JP3036709B2 - L−グリセロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸の高感度定量法および定量用組成物 - Google Patents

L−グリセロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸の高感度定量法および定量用組成物

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、臨床生化学検査、食品
検査等におけるL−グリセロール−3−リン酸またはジ
ヒドロキシアセトンリン酸の酵素サイクリング反応を用
いた新規な高感度定量法および定量用組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、臨床検査分野において、成分分析
には化学法に代わり、より特異性の高い酵素法が普及し
つつある。L−グリセロール−3−リン酸を測定する方
法としては、グリセロール−3−リン酸オキシダーゼ
(EC 1.1.3.21)を用いて、生じた過酸化水
素をペルオキシダーゼ反応等を用いて検出可能な物質に
変換する方法、ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド
(ホスフエート)(NAD(P))の存在下にグリセロ
ール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.
1.8、EC 1.1.1.94)を用いて還元型補酵
素の340nmにおける吸収を分光学的に測定する方法
等が知られており、これらの方法は、例えば血清中のト
リグリセライドやグリセロールを測定する際に、L−グ
リセロール−3−リン酸を生成する他の酵素反応系と併
せて、共役反応系として用いられている。
【0003】このうち、グリセロール−3−リン酸デヒ
ドロゲナーゼは下記の反応を触媒する酵素である。
【0004】
【化2】
【0005】この反応は、平衡が大きく左側に偏ってい
るため、L−グリセロール−3−リン酸を定量するとき
のように、正反応の方向に反応を進行させるためには、
反応液のpHを9〜10のアルカリ側にし、しかも、生成
物であるジヒドロキシアセトンリン酸を反応系から除去
することが必要になる。このためには、反応液にヒドラ
ジンやセミカルバジド等の捕捉剤を加え正反応を促進さ
せなければならない。
【0006】また、生成した還元型NAD(P)をジア
ホラーゼ、ニトロブルーテトラゾリウムを用いてホルマ
ザン色素とし、測定する方法もあるが、この色素は不溶
性であり、自動分析器には適さない。グリセロール−3
−リン酸デヒドロゲナーゼは、その逆反応を利用して、
ジヒドロキシアセトンリン酸の定量のためにも用いられ
る。この反応系はアルドラーゼ(EC 4.1.2.1
3)、トリオ−スリン酸イソメラーゼ(EC 5.3.
1.1)活性測定等に活用されている。
【0007】一般に、酵素を用いて分析を行う場合、測
定しようとする対象物質を分光学的に検出可能な過酸化
水素や還元型NAD(P)等に変換することが行われ、
この場合、検出可能な物質の量は化学量論的に測定対象
物と等しくなる。現在、この検出可能な物質を測定する
方法としては、分光分析機器を用いる方法が最も普及し
ているが、これも感度上に限界があり、測定対象物の含
量が少ない場合適さないという欠点があった。そこで、
測定対象物の含量が少ない場合や、測定対象物を含む被
検体が少量の場合等は、分光分析よりも感度の優れた蛍
光分析、発光分析等が行われている。しかしながら、こ
れらの方法も臨床検査等の汎用検査においては、機器の
普及という点からはあまり適したものではなかった。
【0008】また、微量の物質を測定するその他の方法
としては、該物質が等量の補酵素等に変換できる場合、
2種類の酵素を用いて補酵素等を増幅する、いわゆる酵
素サイクリング法が知られている。例えば、NADサイ
クリング、CoAサイクリング、ATPサイクリングな
どがあるが、これらの方法は臨床検査等のルーチン分析
においては、操作が煩雑なため、殆ど用いられていない
のが現状であった。
【0009】しかしながら、最近、グリセロール−3−
リン酸オキシダーゼ及びグリセロール−3−リン酸デヒ
ドロゲナーゼを組合せた、操作の簡便な酵素サイクリン
グ反応によるL−グリセロール−3−リン酸またはジヒ
ドロキシアセトンリン酸の高感度定量法が報告されてい
るが(特公平2−20239号)、これらは具体的に
は、該サイクリング反応によって減少する還元型NAD
の量または増加する過酸化水素量を検出するものであ
り、還元型NADの340nmにおける吸光度の減少を
分光学的に測定する以外には、別の検出のための反応系
を組み合わせて、これらの変化量を検出しなければなら
ない。
【0010】高感度測定法がもたらす利点としては、測
定対象物の含量が少ない場合はもとより、測定に必要な
検体量を減らすことができるため、例えば血清のように
種々の成分を含むものを被検体に用いる場合は、その測
定系に及ぼす共存物質の影響を小さくすることができ
る。また、ある限られた被検体量で検査できる項目数を
増やすことも可能である。更に、検体が人血液である場
合などは、採血量を減らすことができるため、被採血者
への心理的な負担を軽減することもできるし、廃棄物の
減少により環境汚染を軽減することに貢献することにも
なる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】前述のごとくL−グリ
セロール−3−リン酸及びジヒドロキシアセトンリン酸
の酵素を用いた測定について種々の方法が知られてお
り、酵素サイクリング法による高感度な測定法も報告さ
れているが、それらの欠点を有さない更に簡便で高感度
な方法が望まれている。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記の問
題点につき鋭意検討した結果、L−グリセロール−3−
リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸の定量におい
て、チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類(以
下、チオNAD類という)およびチオニコチンアミドア
デニンジヌクレオチドホスフエート類(以下、チオNA
DP類という)からなる群より選ばれた一つと、ニコチ
ンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下、NAD類と
いう)およびニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホ
スフエート類(以下、NADP類という)からなる群よ
り選ばれた一つの補酵素に作用するグリセロール−3−
リン酸デヒロゲナーゼおよびチオNAD(P)類とNA
D(P)類との2種類の補酵素を用いることにより、サ
イクリング反応を形成せしめることを見出し、かつその
応における吸光度の測定に際し、NAD(P)類のア
ナログであるチオNAD(P)類とNAD(P)類の還
元型吸収波長がそれぞれ400nm付近、340nm付
近と異なつていることを利用し、他物質の吸収波長の混
雑が回避できる酵素サイクリング反応が実施でき、高感
度な測定が可能であることを確認し、本発明を完成する
に至った。
【0013】即ち、グリセロール−3−リンデヒドロゲ
ナーゼを用いた酵素サイクリング反応を実施するに当
り、上記二種類の補酵素の一つにチオNAD(P)類を
使用して、どちらか一方の補酵素の変化量のみを分別定
量するものであり、その結果、L−グリセロール−3−
リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸を高感度の測
定できるものである。
【0014】本発明は、上記のような知見に基づいて完
成されたものであって、L−グリセロール−3−リン酸
またはジヒドロキシアセトンリン酸を含有する被検液
に、 (1)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホス
フエート類(以下チオNADP類という)及びチオニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下チオNAD
類という)からなる群より選ばれた一つと、ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドホスフエート類(以下NA
DP類という)及びニコチンアミドアデニンジヌクレオ
チオド類(以下NAD類という)からなる群より選ばれ
る一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセロール−
3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトンリン酸を
生成する可逆反応をなすグリセロール−3−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1、 を含有する試薬を作用せしめて、次の反応式
【0015】
【化3】
【0016】(式中、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はチオNAD類のときは還元型NADP類または還元型
NAD類を、A1がNADP類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型チオNAD類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示す)で表されるサイ
クリング反応を形成せしめ、該反応によって変化するA
2またはB1の量を測定することを特徴とするL−グリ
セロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン
酸の高感度定量法を提供するものである。
【0017】更にまた本発明は、次の成分(1)〜
(3) (1)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホス
フエート類(以下チオNADP類という)及びチオニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下チオNAD
類という)からなる群より選ばれた一つと、ニコチンア
ミドアデニンジヌクレオチドホスフエート類(以下NA
DP類という)およびニコチンアミドアデニンジヌクレ
オチド類(以下NAD類という)からなる群より選ばれ
た一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセロール−
3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトンリン酸を
生成する可逆反応をなすグリセロール−3−リン酸デヒ
ドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1、 (但し、A1はチオNADP類、チオNAD類、NAD
P類またはNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物
を示し、B1はA1がチオNADP類またはチオNAD
類のときは還元型NADP類または還元型NAD類を、
A1がNADP類またはNAD類のときは還元型チオN
ADP類または還元型チオNAD類を示す)を含有する
ことを特徴とするL−グリセロール−3−リン酸または
ジヒドロキシアセトンリン酸の定量用組成物を提供する
ものである。
【0018】本発明において用いられる、グリセロール
−3−リン酸デヒドロゲナーゼとは少なくともL−グリ
セロール−3−リン酸+NAD(P)+ =ジヒドロキシ
アセトンリン酸+NAD(P)H+H+ なる反応を触媒
するものであって、チオNADP類およびチオNAD類
からなる群より選ばれた一つと、NADP類およびNA
D類からなる群より選ばれた一つを補酵素とするものな
ら特に限定されない。
【0019】本酵素の具体例としては、ウサギ筋肉やサ
ツカロミセス カールスベルゲンシス(Sacchar
omyces carlsbergensis)等に由
来するNADに特異的な酵素(EC 1.1.1.8)
と、NADおよびNADP両方の補酵素に作用する大腸
菌(E.Coli)由来の酵素(EC 1.1.1.9
4)が知られている(酵素ハンドブツク、p3、p3
5、朝倉書店(1983)。このうち、ウサギ筋肉由来
の酵素は例えば、ベーリンガーマンハイム社、シグマ社
より市販されており、補酵素に対する相対活性は100
mMトリス塩酸緩衝液(pH9.5)ではNADを用い
た時を100%とすると、チオNADで2%程度であ
り、NADPには作用しなかった
【0020】NADPについては、逆反応で10%程度
の活性を示すという報告もある(臨床酵素ハンドブツ
ク、p260、講談社(1982))。他の起源の酵素
についても適宜系に使用可能であり、使用する酵素の
補酵素NAD(P)類、チオNAD(P)類に対する特
異性としては、基質であるL−グリセロール−3−リン
酸に対して反応性を有するものであればよく、そのよう
な酵素の性質はこれら補酵素と基質を用いて確認できる
ものである。
【0021】又、A1およびB2で示される補酵素はチ
オNADP類、チオNAD類、NADP類、NAD類を
示すが、チオNADP類またはチオNAD類としては、
例えばチオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホス
フエート(チオNADP)、チオニコチンアミドヒポキ
サンチンジヌクレオチドホスフエート、およびチオニコ
チンアミドアデニンジヌクレオチド(チオNAD)、チ
オニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドが挙げ
られる。
【0022】又、NADP類またはNAD類としては、
例えばニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホスフエ
ート(NADP)、アセチルピリジンアデニンジヌクレ
オチドホスフエート(アセチルNADP)、アセチルピ
リジンヒポキサンチンジヌクレオチドホスフエート、ニ
コチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチドホスフエー
ト(デアミノNADP);及びニコチンアミドアデニン
ヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニン
ジヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジン
ヒポキサンチンジヌクレオチド、ニコチンアミドヒポキ
サンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)が挙げられ
る。
【0023】本発明のA1およびB1において例えばA
1がチオNAD(P)類である場合、B1はNAD
(P)H類であることが必要であり、A1およびB1の
関係において一つのチオ型補酵素を使用するものであ
る。又、定量に用いるグリセロール−3−リン酸デヒド
ロゲナーゼが(チオ)NAD類のみを補酵素とする場合
は、上述のチオNAD類とNAD類より、また、用いる
グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼが(チオ)
NADP類のみを補酵素とする場合は、上述のチオNA
DP類及びNADP類より、また用いるグリセロール−
3−リン酸デヒドロゲナーゼが(チオ)NAD類及び
(チオ)NADP類を共に補酵素とする場合は、上述の
チオNAD類およびチオNADP類と上述のNAD類お
よびNADP類より適宜選択して用いればよい。
【0024】本発明の高感度定量法を用いれば、被検液
中にもともと含有されているL−グリセロール−3−リ
ン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸を測定すること
ができるが、更に、これらの物質を遊離または生成する
酵素系における基質や、その酵素活性を測定することも
できる。更に、本発明の高感度定量法を用いれば、上記
のようなL−グリセロール−3−リン酸またはジヒドロ
キシアセトンリン酸を遊離、または生成する酵素系と連
結し得る、単一の、もしくは複数の工程からなる酵素系
における基質や、その酵素活性をも測定することができ
る。これらの酵素系は、特に限定されるものではない
が、例えば以下に示す種々の酵素の反応系が挙げられ
る。
【0025】L−グリセロール−3−リン酸を遊離生成
する酵素反応系: (1)ATP、グリセロールとグリセロキナーゼ(EC
2.7.1.30)の酵素反応系によって遊離、生成
するL−グリセロール−3−リン酸を定量するためのも
の。 グリセロール+ATP→L−グリセロール−3−リン酸
+ADP (2)上記(1)の酵素反応系におけるグリセロールが
ホスフアチジルグリセロールとホスホリパーゼD(EC
3.1.4.4)の酵素反応系由来である場合 ホスフアチジルグリセロール+H2 O→グリセロール+
ホスフアチジン酸 (3)上記(1)の酵素反応系におけるグリセロール
が、モノ、ジまたはトリグリセライドとリパーゼ(EC
3.1.1.3)の酵素反応系由来である場合
【0026】 グリセライド+nH2 O→n脂肪酸+グリセロール (4)上記(1)の酵素反応系におけるATPが、クレ
アチンリン酸、ADPとクレアチンキナーゼ(EC
2.7.3.2)の酵素反応系由来である場合 クレアチンリン酸+ADP→クレアチン+ATP (5)上記(1)の酵素反応系におけるATPが、ホス
フオエノールピルビン酸、ADPとピルビン酸キナーゼ
(EC 2.7.1.40)の酵素反応系由来である場
合 ホスフオエノールピルビン酸+ADP→ピルビン酸+A
TP (6)上記(1)の酵素反応系におけるATPが、アセ
チルリン酸、ADPと酢酸キナーゼ(EC 2.7.
2.1)の酵素反応系である場合
【0027】アセチルリン酸+ADP→酢酸+ATP(7)1−アシルグリセロール−3−リン酸、CoAと
グリセロリン酸アシルトランスフエラーゼ(EC 2.
3.1.15)の酵素反応系によって遊離、生成するL
−グリセロール−3−リン酸を定量するためのもの1−アシルグリセロール−3−リン酸+CoA→アシル
−CoA+L−グリセロール−3−リン酸 (8)L−グリセロール−3−ホスホコリンとグリセロ
ホスホコリンホスホジエステラーゼ(EC 3.1.
4.2)の酵素反応系によって遊離、生成するL−グリ
セロール−3−リン酸を定量するためのもの。 L−グリセロール−3−ホスホコリン+H 2 O→L−グ
リセロール−3−リン酸+コリン (9)上記(8)の酵素反応系におけるL−グリセロー
ル−3−ホスホコリンがリゾレシチンとリゾホスホリパ
ーゼ(EC 3.1.1.5)の酵素反応系由来である
場合。 リゾレシチン+H2 O→L−グリセロール−3−ホスホ
コリン+脂肪酸
【0028】ジヒドロキシアセトンリン酸を遊離、生成
する酵素反応系: (10)フルクトース1,6−ジリン酸とフルクトース
ジリン酸アルドラーゼ(EC 4.1.2.13)の酵
素反応系によって遊離、生成するジヒドロキシアセトン
リン酸を定量するためのもの フルクトース−1,6−ジリン酸→D−グリセロアルデ
ヒド−3−リン酸+ジヒドロキシアセトンリン酸 (11)D−グリセロアルデヒド−3−リン酸とトリオ
ースホスフエートイソメラーゼ(EC 5.3.1.
1)の酵素反応系由来である場合
【0029】D−グリセロアルデヒド−3−リン酸→ジ
ヒドロキシアセトンリン酸(12)ジヒドロキシアセトン、ATPとグリセロキナ
ーゼ(EC 2.7.1.30)の酵素反応系によって
遊離、生成するジヒドロキシアセトンリン酸を定量する
ためのもの。 ジヒドロキシアセトン+ATP→ジヒドロキシアセトン
リン酸+ADP (13)上記(1)のD−グリセロアルデヒド−3−リ
ン酸がD−グリセロアルデヒド、ATPとトリオキナー
ゼ(EC 2.7.1.28)の酵素反応系由来である
場合。 D−グリセロアルデヒド+ATP→D−グリセロアルデ
ヒド−3−リン酸+ADP
【0030】A1およびB1の量は被検体中のL−グリ
セロール−3−リン酸とヒドロキシアセトンリン酸の合
計量に比較して過剰量であること、かつグリセロール−
3−リン酸デヒドロゲナーゼのA1及びB1それぞれに
対するKm値に比較して過剰量であることが必要であり、
特にL−グリセロール−3−リン酸とジヒドロキシアセ
トンリン酸の合計量の20〜10000倍モルが好まし
い。
【0031】本発明のL−グリセロール−3−リン酸ま
たはジヒドロキシアセトンリン酸定量用組成物において
は、A1及びB1の濃度は0.02〜100mM、特に
0.05〜20mMが好ましく、グリセロール−3−リ
ン酸デヒドロゲナーゼの量は10〜1000u/ml、特
に20〜400u/mlが好ましいが、その量は被検体の
種類等により適宜決定することができ、これ以上の量を
用いることもできる。
【0032】また本発明にはその変形例として、以下の
方法も包含するものである。即ち、本発明はL−グリセ
ロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸
を含有する被検液に、 (1)チオNADP類及びチオNAD類からなる群より
選ばれた一つと、NADP類及びNAD類からなる群よ
り選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセ
ロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトン
リン酸を生成する可逆反応をなすグリセロール−3−リ
ン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1または/およびB2、 (4)L−グリセロール−3−リン酸に作用せず、B2
からB1への反応を形成する第二のデヒドゲロゲナーゼ
及び該第二のデヒドロゲナーゼの基質、を含有する試薬
を作用せしめて、次の反応式
【0033】
【化4】
【0034】(式中、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はチオNAD類のときは還元型NADP類または還元型
NAD類を、A1がNADP類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型チオNAD類を、B
2はB1の酸化型生成物を示し、B2からB1への反応
はB2を補酵素として第二のデヒドロゲナーゼにてB1
を生成する酵素反応を示す)で表されるサイクリング反
応を形成せしめ、該反応によって変化するA2の量を測
定することを特徴とするL−グリセロール−3−リン酸
またはジヒドロキシアセトンリン酸の高感度定量法であ
る。
【0035】本発明に包含される上記の方法において
は、グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼがNA
D類及びNADP類を共に補酵素とする場合、2つの補
酵素にチオNAD類とNAD類もしくはNADP類との
組合せ、またはチオNADP類とNAD類もしくはNA
DP類との組合せを選んだときには、被検体に(4)成
分のL−グリセロール−3−リン酸に作用せず、B2か
らB1への反応を形成する第二のデヒドロゲナーゼ及び
該第二のデヒドロゲナーゼの基質を作用せしめることに
より、後記反応式(II)のごとく、B1とB2の間にB
1の再生のための反応系を付与せしめることにより当該
サイクリング反応を形成させるのである。
【0036】この場合、第二のデヒドロゲナーゼに関し
ては、この測定系において実質的にA1に作用し得ない
条件を設定することが好ましく、そのためには、例えば
A1を本質的に補酵素として利用しない酵素を選択する
組合せ、A1とB2の量的関係により第二のデヒドロゲ
ナーゼが実質的にA1に作用しない条件を選択する組合
せ等により条件を設定することができる。定量に際して
は反応により生成したA2の量を測定する。
【0037】
【化5】
【0038】(式中、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はNAD類のときは還元型チオNAD類または還元型N
AD類を、A1がチオNAD類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型NADP類を示し、
B2はB1の酸化型生成物を示し、B2からB1への反
応はB2を補酵素としてB1を生成する酵素反応を示
す)
【0039】上記の成分(4)を用いるL−グリセロー
ル−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸定量
用組成物において、A1の濃度は0.02〜100m
M、特に0.05〜20mMが好ましく、B2または/
及びB1の濃度は0.05〜5000μM、特に5〜5
00μMが好ましい。L−グリセロール−3−リン酸デ
ヒドロゲナーゼの濃度は10〜1000u/ml、特に2
0〜500u/mlが好ましく、第二のデヒドロゲナーゼ
はB2に対するKm値(mM単位)の20倍量(u/ml単
位)以上になるように調製すればよく、例えば1〜10
0u/mlが好ましく、また第二のデヒドロゲナーゼの基
質は過剰量、例えば0.05〜20mMが好ましい。これ
らの量は被検体の種類等により適宜決定することがで
き、これ以上の量を用いることもできる。
【0040】第二のデヒドロゲナーゼはB1の再生のた
めに補助的に添加するものであり、これによってB1の
使用量を少なくすることが可能となり、特にB1が高価
な場合は有効である。又、B1の代わりにB2あるいは
B1とB2の混合物を用いて反応を行ってもよい。この
場合、B1または/及びB2の使用量は特に限定される
ものではないが、一般的にはA1の1/10モル以下が
好ましい。
【0041】第二のデヒドロゲナーゼ及びその基質とし
ては、例えばB2がNAD類またはチオNAD類のとき
は、アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.
1)とエタノール、グリセロールデヒドロゲナーゼ(E
C 1.1.1.6)(E.Coli由来)とグリセロ
ール、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1
1.37)(ブタ心筋、ウシ心筋由来)とL−リンゴ
酸、グリセロアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ(EC
1.1.1.12)(ウサギ骨格筋、肝、酵母、E.
Coli由来)とD−グリセロアルデヒドリン酸とリン
が挙げられる
【0042】また、B2がNADP類またはチオNAD
P類のときは、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼ(EC 1.1.1.49)(酵母由来)とグルコー
ス−6−リン酸、イソクエン酸デヒドロゲナーゼ(EC
1.1.1.42)(酵母、ブタ心筋由来)とイソク
エン酸、グリオキシル酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.
2.1.17)(Pseudomonas oxala
ticus由来)CoAとグリオキシル酸、ホスホグ
ルコン酸デヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.44)
(ラツト肝、ビール酵母、E.Coli由来)と6−ホ
スホ−D−グルコン酸、グリセロアルデヒドリン酸デヒ
ドロゲナーゼ(EC 1.2.1.13)(植物葉緑体
由来)とD−グリセロアルデヒド−3−リン酸とリン
酸、ベンズアルデヒドデヒドロゲナーゼ(EC 1.
2.1.7)(seudomonas fluore
scens由来)とベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0043】さらに、本発明の別の変形例としては、以
下の各方法もまた本発明に包含される。即ち、本発明は
L−グリセロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセ
トンリン酸を含有する被検液に、 (1)チオNADP類及びチオNAD類からなる群より
選ばれた一つと、NADP類及びNAD類からなる群よ
り選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセ
ロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトン
リン酸を生成する可逆反応をなすグリセロール−3−リ
ン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1または/およびA2、 (3)B1、 (5)L−グリセロール−3−リン酸に作用せず、A2
からA1への反応を形成する第三のデヒドゲロゲナーゼ
及び該第三のデヒドロゲナーゼの基質、を含有する試薬
を作用せしめて、次の反応式(III )
【0044】
【化6】
【0045】(式中、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はチオNAD類のときは還元型NADP類または還元型
NAD類を、A1がNADP類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型チオNAD類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示し、A2からA1へ
の反応はA2を補酵素として第三のデヒドロゲナーゼに
てA1を生成する酵素反応を示す)で表されるサイクリ
ング反応を形成せしめ、該反応によって変化するB1の
量を測定することを特徴とするL−グリセロール−3−
リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸の高感度定量
法である。
【0046】更に、本発明は次の成分(1)〜(4) (1)チオNADP類及びチオNAD類からなる群より
選ばれた一つと、NADP類及びNAD類からなる群よ
り選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセ
ロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトン
リン酸を生成する可逆反応をなすL−グリセロール−3
−リン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1または/およびB2、 (4)L−グリセロール−3−リン酸に作用せず、B2
からB1への反応を形成する第二のデヒドゲロゲナーゼ
及び該第二のデヒドロゲナーゼの基質、
【0047】(但し、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はチオNAD類のときは還元型NADP類または還元型
NAD類を、A1がNADP類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型チオNAD類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示す)を含有すること
を特徴とするL−グリセロール−3−リン酸またはジヒ
ドロキシアセトンリン酸の定量用組成物である。
【0048】更にまた、本発明は次の成分(1)〜
(3)および(5) (1)チオNADP類及びチオNAD類からなる群より
選ばれた一つと、NADP類及びNAD類からなる群よ
り選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グリセ
ロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセトン
リン酸を生成する可逆反応をなすL−グリセロール−3
−リン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1または/およびA2、 (3)B1、 (5)L−グリセロール−3−リン酸に作用せず、A2
からA1への反応を形成する第三のデヒドゲロゲナーゼ
及び該第三のデヒドロゲナーゼの基質、
【0049】(但し、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はチオNAD類のときは還元型NADP類または還元型
NAD類を、A1がNADP類またはNAD類のときは
還元型チオNADP類または還元型チオNAD類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示す)を含有すること
を特徴とするL−グリセロール−3−リン酸またはジヒ
ドロキシアセトンリン酸の定量用組成物である。
【0050】上記した本発明に包含される測定方法、定
量組成物においては、グリセロール−3−リン酸デヒド
ロゲナーゼがNAD類及びNADP類を共に補酵素とす
る場合、2つの補酵素にチオNAD類とNAD類もしく
はNADP類との組合せ、または、チオNADP類とN
AD類もしくはNADP類との組合せを選んだときに
、被検体に(5)成分のL−グリセロール−3−リン
酸に作用せず、A2からA1への反応を形成する第三の
デヒドロゲナーゼ及び該第三のデヒドロゲナーゼの基質
を作用せしめることにより、後記反応式(III )のごと
く、A1とA2の間にA1の再生のための反応系を付与
せしめることにより当該サイクリング反応を形成させる
のである。
【0051】この場合、第三のデヒドロゲナーゼに関し
ては、この測定系において実質的にB1に作用し得ない
条件を設定することが好ましく、そのためには、例えば
B1を本質的に補酵素として利用しない酵素を選択する
組合せ、B1とA2の量的関係により第三のデヒドロゲ
ナーゼが実質的にB1に作用しない条件を選択する組合
せ等により条件を設定することができ、定量に際しては
B1の消費量を測定する。
【0052】
【化7】
【0053】(式中、A1はチオNADP類、チオNA
D類、NADP類またはNAD類を示し、A2はA1の
還元型生成物を示し、B1はA1がチオNADP類また
はNADP類のときは還元型チオNAD類または還元型
NAD類を、A1がチオNAD類またはNAD類のとき
は還元型チオNADP類または還元型NADP類を示
し、B2はB1の酸化型生成物を示し、A2からA1へ
の反応はA2を補酵素としてA1を生成する酵素反応を
示す)
【0054】この成分(5)を用いるL−グリセロール
−3−リン酸またはジドロキシアセトンリン酸定量用組
成物において、B1の濃度は0.02〜100mM、特
に0.05〜20mMが好ましく、A2または/及びA
1の濃度は0.05〜5000μM、特に5〜500μ
Mが好ましい。
【0055】グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナー
ゼの濃度は10〜1000u/ml、特に20〜500u
/mlが好ましく、第三のデヒドロゲナーゼはA2に対す
るKm値(mM単位)の20倍量(u/ml単位)以上にな
るように調製すればよく、例えば1〜100u/mlが好
ましく、また第三のデヒドロゲナーゼの基質は過剰量、
例えば0.05〜20mMが好ましく、また第三のデヒ
ドロゲナーゼの基質は過剰量、例えば0.05〜20m
Mが好ましい。これらの量は被検体の種類等により適宜
決定することができ、これ以上の量を用いることもでき
る。
【0056】第三のデヒドロゲナーゼはA1の再生のた
めに補助的に添加するものであり、これによってA1の
使用量を少なくすることが可能となり、特にA1が高価
な場合には有効である。また、A1の代わりにA2ある
いはA1とA2の混合物を用いて反応を行ってもよい。
この場合、A1または/及びA2の使用量は特に限定さ
れるものではないが、一般的にはB1/10モル以下が
好ましい。
【0057】第三のデドロゲナーゼの基質としては、
例えば、A1がNAD類またはチオNAD類のときは、
アルコールデヒドロゲナーゼ(EC 1.1.1.1)
とアセトアルデヒド、グリセロールデヒドロゲナーゼ
(EC 1.1.1.6)(E.Coli由来)とジヒ
ドロキシアセトン、リンゴ酸デヒドロゲナーゼ(EC
1.1.1.37)(ブタ心筋、ウシ心筋由来)とオキ
ザロ酢酸、グリセロアルデヒドリン酸デヒドロゲナーゼ
(EC 1.1.1.12)(ウサギ骨格筋、肝、酵
母、E.Coli由来)と1,3−ジホスホ−D−グリ
セリン酸が挙げられる。
【0058】また、A1がNADP類またはチオNAD
P類のときは、グルコース−6−リン酸デヒドロゲナー
ゼ(EC 1.1.1.49)(酵母由来)とグルコノ
ラクトン−6−リン酸、グリセロアルデヒドリン酸デヒ
ドロゲナーゼ(EC 1.2.1.13)(植物葉緑体
由来)と1,3−ジホスホ−D−グリセリン酸等が挙げ
られる。
【0059】反応液組成については、使用するグリセロ
ール−3−リン酸デヒドロゲナーゼの各種補酵素間の相
対活性等を考慮して2種の補酵素を適宜選択し、その後
正反応/逆反応の至適pH条件を酵素サイクリング反応が
効率よく進行するように設定すればよい。これら使用す
る酵素は単独でも、あるいは適宜2種以上を組み合わせ
て用いてもよい。
【0060】斯くして、調製された本発明のL−グリセ
ロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸
定量用組成物によって被検体中のL−グリセロール−3
−リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸を測定する
には、上記成分(1)〜(3)、(1)〜(4)、ある
いは(1)〜(3)及び(5)を含有する組成物に被検
体0.001〜0.5mlを加え、約37℃の温度にて反
応させ、反応開始一定時間後の2点間の数分ないし数十
分間、例えば3分後と4分後の1分間、または3分後と
8分後の5分間における生成されたA2の量または消費
されたB1の量を、それぞれの吸収波長に基づく吸光度
の変化によって測定すればよい。
【0061】例えば、A2がチオNADH、B1がNA
DHの場合、A2の生成を400nm付近の吸光度の増
加により測定するか、あるいはB1の消費量を340n
m付近の吸光度の減少により測定し、既知濃度のL−グ
ルセロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリ
ン酸を用いて測定したときの値と比較すれば、被検液中
のL−グリセロール−3−リン酸またはジヒドロキシア
セトンリン酸量をリアルタイムで求めることができる。
【0062】また、本発明定量法は、被検体中のL−グ
リセロール−3−リン酸またはジヒドロキシアセトンリ
ン酸そのもを酵素サイクリング反応に導くものであり、
被検液中の共存物質の影響を受けにくいため、被検液の
ブランク測定を省略することができ、レイトアツセイに
よる簡便な測定を成し得る。尚、本発明においてはA2
またはB1の測定に当り、吸光度測定の代わりに他の公
知の測定法を使用して定量を行うことができる。
【0063】
【発明の効果】上述のごとく、本発明は還元型の吸収波
長の異なる補酵素を用いるため測定誤差が生じず、ま
た、酵素サイクリング反応を組合せることによつて感度
を増大させることができるため、少量の検体で迅速かつ
正確に被検体中のL−グリセロール−3−リン酸または
ジヒドロキシアセトンリン酸を定量することができる。
【0064】
【実施例】以下に本発明の実施例を挙げて具体的に述べ
るが、本発明はこれらに限定されるものではない。 実施例 1 L−グリセロール−3−リン酸の定量 <反応液> 40 mM グリシンNaOH緩衝液(pH10.0) 4 mM チオNAD(シグマ社製) 0.1 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 2 mM EDTA 200u/ml グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガー 社製:ウサギ筋肉由来)
【0065】<操作> 上記試薬1mlをキユベツトにとり、0、20、40、6
0、80、100μMのL−グリセロール−3−リン酸
(ベーリンガー社製)溶液をそれぞれ20μl添加し、
37℃にて反応を開始させた。反応開始後2分目と5分
目の400nmにおける吸光度を読み取り、その差を求
めた。その結果を図1に示した。図1から明らかなよう
に、L−グリセロール−3−リン酸量に対する吸光度変
化量は良好な直線性を示した。
【0066】実施例 2 グリセロールの定量 <反応液(1)> 20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 1 mM ATP(シグマ社製) 1 mM 塩化マグネシウム 0.3u/ml グリセロールキナーゼ(東洋醸造社製:ストレプトマイセス カナス(Streptomyces canus)由来)
【0067】 <反応液(2)> 100 mM グリシンNaOH緩衝液(pH10.0) 8 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 5 mM EDTA 400u/ml グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガー 社製:ウサギ筋肉由来)
【0068】<操作> 上記の反応液(1)0.5mlをキユベツトにとり、0、
20、40、60、80、100μMのグリセロール溶
液をそれぞれ20μl 添加し、37℃に加温した。グリ
セロール添加後2分目に反応液(2)を0.5ml添加
し、37℃にて酵素サイクリング反応を開始した。反応
液(2)添加後2分目と5分目の400nmにおける吸
光度を読み取り、そのを求めた。その結果を図2に示
した。図2から明らかなように、グリセロール量に対す
る吸光度変化量は良好な直線性を示した。
【0069】実施例 3 L−α−ホスフアチジル−DL−グリセロールの定量 <反応液(1)> 20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 1 mM ATP(シグマ社製) 1 mM 塩化マグネシウム 1 mM 塩化カルシウム 0.3u/ml グリセロールキナーゼ(東洋醸造社製:ストレプトマイセス カナス(Streptomyces canus)由来) 2u/ml ホスホリパーゼ−D(東洋醸造社製:ストレプトマイセス クロモフスカス(Streptomyces chromo fuscus)由来)
【0070】 <反応液(2)> 100 mM グリシンNaOH緩衝液(pH10.0) 8 mM チオNAD(シグマ社製) 0.16 mM 還元型デアミノNAD(シグマ社製) 5 mM EDTA 1360u/ml グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガー 社製:ウサギ筋肉由来)
【0071】<操作> 100mg/mlのL−α−ホスフアチジル−DL−グリセ
ロール溶液(クロロホルム:メタノール(98:2))
(シグマ社製)をエバポレータにて蒸発乾固し、250
0倍容の0.5%トリトンX−100(シグマ社製)溶
液を用いて溶解させた(4.0μg/ml)。このものを
水で希釈し0、8、16、24、32、40μg/mlの
L−α−ホスフアチジル−DL−グリセロール溶液を調
製した。
【0072】上記反応液(1)0.5mlをキユベツトに
とり、0、8、16、24、32、40μg/mlのL−
α−ホスフアチジル−DL−グリセロール溶液をそれぞ
れ50μl 添加し、37℃に加温した。L−α−ホスフ
アチジル−DL−グリセロール添加後5分目に反応液
(2)を0.5ml添加し、37℃にて酵素サイクリング
反応を開始した。反応液(2)添加後2分目と7分目の
400nmにおける吸光度を読み取り、その差を求め、
その結果を図3に示した。図3から明らかなように、L
−α−ホスフアチジル−DL−グリセロール量に対する
吸光度変化量は良好な直線性を示した。
【0073】実施例 4 血清中トリグリセリドの定量 <反応液(1)> 100u/ml リパーゼ(東洋醸造社製:クロモバクテリウム・ビスコサム (Chromobacterium viscosum)由 来 5 mM 塩化カルシウム 1 % トライトンX−100 20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0)
【0074】 <反応液(2)> 20 mM トリス塩酸緩衝液(pH8.0) 1 mM ATP(シグマ社製) 1 mM 塩化マグネシウム 0.3u/ml グリセロールキナーゼ(東洋醸造社製:ストレプトマイセス カナス(Streptomyces canus)由来)
【0075】 <反応液(3)> 100 mM グリシンNaOH緩衝液(pH10.0) 8 mM チオNAD(シグマ社製) 0.2 mM 還元型NAD(オリエンタル酵母社製) 5 mM EDTA 400u/ml グリセロール−3−リン酸デヒドロゲナーゼ(ベーリンガー 社製:ウサギ筋肉由来)
【0076】<操作> 上記の反応液(1)0.2mlをキユベツトにとり、37
℃にて予備加熱した。3種類の血清サンプルをそれぞれ
につき4μl 各キユベツトに加え、30℃にて反応を5
分間行った。その後、反応液(2)を0.3 ml 添加
し、37℃にて3分間反応せしめた後に反応液(3)を
0.5 ml 添加し、37℃にて酵素サイクリング反応を
開始した。
【0077】反応液(3)添加後2分目と5分目の40
0nmにおける吸光度を読み取り、その差を求めた。試
薬ブランクとして血清サンプルの代わりに蒸留水を加え
たものについて同様の測定を行った。図2の標準曲線よ
りグリセロール量を求め、血清中のトリグリセリド量を
求めた結果を表1に示す。
【0078】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】L−グリセロール−3−リン酸の定量曲線であ
る。
【図2】グリセロールの定量曲線である。
【図3】L−α−ホスフアチジル−DL−グリセロール
の定量曲線である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C12Q 1/25 - 1/66 BIOSIS(DIALOG) MEDLINE(STN) WPI(DIALOG)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 被検体に、 (1)チオニコチンアミドアデニンジヌクレオチドホス
    フエート類(以下、チオNADP類という)およびチオ
    ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド類(以下、チオ
    NAD類という)からなる群より選ばれる一つと、ニコ
    チンアミドアデニンジヌクレオチドホスフエート類(以
    下、NADP類という)およびニコチンアミドアデニン
    ジヌクレオチド類(以下、NAD類という)からなる群
    より選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グリ
    セロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセト
    ンリン酸を生成する可逆反応をなすグリセロール−3−
    リン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1、 を含有する試薬を作用せしめて、次の反応式 【化1】 (式中、A1はチオNADP類、チオNAD類、NAD
    P類またはNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物
    を示し、B1はA1がチオNADP類またはチオNAD
    類のときは還元型NADP類または還元型NAD類を、
    A1がNADP類またはNAD類のときは還元型チオN
    ADP類または還元型チオNAD類を示し、B2はB1
    の酸化型生成物を示す)で表されるサイクリング反応を
    形成せしめ、該反応によって変化するA2またはB1の
    量を測定することを特徴とするL−グリセロール−3−
    リン酸またはジヒドロキシアセトンリン酸の高感度定量
    法。
  2. 【請求項2】 チオNADP類がチオニコチンアミドア
    デニンジヌクレオチドホスフエート(チオNADP)ま
    たはチオニコチンアミドヒポキサンチンジヌクレオチド
    ホスフエートである請求項1記載の高感度定量法。
  3. 【請求項3】 チオNAD類がチオニコチンアミドアデ
    ニンジヌクレオチド(チオNAD)またはチオニコチン
    アミドヒポキサンチンジヌクレオチドである請求項1記
    載の高感度定量法。
  4. 【請求項4】 NADP類がニコチンアミドアデニン
    ジヌクレオチドホスフエート(NADP)、アセチルピ
    リジンアデニンジヌクレオチドホスフエート(アセチル
    NADP)、アセチルピリジンヒポキサンチンジヌクレ
    オチドホスフエートおよびニコチンアミドヒポキサンチ
    ンジヌクレオチドホスフエート(デアミノNADP)か
    らなる群より選ばれた補酵素である請求項1記載の高感
    度定量法。
  5. 【請求項5】 NAD類がニコチンアミドアデニンジ
    ヌクレオチド(NAD)、アセチルピリジンアデニンジ
    ヌクレオチド(アセチルNAD)、アセチルピリジンヒ
    ポキサンチンヌクレオチドおよびニコチンアミドヒポキ
    サンチンジヌクレオチド(デアミノNAD)からなる群
    より選ばれた補酵素である請求項1記載の高感度定量
    法。
  6. 【請求項6】 次の成分(1)〜(3) (1)チオNADP類およびチオNAD類からなる群よ
    り選ばれた一つと、NADP類およびNAD類からなる
    群より選ばれる一つとを補酵素とし、少なくともL−グ
    リセロール−3−リン酸を基質としてジヒドロキシアセ
    トンリン酸を生成する可逆反応をなすグリセロール−3
    −リン酸デヒドロゲナーゼ、 (2)A1、 (3)B1、 (式中、A1はチオNADP類、チオNAD類、NAD
    P類またはNAD類を示し、A2はA1の還元型生成物
    を示し、B1はA1がチオNADP類またはチオNAD
    類のときは還元型NADP類または還元型NAD類を、
    A1がNADP類またはNAD類のときは還元型チオN
    ADP類または還元型チオNAD類を示す)を含有する
    ことを特徴とするL−グリセロール−3−リン酸または
    ジヒドロキシアセトンリン酸の定量用組成物。
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