JPH11189899A - 画像形成記録方法 - Google Patents

画像形成記録方法

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JPH11189899A
JPH11189899A JP35954597A JP35954597A JPH11189899A JP H11189899 A JPH11189899 A JP H11189899A JP 35954597 A JP35954597 A JP 35954597A JP 35954597 A JP35954597 A JP 35954597A JP H11189899 A JPH11189899 A JP H11189899A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 色材を含む電着材料を用いて高画質な画
像を、光画像信号に対応して発生する如き、画像形成部
と基準電極の電位差が小さい印加電圧によっても形成す
ることが可能であり、安全性高く、簡易な方法で、自由
度が高く、且つ、形成された画像の安定性に優れた画像
記録方法を提供する。 【解決手段】 液体を保持し得る容器内に、少なくとも
画像パターンに従って電流または電界を供与できる電極
と画像を保持しうる面とを有する像保持部材と、電極対
の他方である対向電極とを配置した装置の該容器内に、
色材とpHの変化により化学的に溶解或いは析出・沈降
する化合物を含む電着材料とを含有する水系分散液を準
備し、該像保持部材と対向電極とに画像パターンに従っ
て電流または電界を供与し、像保持部材の表面近傍の分
散液のpHを変化させることにより色材を含んだ電着材
料を析出・沈降させて画像を形成する画像形成記録方法
であって、該水系分散液に、沸点が150℃以下のpH
調整剤を少なくとも一種含有することを特徴とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水系色材分散液を
用いて通電により電気化学的に画像形成材料を不溶化し
て画像形成を行う画像形成記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】オフィス用画像記録技術には、液体の画
像形成材料を用いているものも数多くある。例えば、銀
塩技術・インクジェット技術・電子写真技術などであ
る。
【0003】銀塩を用いた印字技術は、種村初実他“銀
塩写真方式による高画質カラーコピーシステム”Jap
an Hardcopy ’89 研究発表予稿集P2
29。液体現像の電子写真技術を用いた印字技術は、
E.B.Caruthers,et al.,”Mod
eling of Liquid Toner Ele
ctrical Characteristics ”
Proceedingsof IS&T 10th I
nt`l.Congress on Advances
in Non−Impact Printing T
echnologies P204(`94)。インク
ジェット技術用いた印字技術は、碓井稔”新方式MAC
Hの開発”Japan Hardcopy ’96 研
究発表予稿集P161など多くの技術発表がある。
【0004】従来からの印字技術においては、銀塩を用
いた印字技術では、画質や画像堅牢性の問題は無いが、
化学的な反応を伴う印字プロセスのため化学的に活性な
金属化合物などの薬剤の使用や廃棄があり、オフィスへ
の適応に問題を生じている。インクジェット印字技術で
は、ノズル径と印字の信頼性の問題により高解像度化が
得にくく、また画像形成材が一般的に水性染料であり、
画像堅牢性、安全性や普通紙印字性に問題がある。電子
写真技術は、画質や普通紙印字性、印刷並みの画像堅牢
性には問題は無いが、定着部での消費エネルギーが大き
く、また印字プロセスが複雑なため機械サイズが大きく
なったり、安全性・信頼性に問題が生じたりしている。
【0005】また、本発明の画像形成方法に近い従来技
術としては、絶縁性液体中に色材を分散させ電気2重層
を発生させた電着液を用いた技術が特開平7−1817
50号、特公平7−54407号に開示され、導電性基
板の上に絶縁性パターンを設け印刷版とした電着印刷技
術を用いた技術が、微細パターンの形成方法として特開
平4−9902号に、電着オフセット印刷方法および印
刷版として特開平6−293125号にそれぞれ開示さ
れている。
【0006】ところで、オフィスで用いる印字技術に要
求される特性として、600DPI以上/多値階調のカ
ラ−高画質を得られること、普通紙印字が可能なこと、
印刷並みの画像堅牢性、印字記録物および印字機械の安
全性の高さ、廃棄物が殆どないこと、ランニングコスト
が低いこと、などが要求されている。それに対して、従
来技術では、先に述べたような種々の欠点があり、ま
た、電着性を利用した前記各特許に記載の技術もまた、
それらを完全に満足出来る技術は完成されていない。
【0007】高画質(1000DPIレベルの解像度/
良好なカラー再現/多値階調)を達成する場合、画像構
造は色彩の再現域と画像のシャープ性の関係から画像厚
みが2ミクロン以下、より好ましくは1ミクロン以下の
厚みであることが好ましくなる。それにより画像構造を
与える要素である画像形成材料の平均形状径がサブミク
ロン以下のサイズで有る必要になる。しかしながら、画
像形成材料の平均形状径が5ミクロン以下では流動性に
問題がでてくるため粉体系画像形成材料は実用上、使用
が困難なものとなる。一方、液体系画像形成材料はこの
点でかなり有効なものになると考えられる。また、数ミ
クロンオーダー画像の画像形成工程においては、画像形
成材料粒子の微小域での精度の高い画素形状の制御が技
術的に難しく、電着材に微小な最小粒子である分子オー
ダーの染料水溶液を利用することは精度の高い色材制御
方法の見地からも非常に有効な方法の1つと考えられ
る。
【0008】前記特開平7−181750号等の特許で
示される絶縁性液体現像剤を用いた電子写真技術は、画
像形成材料形状径がサブミクロンオーダーであるために
高解像度が可能であり、印字の普通紙適正も高い。しか
し現像液として炭化水素系溶剤を用いるために溶剤蒸気
による安全性が大きな問題とされていて、国により使用
が厳しく制限されている例もある。
【0009】また、前記特開平4−9902号等の特許
で示した導電性基板の上に絶縁性パターンを設け印刷版
として用いた電着印刷技術は、事前にホトリソ工程によ
り絶縁性のレジストの非画像部を作成するなど工程が複
雑であるため、毎回画像パターンを変更して印字を行う
ことが難しく、また装置の精度が高く大がかりで工程数
が多く、さらに、廃棄物が多いため設備の整った工場に
設置して印字作業を行う場合に限定されてしか使用が出
来ない。また、画像形成工程の履歴が基板上に残り易
く、微細な画像記録の再現性が低い。そしてまた画像部
が凹みになっているため、画像部も粒子泳動現象による
粒子付着選択性が弱まり、画像部の画像形成材料液体成
分が多く残り易くこのために粘度が低くくなり、転写工
程で画像部の画像形成材料が流動や凝集破壊を発生しや
すく、高画質が得にくくなっている。また、これらはい
ずれも微細パターン対応の印刷版を作成する技術であ
り、直接記録媒体に画像を記録するものではなかった。
【0010】このように、従来の画像形成方法では、安
全性が高く、簡易な装置で実施し得る、前記のオフィス
で用いる印字技術に要求される特性を満足させた印字技
術は未だ実現されていなかった。
【0011】高画質(600DPI/多値階調以上)を
実現させるには、画像形成材料形状が1ミクロン以下で
あることが好ましく、それにより色材を含有できる液体
系画像形成材料を用いる必要がある。オフィスに設置さ
れる事も考慮すると画像形成材料に使われる液体として
安全性が高い必要があり、好ましくは安全性に問題のな
い水を選択するべきであろう。また、オフィスでの印字
技術は、少量多品種のプリントを簡易に、安価に作成す
る必要があるので再生できない印刷版を用いる印字プロ
セスは適応性に乏しい。それ故に、毎回プリント時に画
像信号を入力してイメージ情報を作り、プリント出力は
画像化した画像形成材料が普通紙などのユーザーの各種
ニーズに対応した各種記録媒体に転写して記録する系の
ものが市場では好まれる。
【0012】しかも、画像形成材料の色材は画像の堅牢
性、高光学濃度化や人体に取り込まれない安全性を考慮
すると顔料系の色材を用いることが必要となる。そし
て、印字工程では、必要以上にエネルギーの消費は抑制
されなければならない。
【0013】さらに電着材料の析出に要するエネルギー
を軽減するために水系分散液には、しばしば、pH調整
剤が添加されるが、このpH調整剤が析出した電着膜中
に残存すると、画像(電着膜)の再溶解を招くなど、画
像安定性の観点から種々の問題を有していることがわか
ってきた。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は前記各特性を
鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、色材を含
む電着材料を用いて高画質な画像を、光画像信号に対応
して発生する如き、画像形成部と基準電極の電位差が小
さい印加電圧によっても形成することが可能であり、安
全性高く、簡易な方法で、自由度が高く、且つ、形成さ
れた画像の安定性に優れた画像記録方法を提供すること
にある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の画像形成記録方
法の主要構成は、顔料系の色材と特定の電着材料を含有
する水系分散液とその容器、電気的画像パターンを発生
できる電極を有する像保持部材と対向電極、さらには、
補助的部材である、水系電着材料分散液を注入した容器
中に像保持部材等を浸漬し、所定の位置に固定する治具
及び前記各部材の制御装置からなる。そしてこの装置に
より電着材料を析出、沈降させて像保持部材上に形成さ
れた画像パターンは、直接その像保持部材をドキュメン
トとして扱えるし、また他のメデイアに画像を転写・固
定してドキュメントとしても扱える。
【0016】即ち、本発明の画像形成記録方法は、液体
を保持し得る容器内に、少なくとも画像パターンに従っ
て電流または電界を供与できる電極と画像を保持しうる
面とを有する像保持部材と、電極対の他方である対向電
極を合わせ持つ装置の容器内に、色材とpHの変化によ
り化学的に溶解或いは析出・沈降する化合物からなる電
着材料とを含有する水系分散液を準備し、該像保持部材
と対向電極とに画像パターンに従って電流または電界を
供与し、像保持部材近傍の分散液のpHを変化させるこ
とにより色材を含んだ電着材料を析出・沈降させて画像
を形成する画像形成記録方法であって、水系分散液に、
沸点が150℃以下のpH調整剤を含有することを特徴
とする。
【0017】ここで、前記像保持部材と対向電極とに電
流または電界を供与する手段としては、光画像信号入力
に対して光画像信号を電流に変換する機構を有し、像保
持部材表面に光画像信号に対応して電流を発生させる手
段が好ましい。
【0018】この画像形成記録方法においては、形成さ
れた画像に何らかの加熱処理を施すことが、画像の安定
性の観点から好ましく、加熱処理は、画像様の電着膜に
直接施す、転写工程において、析出・沈降した電着材料
を、加熱処理により記録媒体に転写する工程を設ける、
析出・沈降した色材を含んだ電着材料を、記録媒体に転
写する工程の後に転写した画像を加熱により定着する工
程を設ける、などの任意の方法で行うことができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下に、本発明をより詳細に説明
する。
【0020】本発明の画像形成記録方法は、液体を保持
し得る容器内に、少なくとも画像パターンに従って電流
または電界を供与できる電極と画像を保持する平面部材
とを有する像保持部材と、電極対の他方である対向電極
を合わせ持つ装置の該容器内に、色材とpHの変化によ
り化学的に溶解或いは析出・沈降する化合物からなる電
着材料とを含有する水系分散液(以下、適宜、水系色材
電着液又は単に電着液と称する)を満たした装置を用
い、電着膜の析出感度を向上させるために、水系色材電
着液に特定のpH調整剤を含有させる。
【0021】水系色材電着液の構成材料は、水不溶性の
色材粒子と水系電着材料或いは有色の水系電着材料、p
H調整剤、水および水系溶媒が主成分であり、その他に
湿潤材、水溶性高分子材、エマルジョン材、ラテックス
材、各種溶剤、界面活性剤、防腐・防カビ剤などの添加
剤を本発明の効果を損なわない限りにおいて使用するこ
とができる。
【0022】この方法によれば、電着材料を水系の液体
中に溶解、分散し、水系分散中に電極を浸して電圧を印
加すると、陽極側の電極上にこれらの電着材料からなる
電着膜が生成される。電着材料が無色あるいは淡色高分
子材料である場合には、この高分子中に顔料等の色材粒
子を分散させて、溶液中に電極を浸し電圧を印加する
と、陽極側の電極上に色材粒子を含んだ状態で高分子が
析出して顔料と高分子が混合された有色の電着膜が形成
される。また、電着材料自体に有色物質を用いることも
できる。電着材料が有色である場合には、そのまま着色
電着膜が形成されるが、その場合は特に色材を添加する
必要はなく、本発明において、「色材とpHの変化によ
り化学的に溶解或いは析出・沈降する化合物を含む電着
材料」とは、それ自体が色材である電着膜形成能を有す
る染料からなる電着材料をも包含するものとする。
【0023】水系色材電着液の組成としては、固形分が
1重量%から40重量%であり、好ましくは5重量%か
ら19重量%である。1重量%より薄い固形分濃度域で
は、色材成分の分散安定性が得られにくく、また画像の
十分な光学濃度が簡単に得られにくいなど問題がある。
また40重量%より濃い固形分濃度域では、電着時液の
不均一性を生じ易く、さらに、液がチキソトロピー性を
示すため液搬送等の取り扱い方が複雑になるなど問題が
ある。
【0024】電着液の固形成分において、色材微粒子を
別に添加する場合には、色材成分量は全固形成分中で3
0重量%から80重量%が好ましく、さらに40重量%
から60重量%が良好である。上記範囲より低い値で
は、画像のグロスが高くなりすぎたり、画像の光学濃度
が低下したりする原因となる。また上記範囲より高い値
では、電着効率が低下したり画像の層形成に欠陥や不良
を生じやすく定着強度も低くなり色調にも問題を生じた
りする。
【0025】電着液の導電度は、106 Ω・cm以下、
好ましくは103 Ω・cm〜103Ω・cmの範囲であ
る。上記範囲より高い値では、電着電圧が高くなり電極
の発泡現象が活発化したり電着現象が不安定になり、形
成された画像の膜質のバラツキが生じやすくなる。ま
た、低すぎると、画像信号の電流の拡散が生じ、画像の
解像度が低下する。
【0026】電着液の粘度は1cpsから1000cp
sの範囲が良く、より好ましくは10cpsから200
cpsの範囲である。上記範囲より低い値では、液体の
粘性が不足するために液滴の飛散が生じやすくなり、上
記範囲より高い値では、電着液体の搬送性や撹拌におい
て稼働負荷が大きくなり、複雑な粘性特性を示したりで
効率低下などの問題となる。
【0027】電着液のpHの初期値の設定において、電
着液に含まれる電着材料が陽極析出である電着法を適用
する場合は、析出開始pH点より1±2の値のpH値に
設定する、より好ましくは1±1.5の値に設定する。
また電着材料が陰極析出である電着法の時は析出開始p
H点より−1±2の値のpH値に設定する、より好まし
くは−1±1.5のpH値に電着液のpHを設定する。
このような初期値に設定することにより、電着材料の析
出、沈降がシャープに行われ、高い電着膜生成効率が保
たれる。上記範囲外の析出開始pH点より析出しやすい
pHの設定では、電着液の分散安定性が得られず非画像
部に色材粒子の析出を生じたり電着量バラツキが生じる
など不都合がある。また上記範囲外の析出開始pHの設
定では、電着膜生成効率が低く電着電位の上昇や生成膜
の膜性に問題を生じる。
【0028】前記好ましい電着液の特性に関与して、本
発明の画像形成記録材料において重要な機能を果たす電
着材料は、電着液の主成分である水系液体における色材
粒子の分散安定性向上機能、電着吸着現象、即ち、環境
の電気化学的変化により速やかに析出・沈降して電着膜
(画像)を形成する機能、及び、電着した膜(画像)へ
耐水性付与機能を重要な役割としている。
【0029】ここで、本発明の画像形成作用について説
明するに、電着材料を構成する高分子内のイオン解離し
ている親水基は、通電による像保持部材表面の電着液の
pH変化によりイオン解離が抑制されて疎水性の機能を
発現するようになり、それにより電着材料自体の構造全
体が疎水化され、色材を内在する電着材料が水系液体に
対して不溶化し、像保持部材表面に析出・沈降して画像
を形成するものである。この現象は、pHの変化により
電着材料の液体中に広がっていた分子鎖が収縮されて凝
集が生じ、そして色材微粒子を併用する場合には、その
色材微粒子を含む画像の析出現象が観察されるものと考
えられる。このように電着材料に用いられる高分子化合
物は、電着液の主成分である水系液体への色材粒子の分
散安定性を得る目的と電着吸着現象を起こす事を重要な
役割としている。それ故に、電着用分散材は、親水基と
水系液体中でイオン解離し易い基の両方または両立する
基を含有している分子構造が必要である。さらに、pH
の変化により粒子の凝集が生じ、その析出現象が観察で
きる必要がある。電着液の機能としては、以上の特性が
必要とされる。
【0030】この電着材料に用いる高分子化合物を選択
する目安として高分子のpHの変化に伴う溶解特性を図
1のグラフに示す。図1は、各種の電着材料に用いる高
分子の溶解特性と溶液のpHとの関係を示すグラフであ
る。高分子内の親水基と疎水基とのバランスが良好で、
且つ、条件により疎水基に変わり得る親水基を有する材
料においてはグラフA(実線で示す)のように、あるp
H値を境に急激に析出がおこる、一方、親水基の多い材
料の場合、グラフB(破線で示す)のようにpH値に係
わらず溶解性が良好となる。また、疎水基が多い場合、
グラフC(二点破線で示す)の材料のようにpH値に係
わらず不溶なものとなる。さらに、親水基と疎水基との
バランスが良好であっても、疎水基に変わり得る親水基
を有さないか、その割合の少ない材料は、グラフD(一
点破線で示す)のように、溶解性は変化してもその溶解
/析出の変化は画像形成には不充分である。これらの特
性は材料と用いる溶媒との関係でも変化する。本発明に
おいてはグラフAに示すような、あるpH値を境に急激
に析出がおこるものが好ましい。
【0031】電着材料は、熱可塑性樹脂成分を含有した
構成であり、調整を行った水系液体に対して十分な溶解
性を示さなければならない。そして、図1のグラフAに
示すように電着材料が溶解した電着液のpH値の変化に
対して電着材料の溶解状態から上澄みを発生して沈殿を
生じる液性変化がpH範囲領域1以内で生じることが必
要とされる。より好ましい特性を得るには、pH範囲が
0.5以内であることが好ましい。この範囲の特性によ
り、通電による急峻なpH変化に対しても瞬時に画像の
析出を可能とし、また析出する画像の凝集力を高め、電
着液への再溶解速度を低減させる機能の付与を可能にし
ている。それにより、画像の耐水性も得ている。電着液
のpH値の変化に対して溶解状態から沈殿を生じる液性
変化のpH範囲領域が1より大きい場合は、十分な画像
構造を得るための印字速度の低下や画像の耐水性の欠如
など印字特性に問題を残す場合がある。
【0032】例えば、カルボキシル基を親水基として用
いた場合、析出開始点及び溶解開始点のpHは酸性領域
に設定することが必要であるが、一般的には析出開始点
及び溶解開始点のpHは5.0以上、6.9以下、好ま
しくは、5.5以上、6.5以下の設定とするのがよ
い。これら記録材料の少なくとも画像保持体表面に接す
る部分の記録材料のpHが前記値に設定されればよい。
pH調整には緩衝液を用いてもよい。
【0033】本発明に係る電着材料の機能としては、以
上の作用特性が必要とされ、そのため以下に述べる如
き、構造、特性を有することが必要である。
【0034】このような電着材料のうち、無色、或いは
淡色の高分子化合物としては、具体的には、イオン解離
する親水基を有するモノマー単位と、水系電着液に対す
る不溶化を促進させる疎水基を有する最小モノマー単位
とを含む共重合体により構成され、該共重合体高分子の
モノマー単位の疎水基数が親水基と疎水基の総数の割合
が40%から80%の範囲に構成され、より好ましくは
55%から70%の範囲に構成されたものが特に電着析
出効率が高く、低い電着電位で膜形成できる電着特性を
示し、電着液の液性も安定しているため、好ましい。な
お、この親水基と疎水基の数は、例えば、ビニル系重合
体等の場合、高分子重合反応時のモノマーの仕込み比を
基準として算出することができる。
【0035】この電着材料に使われる親水基を含むモノ
マー単位としては、メタクリル酸、アクリル酸、メタク
リル酸ヒドロキシエチル、アクリルアミド、無水マレイ
ン酸、無水トリメリト酸、無水フタル酸、ヘミメリット
酸、コハク酸、アジピン酸、プロピオル酸、プロピオン
酸、フマル酸、イタコン酸、などおよびこれらの誘導体
が用いられる。特に、メタクリル酸、アクリル酸はこの
電着現象に対して作用/効果が大きく、pH変化による
電着効率が高くまた親水化効率も高く有用な親水性モノ
マー構造単位となっている。
【0036】本発明に種々のポリマーを使用することが
できるが、好適にはビニル系モノマーから得られるビニ
ル系重合体、ポリオール及びポリカルボン酸の縮重合に
よって得られるポリエステル樹脂が挙げられる。重合体
中の親水基と疎水基との比は前述した通りであるが、ビ
ニル系重合体の場合、ビニル系重合体を構成するモノマ
ー単位の疎水基数が親水基/親水基と疎水基の総数の割
合の40%から80%の範囲となるようにモノマーを仕
込むことにより、得られる重合体においてもほぼ同等の
比の重合体が得られる。ポリエステル樹脂の場合、ポリ
オールの水酸基とポリカルボン酸のカルボキシル基との
縮重合によって末端に水酸基を有するかカルボキシル基
を有する重合体が得られるが、この場合、ポリカルボン
酸の仕込み量をポリオールよりも多くすることによって
末端にカルボン酸を有する重合体が得られる。この場
合、仕込み時に使用されるモノマー単位の疎水基数、親
水基数と得られた重合体のそれとは異なるものとなる。
本発明では、得られた重合体中の親水基と疎水基との比
が重要である。
【0037】また、この電着材料を構成する共重合体の
モノマー単位の親水基部分の50%以上、より好ましく
は75%以上がpHの変化により親水基から疎水基に可
逆的に変化できるモノマー単位の親水基部分であること
が好ましい。この親水基は、水系溶媒中でイオン解離し
て親水性を示すが、電着液のpH変化によりイオン解離
が抑制されて疎水性の機能を発現するような官能基であ
る。
【0038】このイオン解離する親水基としては、具体
的には、カルボキシル基、アミノ基、スルホン酸基、第
4アンモニウム基、硫酸エステル基等が挙げられるが、
中でもカルボキシル基又はアミノ基を親水基として有す
るものが、電着現象において画像の析出効率が良く、堅
牢性の高い電着膜作成の特性を示している。これらの基
は、pHの変化により親水基から疎水基に可逆的に変化
する効率が高く、本発明に適用するのに好適である。
【0039】電着材料の構造内の疎水基は、色材として
併用する有機顔料に対し親和性が強く、顔料に対する吸
着能力があり、良好な顔料分散機能を付与させる。ま
た、電圧の印加によるpHの変化により電着材料の親水
基部分の親水性脱離に対して、瞬時に画像析出させる印
字の機能も付与させている。特に、電着材料のモノマー
単位の疎水基数が親水基と疎水基の総数の割合が40%
から80%の範囲のものは、強固な膜を形成させる電着
電位を低減させる効果が大きく、それにより光入力によ
る光起電力を用いた低電位な印字プロセスを完成させる
のには不可欠の条件となっている。
【0040】この電着材料に使われる疎水基を含むモノ
マー単位としては、アルキル基、スチレン、α−メチル
スチレン、α−エチルスチレン、メタクリル酸メチル、
メタクリル酸ブチル、アクリロニトリル、酢酸ビニル、
アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、メタクリル酸ラ
ウリル、などおよびこれらの誘導体が用いられる。特
に、スチレン、α−メチルスチレンは疎水化効率が高
く、電着析出効率が高く、そして製造の重合時の制御性
も高く、有用な疎水性モノマー構造単位となっている。
【0041】本発明に係る電着材料は、上記の如く、親
水基と疎水基を含む分子を前記の比率で共重合した高分
子化合物を主成分とするものが好ましいが、各親水基及
び疎水基の種類は1種に限定されるものではない。ま
た、共重合体は、ランダム、ブロック、グラフト共重合
体のいずれであってもよい。
【0042】また、色素自体が条件の変化により溶解或
いは析出、沈殿の相変化を起こす特性をもつ化合物とし
ては、以下のものが例示される。例えば、pH4以上で
は還元状態をとり水に溶解するが、pH4未満の領域で
は酸化されて中性状態となり析出、沈殿するフルオレセ
イン系の色素であるローズベンガルやエオシン、また、
構造変化を伴わなくても溶液の水素イオン濃度(pH)
によって溶解度が大きく変化するカルボキシル基をもっ
た色素材料(具体的には、耐水性改良インックジェット
染料が挙げられ、これはpH6以上では水に溶けるがそ
れ以下では沈殿する)等が挙げられる。そのほかにも、
キノンイミン染料の一つであるオキサジン系の塩基性染
料Cathilon Pure Blue 5GH
(C.I.Basic Blue 3)やチアジン系の
塩基性染料メチレンブルー(C.I.Basic Bl
ue 9)はpHが10以下では酸化状態を取り発色し
ているがそれ以上になると還元されて不溶化し析出す
る。また、酸性染料で色素自身が電着形成能力がある、
ゼネカ社製のPro Jet Farst Yello
w2は、純水(pH6〜8)に容易に溶解し、アニオン
として水溶液中に存在しているがpHが6以下になると
不溶化して析出する性質を持つ。
【0043】電着材料の好ましい特性は前記の通りであ
るが、本発明の画像形成記録方法に用いられる画像形成
材料を構成する電着材料においては、前記の各特性の全
てをバランスよく備えていることが好ましい。
【0044】また、本発明の画像形成記録方法におい
て、前記電着材料と併用される色材粒子としては、平均
粒子径が0.01μmから1.2μm、好ましくは0.
02μmから0.3μmの範囲のものが適している。前
記平均粒子径範囲を下回る場合画像層の遮光性が低下し
て光学画像濃度が低下し易っかたり画像に必要以上のグ
ロスの発生が生じたり安全性に問題を発生したりしやす
い。また、前記平均粒子径範囲を上回る場合色材粒子の
電着液の分散状態が不良になり析出物を生じたり、色材
粒子が含有する画像層の均一性に問題が生じたり粒子に
よる遮光性が生じ透過型画像に対応出来なくなったり、
画像に必要以上のマット化の発生を生じたりし易い。特
に平均粒子径範囲0.3μm以下の範囲では水系分散材
として分散安定性に優れ、また、色の透明性が高い。
【0045】色材粒子材料としては、水に溶解性の無い
又は低い染料や顔料が適しており、具体的には、例え
ば、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんが
ら、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉、
酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシュウム、群青、
黄鉛、コバルトブルー、紺青などの無機顔料類、トルイ
ジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエ
ローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジP
MP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フ
タロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリ
ドンレッド、ジオキサジンバイオレット、ビクトリアビ
ュアブルー、アルカリブルートーナー、アニリンブラッ
ク、パーマネントレッド2B、バリウムリソールレッ
ド、キナクリドンマゼンタ、ナフトールレッドHF4
B、フタロシアニングリーン、ベンズイミダゾロンレッ
ドなどの有機顔料類、ビクトリアブルー4Rベース、ニ
グロシン、ニグロシンベース、C.I. Solven
t Yellow 19 、C.I. Solvent
Orenge 45、C.I. Solvent R
ed8 などの油溶性染料類や、その他、分散染料、染
め付けレーキ顔料、色素を樹脂に含有させた樹脂粉末な
どが適切な特性が得られるものとして挙げられる。
【0046】これらの色材微粒子は、無色或いは淡色の
電着材料の着色成分として使用してもよく、或いは、有
色の電着材料とともに用いて、電着膜の色相を調整する
こともできる。
【0047】また、これらの電着材料は、イオン性の置
換基を有している界面活性剤、水溶性高分子および低い
重合度の高分子を添加することにより、分散安定性およ
び電解付着膜の膜性において良好な特性を示した。
【0048】添加剤として好ましい効果を奏する水溶性
高分子および低い重合度の高分子をの例としては、アル
キルアルキレンオキシドカルボン酸塩、アルキルオキシ
ドカルボン酸塩、アルギン酸変性カルボン酸塩、カルボ
キシ変性メチルセルロ−ス、ポリアクリル酸変性カルボ
ン酸塩、アクリル酸変性カルボン酸塩、ポリエチレンオ
キシド変性カルボン酸塩、エポキシ変性カルボン酸塩、
ポリエタノ−ルアミン変性メチルセルロ−ス、アミン変
性アルギン酸塩、アミン変性ポリアクリルなどが挙げら
れ、これらは分散材として有効である。
【0049】本発明に用いられるpH調整剤は、色材分
散電着液のpH値を、電着材料が析出、沈降しやすい値
に調整すること、分散材をより効率的に働かせて色材の
分散安定性を確保すること、電着分散材を水や主要溶媒
に溶解し易くするなどの主な作用を有する。電着膜によ
り画像形成した後は、膜中に残存するpH調整剤は電着
画像の耐水性を損なわせる効果があるため画像形成後は
速やかに除去することが好ましい。
【0050】本発明の画像形成方法において、水系分散
液には一種のpH調整剤を用いてもよく、複数のpH調
整剤を含有させてもよい。いずれの場合においても、少
なくとも一種のpH調整剤は、前記水系分散液におい
て、電着材料を溶解するpH側にpHを調整するための
ものであり、この働きを有するpH調整剤の沸点が15
0℃以下であることを要するものである。即ち、像保持
部材上に電着膜が形成され、電着形成されたこの画像が
pH調整剤を含んだまま放置されると、そのpH調整剤
が電着形成された画像を(再)溶解することになり、形
成された画像を劣化させるためである。
【0051】このとき、pH調整剤の沸点が150℃以
下のものを用いれば、大気中に放置されるか、画像転写
工程や画像定着工程等で、加熱した時などに、速やかに
容易にpH調整剤が除去される。これにより、画像形成
が完成したのち、経時的自然放置で電着画像内のpH調
整剤が速やかに揮発により除かれ、画像の劣化が防止さ
れ、耐水性、堅牢性が向上する。さらに、電着膜析出
(画像形成)後に、加熱処理を行うことにより、さらに
短時間で効率よくpH調整剤が除去されるため、pH調
整剤が電着膜中に存在する時間が大幅に減少し、画像の
劣化が防止され、画像の耐水性が飛躍的に向上し、画像
の堅牢性が大きく増強される。このように、再溶解を促
進させる側のpH調整剤を除去することで著しい効果が
得られる。
【0052】上記の理由により、水系分散液が複数種の
pH調整剤を含有する場合、電着材料を溶解するpH側
に調整するためのpH調整剤のみが沸点150℃以下の
ものであればよく、電着材料を析出、沈降するpH側に
調整するためのpH調整剤は、必ずしも沸点が150℃
以下のものある必要はないものである。
【0053】ここで、形成された画像への加熱処理とし
ては、像保持部材上に形成された電着膜を直接加熱する
方法、電着材料を、加熱処理により記録媒体に転写する
方法、電着材料を、記録媒体に転写した後、転写した画
像を加熱する方法等を挙げることができるが、適切な加
熱処理によるpH調整剤の除去を行いうるかぎり、加熱
方法や加熱工程を施す時間に特に制限はない。加熱方法
も、ヒーターを内蔵したローラーやプレートによる接触
加熱、温風、赤外線等による非接触加熱でもよく、接触
加熱の場合、加圧を伴ってもよく、加熱のみを行っても
よい。
【0054】好適に用いうるpH調整剤としては、前記
好ましい沸点(150℃以下)を有するものであれば、
いずれも用いることができるが、効果の観点から、30
〜120℃程度の沸点を有するものがより好ましい。沸
点が150℃を超えるものは、電着膜中に残存して膜の
安定性を損なう虞があり、30℃未満のものは、電着液
内における安定性が不十分となり、電着液のpHが変化
しやすくなり、均一で安定した画像形成が困難となる。
【0055】好適に用いうるpH調整剤としては、アン
モニア(沸点:−33.4℃、以下、括弧内に示す)、
メチルアミノエタノール(135℃)、ジメチルアミノ
エタノール(134℃)、エチルアミノエタノール、エ
チレンジアミン(116.5℃)、プロピレンジアミン
(119.3℃)、メチルアミン(−6.3℃)、ジメ
チルアミン(−93.0℃)、トリメチルアミン(3.
4℃、755mmHg)、モノエチルアミン(16.6
℃)、ジエチルアミン(55.5℃)、トリエチルアミ
ン(89.4℃、760mmHg)、プロピルアミン
(49.7℃)、ジプロピルアミン(109.2℃)、
ブチルアミン(78℃)、ペンチルアミン(104.5
℃)、塩化水素(−85℃)、ギ酸(101℃)、酢酸
(118℃)、塩酸(−85℃)などが挙げられる。沸
点の測定方法は、公知の方法を適用できる他、単体の場
合には、化学便覧等の文献中に記載の値も参照すること
ができる。
【0056】また、前記電着材料や色材粒子とともに用
いられる水系溶媒としては、水、メタノール、エタノー
ル、ブタノール、イソプロピルアルコール、などのアル
コール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン
類、エタノールアミン、ジメチルアミン、トリエタノー
ルアミンなどの各種アミン類、酢酸、硫酸、リン酸、し
ゅう酸、フタル酸などの酸類など1つまたは複数混合し
て使用することができるが、とくに水を主成分とする混
合溶媒が安全性、安定性やコストの面で非常に有用であ
る。
【0057】水系溶媒成分の蒸発による電着溶液の変質
を防止するために水溶性溶剤を湿潤材として配合するこ
とが好ましいが、この水溶性溶剤としては、親水性が高
く水と共沸点を持ち高沸点で低蒸気圧の液体がよい。必
要特性としては、極性が高い溶媒であり沸点150°C
以上で大気での飽和蒸気圧100mmHg以下、好まし
くは、沸点150°C以上で大気での蒸気圧60mmH
g以下が良い。前記範囲を外れると電着溶液の蒸発が大
きく電着溶液の寿命を短くしたり、液の特性の変化を大
きくしたりし、安定した電着特性を得られにくい。組成
比率は、0.5重量%から70重量%の範囲が良く、好
ましくは5重量%から30重量%の範囲が良い。具体例
としては、エチレングリコール、ジエチレングリコー
ル、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジアセトナ
ルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチ
ルセルソルブ、エチレングリコールジアセテートなどが
代表例として示される。
【0058】高分子添加材、エマルジョン材料の添加
は、電着時の安定した着膜生成特性を与え且つ電着膜の
膜性の改善、電着画像の堅牢性や膜の電気抵抗制御に大
きく効果を示す。それらの添加量は、固形分の含有濃度
として、0.2重量%から50重量%の範囲が良く、好
ましくは1重量%から15重量%の範囲が良い。
【0059】高分子添加材としては、ゼラチン、アラビ
アゴム、ペクチン、カゼイン、デンプン類、微結晶セル
ロース、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、酢酸ビ
ニル共重合体、ポリアクリル酸共重合体、メチルセルロ
ース系誘導体などが代表例として示される。
【0060】エマルジョン材料としては、ポリ酢酸ビニ
ルエマルジョン、酢酸ビニルコポリマーエマルジョン、
アクリル酸エステルコポリマーエマルジョン、合成ゴム
ラテックスなどが代表例として示される。その他にも、
防腐・防カビ剤、液体粘度調整剤などの添加が行われる
場合も有る。特に、本発明においては分散媒として水系
の液体を用いているため、微生物の繁殖やカビの発生に
より液の劣化が生じ易いく、液の安定性の観点からは、
防腐・防カビ剤を添加することが好ましい。
【0061】本発明の画像形成記録方法における好まし
い画像形成条件および好適に用いられる装置について以
下に示す。
【0062】本発明の方法における画像形成(電着)工
程の電極および像保持部材の間に印加される電圧差は、
±9V以内の直流電源を用いることが多い。但し、画像
上の1画素づつをシャープに再現するため、短時間幅の
直流パルスおよびその短パルスの重箪での信号入力を行
う場合も有る。印加される電圧差は、より好ましくは5
V以内の直流電源を用いる、より膜性を重要視するなら
ば、3V以内の直流電源を用いる。9V以上の電圧差を
印加すると液中にある電極表面から溶液の電気分解によ
る気泡の生成が激しくなり、電極表面の電界分布が不均
一になり、膜自体の膜質が不均一になったり、気泡の脱
泡現象により膜表面が凸凹になったりし、狙いとする微
細なパターンの画像再現が困難になる。
【0063】本発明の画像形成工程に類似した技術に電
着塗装があるが、一般に、電着塗装では、印加電圧を5
0V以上与えて電着を行っている。これは、印加電圧が
低いと生成する電着膜の抵抗が高いこともあり電着膜形
成が進むに従い電着膜形成速度が大きく低下し必要な膜
厚(一般に30μm以上)を得られないため、それを避
けるため高い電圧印加を行い電気分解による激しい発泡
現象を起こさせ、それを利用して電極面近傍の撹拌を行
い新しい電着液に電極面を接触させることで電着塗装と
して必要な膜厚を得ている。
【0064】また、電圧印加手段も電圧の安定化を考慮
した3極電極方式を用いる場合もある。また、このよう
な電圧差の小さい電圧の印加で画像形成を行うことがで
きるため、本発明の画像形成工程には、光画像信号入力
に対して光画像信号を電流に変換する機構を電圧印加手
段として用いることができる。
【0065】即ち、光起電力は通常1V以下、例えば、
シリコン系の材料を用いた汎用のもので0.6〜0.7
V程度であるが、バイアス電圧を2〜5V程度でするこ
とを考慮すれば、本発明の画像形成記録方法は、光画像
信号入力に好適に用い得ることがわかる。
【0066】光書き込みの場合は、像保持部材の構成が
少なくとも面状電極層、光導電性材料層よりなり、光照
射部分の像保持部材表面に電流が流れ色材粒子の電解付
着現象が発生する構造となっている。
【0067】次に、本発明の画像記録方法に好適に用い
得る画像記録装置について説明する。図2は後述する実
施例1に用いる本発明の画像記録装置を示す概略図であ
る。画像記録装置は、電着用水系色材液1を満たした電
着液浴1内に、裏面から画像信号を入力できるワーク電
極の付いた平面部材からなる像保持部材3が、裏面がそ
の液浴の外部に出るように配置され、対向電極5、塩橋
を利用した制御電極6も同浴1内に設置されている。こ
の像保持部材3は、4mm厚の板ガラス基板にITOの
透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層
構造により作られ、ITO導電層をワーク電極とし、有
機光導電体層の表面は段差が無く平滑になしてある。各
電極をポテンショスタット電源4に結線し、像保持部材
3の裏面の光画像入力部に画像入力しながらポテンショ
スタット電源4より、ワーク電極と対向電極5の間に電
圧を印加し、電着液中の電着材料を色材粒子と共に像保
持部材3の表面に析出させて画像を形成するものであ
る。ここで記録された画像は、後述するように所望によ
り普通紙やプラスチックフィルムのような被転写体に転
写、定着させることもできる。
【0068】この画像記録方法について詳細に説明す
る。図3は電着材料析出による画像記録現象を示す概念
図である。像保持部材3に画像様に配置された疑似電流
供給電極7に直流電源8から電圧が印加されると、電極
7近傍の電着液1のpHが変化し、電着液1中に溶解、
分散された色材粒子を含む電着材料9が像保持部材3の
表面に析出して、画像様に析出した色材を含む高分子化
合物が付着し画像10記録が行われる。また、図4に、
電着液中の電着粒子の構造を概念図で示す。電着液中に
おいて、電着材を構成する高分子化合物25は、色材粒
子24を被覆するようにその表面近傍に存在し、一部が
電着材の遊離イオン26として存在すると推定される。
【0069】次に、このように記録された画像を別の記
録媒体に転写・定着するプロセスについて説明する。図
5(A)は前述の画像記録プロセスを示す概略図であ
る。像保持部材3表面に析出した記録材料によって形成
された画像10が保持されている。(B)は画像転写プ
ロセスを示す概略図である。水系電着液1より取り出さ
れた像保持部材3に被転写体である普通紙11を積層
し、転写ローラー12で加圧、さらに好ましくは加熱、
加圧し、画像10を普通紙11上に転写、定着させる。
(C)は普通紙11上に転写、定着された画像10を示
し、このようにして普通紙(転写媒体)11への画像の
記録が完了する。
【0070】本発明の画像記録方法に用いる像保持部材
は、画像形成される表面の平滑性が高く段差が無いもの
が良好な印字特性を得られ、また良好な転写特性が得や
すく、繰り返し像保持部材を用いて異なる画像を形成す
る場合の画像の残留がを防止し得る観点から、表面エネ
ルギーが低いことが重要な特性となってくる。
【0071】具体的には、像保持部材の表面の表面粗さ
(Ra)が0.01μm から1.5μmの範囲であ
り、より好ましくは0.06μm から0.5μmの範
囲であることにより良好な転写特性が得られる。また、
像保持部材の表面の臨界表面張力は、35dyne/c
m以下、より好ましくは20dyne/cmから29d
yne/cm の範囲であることにより良好な転写特性
が得られる。
【0072】これらの観点から、像保持部材の表面に低
表面エネルギー層を形成することが必要であり、その材
料としては、例えば、フッ素系樹脂、フッ素ゴム(FE
P)、ジメチルシロキサン系樹脂、シリコーンゴム、ワ
ックス系材料等が挙げられ、さらに層自体の電気抵抗を
制御する目的で、これらの材料に導電粉体を混合して得
られる複合材料も使用される。
【0073】像保持部材表面は、前記の如く表面の平滑
性が高く、表面エネルギーの低いものが良好な印字特性
を得られる。特に、この特性は繰り返し像保持部材を用
いる場合において重要な特性となってくる。これによ
り、像保持部材面上の画像の物理的クリーニング性が高
くなり、毎回異なる画像記録を行っても常に前回の記録
画像情報の履歴が残らない印字サイクルを構築できる。
【0074】画像形成工程において、電着溶液の浴の液
性の均一性を保つために、液浴の中での撹拌は行うこと
が、均一性のある画像(電着膜)形成し得る観点から好
ましい。但し、余り強すぎる撹拌は膜生成を遅らせたり
液飛散を発生することもあるため、液の状態を考慮して
好適な攪拌条件を選択する必要がある。
【0075】また液温の制御を行うことにより、より均
一で良い膜性を得ることができる。この現象自体が液温
の影響を受けるため、高画質画像の再現を狙う場合は、
特に精度の高い液温制御システムの設置が必要である。
【0076】画像形成工程において像保持部材の平面部
材表面に形成された画像は別の記録媒体に転写すること
ができる。画像の転写工程では、形成された画像(電着
膜)は、像保持部材より、静電気力、圧力、粘着力など
を用いて、普通紙などの転写媒体に転写される。
【0077】像保持部材の構成形態が、ベルト形状であ
ると、画像の記録と被転写体への転写、定着が連続的に
行えるため、効率的な画像記録が可能となる。
【0078】このようなベルト状の像保持部材を作成す
るにあたっては、基板材料としてポリイミド樹脂及びそ
の変性化合物、ポリアラミド樹脂及びその変性化合物、
若しくは、シリコーン樹脂及びその変性化合物等のポリ
マー、あるいは、これらのものを主成分とする材料等が
挙げられる。像保持部材をベルト状になすと、ベルトを
鋭角度に屈曲して表面に付着した色材を効率よく脱離す
ることができ、像保持部材面上の画像の物理的クリーニ
ング性を高くし、毎回異なる画像の粒子析出記録を行っ
ても常に前回の記録画像情報の履歴が残らない印字サイ
クルを構築可能にする。
【0079】図6は、本発明に係る画像記録装置のシス
テムの一態様を示す概略図である。像保持部材3がベル
ト形状であるため、水系色材液1中で光信号を付与され
ることにより記録された画像10はベルト状の像保持部
材3表面に付着したまま搬送され、転写部分で紙ロール
19から供給される紙11上に加圧、加熱ロール12の
間隙を通過する際に転写される。像保持部材3上に残留
した色素はクリーニングブラシ20で除去され、クリー
ニング廃棄物皿21に蓄積される。クリーニングブラシ
20によりクリーニングされた像保持部材3は再び画像
記録に供される。
【0080】特に、画像転写においても、膜形成時に電
解付着溶液の液体成分を適量含んだ状態で画像転写を行
なうことで、未転写画像材料が粘性を持った特性を示
し、画像の転写工程が圧力だけで画像の粘性変形を生じ
させ転写が可能となる。それによりシステム全体がより
コンパクトで無駄なエネルギーを消費しない画像形成プ
ロセスも構築できる。
【0081】像保持部材表面の画像形成材料の除去方法
は、ブレ−ド法、ファ−ブラシ法、弾性ロ−ラ法、クリ
−ニングウエブ法、粘着方法などのクリ−ニング法が用
いられる。
【0082】像保持部材を前記の如くベルト形状にして
連続的に使用する場合、画像形成工程、画像転写工程の
終了後、再度、画像形成工程に供される前に平面部材表
面に残留した色材、電着材料等を除去することが好まし
い。像保持部材の平面部材表面に残留した画像形成材料
の除去方法は、ブレード法、ファーブラシ法、弾性ロー
ラ法、クリーニングウエブ法、液体洗浄法などの公知の
クリーニング法を適用することができる。
【0083】本発明の画像形成記録方法は、水系に色材
粒子が存在した液中に光画像信号に対応して電流を生じ
る像保持部材を配し、その画像電流に対応して電着現象
を発生させイオン性の色材粒子群を含む画像を像保持部
材面上に形成する記録方法、またその記録画像を転写媒
体に転写する後工程をも含む画像形成記録方法である。
特に、画像形成後の加熱工程或いは、加熱・転写工程が
像保持部材面上に付着した画像(電着膜)より沸点の低
いpH調整剤量を低減し、それにより画像の堅牢性が得
られる画像形成記録方法であり、わずかな印加電圧で解
像度が高く、堅牢性の良好な光画質の画像形成を行うこ
とができるため、応用範囲が広い。
【0084】
【実施例】以下に、実施例を挙げて本発明を詳細に説明
するが、本発明はこの実施例に制限されるものではな
い。
【0085】(実施例1)カ−ボンブラック粉末(平均
粒子径0.1μm) 10重量部、ジエチレングリコ−
ル 15重量部、ポリオキシエチレンアルキルエ−テル
カルボン酸 3重量部、ポリエチレングリコ−ルジカル
ボン酸 3重量部、水溶性アクリル樹脂6重量部、イソ
プロパノ−ル 7重量部、20重量%アンモニア水
2.0重量部、蒸留水 55重量部、以上の材料を混合
し、中強度のプロペラ撹拌を1時間行いカ−ボンブカッ
ク粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作成した。
次にこの分散液をホモジナイザ−分散機を用いて3分間
の高強度強制分散処理を行い分散原液を作成した。蒸留
水 120重量部、グリセリン 10重量部、防かび剤
(ICI社 プロキセルXL−2) 0.8重量部、の
混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原
液中に滴下し、電着用色材粒子分散液を完成させた。こ
の液は、酢酸水溶液(沸点:118℃)およびアンモニ
ア水溶液(沸点:−33.4℃)によりpHを調整し
て、pH7.5に設定した。
【0086】この液の色材粒子析出開始点のpHは
6.0であった。また、この液の導電度は7×102 Ω
・cmであった。
【0087】次に、図2に示す如き画像記録装置にこの
水系色材液を適用して画像記録を行った。画像記録装置
は、図2に示す通り、裏面から画像信号を入力できるワ
ーク電極の付いた像保持部材3を上記電着液1を入れた
電着液浴2に裏面がその液浴の外部に出るように置き、
そして対向電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に
設置した。この像保持部材は、4mm厚の青板ガラス基
板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導
電体層(ペリレン−フタロシアニン系有機光導電体層)
の積層構造により作られ、ITO導電層をワーク電極に
し、有機光導電体層の表面は段差が無く平滑にできてい
た。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そし
て、像保持部材の裏面の光画像入力部に画像入力しなが
らポテンショスタット電源より、ワーク電極とカウンタ
ー電極の間に2.8VのD.C.電圧を17秒間印加し
た。
【0088】次に、この画像形成を終了した像保持部材
を液中より取り出し、30秒間130℃の乾燥機で液体
分及びアンモニア分を析出画像より除去し、像保持部材
表面に光学画像濃度1.31の高画質像が形成されてい
ることを確認した。この画像を蒸留水で30秒間、表面
の洗浄を行ったが、光学画像濃度1.31は変わらず、
高い堅牢性をしめすことがわかった。
【0089】(実施例2)カ−ボンブラック粉末(平均
粒子径0.05μm) 20重量部、ポリエチレングリ
コ−ル 10重量部、ポリメチルアクリレ−トジカルボ
ン酸 6重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
カルボン酸 6重量部、水溶性アクリル樹脂 6重量
部、イソプロパノ−ル 10重量部、アンモニア水溶液
6重量部、蒸留水 50重量部、以上の材料を混合
し、中強度のプロペラ撹拌を3時間行いカ−ボンブラッ
ク粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作成した。
次にこの分散液体をボ−ルミル分散機を用いて24時間
の分散処理を行い分散原液を作成した。蒸留水 200
重量部、グリセリン 20重量部、防かび剤(ICI社
プロキセルXL−2) 0.5重量部、の混合した希釈
液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下
し、電着用色材粒子分散液を完成させた。この液は、塩
酸水溶液(沸点:−85℃)およびアンモニア水溶液
(沸点:−33.4℃)によりpHを調整して、pH
7.0に設定した。
【0090】この液の色材粒子析出開始点のpHは
5.5であった。また、この液の導電度は5×102 Ω
・cmであった。
【0091】次に、図7に示す画像記録装置を用いて、
裏面から画像信号を入力のできるワーク電極の付いた像
保持部材3を上記電着液を入れた液浴2に裏面が液浴の
外部に出るように置き、そしてカウンター(対向)電極
5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この
像保持部材3は、2mm厚の石英基板にITOの透明導
電層を与え、その上に実施例1と同様の2層の有機光導
電体層を形成した積層構造により作られ、ITO導電層
をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は平滑に出来
ていた。各電極をポテンショスタット電源に結線した。
そして、像保持部材の裏面の光画像入力部にレーザー光
源22から照射されるHe−Neレーザー光23により
画像入力しながらポテンショスタット電源4より、ワー
ク電極とカウンター電極の間に4.0VのD.C.パル
ス電圧(パルス幅2ms/パルス周期3ms)を印加し
た。
【0092】次に、この画像形成を終了した像保持部材
を液中より取り出し、その像保持部材表面に平滑な普通
紙をのせて、150℃の表面温度のシリコンゴムを被覆
した一対のアルミロ−ルの間を加圧状態で通過させ、こ
の普通紙上に画像の加熱・転写と同時にこの加熱による
アンモニア成分の除去を行った。そして普通紙上に光学
画像濃度1.28の高画質像が形成されていることを確
認した。この画像記録紙の耐水試験として、60秒間4
0℃の純水に浸漬させて浸漬前後の光学画像濃度変化を
評価したが、光学画像濃度の変化量は0.1以下であ
り、高い耐水性、堅牢性をしめすことがわかった。。
【0093】(実施例3)フタロシアニン粉末(平均粒
子径0.05μm) 10重量部、エチルセルソルブ
10重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニル酢酸
7重量部、ポリメチルアクリレ−トジカルボン酸 4
重量部、水溶性アクリル樹脂 6重量部、イソプロパノ
−ル 10重量部、ジメチルアミノエタノ−ル 4重量
部、蒸留水50重量部、以上の材料を混合し、中強度の
プロペラ撹拌を0.5時間行い顔料粉末を十分に液体に
湿潤させて粗分散液を作成した。次にこの分散液をホモ
ジナイザ−分散機を用いて6分間の分散処理を行い分散
原液を作成した。蒸留水170重量部、ジエチレングリ
コ−ル 30重量部、防かび剤(ICI社 プロキセル
XL−2) 0.5重量部、の混合した希釈液をプロペ
ラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色
材粒子分散液を完成させた。この液は、塩酸水溶液(沸
点:−85℃)およびジメチルアミノエタノ−ル水溶液
(沸点:135℃)によりpHを調整して、pH7.6
に設定した。この液の色材粒子析出開始点のpHは6.
0であった。また、この液の導電度は5×102 Ω・c
mであった。
【0094】次に、図8の装置を用いて、裏面から電流
画像信号を入力できる像保持部材3を上記電着液を入れ
た電着液浴2に裏面が電着液浴の外部に出るように置
き、そしてカウンター電極5、塩橋を利用した制御電極
6を浴2内に設置した。この像保持部材3は、5mm厚
の電流拡散を抑制した導電層を与えその導電層の液に接
する表面は平滑に出来ていた。各電極を制御電源に結線
した。そして、像保持部材の裏面の画像入力部に600
DPIの針電極画像入力印字ヘッド12を用いて画像入
力し、針電極とカウンター電極の間は10.0VのD.
C.パルス電圧(パルス幅2ms/パルス周期3ms)
を印字ヘッド12の走査速度に同期して印加した。
【0095】次に、この画像形成を終了した像保持部材
を液中より取り出し、100℃の熱風で30秒間表面を
乾燥させ、像保持部材表面にシアン色の光学画像濃度
1.43の高画質像が形成されていることを確認した。
また、針電極とカウンタ−電極の間の電圧を6.5Vの
D.C.パルスによる印字し、同様に熱風乾燥を行い、
像保持部材表面にシアン色の光学画像濃度1.10の高
画質像が形成されていることを確認した。
【0096】このことから、印加する電圧を調整するこ
とにより、得られる画像の光学画像濃度1.53を制御
しうることがわかった。
【0097】(実施例4)カ−ボンブラック粉末(平均
粒子径0.02μm) 20重量部、ポリエチレングリ
コ−ル 10重量部、ポリメチルアクリレ−トジカルボ
ン酸 5重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニル
カルボン酸 5重量部、水溶性アクリル樹脂 6重量
部、イソプロパノ−ル 10重量部、メチルアミノエタ
ノ−ル 3重量部、蒸留水 50重量部、以上の材料を
混合し、中強度のプロペラ撹拌を3時間行いカ−ボンブ
カック粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作成し
た。次にこの分散液をボ−ルミル分散機を用いて24時
間の分散処理を行い分散原液を作成した。蒸留水 20
0重量部、グリセリン 20重量部、ピロ−ル 4重量
部、防かび剤(ICI社 プロキセルXL−2) 0.
5重量部、の混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いなが
らこの分散原液中に滴下し、電着用色材粒子分散液を完
成させた。この液は、燐酸水溶液およびメチルアミノエ
タノ−ル水溶液(沸点:135℃)によりpHを調整し
て、pH6.7に設定した。この液の色材粒子析出開始
点のpHは5.0であった。また、この液の導電度は3
×102 Ω・cmであった。
【0098】次に、図7の実施例2と同様の装置を用い
て、裏面から画像信号を入力のできるワ−ク電極の付い
た像保持部材を上記電着液を入れた電着液浴に裏面が電
着液浴の外部に出るように置き、そしてカウンタ−電
極、塩橋を利用した制御電極を浴内に設置した。この像
保持部材は、2mm厚の石英基板にITOの透明導電層
を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により
作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体
層の表面は平滑に出来ていた。各電極をポテンショスタ
ット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画
像入力部にHe−Neレ−ザ−光により画像入力しなが
らポテンショスタット電源より、ワ−ク電極とカウンタ
−電極の間に3.0VのD.C.電圧を印加した。
【0099】次に、この画像形成を終了した像保持部材
を液中より取り出し、その像保持部材の画像のある表面
に平滑な普通紙をのせて普通紙へ圧力転写を行い、転写
された画像を、表面温度を160℃に加熱したシリコン
ゴムを被覆した一対のアルミロ−ルの間を線圧300g
/cmの加圧状態で通過させ、この普通紙上の画像のア
ミン成分の除去と定着を行った。そして普通紙上に光学
画像濃度1.26の高画質像が形成されていることを確
認した。この画像を室温で30秒間超音波振動の掛かる
水槽の水中に浸漬させたが、画像濃度の変化は、0.1
以下であり、高い耐水性と堅牢性とを示すことがわかっ
た。
【0100】
【発明の効果】以上述べたように、この発明によれば、
150℃以下の沸点を有するpH調整剤を含有する水系
電着材分散液により、画像信号に対応して電流を流すこ
とができる画像保持部材に電着現象により画像形成し、
その後画像を加熱する工程でpH調整剤、或いは特に、
画像の劣化、溶解を促進するpH調整剤だけを、除去す
ることで、高光学濃度、高解像、低画像厚み画像構造で
あり、中間調再現が良好で、画像堅牢性及び安全性が高
い印字特性の画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 水系色材液のpH変化と色材の溶解特性との
関係を示すグラフである。
【図2】 実施例1の画像記録に用いた画像記録装置を
示す概略図である。
【図3】 電着材料析出による画像記録現象を示す概念
図である。
【図4】 電着液中の電着粒子の構造を示す概念図であ
る。
【図5】 (A)〜(C)本発明の画像形成記録プロセ
スを示す概要図である。
【図6】 ベルト状の像保持部材を有する画像記録装置
を用いた本発明の画像記録システムの一態様を示す概略
図である。
【図7】 実施例2の画像記録に用いたレーザー発生装
置を備えた画像記録装置を示す概略図である。
【図8】 実施例3の画像記録に用いたLED印字ヘッ
ドを備えた画像記録装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電着用水系色材液 2 液浴 3 像保持部材 4 ポテンショスタット電源 5 対向(カウンター)電極 6 制御電極 9 色素 10 画像 11 普通紙(被転写体) 12 定着ローラー 22 画像投影装置 24 レーザー光源 25 レ−ザ−走査系 27 印字ヘッド走査系 28 LED画像信号入力ヘッド

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 液体を保持し得る容器内に、少なくとも
    画像パターンに従って電流または電界を供与できる電極
    と画像を保持しうる面とを有する像保持部材と、電極対
    の他方である対向電極とを配置した装置の該容器内に、
    色材とpHの変化により化学的に溶解或いは析出・沈降
    する化合物を含む電着材料とを含有する水系分散液を準
    備し、 該像保持部材と対向電極とに画像パターンに従って電流
    または電界を供与し、像保持部材の表面近傍の分散液の
    pHを変化させることにより色材を含んだ電着材料を析
    出・沈降させて画像を形成する画像形成記録方法であっ
    て、 該水系分散液に、沸点が150℃以下のpH調整剤を少
    なくとも一種含有することを特徴とする画像形成記録方
    法。
  2. 【請求項2】 前記像保持部材の画像を保持する平面部
    材表面の画像パターン様に析出・沈降した色材を含んだ
    電着材料を、加熱する工程を有することを特徴とする請
    求項1に記載の画像形成記録方法。
  3. 【請求項3】 前記像保持部材の画像を保持する平面部
    材表面の画像パターン様に析出・沈降した色材を含んだ
    電着材料を、加熱処理により記録媒体に転写する工程を
    有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成記録
    方法。
  4. 【請求項4】 前記像保持部材の画像を保持する平面部
    材表面の画像パターン様に析出・沈降した色材を含んだ
    電着材料を、記録媒体に転写する工程と、転写した画像
    を加熱により定着する工程とを有することを特徴とする
    請求項1に記載の画像形成記録方法。
  5. 【請求項5】 前記像保持部材と対向電極とに電流また
    は電界を供与する手段として、光画像信号入力に対して
    光画像信号を電流に変換する機構を有し、像保持部材表
    面に光画像信号に対応して電流を発生させる手段である
    ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載
    の画像形成記録方法。
  6. 【請求項6】 前記色材が微粒子色材であり、色材微粒
    子が像保持部材の画像パターン付着部の極性と逆極性の
    イオン化が可能である色材液を用い、像保持部材の画像
    パターン付着部と基準電極の電位差が±9V以内である
    印加電圧を用いて画像形成を行うことを特徴とする請求
    項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成記録方法。
  7. 【請求項7】 前記pH調整剤が、低級アミン化合物か
    ら構成される材料を含有することを特徴とする請求項1
    乃至6のいずれか1項に記載の画像形成記録方法。
  8. 【請求項8】 前記水系分散液にエマルジョン粒子を含
    有し、該エマルジョン粒子が、電着材料とともに画像パ
    ターン様に析出・沈降することを特徴とする請求項1乃
    至7のいずれか1項に記載の画像形成記録方法。
  9. 【請求項9】 前記像保持部材表面の表面粗さ(Ra)
    が0.01μm から1.2μmであり、臨界表面張力
    が20dyne/cmから40dyne/cmであるこ
    とを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の
    画像形成記録方法。
  10. 【請求項10】 像保持部材の形態が、ベルト形状であ
    ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記
    載の画像形成記録方法。
  11. 【請求項11】 前記水系分散液に水溶性高分子材料を
    含有し、画像形成工程において、該水溶性高分子材料が
    画像形成材料の一部として像保持部材の表面の画像パタ
    ーン部に付着することを特徴とする請求項1乃至8のい
    ずれか1項に記載の画像形成記録方法。
  12. 【請求項12】 前記水系分散液に、沸点が150°C
    以上であり、且つ、大気中での蒸気圧が50mmHg以
    下の水溶性溶剤を含有することを特徴とする請求項1乃
    至8のいずれか1項に記載の画像形成記録方法。
  13. 【請求項13】 前記水系分散液中の微粒子色材の平均
    粒子径が0.01μmから0.3μmの範囲にあること
    を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画
    像形成記録方法。
  14. 【請求項14】 前記水系分散液の配置した容器内に、
    該水系分散液を流動または撹拌する手段が設けられてい
    ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記
    載の画像形成記録方法。
  15. 【請求項15】 前記水系分散液の配置した容器内に、
    該水系分散液の液温制御する手段が設けられていること
    を特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の画
    像形成記録方法。
  16. 【請求項16】 前記水性分散液のpH値が、電着材料
    が陽極析出である電着法の時は析出開始pH点より1±
    2の値のpH値に設定してあり、また電着物が陰極析出
    である電着法の時は析出開始pH点より−1±2の値の
    pH値に設定してあることを特徴とする請求項1乃至8
    のいずれか1項に記載の画像形成記録方法。
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