JP3620223B2 - 画像記録方法および画像記録装置 - Google Patents

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    • G03G17/00Electrographic processes using patterns other than charge patterns, e.g. an electric conductivity pattern; Processes involving a migration, e.g. photoelectrophoresis, photoelectrosolography; Processes involving a selective transfer, e.g. electrophoto-adhesive processes; Apparatus essentially involving a single such process
    • G03G17/04Electrographic processes using patterns other than charge patterns, e.g. an electric conductivity pattern; Processes involving a migration, e.g. photoelectrophoresis, photoelectrosolography; Processes involving a selective transfer, e.g. electrophoto-adhesive processes; Apparatus essentially involving a single such process using photoelectrophoresis

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水系色材微粒子液体を用いて、電気化学的に画像形成材料を析出させ画像記録する画像記録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
オフィス用画像記録技術には、液体の画像形成材料を用いているものも数多くある。例えば、銀塩技術・インクジェット技術・電子写真技術などである。
銀塩を用いた印字技術については、種村初実他“銀塩写真方式による高画質カラーコピーシステム”Japan Hardcopy ’89 研究発表予稿集P229。液体現像の電子写真技術を用いた印字技術については、E.B.Caruthers,et al.,”Modeling of Liquid Toner Electrical Characteristics ”Proceedings of IS&T 10th Int`l.Congresson Advances in Non−Impact Printing Technologies P204( ’94)。インクジェット技術用いた印字技術については、碓井 稔”新方式MACHの開発”Japan Hardcopy ’96 研究発表予稿集P161など多くの技術発表がある。
【0003】
また、本発明に近い従来技術としては、絶縁性液体中に色材を分散させ電気2重層を発生させた電着液を用いた技術(特開平7ー181750号公報、特公平7−54407号公報)、導電性基板の上に絶縁性パターンを設け印刷版とした電着印刷技術を用いた技術[微細パターンの形成方法(特開平4−9902号公報)]、[電着オフセット印刷方法および印刷版(特開平6−293125号公報)]、染料水溶液を電着液に用いた印字技術に関する技術[画像形成方法、画像形成媒体、被転写媒体及び画像形成装置(特願平08−092857号公報)]などが提案されている。
【0004】
オフィスで用いる印字技術に要求される特性として、600DPI以上/多値階調のカラ−高画質、普通紙印字可能、印刷並みの画像堅牢性、印字記録物および印字機械の安全性の高さ、廃棄物が殆どない、ランニングコストが低い等が要求されている。それに対して、これら従来技術では、それらを完全に満足出来る技術は完成されていない。
【0005】
その他の従来からの印字技術としては、銀塩を用いた印字技術では、画質や画像堅牢性の問題は無いが、化学的な反応を伴う印字プロセスのため化学的に活性な薬剤の使用や廃棄がありオフィスへの適応に問題を生じている。インクジェット印字技術では、高解像度化がノズル径と印字の信頼性の問題により得にくく、また画像形成材が一般的に水性染料であり、画像堅牢性、安全性や普通紙印字性に問題がある。電子写真技術は、画質や普通紙印字性、印刷並みの画像堅牢性には問題は無いが、定着部での消費エネルギーが大きく、また印字プロセスが複雑なため機械サイズが大きくなったり、安全性・信頼性に問題が生じたりしている。
【0006】
高画質(1000DPIレベルの解像度/カラー再現/多値階調)を達成する場合、画像構造は色彩の再現域と画像のシャープ性の関係から画像厚みが2ミクロン以下、より好ましくは1ミクロン以下の厚みであることが好ましくなる。それにより画像構造を与える要素である画像形成材料の平均形状径がサブミクロン以下のサイズで有る必要になる。しかしながら、画像形成材料の平均形状径が5ミクロン以下では流動性に問題がでてくるため、粉体系画像形成材料は実用上、使用が困難なものとなる。一方、液体系画像形成材料はこの点でかなり有効なものになると考えられる。また、数ミクロンオーダーの画像の画像形成工程においては、画像形成材料粒子の微小域での精度の高い移動制御が技術的に難しく、液体中を微小粒子が電気的泳動する現象を利用して画像形成することは精度の高い移動制御が得られるため、非常に有効な技術方法の1つと考えられる。
【0007】
前記特開平7−181750号公報等で示される絶縁性液体現像剤を用いた電子写真技術は、画像形成材料形状径がサブミクロンオーダーであるために高解像度が可能であり、形成画像が湿った状態で変形可能であるため、室温で容易に画像転写ができ、印字の普通紙適正も高い。しかし現像液として炭化水素系溶剤を用いるために溶剤蒸気による安全性が大きな問題とされていて、国により使用が厳しく制限されている例もある。
【0008】
また、前記特開平4−9902号公報等で示した導電性基板の上に絶縁性パターンを設け印刷版として用いた電着印刷技術は、こと前にホトリソ工程により絶縁性のレジストの非画像部を作製するなど工程が複雑であるため、毎回画像パターンを変更して印字を行うことが難しく、また装置の精度が高く大がかりで工程数が多く、さらに、廃棄物が多いため設備の整った工場に設置して印字作業を行う場合に限定されてしか使用が出来ない。また、画像形成工程の履歴が基板上に残り易く、微細な画像記録の再現性が低い。そしてまた画像部が凹みになっているため、画像部も粒子泳動現象による粒子付着選択性が弱まり、画像部の画像形成材料液体成分が多く残り易くこのために粘度が低くくなり、転写工程で画像部の画像形成材料が流動や凝集破壊を発生しやすく、高画質が得にくくなっている。
【0009】
このように、従来の画像形成方法では、安全性が高く、簡易な装置で実施し得る、前記のオフィスで用いる印字技術に要求される特性を満足させた印字技術は未だ実現されていなかった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
高画質(600DPI/多値階調以上)を実現させるには、画像形成材料最小単位形状が1ミクロン以下であることが好ましく、それにより微粒子色材を含有できる液体系画像形成材料を用いる必要がある。オフィスに設置されることも考慮すると画像形成材料に使われる液体として安全性が高い必要があり、好ましくは安全性に問題のない水を選択するべきであろう。また、オフィスでの印字技術は、少量多品種のプリントを簡易に、安価に作成する必要があるので再生できない印刷版を用いる印字プロセスは適応性に乏しい。それ故に、毎回プリント時に画像信号を入力してイメージ情報を作り、プリント出力は画像化した画像形成材料が普通紙表面上に付着している単純な系のものが市場では好まれる。しかも、画像形成材料の色材は画像の堅牢性、高光学濃度化、発色性や人体に取り込まれない安全性を考慮すると顔料系と高分子材料の複合した色材を用いることが必要となる。そして、印字工程では、必要以上にエネルギーの消費は抑制されなければならない。
【0011】
そこで、発明者等は、特願平08−092857号明細書で、染料水溶液を電着液に用いた印字技術を提案している。かかる技術は、有機溶剤の蒸気の問題はなくまた最小画素単位が染料分子オーダーであるため数10オングストローム単位と十分に小さく高解像度を達成することができる。しかし、画像部が水溶性染料を主成分としているために、転写により画像を定着することが難しく、画像の堅牢性、画像の光学高濃度化、発色性や安全性の点で改良の余地がある。
【0012】
本発明はこれら事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、微粒子色材を用いて高画質を実現するとともに、安全性高く、簡易な方法で、自由度の高い画像記録方法及びその方法に好適に使用し得る画像記録装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明は、水系液体中に少なくとも微粒子の色材を添加し、前記液体中に像保持部材とこの像保持部材に対向する対向電極を配置し、前記像保持部材と前記対向電極との間に画像パターンに対応する電流または電界を供与し、前記像保持部材の表面に前記色材を有する画像形成材料を電気化学的に析出させて、前記画像パターンに対応した画像を形成し、前記像保持部材の表面に析出した画像形成材料を、前記画像形成材料が20重量%から60重量%の水系液体を含んだ状態で、記録媒体に転写し、前記記録媒体上に画像を記録する画像記録方法である。
【0014】
本発明の作用を、図1の本発明の画像記録方法の概念を示す図に基づき説明する。図1は電気化学的な析出による画像記録現象を示す概念図である。像保持部材3に画像様に配置された疑似電流供給電極7に直流電源8から電圧が印加されると、電極7近傍の水系色材液1のpHが変化し、色材液1中に溶解、分散された色素9が像保持部材3の表面に析出して、画像様に析出色素が付着し画像10記録が行われる。
【0015】
本発明の画像記録方法では、像保持部材の表面に色材を析出させた後、像保持部材の析出画像を有する面に、紙等の記録媒体を接触させ、それを加圧、加熱などして、その画像を記録媒体に転写する。図2(A)は前述の画像記録プロセスを示す概略図である。像保持部材3表面に析出色素によって形成された画像10が保持されている。(B)は画像転写プロセスを示す概略図である。水系色材液1より取り出された像保持部材3に被転写体である普通紙11を積層し、転写ローラー12で加圧、さらに好ましくは加熱、加圧し、色素画像10を普通紙11上に転写、定着させる。(C)は普通紙11上に転写、定着された画像10を示し、このようにして普通紙(転写媒体)11への画像の記録が完了する。
【0016】
本発明の画像記録方法では、上記画像転写プロセスにおいて、前記画像形成材料が20重量%から60重量%の水系液体を含んだ状態であるため、析出付着した画像組成は外力により容易に塑性変形しやすい粘ちょうな物性となり、圧力だけでも画像の粘性変形を生じさせ転写が可能となる。さらには、転写工程が簡素化されることによりシステム全体がよりコンパクトで加熱等により無駄なエネルギーを消費しない画像形成プロセスを構築することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】
画像記録方法および装置についての詳細を以下に示す。
本発明の画像記録方法は、水系液体中に溶解させた色素を像保持部材と対向電極との間に画像パターンに従って供与された電流または電界の作用により、像保持部材表面に電気化学的に析出させて画像を形成するものであり、この色素を溶解させた水系液体を以下、水系色材液と称する。
【0018】
水系色材液の構成材料としては、色材微粒子、水および水系溶媒を主成分とし、その他に電着用分散剤、湿潤材、水溶性高分子材、エマルジョン材、ラテックス材、各種溶剤、界面活性剤、防腐・防カビ剤、pH調整剤 などの添加を行う場合もある。
【0019】
色材微粒子材料としては、水に溶解性の無い又は低い染料や顔料が適していて、例えば、無機顔料としては、カーボンブラック、酸化チタン、亜鉛華、べんがら、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉、酸化亜鉛、硫酸バリウム、炭酸マグネシウム、群青、黄鉛、コバルトブルー、紺青など。有機顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、フタロシアニンブルー、インダントロンブルー、キナクリドンレッド、ジオキサジンバイオレット、ビクトリアビュアブルー、アルカリブルートーナー、アニリンブラック、パーマネントレッド2B、バリウムリソールレッド、キナクリドンマゼンタ、ナフトールレッドHF4B、フタロシアニングリーン、ベンズイミダゾロンレッド等を用いることができる。油溶性染料としては、ビクトリアブルー4Rベース、ニグロシン、ニグロシンベース、C.I.SolventYellow19、C.I.SolventOrenge45、C.I.SolventRed8等を用いることができる。その他、分散染料、染め付けレ−キ顔料、色素を樹脂に含有させた樹脂粉末などを用いることで適切な特性を得ることができる。
【0020】
水系色材液中の色材微粒子において、平均粒子径範囲は0.01μm から0.9μm、好ましくは0.06μm から0.3μmの範囲が適している。前記平均粒子径範囲を下回る場合画像層の遮光性が低下して光学画像濃度が低下し易っかたり画像に必要以上のグロスの発生が生じたり安全性に問題を発生したりしやすい。また、前記平均粒子径範囲を上回る場合色材微粒子の電着液の分散状態が不良になり、色材微粒子が含有する画像層の均一性に問題が生じたり粒子による遮光性が生じ発色性が低下し、透過型画像に対応出来なくなったり、画像に必要以上のマット化の発生を生じたりし易い。特に0.3μm以下の粒子径範囲では水系分散材として分散安定性に優れる。
【0021】
水系色材液に、色材として、水に不溶のまたは溶解性の低い染料や顔料系の分散性色材を用いる場合には、pHの変化で、色材の分散状態を変化させる電着用の分散剤を併用する。この電着用分散材は、電着液の主成分である水系液体への色材微粒子の分散安定性を得る目的と電着吸着現象を起こすことを重要な役割としている。それ故に、電着用分散材は、親水基や水系液体中でイオン解離し易い基の両方または両立する基を含有している分子構造が必要である。その上、pHの変化により分散剤が形成する電気二重層が圧縮され粒子の凝集が生じ、そして色材微粒子の析出現象が観察できる必要がある。電着用分散材の機能としては、以上の特性が必要とされる。
【0022】
電着用分散材の構造としては、基準電極より画像パターン部が電気的に陽極性である場合、以下の構造式で代表される陰イオン基を1つ以上有する構造が好ましく、かかる構造の電着用分散材が1種以上色材微粒子表面に結合・付着又は会合をしていることにより、適切な電着現象を生じて、色材電着膜を作製し適切な画像がえられる。
ここで、基準電極とは、光等のエネルギー刺激が与えられる前の零レベルの電位の電極をいい、画像パターン部とは、光等が照射され、それにより電流を発生した部分をいう。
【0023】
【化1】
Figure 0003620223
【0024】
構造式中、R,Rは任意の炭化水素基を表す。
特に、陰イオン基がカルボキシル基であるものが、電着現象において色材微粒子析出効率が良く、より良い特性を示す。
また、基準電極より画像パターン部が電気的に陰極性である場合、以下の構造で代表される陽イオン基を1つ以上有する構造が好ましく、かかる構造の電着用分散材が1種以上色材微粒子表面に結合・付着又は会合をしていることにより、適切な電着現象を生じて、色材電着膜を作製し適切な画像がえられる。
【0025】
【化2】
Figure 0003620223
【0026】
構造式中、R,R,Rは任意の炭化水素基を表し、A,A,Aは水素、アルキル基、アリル基を表し、Mは水素イオン、各種金属イオン、炭化水素基で代表される陽イオンを表す。
電着用分散材としては、上記イオン性の置換基を有している界面活性剤、水溶性高分子および低い重合度の高分子が分散安定性および電解付着膜の膜性において良好な特性を示した。水溶性高分子および低い重合度の高分子を持つ例としては、アルキルアルキレンオキシドカルボン酸塩、アルキルオキシドカルボン酸塩、アルギン酸変性カルボン酸塩、カルボキシ変性メチルセルロース、ポリアクリル酸変性カルボン酸塩、アクリル酸変性カルボン酸塩、ポリエチレンオキシド変性カルボン酸塩、エポキシ変性カルボン酸塩、ポリエタノールアミン変性メチルセルロース、アミン変性アルギン酸塩、アミン変性ポリアクリルなどの種類の分散材が有効な電解付着用分散材である。
【0027】
水系液体とは、親水性の液体のことであり、水、メタノール、エタノール、ブタノール、イソプロピルアルコールなどのアルコール類、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン類、エタノールアミン、ジメチルアミン、トリエタノールアミンなどの各種アミン類、酢酸、硫酸、塩酸、燐酸、しゅう酸、フタル酸などの酸類など1つまたは複数混合して使用することが適するが、とくに水を主成分とする混合溶媒が安全性、安定性やコストの面で非常に有用である。
【0028】
また、水系色材液には、色素や溶媒の他に、所望により本発明の効果を損なわない限りにおいて、以下の添加剤を併用することができる。
【0029】
水系色材液には、水系溶媒成分の蒸発による色材液の変質を防止する目的で湿潤材を添加することができる。添加する湿潤材の性質としては、親水性が高く水と共沸点を持ち高沸点で低蒸気圧の液体がよい。必要特性としては、極性が高い溶媒であり沸点120℃以上で大気中室温での飽和蒸気圧100mmHg以下、好ましくは、沸点150℃以上で大気での蒸気圧60mmHg以下が良い。前記範囲を外れると分散液の寿命を短くしたり、液の特性の変化が大きく、安定した析出特性が得られにくい。添加量は、0.5重量%から70重量%の範囲が良く、好ましくは5重量%から30重量%の範囲が良い。具体例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、ジアセトナルコール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチレングリコールジアセテートなど代表例として示される。
【0030】
高分子添加材、エマルジョン材料の添加は、電解付着時の安定した着膜生成特性を与え且つ電解付着膜の膜性の改善、電解付着画像の堅牢性や膜の電気抵抗制御に大きく効果を示す。それらの添加量は、固形分の含有濃度として、0.2重量%から50重量%の範囲が良く、好ましくは1重量%から15重量%の範囲が良い。
【0031】
高分子添加材としては、ゼラチン、アラビアゴム、ペクチン、カゼイン、デンプン類、微結晶セルロース、アルギン酸塩、ポリビニルアルコール、酢酸ビニル共重合体、ポリアクリル酸共重合体、メチルセルロース系誘導体などが代表例として示される。
【0032】
エマルジョン材料としては、ポリ酢酸ビニルエマルジョン、酢酸ビニルコポリマーエマルジョン、アクリル酸エステルコポリマーエマルジョン、合成ゴムラテックスなどが代表例として示される。
【0033】
その他にも、防腐・防カビ剤、微量の界面活性剤、pH調整剤や液体粘度調整剤などの添加が行われる場合も有る。特に、水系液体は、微生物の繁殖やカビの発生により液の劣化が生じ易いため、防腐・防カビ剤を添加することは必要である。
【0034】
水系色材液の組成としては、固形分が1重量%から30重量%であり、好ましくは5重量%から19重量%が良好である。1重量%より薄い固形分濃度域では、色材成分の分散安定性が得られにくく、また画像の十分な光学濃度が簡単に得られにくいなど問題がある。また30重量%より濃い固形分濃度域では、電着時の液性の不均一性を生じ易くまたチキソトロピー性を液が示すため液の取り扱い方が複雑になるなど問題がある。
【0035】
水系色材液の固形成分において、水系液体成分量が20重量%から60重量%であり、好ましくは30重量%から50重量%が良好である。上記範囲より低い値では、画像のグロスが高くなりすぎたり、転写効率が低下したりする原因となる。また上記範囲より高い値では、液体画像の浸透やにじみで画像の光学濃度が低下したり画像の層形成に欠陥や不良を生じやすく定着強度も低くなり、発色性や色調にも問題を生じたりする。
【0036】
水系色材液の粘度は1cpsから1000cpsの範囲が良く、より好ましくは10cpsから200cpsの範囲が良い。上記範囲より低い値では、液体の粘性が不足するために液滴の飛散が生じやすく問題となる。また上記範囲より高い値では、電着液体の搬送性が悪くなり、撹拌効率の低下等の問題を生ずる。
【0037】
水系色材液の導電度は、105Ω・Cm 以下好ましくは103Ω・Cm以下であることが良い。上記範囲より高い値では、電着電圧が高くなり電極の発泡現象が活発化したり電着現象が不安定に成り、膜質のバラツキが生じやすくなる。
【0038】
水系色材液中の色剤の溶解性または安定性は、通常、pHの変化によって、変化する。従って、たとえば、図3に示すように、アルカリ性で色材の溶解・分散性が良く、酸性側で析出・沈降する傾向が明瞭な系(曲線1)が、本発明では好ましく、pHの変化による溶解・分散性の変動が小さく、溶解・分散の安定性が高い系(曲線2)や析出・沈降の発生し易い系(曲線3)は、本発明には適さない。
【0039】
水系色材液のpHの設定において、電着物が陽極析出である電着法の時は析出開始pH点より1±2の値のpH値に設定する、より好ましくは1±1.5の値のpH値に設定する。また電着物が陰極析出である電着法の時は析出開始pH点より−1±2の値のpH値に設定する、より好ましくは−1±1.5の値のpH値に電着液のpHを設定すると高い電着膜生成効率が保たれる。上記範囲外の析出開始pH点より析出しやすいpHの設定では、電着液の分散安定性が得られず非画像部に色材微粒子の析出を生じたり電着量のバラツキが生じやすいなど不都合がある。また上記範囲外の析出開始pH点より析出しにくいpHの設定では、電着膜生成効率が低く電着電位の上昇や生成膜の膜性に問題を生じたりする。
【0040】
本発明の画像記録方法では、像保持部材の表面に色材を析出させた後、像保持部材の析出画像を有する面に、紙等の記録媒体を接触させ、それを加圧、加熱などして、その画像を記録媒体に転写する。
【0041】
本発明の画像記録方法に用いる像保持部材は、画像形成される表面の平滑性が高く段差が無いものが良好な印字特性を得られ、また表面エネルギ−が低いことが良好な転写特性を得るための要件となり、そして繰り返し像保持部材を用いる場合において像保持部材への画像の残留防止の見地から重要な特性となってくる。
【0042】
具体的には、像保持部材の表面の表面粗さ(Ra)が0.01μmから1.2μmの範囲であり、より好ましくは0.06μmから0.6μmの範囲であることにより良好な転写特性が得られる。これは、像保持部材の表面の表面粗さが粗いと画像色材と像保持部材の表面の接着力が接触表面積の増加と物理的アンカー効果により大きくなり、色材画像の転写性を低下させる。そのために、像保持部材の表面は平滑にする必要が有る。但し平滑度が行き過ぎ、鏡面状になると転写画像の画像面のグロスが高く成りすぎ、ギラギラしたものとなり視覚的に問題が生じる。
【0043】
また、像保持部材の表面の臨界表面張力が19から39dyne/cmの範囲、より好ましくは22dyne/cmから39dyne/cmの範囲であることにより良好な転写特性が得られる。像保持部材の表面の臨界表面張力を下げることは、画像色材と像保持部材の表面の接着力を物理的に下げることとなり、転写時の転写不良や転写の不均一性の改善に対して大きな効果が上げられる。しかし、19dyne/cm以下では、画像の付着力が小さいために画像流れを生じやすく又付着画像部がはじき現象により微細パタ−ン形状に精度良く対応できない。39dyne/cm以上では、付着画像部の画像と像保持部材との接着力が強くなりすぎクリ−ニング性に問題を生じる。
【0044】
これらの特性により、良好な画像特性が得られるだけでなく、像保持部材面上の画像の物理的クリ−ニング性が高くなり、毎回異なる画像記録を行っても常に前回の記録画像情報の履歴が残らない印字サイクルを構築できる。
【0045】
低表面エネルギー化を行う有効な手段の一つとしては、低表面エネルギー層を表面に形成する方法がある。その表面処理層の材料としては、例えば、フッ素系樹脂、フッ素ゴム(FEP)、ジメチルシロキサン系樹脂、シリコーンゴム等のほか、層自体の電気抵抗を制御する目的で、これらの材料に導電粉体を混合して得られる複合材料も使用される。
【0046】
この低表面エネルギー層の層厚は、通常0.02から10μmの範囲、好ましくは0.02〜1μmであるのがよい。この層厚が10μmより厚くなると、電気伝導度の低下による印字電圧の上昇や電流拡散することによる印字画像劣化、発熱層から被加熱対象までの距離が長くなり熱伝達ロスが多くなってエネルギー効率の低下を生じる。また、0.02μmより薄いと膜の欠陥を生じやすく表面張力のばらつきを生じ易い。
【0047】
上述のように構成された像保持部材は、その発熱体の側縁の一方又は双方に形成された通電部からパターン電極層と導電層との間の発熱層に選択的に通電する電力供給機構と共に装置に組み込まれ、加熱転写若しくは加熱加圧転写による画像転写定着ユニットを構成する。
例えばローラー状の動的コンタクトや舌片状の静的コンタクト等ができる電極が組み込まれ、また、発熱体の側縁に露出する導電層側には、その適する位置に、好ましくはパターン電極層側の動的又は静的コンタクトに対向する位置に上記と同様の動的又は静的コンタクト等ができる電極が組み込まれて構成される。
このような動的又は静的コンタクト等を介してパターン電極層から発熱層を介して導電層に通電される入力電流としては、交流又はパルス電流若しくはこれらの変調電流が採用され、温度制御等の点から好ましくはパルス電流となる。
【0048】
このように、本発明の像保持部材を搭載したユニットでは、そのパターン電極層の一部分に局所的に通電され、その部分の発熱層が局所的に発熱し、用紙等の画像記録媒体に担持された色材像を転写する際に、その必要な部分のみ、例えばこの画像転写部が加熱加圧している場合には圧力が作用する部分のみが加熱される。そしてこの際、像保持部材の発熱部分、すなわち発熱層と転写を必要とする画像保持部材の未転写色材像との間は極めて接近しており、しかも、必要な部分を局所的に発熱させて加熱するので、熱容量が小さくて瞬時に高い温度に発熱して未転写色材像を高温に加熱することができる。しかも、その後発熱した発熱層は、その熱容量が小さいために短時間で温度が低下し、室温近くまでもどるとより良い。
【0049】
従って、このような発熱現象では、発熱エネルギー総量を小さくすることができ、装置全体の温度上昇を抑制することができる。なお、本発明の像保持部材を搭載した画像転写ユニット等の装置であっても、必要により、装置全体の温度上昇を抑制するための冷却機構を付設してもよい。 さらに、発熱体の温度を検出する温度検知装置を設け、この温度検知装置によって検知される温度に対応して発熱層への供給電力を制御する供給電力制御機構を設けることにより、容易にこの像保持部材の発熱部分における発熱量を制御することができるので、良好な転写画像が得られて有効である。
【0050】
例えば、コンタクト電極部が複数の分割電極で構成されている場合、画像信号をこの分割電極に対応したブロックに分割するブロック分割回路と、このブロック分割回路からの画像信号と環境温度を検知して各分割電極に供給する電気エネルギー量を設定する設定回路(パルス幅設定回路やパルス数・タイミング設定回路等)と、この設定回路からの出力信号に基づいて加熱用電気量の発生を行うドライバー回路とで構成するのがよい。
【0051】
本発明においては、発熱部の像保持部材の構造は、パターン電極層と導電層との間に発熱層を挟み込んで形成された発熱体が積層され、パターン電極層及び導電層と発熱層とは、それらが基材の上にパターン電極層、発熱層及び導電層の順に積層されていても、また、導電層、発熱層及びパターン電極層の順に積層されていてもよい。
【0052】
そして、この発熱部を構成するパターン電極層は、発熱層での発熱を局所的に発生させるために、この発熱層に通電される入力電流をアドレッシングするためのものであってアドレッシング入力電極層として機能するものであり、このアドレッシングのために都合のよい形状、例えば、発熱形状に近い帯状や線状あるいはこれらの組合せ形状、さらには各種の形状に分割分離された電極であり、少なくともその側縁の一方又は双方が発熱体の側縁の一方又は双方に露出し、このパターン電極層の一部に局所的に入力電流を供給するための通電部の一部を構成する。
【0053】
この透明発熱体を有する像保持部材について具体的に説明する。図4(A)は透明発熱体を有する像保持部材の横断面図を示し、図4(B)はパターンITO層のパターン形状を示す部分概略図である。像保持部材の最表面には低表面エネルギー層13が形成され、光導電体層14、ITO層15、透明発熱体層16、パターンITO層17及び透明基板18が順次積層されて構成される。本具体例では、パターンITO層17は透明基板18に対して図4(B)に示すような形状を有している。
【0054】
このようなパターン電極層を形成するための材料としては、それが導電性に優れたものであれば特に制限はなく、例えば、金属や導電性セラミックのスパッタリング膜や真空蒸着膜、導電ペーストのスクリーン印刷膜等の薄膜が使用され、ホトリソグラフィー法やスクリーン印刷法等の方法で所定の形状にパターン化される。このパターン電極層の膜厚については、通常5μm以下であり、好ましくは1μm以下である。この膜厚が5μmを越えて厚くなると、電極層のリーク発熱量が増加して入力電流に対する発熱層での発熱温度が低下する。
【0055】
また、上記発熱体を構成する導電層は、パターン電極層から発熱層に電流が入力され、この発熱層で発熱させた電流の帰路電極層であり、パターン電極層と同様に、通常は導電性に優れた材料で薄膜状に形成され、少なくともその側縁の一方又は双方が発熱体の側縁の一方又は双方に露出し、上記パターン電極層から入力された電流の帰路のための通電部の一部を構成している。
【0056】
さらに、この導電層についても、例えば、金属や導電性セラミックのスパッタリング膜や真空蒸着膜、導電ペーストのスクリーン印刷膜等の薄膜が好適に使用され、その膜厚は、通常10μm以下、好ましくは0.5μm以下である。この膜厚が10μmを越えて厚くなると、電極部のリーク発熱量が増加して入力電流に対する発熱層での発熱温度が低下する。
【0057】
さらに、上記発熱体を構成する発熱層は、上記パターン電極層と導電層との間にあって、これらの間にアドレッシング入力された入力電流により、その入力部分で局所的にジュール熱を発生する層であり、耐熱性が200℃以上、好ましくは300℃以上であって、体積抵抗値が10−3〜10 Ω・cm、好ましくは10−1〜10 Ω・cmの範囲である。
【0058】
このような発熱層を構成する材料としては、通常、導電性セラミック材料、導電性カーボン材料及び金属材料等の種々の導電性材料と絶縁性セラミック材料や耐熱性樹脂等の種々の絶縁性材料とをそれぞれ1種類又は数種類づつ混合し若しくは化合して構成される。
【0059】
ここで使用される導電性材料としては、具体的には、C、Ni、Au、Ag、Fe、Al、Ti、Pd、Ta、Cu、Co、Cr、Pt、Mo、Ru、Rh、W、In等のカーボンや金属材料、VO 、Ru O、TaN、SiC、ZrO 、InO、Ta N、ZrN、NbN、VN、TiB 、ZrB 、HfB 、TaB 、MoB 、CrB 、B C、MoB、ZrC、VC、TiC等の化合物が挙げられる。また、耐熱性樹脂としては、ポリイミド樹脂、ポリアラミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリイミドアミド樹脂、ポリエステル−イミド樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリ−p−キシリレン樹脂、ポリベンズイミダゾール樹脂、あるいはこれらの誘導体よりなる樹脂や種々の変性樹脂や複合材料を挙げることができる。更に、抵抗値制御や結着のために用いられる絶縁性材料としては、AlN、SiN 、Al 、MgO、VO 、SiO 、ZrO 、MO 、Bi 、TiO 、MoO 、WO 、NbO 、ReO 等のセラミック材料や上記耐熱性樹脂が用いられる。 発熱層を構成する好ましい材料として、例えば、カーボン分散ポリイミド樹脂、Ni粉体分散シリコーン樹脂、Ta−SiO 混合セラミック材、RuO−SiO 材等が挙げられる。また、この発熱層の膜厚は、通常20μm以下、好ましくは1〜5μmの範囲であるのがよい。この膜厚が20μmを越えて厚くなると、入力電力に対する発熱効率が低下してエネルギー消費が増大するという問題が生じる。
【0060】
像保持部材の構成形態が、ベルト形状であると、画像の記録と被転写体への転写、定着が連続的に行えるため、効率的な画像記録が可能となる。
このようなベルト状の像保持部材を作製するにあたっては、基板材料としてポリイミド樹脂及びその変性化合物、ポリアラミド樹脂及びその変性化合物、若しくは、シリコーン樹脂及びその変性化合物等のポリマー、あるいは、これらのものを主成分とする材料等が挙げられる。像保持部材をベルト状になすと、ベルトを鋭角度に屈曲して表面に付着した色材を効率よく脱離することができ、像保持部材面上の画像の物理的クリーニング性を高くし、毎回異なる画像の粒子析出記録を行っても常に前回の記録画像情報の履歴が残らない印字サイクルを構築可能にする。
【0061】
像保持部材上に記録された画像を普通紙などの転写媒体に転写して画像記録を行う方法としては、静電気力、圧力、粘着力、化学的結合力、濡れ性などを用いて、像保持部材上に析出現象で形成した画像を転写する方法が挙げられる。
【0062】
本発明では、未転写画像材料が電着液の液体成分を適量含んだ状態で画像転写を行なう。
画像が像保持部材の表面へ析出する場合、脱水現象も同時に起きるため、電着液より粘度が急激に上昇する。しかし、依然として数十%の水分を含んでいるため、析出付着した画像組成は外力により容易に塑性変形しやすい粘ちょうな物性となる。この特性により、圧力だけでも画像の粘性変形を生じさせ転写が可能となる。さらには、転写工程が簡素化されることによりシステム全体がよりコンパクトで無駄なエネルギーを消費しない画像形成プロセスを構築することができる。
【0063】
転写時の画像部の含液体率は、20重量%から60重量%の範囲が好ましく、30重量%から50重量%の範囲がより好ましい。ここで、「含液体率」とは、画像を形成後、水系色材液から引き上げた像保持部材の重量から像保持部材自体の重量を差し引いた乾燥前の画像形成材料の重量と、該像保持部材を120℃のオーブンに入れて乾燥し、乾燥後の重量から像保持部材自体の重量を差し引いた乾燥後の画像形成材料の重量との重量差の乾燥前の画像形成材料の重量に対する比率をいう。
【0064】
上記範囲より高い値では画像部が柔らかく転写時に画像部の変形や広がりを生じ易く細線のつぶれやドットゲインの劣化を生じ高画質をえにくい。また、上記範囲より低い値では、画像部が堅く転写時に画像部の転写不良や定着不良が生じるなど、十分な特性が得られない。
【0065】
転写時の画像部の含液体率は、本電着工程の電極および像保持部材の間に印加される電圧差により制御するのが好ましい。印加される電圧差が大きいと色材が硬く凝集し、含液体率が低下する。本電着工程の電極および像保持部材の間に印加される電圧差は、9V以内の直流電源を用いることが多い。但し、画像上の1画素づつをシャープに再現するため、短時間幅の直流パルスおよびその短パルスの重箪での信号入力を行う場合も有る。印加される電圧差は、より好ましくは5V以内の直流電源を用いる、より膜性を重要視するならば、3V以内の直流電源を用いる。9V以上の電圧差を印加すると、色材が硬く凝集し、含液体率が低下するだけでなく、液中にある電極表面から溶液の電気分解による気泡の生成が激しくなり、電極表面の電界分布が不均一になり、膜自体の膜質が不均一になったり、膜表面が凸凹になったりして狙いとする微細なパターンの画像再現が困難になる。また、電圧差が、1.0Vを下回るとpHが低下しないためpH変化が少なく凝集現象が生じにくくなり好ましくない。
【0066】
一般に、電着塗装では、一般に印加電圧を150Vから300Vの範囲で与えて電着を行っている。これは、印加電圧が低いと生成する電着膜の抵抗が高いこともあり電着膜形成が進むに従い電着膜形成速度が大きく低下し必要な膜厚を得られないため、それを避けるため高い電圧印加を行い電気分解による激しい発泡現象を起こさせ、それを利用して電極面近傍の撹拌を行い新しい電着液に電極面を接触させることで電着塗装として必要な膜厚(一般に20μm以上)を得ている。
【0067】
しかし、本発明の狙いは、高画質の画像再現であるため、1μm以下の膜厚レベルの微細な画像パターン再現であるために、電着液の電気分解による発泡現象は画像のシャープ性を劣化させるため抑制していかなければならず、発生しても微細な画像パターン再現に影響を与えないレベルに抑えなければ成らない。それにより印加される電圧差は、9V以内、より好ましくは5V以内、より画質を重要視するならば、3V以内の直流電界となる。また、電圧印加手段も電圧の安定化を考慮した3極電極方式を用いる場合もある。
【0068】
次に、本発明に係る画像記録装置について説明する。
図5は後述する実施例1に用いる本発明の画像記録装置を示す概略図である。画像記録装置は、電着用水系色材液1を満たした電着液浴2内に、裏面から画像信号を入力できるワーク電極の付いた像保持部材3が、裏面がその液浴の外部に出るように配置され、対向電極5、塩橋を利用した制御電極6も同浴1内に設置されている。この像保持部材3は、4mm厚の板ガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワーク電極とし、有機光導電体層の表面は段差が無く平滑になしてある。各電極をポテンショスタット電源4に結線し、像保持部材3の裏面の光画像入力部に画像入力しながらポテンショスタット電源4より、ワーク電極と対向電極5の間に電圧を印加し、色材液中の色材を像保持部材3の表面に析出させて画像を形成するものである。ここで記録された画像は、所望により普通紙やプラスチックフィルムのような被転写体に転写、定着させることもできる。
【0069】
図6は、本発明に係る画像記録装置のシステムの他の一態様を示す概略図である。像保持部材3がベルト形状であるため、水系色材液1中で光信号を付与されることにより記録された画像10はベルト状の像保持部材3表面に付着したまま搬送され、転写部分で紙ロール19から供給される紙11上に加圧、加熱ロール12の間隙を通過する際に転写される。像保持部材3上に残留した色素はクリーニングブラシ20で除去され、クリーニング廃棄物皿21に蓄積される。クリーニングブラシ20によりクリーニングされた像保持部材3は再び画像記録に供される。
【0070】
これらの装置においては、電着液の浴の液性の均一性を保つために、液浴の中での撹拌は行った方が良い。それにより、均一性のある膜形成を行いそして着膜効率も向上する。しかし余り強すぎる撹拌は膜生成を遅らせたり液飛散を発生することもあり避けなければならない。
【0071】
また液温の制御を行うことにより、より均一で良い膜性を得ることができる。この現象自体が液温の影響を受けるため、高画質画像の再現を狙う場合は、特に精度の高い液温制御システムの設置が必要である。
【0072】
光書き込みの場合は、像保持部材の構成が少なくとも面状電極層、光導電性材料層よりなり、光照射部分の像保持部材表面に電流が流れ色材微粒子の電解付着現象が発生する構造となっている。
【0073】
像保持部材表面の画像形成材料の除去方法は、ブレード法、ファーブラシ法、弾性ローラ法、クリーニングウエブ法などのクリーニング法が用いられる。
【0074】
【実施例】
(実施例1)
カーボンブラック粉末(平均粒子径0.08μm)15重量部、ジエチレングリコール15重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸カリウム3重量部、ポリエチレングリコールジカルボン酸カリウム3重量部、水溶性アクリル樹脂6重量部、イソプロパノール3重量部、蒸留水65重量部、以上の材料を混合し、中強度のプロペラ撹拌を1時間行いカーボンブラック粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作製した。次に、この分散液体をホモジナイザー分散機を用いて3分間の高強度強制分散処理を行い分散原液を作製した。蒸留水120重量部、グリセリン6重量部、防かび剤(商品名「プロキセルXL−2」:ICI社製)0.8重量部を混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色材微粒子分散液を完成させた。この液は、燐酸水溶液および水酸化カリウム水溶液によりpHを調整して、pH6.5に設定した。この液の色材微粒子析出開始点のpHは5.0であった。また、この液の抵抗値は9×10 Ωcmであった。
【0075】
次に、図5に示す如き画像記録装置にこの水系色材液を適用して画像記録を行った。画像記録装置は、図5に示す通り、裏面から画像信号を入力できるワーク電極の付いた像保持部材3を上記電着液1を入れた電着液浴2に裏面がその液浴の外部に出るように置き、そして対向電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材は、4mm厚の板ガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワーク電極にし、有機光導電体層の表面は段差が無く平滑に出来ていた。そしてその表面の表面粗さ(Ra)が0.2μmであり、臨界表面張力は26dyne/cmであった。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画像入力部に画像投影装置22から照射された画像投影光23によって画像入力しながらポテンショスタット電源より、ワーク電極とカウンター電極の間に2.8VのD.C.電圧を5秒間印加した。
【0076】
次に、像保持部材を液中より取り出し、10秒後に像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧250g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は34重量%であった。この画像形成を終了した後、光学画像濃度1.31の高画質像が普通紙上に形成されていることを確認した。
【0077】
(実施例2)
カーボンブラック粉末(平均粒子径0.06μm)35重量部、ポリエチレングリコール10重量部、ポリメチルアクリレートジカルボン酸アンモニウム12重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニルカルボン酸アンモニウム5重量部、水溶性アクリル樹脂10重量部、蒸留水70重量部、以上の材料を混合し、中強度のプロペラ撹拌を3時間行いカーボンブラック粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作製した。次にこの分散液体をボールミル分散機を用いて24時間の分散処理を行い分散原液を作製した。蒸留水100重量部、防かび剤(商品名「プロキセルXL−2」:ICI社製)0.5重量部、の混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色材微粒子分散液を完成させた。この液は、燐酸水溶液およびアンモニア水溶液によりpHを調整して、pH6.0に設定した。この液の色材微粒子析出開始点のpHは 5.0であった。また、この液の導電度は2×10 Ωcmであった。
次に、図7に示す画像記録装置を用いて、裏面から画像信号を入力のできるワーク電極の付いた像保持部材3を上記電着液を入れた液浴2に裏面が液浴の外部に出るように置き、そしてカウンター(対向)電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材3は、2mm厚のガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は表面粗さ(Ra)が0.1μmであり、臨界表面エネルギ−は24dyne/cmであった。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画像入力部にレーザー光源24から照射されるレーザー走査系25によって制御されるHe−Neレーザー光により画像入力しながらポテンショスタット電源4より、ワーク電極とカウンター電極の間に3.0VのD.C.パルス電圧(パルス幅2ms/パルス周期3ms)を印加した。
【0078】
次に、像保持部材を液中より取り出し、エアーナイフで像保持部材上の不要な液体分を除去し、像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧170g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は36重量%であった。
この画像形成を終了後、光学画像濃度1.42の普通紙上に画像が形成されていることを確認した。
【0079】
(実施例3)
フタロシアニン粉末(平均粒子径0.1μm) 10重量部、エチルセルソルブ10重量部、ポリオキシエチレンアルキルフェニル酢酸リチウム7重量部、ポリメチルアクリレートジカルボン酸リチウム4重量部、水溶性アクリル樹脂溶液12重量部、蒸留水40重量部、以上の材料を混合し、中強度のプロペラ撹拌を0.5時間行い顔料粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作製した。次にこの分散液体をホモジナイザー分散機を用いて4分間の分散処理を行い分散原液を作製した。蒸留水200重量部、防かび剤(商品名「プロキセルXL−2」:ICI社製)0.5重量部、の混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色材微粒子分散液を完成させた。この液は、燐酸水溶液および水酸化リチウム水溶液によりpHを調整して、pH7.0に設定した。この液の色材微粒子析出開始点のpHは4.0であった。また、この液の導電度は2.1×10 Ωcmであった。
【0080】
次に、図8に示す画像記録装置を用いて、裏面から画像信号を入力のできるワーク電極の付いた像保持部材3を上記電着液を入れた液浴2に裏面が液浴の外部に出るように像保持部材固定治具26で固定して配置され、そしてカウンター(対向)電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材3は、1mm厚の石英基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は表面粗さ(Ra)が0.1μmであり、臨界表面エネルギーは27dyne/cm であった。各電極をポテンショスタット電源4に結線し、像保持部材3の裏面の光画像入力部に印字ヘッド走査系27により制御されたLED印字ヘッド28により画像入力しながらポテンショスタット電源4より、ワーク電極とカウンター電極の間に2.2VのD.C.パルス電圧(パルス幅2ms/パルス周期3ms)を印加した。
【0081】
次に、この画像形成を終了した像保持部材を液中より取り出し、像保持部材表面にシアン色の画像が形成されていることを確認した。そして像保持部材の面状ワーク電極と加圧用ローラー内蔵電極の間に電圧を500VのD.C.パルスと200g/cmの加圧をしながら普通紙を通し、像保持部材表面のシアン色画像を普通紙上に転写し、光学画像濃度1.20の画像が形成されていることを確認した。その転写時の画像部の含液体率は41重量%であった。
【0082】
(比較例1)
ワーク電極とカウンター電極の間に3.9VのD.C.電圧を3秒間印加した以外は、実施例1と同様にして、像保持部材表面に画像を付着させた。
次に、像保持部材を液中より取り出し、60℃のオーブンで8分間乾燥してから、10秒後に像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧250g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は12重量%であった。転写後の画像は、濃度ムラもあり、光学画像濃度が0.21と低下した。
【0083】
(比較例2)
ワ−ク電極とカウンタ−電極の間に1.9VのD.C.電圧を5秒間印加した以外は、実施例1と同様にして、像保持部材表面に画像を付着させた。
次に、像保持部材を液中より取り出し、10秒後に像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧250g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は74重量%であった。転写後の画像は、光学画像濃度が0.63と低下した。
以上の結果から、像保持部材の表面に析出した画像形成材料を、画像形成材料が20重量%から60重量%の水系液体を含んだ状態で記録媒体に転写した場合には、高画質の画像が得られることがわかる。
【0084】
(実施例4)
実施例1と同様に、電着用分散液を作製して、電着印字工程を経て電着液浴から出し、50℃の温風を10秒送風し表面を乾燥させ、像保持部材上に分散色材微粒子の画像を得た像保持部材面上に普通紙を載せた。その転写時の画像部の含液体率は31重量%であった。この紙の上から、+6KVのコロナ放電を行い、次に一対のゴムローラを線圧300g/cmで普通紙および像保持部材を挟んで加圧し回転搬送した。そして加圧直後普通紙を像保持部材より引き剥がし、光学画像濃度1.33の転写した画像を普通紙上に得た。
【0085】
(実施例5)
カーボンブラック粉末(平均粒子径0.1μm)15重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム5重量部、ポリエチレングリコールジカルボン酸ナトリウム3重量部、水溶性アクリル樹脂6重量部、蒸留水55重量部、以上の材料を混合し、中強度のプロペラ撹拌を1時間行いカーボンブラック粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作製した。次にこの分散液体をホモジナイザー分散機を用いて3分間の高強度強制分散処理を行い分散原液を作製した。蒸留水100重量部、酢酸ビニルエマルション水溶液20重量部、防かび剤(商品名「プロキセルXL−2」:ICI社製)0.6重量部を混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色材微粒子分散液を完成させた。この液は、燐酸水溶液および水酸化ナトリウムによりpHを調整して、pH7.1に設定した。この液の色材微粒子析出開始点のpHは5.5であった。また、この液の導電度は2×10 Ωcmであった。
【0086】
次に、図5に示す如き画像記録装置にこの水系色材液を適用して画像記録を行った。画像記録装置は、図5に示す通り、裏面から画像信号を入力できるワ−ク電極の付いた像保持部材3を上記電着液1を入れた電着液浴2に裏面がその液浴の外部に出るように置き、そして対向電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材は、4mm厚の青板ガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は段差が無く平滑に出来ていた。そしてその表面の表面粗さ(Ra)が0.3μmであり、臨界表面張力は27dyne/cmであった。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画像入力部に画像投影装置22から照射された画像投影光23によって画像入力しながらポテンショスタット電源より、ワーク電極とカウンター電極の間に2.0VのD.C.電圧を5秒間印加した。
【0087】
次に、像保持部材を液中より取り出し、20秒後に像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧250g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は38重量%であった。この画像形成を終了した後、光学画像濃度1.35の高画質像が普通紙上に形成されていることを確認した。次に、消しゴム擦り定着テストを実施した結果、本印字サンプルの光学濃度変化量は、0.3であった。実施例1の印字サンプルの光学濃度変化量は、0.5であった。これにより、エマルション水溶液の添加により定着性が向上したことが確認できた。
【0088】
(実施例6)
カーボンブラック粉末(平均粒子径0.08μm)、カーボンブラック粉末(平均粒子径0.3μm)、カーボンブラック粉末(平均粒子径0.8μm)、カーボンブラック粉末(平均粒子径2.0μm)の4種の顔料粉末を用いて実施例1と同様に、電着用色材液を作製して、普通紙への画像記録印字評価テストを実施した。その転写時の画像部の含液体率は42重量%であった。
【0089】
印字評価記録結果は、この4種の電着用色材液での普通紙上の記録画像の光学画像濃度は、1.34、1.41、1.16、0.43であった。また、平均粒子径2.0μmのカーボンブラック粉末の電着用色材液は分散安定性が不安定で、2日間放置により沈降評価用試験管の底に沈降物が見られた。他のカーボンブラック顔料粉末の電着用色材液は2日間放置により沈降評価用試験管の底には沈降物が見られなかった。
【0090】
(実施例7)
実施例2と同様にして、実施例2と同じ電着用色材液を完成させた。
次に、図7に示す画像記録装置を用いて、裏面から画像信号を入力のできるワーク電極の付いた像保持部材3を上記電着液を入れた液浴2に裏面が液浴の外部に出るように置き、そしてカウンター(対向)電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材3は、2mm厚のガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は表面粗さ(Ra)が0.1μmであり、臨界表面エネルギ−は24dyne/cmであった。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画像入力部にレーザー光源24から照射されるレーザー走査系25によって制御されるHe−Neレーザー光により画像入力しながらポテンショスタット電源4より、ワーク電極とカウンタ−電極の間に3.0VのD.C.パルス電圧(パルス幅2ms/パルス周期3ms)を印加した。その時電着浴の中に撹拌用プロペラを入れて浴内の電着液を軽度の撹拌を行いながら電着記録を行った。
【0091】
次に、像保持部材を液中より取り出し、エアーナイフで像保持部材上の不要な液体分を除去し、像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧190g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は34重量%であった。
【0092】
この画像形成を終了後、光学画像濃度1.46の普通紙上に画像が形成されていることを確認した。またソリッド部の光学濃度バラツキがσ=0.04であることを確認した。実施例2の光学画像濃度1.42、ソリッド部の光学濃度バラツキがσ=0.09であった。浴内の電着液を軽度の撹拌を行うことにより、光学画像濃度が均一で高画質の画像が得られることがわかった。
【0093】
(実施例8)
実施例2と同様に、電着用分散液を作製して、電着印字工程を経て電着液浴から出し、1分間室温放置後、像保持部材上に分散色材微粒子の画像を得た像保持部材面上に普通紙を載せた。この紙の上から、導電ゴムローラと絶縁ゴムローラを線圧400g/cmで普通紙および像保持部材を挟んで加圧し、+300Vのバイアス電圧を導電ゴムローラに印加し、回転搬送した。そしてローラ搬出直後普通紙を像保持部材より引き剥がし、光学画像濃度1.43の転写した画像を普通紙上に得た。その転写時の画像部の含液体率は36重量%であった。つぎに、像保持部材面上をゴムブレードを用いて転写残りの画像形成材料を除去した。これにより、像保持部材面上が初期状態に戻り、次の画像形成の準備が整った。
【0094】
(実施例9)
カーボンブラック粉末(平均粒子径0.1μm)17重量部、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸ナトリウム3重量部、ポリエチレングリコールジカルボン酸ナトリウム3重量部、水溶性アクリル樹脂10重量部、蒸留水55重量部、以上の材料を混合し、中強度のプロペラ撹拌を1時間行いカーボンブラック粉末を十分に液体に湿潤させて粗分散液を作製した。次に、この分散液体をホモジナイザー分散機を用いて3分間の高強度強制分散処理を行い分散原液を作製した。蒸留水120重量部、グリセリン10重量部、防かび剤(商品名「プロキセルXL−2」:ICI社製)0.3重量部、の混合した希釈液をプロペラ撹拌を行いながらこの分散原液中に滴下し、電着用色材微粒子分散液を完成させた。この液を、塩酸水溶液および水酸化ナトリウム水溶液によりpHを調整して、pH4.5、6.0、7.5、9.5に設定した。この液の色材微粒子析出開始点のpHは 5.0である。
【0095】
次に、図2に示す如き画像記録装置にこの水系色材液を適用して画像記録を行った。画像記録装置は、図2に示す通り、裏面から画像信号を入力できるワ−ク電極の付いた像保持部材3を上記電着液1を入れた電着液浴2に裏面がその液浴の外部に出るように置き、そして対向電極5、塩橋を利用した制御電極6を浴内に設置した。この像保持部材は、4mm厚の青板ガラス基板にITOの透明導電層を与えその上に2層の有機光導電体層の積層構造により作られ、ITO導電層をワ−ク電極にし、有機光導電体層の表面は段差が無く平滑に出来ていた。そしてその表面の表面粗さ(Ra)が0.3μmであり、臨界表面張力は27dyne/cmであった。各電極をポテンショスタット電源に結線した。そして、像保持部材の裏面の光画像入力部に画像投影装置22から照射された画像投影光23によって画像入力しながらポテンショスタット電源より、ワーク電極とカウンター電極の間に2.5VのD.C.電圧を12秒間印加した。
【0096】
次に、像保持部材を液中より取り出し、14秒後に像保持部材表面の画像付着面に普通紙をのせ、50mm径のゴムローラーを用いて線圧350g/cmの圧力を与え像保持部材とゴムローラーを挾持させ普通紙に画像を転写させた。その転写時の画像部の含液体率は39重量%であった。この画像形成を終了した普通紙上の光学画像濃度を測定したところ1.43(pH4.5の電着液)、1.38(pH6.0の電着液)、1.32(pH7.5の電着液)、1.01(pH9.5の電着液)の画像が形成されていることを確認した。そして、pH4.5の電着液は分散粒子が浴槽の底に沈降をしており、分散状態が不安定であることを確認した。
【0097】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、水系色材液に画像信号に対応して電流を流すことが出来る画像保持部材に色材析出現象により画像形成を行い、その画像が色材液を含んだ状態で転写メデイアに画像を転写することで、低エネルギー、高光学濃度、高解像、低画像厚み画像構造、画像の接着性、画像堅牢性が高く、安全性が高いなどの印字特性を有する記録画像が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】色素の析出記録現象の概念図である。
【図2】実施例1の画像記録に用いた画像記録装置を示す概略図である。
【図3】水系色材液のpH変化と色材の分散特性との関係を示すグラフである。
【図4】(A)は透明発熱体を有する像保持部材の横断面図であり、(B)はパターンITO層のパターン形状を示す部分概略図である。
【図5】本発明の画像記録プロセスを示す概要図である。
【図6】ベルト状の像保持部材を有する画像記録装置を用いた本発明の画像記録システムの一態様を示す概略図である。
【図7】実施例2の画像記録に用いたレーザー発生装置を備えた画像記録装置を示す概略図である。
【図8】実施例3の画像記録に用いたLED印字ヘッドを備えた画像記録装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 電着用水系色材液
2 液浴
3 像保持部材
4 ポテンショスタット電源
5 対向(カウンター)電極
6 制御電極
9 色素
10 画像
11 普通紙(被転写体)
12 定着ローラー
22 画像投影装置
24 レーザー光源
25 レーザー走査系
27 印字ヘッド走査系
28 LED印字ヘッド

Claims (27)

  1. 水系液体中に、少なくとも平均粒子径が0.9μm以下の色材微粒子を溶解または分散させて水系色材液とし、
    該水系色材液中に像保持部材と該像保持部材に対向する対向電極を配置し、
    該像保持部材と該対向電極との間に画像パターンに対応した電流または電界を供与し、
    像保持部材の表面に前記平均粒子径が0.9μm以下の色材微粒子を含有する画像形成材料を電気化学的に析出させて画像を形成し、
    該画像形成材料を、該画像形成材料が20重量%から60重量%の水系液体を含んだ状態で、記録媒体に転写し、該記録媒体上に画像を記録する画像記録方法。
  2. 前記像保持部材が光導電性材料を含有する光導電性層を有し、前記像保持部材の光導電性層に画像パターンに対応した光信号を付与することにより、前記像保持部材の表面に前記画像パターンに対応した画像を形成することを特徴とする請求項1に記載の画像記録方法。
  3. 前記平均粒子径が0.9μm以下の色材微粒子が、前記像保持部材の極性と逆極性にイオン化が可能な色材微粒子であることを特徴とする請求項1または2に記載の画像記録方法。
  4. 前記像保持部材と前記対向電極との間の電位差が9V以内であることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  5. 前記平均粒子径が0.9μm以下の色材微粒子が、電着用分散剤により、前記水系色材液中に分散されてなることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  6. 基準電極より画像パターン部が陽極性であり、前記水系色材液が、前記電着用分散剤として、水系液体中でイオン解離して陰イオン基を1つ以上有する化合物を少なくとも一種以上有することを特徴とする請求項5に記載の画像記録方法。
  7. 基準電極より画像パターン部が陰極性であり、前記水系色材液が、前記電着用分散剤として、水系液体中でイオン解離して陽イオン基を1つ以上有する化合物を少なくとも一種以上有することを特徴とする請求項5に記載の画像記録方法。
  8. 前記像保持部材の表面の臨界表面張力が39dyne/cm以下であることを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  9. 前記像保持部材の表面の表面粗さ(Ra)が0.01μm以上1.2μm以下であることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  10. 前記画像形成材料が熱可塑性樹脂成分を含有していることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  11. 前記像保持部材の構成形態が、ベルト形状であることを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  12. 前記水系色材液中に、さらに水溶性高分子材料を含有し、画像形成時、画像形成材料の一部として水溶性高分子材料も像保持部材の表面の画像パターン部に付着することを特徴とする請求項1から11のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  13. 前記水系色材液中に、さらにエマルション粒子を含有し、画像形成時画像形成材料の一部としてエマルション粒子材料も像保持部材の表面の画像パターン部に析出することを特徴とする請求項1から12のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  14. 前記色材微粒子の粒子径の平均値が0.01μmから0.2μmの範囲にあることを特徴とする請求項1から13のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  15. 前記水系色材液中に、さらに沸点が120℃以上かつ大気中での蒸気圧が50mmHg以下の水溶性溶剤を含有することを特徴とする請求項1から14のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  16. 前記水系色材液の導電度が105Ω・cm以下であることを特徴とする請求項1から15のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  17. 該像保持部材と該対向電極との間に画像パターンに対応した電流または電界を供与し、像保持部材の表面に色材微粒子を含有する画像形成材料を電気化学的に析出させて画像を形成する際に、前記水系色材液を流動または撹拌することを特徴とする請求項1から16のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  18. 前記水系色材液中に、さらに防腐・防カビ効果を有する薬剤を含有することを特徴とする請求項1から17のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  19. 該像保持部材と該対向電極との間に画像パターンに対応した電流または電界を供与し、像保持部材の表面に色材微粒子を含有する画像形成材料を電気化学的に析出させて画像を形成する際に、前記水系色材液の液温制御することを特徴とする請求項1から18のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  20. さらに、画像形成材料を記録媒体に転写後の像保持部材の表面に付着している不要な画像形成材料を除去する工程を設けてあることを特徴とする請求項1から19のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  21. 前記水系色材液のpH値が、画像形成材料が陽極析出である電着法の時は析出開始pH点より1±2の値のpH値に設定してあることを特徴とする請求項1から20のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  22. 前記水系色材液のpH値が、画像形成材料が陰極析出である電着法の時は析出開始pH点より−1±2の値のpH値に設定してあることを特徴とする請求項1から21のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  23. 前記水系色材液の固形成分の濃度が、1重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1から22のいずれか一項に記載の画像記録方法。
  24. 前記固形成分のうち色材微粒子の含有量が、30重量%以上80重量%以下であることを特徴とする請求項23に記載の画像記録方法。
  25. 少なくとも平均粒子径が0.9μm以下の色材微粒子を水系液体中に溶解または分散させた水系色材液を収容する液体収容部と、
    前記水系色材液中に配置された像保持部材と、
    この像保持部材に対向して前記水系液体中に配置された対向電極と、
    前記像保持部材と前記対向電極との間に画像パターンに対応する電流または電界を供与する電源と、
    前記色材を有する画像形成材料を前記像保持部材の表面に電気化学的に析出させて、前記画像パターンに対応した画像を形成する画像形成手段と、
    該画像を転写する記録媒体と、
    前記像保持部材の表面に析出した画像形成材料を、前記画像形成材料が20重量%から60重量%の水系液体を含んだ状態で、前記記録媒体に転写する転写手段とを備えた画像記録装置。
  26. 前記像保持部材が光導電性材料を含有する光導電性層を有し、前記像保持部材の光導電性層に画像パターンに対応した光信号を付与する光信号付与手段をさらに備えていることを特徴とする請求項25に記載の画像記録装置。
  27. 前記水系色材液中の色材微粒子が、前記像保持部材の極性と逆極性にイオン化が可能な色材で、前記像保持部材と前記対向電極との間の電位差が9V以内となるように前記電源の出力を設定することを特徴とする請求項25または26に記載の画像記録装置。
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