JP4092447B2 - エポキシ樹脂組成物及び新規エポキシ樹脂 - Google Patents

エポキシ樹脂組成物及び新規エポキシ樹脂 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、硬化時の反応性、硬化後の硬化物の耐候性、耐食性、密着性、耐衝撃性、耐薬品性に優れるため、塗料、成形材料、接着剤等の他、積層板、IC封止材、LED封止材といった電子材料等、幅広い分野に適用できる。更に、脂肪族炭化水素を主成分とする有機溶剤との相溶性に優れる為、塗料用途においては、低臭気かつ取り扱いの安全性に優れるとともに、旧塗膜への再塗装(リコート性)および耐リフティング性に優れる。なかでも、とりわけ耐候性を要求される塗料及び成形材料として有用なエポキシ樹脂組成物及び新規エポキシ樹脂に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、エポキシ樹脂を主剤とする組成物は一般的に機械物性質、耐水性、耐食性、密着性、耐化学薬品性、耐熱性、電気特性などの優れた効果を発現する為、接着剤、塗料、積層板、IC封止材、成形材料等幅広い分野で使用されている。
【0003】
なかでも、塗料用途においては、通常、溶媒に溶解させて使用するため、使用される希釈溶媒としては、毒性が低く、また、補修用塗料として旧塗膜上に塗装した場合にリフティング等の塗膜欠陥を起こさないものが求められている。
【0004】
そこで、低毒性で、かつ、補修塗装時の耐リフティング性に優れた希釈溶媒としてミネラルスピリットに代表される脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤が多く使用される様になってきている。
【0005】
このミネラルスピリットへの溶解性に優れ、補修用塗料として有用なエポキシ樹脂としては、例えば、特開平9−227825号公報には、炭化水素原子数5以上のアルキル基を芳香核上の置換基として有するノボラック型樹脂と1分子中に2個以上のエポキシ基を有するエポキシ樹脂との反応物を用いミネラルスピリットに溶解した塗料組成物が開示されている。
【0006】
また、一方で寒冷地や冬期に塗装を行う場合には、低温条件下での硬化性に優れることも要求されている。この様な低温硬化性の良好なエポキシ樹脂系塗料の塗膜形成法として、例えば、特公平4−29710号公報には、ビスフェノールF型エポキシ樹脂を多官能のノボラック樹脂で変性した多官能エポキシ樹脂を用い、10℃以下で乾燥硬化させる方法が開示されている。
【0007】
一方、住宅設備関連の成形材料では、ビスフェノールA型エポキシ樹脂硬化物が、補強材を使用しなくとも強度に優れ、成形物の軽量化が可能となる他、接着力、耐薬品性、成形時の寸法安定性等に優れる点から、陶器や金属が使用されている分野にまで踏み込める材料として期待されているが、紫外線の暴露に対し黄変する欠点を有していた。これを改善すべく、例えば、特開平6−136092公報には、水素化ビスフェノールAグリシジルエーテルを主剤として使用する技術が開示されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、塗料用途において、特開平9−227825号に記載のエポキシ樹脂組成物は、塗装環境並びに塗装作業性、更に補修用塗料として旧塗膜上に塗装した場合のリフティングの問題を解決できるものの、得られる硬化塗膜の耐衝撃性、耐食性、硬化性に劣るものであった。また、前述した低温条件下での硬化性も劣るものであった。
【0009】
また、特公平4−29710号公報記載のエポキシ樹脂組成物は、低温時の反応性は改善されるが、高粘度であり、かつミネラルスピリットには溶解しない事から塗装時の安全性や耐リフティング性で劣るという課題を有していた。
【0010】
一方、住宅設備関連の成形材料用途においては、特開平6−136092公報記載の水素化ビスフェノールAグリシジルエーテルを主剤とする注型硬化物は、十分な耐候性を達成できるが、汎用エポキシ樹脂の最大の特徴である耐衝撃性に代表される物理的強度が失われるものであった。
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、塗料用途において、脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤を用いた場合の相溶性に優れる為に、取り扱いの安全性や塗料用途における耐リフティング性が良好であると共に、硬化物の耐衝撃性及び耐食性に著しく優れ、更に低温硬化性をも飛躍的に向上させ、一方、成形材料用途において耐候性に優れると共に、物理的強度も著しく良好な注型硬化物となり得る、エポキシ樹脂組成物、及び、当該効果を発現させる新規エポキシ樹脂を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定構造のエポキシ樹脂を用いた結果、耐候性に優れ、長期的に光に暴露されても塗膜及び/若しくは成形物の光沢劣化や変色が少ないエポキシ樹脂組成物および新規エポキシ樹脂を見出し、本発明を完成するに至った。
【0013】
即ち、本発明は、下記構造式1
【化1】
Figure 0004092447
(式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるエポキシ樹脂(a1)、及び、
下記構造式2
【化2】
Figure 0004092447
(式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、Xは2価フェノール残基、nは0〜50の整数、mは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)
で表されるエポキシ樹脂(a2)から選択されるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物、及び、
下記構造式1
【0014】
【化3】
Figure 0004092447
(式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)
で表されることを特徴とする新規エポキシ樹脂に関する。
【0015】
本発明で使用するエポキシ樹脂(A)は、低粘度で、低温時の硬化反応性に優れるため、冬期ないし寒冷地における硬化性が良好となる。また脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)に良好に溶解されるため、当該有機溶剤(C)並びに硬化剤(B)と組合せた塗料は環境衛生上、および塗装作業性がよく、更に旧塗膜に塗り重ねても旧塗膜を溶解又は膨張させず、いわゆるリフティング等の塗膜欠陥の発生が防止出来、かつ耐衝撃性、耐薬品、耐食性、密着性、耐候性等の優れた塗膜が得られる。また、エポキシ樹脂(A)中エポキシ樹脂(a1)は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物であり、また、エポキシ樹脂(a2)は、該重縮合物とフェノール類及び/若しくはカルボン酸類との重付加物である。
【0016】
本発明で使用する炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物は、その構造が特に限定されるものではないが、例えばフェノール性水酸基を芳香環上に2つ有し、かつ、該芳香環上に脂肪族炭化水素基を置換基として有する化合物とエピハロヒドリンとを反応せしめて得られる構造のものが挙げられる。
【0017】
また、芳香環上に存在する脂肪族炭化水素基は、上記の通り炭素原子数4〜18のものであるが、なかでも耐衝撃性、耐食性、反応性及び耐候性が良好である点から炭素原子数4〜9であることが特に好ましい。
【0018】
ここで用いる脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類としては、具体的には、ブチルジヒドロキシベンゼン、オクチルジヒドロキシベンゼン、ノニルジヒドロキシベンゼン、ドデシルジヒドロキシベンゼン、オクタデシルジヒドロキシベンゼン等のアルキルジヒドロキシベンゼンが挙げられる。これらのジヒドロキシベンゼン類は1種単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、脂肪族炭化水素置換基の位置は任意で良い。さらに、脂肪族炭化水素は直鎖、分岐は任意で特に限定されるものではない。これらの中でも、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)との相溶性に優れる点からブチルジヒドロキシベンゼンが好ましい。
【0019】
このブチルジヒドロキシベンゼンを更に詳述すれば3−t−ブチルカテコール、4−t−ブチルカテコールが挙げられる。これらの中でも特に4−t−ブチルカテコールが好ましい。
【0020】
次いで、上述のジヒドロキシベンゼン類と、エピハロヒドリンと反応させてグリシジル化し目的とする、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物が得られる。
【0021】
この場合の反応条件は、特に制限されるものではないが、例えば、前記ジヒドロキシベンゼンの水酸基の1当量に対し、エピハロヒドリンを0.3〜10当量添加し、塩基の存在下に、40〜100℃で常圧または、減圧下で、場合によっては反応溶媒として、イソプロピルアルコール、ブタノール等のアルコール類、ジオキサン等のエーテル類、ジメチルスルフォキシド、1,3−ジメチルイミダゾリジノン等の非プロトン性極性溶媒を用い反応を行うことが好ましい。
【0022】
グリシジル化の際に用いる塩基は特に限定されるものではなく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられるが、なかでも水酸化カリウム及び水酸化ナトリウムが好ましい。また、これらの塩基は水溶液、固形のいずれもよい。
【0023】
本発明に係わるエピハロヒドリンとしては特に限定はしないが、好ましくはエピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられるが、なかでも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0024】
この様にして得られる、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物は、さらに分子量の調整のためにフェノール類重付加反応させてもよい。
【0027】
ここで使用し得るフェノール類としては、前記したジヒドロキシベンゼン類、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフエノールAD、テトラブロモビスフェノールA等のビスフェノール類挙げられるなかでも、原料ジヒドロキシベンゼン類として、4−t−ブチルカテコールを用いた重縮合物の場合には、更に反応させるフェノール類として、4−t−ブチルカテコールが好ましい。
【0029】
この重付加反応は、通常、塩基性触媒の存在下に行われるが、具体的には、第四級オニウム塩、ホスフィン類、アルカリ金属水酸化物、三級アミン類等が挙げられる。
【0030】
重縮合物とフェノール類との反応比率は特に制限されず、目的とするエポキシ当量に合わせて適宜選択できるが、特に、塗膜性能や(C)成分への溶解性の点から重縮合物中のエポキシ基/(フェノール類中の水酸基=100/1〜100/85となる範囲が好ましい。
【0031】
また、重縮合物とフェノール類との重付加物であるエポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は特に制限されるものではないが、塗料用途における塗膜の耐衝撃性、耐食性等の点から、エポキシ当量140〜5000g/eqであることが好ましい。
【0032】
この様にして得られるエポキシ樹脂(A)は、具体的には、下記構造式1
【化1】
Figure 0004092447
(式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるエポキシ樹脂(a1)、又は、
下記構造式2
【化2】
Figure 0004092447
(式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、Xは2価フェノール残基、nは0〜50の整数、mは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)
で表されるエポキシ樹脂(a2)となる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分として詳述した(A)成分のみならず、更に他のエポキシ樹脂(E)を配合してもよい。使用し得る他のエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂の他、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル等の脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、セカンダリーブチルフェノールグリシジルエーテル等のアルキルフェノール型エポキシ樹脂、ウンデカン酸グリシジルエステル等の高級脂肪酸エステル型エポキシ樹脂等が挙げられる。とりわけ、脂肪族アルコールエーテル型エポキシ樹脂、アルキルフェノール型エポキシ樹脂、高級脂肪酸エステル型エポキシ樹脂等が低粘度で作業性が飛躍的に向上する点から好ましい。
【0034】
本発明の樹脂組成物で必須の成分として使用される硬化剤(B)は、従来からエポキシ樹脂用硬化剤として通常使用されているものが特に制限なく利用出来るが、例えば、ポリアミド樹脂類、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノールノボラック樹脂、ポリアミン類、ポリカルボン酸類、ポリカルボン酸無水物類、イミダゾール類、ジシアンジアミド類、ケチミン類等が挙げられる。
【0035】
本発明の新規エポキシ樹脂、エポキシ樹脂組成物を塗料用途に用いる場合は、これらのなかでも脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)との相溶性の点から、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類、同フェノールノボラック樹脂、および、相溶性、耐衝撃性、反応性、密着性、耐食性、耐湿性等の塗膜性能に著しく優れる点からポリアミド樹脂が好ましい。また、特筆すべきは、通常、低温での硬化反応が極めて困難なポリアミド樹脂であっても、本発明では低温条件下で極めて良好な硬化性を発現することである。
【0036】
このポリアミド樹脂としては特に制限されるものではないが、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)との相溶性の点から、脂肪族系多官能性アミンと脂肪族カルボン酸とから形成されるものが好ましく、脂肪族系多官能性アミンとして、ペンタエチレンヘキサミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等が挙げられる。また、脂肪族カルボン酸としては、トール油脂肪酸などの、リノレン酸、リノール酸等からなるダイマー酸等が挙げられる。
【0037】
また、塗料用途において、必要に応じて硬化促進剤(D)を併用してもよく、具体的には、2,4,6−トリ(ジメチルアミノメチル)フェノール、ベンジルジメチルアミン、DBU等の第三級アミン類、2メチル4エチルイミダゾール等のイミダゾール類、トリフェニルフォスフィン等のフォスフィン類が挙げられる。
【0038】
本発明の組成物は、塗料用途としては既述した通り脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)を用いることが好ましい。既に詳述した通り、本発明では該有機溶剤(C)を配合した際の相溶性が極めて良好であるため、塗装時の安全性や耐リフティング性を高めることができる。
【0039】
この有機溶剤(C)としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカン、シクロヘキサン、デカリン等のシクロアルカン、及び/若しくは、これらを主成分とする、工業用ガソリンであるJIS K 2201の4号(ミネラルスピリット:引火点30℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点205℃以下)、工業用ガソリンJIS K 2201の5号(クリーニングソルベント:引火点38℃以上、50%留出温度180℃以下、蒸留終点210℃以下)等の有機溶剤が挙げられる。
【0040】
これらのなかでも引火点が高く塗装環境が良好である点また、補修用塗料として使用した場合のリフティング等、塗膜欠陥の防止効果が良好である点からJIS K 2201の4号またはJIS K 2201の5号が好ましい。
【0041】
脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)の使用量としては特に制限されるものではなく、寧ろ優れた相溶性を有する為に、所望の固形分含量に設定できるものであるが、特に塗料用組成物としては、塗装作業性の点から組成物中の不揮発分(フィラー等の添加剤を除く樹脂成分)の含有率で50〜98重量%であることが好ましい。
【0042】
また、塗料用途においては、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)のみならず、必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲で、従来からエポキシ樹脂用溶剤として通常使用されているその他の有機溶剤を併用してもよい。その他の有機溶剤としては、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系、メチルエチルケトン等のケトン類、1−ブタノール等のアルコール類、ブチルセロソルブ等のエステル類等が挙げられる。
【0043】
塗料用途における本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じ、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの各種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリブテン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウムあるいはアルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料が、着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が代表的なものとして挙げられる。これらのフィラー量は塗料組成物中約20〜70重量%の範囲が好ましい。
【0044】
前記添加剤としては、例えばハジキ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤、光安定剤等が代表的なものとして挙げられる。とりわけ、紫外線吸収剤、光安定剤を適切に添加することは耐候性を向上する意味で効果がある。
【0045】
また、塗料用途においては、既述の通り、脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)との相溶性、相溶性、耐衝撃性、反応性、密着性、耐食性、耐湿性等の塗膜性能、及び、低温での硬化性にも優れるものであるが、特に長期にわたって紫外線に暴露された際の着色が少ない、いわゆる耐候性に優れることにより、トップコートが必要なくなる、塗装からの経過時間によらず良好に上塗りが可能な、インターバルフリー塗料として利用できる等、非常に有用である。また、トップコートとしてウレタン系塗料を更に塗工する場合においても、その密着性に優れたものとなる。
【0046】
一方、本発明による組成物を成形材料として使用する際には、特に有機溶剤は必要ない。硬化剤としては、既に詳述した硬化剤のいずれも使用できるが、とりわけ無色の硬化物が要求される住宅設備関連分野に用いられる成形材料においては、特に脂肪族ポリアミン、及び/若しくは脂肪族ポリカルボン酸無水物が好ましい。
【0047】
脂肪族ポリアミンとしては特に限定されるものではないが、硬化物の機械的性質の面から、脂環式ポリアミンが好ましい。脂環式ポリアミンとしては、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3−BAC)、ノルボルナンジアミン、ビス(4−アミノ−3−メチルシクロヘキシル)メタン等が挙げられる。エポキシ樹脂との反応性制御、および配合比を調整する目的で、これらの脂環式ポリアミンを混合しても良く、またマニッヒ変性、エポキシ変性、アクリロニトリル変性等、種々の変性を加えても良い。
【0048】
また、脂肪族ポリカルボン酸無水物についても同様に特に限定されるものではないが、混練時の作業性、硬化物の機械的性質の面から、脂環式酸無水物が好ましい。脂環式酸無水物としてはヘキサヒドロ無水フタル酸、2−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられ、これらを混合して用いることにより、更に硬化物の耐候性や機械的性質の改善を図ることも可能である。
【0049】
脂環式ポリカルボン酸無水物を硬化剤として使用する場合、加熱硬化が一般的な硬化手段であり、硬化促進剤の添加が必須である。硬化促進剤としては、第3級アミン類、イミダゾール類、イミダゾリン類、フォスフィン類が挙げられる。
【0050】
成形材料用途においては、必要に応じ各種フィラーや各種添加剤等を使用することが望ましい。とりわけ無色の硬化物が要求される住宅設備関連分野において使用できるフィラーとしては、シリカ、チタン白、炭酸カルシウム、水酸化アルミ等が代表的なものとして挙げられるが、これらに制限されるものではなく、大理石調の模様を形成するなどの目的で、種々のフィラーを混合して使用することも可能である。
【0051】
添加剤としては、必要に応じ、前記塗料用途の添加剤の他、帯電防止剤、難燃剤、防かび剤、抗菌剤、シランカップリング剤等が挙げられる。
【0052】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は重量基準である。
【0053】
実施例1[4−ターシャリブチルカテコールとエピクロルヒドリンとの重縮合物の合成]
温度計、適下ロート、冷却管、撹拌機、邪魔板を備えた、下部に分液コック付きの2リットルのセパラブルフラスコに、4−ターシャリブチルカテコール200g、エピクロルヒドリン560g、イソプロピルアルコール150gを仕込、撹拌、溶解させ、40℃に加熱した。その後適下ロートより、20%水酸化ナトリウム水溶液の 530gを3時間かけて適下した。適下終了後30分間撹拌を続け、反応を完結させた。その後撹拌を停止し静置し、下層の食塩水を分液し除いた。次に、過剰のエピクロルヒドリン、イソプロピルアルコール、水を蒸留回収した。得られた粗樹脂をトルエン335gで溶解させ、5%水酸化ナトリウム水溶液を50g加え、80℃、3時間撹拌した。その後水洗により生成した塩、及びアルカリを油水分離させて、除去し、脱水、濾過を経てトルエンを蒸留回収させてエポキシ樹脂(a)を得た。
【0054】
このエポキシ樹脂(a)につき13C−核磁気共鳴スペクトルおよび、質量分析スペクトルを測定し、それぞれ図1及び図2に示した。また赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を図3及び次に示す。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(a)のエポキシ当量は226g/eq、粘度2,500mPa・s(25℃)であった。
【0055】
実施例2
エピクロルヒドリンの量を100g用いるように変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂(b)を得た。
赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を次に示しす。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(b)のエポキシ当量は417g/eqの半固形の樹脂であった。
【0056】
実施例3
エピクロルヒドリンを334g用いるように変更した以外は実施例1と同様にしてエポキシ樹脂(c)を得た。
赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を次に示しす。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(c)のエポキシ当量は276g/eq、粘度25,100mPa・s(25℃)の樹脂であった。
【0057】
実施例4[4−ターシャリブチルカテコールとエピクロルヒドリンとの 重縮合物とフェノール類との重付加物の合成]
温度計、冷却管、撹拌器、邪魔板を備えた、2リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られたエポキシ樹脂(a)300gと、4−ターシャリブチルカテコール5gを仕込、撹拌、溶解させ、80℃に加熱した。そこにテトラメチルアンモニウムクロライド50%水溶液を全樹脂量に対し100ppm添加し、140℃で4時間加熱してエポキシ樹脂(d)を得た。
赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を次に示しす。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(d)のエポキシ当量は370g/eqの樹脂であった。
【0058】
実施例5
エポキシ樹脂(a)と反応させる4−ターシャリブチルカテコールを、ジシクロペンタジエンフェノール樹脂(日本石油化学社製 日石特殊フェノールDPP−M)10gに変更した以外は合成例4と同様にしてエポキシ樹脂(e)を得た。
赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を次に示しす。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(e)のエポキシ当量は375g/eqの樹脂であった。
【0059】
実施例6[4−ターシャリーブチルカテコールとエピクロルヒドリンとの重縮合物とカルボン酸類との重付加物の合成]
温度計、冷却管、撹拌器、邪魔板を備えた、2リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られたエポキシ樹脂(a)300gと、カルボン酸類としてのダイマー酸(ハリマ化成社製 商品名ハリダイマー#250、酸当量 290g/eq)75gを仕込み、撹拌、溶解させ、80℃に加熱した。そこにトリエチルアミンを全樹脂量に対し100ppm添加し、130℃で6時間加熱してエポキシ樹脂(f)を得た。
赤外吸収スペクトルの測定での特異吸収を次に示しす。
3050〜2850cm-1;メチン基、メチレン基、メタン基
1740cm-1;エステル結合
1600,1500cm-1;ベンゼン環
1260cm-1;エーテル結合
920cm-1;オキシラン環基
750cm-1;オルソ置換ベンゼン環
このエポキシ樹脂(f)のエポキシ当量は360g/eq、粘度は6000mPa・sであった。
【0060】
比較例1[比較用、変性エポキシ樹脂の合成]
温度計、撹拌機及び冷却管を取り付けた反応器にミネラルスピリット(不揮発分として60%となる量)となるようにノニルフェノールノボラック樹脂を溶解させ、「EPICLON 850」(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ当量=188g/eq、粘度12,500mPa・s)を、(エポキシ樹脂のモル数)/(ノボラック樹脂のフェノール性水酸基数)の比を、1.5/2になるように仕込み、水酸化カリウムを全樹脂料に対して0.01%添加し150℃でエポキシ当量が680g/eq(固形分値)となるまで、撹拌しながら反応させた。その後40℃に冷却した。得られた変性エポキシ樹脂(g)のエポキシ当量は685g/eqであり、ワニス性状は透明であった。
【0061】
[エポキシ樹脂の脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤への溶解性の評価]
実施例7〜18及び比較例2、3
実施例1〜5、28及び比較例1で得られたエポキシ樹脂に、硬化剤として「ラッカマイド N−153−IM65」(大日本インキ化学工業(株)製、ポリアミド樹脂:活性水素当量=470)を当量配合し、この各樹脂組成物の脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。結果を表−1に示す。
【0062】
比較例4、5
「EPICLON 850」(h)(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ当量=188g/eq、粘度12500mmPa・S(25℃))に、実施例1〜5と同様にポリアミド樹脂を配合し脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を表−1に示す。
比較例6,7
低温硬化性に優れる樹脂として、特公平4−29710記載樹脂である「EPICLON 5100」(i)(大日本インキ化学工業(株)製、:エポキシ当量=186g/eq、粘度12400mmPa・S(25℃))に、実施例1〜5と同様にポリアミド樹脂を配合し脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を、表−1に示す。
【0063】
ここで、70%溶液の低温溶解性と溶解度は以下の方法で評価した。
[70%溶液の低温溶解性]
樹脂組成物(a)〜(i)の70部に対して、脂肪族炭化水素系有機溶剤を30部の割合で用いてエポキシ樹脂組成物を調製し、この樹脂溶液を、5℃で24時間静置し、透明性を判定。
○:透明
×:白濁
【0064】
[溶解度]
樹脂組成物(a)〜(i)に、各脂肪族炭化水素系有機溶剤をそれぞれ加え、白濁に要する溶剤の重量を求め、次式により算出した。
【0065】
【式1】
Figure 0004092447
但し、希釈価=1000となるまで溶剤を加えても透明な場合は1000↑と示す。
【0066】
【表1】
Figure 0004092447
【0067】
表−1からも明かな通り、実施例7〜18及び、比較例2、3は透明性が良く、(すなわち、脂肪族系有機溶剤によく溶解し)貯蔵安定性が良かった。
【0068】
一方、比較例4〜7は白濁し、溶媒への溶解性が悪く塗料用として実用上、使用出来ないものであった。すなわち、脂肪族系有機溶剤が使用できないものである。
【0069】
[塗料用途における評価]
次に、実施例6〜18で得られたワニス(各脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)につき、表−2に示す成分を配合し、塗料を調整した。この塗料の乾燥性、硬化性(塗膜硬化速度試験機による)、及び塗膜の、耐食性(塩水噴霧試験)、耐薬品性(10%NaOH水溶液、10%塩酸水溶液浸漬試験)、耐衝撃性(デュポン式衝撃試験)、耐候性(色差、光沢)及び上塗り性(碁盤目試験、屈曲性)の試験をし、その結果を表−2下欄に示した。
【0070】
比較例2、3で得られたワニス(各脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)に、また比較例6については脂肪族炭化水素系有機溶剤にて希釈出来なかったが、硬化速度を比較するために、希釈溶媒をトルエン(70%溶液)としてワニス調整をした。表−3にそれぞれ示す成分を配合し、塗料を調整した。この塗料の乾燥性、硬化性(塗膜硬化速度試験機による)、及び塗膜の、耐食性(塩水噴霧試験)、耐薬品性(10%NaOH水溶液、10%塩酸水溶液浸漬試験)、耐衝撃性(デュポン式衝撃試験)、耐候性(色差、光沢)及び上塗り性(碁盤目試験、屈曲性)の試験をし、その結果を表−3下欄に示した。
【0071】
尚、各評価試験は以下の方法に従って行った。
【0072】
[塗装状態]
注3)3本ロールミルで塗料の粘度95±5KU(25℃)に調整した後、20℃、3時間放置し、塗料状態を観察した。
○:異常なし。
×:ワニス分離。
【0073】
[耐食性及び耐薬品性]
調整した塗料を、冷間熱延鋼板:JIS,G,3141(SPCC,SB)、0.8×70×150mmのサンドペーパー#240表面処理板にバーコーターにて膜厚40μになるように塗布し、25℃、7日間乾燥させ試験片を作製。
次いで、JIS K5400−7,8に準拠して塩水噴霧試験(300時間)した。また、前記試験片に10%NaOH、10%HClの薬液に、夫々25℃、7日間浸漬した。
○:異常なし、錆なし。
△:フクレ発生、錆なし。
×:著しいフクレ、錆発生。
[耐衝撃性]
JIS K5400−7,8に準拠してデュポン式衝撃試験を実施した。
◎:50cm異常なし。
○:45cmまで異常なし。
△:40cmまで異常なし。
×:35cmまで異常なし。
××:30cm以下。
【0074】
[乾燥性及び硬化性]
調整した塗料を、ガラス板にドクターブレードにて膜厚40μにまるように塗布し、塗膜硬化速度試験機にて、5℃、25℃でそれぞれの温度にて、乾燥、硬化時間を測定。
[耐候性]
屋外暴露6ヶ月後の実施例および比較例の色差、光沢(60度グロス)について測定した。
【0075】
[上塗り性試験]
各実施例及び比較例で得られた試験片を屋外暴露6ヶ月後、ウレタン系塗料を上塗りし、碁盤目試験及び屈曲試験を行った。
碁盤目試験:JIS K 5400に準拠。
屈曲試験:JIS K 5400に準拠。
【0076】
【表2】
Figure 0004092447
【0077】
【表3】
Figure 0004092447
【0078】
表−2からも明らかの通り、本発明の塗料組成物である実施例7〜18は、いずれも塗料安定性がよく乾燥性、硬化性に優れ、また得られる塗膜は耐食性、耐衝撃性、耐薬品性、耐候性、上塗り性ともに優れていた。
【0079】
また、実施例7〜18の塗料を塩ゴム系旧塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)及びアルキド樹脂系旧塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)にそれぞれ塗布し、5時間後観察したところ異常は全く認められなかった。同様にしてキシレン/トルエンの混合溶媒を使用したビスフェノールA型エポキシ樹脂塗料を塗布した場合、旧塗膜がいずれもリフティングした。
【0080】
[成形材料としての評価]
以下の各実施例19〜31及び比較例7〜12で得られた注型硬化物について、以下の方法に従って、耐候性及び物理的強度を評価した。
耐候性
JIS B 7753に準拠したサンシャインウェザロメーターにて、JIS D 0205の試験条件で100時間の耐候性試験を行い、試験前後の色差を測定した。結果を表−7、表−8、表−9、表−10に示した。
【0081】
物理的強度
JIS K 6911の試験方法に従い、実施例16〜29及び比較例12〜14について成形物のシャルピー衝撃強度を測定し耐衝撃性を評価した。結果を表−7、表−8、表−9、表−10に示した。
【0082】
実施例19〜22(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
実施例1〜4の樹脂に対し、硬化剤としてイソホロンジアミンを当量配合し、表−4に示す成分を配合し、ホモミキサーで十分に混練した後、厚み5mmの型枠に注入、110℃、30分間、加熱硬化して目的の注型硬化物を得た。
【0083】
実施例23(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
実施例1の樹脂(a)に対して「EPICLON 850」を等量配合したエポキシ樹脂(l)に対して、実施例19と同様に注型硬化物を得た。
【0084】
実施例24(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
実施例1の樹脂(a)に対して「EPICLON 720」を等量配合したエポキシ樹脂(m)に対して、実施例19と同様に注型硬化物を得た。
【0085】
実施例25(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
実施例28の樹脂(f)に対して実施例19と同様に注型硬化物を得た。
【0086】
比較例7(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
「EPICLON 850」(h)に対し、実施例19と同様に注型硬化物を得た。
【0087】
比較例8(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
「EPICLON 850」に対し、紫外線吸収剤2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)を0.5wt%添加したエポキシ樹脂配合物(n)に対して、実施例19と同様に注型硬化物を得た。
【0088】
比較例9(脂環式アミン硬化剤を用いた場合)
水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(o)に対して、実施例16と同様に注型硬化物を得た。
【0089】
【表4】
Figure 0004092447
【0090】
【表5】
Figure 0004092447
【0091】
表−4、表−5から明らかな通り、実施例19〜25は、いずれも優れた耐候性および衝撃強度を示した。
【0092】
実施例26〜29(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
実施例1〜4の樹脂に対し、硬化剤として「EPICLON B−650」(大日本インキ化学工業(株)製、脂環式酸無水物硬化剤、酸無水物当量=170g/eq)を当量配合し、硬化促進剤として、三級アミンを1phr添加したものをワニスとし、表−9に示す成分を配合し、ホモミキサーで十分に混練した後、厚み5mmの型枠に注入、140℃、3.5時間、加熱硬化して目的の注型硬化物を得た。
【0093】
実施例30(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
実施例1の樹脂(a)に対して「EPICLON 850」を等量配合したエポキシ樹脂(l)に対して、実施例26と同様に注型硬化物を得た。
【0094】
実施例31(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
実施例1の樹脂(a)に対して「EPICLON 720」を等量配合したエポキシ樹脂(m)に対して、実施例26と同様に注型硬化物を得た。
【0095】
実施例32(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
実施例28の樹脂(f)に対して実施例26と同様に注型硬化物を得た。
【0096】
比較例10(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
「EPICLON 850」(h)に対し、実施例22と同様に注型硬化物を得た。
【0097】
比較例11(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
「EPICLON 850」に対し、紫外線吸収剤2−(5−メチル−2−ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)を0.5wt%添加したエポキシ樹脂配合物(n)に対して、実施例26と同様に注型硬化物を得た。
【0098】
比較例12(脂環式酸無水物硬化剤を用いた場合)
水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル(o)に対して、実施例22と同様に注型硬化物を得た。
【0099】
【表6】
Figure 0004092447
【0100】
【表7】
Figure 0004092447
【0101】
表−6、表−7から明らかな通り、実施例26〜32は、いずれも優れた耐候性および衝撃強度を示した。
【0102】
【発明の効果】
本発明によれば、塗料用途において、脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤を用いた場合の相溶性に優れる為に、取り扱いの安全性や塗料用途における耐リフティング性が良好であると共に、硬化物の耐衝撃性及び耐食性に著しく優れ、更に低温硬化性をも飛躍的に向上させる一方、成形材料用途において耐候性に優れると共に、物理的強度も著しく良好な注型硬化物となり得る、エポキシ樹脂組成物、及び、当該効果を発現させる新規エポキシ樹脂を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得られたエポキシ樹脂(a)の13C−核磁気共鳴スペクトルのチャート図である。
【図2】図2は、実施例1で得られたエポキシ樹脂(a)の質量分析スペクトルのチャート図である。
【図3】図3は、実施例1で得られたエポキシ樹脂(a)の赤外吸収スペクトルのチャート図である。

Claims (15)

  1. 下記構造式1
    Figure 0004092447
    (式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されるエポキシ樹脂(a1)、及び、
    下記構造式2
    Figure 0004092447
    (式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、Xは2価フェノール残基、nは0〜50の整数、mは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)
    で表されるエポキシ樹脂(a2)から選択されるエポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)とを必須成分とすることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
  2. エポキシ樹脂(a2)が、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するジヒドロキシベンゼン類とエピハロヒドリンとの重縮合物を、更にジヒドロキシベンゼン類重付加反応させたものである請求項1記載の組成物。
  3. エポキシ樹脂(A)が、エポキシ当量140〜5,000g/eqのものである請求項1記載の組成物。
  4. 前記エポキシ樹脂(a1)が、4−ターシャリブチルカテコールと、エピハロヒドリンとの重縮合物である請求項記載の組成物。
  5. 前記エポキシ樹脂(a2)が、4−ターシャリブチルカテコールと、エピハロヒドリンとの重縮合物を、更に4−ターシャリブチルカテコールと重縮合したものである請求項2又は3記載の組成物。
  6. 前記エポキシ樹脂(A)及び硬化剤(B)に加え、更に脂肪族炭化水素系有機化合物を主成分とする有機溶剤(C)を含有する請求項1〜5の何れか一つに記載の組成物。
  7. 有機溶剤(C)が、脂肪族炭化水素系有機化合物と芳香族系炭化水素系有機化合物との混合溶剤であり、かつ、それぞれの存在比が、前者/後者=90/10〜40/60重量部となる範囲である請求項6記載の組成物。
  8. 組成物中の不揮発分含有量が50〜98重量%となる範囲である請求項6又は7記載の組成物。
  9. 前記エポキシ樹脂(A)、硬化剤(B)に加え、更に硬化促進剤(D)を含有する請求項1〜8の何れか一つに記載の組成物。
  10. 前記エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)に加え、更に他のエポキシ樹脂(E)を含有することを特徴とする請求項1〜9の何れか一つに記載のエポキシ樹脂組成物。
  11. 硬化剤(B)がポリアミド樹脂である請求項1〜10記載の何れか一つに記載の組成物。
  12. 硬化剤(B)が脂肪族ポリアミンである請求項1〜10記載の何れか一つに記載の組成物。
  13. 硬化剤(B)が脂肪族ポリカルボン酸無水物である請求項1〜5、9、10の何れか一つに記載の組成物。
  14. 下記構造式1
    Figure 0004092447
    (式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、nは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されること特徴とする新規エポキシ樹脂。
  15. 下記構造式2
    Figure 0004092447
    (式中、Rは炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基、Xは2価フェノール残基、nは0〜50の整数、mは0〜50の整数をそれぞれ表わす。)で表されること特徴とする新規エポキシ樹脂。
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