JP4412780B2 - 1,5−アンヒドログルシトールの定量法および定量試薬 - Google Patents

1,5−アンヒドログルシトールの定量法および定量試薬 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、試料中のグルコースを他の物質に変換した後、試料中の特定の物質、例えば1,5−アンヒドログルシトール等を酵素反応を利用して定量する方法並びにそれに用いる定量用試薬および定量用キットに関する。
【0002】
【従来の技術】
生体試料中にはグルコースが存在し、しかも定量すべき物質に比べ非常に高濃度である場合があり、定量すべき物質の定量結果が不正確なものになる場合がある。このような場合、該物質の定量に先立って、試料中のグルコースを試料中から除去するか、定量すべき物質の定量に影響しない他の物質に変換した後定量する方法が行われる。
【0003】
試料中からグルコースを除去する方法としては、例えばイオン交換カラムクロマトグラフィーでグルコースを分離する方法(特開昭63−185397号公報、特公昭64−6756号公報)等が知られている。また試料中のグルコースを他の物質に変換する方法としては、例えば、(1)アデノシン三リン酸存在下に、グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ等のリン酸化酵素を作用させ、グルコースをグルコース−6−リン酸に変換する方法、(2)酸素の存在下に、グルコースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼまたはソルボースオキシダーゼ等の酸化酵素を作用させ、グルコースをグルコノラクトンに変換する方法が知られている。
【0004】
これらの変換方法において種々の改良が知られている。(1)のリン酸化酵素を用いる方法においては、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフラクトキナーゼを作用させ、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に変換させることにより、グルコース−6−リン酸が平衡反応によりグルコースに再変換されるのを防止する方法(特開平5−76397号)、酸化型補酵素存在下にグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させる方法(特開平1−320998号公報、特開平3−27299号公報、特開平6−237794号公報)、アデノシン二リン酸存在下にピルビン酸キナーゼを作用させ、グルコース消去時に減少するアデノシン三リン酸の濃度変化を防止し、アデノシン三リン酸濃度を一定に保つ方法(特開平2−104298号公報)等が知られている。(2)の酸化酵素を用いる方法においては、グルコースオキシダーゼを作用させた後、カタラーゼを作用させ生成する過酸化水素を消去する方法(特開昭63−185397号公報)等が知られている。
【0005】
しかしながら、グルコースを他の物質に変換する際に使用する物質並びにその変換系で変化する物質およびその濃度等により、物質を定量するための酵素反応系が影響を受けてしまうという問題点がある。例えば、グルコースをグルコキナーゼまたはヘキソキナーゼを用いて消去しようとする場合(特開平5−76397号公報)には、アデノシン二リン酸が大量に生成してしまうという問題点がある。特に、完全にグルコースを消去するためにアデノシン三リン酸を十分量供給した場合にはグルコース濃度の2倍高濃度のアデノシン二リン酸が生成してしまうことになり、このアデノシン二リン酸濃度の影響は無視できないものとなる。
【0006】
髄液、血漿、血清、尿中など生体液中に存在し、ある種の疾患、特に糖尿病において血漿中の量が低下し、糖尿病診断マーカーとして有用である1,5−アンヒドログルシトールにおいては、1,5−アンヒドログルシトールがグルコースに酷似した構造を持ったものであり、また量的にもグルコースに比べて微量であることから、その定量は困難を極めている。
【0007】
1,5−アンヒドログルシトールに作用する酵素としては、ソルボースオキシダーゼ、ピラノースオキシダーゼ、ヘキソキナーゼ、グルコキナーゼ、アデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼなどがある。しかしこれらの酵素は1,5−アンヒドログルシトールの他に共存するグルコース等の糖類と反応してしまい、何らかの方法でグルコース等の糖類を除去あるいは消去する必要がある。
【0008】
1,5−アンヒドログルシトールの酸化反応を触媒するピラノースオキシダーゼまたはソルボースオキシダーゼを用いて生成する過酸化水素を定量する方法を用いる場合は下記のグルコース消去方法が知られている。
(1)イオンクロマトカラムで試料中のグルコースを分離した後、試料にピラノースオキシダーゼを作用させ生成する過酸化水素を定量し1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開昭63−185307号公報、特開昭64−6756号公報)、(2)試料中のグルコースに、グルコキナーゼまたはヘキソキナーゼ及びグルコース−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させて、グルコースをピラノースオキシダーゼに反応しない化合物に変換したのち、試料にピラノースオキシダーゼを作用させ生成する過酸化水素を定量し、1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開平1−320998号公報、特開平3−27299号公報)、(3)試料中のグルコースに、グルコキナーゼとピルベートキナーゼを用いてグルコースをピラノースオキシダーゼに反応しない化合物に変えた後、試料にピラノースオキシダーゼを作用させ生成する過酸化水素を定量し、1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開平2−104298号公報)、(4)試料中のグルコースに、ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ及び6−ホスホフルクトキナーゼを作用させてグルコースをピラノースオキシダーゼに反応しない化合物に変えた後、試料にソルボースオキシダーゼまたはピラノースオキシダーゼを作用させ、生成する過酸化水素を定量し、1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開平5−76397号公報)等が知られている。
【0009】
しかし(1)に記載のカラムを用いる方法は操作性に問題があり、(2)〜(4)に記載の消去系では、ヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼが、1,5−アンヒドログルシトールにも作用し1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸を生成することから、正確な1,5−アンヒドログルシトールの定量が困難である。
【0010】
1,5−アンヒドログルシトールのリン酸化反応を触媒するヘキソキナーゼ、グルコキナーゼまたはアデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼを用いて生成する物質を定量する方法を用いる場合は下記の方法が知られている。
(5)イオンクロマトカラムで試料中のグルコースを分離した後、試料にヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼを作用させ生成するアデノシン二リン酸を定量し1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開平8−107796号)、(6)試料中のグルコースに、(a)グルコースオキシダーゼ、またはグルコースオキシダーゼおよびカタラーゼ、(b)グルコースデヒドロゲナーゼ、あるいは、(c)ヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼなどの酵素を作用させてグルコースをアデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼに反応しない化合物に変えたのち、試料にアデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼおよび1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させて生成する還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)を定量することにより1,5−アンヒドログルシトールを定量する方法(特開平10−191998号公報)がある。
【0011】
しかしながら、(5)の方法では操作が煩雑である、(6)の方法においてはグルコースオキシダーゼを用いる(a)の方法では、被検液中に高濃度のグルコースが存在する場合は酸素供給が律速となる、グルコースデヒドロゲナーゼを用いる(b)の方法では、グルコースから生成される還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(リン酸)の消去系が必要となる、ヘキソキナーゼまたはグルコキナーゼを用いる(c)の方法では、グルコースから生成するグルコース−6−リン酸に1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼが作用してしまうため分別定量することができず、またグルコースが大量に存在する糖尿病患者等に由来する試料を測定対象とする場合には、反応系にアデノシン二リン酸が大量に生成し1,5−アンヒドログルシトールの定量が不正確となる等の問題がある。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、グルコースを含有する試料中の特定の物質、例えば1,5−アンヒドログルシトールを簡便に定量する方法、試料中の特定物質を定量するに際し実質的にグルコースを完全に消去できる試料中のグルコース消去方法、およびそれらのための試薬ならびにキットを提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、グルコースを含有する試料に、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に変換し、かつ1,5−アンヒドログルシトールを1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸に変換することができる酵素系を作用させることにより1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸を生成させ、ついで酸化型補酵素存在下に1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させて1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸の脱水素反応を行い、生成する還元型補酵素を定量することを特徴とするグルコース含有試料中の1,5−アンヒドログルシトールの定量方法に関する。
【0014】
また本発明は、(a)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ,もしくは(b)ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼから選ばれる一つと、ヌクレオシド三リン酸、ホスホヘキソースイソメラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ、を含有する1,5−アンヒドログルシトールの定量用試薬に関する。
【0015】
また本発明は、(a)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含む試薬,もしくは(b)ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼから選ばれる一つと、ヌクレオシド三リン酸、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含む試薬と、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む試薬とからなる1,5−アンヒドログルシトールの定量用試薬キットに関する。
【0016】
また本発明は、試料中に存在するグルコースに、ヌクレオシド二リン酸およびヌクレオシド三リン酸の存在下、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼを作用させて、グルコースをフルクトース−1,6―二リン酸に変換することを特徴とする試料中のグルコース消去方法に関する。
【0017】
また本発明は、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼを含むグルコース消去用試薬に関する。
また本発明は、試料中のグルコースに、ヌクレオシド二リン酸およびヌクレオシド三リン酸の存在下、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼを作用させて、グルコースをフルクトース−1,6―二リン酸に変換したのち、試料中の成分を化学的または酵素的反応を用いて定量することを特徴とするグルコース含有試料中成分の定量方法に関する。
【0018】
また本発明は、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼと、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質とを含む、物質の定量用試薬に関する。
また本発明は、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼを含む試薬と、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質とを含む試薬とからなる物質の定量用試薬キットに関する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明で扱う試料としては、グルコースが混在する可能性のある試料であればどのようなものでもよく、例えば血液、血漿、血清、尿等の生体試料があげられる。
試料中のグルコースの消去は、グルコースを下記反応式に従ってフルクトース−1,6−二リン酸に変換することにより行われる。
【0020】
【化1】
Figure 0004412780
【0021】
グルコースをグルコース−6−リン酸に変換しただけでは反応が可逆反応であるため生成したグルコース−6−リン酸がグルコースに再変換してしまうが、この反応系においては、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸にまで変換することにより、グルコースの再変換が進行せず試料中のグルコースが完全に消去できる。
【0022】
グルコースからフルクトース−1,6−二リン酸にまで変換する酵素系には、グルコースからグルコース−6−リン酸を生成する酵素系(酵素系1という)、グルコース−6−リン酸からフルクトース−6−リン酸を生成する酵素系(酵素系2という)およびフルクトース−6−リン酸からフルクトース−1,6−二リン酸を生成する酵素系(酵素系3という)が含まれる。
【0023】
酵素系1においては、(a)酵素がヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼであり補酵素がヌクレオシド二リン酸からヌクレオシド一リン酸への変換を伴うものと、(b)酵素がヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼまたはヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼであり補酵素がヌクレオシド三リン酸からヌクレオシド二リン酸への変換を伴うものとがある。酵素系2においては、酵素はホスホヘキソースイソメラーゼである。酵素系3においては、酵素は6−ホスホフルクトキナーゼであり補酵素はヌクレオシド三リン酸からヌクレオシド二リン酸への変換を伴う。
【0024】
酵素系1において、酵素がヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼであり補酵素がヌクレオシド二リン酸からヌクレオシド一リン酸への変換を伴うものである場合、グルコース濃度に応じてヌクレオシド二リン酸が消費されるが、6−ホスホフルクトキナーゼにより、ヌクレオシド三リン酸から、消費したヌクレオシド二リン酸量と等しい量のヌクレオシド二リン酸が生成されるため、ヌクレオシド二リン酸濃度を一定濃度に保つことができ、試料中に含まれるグルコース濃度により反応系に存在するヌクレオシド二リン酸濃度がばらつくことがない。
【0025】
本発明においてグルコースの消去方法を実施するに際しては、グルコースが共存する試料に(a)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6―ホスホフルクトキナーゼ、もしくは(b)ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼから選ばれる一つと、ヌクレオシド三リン酸、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを加え、必要に応じて水性媒体、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等の存在下に、10〜50℃で1〜30分間、好ましくは、2〜10分間反応させる。
【0026】
ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼまたはヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼの濃度は、0.1〜100U/mlが好ましく、0.5〜50U/mlがより好ましく、1〜50U/mlが特に好ましい。
ホスホヘキソースイソメラーゼの濃度は、0.1〜100U/mlが好ましく、0.5〜50U/mlがより好ましく、5〜50U/mlが特に好ましい。
【0027】
6−ホスホフルクトキナーゼの濃度は、0.1〜100U/mlが好ましく、0.5〜50U/mlがより好ましく、5〜50U/mlが特に好ましい。
【0028】
各酵素とも市販品が容易に入手可能である。例えば、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼは、サーモコッカス・リトラリス(Thermococcus litoralis)またはピロコッカス・フリオサス(Pyrococcus furiosus)由来の酵素が旭化成工業社より、ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼは、サッカロマイセス(Saccharomyces)属、クルイベロマイセス(Kluyveromyces)属、バチルス(Bacillus)属等の微生物由来の酵素が、例えばオリエンタル酵母工業社、東洋紡社、ベーリンガー・マンハイム社、旭化成工業社等より容易に入手できる。ヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼは、ザイモモナス(Zymomonas)属、バチルス(Bacillus)属等の微生物由来の酵素が、例えばユニチカ社等より容易に入手できる。ホスホヘキソースイソメラーゼはバチルス・ステアロサーモフィリウス(Bacillus stearothermophilus)由来の酵素がユニチカ社より、6−ホスホフルクトキナーゼはバチルス・ステアロサーモフィリウス(Bacillus stearothermophilus)由来の酵素がユニチカ社より入手できる。
【0029】
ヌクレオシド二リン酸またはヌクレオシド三リン酸の濃度は、0.01〜100mMが好ましく、0.1〜50mMがより好ましく、1〜10mMが特に好ましい。賦活剤としては、各種無機塩類があげられ例えば、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム等があげられる。無機塩類の濃度は、0.001〜10mg/mlが好ましく、0.01〜5mg/mlがより好ましく、0.1〜2mg/mlが特に好ましい。
【0030】
上記反応によりグルコースを消去した後、試料中の物質を定量するのに必要な試薬の存在下に反応をおこない、反応により生成した物質または減少した物質を定量することによって目的の物質を定量できる。定量に必要な試薬としては特に限定されないが、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質を含む試薬があげられ、酵素を含有する試薬が好ましい。
【0031】
定量すべき物質に作用する酵素がグルコースにも作用し、しかも該酵素が触媒する反応がヌクレオシド二リン酸濃度に影響を受ける場合には、グルコース消去方法としては、前述の(a)酵素がヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼであり補酵素がヌクレオシド二リン酸からヌクレオシド一リン酸への変換を伴うものが好ましい。
【0032】
該酵素としては、例えば、ヌクレオチダーゼ、6−ホスホグルコン酸デヒドロゲナーゼ、ヌクレオシド二リン酸ピロホスファターゼ、ヌクレオシド二リン酸グルコースピロホスホリラーゼ、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ等があげられる。
【0033】
定量の対象が1,5−アンヒドログルシトールの場合、上記グルコース消去のための酵素系による作用で同時に1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸が生成するため、この1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸を定量することにより試料中に存在した1,5−アンヒドログルシトールを定量することができる。
【0034】
上記反応によりグルコースを消去した後、酸化型補酵素の存在下で1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを加え、必要に応じて水性媒体、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等の存在下に、10〜50℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間反応させる。1,5−アンヒドログルシトール濃度は、反応により生成する還元型補酵素を直接例えば340nmの吸光度を測定するか、該還元型補酵素を他の物質に導き、該物質を定量することにより定量できる。
【0035】
1,5−アンヒドログルシトールの定量に使用する酸化型補酵素または1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼのいずれか一方は、グルコース消去反応に影響しない範囲であらかじめグルコース消去反応に共存させていてもよい。
ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼとしては、グルコースを基質として、ヌクレオシド二リン酸を消費してグルコース−6−リン酸およびヌクレオシド一リン酸を生成する酵素であり、かつ1,5−アンヒドログルシトールを基質としてヌクレオシド二リン酸を消費して1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸およびヌクレオシド一リン酸を生成する酵素であればいかなる酵素でもよい。ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼの例としては、超高度好熱菌ピロコッカス・フリオサス・DSM3638株由来の酵素(特開平9−234098号公報)、サーモコッカス・リトラリス由来の酵素(TLHK)が旭化成工業社から入手できる。
【0036】
ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼとしては、グルコースを基質として、ヌクレオシド三リン酸を消費してグルコース−6−リン酸およびヌクレオシド二リン酸を生成する酵素であり、かつ、1,5−アンヒドログルシトールを基質としてヌクレオシド三リン酸を消費して1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸およびヌクレオシド二リン酸を生成する酵素であればいかなる酵素でもよい。具体的には、前記の酵素類があげられる。
【0037】
1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼとしては、1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸と酸化型補酵素からC61181で表される化合物と還元型補酵素を生成する酵素であればいかなる酵素でもよい。
【0038】
【化2】
Figure 0004412780
【0039】
この反応を触媒する酵素、1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼとしては、例えばエッシェリヒア・コリ(E. coli)・DH1(ATCC33849)株由来の酵素をあげることができる。該酵素は、例えば特開平10−84953号公報の記載に従って調製できる。
1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼの反応液中の濃度は、0.5〜100U/mlが好ましく、1〜50U/mlがより好ましく、2〜40U/mlが特に好ましい。酸化型補酵素の反応液中の濃度は、0.1〜100mMが好ましく、1〜50mMがより好ましく、2〜20mMが特に好ましい。
【0040】
ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼ、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸の反応液中の濃度は、前述のグルコースの消去反応に用いる濃度と同一である。
【0041】
酸化型補酵素としては、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP)、チオNAD、チオNADP等があげられる。
ヌクレオシド三リン酸としては、例えばアデノシン三リン酸、グアノシン三リン酸、シチジン三リン酸、チアミン三リン酸、ウリジン三リン酸、イノシン三リン酸等があげられ、アデノシン三リン酸が好ましい。
【0042】
ヌクレオシド二リン酸としては、例えばアデノシン二リン酸、グアノシン二リン酸、シチジン二リン酸、チアミン二リン酸、ウリジン二リン酸、イノシン二リン酸等があげられ、アデノシン二リン酸が好ましい。
生成する還元型補酵素を他の物質に導き高感度に定量する方法としては、例えば次式で示すようにテトラゾリウム塩存在下に電子受容体を作用させ生成するホルマザン色素を比色定量する方法があげられる。
【0043】
【化3】
Figure 0004412780
【0044】
テトラゾリウム塩としては、例えばインドニトロテトラゾリウム(INT)やニトロブルーテトラゾリウム(NBT)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフォニル)−2H−テトラゾリウム,一ナトリウム塩(以下、WST−1と略記する)、2−(4−ヨードフェニル)−3−(2,4−ジニトロフェニル)−5−(2,4−ジスルフェニル)−2H−テトラゾリウム 一ナトリウム塩(以下、WST−3と略記する)、3,3'−[3,3'−ジメトキシ−(1,1'−ビフェニル)4,4'−ジイル]−ビス[2−(4−ニトロフェニル)−5−フェニル−2H テトラゾリウム クロライド](NTB)、3−(4,5−ジメチルチアゾール−2−フェニル)−5−(3−カーボキシメトキシフェニル)−2−(4−スルフォフェニル)−2H−テトラゾリウム塩(MTS)等があげられる。
【0045】
色源体として使用されているテトラゾリウム塩も使用することができる。テトラゾリウム塩としては、感度の増幅を目的とするため分子吸光係数が大きいものが良く、通常臨床の場で使用されることを考慮すると、還元後水溶性ホルマザン色素に変換されるものが望ましい。従ってWST−1やWST−3などが好適である。使用量としては臨床で使用する場合、0.01〜50mMの範囲が好ましい。
本発明に用いるテトラゾリウム塩の反応液中の初期濃度としては、0.01〜50mM、好ましくは0.05〜10mMである。
【0046】
電子受容体としては、例えばフェナジンメトサルフェート、1−メトキシ−5−メチルフェナジンメトサルフェート、メルドラズブルーおよびジアホラーゼがあげられる。ジアホラーゼとしては、例えばバチルス・メガテリウム(Bacillus megaterium)由来の酵素が旭化成工業社および東洋紡社から入手できる。本発明に用いる電子受容体の反応液中の初期濃度としては、0.01〜50mM、好ましくは0.05〜10mMである。
【0047】
反応は、10〜50℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間行う。本反応は、前述の還元型補酵素を生成する反応が終了した後行ってもよいが、同時に行うのが好ましい。
また生成する還元型補酵素を他の物質に導き定量する他の方法としては次式に示されるように色源体の存在下に還元型補酵素オキシダーゼおよびパーオキシダーゼを作用させ生成する色素を比色定量する方法があげられる。色源体は、例えば4−アミノアンチピリンとの組合わせで用いられる色源体でもよいが、単独で色素に変換する色源体が好ましい。
【0048】
【化4】
Figure 0004412780
【0049】
単独で用いられる色源体としては、例えばビス[3−ビス(4−クロロフェニル)−メチル−4−ジメチルアミノフェニル]アミン(BCMA)、ビス[3−ビス(4−クロロフェニル)−メチル−4−カルボキシエチルアミノフェニル]アミン、10−N−メチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(MCDP)、10−N−カルボキシメチルカルバモイル−3,7−ジメチルアミノ−10H−フェノチアジン(CCAP)等があげられる。
【0050】
また、4−アミノアンチピリンと組合わせて用いる色源体としては例えば、N−エチル−N−(3−メチルフェニル)−N'−サクシニルエチレンジアミン(EMSE)、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン(TOOS)、N,N−ビス(4−スルホブチル)−m−トルイジン二ナトリウム塩等があげられる。
【0051】
反応は、10〜50℃で1〜30分間、好ましくは2〜10分間行う。本反応は、前述の還元型補酵素を生成する反応が終了した後に行ってもよいが、同時に行うのが好ましい。
水性媒体としては、緩衝剤、食塩等を含有する水等の液体を例示できるが緩衝液が好ましい。
【0052】
緩衝剤としては、例えば乳酸緩衝剤、クエン酸緩衝剤、酢酸緩衝剤、コハク酸緩衝剤、フタル酸緩衝剤、リン酸緩衝剤、トリエタノールアミン緩衝剤、ジエタノールアミン緩衝剤、リジン緩衝剤、バルビツール緩衝剤、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン緩衝剤、イミダゾール緩衝剤、リンゴ酸緩衝剤、シュウ酸緩衝剤、グリシン緩衝剤、ホウ酸緩衝剤、炭酸緩衝剤、グッド緩衝剤等があげられる。
【0053】
酵素活性調節剤としては、1,10−フェナントロリン等の金属キレート剤、マンニトール、グリセロール等の糖アルコール、マグネシウム、マンガン、亜鉛、銅等の金属イオン、ヨード酢酸、ヨードアセトアミド等のSH阻害剤があげられる。
酵素の安定化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸等の金属キレート剤、可溶性デンプン等の多糖類またはその誘導体、アルブミン、グロブリン等の蛋白質、ポリエチレングリコール等の水溶性高分子化合物、ホスフィン、システイン等のSH基含有化合物等があげられる。
【0054】
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル(ノニオンHS−210、花王社製)、3−[(3−クロラミドプロピル)ジメチルアミノ]プロパンスルホン酸、トリトンX−100、ドデシル硫酸ナトリウム等をあげることができる。
防腐剤としては、例えばアジ化ナトリウム等があげられる。
【0055】
他の酵素としては、例えば酸化型補酵素オキシダーゼ、パーオキシダーゼ等をあげることができる。
本発明の1,5−アンヒドログルシトールの定量用試薬は、(a)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ,もしくは(b)ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼから選ばれる一つと、ヌクレオシド三リン酸、ホスホヘキソースイソメラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有し、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含む。
【0056】
これら試薬は、1)(a)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼ,もしくは(b)ヌクレオシド三リン酸依存性ヘキソキナーゼおよびヌクレオシド三リン酸依存性グルコキナーゼから選ばれる一つと、ヌクレオシド三リン酸、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼと、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含有する第一試薬および、2)1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼおよび酸化型補酵素と、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含有する第二試薬からなる1,5−アンヒドログルシトール定量用キットとすることができる。第二試薬中には1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼと酸化型補酵素のいずれか一方を含有させ、残りを第一試薬に含有させることもできる。
【0057】
本発明のグルコース消去用試薬は、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ、および6−ホスホフルクトキナーゼを含み、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含む。
【0058】
本発明の、物質の定量用試薬は、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼと、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質からなり、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含む。
【0059】
該定量試薬は、1)ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼと、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含む第一試薬、および2)定量すべき物質に作用する酵素、定量すべき物質と反応する物質からなり、必要に応じて前述の緩衝剤、酵素活性調節剤、賦活剤、防腐剤、安定化剤、界面活性剤、色源体、電子受容体、テトラゾリウム塩、他の酵素とその基質や補酵素等を含む第二試薬を含有するキットとして構成することができる。
【0060】
本発明の試薬の各々は、凍結乾燥品を調製した後供給されてもよいが、水等の液体に溶解して供給されてもよい。
以下に具体的な実施例をあげる。
【0061】
【実施例】
実施例1
下記の組成のグルコース消去用試薬を調製した。
トリス−HCl緩衝液(pH8.0) 50mM
塩化マグネシウム 1mg/ml
アデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼ
Thermococcus litoralis由来、旭化成工業社製) 10U/ml
ホスホヘキソースイソメラーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 40U/ml
6−ホスホフルクトキナーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 30U/ml
アデノシン二リン酸(オリエンタル酵母工業社製) 3mM
アデノシン三リン酸(シグマ社製) 10mM
【0062】
実施例2
下記の組成の1,5−アンヒドログルシトール定量用試薬を調製した。
試薬 1
トリス−HCl緩衝液(pH 8.5) 50mM
塩化マグネシウム 1mg/ml
NADP(シグマ社製) 4mM
アデノシン二リン酸(オリエンタル酵母工業社製) 3mM
アデノシン三リン酸(シグマ社製) 10mM
ホスホヘキソースイソメラーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 40U/ml
6−ホスホフルクトキナーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 30U/ml
ジアホラーゼ
Bacillus megaterium由来、旭化成工業社製) 10U/ml
アデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼ
Thermococcus litoralis由来、旭化成工業社製) 10U/ml
【0063】
試薬 2
グリシン−NaOH緩衝液(pH 10.0) 200mM
WST−1(同仁化学社製) 0.5mM
1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
E. coli・DH1(ATCC33849)株由来、旭化成工業社製) 20U/ml
【0064】
実施例3
1,5−アンヒドログルシトールの25μg/mlの標準液を5段階に希釈して作成した試料及び精製水0.075mlに実施例2で調製した試薬1を2.25ml加え、37℃で5分間加温し、その後、実施例2で調製した試薬2を0.75ml添加してさらに5分間反応させ、438nmで吸光度を測定した。このとき得られた検量線を第1図に示す。
【0065】
実施例4
本法の有用性を確かめるためにグルコースの消去実験を行った。試験管に実施例2の試薬1を2.25ml分注し、(a)精製水、(b)1,5−アンヒドログルシトールを25μg/ml含む検液、(c)グルコースを2000mg/dl含む検液、(d)1,5−アンヒドログルシトールを25μg/mlとグルコース2000mg/dlを含む検液をそれぞれ0.075ml加えて37℃で5分間加温後、実施例2の試薬2を0.75ml添加してさらに5分間反応させ、438nmで吸光度を測定し第1表の結果を得た。
【0066】
【表1】
Figure 0004412780
【0067】
第1表の結果が示すように、(c)と(a)との値は完全に一致しており、本法では(c)検液中のグルコース2000mg/dlが完全に消去された。また、(b)と(d)の値もほぼ同じとなり、本法の有用性が示された。
【0068】
実施例5
本法と公知の方法との相関性を確かめるために、50例の血清を用いて1,5−アンヒドログルシトール濃度の測定を行った。(a)実施例2の試薬1を2.25ml分注し、血清0.075mlを加えて37℃で5分間加温後、試薬2を0.75ml添加してさらに5分間反応させ、438nmで測定した吸光度を、実施例1の図1の検量線より得られた計算式にて血清中の1,5−アンヒドログルシトール濃度を算出した。(b)体外診断用医薬品として承認されている「ラナ1,5−AGオートII」(日本化薬社製 承認番号(08AM)第0112号)を用いて、「測定操作方法」に従い50例の血清の測定を行い、同じく「1,5−アンヒドログルシトール濃度の求め方」に従い1,5−アンヒドログルシトール濃度を算出した。(a)で得られた値を縦軸に、(b)で得られた値を横軸にそれぞれプロットし図2の結果を得た。
【0069】
図2の結果が示すように、相関係数r=0.9966、回帰式y=0.9839x+0.0576と良好な相関性が得られた。
【0070】
実施例6
第一試薬のアデノシン二リン酸濃度を第2表に示す通りとし、また第二試薬にトリトンX−100を0.4%となるように添加する以外は、実施例2と同様な試薬を調製した。
【0071】
1,5−アンヒドログルシトール25μg/mlおよび第2表に示す濃度のグルコースを添加した試料を作成した。
実施例3と同様に操作し1,5−アンヒドログルシトールを定量した。
結果を第2表に示す。
【0072】
【表2】
Figure 0004412780
【0073】
本実施例で使用したアデノシン二リン酸依存性ヘキソキナーゼを用いるグルコースの消去方法を用いれば、試薬のアデノシン二リン酸濃度を変えても、また試料に種々の濃度のグルコースが含有されていても、これら条件に関わりなく、試料中の1,5−アンヒドログルシトールが正確に定量された。
【0074】
実施例7
下記の組成の1,5−アンヒドログルシトール定量用試薬を調製した。
試薬1
トリス−HCl緩衝液(pH 8.0) 50mM
塩化マグネシウム 1mg/ml
NADP(シグマ社製) 4mM
アデノシン三リン酸(シグマ社製) 10mM
ホスホヘキソースイソメラーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 40U/ml
6−ホスホフルクトキナーゼ
Bacillus stearothermophilus由来、ユニチカ社製) 30U/ml
ジアホラーゼ
Bacillus megaterium由来、旭化成工業社製) 10U/ml
アデノシン三リン酸依存性ヘキソキナーゼ
(酵母由来、オリエンタル酵母工業社製) 100U/ml
【0075】
試薬2
グリシン−NaOH緩衝液(pH 10.0) 200mM
WST−1(同仁化学社製) 0.5mM
1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼ
E. coli・DH1(ATCC33849)株由来、旭化成工業社製) 20U/ml
【0076】
実施例8
1,5−アンヒドログルシトール濃度、50、100、150、200および250μg/mlの標準液を作成した。該標準液または精製水0.075mlに実施例7で調製した試薬1を2.25ml加え、37℃で5分間加温し、その後、実施例7で調製した試薬2を0.75ml添加してさらに5分間反応させ、438nmで吸光度を測定した。このとき得られた検量線を第3図に示す。
【0077】
実施例9
本法の有用性を確かめるためにグルコースの消去実験を行った。試験管に実施例7の試薬1を2.25ml分注し、(a)精製水、(b)1,5−アンヒドログルシトールを250μg/ml含む検液、(c)グルコースを100mg/dl含む検液、(d)1,5−アンヒドログルシトールを250μg/mlとグルコース100mg/dlを含む検液をそれぞれ0.075ml加えて37゜Cで5分間加温後、実施例7の試薬2を0.75ml添加してさらに5分間反応させ、438nmで吸光度を測定し第3表の結果を得た。
【0078】
【表3】
Figure 0004412780
【0079】
第3表の結果が示すように、(c)と(a)との値はほぼ一致しており、本法では(c)検液中のグルコース100mg/dlが完全に消去された。また、(b)と(d)の値もほぼ同じとなり、本法の有用性が示された。
【0080】
【発明の効果】
本発明によれば、簡便な1,5−アンヒドログルシトールの定量方法並びにそれに用いる定量用試薬および定量用キットが供給される。しかも共存するグルコースが高濃度であっても、それが酵素的に完全に消去され、正確な測定値を得ることができる。また本発明によれば、反応液中に存在するヌクレオシド二リン酸濃度を一定に保ちながら反応液中のグルコースをグルコース−1,6−二リン酸に変換することにより消去する方法およびそれに用いる消去用試薬が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 1,5−アンヒドログルシトールの検量線を示す。横軸の1,5−AGは1,5−アンヒドログルシトールを示し、縦軸のmAbsはミリ吸光度を示す。
【図2】 本法で得られる1,5−アンヒドログルシトール濃度(a:縦軸)と対照方法(ラナ1,5−AGオート)で得られる1,5−アンヒドログルシトール濃度(b:横軸)の相関図を示す。
【図3】 1,5−アンヒドログルシトールの検量線を示す。

Claims (10)

  1. グルコースを含有する試料に、ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含む酵素系を作用させて、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に、1,5−アンヒドログルシトールを1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸に変換し、ついで酸化型補酵素存在下に1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを作用させて1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸の脱水素反応を行い、生成する還元型補酵素を定量することを特徴とするグルコース含有試料中の1,5−アンヒドログルシトールの定量方法。
  2. 還元型補酵素の定量が、テトラゾリウム塩から生成する色素を比色定量して行うものである請求項1記載の定量方法。
  3. クレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼ、6−ホスホフルクトキナーゼ、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含有する1,5−アンヒドログルシトールの定量用試薬。
  4. テトラゾリウム塩および電子受容体をさらに含有する請求項記載の定量用試薬。
  5. クレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含む試薬と、酸化型補酵素および1,5−アンヒドログルシトール−6−リン酸デヒドロゲナーゼを含む試薬とからなる1,5−アンヒドログルシトールの定量用試薬キット。
  6. 試料中に存在するグルコースに、ヌクレオシド二リン酸およびヌクレオシド三リン酸の存在下、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを作用させて、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に変換することを特徴とする試料中のグルコース消去方法。
  7. ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含むグルコース消去用試薬。
  8. 試料中のグルコースに、ヌクレオシド二リン酸およびヌクレオシド三リン酸の存在下、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを作用させて、グルコースをフルクトース−1,6−二リン酸に変換したのち、試料中の成分を化学的または酵素的反応を用いて定量することを特徴とするグルコース含有試料中成分の定量方法。
  9. ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼと、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質を含む、物質の定量用試薬。
  10. ヌクレオシド二リン酸、ヌクレオシド三リン酸、ヌクレオシド二リン酸依存性ヘキソキナーゼ、ホスホヘキソースイソメラーゼおよび6−ホスホフルクトキナーゼを含む試薬と、定量すべき物質に作用する酵素または定量すべき物質と反応する物質を含む試薬とからなる物質の定量用試薬キット。
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