JP4356269B2 - 積層電子部品の製造方法および積層電子部品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、積層電子部品の製造方法および積層電子部品に関するもので、特に、感光性絶縁ペーストを用いて形成された感光性絶縁ペースト層に対して、露光・現像処理を実施することによって、ビアホール導体のための貫通孔が設けられた、積層電子部品の製造方法、およびこの製造方法によって得られた積層電子部品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
たとえば積層インダクタのような積層電子部品は、積層された複数の絶縁層と、複数の絶縁層の間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の電極層とを備え、複数の絶縁層のうち、電極層間に位置する層間絶縁層の特定のものには、電極層間を電気的に接続するビアホール導体が設けられた構造を有している。
【0003】
このような積層電子部品が小型化されると、所望のパターンをもって形成されるべき電極層の占有できるスペースが狭くなり、それに応じて、電極層の一部として形成される、ビアホール導体との接続用パッドの面積も小さくされなければならない。また、これに応じて、ビアホール導体の径も小さくされる必要がある。
【0004】
上述のように径の小さいビアホール導体を層間絶縁層に形成するのに適した方法として、層間絶縁層の形成のために感光性絶縁ペーストを用いながら、露光・現像処理を適用することによって、ビアホール導体のための貫通孔を設ける方法が提案されている。
【0005】
より詳細には、ビアホール導体が設けられる層間絶縁層を形成するため、ガラスフリットのような電気絶縁性無機材料、架橋剤、重合剤および重合開始剤を含む感光性絶縁ペーストを用いて感光性絶縁ペースト層を形成し、この感光性絶縁ペースト層の特定領域を露光し、次いで現像することによって、ビアホール導体のための貫通孔を設け、貫通孔が設けられた感光性絶縁ペースト層を焼成する、各工程が実施される。
【0006】
上述した感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものとポジ型のものとがある。図5には、ネガ型の感光性絶縁ペーストを用いて層間絶縁層を形成する場合が示され、図6には、ポジ型の感光性絶縁ペーストを用いて層間絶縁層を形成する場合が示されている。
【0007】
まず、図5に示した場合について説明する。
【0008】
図5(1)に示すように、まず、ネガ型の感光性絶縁ペーストを用いて感光性絶縁ペースト層1が形成される。他方、ビアホール導体のための貫通孔2(図5(2)参照)が設けられるべき位置に開口3を有するマスク4が用意され、このマスク4が感光性絶縁ペースト層1上に配置される。
【0009】
次に、マスク4を介して、矢印で示すような活性光線5が感光性絶縁ペースト層1に照射され、開口3が位置する特定の領域において、感光性絶縁ペースト層1が露光される。
【0010】
次に、マスク4が取り除かれた後、感光性絶縁ペースト層1が現像される。これによって、露光部分が除去され、図5(2)に示すように、ビアホール導体のための貫通孔2が形成される。
【0011】
次に、図6を参照して、ポジ型の感光性絶縁ペーストを用いた場合について説明する。
【0012】
まず、図6(1)に示すように、ポジ型の感光性絶縁ペーストを用いて感光性絶縁ペースト層6が形成される。他方、ビアホール導体のための貫通孔7(図6(2)参照)が設けられるべき位置に遮光部8を有するマスク9が用意され、このマスク9が感光性絶縁ペースト層6上に配置される。
【0013】
次に、マスク9を介して、矢印で示すような活性光線10が感光性絶縁ペースト層6に照射される。これによって、遮光部8以外の領域において、感光性絶縁ペースト層6が露光される。
【0014】
次に、マスク9が取り除かれた後、感光性絶縁ペースト層6が現像される。これによって、遮光部8に対応する未露光部分が除去され、図6(2)に示すように、ビアホール導体のための貫通孔7が形成される。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した図5に示した場合および図6に示した場合のいずれにおいても、マスク4または9を介しての露光の影響で、貫通孔2または7が不適正な形態をもって形成されやすいという問題がある。
【0016】
すなわち、図5に示した場合には、貫通孔2に、下方へ向かってより小径となるようなテーパ状の形態が与えられる。そのため、ビアホール導体の径を小さく設計すると、感光性絶縁ペースト層1によって与えられる層間絶縁層の下の部分で感光性絶縁ペーストの現像残りが発生し、ビアホール導体と下の電極層との電気的接続が適正に達成されなくなることがある。
【0017】
この問題を解決するためには、ビアホール導体の径を大きく設計する必要があるが、この場合には、上の電極層に形成される、ビアホール導体との接続のための接続用パッドの面積を大きくしなければならず、積層電子部品の小型化の障害となる。
【0018】
他方、図6に示した場合には、貫通孔7に、下方へ向かってより大径となるようなテーパ状の形態が与えられる。そのため、下の電極層に形成される、ビアホール導体との接続のための接続用パッドを大きく設計しなければ、当該電極層における接続用パッド以外の部分にビアホール導体が不所望にも接触してしまうことになり、この場合においても、積層電子部品の小型化を妨げる結果となる。
【0019】
なお、上述したような貫通孔におけるテーパ状の形態の影響をより少なくするため、層間絶縁層の厚みを薄くすることも考えられるが、この場合には、層間絶縁層を挟んで位置する電極層間の浮遊容量が無視できなくなるほど大きくなり、積層電子部品がたとえば積層インダクタである場合には、周波数特性が劣化してしまう。
【0020】
そこで、この発明の目的は、上述したような問題を解決し得る積層電子部品の製造方法およびこの製造方法によって得られた積層電子部品を提供しようとすることである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明は、積層された複数の絶縁層と、複数の絶縁層の間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の電極層とを備え、複数の絶縁層のうち、電極層間に位置する層間絶縁層の特定のものには、電極層間を電気的に接続するビアホール導体が設けられた、積層電子部品を製造する方法にまず向けられる。
【0022】
このような積層電子部品の製造方法において、ビアホール導体が設けられる層間絶縁層を形成するため、電気絶縁性無機材料粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性絶縁ペーストを用意する工程と、感光性絶縁ペーストを用いて感光性絶縁ペースト層を形成する工程と、感光性絶縁ペースト層の特定の領域を露光し、次いで現像することによって、ビアホール導体のための貫通孔を設ける工程と、貫通孔が設けられた感光性絶縁ペースト層を焼成する工程とが実施される。
【0023】
そして、この発明に係る積層電子部品の製造方法は、前述した技術的課題を解決するため、次のような構成を備えることを特徴としている。
【0024】
すなわち、感光性絶縁ペーストとして、感光性絶縁ペースト層を焼成する工程における熱収縮率の互いに異なる第1および第2の感光性絶縁ペーストがそれぞれ用意される。そして、感光性絶縁ペースト層を形成するにあたっては、第1の感光性絶縁ペーストを用いて第1の感光性絶縁ペースト層を形成し、この第1の感光性絶縁ペースト層を覆うように、第2の感光性絶縁ペーストを用いて第2の感光性絶縁ペースト層を形成することが行なわれる。
【0025】
このように、熱収縮率の互いに異なる第1および第2の感光性絶縁ペースト層を備える積層構造をもって感光性絶縁ペースト層を形成することによって、露光・現像工程を終えた段階で、ビアホール導体のための貫通孔に与えられるテーパ状の形態は、焼成工程を実施したとき、第1の感光性絶縁ペースト層と第2の感光性絶縁ペースト層との間での熱収縮率の差によって修正されることができ、貫通孔の形態をより適正なものとすることができる。
【0026】
感光性絶縁ペーストがガラス成分を含む場合、上述したような熱収縮率を互いに異ならせるため、第1の感光性絶縁ペーストと第2の感光性絶縁ペーストとの間で、ガラス成分の含有率を互いに異ならせることが好ましい。
【0027】
この発明において、感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものが用いられる場合、第2の感光性絶縁ペーストとして、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率の低いものが用いられる。この場合、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率は、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%低いことが好ましい。
【0028】
他方、感光性絶縁ペーストとして、ポジ型のものが用いられる場合には、第2の感光性絶縁ペーストとして、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率の高いものが用いられる。この場合、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率は、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%高いことが好ましい。
【0029】
この発明に係る積層電子部品の製造方法において、好ましくは、すべての絶縁層を形成するため、電気絶縁性無機材料粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性絶縁ペーストからなる感光性絶縁ペースト層を形成する工程と、感光性絶縁ペースト層を焼成する工程とが実施される。
【0030】
また、この発明に係る積層電子部品の製造方法において、好ましくは、電極層を形成するため、導電性金属粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性導電ペーストを用意する工程と、感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト層を形成する工程と、感光性導電ペースト層の特定領域を露光し、次いで現像することによって、感光性導電ペースト層をパターニングする工程と、パターニングされた感光性導電ペースト層を焼成する工程とが実施される。
【0031】
この発明は、また、上述したような製造方法によって得られた、積層電子部品にも向けられる。
【0032】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の一実施形態による積層電子部品の製造方法に備えるいくつかの特徴的な工程を順次示す断面図であり、図2ないし図4は、それぞれ、図1を参照しながらの説明を補うための平面図である。なお、図1は、図2の線I−Iに沿う断面に相当する断面を示している。また、図2ないし図4には、複数の電子部品を取り出すための親基板の一部が図示され、図2ないし図4の各々において1点鎖線で示した分割線11に沿って分割されることによって、個々の積層電子部品を取り出すことができる。図1には、1つの積層電子部品に対応する構造物が図示されている。
【0033】
この実施形態において製造しようとする積層電子部品は、積層インダクタである。積層インダクタを得るため、次のような工程が実施される。
【0034】
まず、図1(1)に示すように、電気絶縁性の基材12が用意される。
【0035】
他方、導電性金属粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性導電ペーストが用意され、この感光性導電ペーストを、基材12上に、たとえば印刷によって付与することによって、感光性導電ペースト層13が形成される。
【0036】
感光性導電ペーストとしては、たとえば、導電性金属粉末としての銀粉末を70〜80重量%、感光性樹脂成分としてのアクリル系樹脂を1〜10重量%、光重合開始剤を1〜10重量%、ガラスフリットを1〜10重量%、およびγ−ブチロラクトンのような溶剤を1〜10重量%それぞれ含有するものが用いられる。
【0037】
なお、銀粉末に代えて、銅粉末、銀−パラジウム合金粉末、金粉末等が含有されてもよい。また、ガラスフリットとしては、高融点ガラスおよび低融点ガラスを混合したものが用いられ、一例として、65〜75重量%のSiO2 、10〜20重量%のB2 O3 、3〜5重量%のBi2 O3 、1〜3重量%のAl2 O3 、および1重量%のK2 Oからなるものが用いられる。
【0038】
次に、感光性導電ペースト層13上にマスク(図示せず。)が配置され、このマスクを介して感光性導電ペースト層13が露光され、次いで現像され、その後、焼成されることによって、図1(2)に示すように、パターニングされた電極層13aが形成される。
【0039】
上述のようにパターニングされた電極層13aの平面図が、図2に示されている。図2に示すように、電極層13aは、分割線11によって囲まれた領域内で渦巻状に延び、その一方端部14は、分割線11と接するように位置し、かつ、その他方端部は、比較的広い面積の接続用パッド15を形成している。なお、図2では、分割線11によって囲まれた1つの領域のみが完全に図示され、他の領域については、各一部のみが図示されているに過ぎないが、これら他の領域においても、同様にパターニングされた電極層13aが形成されている。
【0040】
次に、感光性絶縁ペーストが用意される。感光性絶縁ペーストとしては、後述する焼成工程における熱収縮率の互いに異なる第1および第2の感光性絶縁ペーストがそれぞれ用意される。
【0041】
第1および第2の感光性絶縁ペーストは、たとえばガラスフリットのような電気絶縁性無機材料、架橋剤、重合剤および重合開始剤を含んでいる。より具体的には、第1および第2の感光性絶縁ペーストは、電気絶縁性無機材料としてガラス粉末を40〜70重量%、架橋剤としてアクリル系樹脂を1〜10重量%、重合剤としてモノマーを1〜10重量%、重合開始剤を1〜3重量%、およびECA(エチルカルビトールアセテート)のような溶剤を10〜40重量%それぞれ含んでいる。
【0042】
この実施形態では、第1の感光性絶縁ペーストと第2の感光性絶縁ペーストとの間で熱収縮率を互いに異ならせるため、高融点ガラスおよび低融点ガラスのうち、低融点ガラスの含有率を互いに異ならせることが行なわれる。すなわち、第1および第2の感光性絶縁ペーストのうち、より高い熱収縮率を必要とするものについては、3〜5重量%、たとえば3重量%の低融点ガラス成分を含むようにされ、より低い熱収縮率を必要とするものについては、1〜2重量%、たとえば1重量%の低融点ガラス成分を含むようにされる。低融点ガラス成分の含有率に関して、それが高いほど、焼結性が高く、より安定するが、その分、熱収縮率が高くなることが知られている。
【0043】
上述した低融点ガラス成分としては、ガラス軟化点が400〜600℃のビスマス系ガラス、一例として、74重量%のBi2 O3 、22重量%のB2 O3 、3重量%のAl2 O3 および1重量%のSiO2 を含むものが好適に用いられる。
【0044】
また、高融点ガラス成分としては、ガラス軟化点が低融点ガラス成分より300℃程度高いホウ珪酸ガラス、一例として、79重量%のSiO2 、19重量%のB2 O3 および2重量%のK2 Oからなる第1の成分と、95重量%のSiO2 、4重量%のB2 O3 および1重量%のAl2 O3 からなる第2の成分とを混合したものが好適に用いられる。
【0045】
以下の説明は、感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものが用いられる場合について行なう。この場合、第2の感光性絶縁ペーストは、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率が低くされる。
【0046】
図1(3)に示すように、パターニングされた電極層13aを覆うように、基材12上には、熱収縮率のより高い第1の感光性絶縁ペーストを用いて第1の感光性絶縁ペースト層16がたとえば印刷により形成され、次いで乾燥される。
【0047】
次に、図1(4)に示すように、第1の感光性絶縁ペースト層16を覆うように、熱収縮率のより低い第2の感光性絶縁ペーストを用いて第2の感光性絶縁ペースト層17がたとえば印刷により形成され、次いで乾燥される。
【0048】
次に、第2の感光性絶縁ペースト層17上にマスク(図示せず。)が配置される。このマスクは、図5に示したマスク4と同様、ビアホール導体のための貫通孔が設けられるべき位置に開口を有するもので、マスクの開口は、電極層13aの前述した接続用パッド15の上方に位置される。
【0049】
次に、このマスクを介して、活性光線が第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17に照射され、マスクの開口が位置する特定の領域において、第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17が露光される。
【0050】
次に、マスクが取り除かれた後、第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17が現像される。これによって、露光部分が除去され、図1(5)に示すように、ビアホール導体のための貫通孔18が形成される。このとき、マスクを介しての露光の影響で、貫通孔18は、前述の図5に示した場合と同様、下方へ向かってより小径となるようなテーパ状の形態とされる。
【0051】
次に、貫通孔18が設けられた第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17が焼成される。
【0052】
この焼成工程において、第2の感光性絶縁ペースト層17を構成する第2の感光性絶縁ペーストが、第1の感光性絶縁ペースト層16を構成する第1の感光性絶縁ペーストより低い熱収縮率を有しているので、これら熱収縮率の差によって、貫通孔18に与えられるテーパ状の形態がよりストレートとなるように修正され、図1(6)および図3に示すように、貫通孔18の形態を、適正なものとすることができるとともに、貫通孔18を、電極層13aの接続用パッド18に適正に位置合わせされた状態で設けることができる。
【0053】
上述した熱収縮率の差による貫通孔18の形態の修正をより確実に達成するためには、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率は、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%低いことが望ましい。
【0054】
また、第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17は、上述の焼成の結果、層間絶縁層となる第1および第2の絶縁層16aおよび17aを構成する状態となる。
【0055】
次に、図1(7)に示すように、前述した感光性導電ペースト層13のための感光性導電ペーストと同じ感光性導電ペーストを用いて、絶縁層16aおよび17aを覆うように、次の感光性導電ペースト層19が形成される。この感光性導電ペースト層19を構成する感光性導電ペーストは、接続用パッド15に接触するように、貫通孔18内にも導入される。
【0056】
次に、前述した感光性導電ペースト層13の場合と同様、マスクを介しての露光工程、現像工程および焼成工程が実施され、感光性導電ペースト層19によって、図4に示すようにパターニングされた電極層19aが形成され、貫通孔18内にビアホール導体20が形成される。この電極層19aは、渦巻状に延び、その各端部に接続用パッド21および22をそれぞれ形成している。一方の接続用パッド21は、ビアホール導体20を介して、前述した接続用パッド15に電気的に接続される。
【0057】
以後、図1(3)から図4に示した各工程が必要回数繰り返された後、ダイシング、レーザースクライビングブレイク等の方法によって、分割線11に沿う分割が行なわれ、それによって、個々の積層インダクタのための積層体チップが得られる。この積層体チップの内部には、電極層13a等によってコイル状に延びるコイル導体が形成されている。このコイル導体の一方の端部は、前述した電極層13aの端部14によって与えられる。
【0058】
次に、コイル導体の各端部に電気的に接続されるように、積層体チップの外表面上に、たとえば導電ペーストを付与し焼き付けることによって、端子電極が形成され、これら端子電極上に、必要に応じて、めっきが施されることによって、目的とする積層インダクタが完成される。
【0059】
以上、この発明を図示した実施形態に関連して説明したが、この発明の範囲内において、その他、種々の変形例が可能である。
【0060】
たとえば、図示の実施形態では、第1および第2の感光性絶縁ペースト16および17をそれぞれ構成する第1および第2の感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものが用いられたが、ポジ型のものが用いられてもよい。この場合には、第2の感光性絶縁ペーストとして、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率の高いものが用いられる。また、熱収縮率の差による貫通孔の形態の修正をより確実に達成するため、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率は、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%高いことが望ましい。
【0061】
また、図示の実施形態では、第1および第2の感光性絶縁ペースト層16および17の2層構造をもって感光性絶縁ペースト層が形成されたが、第1の感光性絶縁ペースト層16と第2の感光性絶縁ペースト層17との間に中間的な熱収縮率を有する感光性絶縁ペーストによる感光性絶縁ペースト層をさらに形成するなど、3層以上の構造とされてもよい。
【0062】
また、図示の実施形態では、電極層13aおよび19aなどを形成するため、感光性導電ペーストを用いたが、電極層を形成するにあたっては、感光性を有しない通常の導電ペーストを用い、これを印刷等によって当初からパターニングされた状態で付与するようにしてもよい。
【0063】
また、前述した実施形態では、第1の感光性絶縁ペーストと第2の感光性絶縁ペーストとの間で熱収縮率を互いに異ならせるため、これら感光性絶縁ペーストにそれぞれ含まれるガラス成分の含有率を互いに異ならせることを行なったが、このように熱収縮率を互いに異ならせるため、他の手段による組成調整を行なってもよい。
【0064】
また、得ようとする積層電子部品において、電極層間に位置する層間絶縁層であっても、ビアホール導体を設ける必要のないものもある。この場合には、この層間絶縁層は、この発明の特徴となる第1および第2の感光性絶縁ペースト層をもって形成される必要はない。
【0065】
また、図示の実施形態は、積層インダクタを製造しようとするものであったが、ビアホール導体を備えるものであれば、たとえば多層セラミック基板のような他の積層電子部品に対しても、この発明を有利に適用することができる。
【0066】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、積層電子部品を製造するにあたって、電極層間に位置する層間絶縁層のうち、電極層間を電気的に接続するビアホール導体が設けられるものについては、焼成工程における熱収縮率の互いに異なる第1および第2の感光性絶縁ペーストをそれぞれ用意し、第1の感光性絶縁ペーストを用いて第1の感光性絶縁ペースト層を形成し、この第1の感光性絶縁ペースト層を覆うように、第2の感光性絶縁ペーストを用いて第2の感光性絶縁ペースト層を形成した状態で、これら感光性絶縁ペースト層の特定領域を露光し、次いで現像することによって、ビアホール導体のための貫通孔を設けるようにしているので、これら感光性絶縁ペースト層を焼成したとき、第1の感光性絶縁ペースト層と第2の感光性絶縁ペースト層との間での熱収縮率の差によって、露光・現像工程を終えた段階で貫通孔に与えられていたテーパ状の形態が有利に修正されることができ、貫通孔の形態をより適正なものとすることができる。
【0067】
したがって、貫通孔内にビアホール導体を形成したとき、その上下の電極層との間で確実な電気的接続が達成されるとともに、上下の電極層に設ける接続用パッドを大きく設定する必要がなく、したがって、電極層に与えられるべきパターン設計の自由度を上げることができ、かつ積層電子部品の小型化を有利に図ることができる。また、積層インダクタの製造に適用された場合には、コイル導体の長さを長くすることができるので、インダクタンスを向上させることができ、また、同等のインダクタンスを得ようとするときには、積層インダクタの小型化が可能になる。
【0068】
この発明において、熱収縮率を互いに異ならせるため、第1の感光性絶縁ペーストと第2の感光性絶縁ペーストとの間で、ガラス成分の含有率を互いに異ならせるようにすれば、熱収縮率の差を容易に得ることができるとともに、熱収縮率の制御を容易に行なうことができる。
【0069】
感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものが用いられるとき、第2の感光性絶縁ペーストとして、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率の低いものが用いられるが、この場合、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率を、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%低くするようにすれば、前述したような効果をより確実に達成することができる。
【0070】
他方、感光性絶縁ペーストとして、ポジ型のものが用いられる場合、第2の感光性絶縁ペーストとして、第1の感光性絶縁ペーストより熱収縮率の高いものが用いられるが、この場合には、第2の感光性絶縁ペーストの熱収縮率を、第1の感光性絶縁ペーストの熱収縮率より10〜30%高くするようにすれば、前述したような効果をより確実に達成することができる。
【0071】
この発明において、すべての絶縁層を形成するため、感光性絶縁ペーストからなる感光性絶縁ペースト層を形成し、これを焼成する工程を採用すれば、すべての絶縁層の形成について、同じ種類の工程を採用することができるので、積層電子部品の製造方法の能率化を図ることができるとともに、すべての絶縁層の形成のために同じ設備を用いることができ、結果として、積層電子部品のコストダウンを図ることができる。
【0072】
また、電極層を形成するため、感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト層を形成し、これを露光かつ現像することによってパターニングし、その後、焼成する工程を採用すれば、前述した層間絶縁層の形成と同じ種類の工程によって電極層を形成することができ、積層電子部品の能率化を図ることができるとともに、共通の設備を用いることができ、結果として、積層電子部品のコストダウンを図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の一実施形態による積層電子部品の製造方法に備える特徴的な工程を順次示す断面図である。
【図2】図1(2)に示した工程を終えた後の構造物を示す平面図である。
【図3】図1(6)に示した工程を終えた後の構造物を示す平面図である。
【図4】図1(7)に示した工程の後に実施されるパターニング等の工程を終えた後の構造物を示す平面図である。
【図5】この発明が解決しようとする課題を説明するためのもので、ネガ型の感光性絶縁ペーストを用いてビアホール導体のための貫通孔2が設けられた層間絶縁層を形成するための工程を示す断面図である。
【図6】この発明が解決しようとする課題を説明するためのもので、ポジ型の感光性絶縁ペーストを用いてビアホール導体のための貫通孔7が設けられた層間絶縁層を形成する工程を示す断面図である。
【符号の説明】
13,19 感光性導電ペースト層
13a,19a 電極層
15,21,22 接続用パッド
16 第1の感光性絶縁ペースト層
16a 第1の絶縁層
17 第2の感光性絶縁ペースト層
17a 第2の絶縁層
18 貫通孔
20 ビアホール導体
Claims (9)
- 積層された複数の絶縁層と、複数の前記絶縁層の間の特定の界面に沿ってそれぞれ形成された複数の電極層とを備え、複数の前記絶縁層のうち、前記電極層間に位置する層間絶縁層の特定のものには、前記電極層間を電気的に接続するビアホール導体が設けられた、積層電子部品を製造する方法であって、
前記ビアホール導体が設けられる前記層間絶縁層を形成するため、電気絶縁性無機材料粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性絶縁ペーストを用意する工程と、前記感光性絶縁ペーストを用いて感光性絶縁ペースト層を形成する工程と、前記感光性絶縁ペースト層の特定領域を露光し、次いで現像することによって、前記ビアホール導体のための貫通孔を設ける工程と、前記貫通孔が設けられた前記感光性絶縁ペースト層を焼成する工程とが実施され、
前記感光性絶縁ペーストを用意する工程は、前記感光性絶縁ペースト層を焼成する工程における熱収縮率の互いに異なる第1および第2の感光性絶縁ペーストをそれぞれ用意する工程を備え、
前記感光性絶縁ペースト層を形成する工程は、前記第1の感光性絶縁ペーストを用いて第1の感光性絶縁ペースト層を形成する工程と、前記第1の感光性絶縁ペースト層を覆うように、前記第2の感光性絶縁ペーストを用いて第2の感光性絶縁ペースト層を形成する工程とを備える、
積層電子部品の製造方法。 - 前記感光性絶縁ペーストはガラス成分を含み、前記熱収縮率を互いに異ならせるため、前記第1の感光性絶縁ペーストと前記第2の感光性絶縁ペーストとの間で、前記ガラス成分の含有率が互いに異ならされる、請求項1に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記感光性絶縁ペーストとして、ネガ型のものが用いられ、前記第2の感光性絶縁ペーストとして、前記第1の感光性絶縁ペーストより前記熱収縮率の低いものが用いられる、請求項1または2に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第2の感光性絶縁ペーストの前記熱収縮率は、前記第1の感光性絶縁ペーストの前記熱収縮率より10〜30%低い、請求項3に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記感光性絶縁ペーストとして、ポジ型のものが用いられ、前記第2の感光性絶縁ペーストとして、前記第1の感光性絶縁ペーストより前記熱収縮率の高いものが用いられる、請求項1または2に記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記第2の感光性絶縁ペーストの前記熱収縮率は、前記第1の感光性絶縁ペーストの前記熱収縮率より10〜30%高い、請求項5に記載の積層電子部品の製造方法。
- すべての前記絶縁層を形成するため、電気絶縁性無機材料粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性絶縁ペーストからなる感光性絶縁ペースト層を形成する工程と、前記感光性絶縁ペースト層を焼成する工程とが実施される、請求項1ないし6のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法。
- 前記電極層を形成するため、導電性金属粉末、感光性樹脂成分および光重合開始剤を含む感光性導電ペーストを用意する工程と、前記感光性導電ペーストを用いて感光性導電ペースト層を形成する工程と、前記感光性導電ペースト層の特定領域を露光し、次いで現像することによって、前記感光性導電ペースト層をパターニングする工程と、前記パターニングされた前記感光性導電ペースト層を焼成する工程とが実施される、請求項1ないし7のいずれかに記載の積層電子部品の製造方法。
- 請求項1ないし8のいずれかに記載の製造方法によって得られた、積層電子部品。
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