JPH11199916A - スラグレベル検知機能付き転炉、転炉精錬時のスラグレベル検知方法および金属鉱石の溶融還元方法 - Google Patents

スラグレベル検知機能付き転炉、転炉精錬時のスラグレベル検知方法および金属鉱石の溶融還元方法

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JPH11199916A
JPH11199916A JP733898A JP733898A JPH11199916A JP H11199916 A JPH11199916 A JP H11199916A JP 733898 A JP733898 A JP 733898A JP 733898 A JP733898 A JP 733898A JP H11199916 A JPH11199916 A JP H11199916A
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Naoki Kikuchi
直樹 菊池
Kimiharu Yamaguchi
公治 山口
Hideji Takeuchi
秀次 竹内
Kenichi Tanmachi
健一 反町
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Kawasaki Steel Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、転炉におけるスラグレベル検知に
関し、更には、そのスラグレベル検知を利用した金属の
溶融還元精錬方法に関する。 【解決手段】 転炉の炉体正立時の湯面高さより高い位
置の転炉炉体に少なくとも1個以上の振動センサを設け
るとともに、その1個以上設けた振動センサの出力信号
の変化によって精錬中のスラグレベルを検知し、検知し
たスラグレベルに応じて副原料である炭材の投入速度を
制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、転炉におけるスラ
グレベル検知に関し、更には、そのスラグレベル検知を
利用した金属の溶融還元精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】転炉精錬におけるスラグフォーミングと
は、精錬中に浴内から発生したCOガスの気泡がスラグ中
を容易に通過できずにスラグ内で泡立ち状態となり、ス
ラグの見かけ比重を低下させスラグレベルを上昇させる
ことを言う。そして、ついには転炉上部の炉口からスラ
グが溢れ出す事になるが、これがスロッピングである。
【0003】一般に、転炉における普通鋼の脱炭精錬時
のスロッピングは溶銑Siの濃度が高い事に起因する。こ
れは溶銑Siの反応により溶湯温度が上昇すること、反応
生成物SiO2によりスラグの粘性が低下し、流動性が向上
することが原因である。一方溶融還元炉におけるスラグ
フォーミングはスラグ中のFe、Cr酸化物濃度が高い事に
起因する。これはスラグ中酸化物とスラグ/メタル近傍
に懸濁する溶銑中の炭素によって生成する微細なCO気泡
がスラグフォーミングを促進するためである。従って、
溶融還元精錬でスラグフォーミングを促進するために
は、還元剤である炭材原単位をミニマムとして、炭材供
給速度、換言すればスラグ中の残留炭材量を抑える必要
がある。スラグに対して濡れ性のない炭材はスラグ中の
気泡を破壊してフォーミングを抑制する効果もあるた
め、スラグ中の炭材量はスラグフォーミングと密接な関
係にある。しかし、スラグ中の炭素量を抑えすぎると、
還元不良、スロッピング発生で操業困難に追い込まれる
ことになる。従って、スラグフォーミング状況に応じ
て、スラグ中炭材料を制御することが必要となる。
【0004】近年の上底吹転炉と溶銑予備処理の発展に
伴い、上底吹転炉での脱炭精錬の際のスロッピング発生
問題はかなり解消されたが、溶融還元精錬は、スラグ中
の有価金属酸化物を安価な炭材で還元するプロセスであ
るため、上記のようなスラグ中炭材量の制御が十分でな
いのが現状である。この点は溶融還元精錬法での炭材原
単位ミニマムを実現する手段でもあり、重要な課題であ
る。これを達成する上で、炉内のスラグレベルを的確に
把握することはきわめて重要である。
【0005】また、近年、ステンレス鋼製造プロセスに
おいては、Cr鉱石を直接転炉で溶融還元精錬するプロセ
スが注目されている。従来のステンレス鋼精錬プロセス
で使用されるCr源は、電気炉で溶解するステンレススク
ラップから得るか、FeCr合金として購入したものなどが
主であるが、電気炉で溶解する電力コストが高く、FeCr
合金が高価であること等の問題があり、安価なCr源を確
保する必要性のためである。
【0006】Cr鉱石溶融還元精錬は、主原料のCr鉱石を
炭材で還元する。この炭材原単位のミニマム化を目指そ
うとすると、スロッピングが発生し易くなる。また、Cr
鉱石の溶融還元では酸化鉄、半還元ペレットの溶融還元
に比べて還元量が多く、吸熱量が大きい。そのため、上
吹き酸素量を増やして熱補償を大きくする必要がある
が、そうすると上吹き酸素ガスによるダスト発生が問題
となってくる。主なダスト発生の原因は、脱炭反応によ
り生成されるCOガス気泡の崩壊による飛沫、上吹き酸素
による浴面上の反応火点からの金属蒸発である。ダスト
発生を抑えるためには、その発生原因である浴面上の反
応火点を溶融スラグによって遮断する事が肝要である。
また、スラグフォーミングによって溶融スラグのスラグ
厚を厚くし、酸素ジェットを遮断することでCOガス気泡
の崩壊による飛沫を解消できる。スラグフォーミングは
この点からも積極的に起こす必要があるが、あまりスラ
グフォーミングを過剰にするとスロッピング発生に繋が
るため、制御が必要である。
【0007】スラグレベル検知方法としては、従来、マ
イクロ波による方法が特開昭53-118161 号公報に開示さ
れており、音響センサによる方法が特開昭53-45615号公
報に開示されており、上吹きランスの振動検知による方
法が特開昭53-114414 号公報に開示されている。しか
し、マイクロ波については直接的にスラグレベルを測定
可能だが、炉内の撹拌によりスラグレベルがある程度変
動すること、センサとスラグ間に他の物質が存在しない
状態をつくる事が困難である。音響センサ、上吹きラン
ス振動については、スラグレベルの定量性がわるい事が
問題点として挙げられる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】これまで溶融還元精錬
においては、十分な炭材供給速度を確保し、安定操業を
行う事が指向されてきた。そのため、スラグフォーミン
グを極力起こさないようにすることに主眼が置かれてき
た。本発明者らは、溶融還元精錬においてミニマム単材
原単位を実現し、かつ、ダストを低下させるために、こ
のスラグフォーミングを促進させることに着目した。
【0009】スラグフォーミングによる効果は、 (1) 少量のスラグでもスラグレベルを増加できる。た
だし、スラグの見掛け比重は減少する。 (2) フォーミングによりスラグの見かけ比重が低下
し、比重の小さい炭材をスラグ内に巻き込ませることに
より飛散を抑制できる。の2点である。
【0010】一方、フォーミングにより懸念される点
は、 (3) 還元不良となり、Cr歩留まりの低下と脱硫が悪化
する。 (4) 精錬中にスロッピングが発生し易くなる。 の2点が挙げられる。そこで、本発明者らは還元不良と
スロッピングが回避でき、フォーミングの促進が可能と
なる適正なスラグ残留炭材量範囲を見出すべく実験を行
った。
【0011】しかしながら、スラグ中の残留炭材を極端
に低下させた状態で吹錬を行うと、どうしてもある確率
頻度でスロッピングが発生する。本発明は、転炉炉内の
スラグレベルを正確に把握できるようにし、スラグレベ
ルに応じた精錬反応の制御を行うことで、転炉のスロッ
ピング発生を解消しダスト発生を抑制することを第1の
課題とする。
【0012】また、転炉での金属鉱石溶融還元精錬にお
いて、転炉炉内のスラグレベルを正確に把握しスラグフ
ォーミングをスロッピング発生限界まで促進させること
で、原単位削減とダスト発生抑止を行えるようにするこ
とを第2の課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明は、転炉の炉壁に
伝わる振動がスラグの浸漬前と後で大きく異なり、特
に、スラグ浸漬前に発生している炉壁レンガの固有振動
と思われる特定周波数の振動が、スラグ浸漬によってほ
とんど無くなってしまうことを見出したことからなされ
たものである。
【0014】すなわち、本発明は、炉体正立時の湯面高
さより高い位置の転炉炉体に少なくとも1個以上の振動
センサを設けたことを特徴とするスラグレベル検知機能
付き転炉によって上記第1の課題を解決したものであ
る。また、上記第1の課題を解決するためには、炉体正
立時の湯面高さより高い位置の転炉炉体に少なくとも1
個以上設けた振動センサの出力信号の変化によって、精
錬中のスラグレベルを推定することが好適であることを
見出したのである。
【0015】更に、転炉において金属鉱石を溶融還元精
錬するにあたり、前記転炉の炉体正立時の湯面高さより
高い位置の転炉炉体に少なくとも1個以上設けた振動セ
ンサの出力信号の変化によって精錬中のスラグレベルを
検知し、検知したスラグレベルに応じて前記炭材の投入
速度を制御するようにして上記第2の課題を解決したの
である。
【0016】
【発明の実施の形態】図1に基づき、本発明におけるス
ラグレベル検知を行う振動センサの転炉への設置につい
て説明する。図1は、本発明の上底吹き転炉の断面図を
示している。転炉炉体4内の溶銑7は、底吹き羽口5と
上吹きランス6から酸素が吹き込まれ吹錬が行われる。
溶銑7上にはスラグ8が生成されている。本図では、簡
単のため、サブランス等の付帯設備の記載は省略してい
る。
【0017】スラグレベル検知部9は、その部分拡大図
に示すように構成されている。すなわち、炉体鉄皮10、
および永久レンガ20に穴があけられ、水冷配管が内蔵さ
れた銅治具12が、むきだしにされたワークレンガ11の裏
面に配置され、その銅治具12に振動センサ13が貼り付け
られている。ここで、ワークレンガ11は、高熱のため炉
内側が溶損するが、銅治具12を貼り付ける裏面まで溶損
することはない。ただし、高温となるため、銅治具12内
部に水冷配管が施されており、送水配管17と排水配管18
によって冷却水が循環されている。銅治具12は、複数の
ロッド15でフランジ14に取付けられており、交換が容易
な構造とされている。また、窒素吹き込み配管16から窒
素が吹き込まれており、振動センサが冷却されている。
【0018】以上で説明したスラグレベル検知部9を実
験用の5ton 転炉において、その当初のスラグ位置より
わずかに高い位置に相当する高さに設置し、スラグレベ
ルをサブランスで確認しながら、センサーがスラグに浸
漬する前後の振動の変化を調査した。その結果、スラグ
レベルが徐々に増加していく過程で、スラグレベルがセ
ンサー位置を通過する際に振動の振幅が小さくなる事を
確認できた。図2に、その前後の振動波形を示す。(a)
は、スラグ浸漬前の波形であり、(b) はスラグ浸漬後の
波形である。図3に、吹錬時間とメタル上面からのスラ
グ高さの関係を示す。ここで、スラグ高さはサブランス
で測定している。図3で示すように、メタル面より0.4m
の高さに設置したスラグレベル検知部をスラグ上面が通
過した時に、図2で説明した振動の変化が検出されるこ
とを確認でき、精度良くスラグレベルが把握できること
が確認できた。
【0019】また振動の周波数解析を行った結果、上記
の変化時期において耐火物であるワークレンガの固有振
動に起因すると思われる周波数が消失していることが確
認できた。このことは、ワークレンガの振動が、スラグ
によって抑制されるためであるものと推定される。次
に、図4に示すように、実機レベルの160 ton 転炉にお
いて高さ方向3箇所に同様のスラグレベル検知部を設置
してスラグレベル検知の確認を試みたが、精度良くスラ
グレベルを把握できていることが確認できた。
【0020】
【実施例】上述のスラグレベル検知部を160ton上底吹き
転炉の高さ方向4 箇所に設置して、クロム鉱石の溶融還
元実験を行った。図5に、本実験に用いた上底吹き転炉
の断面図を示す。ただし、本図ではスラグレベル検知部
の記載を省略している。また、表1にその実験条件を示
す。
【0021】
【表1】
【0022】転炉炉体4内の溶銑7に、底吹き羽口5と
上吹きランス6から酸素1a、1bが吹き込まれ、吹錬が行
われる。Cr鉱石2と炭材3が適宜炉内に投入され、スラ
グ8のレベルが制御される。表1に示した比較例1は、
従来のスラグフォーミングをさせないようにした操業条
件であり、炭材の投入速度を一定とし、スラグレベル検
知を行わない場合の例である。
【0023】比較例2は、従来から行われているスラグ
フォーミング法による例であって、実験用の5ton 転炉
において実験を行い、その結果、炭材原単位がミニマム
となり、スラグフォーミングによるダスト抑制効果が最
良となる条件を採用した。ただし、スラグレベル検知は
行わず、炭材の投入速度は一定としている。本発明例
は、基本的な条件を比較例2と同じとし、更に、スラグ
レベル検知を行い、炭材の投入速度をスラグレベル検知
に応じて変化させるようにしている。
【0024】実験では、先ず溶銑を炭材により1600℃ま
で昇温する第1工程を行う。次に、炉上から炭材とCr鉱
石を連続供給する第2工程を行い、吹錬を完了させるの
である。本発明例でスラグレベルに応じて炭材供給速度
変化させた場合の例を示す。設置したセンサ1、2、3
のうち最上点のセンサ3に到達した時点で炭材の供給速
度を5.9 から7〜10kg/min/tに増加させた。この時、セ
ンサ2での浸漬が確認できてからセンサ3での浸漬まで
の時間tに応じて、炭材供給速度を7〜10kg/min/tの範
囲で変化させた。t≦1min の場合10kg/min/t、1≦t
≦5min では8〜9kg/min/t、t>5min では7〜8kg
/min/tに変化させることでスロッピングは回避できるよ
うになった。
【0025】表2にダスト発生量、スロッピング発生頻
度などの本実験結果をまとめて示す。本発明スラグフォ
ーミング例での操業において、Cr鉱石の溶融還元精錬に
おける炭材原単位がミニマムとなり、ダスト発生も抑制
されており、スロッピングも発生しないことが確認でき
た。
【0026】
【表2】
【0027】また本実験において、本発明においてもフ
ォーミングが促進され、チャージ後に炉体耐火物である
ワークレンガにスラグコーティングが認められ、スラグ
フォーミング法を指向した従来法である比較例2と比べ
ても耐火物損耗に差異は認められず、逆に保護効果のあ
ることが確認できた。また、比較例1、比較例2、本発
明例いずれの場合も、実験後のスラグ中のT.Crは1wt%
以下であった。
【0028】また、いずれのスラグレベル検知部も、10
0 チャージ使用後においてもトラブルなく、健全であっ
た。
【0029】
【発明の効果】本発明によってスロッピングによる生産
性低下を招くことがなく、転炉精錬を行うために有効な
スラグレベル検知が可能となった。特に、溶融還元精錬
においてはこのスラグレベル検知に基づく炭材投入速度
の制御によって炭材原単位をミニマムとし、かつ、ダス
ト抑制による歩留まりを向上させることができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラグレベル検知機能付き転炉の断面
図である。
【図2】スラグレベル検知用の振動センサの波形を示す
グラフであり、(a) はスラグ浸漬前のグラフであり、
(b) はスラグ浸漬後のグラフである。
【図3】5ton 転炉に1個の振動センサを設置した場合
の振動センサの信号変化点を説明するグラフである。
【図4】160ton転炉に3個の振動センサを設置した場合
の振動センサの信号変化点を説明するグラフである。
【図5】本発明の確認実験に用いた160ton上底吹き転炉
の断面図である。
【符号の説明】
1a、1b 酸素(O2) 2 Cr鉱石 3 炭材(副原料) 4 転炉炉体 5 底吹き羽口 6 上吹きランス 7 溶銑 8 スラグ 9 スラグレベル検知部 10 炉体壁 11 ワークレンガ 12 銅治具 13 振動センサ 14 フランジ 15 ロッド 16 窒素吹き込み配管 17 送水配管 18 排水配管 19 センサアンプ 20 永久レンガ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 竹内 秀次 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 反町 健一 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炉体正立時の湯面高さより高い位置の転
    炉炉体に少なくとも1個以上の振動センサを設けたこと
    を特徴とするスラグレベル検知機能付き転炉。
  2. 【請求項2】 炉体正立時の湯面高さより高い位置の転
    炉炉体に少なくとも1個以上設けた振動センサの出力信
    号の変化によって、精錬中のスラグレベルを推定するこ
    とを特徴とする転炉精錬時のスラグレベル検知方法。
  3. 【請求項3】 転炉において金属鉱石を溶融還元精錬す
    るにあたり、前記転炉の炉体正立時の湯面高さより高い
    位置の転炉炉体に少なくとも1個以上設けた振動センサ
    の出力信号の変化によって精錬中のスラグレベルを検知
    し、検知したスラグレベルに応じて前記炭材の投入速度
    を制御することを特徴とする金属鉱石の溶融還元精錬方
    法。
JP733898A 1998-01-19 1998-01-19 スラグレベル検知機能付き転炉、転炉精錬時のスラグレベル検知方法および金属鉱石の溶融還元方法 Pending JPH11199916A (ja)

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