JPH11195A - クレアチンキナーゼまたはそのmbアイソザイムの定量用乾式分析素子 - Google Patents
クレアチンキナーゼまたはそのmbアイソザイムの定量用乾式分析素子Info
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Abstract
での保存が可能なクレアチンキナーゼあるいはクレアチ
ンキナーゼMBアイソザイムの定量用の乾式分析素子を
提供すること。 【解決手段】 支持体上に、クレアチンキナーゼの存在
下で、ATPを生成するクレアチンリン酸とADP、そ
してそのATPの生成のためのpH環境を提供する緩衝
性化合物を含有し、更に、生成したATPとの反応によ
り分光的測定方法で検出が可能な化合物を生成させる指
示薬組成物を含有する検出試薬層を積層したクレアチン
キナーゼ定量用乾式分析素子であって、その緩衝性化合
物がスルホン酸基を有する化合物であることを特徴とす
る分析素子。クレアチンキナーゼのMサブユニット活性
を特異的に阻害する抗体を組合せることによってクレア
チンキナーゼMBアイソザイムの定量も可能となる。
Description
ゼの定量用またはクレアチンキナーゼのMBアイソザイ
ムの定量用の乾式分析素子に関する。
クレアチンキナーゼ(CK、クレアチンホスホキナーゼ
(CPK)とも云われる)を定量することにより、進行
性筋萎縮症、皮膚筋炎、心筋梗塞などの診断が可能なこ
とは以前より知られており、臨床検査に利用されてい
る。また、クレアチンキナーゼ(CK)には、クレアチ
ンキナーゼMM(CKMM)、クレアチンキナーゼMB
(CKMB)、そしてクレアチンキナーゼBB(CKB
B)という三種のアイソザイムが存在すること、そして
CKMMは主として骨格筋中に、CKMBは主として心
筋中に、そしてCKBBは主として脳や脊髄中に存在す
ることも知られている。さらにCKMBは、心筋梗塞症
が発生すると、心筋より血液中に排出され、その結果、
血液中のCKMB量が増加することも判明している。従
って、被験者の血液中のCKMBの定量は、心筋梗塞症
の発生の有無を検査するために有力な手段とされてい
る。
ンキナーゼを定量(すなわち、総クレアチンキナーゼを
定量)すること、及び/又はクレアチンキナーゼMBア
イソザイムを定量することによって、被験者についての
進行性筋萎縮症、皮膚筋炎、心筋梗塞などの診断に有力
な手掛かりを得ることができるため、従来より、それら
の定量方法についての研究が進められ、現在では精度の
高い定量方法が確立されている。
としては、被験者から採取した血液から血清あるいは血
漿を得て、この血清や血漿中に含まれるクレアチンキナ
ーゼの酵素活性を利用することにより、分光的方法によ
り検出できる化学種を定量的に生成させ、その化学種の
生成量から、血清あるいは血漿中のクレアチンキナーゼ
の存在量を定量する方法である。さらに詳しく云えば、
この定量方法に利用される検出反応系は次の二つに分け
ることができる。
P)とを、pH5.5〜8.5の領域にて緩衝能を示す
緩衝性化合物を用いて酵素反応のpH環境を調整しなが
ら、被検液(血清や血漿など)中の存在するクレアチン
キナーゼ(CK)と接触させることにより反応させ、そ
のクレアチンキナーゼ(CK)の量に比例する量のアデ
ノシン三リン酸(ATP)を生成させ、ついで、そのA
TPとグルコース(Glu)とをヘキソキナーゼ(H
K)の存在下に反応させてグルコース−6−リン酸(G
6P)を生成させ、次にこのG6Pをニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型(NAD
(P))と、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
(G6PDH)の存在下に反応させてニコチンアミドア
デニンジヌクレオチド(リン酸)還元型(NAD(P)
H)を生成させ、最後に、このNAD(P)Hの生成量
を分光的測定方法により測定し、別に調製した検量線を
利用して、クレアチンキナーゼ(CK)を定量する方法
である。
量の精度が充分でない傾向があるため、そのNAD
(P)Hを更にテトラゾリウム塩と反応させてホルマザ
ン色素を生成させて、そのホルマザン色素の生成量を定
量することによって、被検液中のクレアチンキナーゼを
定量する方法も既に開発されている(特開昭63−32
499号公報参照)。この検出反応系1を反応式により
次に示す。
P)とを、pH5.5〜8.5の領域において緩衝能を
示す緩衝性化合物にて酵素反応のpH環境を調整しなが
ら、被検液(血清や血漿など)中の存在するクレアチン
キナーゼ(CK)と接触させることにより反応させ、そ
のクレアチンキナーゼ(CK)の量に比例する量のアデ
ノシン三リン酸(ATP)を生成させ、ついで、そのA
TPとグリセロールとをグリセロールキナーゼ(HK)
の存在下に反応させてL−α−グリセロリン酸を生成さ
せ、次にこのL−α−グリセロリン酸をL−α−グリセ
ロリン酸オキシダーゼの存在下に酸素と反応させて過酸
化水素を発生させ、最後に過酸化水素とロイコ色素とを
反応させて青色の色素を生成させ、この青色色素の生成
量を分光的測定方法により測定し、別に調製した検量線
を利用して、クレアチンキナーゼ(CK)を定量する方
法である。この検出反応系2を反応式により次に示す。
には、三種類のアイソザイムが存在するため、クレアチ
ンキナーゼMBアイソザイムの定量は容易ではない。す
なわち、原理的には、MMアイソザイムとBBアイソザ
イムとからMBアイソザイムを分離して定量する必要が
ある。ただし、BBアイソザイムは、本来的に脳や脊髄
中に存在するものであるため、血液中の存在量は非常に
少なく、その存在は無視することができる。従って、M
Bアイソザイムの定量には、MMアイソザイムを分離す
ることができれば可能となるが、その分離は非常に困難
である。このため、クレアチンキナーゼを含む血液試料
(血清や血漿など)中のMMアイソザイムを分離する代
わりに、MBアイソザイムの活性に影響を与えること無
く、MMアイソザイムの活性を阻害させる方法により、
実質的なMBアイソザイムの分離を実現する方法が既に
開発されている(特公昭56−19239号公報参
照)。この方法では、予め調製したクレアチンキナーゼ
MBアイソザイム中のサブユニットBの酵素活性を阻害
することなく、クレアチンキナーゼのMMアイソザイム
およびMBアイソザイム中のサブユニットMの酵素活性
を完全に阻害する抗体を使用する。すなわち、被検液を
先ずこのMサブユニット不活性化抗体で処理することに
よってクレアチンキナーゼの活性をクレアチンキナーゼ
MBアイソザイムに起因するもののみに限定させ、この
酵素活性を前記の検出反応系1あるいは検出反応系2を
利用して測定することによって、クレアチンキナーゼM
Bアイソザイムの定量が可能となる。
びクレアチンキナーゼMBアイソザイムの臨床検査で
は、これまでに述べてきた方法を利用して、検出反応を
試薬溶液中で実施する湿式法が一般的に利用されてい
た。しかしながら、湿式法による定量分析操作は、結果
を得るまでにかなりの長時間を必要とするという欠点が
あった。すなわち、例えば、心筋梗塞については、梗塞
の発症から治療開始までの時間が短いほど治療の効果が
高いことが知られており、このため特に心筋梗塞発症の
診断については緊急性の要求が非常に高い。従って、検
査の開始から検査結果の入手までの時間が長いことは、
治療の開始の遅れを引き起こすことになり、好ましくな
い。
て、透明支持体のうえに検出反応に関与する試薬組成物
を含む試薬層を積層した構成の各種の乾式分析素子が以
前より知られている。そして、上記のクレアチンキナー
ゼ検査反応あるいはクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム検査反応に関与する試薬組成物を含む試薬層を積層し
たクレアチンキナーゼ定量用の乾式分析素子およびクレ
アチンキナーゼMBアイソザイム定量用の乾式分析素子
も既に開発され、実際に使用されている。このようなク
レアチンキナーゼ定量用の乾式分析素子およびクレアチ
ンキナーゼMBアイソザイム定量用の乾式分析素子の構
成については、下記の特許公開公報に詳しい記載があ
る。特開平61−254198号公報、特開平61−2
54199号公報、特開平61−260164号公報、
前記の特開平63−32499号公報。
乾式分析素子およびクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム定量用の乾式分析素子は、それぞれクレアチンキナー
ゼおよびクレアチンキナーゼMBアイソザイムの短時間
での定量分析のために利用できる優れた分析用具である
が、分析素子製造後から実際の定量分析に使用するまで
の間における保存性に劣ると云う問題があった。すなわ
ち、それぞれの分析素子を通常の保存条件にて保存を行
なうと、製造後短い期間の内に、感度の低下が発生する
ことが見出されている。従って、これらの乾式分析素子
を良好な保存状態に維持するためには、分析素子を冷凍
保存する必要があった。このような分析素子の保存に、
冷凍保存が必要であると云うことは、その冷凍保存の設
備が必要である上に、実際の臨床検査の開始に際しても
時間的遅れが発生しやすいという問題がある。
知られているクレアチンキナーゼ定量用の乾式分析素子
およびクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用の乾
式分析素子の低い保存性を解決することを目的とする。
本発明は特に、常温で保存しても感度低下が少なく、従
って常温での保存が可能なクレアチンキナーゼ定量用の
乾式分析素子およびクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム定量用の乾式分析素子を提供することを目的とする。
クレアチンキナーゼの存在下で、アデノシン三リン酸を
生成するクレアチンリン酸とアデノシン二リン酸、そし
てそのアデノシン三リン酸の生成のためのpH環境を提
供するpH5.5〜8.5の領域において緩衝能を示す
緩衝性化合物を含有し、更に、生成したアデノシン三リ
ン酸との反応により分光的測定方法により検出可能な化
合物を生成させる指示薬組成物を含有するクレアチンキ
ナーゼ検出試薬層を積層してなるクレアチンキナーゼ定
量用乾式分析素子であって、該緩衝性化合物がスルホン
酸基を有する化合物であることを特徴とするクレアチン
キナーゼ定量用乾式分析素子にある。
ナーゼのMサブユニット活性を特異的に阻害する抗体、
クレアチンキナーゼMBアイソザイムの存在下で、アデ
ノシン三リン酸を生成するクレアチンリン酸とアデノシ
ン二リン酸、そしてそのアデノシン三リン酸の生成のた
めのpH環境を提供するpH5.5〜8.5の領域にお
いて緩衝能を示す緩衝性化合物を含有し、更に、生成し
たアデノシン三リン酸との反応により分光的測定方法に
より検出可能な化合物を生成させる指示薬組成物を含有
するクレアチンキナーゼMBアイソザイム検出試薬層を
積層してなるクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量
用乾式分析素子であって、該緩衝性化合物がスルホン酸
基を有する化合物であることを特徴とするクレアチンキ
ナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子にもある。
の乾式分析素子あるいはクレアチンキナーゼMB定量用
の乾式分析素子では、クレアチンキナーゼまたはクレア
チンキナーゼMBアイソザイムの酵素作用によるアデノ
シン三リン酸(ATP)の生成のためのクレアチンリン
酸(CP)とアデノシン二リン酸(ADP)との反応に
必要なpH環境を提供する緩衝剤組成物として、従来に
おいて一般的に用いられていたトリス(Tris)やイ
ミダゾールに代わって、スルホン酸基を有する緩衝性化
合物を用いることを特徴としている。
用の乾式分析素子あるいはクレアチンキナーゼMB定量
用の乾式分析素子において利用される検出反応系は前記
の検出反応系1あるいは検出反応系2である。従って、
アデノシン三リン酸との反応によって分光的測定方法に
より検出可能な化合物を生成させる指示薬組成物として
は、前記の検出反応系に利用される指示薬組成物のいず
れもが使用することができる。すなわち、指示薬組成物
の例としては、下記の指示薬組成物を挙げることができ
る。
ンアミドアデニンジヌクレオチド酸化型(あるいは、ニ
コチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸酸化型)、
およびグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む
指示薬組成物。 2)グルコース、ヘキソキナーゼ、ニコチンアミドアデ
ニンジヌクレオチド酸化型(あるいは、ニコチンアミド
アデニンジヌクレオチドリン酸酸化型)、グルコース−
6−リン酸デヒドロゲナーゼ、およびテトラゾリウム塩
を含む指示薬組成物。 3)グリセロール、グリセロールキナーゼ、L−α−グ
リセロリン酸オキシダーゼ及びロイコ色素を含む指示薬
組成物。 なお、分析対象物質(アナライト)が、クレアチンキナ
ーゼMBアイソザイムである場合には、そのアナライト
の血液試料中の存在量が比較的微量なこと(心筋梗塞の
発症があった場合でも)、そして血液試料中には本来的
にグルコースが含まれていることから、その血液試料中
のグルコースが検出反応に関与するグルコース(Gl
u)として利用することができる。従って、クレアチン
キナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子において
は、上記の試薬組成物1)及び2)から、グルコースを
除くことができる。
チンキナーゼ定量用の乾式分析素子あるいはクレアチン
キナーゼMBアイソザイム定量用の乾式分析素子の構
成、及びそれらを構成する各種試薬は、既に知られてお
り、本発明の乾式分析素子に於ても、前述の特定の緩衝
剤化合物を使用する以外は、同様の構成と同様の各種試
薬が利用される。このような乾式分析素子の構成と試薬
の例は、前述の特許公告公報および公開公報に詳しく記
載されているので、ここに改めて詳しく記載しない。
ルホン酸基を有する緩衝性化合物」について詳しく説明
する。クレアチンキナーゼまたはクレアチンキナーゼM
Bアイソザイムの酵素作用によるアデノシン三リン酸
(ATP)の生成の為のリン酸(CP)とアデノシン二
リン酸(ADP)との反応には、特定のpH環境、すな
わちpH5.5〜8.5のpH環境が必要であることは
以前より知られており、このため、初期の頃にはビス−
トリス(Bis−Tris)と略称されるグッドの緩衝
剤組成物が使用されていたが、その後、クレアチンキナ
ーゼの定量に関するJSCC勧告により、イミダゾール
が緩衝性化合物として一般的に用いられてきた。
来のクレアチンキナーゼ定量用の乾式分析素子およびク
レアチンキナーゼMBアイソザイム定量用の乾式分析素
子の低い保存安定性は、それらの保存中において、試薬
組成物中の試薬が、クレアチンキナーゼ(CK)やクレ
アチンキナーゼMBアイソザイム(CKMB)が存在し
ない状態で、徐々に反応を起こすことに起因することが
判明した。すなわち、前記の検出反応系1では、CKや
CKMBが存在しなくても、CPとADPとが部分的に
反応してATPが生成し、またCPとGluとが反応し
てG6Pを生成させる現象が確認され、一方、検出反応
系2では、CPとADPとの部分な反応によるATPの
生成の他、またCPとグリセロールとの反応によるL−
α−グリセロリン酸の生成が確認された。従って、これ
らのクレアチンキナーゼあるいはクレアチンキナーゼM
Bアイソザイムの不存在下で発生する反応が分析精度の
大きな低下をもたらす結果となる。
乾式分析素子の常温での保存中に発生する望ましくない
反応の抑制を目的として研究した。そして、その結果、
従来の緩衝剤組成物あるいは緩衝性化合物に代わって、
スルホン酸基(スルホン酸塩基の状態にあっていてもよ
い)を有する緩衝性化合物を用いることにより、乾式分
析素子の保存中に於ける上記の望ましくない反応を顕著
に抑制することが可能となることを見出し、本発明に到
達したものである。
性化合物は、グッドの緩衝剤と一般的に呼ばれている緩
衝性化合物から選ばれることが好ましい。すなわち、グ
ッドの緩衝剤には、スルホン酸基を持つもの、そしてス
ルホン酸基を持たないもののいずれもがあるが、本発明
で用いる緩衝性化合物は、それらの内のスルホン酸基を
持つ緩衝性化合物である。なお、グッドの緩衝剤(ある
いは、グッドの緩衝液とも呼ばれる)については、例え
ば、「化学辞典」(森北出版株式会社、1981年発
行)、「化学大辞典」(株式会社東京化学同人、198
9年発行)などに簡単な記載があり、また更に多くの臨
床検査試薬に関する成書に詳しい記載がある。
分析素子に於ける使用に適した緩衝性化合物としては、
TES、TAPSO、MOPSO、MES、DIPS
O、HEPES,HEPSOと名付けられている化合物
を挙げることができる。これらの化合物の中でも、TE
S、TAPSO、MOPSO、およびMESと名付けら
れている化合物が好ましい。特に好ましいのは、TES
とTAPSOである。次に、本発明において好ましく用
いられる緩衝性化合物である、TES、TAPSO、M
OPSO、およびMESの化学構造を示す。
基を持つ緩衝性化合物の使用量については特に制限はな
い。すなわち、グッドの緩衝剤の一般的な使用の態様を
参考にし、使用量を変動させての試験的使用などの一般
的な使用量決定方法を利用することにより、容易に適当
な使用量を決定することができる。なお、本発明のスル
ホン酸基を持つ緩衝性化合物は、二種以上のものを組合
せて使用することも可能であり、またスルホン酸基を持
たない緩衝性化合物あるいは他の緩衝剤組成物と組合せ
て使用することもできる。
あるいはクレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用の
乾式分析素子を用いてのクレアチンキナーゼ(CK)あ
るいはクレアチンキナーゼMBアイソザイム(CKM
B)の定量分析の操作は、前述の特許公告公報及び特許
公開公報に記載されているように、既に知られており、
本発明の乾式分析素子を用いてのCKあるいはCKMB
の定量分析操作は、それらと同様な操作に従って実施す
ることができる。
る。なお、下記の実施例と比較例とに於いては、検出反
応系1を利用するクレアチンキナーゼMBアイソザイム
定量用の乾式分析素子のみを示すが、本発明で使用する
緩衝性化合物の機能は、検出反応系が、検出反応系1で
も、検出反応系2であっても、またクレアチンキナーゼ
MBアイソザイム定量用であっても、クレアチンキナー
ゼ(総クレアチンキナーゼ)定量用であっても、実質的
な変りはない。従って、下記の実施例によって、前述の
いずれの態様の乾式分析素子においても、本発明のスル
ホン酸基を有する緩衝性化合物が明らかにされていると
理解すべきである。
用分析素子の製造 透明ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ180
μm)の表面を親水化処理し、その処理表面上に下記の
組成の塗布液を塗布、乾燥して、乾燥層厚が12μmの
指示薬層を形成した。
で湿らせた後(約30g/m2 )、その指示薬層の上
に、ポリエチレンテトラフタレート紡績糸からなるトリ
コット編み物を圧着し、乾燥させて展開層とした。次
に、上記展開層の表面に下記の組成の塗布液を、塗布量
130g/m2 にて塗布、乾燥した。
示薬層と反応試薬含有展開層とが積層された積層体を1
2mm×12mmの寸法に裁断して、TESを緩衝剤と
して用いたCKMB定量用分析素子を得た。なお、得ら
れたCKMB定量用分析素子中の試薬分布を調べたとこ
ろ、指示薬層に導入したニトロテトラゾリウムブルーの
大部分が展開層に移動していることが確認された。
いたCKMB定量用分析素子の製造 緩衝性化合物として用いたTESをTAPSO(モル換
算で同一のモル量)に替えた以外は実施例1と同様にし
てCKMB定量用分析素子を得た。
いたCKMB定量用分析素子の製造 緩衝性化合物として用いたTESをMOPSO(モル換
算で同一のモル量)に替えた以外は実施例1と同様にし
てCKMB定量用分析素子を得た。
CKMB定量用分析素子の製造 緩衝性化合物として用いたTESをMES(モル換算で
同一のモル量)に替えた以外は実施例1と同様にしてC
KMB定量用分析素子を得た。
用いたCKMB定量用分析素子の製造 緩衝性化合物として用いたTES(5.1g)を、1.
5gのイミダゾールに替え、1N−NaOH(10.0
g)を10.0gの1N−HClに替えた以外は実施例
1と同様にしてCKMB定量用分析素子を得た。
して用いたCKMB定量用分析素子の製造 緩衝性化合物として用いたTESをBis−Tris
(モル換算で同一のモル量)に替えた以外は実施例1と
同様にしてCKMB定量用分析素子を得た。
のATPの生成]実施例1乃至4で得られた分析素子、
そして比較例1及び2で得られた分析素子を、それぞれ
45℃、11%RHの保存条件で1日間保存し、次いで
水を用いて、指示薬層と反応試薬含有展開層にて生成し
たATPを抽出した。各抽出液を高速液体クロマトグラ
フィー(HPLC)に掛けて、各分析素子中でのATP
の生成量を測定した。この測定により判明した各分析素
子のATP生成量を下記の第1表に示す。
るスルホン酸基を有する緩衝性化合物が、クレアチンキ
ナーゼ(あるいはクレアチンキナーゼMBアイソザイ
ム)の不存在下でのATPの副生を効果的に抑制してい
ることが明らかである。
の感度変動]実施例で得られた分析素子そして比較例1
得られた分析素子のそれぞれについて、製造直後のも
の、そして35℃、11RH%の保存条件で10日間保
存した後のものを用意し、それぞれの分析素子につい
て、CKMB含有量が10U/L附近の検体とCKMB
含有量が100U/L附近の検体とを点着した。検体が
点着された分析素子について、37℃でインキュベーシ
ョンを行ない、次いで波長540nmにて、インキュベ
ーション開始後2分後、そして5分後に分光測定を行な
い、予め作成しておいた検量線を参照することにより、
反応速度法によりCKMB量の定量を行なった。その結
果を下記の第2表に示す。
るスルホン酸基を有する緩衝性化合物を用いたCKMB
定量用分析素子(実施例1)を用いた場合には、通常の
保存条件よりも苛酷な保存条件においてもCKMB測定
に関する感度の変動は僅かであることが分る。一方、従
来のイミダゾール緩衝剤を用いたCKMB定量用分析素
子(比較例1)は、その製造直後に於ては満足すべき感
度を示すが、保存を行なうことにより明らかな感度低下
(ATPの副生によるバックグランド発色の発生)が発
生している。
チンキナーゼMBアイソザイム(CKMB)の定量分析
用の乾式分析素子に導入する緩衝剤として、本発明で規
定したスルホン酸基を持つ緩衝性化合物を使用すること
により、分析素子の保存性が顕著に向上する。このた
め、本発明に従うクレアチンキナーゼあるいはクレアチ
ンキナーゼMBアイソザイムの定量のための乾式分析素
子は、従来のCKあるいはCKMB定量分析用乾式分析
素子の使用前の保存の際に必須とされていた分析素子の
冷凍保存の必要が無くなるため、実用において非常に有
利となる。
Claims (10)
- 【請求項1】 支持体上に、クレアチンキナーゼの存在
下で、アデノシン三リン酸を生成するクレアチンリン酸
とアデノシン二リン酸、そしてそのアデノシン三リン酸
の生成のためのpH環境を提供するpH5.5〜8.5
の領域において緩衝能を示す緩衝性化合物を含有し、更
に、生成したアデノシン三リン酸との反応により分光的
測定方法により検出可能な化合物を生成させる指示薬組
成物を含有するクレアチンキナーゼ検出試薬層を積層し
てなるクレアチンキナーゼ定量用乾式分析素子であっ
て、該緩衝性化合物がスルホン酸基を有する化合物であ
ることを特徴とするクレアチンキナーゼ定量用乾式分析
素子。 - 【請求項2】 指示薬組成物が、グルコース、ヘキソキ
ナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
酸)酸化型及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼを含むものである請求項1に記載のクレアチンキナー
ゼ定量用乾式分析素子。 - 【請求項3】 指示薬組成物が、グルコース、ヘキソキ
ナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
酸)酸化型、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
及びテトラゾリウム塩を含むものである請求項1に記載
のクレアチンキナーゼ定量用乾式分析素子。 - 【請求項4】 指示薬組成物が、グリセロール、グリセ
ロールキナーゼ、L−α−グリセロリン酸オキシダーゼ
及びロイコ色素を含むものである請求項1に記載のクレ
アチンキナーゼ定量用乾式分析素子。 - 【請求項5】 支持体上に、クレアチンキナーゼのMサ
ブユニット活性を特異的に阻害する抗体、クレアチンキ
ナーゼMBアイソザイムの存在下で、アデノシン三リン
酸を生成するクレアチンリン酸とアデノシン二リン酸、
そしてそのアデノシン三リン酸の生成のためのpH環境
を提供するpH5.5〜8.5の領域において緩衝能を
示す緩衝性化合物を含有し、更に、生成したアデノシン
三リン酸との反応により分光的測定方法により検出可能
な化合物を生成させる指示薬組成物を含有するクレアチ
ンキナーゼMBアイソザイム検出試薬層を積層してなる
クレアチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素
子であって、該緩衝性化合物がスルホン酸基を有する化
合物であることを特徴とするクレアチンキナーゼMBア
イソザイム定量用乾式分析素子。 - 【請求項6】 指示薬組成物が、グルコース、ヘキソキ
ナーゼ、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン
酸)酸化型及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼを含むものである請求項5に記載のクレアチンキナー
ゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。 - 【請求項7】 指示薬組成物が、ヘキソキナーゼ、ニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)酸化型、
グルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼ及びテトラゾ
リウム塩を含むものである請求項5に記載のクレアチン
キナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。 - 【請求項8】 指示薬組成物が、グリセロール、グリセ
ロールキナーゼ、L−α−グリセロリン酸オキシダーゼ
及びロイコ色素を含むものである請求項5に記載のクレ
アチンキナーゼMBアイソザイム定量用乾式分析素子。 - 【請求項9】 該緩衝性化合物がグッドの緩衝剤に属す
る化合物である請求項1乃至8の内のいずれかの項に記
載の乾式分析素子。 - 【請求項10】 該緩衝性化合物がグッドの緩衝剤に属
し、TES、TAPSO、MOPSO、およびMESと
名付けられている化合物の内の少なくとも一種である請
求項1乃至8の内のいずれかの項に記載の乾式分析素
子。
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