JP3614516B2 - エポキシ樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は脂肪族炭化水素を主成分とする溶剤に可溶で、かつ耐水性、耐食性、密着性、耐熱性等の優れた塗膜が得られるエポキシ樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、エポキシ樹脂は耐食性、密着性、耐薬品性、耐熱性等に優れているため防食塗料用樹脂として広く使用されており、例えばビスフェノール型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等に代表されるエポキシ樹脂を、硬化剤とともに、有機溶剤に溶解して用いられている。
【0003】
しかしながら、上記の汎用型エポキシ樹脂は、溶剤溶解性に劣り、トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、酢酸エチル等に代表される低引火点、低沸点、有毒性の強い溶剤にしか溶解せず、塗装環境、塗装作業性に問題がある他、また旧塗膜の補修用塗料として旧塗膜上に塗装した場合、旧塗膜を溶解もしくは膨張させ、リフティング等の塗膜欠陥を引き起こすといる課題を有していた。
【0004】
そこで従来より、特公平6−80200号公報には、平均エポキシ当量数250以下のエポキシ樹脂に脂肪族モノカルボン酸を変性して得られる変性エポキシ樹脂を用い、ミネラルスピリットに溶解した塗料組成物が開示されており、前記塗装環境並びに塗装作業性、更に補修用塗料として旧塗膜上に塗装した場合のリフティングの問題を解決できる旨が記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記特公平6−80200号公報記載の塗料組成物は、塗装環境、塗装作業性、リフティング等の問題を解決できるものの硬化塗膜の耐熱性に劣るという課題を有していた。
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、高引火点、高沸点、低公害性である脂肪族炭化水素系有機溶剤と良好に相溶化しており、かつ、塗膜にした際の耐熱性に著しく優れるエポキシ樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者等はこのような現状に鑑み、鋭意検討を重ねた結果、特定構造のエポキシ樹脂を用いた結果、脂肪族炭化水素系有機溶剤に良好に溶解し、上記課題を解決できるエポキシ樹脂組成物が得られることを見いだし本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明は、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)とを必須成分としており、かつ、前記硬化剤(B)がアミン価で240〜650のポリアミド樹脂であることことを特徴とするエポキシ樹脂組成物に関する。
【0009】
本発明で使用する炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)は、既述の通り脂肪族炭化水素系溶剤(C)に良好に溶解されるため、ノボラック型エポキシ樹脂(A)と、当該有機溶剤(C)と、更に硬化剤(B)としてアミン価240〜650のポリアミド樹脂とを組合せた塗料は塗料環境、塗料作業性がよく、更に旧塗膜に塗り重ねても旧塗膜を溶解もしくは膨張させず、リフティング等の塗膜欠陥の発生が防止出来、かつ耐水性、耐食性、密着性等の優れた塗膜が得られる。
【0010】
本発明で使用する炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)は、その構造が特に限定されるものではないが、例えばフェノール核上に脂肪族炭化水素基を置換基として有するフェノールノボラック型樹脂とエピハロヒドリンとを反応せしめて得られる構造を有するものが挙げられる。
【0011】
この様な炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)は、例えば、以下の方法によって製造できる。
【0012】
即ち、脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノール類とケトン類とを触媒の存在下で縮合させ、得られたフェノールノボラック型樹脂にエピハロヒドリンを反応させる方法が挙げられる。
【0013】
ここで用いる脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノール類としては、例えば、ブチルフェノール、ヘキシルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、ドデシルフェノール、オクタデシルフェノール等のアルキルフェノールが挙げられる。また、本発明において、前記フェノール類は1種単独でも使用しても良いし、2種以上を併用しても良い。また、脂肪族炭化水素置換基の位置並びに数は任意で良い。
【0014】
また、当該反応で使用するケトン類としては特に限定しないが、例えばホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アセトン、ベンズアルデヒド等があり、好ましくはホルムアルデヒド及びパラホルムアルデヒドが挙げられる。
【0015】
脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノール類とケトン類との反応に用いられる触媒としては、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、塩酸、硫酸、リン酸、サリチル酸、安息香酸、シュウ酸等の如き酸性触媒、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、アンモニア等の如き塩基性触媒、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等の如き金属塩触媒が挙げられる。
【0016】
ここで、脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するフェノール類とケトン類との反応の結果、得られるフェノールノボラック型樹脂は、最終的に得られるエポキシ樹脂の溶液中の適正な粘度を保持するために、芳香核の平均核体数が2〜6核体のものが好ましく、なかでも2〜4核体のものが好ましい。
【0017】
次いで、得られたフェノールノボラック型樹脂は、エピハロヒドリンと反応させてグリシジル化し目的とする炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)が得られる。
【0018】
この場合の反応条件は、特に制限されるものではないが、例えば、前記フェノールノボラック樹脂の水酸基の1当量に対し、エピハロヒドリンを1.4〜20当量添加し、塩基の存在下に50〜120℃で反応を行うことが好ましい。
【0019】
グリシジル化の際に用いる塩基は特に限定されるものではなく、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化バリウム、酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられるが、好ましくは水酸化カリウム及び/または水酸化ナトリウムが挙げられる。
【0020】
本発明に係わるエピハロヒドリンとしては特に限定しないが、好ましくはエピクロルヒドリン、β−メチルエピクロルヒドリン、エピブロモヒドリン、β−メチルエピブロモヒドリン等が挙げられるが、なかでも反応性の点からエピクロルヒドリンが好ましい。
【0021】
この様にして得られるノボラック型エポキシ樹脂(A)は、既述の通り、炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂である。ここで、ノボラック型エポキシ樹脂(A)は、組成物の粘度低減効果の点から芳香核の平均核体数が2〜6核体のものが好ましく、なかでも2〜4核体のものが好ましい。
【0022】
また、エポキシ樹脂(A)中の芳香核上に存在する脂肪族炭化水素基は、上記の通り炭素原子数4〜18のものであるが、なかでも耐熱性が良好である点から炭素原子数6〜10であることが特に好ましい。
【0023】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂成分として上記(A)成分のみならず、更に他のエポキシ樹脂を配合してもよい。
【0024】
他のエポキシ樹脂としては、特に制限されるものではないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、o−クレゾールノボラック型エポキシ樹脂等が挙げられるが、これらに限定するものではない。
【0025】
本発明の樹脂組成物の(B)成分として用いられる硬化剤は、アミン価240〜650のポリアミド樹脂であり、かかるポリアミド樹脂は、脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)との相溶性、また、耐熱性、密着性、耐食性、耐湿性等の塗膜性能に著しく優れるという特徴を有する。
【0027】
このポリアミド樹脂としては特に制限されるものではないが、脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)との相溶性の点から、脂肪族系多官能性アミンと脂肪族ジカルボン酸とから形成されるものが好ましく、脂肪族系多官能性アミンとして、ペンタエチレンヘキサミン、テトラエチレンペンタミン、トリエチレンテトラミン、ジエチレントリアミン等が挙げられ、また、脂肪族ジカルボン酸としてオレイン酸、リノール酸、アジピン酸等が挙げられる。
【0028】
また、このポリアミド樹脂は組成物の相溶性の点から、前記したとおりアミン価で240〜650である。また、特に組成物の流動性と硬化塗膜の耐熱性とのバランスの点から350〜620であることがより好ましい。
【0029】
本発明の樹脂組成物の(C)成分として用いられる脂肪族炭化水素系有機溶剤は、例えば、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、デカン、ドデカン等のアルカン、シクロヘキサン、デカリン等のシクロアルカン、もしくは、これらを主成分とするミネラルスピリト、0号ソルベント(日本石油(株)製、芳香族成分0.0%溶剤:沸点244〜262℃、引火点133℃)等の有機溶剤が挙げられる。
【0030】
これらのなかでも引火点が高く塗装環境が良好である点から引火点70℃以上、200℃未満のものが好ましく、具体的には前記0号ソルベントが挙げられ、また、補修用塗料として使用した場合のリフティング等の塗膜欠陥の防止効果が良好である点からミネラルスピリトが好ましい。
【0031】
脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)の使用量としては特に制限されるものではなく、寧ろ優れた相溶性を有する為に、所望の固形分含量に設定できるものであるが、特に塗料用組成物としては、塗装作業性の点から組成物中の不揮発分(フィラー等の添加剤を除く樹脂成分)の含有率で50〜90重量%であることが好ましい。
【0032】
また、本発明のエポキシ樹脂組成物は、脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)のみならず、必要に応じ本発明の効果を損なわない範囲で、従来からエポキシ樹脂用溶剤として通常使用されているその他の有機溶剤を併用してもよい。
その他の有機溶剤としては、例えばトルエン等の芳香族炭化水素系、メチルエチルケトン等のケトン類、イソブタノール等のアルコール類、ブチルセルソルブ等のエステル類等が挙げられる。
【0033】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、必要に応じ特に塗料用途としては、防錆顔料、着色顔料、体質顔料などの各種フィラーや各種添加剤等を配合することが好ましい。
【0034】
前記防錆顔料としては亜鉛粉末、リンモリブチン酸アルミニウム、リン酸亜鉛、リン酸アルミニウム、クロム酸バリウムあるいはアルミニウム、グラファイト等の鱗片状顔料が、着色顔料としてはカーボンブラック、酸化チタン、硫化亜鉛、ベンガラ、酸化鉄が、体質顔料としては硫酸バリウム、炭酸カルシウム、タルク、カオリン等が代表的なものとして挙げられる。
【0035】
これらのフィラー量は塗料組成物中約20〜70重量%配合するのが適当である。
【0036】
前記添加剤としては、例えばハジギ防止剤、ダレ止め剤、流展剤、消泡剤、硬化促進剤、紫外線吸収剤等が代表的なものとして挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、本発明を実施例により更に詳細に説明する。なお、実施例中「部」、「%」は重量基準である。
【0038】
a.フェノールノボラック樹脂の合成
合成例1
温度計、適下ロート、冷却管、攪拌器を備えた2リットルのフラスコに、パラオクチルフェノール400gを溶融させ、シュウ酸35を仕込、攪拌、溶解させ、その後適下ロートより、41%ホルマリン80gを100℃を保ちながら3時間かけて適下した。適下終了後2時間攪拌を続け、反応を完結させた。その後徐々に140℃まで昇温し、メタノールと水を留去した。更に、昇温を続けながら、最終的に220℃、5mmHgで低沸点物を留去し、ノボラック樹脂(a−1)405gを得た。得られたノボラック樹脂(a−1)の水酸基当量は214、平均核体数3.0、軟化点87℃であった。
【0039】
合成例2
パラオクチルフェノールの代わりに、パラドデシルフェノールを510g用いるように変更した以外は合成例1と同様にしてノボラック樹脂(a−2)を得た。得られたノボラック樹脂(a−2)の水酸基当量は275、平均核体数3.1であった。
【0040】
合成例3
パラオクチルフェノールの代わりに、オルソセカンダリーブチルフェノールを290g用いるように変更した以外は合成例1と同様にしてノボラック樹脂(a−3)を得た。得られたノボラック樹脂(a−3)の水酸基当量は165、平均核体数2.9であった。
【0041】
b.フェノールノボラック型エポキシ樹脂の合成
合成例4
温度計、適下ロート、冷却管、攪拌器、邪魔板を備えた、下部に分液コック付きの2リットルのセパラブルフラスコに、合成例1で得られたパラオクチルフェノールノボラック樹脂(a−1)400g、エピクロルヒドリン600gを仕込、攪拌、溶解させ、45℃に加熱した。その後適下ロートより、20%水酸化ナトリウム水溶液の 400gを3時間かけて適下した。適下終了後30分間攪拌を続け、反応を完結させた。その後攪拌を停止し静置し、下層の食塩水を分液し除いた。次に、過剰のエピクロルヒドリン、水を蒸留回収した。得られた粗樹脂中をメチルイソブチルケトン800gで溶解させ、水酸化ナトリウム水溶液を60g加え、80℃、3時間攪拌した。その後水洗により生成した塩、及びアルカリを油水分離させ、除き、脱水、濾過を経てメチルイソブチルケトンを蒸留回収しエポキシ樹脂を得た。得られたエポキシ樹脂(b−1)のエポキシ当量は350、平均核体数3.3、軟化点62℃であった。
【0042】
合成例5
パラオクチルフェノールノボラック樹脂(a−1)の代わりに、合成例2で得られたパラドデシルフェノールノボラック樹脂(a−2)を510g用いるように変更した以外は合成例1と同様にしてエポキシ樹脂(b−2)を得た。得られたエポキシ樹脂(b−2)のエポキシ当量は450、平均核体数3.2、軟化点42℃であった。
【0043】
合成例6
パラオクチルフェノールノボラック樹脂(a−1)の代わりに、合成例3で得られたオルソセカンダリーブチルフェノールノボラック樹脂(a−3)を310g用いるように変更した以外は合成例1と同様にしてエポキシ樹脂(b−3)を得た。得られたエポキシ樹脂(b−3)のエポキシ当量は280、平均核体数3.3、軟化点67℃であった。
【0044】
c.比較用、変性エポキシ樹脂の合成
合成例7
温度計、攪拌器及び冷却管を取り付けた反応器にミネラルスピリット(不揮発分として70%となる量)と、「EPICLON 830」(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールF型エポキシ樹脂:エポキシ当量=173、粘度3600cps)及びネオデカン酸とトール油脂肪酸の30/70の混合物とを当量比で2/1となる割合で仕込、約110℃に昇温し、攪拌しながら水酸化カリウムを全樹脂量に対して0.01%添加して、次いで150℃まで昇温し、同温度に3時間保持し、酸価が2mg KOH/g以下になったことを確認後、40℃に冷却した。ここまでの精製物の水酸基に対し、当量配合のトリレンジシアネートを適下し、赤外分光光度計で−NCOの吸収が認められなくなるまで反応させ変性エポキシ樹脂(c)(70%ミネラルスピリット溶液)ワニスを製造した。得られた変性エポキシ樹脂(c)のエポキシ当量は990であり、ワニス性状は透明であった。
【0045】
実施例1〜3
合成例4で得られたエポキシ樹脂(b−1)に、硬化剤として「EPICLON B−065」(大日本インキ化学工業(株)製、ポリアミド樹脂:アミン価=610)を当量配合し、この樹脂組成物(a)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0046】
実施例4〜6
合成例5で得られたエポキシ樹脂(b−2)に、硬化剤として「EPICLON B−065」(同上社製、ポリアミド樹脂:アミン価=610)を当量配合し、この樹脂組成物(b)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0047】
実施例7
合成例6で得られたエポキシ樹脂(b−3)に、硬化剤として「EPICLON B−065」(同上社製、ポリアミド樹脂:アミン価=610)を当量配合し、この樹脂組成物(c)のミネラルスピリットへの溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0048】
実施例8
合成例5で得られたエポキシ樹脂(b−2)に、硬化剤として「トーマイド 225」(富士化成瓦業(株)製、ポリアミド樹脂:アミン価=350)を当量配合し、この樹脂組成物(d)のミネラルスピリットへの溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0049】
実施例9
合成例5で得られたエポキシ樹脂(b−2)に、硬化剤として「トーマイド 225」(富士化成瓦業(株)製、ポリアミド樹脂:アミン価=350)を当量配合し、この樹脂組成物(d)の0号ソルベントへの溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0050】
比較例1〜3
「EPICLON 850」(大日本インキ化学工業(株)製、ビスフェノールA型エポキシ樹脂:エポキシ当量=190、粘度12000cps(25℃))に硬化剤として「EPICLON B−065」(同上社製、ポリアミド樹脂)を当量配合し、この樹脂組成物(e)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0051】
比較例4〜6
「EPICLON N−738」(同上社製、フェノールノボラック型エポキシ樹脂:エポキシ当量=175、軟化点38℃)に硬化剤として「EPICLON B−065」(同上社製、ポリアミド樹脂)を当量配合し、この樹脂組成物(f)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0052】
比較例7
「EPICLON N−670」(同上社製、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:エポキシ当量=210、軟化点73℃)に硬化剤として「EPICLON B−065」(同上社製、ポリアミド樹脂)を当量配合し、この樹脂組成物(g)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0053】
比較例8
合成例7で得られた変性エポキシ樹脂に、硬化剤として「トーマイド 225」(富士化成瓦業(株)製、ポリアミド樹脂:活性水素当量=115)を当量配合し、この樹脂組成物(h)の各種脂肪族系有機溶剤への溶解性をテストした。テスト結果を〈表−1〉に示す。
【0054】
【表1】
注1) 樹脂組成物(a)〜(h)の70部に対して、脂肪族炭化水素系有機溶剤を30部の割合で用いてエポキシ樹脂組成物を調製し、この樹脂溶液を、5℃で24時間静置し、透明性を判定。
【0055】
○ 透明 ×白濁
注2) 樹脂組成物(a)〜(h)に、各脂肪族炭化水素系有機溶剤をそれぞれ加え、白濁に要する溶剤の重量を求め、次式により算出した。
【0056】
【式1】
但し、溶解度=1000となるまで溶剤を加えても透明な場合は1000↑と示す。
注3)「0号ソルベント」(日本石油(株)製、芳香族成分0.0%溶剤:沸点244〜262℃、引火点133℃)
【0057】
〈表−1〉からも明かな通り、本発明で使用するエポキシ樹脂組成物である実施例1〜9は透明性が良く、(すなわち、脂肪族系有機溶剤によく溶解し)貯蔵安定性が良かった。
【0058】
一方、比較例1〜7はいずれも白濁し、貯蔵安定性が悪く塗料用として実用的に使用出来ないものであった。比較例8は、溶剤が増加するに従い、白濁するため、洗浄等に脂肪族系有機溶剤が使用しにくいものとなる。
【0059】
次に実施例1〜9で得られたワニス(各脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)につき、〈表−2〉に示す成分を配合し、塗料を調整した。得られた塗料の状態、密着性、耐食性、耐湿性、Tg測定の試験をし、その結果を〈表−2〉下欄に示した。
【0060】
比較例1〜8で得られたワニス(各脂肪族炭化水素系有機溶剤による70%溶液)に、〈表−3〉に示す成分を配合し、塗料を調整した。
得られた塗料の状態、密着性、耐食性、耐湿性、Tg測定の試験をし、その結果を〈表−3〉下欄に示した。
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
注4) 3本ロールミルで塗料の粘度95±5KU(25℃)に調整した後、20℃、7日間放置し、塗料状態を観察した。
○:異常なし、 ×:ワニス分離、増粘が著しく発生
【0064】
注5) 軟鋼板にエアスプレーにて乾燥膜厚100μにまるように塗布し、20℃、7日間乾燥させ、ゴバン目セロファンテープ試験(2mm間隔25目)した。
○:25/25(残存目数/試験目数),△:13〜25/25,
×:0〜12/25
【0065】
注6) サンドブラスト板にエアースプレーにて乾燥膜厚100μにまるように塗布し、20℃、7日間乾燥させ、JIS K5400−7,8に準拠して塩水噴霧試験(300時間)した。
【0066】
○:異常なし,△:多少のフクレ、錆発生,×:著しいフクレ、錆発生
【0067】
注7) 注5)で得られた塗膜をJIS K5664−5,17に準拠して7日間耐湿試験をした。 ○:異常なし,△:多少のフクレ、錆発生,×:著しいフクレ、錆発生
【0068】
注8) 各実施例及び比較例で得られたワニスをブリキ板に塗装し、100℃において2時間、次いで160℃において2時間、更に180℃において2時間なる条件で硬化させ、厚さ1mmの硬化塗膜を形成し、得られた塗膜に荷重2Kgのプローブを押しあてながら、塗膜の温度を5℃/分の速度で昇温し、塗膜が軟化しプローブが各塗膜中に進入した温度をTgとした。尚、測定には理研電気(株)製の熱機械分析装置TMAを用いて行なった。
【0069】
〈表−2〉からも明かの通り、本発明の塗料組成物である実施例1〜9は、いずれも塗料安定性がよく、また得られる塗膜は密着性、耐食性、耐湿性ともに優れていた。また、優れた耐熱性を示す。
【0070】
一方、〈表−3〉から比較例1〜7のエポキシ樹脂組成物はいずれもワニスが分離し、実用的塗料として不適であった。又、比較例8は、耐湿性に劣り、耐熱性も劣るものであった。
【0071】
また、実施例1〜9の塗料を塩ゴム系旧塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)及びアルキド樹脂系旧塗膜(1ヶ年間屋外曝露したもの)にそれぞれ塗布し、5時間後観察したところ異常は全く認められなっかった。同様にして強溶剤を使用している市販のエポキシ樹脂塗料を塗布した場合、旧塗膜がいずれもリフティングした。
【0072】
【発明の効果】
本発明によれば、高引火点、高沸点、低公害性である脂肪族炭化水素に良好に溶解するエポキシ樹脂を用いるため、環境、作業性に優れ、然もリフティング等の塗膜欠陥を起こすことが無く上塗り等の塗膜性能に優れるエポキシ樹脂組成物を提供できる。
【0073】
また、特に塗料として耐水性、耐食性、密着性、耐熱性等に優れた塗膜が得られ、従来のエポキシ樹脂塗料では達成出来なかったような各種優れた塗膜性能を発揮することが出来る。
Claims (6)
- 炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)と、硬化剤(B)と、脂肪族炭化水素系有機溶剤(C)とを必須成分としており、かつ、前記硬化剤(B)がアミン価240〜650のポリアミド樹脂であることを特徴とするエポキシ樹脂組成物。
- 脂肪族炭化水素系有機溶剤が、炭素原子数6〜16の脂肪族炭化水素系有機溶剤である請求項1記載の組成物。
- 脂肪族炭化水素系有機溶剤が、ミネラルスピリットである請求項2記載の組成物。
- 脂肪族炭化水素系有機溶剤が、引火点70℃以上、200℃未満のものである請求項2記載の組成物。
- 炭化水素系有機溶剤(C)の使用割合が、組成物中の不揮発分の割合が50〜90重量%である請求項1〜4の何れか1つに記載の組成物。
- 炭素原子数4〜18の脂肪族炭化水素基を芳香核上の置換基として有するノボラック型エポキシ樹脂(A)が、芳香核の平均核体数が2〜6のものである請求項1〜5の何れか1つに記載の組成物。
Priority Applications (1)
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