JP3194546B2 - 積層トランス - Google Patents
積層トランスInfo
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Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、積層トランスに関し、
特に、電子機器、電子装置に使用される、多層回路技術
を用いた積層トランスに関する。
特に、電子機器、電子装置に使用される、多層回路技術
を用いた積層トランスに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器、電子装置に使用される
電子部品は小型化、高性能化、低価格化の要求が強くな
っている。特に、電子機器のスイッチング電源等の回路
部に使用されるトランスは、使用される部品の中では比
較的大型の部品であり、電源部の小型化、薄型化を達成
するために、このトランスの小型化、表面実装化が求め
られている。
電子部品は小型化、高性能化、低価格化の要求が強くな
っている。特に、電子機器のスイッチング電源等の回路
部に使用されるトランスは、使用される部品の中では比
較的大型の部品であり、電源部の小型化、薄型化を達成
するために、このトランスの小型化、表面実装化が求め
られている。
【0003】電子機器に用いられる従来のトランスは、
一般にボビンに銅巻線を巻回し、E型のフェライトコア
をボビンに挿入したものが用いられてきた。このような
従来のトランスでは、表面実装可能とするために、底面
に端子電極を形成した基板にコイル本体を接合してお
り、小型化、高密度化するのは極めて困難である。そこ
で、実開平1−100471号公報及び実開昭61−1
17269号公報等には、多層プリント配線板のそれぞ
れにパターンコイルを形成することが示されている。こ
れらの多層プリント配線板を用いた積層トランスでは、
トランスの薄型化が実現できる。
一般にボビンに銅巻線を巻回し、E型のフェライトコア
をボビンに挿入したものが用いられてきた。このような
従来のトランスでは、表面実装可能とするために、底面
に端子電極を形成した基板にコイル本体を接合してお
り、小型化、高密度化するのは極めて困難である。そこ
で、実開平1−100471号公報及び実開昭61−1
17269号公報等には、多層プリント配線板のそれぞ
れにパターンコイルを形成することが示されている。こ
れらの多層プリント配線板を用いた積層トランスでは、
トランスの薄型化が実現できる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来装置では、多層プ
リント配線板を用いて積層トランスを形成しているが、
多層プリント配線板は、一般に、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂等の有機材料から構成されている。このような
有機材料は、熱的信頼性が不充分であり、特に温度上昇
を招くトランスとして使用するには望ましくない。
リント配線板を用いて積層トランスを形成しているが、
多層プリント配線板は、一般に、エポキシ樹脂、フェノ
ール樹脂等の有機材料から構成されている。このような
有機材料は、熱的信頼性が不充分であり、特に温度上昇
を招くトランスとして使用するには望ましくない。
【0005】また、従来の積層トランスでは、パターン
コイルを形成する導体ペーストとして、Ag−Pd等の
貴金属導体ペーストや、Ni等の卑金属導体ペーストを
用いている。これらの導体ペーストでは、Ag−Pdの
場合、シート抵抗値は25mΩ/□程度であり、また、
Ni等では55mΩ/□程度であり、この部分で発生す
るジュール熱が大きくなってしまう。このため、トラン
スとして電力損失が大きくなり、電力変換効率の低下を
招き、さらには周辺の回路素子に悪影響を及ぼす。そこ
で、Ag系、Cu系の導体ペーストを用いることも考え
られるが、通常これらのシート抵抗値は10〜3mΩ/
□程度であり、充分に電力損失を抑えることができな
い。
コイルを形成する導体ペーストとして、Ag−Pd等の
貴金属導体ペーストや、Ni等の卑金属導体ペーストを
用いている。これらの導体ペーストでは、Ag−Pdの
場合、シート抵抗値は25mΩ/□程度であり、また、
Ni等では55mΩ/□程度であり、この部分で発生す
るジュール熱が大きくなってしまう。このため、トラン
スとして電力損失が大きくなり、電力変換効率の低下を
招き、さらには周辺の回路素子に悪影響を及ぼす。そこ
で、Ag系、Cu系の導体ペーストを用いることも考え
られるが、通常これらのシート抵抗値は10〜3mΩ/
□程度であり、充分に電力損失を抑えることができな
い。
【0006】本発明の目的は、低背化を実現するととも
に、熱的信頼性が高く、かつ低損失を図ることにある。
に、熱的信頼性が高く、かつ低損失を図ることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明に係る積層トラン
スは、主面に導電性ペーストによるパターンコイルが形
成された絶縁性シートを複数積層してなる絶縁性基板を
有している。前記絶縁性シートはセラミック材料及びガ
ラスフリットを含む。前記導電性ペーストは前記絶縁性
シートのガラスフリット焼結開始温度よりも低い屈伏点
を有するガラスフリットを含んでいる。前記絶縁性シー
トと前記導電性ペーストは一体焼成されて前記絶縁性基
板が形成されている。そして、前記導電性ペーストはA
g、Cu、Auの少なくとも1種以上の導電性金属材料を主
成分とし、前記パターンコイルのシート抵抗値が3.0m
Ω/□以下となるように、ガラスフリットが5〜10重
量%添加されている。
スは、主面に導電性ペーストによるパターンコイルが形
成された絶縁性シートを複数積層してなる絶縁性基板を
有している。前記絶縁性シートはセラミック材料及びガ
ラスフリットを含む。前記導電性ペーストは前記絶縁性
シートのガラスフリット焼結開始温度よりも低い屈伏点
を有するガラスフリットを含んでいる。前記絶縁性シー
トと前記導電性ペーストは一体焼成されて前記絶縁性基
板が形成されている。そして、前記導電性ペーストはA
g、Cu、Auの少なくとも1種以上の導電性金属材料を主
成分とし、前記パターンコイルのシート抵抗値が3.0m
Ω/□以下となるように、ガラスフリットが5〜10重
量%添加されている。
【0008】
【作用】本発明に係る積層トランスでは、絶縁性基板を
構成するシートはセラミック材料で形成されており、こ
のため、放熱性に優れ、熱的信頼性が向上する。また、
導体ペーストは、絶縁性シートとの間の熱変形を考慮し
てガラスフリットを添加するのが望ましいが、これを1
0重量%以下に制限することにより、Ag、Cu、Auの少な
くとも1種以上の導電性金属材料を主成分とした導電性
ペーストのシート抵抗値は3.0mΩ/□以下となる。
このため、基板の反りや収縮ばらつきを抑えつつ、ジュ
ール熱の発生、電力損失を抑えることができる。
構成するシートはセラミック材料で形成されており、こ
のため、放熱性に優れ、熱的信頼性が向上する。また、
導体ペーストは、絶縁性シートとの間の熱変形を考慮し
てガラスフリットを添加するのが望ましいが、これを1
0重量%以下に制限することにより、Ag、Cu、Auの少な
くとも1種以上の導電性金属材料を主成分とした導電性
ペーストのシート抵抗値は3.0mΩ/□以下となる。
このため、基板の反りや収縮ばらつきを抑えつつ、ジュ
ール熱の発生、電力損失を抑えることができる。
【0009】
【実施例】図1は本発明の一実施例としての積層トラン
スの外観斜視図であり、図2は図1の拡大断面図であ
る。これらの図において、積層トランス1は、絶縁性の
多層基板2と、磁性体部材3とから構成されている。
スの外観斜視図であり、図2は図1の拡大断面図であ
る。これらの図において、積層トランス1は、絶縁性の
多層基板2と、磁性体部材3とから構成されている。
【0010】多層基板2は、4枚のガラスフリット製グ
リーンシート2a,2b,2c,2dを積層して一体焼
成して得られるものであり、中央部に貫通孔4を有して
いる。第1シート2aの表面には、表面端子電極5a,
5bが形成されている。また、第2シート2bの表面に
は、1次パターンコイル6aが3ターン(3周分)形成
されており、最外周部分はビアホール導体7aを介して
表面端子電極5aに接続されている。さらに、第3シー
ト2cの表面には、1次パターンコイル6bが3ターン
形成されている。この1次パターンコイル6bの最内周
部分はビアホール導体7bを介して上層の1次パターン
コイル6aの最内周部分に接続されており、最外周部分
はビアホール導体7cを介して表面端子電極5bに接続
されている。また、第4シート2dの表面には、2次パ
ターンコイル8が3ターン形成されており、裏面には表
面端子電極5c,5dが形成されている。2次パターン
コイル8の最外周部分はビアホール導体7dを介して表
面端子電極5cに接続されており、最内周部分はビアホ
ール導体7eを介して表面端子電極5dに接続されてい
る。
リーンシート2a,2b,2c,2dを積層して一体焼
成して得られるものであり、中央部に貫通孔4を有して
いる。第1シート2aの表面には、表面端子電極5a,
5bが形成されている。また、第2シート2bの表面に
は、1次パターンコイル6aが3ターン(3周分)形成
されており、最外周部分はビアホール導体7aを介して
表面端子電極5aに接続されている。さらに、第3シー
ト2cの表面には、1次パターンコイル6bが3ターン
形成されている。この1次パターンコイル6bの最内周
部分はビアホール導体7bを介して上層の1次パターン
コイル6aの最内周部分に接続されており、最外周部分
はビアホール導体7cを介して表面端子電極5bに接続
されている。また、第4シート2dの表面には、2次パ
ターンコイル8が3ターン形成されており、裏面には表
面端子電極5c,5dが形成されている。2次パターン
コイル8の最外周部分はビアホール導体7dを介して表
面端子電極5cに接続されており、最内周部分はビアホ
ール導体7eを介して表面端子電極5dに接続されてい
る。
【0011】各グリーンシート2a〜2dを構成するガ
ラスフリットは、例えばMgO−Al2 O3−SiO2等
を主成分とし、セラミック材料が含まれている。セラミ
ック材料としては、例えばアルミナ、ムライト、コージ
ェライト等の無機フィラーが用いられる。このセラミッ
ク材料は、単独で添加されても良いし、2種以上混合し
て添加されても良い。なお、セラミック材料はガラスフ
リットに対し、通常10〜45重量%程度添加される。
ガラスフリット製グリーンシートは、上述のガラスフリ
ットと、セラミック材料と、有機バインダー(例えばア
クリル系樹脂)と、有機溶剤(例えばトルエン)と、可
塑剤(例えばジブチルフタレート)とを混練して得られ
たペーストを、例えばドクターブレード法によりシート
化することにより得られる。
ラスフリットは、例えばMgO−Al2 O3−SiO2等
を主成分とし、セラミック材料が含まれている。セラミ
ック材料としては、例えばアルミナ、ムライト、コージ
ェライト等の無機フィラーが用いられる。このセラミッ
ク材料は、単独で添加されても良いし、2種以上混合し
て添加されても良い。なお、セラミック材料はガラスフ
リットに対し、通常10〜45重量%程度添加される。
ガラスフリット製グリーンシートは、上述のガラスフリ
ットと、セラミック材料と、有機バインダー(例えばア
クリル系樹脂)と、有機溶剤(例えばトルエン)と、可
塑剤(例えばジブチルフタレート)とを混練して得られ
たペーストを、例えばドクターブレード法によりシート
化することにより得られる。
【0012】また、パターンコイル6a,6b,8は、
グリーンシート2b〜2d上に、導体ペーストを用いて
スクリーン印刷法により形成される。パターンコイルを
形成する導体ペーストは、導電性金属材料と、ガラスフ
リットと、有機ビヒクルとにより構成されている。導電
性金属材料は、例えばAg,Au,Cu等が用いられ
る。また、ガラスフリットは、グリーンシート2a〜2
dを構成するガラスフリットと異なる例えばB2O3−S
iO2−CaO−Al2O3等を主成分としたものが用い
られる。すなわち、B2O3−SiO2−CaO−Al2O
3等のホウ珪酸アルカリ土類金属塩のガラスフリットを
用いることにより、焼結工程において粘性流動しやす
く、また屈伏点が700℃〜850℃になるように設定
されている。また、有機ビヒクルとしては、例えば、エ
チルセルロースと2,2,4−トリメチル−1,3ペン
タンジオールモノイソブチレートとを混合して得られ
る。
グリーンシート2b〜2d上に、導体ペーストを用いて
スクリーン印刷法により形成される。パターンコイルを
形成する導体ペーストは、導電性金属材料と、ガラスフ
リットと、有機ビヒクルとにより構成されている。導電
性金属材料は、例えばAg,Au,Cu等が用いられ
る。また、ガラスフリットは、グリーンシート2a〜2
dを構成するガラスフリットと異なる例えばB2O3−S
iO2−CaO−Al2O3等を主成分としたものが用い
られる。すなわち、B2O3−SiO2−CaO−Al2O
3等のホウ珪酸アルカリ土類金属塩のガラスフリットを
用いることにより、焼結工程において粘性流動しやす
く、また屈伏点が700℃〜850℃になるように設定
されている。また、有機ビヒクルとしては、例えば、エ
チルセルロースと2,2,4−トリメチル−1,3ペン
タンジオールモノイソブチレートとを混合して得られ
る。
【0013】ここで、コイル及びトランスの低損失化を
達成するためには、パターンコイルの導体抵抗値を小さ
くする必要があり、導体ペーストに使用される導電性金
属材料は比抵抗値の小さいAgを用いることが望まし
い。また、導体ペーストには、主成分とする導電性金属
材料の他に、グリーンシートとの焼結収縮挙動を整合す
る目的からガラスフリットを適正量添加する必要があ
る。このガラスフリットの添加により、焼成後の基板の
反りを抑制し、さらに基板収縮のばらつきを安定化させ
ることができる。しかし、ガラスフリットの添加は、パ
ターンコイルの導体抵抗値低減には逆効果となる。
達成するためには、パターンコイルの導体抵抗値を小さ
くする必要があり、導体ペーストに使用される導電性金
属材料は比抵抗値の小さいAgを用いることが望まし
い。また、導体ペーストには、主成分とする導電性金属
材料の他に、グリーンシートとの焼結収縮挙動を整合す
る目的からガラスフリットを適正量添加する必要があ
る。このガラスフリットの添加により、焼成後の基板の
反りを抑制し、さらに基板収縮のばらつきを安定化させ
ることができる。しかし、ガラスフリットの添加は、パ
ターンコイルの導体抵抗値低減には逆効果となる。
【0014】そこで、導体ペーストに添加するガラスフ
リットは、導電性金属材料の10重量%以下とする。1
0重量%以上では、Ag本来の良好な導電性が損なわ
れ、パターンコイルの導体抵抗値が高くなり、シート抵
抗値3.0mΩ/□が達成できなくなり、コイルのQ値
の低下を招く。また、コイルの相互誘導現象を利用する
トランスでは、電流が流れることによりジュール熱の発
生が大きく、電力損失を増加させることになり、変換効
率の低下、基板温度上昇を引き起こし、周辺回路素子へ
熱的悪影響を与える。ただし、基板の反り及び基板収縮
のばらつき等を考慮すると、実用上ガラスフリットは5
重量%以上の添加量が必要となり、さらにこのガラスフ
リットは導電性金属材料粉末の焼結挙動を考慮した屈伏
点のものを使用しなければならず、その屈伏点はグリー
ンシート2a〜2dのガラスフリットの焼結開始温度よ
りも低いものでなければならない。例えば、Ag粉末の
場合、ガラスフリットの屈伏点は700℃〜850℃の
ものが用いられる。屈伏点が700℃以下では、ガラス
流動が速くなり、導電性金属粉末同志が引き寄せられて
焼結が促進され、その結果、導電性金属材料が過焼結状
態となり、基板の反り、収縮ばらつきを発生させる。逆
に屈伏点が850℃以上では、ガラスフリットの軟化流
動性が悪くなり、導電性金属材料が均一な焼結挙動をと
らないため、基板の反り、基板収縮ばらつきを発生させ
る。
リットは、導電性金属材料の10重量%以下とする。1
0重量%以上では、Ag本来の良好な導電性が損なわ
れ、パターンコイルの導体抵抗値が高くなり、シート抵
抗値3.0mΩ/□が達成できなくなり、コイルのQ値
の低下を招く。また、コイルの相互誘導現象を利用する
トランスでは、電流が流れることによりジュール熱の発
生が大きく、電力損失を増加させることになり、変換効
率の低下、基板温度上昇を引き起こし、周辺回路素子へ
熱的悪影響を与える。ただし、基板の反り及び基板収縮
のばらつき等を考慮すると、実用上ガラスフリットは5
重量%以上の添加量が必要となり、さらにこのガラスフ
リットは導電性金属材料粉末の焼結挙動を考慮した屈伏
点のものを使用しなければならず、その屈伏点はグリー
ンシート2a〜2dのガラスフリットの焼結開始温度よ
りも低いものでなければならない。例えば、Ag粉末の
場合、ガラスフリットの屈伏点は700℃〜850℃の
ものが用いられる。屈伏点が700℃以下では、ガラス
流動が速くなり、導電性金属粉末同志が引き寄せられて
焼結が促進され、その結果、導電性金属材料が過焼結状
態となり、基板の反り、収縮ばらつきを発生させる。逆
に屈伏点が850℃以上では、ガラスフリットの軟化流
動性が悪くなり、導電性金属材料が均一な焼結挙動をと
らないため、基板の反り、基板収縮ばらつきを発生させ
る。
【0015】上述の導電性金属材料粉末及びガラスフリ
ットの平均粒径は10μm以下のものが好ましく、平均
粒径が10μmを越えると、例えばパターンコイルをス
クリーン印刷する際にスクリーンが目詰まりする恐れが
ある。また、ガラスフリットについては、平均粒径が1
0μmを越えると、導電性金属材料粉末との分散状態が
悪くなり、均一な焼結挙動を示さなくなり、基板の反
り、基板収縮ばらつきを発生させる。
ットの平均粒径は10μm以下のものが好ましく、平均
粒径が10μmを越えると、例えばパターンコイルをス
クリーン印刷する際にスクリーンが目詰まりする恐れが
ある。また、ガラスフリットについては、平均粒径が1
0μmを越えると、導電性金属材料粉末との分散状態が
悪くなり、均一な焼結挙動を示さなくなり、基板の反
り、基板収縮ばらつきを発生させる。
【0016】ビアホール導体7a〜7eに用いられる導
体ペーストは、絶縁基板となるグリーンシートの焼成時
の熱膨張係数に近接させるため、パターンコイルを形成
する導体ペーストに添加されるガラスフリットと異なる
低熱膨張性のガラスフリットが添加されている。このビ
アホール用導体ペーストは、グリーンシートにパンチン
グ加工して形成された直径0.1〜0.3mmのスルー
ホールに、例えば印刷手法を用いて充填される。
体ペーストは、絶縁基板となるグリーンシートの焼成時
の熱膨張係数に近接させるため、パターンコイルを形成
する導体ペーストに添加されるガラスフリットと異なる
低熱膨張性のガラスフリットが添加されている。このビ
アホール用導体ペーストは、グリーンシートにパンチン
グ加工して形成された直径0.1〜0.3mmのスルー
ホールに、例えば印刷手法を用いて充填される。
【0017】このようにして得られた多層基板2に、例
えばドリルを用いてフェライトコア挿入用の貫通孔4を
形成し、800℃〜1050℃のピーク温度で一体化焼
成し、E型フェライトコアを挿入装着することにより、
小型で低背化された積層トランスが得られる。また、表
面端子電極5a〜5dは、シート表面にAg系、Cu系
の導体ペーストを用いて、スクリーン印刷法で所定のパ
ターンを印刷し、焼き付けることによって形成される。
なお、この端子電極を用いてプリント回路基板に表面実
装されることになるが、はんだによる食われを防止する
ために、端子電極の表面にNiメッキ、はんだメッキ,
Snメッキを施しても良い。
えばドリルを用いてフェライトコア挿入用の貫通孔4を
形成し、800℃〜1050℃のピーク温度で一体化焼
成し、E型フェライトコアを挿入装着することにより、
小型で低背化された積層トランスが得られる。また、表
面端子電極5a〜5dは、シート表面にAg系、Cu系
の導体ペーストを用いて、スクリーン印刷法で所定のパ
ターンを印刷し、焼き付けることによって形成される。
なお、この端子電極を用いてプリント回路基板に表面実
装されることになるが、はんだによる食われを防止する
ために、端子電極の表面にNiメッキ、はんだメッキ,
Snメッキを施しても良い。
【0018】実験例 ここで、コイルの低損失化及びトランスとしての高電力
変換効率化を確認するために、以下のような試験を行っ
た。前記実施例で述べたグリーンシート(グリーンシー
トに添加したガラスフリットの焼結開始温度約780
℃)を用い、パターンコイルを形成する導体ペースト
は、Ag粉末と、ガラスフリットと、エチルセルロース
と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ルモノイソブチレートとを、3本ロールミルを用いて混
練して得た。ガラスフリットは、B2O3−SiO2−C
aO−Al2O3等を主成分とし、屈伏点が720℃のも
のを用いた。なお、ガラスフリットの添加量について
は、表1に示す通りに設定した。
変換効率化を確認するために、以下のような試験を行っ
た。前記実施例で述べたグリーンシート(グリーンシー
トに添加したガラスフリットの焼結開始温度約780
℃)を用い、パターンコイルを形成する導体ペースト
は、Ag粉末と、ガラスフリットと、エチルセルロース
と、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオー
ルモノイソブチレートとを、3本ロールミルを用いて混
練して得た。ガラスフリットは、B2O3−SiO2−C
aO−Al2O3等を主成分とし、屈伏点が720℃のも
のを用いた。なお、ガラスフリットの添加量について
は、表1に示す通りに設定した。
【0019】
【表1】
【0020】得られた導体ペーストを上述のグリーンシ
ートに所定のパターンコイルで印刷し、電気的に独立し
た2つのパターンコイルが形成されるよう、このグリー
ンシートを4枚積層して、フェライトコア挿入用貫通孔
をドリルを用いて形成し、ピーク温度900℃で30分
間焼成し、E型フェライトコアを挿入装着して積層型ト
ランスを得た。得られた積層型トランスのパターンコイ
ルの導体抵抗値を調べ、シート抵抗値を求めた。さら
に、得られた積層型トランスをDC−DCコンバータに
搭載し、電力変換効率を調べた。
ートに所定のパターンコイルで印刷し、電気的に独立し
た2つのパターンコイルが形成されるよう、このグリー
ンシートを4枚積層して、フェライトコア挿入用貫通孔
をドリルを用いて形成し、ピーク温度900℃で30分
間焼成し、E型フェライトコアを挿入装着して積層型ト
ランスを得た。得られた積層型トランスのパターンコイ
ルの導体抵抗値を調べ、シート抵抗値を求めた。さら
に、得られた積層型トランスをDC−DCコンバータに
搭載し、電力変換効率を調べた。
【0021】シート抵抗値 4端子法(ホイートストンブリッジを用いた抵抗値測定
方法)により導体抵抗値を測定し、シート抵抗値を求め
た。 電力変換効率 DC−DCコンバータに搭載し、下記式により電力変換
効率を求めた。
方法)により導体抵抗値を測定し、シート抵抗値を求め
た。 電力変換効率 DC−DCコンバータに搭載し、下記式により電力変換
効率を求めた。
【0022】電力変換効率=(出力電力)×100/
(入力電力) % 本実験結果により、表1に示すように、ガラスフリット
添加量を5〜10重量%とすることで、シート抵抗値
3.0mΩ/□以下となる。また、図3のように、ガラ
ス添加量5〜10重量%のとき、電力変換効率70%以
上が得られた。電力変換効率が70%以下では、例えば
電子機器、電子装置等の電源回路部に使用した場合、そ
れらの低消費電力化に貢献することが困難となる。ガラ
スフリット添加量が5重量%以下の場合、基板の反り、
基板収縮ばらつきが実用上許容範囲外となったため、今
回の試験結果からは省略した。
(入力電力) % 本実験結果により、表1に示すように、ガラスフリット
添加量を5〜10重量%とすることで、シート抵抗値
3.0mΩ/□以下となる。また、図3のように、ガラ
ス添加量5〜10重量%のとき、電力変換効率70%以
上が得られた。電力変換効率が70%以下では、例えば
電子機器、電子装置等の電源回路部に使用した場合、そ
れらの低消費電力化に貢献することが困難となる。ガラ
スフリット添加量が5重量%以下の場合、基板の反り、
基板収縮ばらつきが実用上許容範囲外となったため、今
回の試験結果からは省略した。
【0023】なお、本実施例の積層トランスを多層回路
基板に組み込むこともできる。
基板に組み込むこともできる。
【0024】
【発明の効果】以上のように、本発明によれば、導電性
ペーストは、Ag、Cu、Auの少なくとも1種以上の導電性
金属材料を主成分とし、パターンコイルのシート抵抗値
が3.0/□以下となるように絶縁性シートのガラスフ
リットと異なるガラスフリットが10重量%以下添加さ
れているので、基板の反りや収縮ばらつきを抑えつつ、
熱的信頼性が高く、低損失のコイルを実現でき、トラン
スの電力変換効率を向上させることができる。
ペーストは、Ag、Cu、Auの少なくとも1種以上の導電性
金属材料を主成分とし、パターンコイルのシート抵抗値
が3.0/□以下となるように絶縁性シートのガラスフ
リットと異なるガラスフリットが10重量%以下添加さ
れているので、基板の反りや収縮ばらつきを抑えつつ、
熱的信頼性が高く、低損失のコイルを実現でき、トラン
スの電力変換効率を向上させることができる。
【図1】本発明の一実施例による積層トランスの外観斜
視図。
視図。
【図2】図1の拡大断面図。
【図3】本実施例に基づく実験例によるガラス添加量と
電力変換効率との関係を示す図。
電力変換効率との関係を示す図。
1 積層トランス 2 多層基板 2a〜2d グリーンシート 6a,6b,8 パターンコイル
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 康行 鹿児島県国分市山下町1−1 京セラ株 式会社 鹿児島国分工場内 (72)発明者 米澤 真一 鹿児島県国分市山下町1−1 京セラ株 式会社 鹿児島国分工場内 (72)発明者 井本 晃 鹿児島県国分市山下町1−1 京セラ株 式会社 鹿児島国分工場内 (72)発明者 横手 伸行 埼玉県飯能市南町10番13号 新電元工業 株式会社工場内 (72)発明者 比留間 義明 埼玉県飯能市南町10番13号 新電元工業 株式会社工場内 (56)参考文献 特開 平4−355902(JP,A) 特開 昭57−53916(JP,A) 特開 平4−84494(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01F 17/00,41/04 H05K 3/46
Claims (1)
- 【請求項1】主面に導電性ペーストによるパターンコイ
ルが形成された絶縁性シートを複数積層してなる絶縁性
基板を有し、前記絶縁性シートはセラミック材料及びガ
ラスフリットを含み、前記導電性ペーストは前記絶縁性
シートのガラスフリット焼結開始温度よりも低い屈伏点
を有するガラスフリットを含んでおり、かつ前記絶縁性
シートと前記導電性ペーストが一体焼成して前記絶縁性
基板が形成されている積層トランスにおいて、 前記導電性ペーストはAg、Cu、Auの少なくとも1種以上
の導電性金属材料を主成分とし、前記パターンコイルの
シート抵抗値が3.0mΩ/□以下となるように、ガラス
フリットが5〜10重量%添加されている、積層トラン
ス。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP34833892A JP3194546B2 (ja) | 1992-12-28 | 1992-12-28 | 積層トランス |
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Publication Number | Publication Date |
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JPH06204039A JPH06204039A (ja) | 1994-07-22 |
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JP2019021876A (ja) | 2017-07-21 | 2019-02-07 | 日本特殊陶業株式会社 | 配線基板、プレーナトランス、及び配線基板の製造方法 |
JP2019021877A (ja) | 2017-07-21 | 2019-02-07 | 日本特殊陶業株式会社 | 配線基板及びプレーナトランス |
-
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- 1992-12-28 JP JP34833892A patent/JP3194546B2/ja not_active Expired - Fee Related
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