JPH11199648A - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物

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JPH11199648A
JPH11199648A JP10007463A JP746398A JPH11199648A JP H11199648 A JPH11199648 A JP H11199648A JP 10007463 A JP10007463 A JP 10007463A JP 746398 A JP746398 A JP 746398A JP H11199648 A JPH11199648 A JP H11199648A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 塗料用途における耐リフティング性、硬化物
の耐衝撃性及び耐食性に著しく優れるエポキシ樹脂組成
物を提供する。 【解決手段】 p−ターシャリブチルフェノールノボラ
ック型エポキシ樹脂と、p−ターシャリブチルフェノー
ルノボラック樹脂とを反応させて得られるエポキシ樹脂
(A)、硬化剤(B)、及び、JIS K 2201の
4号に代表される脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分
とする有機溶剤(C)を必須成分とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐食性、密着性、
耐衝撃性、耐薬品性等に優れ、さらに脂肪族炭化水素を
主成分とする有機溶剤に可溶で、優れた塗膜が得られる
エポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】従来から、エポキシ樹脂を主剤とする組
成物は一般的に機械物性質、耐水性、耐食性、密着性、
耐化学薬品性、耐熱性、電気特性などの優れた効果を発
現する為、接着剤、塗料、積層板、IC封止材、成形材
料など幅広い分野で使用されている。
【0003】なかでも、塗料用途においては、通常、溶
媒に溶解させて使用するため、使用される希釈溶媒とし
ては、毒性が低く、また、補修用塗料として旧塗膜上に
塗装した場合にリフティング等の塗膜欠陥を起こさない
ものが求められている。
【0004】そこで、低毒性で、かつ、補修塗装時の耐
リフティング性に優れた希釈溶媒としてミネラルスピリ
ットに代表される脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤が
多く使用される様になってきている。
【0005】このミネラルスピリットへの溶解性に優
れ、補修用塗料として有用なエポキシ樹脂としては、例
えば、特開平9−227825号公報には、炭化水素原
子数5以上のアルキル基を芳香核上の置換基として有す
るノボラック型樹脂と1分子中に2個以上のエポキシ基
を有するエポキシ樹脂との反応物を用いミネラルスピリ
ットに溶解した塗料組成物が開示されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、特開平9−2
27825号に記載のエポキシ樹脂組成物は、塗装環境
並びに塗装作業性、更に補修用塗料として旧塗膜上に塗
装した場合のリフティングの問題を解決できるものの、
得られる硬化塗膜の硬化塗膜の耐衝撃性、耐食性、硬化
性に劣るものであった。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、脂肪族
炭化水素を主成分とする溶剤を用いた場合の相溶性に優
れる為に、取り扱いの安全性や塗料用途における耐リフ
ティング性が良好であると共に、硬化物の耐衝撃性及び
耐食性に著しく優れるエポキシ樹脂組成物を提供するこ
とにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記課題を
解決すべく鋭意検討を結果、特定構造のエポキシ樹脂を
用いた結果、硬化物の耐衝撃性及び耐食性が向上する共
に、更に脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有
機溶剤との相溶性が著しく改善されることを見出し、本
発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、炭素原子数4〜18の脂
肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラ
ック型エポキシ樹脂(a1)を、多官能性フェノール類
(a2)で鎖伸長した構造を有するエポキシ樹脂(A)
と、硬化剤(B)と、脂肪族炭化水素系有機化合物を主
成分とする有機溶剤(C)とを必須成分とすることを特
徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
【0010】本発明で使用する炭素原子数4〜18の脂
肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラ
ック型エポキシ樹脂を、多官能性フェノール類で鎖伸長
した構造を有するエポキシ樹脂(A)は、既述の通り脂
肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤
(C)に良好に溶解されるため、当該有機溶剤(C)並
びに硬化剤(B)と組合せた塗料は塗装環境、塗料作業
性がよく、更に旧塗膜に塗り重ねても旧塗膜を溶解もし
くは膨潤させず、リフティング等の塗膜欠陥の発生が防
止出来、かつ、耐衝撃性、耐薬品、耐食性、密着性等の
優れた塗膜が得られる。
【0011】本発明で使用する炭素原子数4〜18の脂
肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラ
ック型エポキシ樹脂(a1)は、その構造が特に限定さ
れるものではないが、例えばフェノール性水酸基を有す
る芳香族類の芳香環上に脂肪族炭化水素基を置換基とし
て有するノボラック樹脂とエピハロヒドリンとを反応せ
しめて得られる構造を有するものが挙げられる。
【0012】この様な炭素原子数4〜18の脂肪族炭化
水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型樹
脂とエピハロヒドリンとの反応物であるエポキシ樹脂
(a1)は、例えば、以下の方法によって製造できる。
【0013】即ち、脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換
基として有するフェノール類とケトン類とを反応させ、
ノボラック樹脂を得、次いで、これとエピハロヒドリン
と反応させてグリシジル化し、炭素原子数4〜18の脂
肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するエポキ
シ樹脂(a1)を得ることができる。
【0014】脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基とし
て有するフェノール類とケトン類とを反応させて得られ
るノボラック樹脂は、最終的に得られるエポキシ樹脂
(A)の溶液中の適正な粘度を保持するために、芳香核
の平均核体数が2〜6核体のものが好ましく、なかでも
2〜4核体のものが好ましい。
【0015】ここで用いる脂肪族炭化水素基を芳香核上
の置換基として有するフェノール類としては、脂肪族炭
化水素置換基の位置及び置換数は任意であればよく、脂
肪族炭化水素置換基は直鎖状、分岐状の何れでもよい
が、脂肪族炭化水素置換基一つあたりの炭素原子数は4
〜18である。この様なフェノール類としては、例え
ば、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチル
フェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、
オクタデシルフェノール等のアルキルフェノールが挙げ
られる。また、本発明において、前記フェノール類は1
種単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良
い。
【0016】また、当該反応で使用するケトン類として
は特に限定しないが、例えばホルムアルデヒド、パラホ
ルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、ベンズ
アルデヒド等があり、好ましくはホルムアルデヒド及び
パラホルムアルデヒドが挙げられる。
【0017】脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基とし
て有するフェノール類とケトン類との反応に用いられる
触媒としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩
酸、硫酸、リン酸、サリチル酸、安息香酸、シュウ酸等
の如き酸性触媒、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ト
リエチルアミン、アンモニア等の如き塩基性触媒、水酸
化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の如
き金属塩触媒が挙げられる。
【0018】また、次にノボラック樹脂とエピハロヒド
リンとの反応条件は、特に制限されるものではないが、
例えば、前記ノボラック樹脂の水酸基の1当量に対し、
エピハロヒドリンを0.3〜10当量添加し、塩基の存
在下に、40〜100℃で常圧または、減圧下で、場合
によっては反応溶媒として、イソプロピルアルコール、
ブタノール等のアルコール、ジオキサン等のエーテル
類、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジメチルイミダ
ゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を用いることが不
純物ハロゲン原子を低減できる点から好ましい。
【0019】グリシジル化の際に用いる塩基は特に限定
されるものではなく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウ
ム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウ
ム、炭酸カリウム等が挙げられるが、中でも水酸化カリ
ウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。また、これら塩
基は、反応系内で、水溶液、固形のいずれであっても良
い。
【0020】本発明に係わるエピハロヒドリンとしては
特に限定はしないが、好ましくはエピクロルヒドリン、
β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、
β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられるが、なか
でも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0021】この様にして得られるエポキシ樹脂(a
1)は、300〜1000g/eqであることが、最終
的に得られるエポキシ樹脂(A)の、有機溶剤(C)へ
の溶解性、及び、塗膜性能の点から好ましい。
【0022】本発明で用いるエポキシ樹脂(A)は、上
記エポキシ樹脂(a1)を、多官能性フェノール類(a
2)で鎖伸長することによって得られる。多官能性フェ
ノール類(a2)としては、例えば、上記フェノールノ
ボラック類または、ビスフェノールA、ビスフェノール
AD、テトラメチルビスフェノールF等のビスフェノー
ル類、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂類、t−ブ
チルカテコール等のジヒドロキシベンゼン類が挙げられ
る。エポキシ樹脂(a1)と多官能性フェノール類(a
2)との反応条件は特に制限されるものではないが、第
四級オニウム塩、アルカリ金属水酸化物等の塩基性触媒
の存在下に、130〜200℃の温度条件下に行うこと
ができる。ここで、エポキシ樹脂(a1)と多官能性フ
ェノール類(a2)との反応比率は特に制限されるもの
ではないが、得られるエポキシ樹脂(A)のエポキシ当
量を適正範囲に調整できる点からエポキシ樹脂(a1)
/多官能性フェノール類(a2)の重量比で100/1
〜100/85の範囲が好ましい。
【0023】この様にして得られるエポキシ樹脂(A)
は、エポキシ当量300〜5000g/eqの範囲が、
硬化塗膜の耐衝撃性、耐食性、そして硬化性が著しく良
好となる点から好ましい。
【0024】本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ
樹脂成分としてここまで記した(A)の成分のみなら
ず、更に他のエポキシ樹脂を配合してもよい。
【0025】他のエポキシ樹脂としては、特に制限され
るものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノール
ノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック
型エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0026】本発明の樹脂組成物の(B)成分として用
いられる硬化剤は、従来からエポキシ樹脂用硬化剤とし
て通常使用されているものが特に制限なく利用出来る
が、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノ
ボラック樹脂、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基
を芳香核上の置換基として有するフェノールノボラック
樹脂、ポリアミン類、ポリカルボン酸類、ポリカルボン
酸無水物類、イミダゾール類、ジシアンジアミド類、ポ
リアミド樹脂類が挙げられる。
【0027】これらのなかでも脂肪族炭化水素系有機化
合物を主成分とする有機溶剤(C)との相溶性の点から
炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置
換基として有するフェノールノボラック樹脂、および、
相溶性、耐衝撃性、反応性、密着性、耐食性、耐湿性等
の塗膜性能に著しく優れる点からポリアミド樹脂が好ま
しい。
【0028】このポリアミド樹脂としては、特に制限さ
れるものではないが、肪族炭化水素系有機化合物を主成
分とする有機溶剤(C)との相溶性の点から、例えば、
脂肪族系多官能性アミンと脂肪族ジカルボン酸とから形
成されるものが好ましく、脂肪族系多官能性アミンとし
て、ペンタエチレンヘキサミン、テトラエチレンペンタ
ミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン
等が挙げられる。また、脂肪族ジカルボン酸としては、
トール油脂肪酸などの、リノレン酸、リノール酸等から
なるダイマー酸等が挙げられる。
【0029】この硬化剤(B)の使用量は特に制限され
るものではないが、エポキシ樹脂(A)のエポキシ基に
対する、硬化剤(B)中の活性水素が0.6〜1.0当
量となる範囲であることが好ましい。
【0030】また、本発明においては、上記硬化剤
(B)に加え、更に硬化促進剤を併用してもよい。硬化
促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、D
BU等の第三級アミン類、2メチル4エチルイミダゾー
ル等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等の
フォスフィン類が挙げられる。
【0031】本発明の樹脂組成物の成分として用いられ
る脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤
(C)は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デ
カン、ドデカン等のアルカン、シクロヘキサン、デカリ
ン等のシクロアルカン、もしくは、これらを主成分とす
る、工業用ガソリンであるJIS K 2201の4号
(ミネラルスピリット:引火点30℃以上、50%留出
温度180℃以下、蒸留終点205℃以下)、工業用ガ
ソリンJIS K 2201の5号(クリーニングソル
ベント:引火点38℃以上、50%留出温度180℃以
下、蒸留終点210℃以下)等の有機溶剤が挙げられ
る。
【0032】これらのなかでも引火点が高く塗装環境が
良好である点また、補修用塗料として使用した場合のリ
フティング等の塗膜欠陥の防止効果が良好である点から
JIS K 2201の4号またはJIS K 220
1の5号が好ましい。
【0033】脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とす
る有機溶剤(C)の使用量としては特に制限されるもの
ではなく、寧ろ優れた相溶性を有する為に、所望の固形
分含量に設定できるものであるが、特に塗料用組成物と
しては、塗装作業性の点から組成物中の不揮発分(フィ
ラー等の添加剤を除く樹脂成分)の含有率で50〜98
重量%であることが好ましい。
【0034】また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、脂
肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤
(C)のみならず、必要に応じ本発明の効果を損なわな
い範囲で、従来からエポキシ樹脂用溶剤として通常使用
されているその他の有機溶剤を併用してもよい。
【0035】その他の有機溶剤としては、例えばトルエ
ン等の芳香族炭化水素系、メチルエチルケトン等のケト
ン類、1−ブタノール等のアルコール類、ブチルセロソ
ルブ等のエステル類等が挙げられる。
【0036】本発明のエポキシ樹脂組成物は、特に塗料
用途としては、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの各
種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。
【0037】前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリ
ブチン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウ
ム、クロム酸バリウムあるいはアルミニウム、グラファ
イト等の鱗片状顔料が、着色顔料としてはカーボンブラ
ック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ、体質顔料とし
ては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン
等が代表的なものとして挙げられる。
【0038】これらのフィラーの配合量は特に特定され
ないが、エポキシ樹脂組成物中約20〜70重量%とな
る範囲であることが塗料としての塗装性、塗膜性能の点
から好ましい。
【0039】前記添加剤としては、例えばハジギ防止
剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、硬化促進剤、紫外線
吸収剤等が挙げられる。
【0040】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
する。なお、実施例中「部」、「%」は重量基準であ
る。
【0041】合成例1[p−ターシャリブチルフェノー
ルノボラック樹脂とエピクロルヒドリンからのエポキシ
樹脂の合成] 温度計、適下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備え
た、下部に分液コック付きの5リットルのセパラブルフ
ラスコに、p−ターシャリブチルフェノールノボラック
樹脂(平均核体数2.1)500g、エピクロルヒドリ
ン450g、イソプロピルアルコール125gを仕込、
撹拌、溶解させ、40℃に加熱した。その後適下ロート
より、20%水酸化ナトリウム水溶液の 705gを3
時間かけて適下した。適下終了後30分間撹拌を続け、
反応を完結させた。その後撹拌を停止し静置し、下層の
食塩水を分液し除いた。次に、過剰のエピクロルヒドリ
ン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得ら
れた粗樹脂をトルエン675gで溶解させ、5%水酸化
ナトリウム水溶液を125g加え、80℃、3時間撹拌
した。その後水洗により生成した塩、及びアルカリを油
水分離させて、除去し、脱水、濾過を経てトルエンを蒸
留回収させてエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹
脂(a)のエポキシ当量は307g/eqであった。
【0042】合成例2[p−ターシャリブチルフェノー
ルノボラック樹脂とエピクロルヒドリンからのエポキシ
樹脂の合成] エピクロルヒドリンの量を225g用いるように変更し
た以外は合成例1と同様にしてエポキシ樹脂(b)を得
た。得られたエポキシ樹脂(b)のエポキシ当量は35
6g/eqの樹脂であった。
【0043】合成例3[p−セカンダリーブチルフェノ
ールノボラック樹脂とエピクロルヒドリンからのエポキ
シ樹脂の合成] p−ターシャリブチルフェノールノボラック樹脂に代え
てp−セカンダリーブチルフェノールノボラック樹脂
(平均核体数2.1)500g用い、かつ、エピクロル
ヒドリンの量を225g用いるように変更した以外は合
成例1と同様にしてエポキシ樹脂(c)を得た。得られ
たエポキシ樹脂(c)のエポキシ当量は360g/eq
の樹脂であった。
【0044】合成例4[ノボラック型エポキシ樹脂と多
官能性フェノール類との鎖伸長物の合成] 温度計、冷却管、撹拌器、邪魔板を備えた、2リットル
のセパラブルフラスコに、合成例1で得られたエポキシ
樹脂(a)300gと、p−ターシャリブチルフェノー
ルノボラック樹脂(平均核体数2.1)40gを仕込、
撹拌、溶解させ、80℃に加熱した。そこにテトラメチ
ルアンモニウムクロライド50%水溶液を0.5g添加
し、140℃で6時間加熱してエポキシ樹脂(d)を得
た。得られたエポキシ樹脂(d)のエポキシ当量は47
0g/eqの樹脂であった。
【0045】合成例5[ノボラック型エポキシ樹脂と多
官能性フェノール類との鎖伸長物の合成] 合成例2で得られたエポキシ樹脂(b)300gと、p
−ターシャリブチルフェノールノボラック樹脂(平均核
体数2.1)30gを用いるように変更した以外は合成
例4と同様にしてエポキシ樹脂(e)を得た。得られた
エポキシ樹脂(e)のエポキシ当量は510g/eqの
樹脂であった。
【0046】合成例6[ノボラック型エポキシ樹脂と多
官能性フェノール類との鎖伸長物の合成] p−ターシャリブチルフェノールノボラック樹脂を、ジ
シクロペンタジエンフェノール樹脂(日本石油化学社製
日石特殊フェノールDPP−M)20gに変更した以
外は合成例5と同様にしてエポキシ樹脂(f)を得た。
得られたエポキシ樹脂(f)のエポキシ当量は470g
/eqの樹脂であった。
【0047】合成例7[ノボラック型エポキシ樹脂と多
官能性フェノール類との鎖伸長物の合成] 合成例3で得られたエポキシ樹脂(c)300gと、p
−セカンダリーブチルフェノールノボラック樹脂(平均
核体数2.1)30gを用いるように変更した以外は合
成例4と同様にしてエポキシ樹脂(g)を得た。得られ
たエポキシ樹脂(g)のエポキシ当量は520g/eq
の樹脂であった。
【0048】合成例8[比較用、変性エポキシ樹脂の合
成] 温度計、撹拌機及び冷却管を取り付けた反応器にミネラ
ルスピリット(不揮発分として60%となる量)とな
る、ようにノニルフェノールノボラック樹脂を溶解さ
せ、「EPICLON 850」(大日本インキ化学工
業(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキ
シ当量=188g/eq、粘度12,500mmPa・
s)を、エポキシ樹脂のモル数/ノボラック樹脂のフェ
ノール性水酸基数の比を、1.5/2になるように仕込
み、水酸化カリウムを全樹脂料に対して0.01%添加
し150℃でエポキシ当量が680g/eq(固形分
値)となるまで、撹拌しながら反応させた。その後40
℃に冷却した。得られた変性エポキシ樹脂(h)のエポ
キシ当量は685g/eqであり、樹脂溶液は透明であ
った。
【0049】[エポキシ樹脂の脂肪族炭化水素系有機化
合物を主成分とする有機溶剤への溶解性の評価] 実施例1〜8 合成例4〜7で得られたエポキシ樹脂に、硬化剤として
「ラッカマイド N−153−IM65」(大日本イン
キ化学工業(株)製、ポリアミド樹脂:活性水素当量=
470)を当量配合し、この各樹脂組成物の脂肪族系有
機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を表−1に
示す。
【0050】比較例1、2 合成例8で得られたエポキシ樹脂に、硬化剤として「ラ
ッカマイド N−153−IM65」(大日本インキ化
学工業(株)製、ポリアミド樹脂:活性水素当量=47
0)を当量配合し、実施例1〜8と同様に脂肪族系有機
溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を表−1に示
す。
【0051】比較例3、4 「EPICLON 850」(大日本インキ化学工業
(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ
当量=188g/eq、粘度12500mmPa・S
(25℃)、以下これを「エポキシ樹脂(i)と略記す
る」)に、硬化剤として「ラッカマイド N−153−
IM65」(大日本インキ化学工業(株)製、ポリアミ
ド樹脂:活性水素当量=470)を当量配合し、実施例
1〜6と同様に脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストし
た。テスト結果を表−1に示す。
【0052】ここで、実施例1〜8及び比較例1〜4に
おける溶解性テストは以下の方法に従って行った。 [70%溶液の低温溶解性]エポキシ樹脂(d)〜(i)
の70部に対して、脂肪族炭化水素系有機溶剤を30部
と、所定量の硬化剤を配合したエポキシ樹脂溶液を、5
℃で24時間静置し、透明性を判定した。 ○ 透明 × 白濁
【0053】[希釈価]エポキシ樹脂(d)〜(i)
に、各脂肪族炭化水素系有機溶剤及び硬化剤をそれぞれ
加え、白濁に要する溶剤の重量を求め、次式により算出
した。
【0054】
【式1】 但し、希釈価=1000となるまで溶剤を加えても透明な場
合は1000↑と表記した。
【0055】
【表1】
【0056】表−1からも明かな通り、本発明で使用す
るエポキシ樹脂組成物である実施例1〜8及び、比較例
1,2は透明性が良く、(すなわち、脂肪族系有機溶剤
によく溶解し)貯蔵安定性が良かった。一方、比較例
3,4は白濁し、溶媒への溶解性が悪く塗料用として実
用上、使用出来ないものであった。すなわち、脂肪族系
有機溶剤が使用できないものであった。
【0057】次に、実施例1〜8で得られたワニス(各
脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)につき、表
−2に示す成分を配合し、塗料を調整した。この塗料の
乾燥性、硬化性、及び、塗膜の耐食性、耐薬品性、耐衝
撃性の試験をし、その結果を表−2に示した。
【0058】また、比較例1、2で得られたワニス(各
脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)に、表−3
に示す成分を配合し、塗料を調整した。この塗料の塗装
状態、硬化性、塗膜の耐食性、耐薬品性、耐衝撃性、乾
燥性の試験をし、結果を表−3に示した。
【0059】ここで、実施例1〜8及び比較例1、2に
おける塗装状態、耐食性及び耐薬品性、耐衝撃性、乾燥
性及び硬化性の各テストは以下の方法に従って行った。 [塗装状態]3本ロールミルで混練した塗料の粘度を9
5±5KU(25℃)に調整した後、20℃、5時間放置
し、塗料状態を観察した。
【0060】 ○:異常なし。 ×:ワニス分離。
【0061】[耐食性及び耐薬品性]作製した塗料を、
冷間熱延鋼板:JIS,G,3141(SPCC,S
B)、0.8×70×150mmのサンドペーパー#2
40表面処理板にバーコーターにて膜厚40μになるよ
うに塗布し、25℃、7日間硬化、乾燥させ試験片を作
製した。
【0062】次いで、JIS K5400−7,8に準
拠して塩水噴霧試験(300時間)した。 ○:異常なし。 △:フクレ発生、錆なし。 ×:著しいフクレ、錆発生。
【0063】また、前記試験片を10%NaOH水溶
液、10%塩酸水溶液に、25℃、7日間浸漬した。 ○:異常なし。 △:フクレ発生、錆なし。 ×:著しいフクレ、錆発生。
【0064】[耐衝撃性]JIS K5400−7,8
に準拠してデュポン式衝撃試験を、荷重1kgで実施し
た。
【0065】 ◎:50cm異常なし。 ○:45cmまで異常なし。 △:40cmまで異常なし。 ×:35cmまで異常なし。 ××:30cm以下。
【0066】[乾燥性及び速硬化性]作製した塗料を、
ガラス板にドクターブレードにて膜厚40μになるよう
に塗布し、塗膜硬化速度試験機にて、25℃での乾燥、
硬化時間を測定した。
【0067】
【表2】
【0068】
【表3】
【0069】表−2からも明らかの通り、実施例1〜6
は、いずれも塗料安定性がよく乾燥性、硬化性に優れ、
また得られる塗膜は耐食性、耐衝撃性、耐薬品性ともに
優れていた。
【0070】一方、表−3から比較例1、2は塗料安定
は優れるものの、乾燥性、硬化性、及び塗膜の耐食性、
耐衝撃性、耐薬品性に劣る。
【0071】また、実施例1〜8の塗料を塩化ゴム系旧
塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)及びアルキド樹脂系
旧塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)にそれぞれ塗布
し、5時間後観察したところ異常は全く認められなっか
った。
【0072】
【発明の効果】本発明によれば、脂肪族炭化水素を主成
分とする溶剤を用いた場合の相溶性に優れ、取り扱いの
安全性や塗料用途における耐リフティング性が良好であ
ると共に、硬化物の耐衝撃性及び耐食性に著しく優れる
エポキシ樹脂組成物を提供できる。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基
    を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ
    樹脂(a1)を、多官能性フェノール類(a2)で鎖伸
    長した構造を有するエポキシ樹脂(A)と、硬化剤
    (B)と、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする
    有機溶剤(C)とを必須成分とすることを特徴とするエ
    ポキシ樹脂組成物。
  2. 【請求項2】 エポキシ樹脂(a1)が、エポキシ当量
    300〜1000g/eqのものである請求項1記載の
    組成物。
  3. 【請求項3】 有機溶剤(C)が、脂肪族炭化水素系有
    機化合物と芳香族系炭化水素系有機化合物との混合溶剤
    であり、かつ、それぞれの存在比が、前者/後者=90
    /10〜40/60となる範囲である請求項1記載の組
    成物。
  4. 【請求項4】 有機溶剤(C)が、工業用ガソリンJI
    S K 2201の4号及びまたは5号である請求項1ま
    たは3記載の組成物。
  5. 【請求項5】 硬化剤(B)が、ポリアミド樹脂である
    請求項1〜5の何れか記載の組成物。
  6. 【請求項6】 (A)〜(C)の各成分に加え、さらに
    硬化促進剤(D)を含有する請求項1〜5の何れか1つ
    に記載の組成物。
  7. 【請求項7】 組成物中の不揮発分含有量が50〜98
    重量%となる範囲である請求項1〜6の何れか1つに記
    載の組成物。
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