表面積対体積比が
    1.0m2/cc以上であり、かつ、軟化点が700〜
    1050℃の温度範囲にある珪酸塩ガラス粉末が有機バ
    インダ、添加剤からなる有機ビヒクル中に分散されてな
    る絶縁体ペーストからなること、 を特徴とする高周波インダクタ。
  3. 【請求項3】 絶縁基板上にコイル導体パターンからな
    る複数のコイルを絶縁層を間にして積層した高周波イン
    ダクタであって、 前記絶縁層は、平均粒径が0.1〜5.0μmで、軟化
    点が700〜1050℃の温度範囲にある珪酸塩ガラス
    粉末が有機バインダ、光重合開始剤、光硬化性モノマ、
    添加剤からなる有機ビヒクル中に分散されてなる感光性
    絶縁体ペーストを焼成してなるものであること、 を特徴とする高周波インダクタ。
  4. 【請求項4】 絶縁基板上にコイル導体パターンからな
    る複数のコイルを絶縁層を間にして積層した高周波イン
    ダクタであって、 前記絶縁層は、SiO2,B23,K2Oの少なくとも一
    つを含み、これらSiO2,B23,K2Oの組成比がそ
    の三元組成図中の点(65,34.5,0.5)、点
    (65,25,15)、点(85,0,15)及び点
    (85,14.5,0.5)で囲まれた領域内にある珪
    酸塩ガラス粉末を含む感光性絶縁体ペーストからなるこ
    と、 を特徴とする高周波インダクタ。
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